JPWO2019131942A1 - 細胞凝集促進剤 - Google Patents

細胞凝集促進剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2019131942A1
JPWO2019131942A1 JP2019562204A JP2019562204A JPWO2019131942A1 JP WO2019131942 A1 JPWO2019131942 A1 JP WO2019131942A1 JP 2019562204 A JP2019562204 A JP 2019562204A JP 2019562204 A JP2019562204 A JP 2019562204A JP WO2019131942 A1 JPWO2019131942 A1 JP WO2019131942A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
less
culture
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019562204A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7349911B2 (ja
Inventor
将人 伊吹
将人 伊吹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Publication of JPWO2019131942A1 publication Critical patent/JPWO2019131942A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7349911B2 publication Critical patent/JP7349911B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0696Artificially induced pluripotent stem cells, e.g. iPS
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/60Transcription factors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/70Enzymes
    • C12N2501/72Transferases (EC 2.)
    • C12N2501/727Kinases (EC 2.7.)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2513/003D culture

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、細胞凝集塊の大きさを機械学的/物理学的な手段に依らずに適切に制御するための手段を提供することを目的とし、具体的には、SRF阻害剤を含む、細胞の浮遊培養に用いるための細胞凝集促進剤に関する。本発明はまた、SRF阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法に関する。

Description

本発明は、細胞凝集促進剤に関する。本発明はまた、細胞凝集塊の製造方法、及び、それにより製造された細胞凝集塊に関する。本発明はまた、細胞培養組成物に関する。
ヒトES細胞やヒトiPS細胞等のヒト多能性幹細胞の近年の研究により、再生医療の実用化の可能性が高まっている。これらの細胞は、無限に増殖できる能力と、様々な細胞に分化する能力を有していることから、多能性幹細胞を用いた再生医療には、難治性疾患、生活習慣病等に対する治療法を根本的に変革することが期待されている。多能性幹細胞からは、神経細胞をはじめとして、心筋細胞、血液細胞、及び網膜細胞などさまざまな種類の細胞に試験管内で分化誘導することが既に可能になっている。
多能性幹細胞を用いて各種臓器を再生する再生医療に関する実用化に向けた課題の一つに、臓器再生に必要な大量の細胞を如何に効率的に生産するかという課題がある。例えば肝臓の再生には約2×1011個の細胞が必要である。平坦な基板上での接着培養により前記個数の細胞を培養するには10cm以上の基板が必要であり、これは一般的な10cmディッシュで約20,000枚分に相当する。基板表面上での接着培養では得られる細胞数が培養面積に依存するためスケールアップが困難であり、再生医療に必要な十分な量の細胞を供給することは困難である。
そこで、培地中で細胞を浮遊させながら培養する浮遊培養はスケールアップが容易であることから、細胞の大量生産に適していると期待される。
例えば、非特許文献1には、浮遊培養の細胞培養容器としてスピナーフラスコを用い、強い撹拌力により液体培地を撹拌しながらヒト多能性幹細胞の浮遊培養を行い均一な大きさのスフェロイドを製造する方法が開示されている。
非特許文献2では微小なマイクロウェルが形成された基板を用い、各マイクロウェル中で均一な大きさのスフェロイドを作製する方法が開示されている。
非特許文献3では培地として、粘性や比重の調製された培地を用い、多能性幹細胞の浮遊状態を保持するとともに細胞同士の衝突を抑制しながら培養を行う方法が開示されている。
特許文献1には細胞を液体培地中で旋回培養しながら培養して、細胞の凝集塊を作製する技術が開示されている。
特許文献2には多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約200μm以上300μm以下となるまで浮遊培養する方法が開示されている。
特許文献3には、リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)等のリゾリン脂質を含む培地中で細胞を浮遊培養することにより、細胞の凝集を抑制する技術が開示されている。
特開2003−304866号公報 国際公開WO2013/077423号パンフレット 国際公開WO2016/121737号パンフレット
Olmer R. et al., Tissue Engineering: Part C, Volume 18 (10): 772-784 (2012) Ungrin MD et al., PLoS ONE, 2008, 3(2), e1565 Otsuji GT et al., Stem Cell Reports, Volume 2: 734-745 (2014)
本発明者らは、膜タンパク質や細胞膜の細胞間での非特異的な吸着、細胞表面のカドヘリンを介した細胞間の接着が多能性幹細胞等の接着性細胞を浮遊培養するうえで重要な機構であることを見出した。つまり、浮遊培養の技術に求められることは、細胞の膜タンパク質や細胞表面のカドヘリンなどの結合に障害を与えることなく、適度な大きさの細胞凝集塊を作製しなければならないという課題が存在する。しかしながら、非特許文献1〜3、特許文献1又は2に開示された浮遊培養の技術には、以下の問題があった。
非特許文献1の方法では剪断応力により細胞死が生じやすいという問題がある。
非特許文献2の方法は大規模化が困難であることや、培地の交換が困難である等の問題がある。
非特許文献3の方法では培養時の培地の移動が少ないため酸素や栄養成分が細胞凝集塊に供給され難いという問題がある。
特許文献1では細胞塊の大きさを適度な大きさに制御するための手段は開示されていない。
特許文献2では細胞塊同士の接着を防ぐための手段として培地に水溶性高分子を添加して粘性を高めることが記載されている。このため非特許文献3と同様に、酸素や栄養成分が細胞凝集塊に供給され難いという問題がある。
そこで本発明者らは、上記課題を解決するために、特許文献3においてリゾリン脂質を含む培地中で細胞を浮遊培養することにより、細胞の凝集を抑制し、適度な大きさの凝集塊を細胞に障害を与えることなく生産することが可能な浮遊培養の技術を開発した。
ところで、特許文献3では細胞凝集を抑制する成分としてリゾリン脂質のみが開示されている。仮に、リゾリン脂質以外にも、浮遊培養において培地中に存在することにより細胞の凝集を抑制又は促進する成分が提供されれば、細胞凝集塊の大きさを、機械学的/物理学的な手段に依らずにより適切に制御することが可能になると本発明者らは考えた。
本発明者らは、鋭意研究の結果、SRF阻害剤が、浮遊培養において培地中に存在することにより細胞の凝集を促進する作用を奏することを見出し、以下の各発明を完成するに至った。
(1)SRF阻害剤を含む、細胞の浮遊培養に用いるための細胞凝集促進剤。
(2)前記SRF阻害剤の濃度が9.0μg/mL以上10.0mg/mL以下である、(1)に記載の細胞凝集促進剤。
(3)さらにROCK阻害剤を含む、(1)又は(2)に記載の細胞凝集促進剤。
(4)前記SRF阻害剤がCCG−1423である、(1)から(3)のいずれかに記載の細胞凝集促進剤。
(5)前記細胞が幹細胞である、(1)から(4)のいずれかに記載の細胞凝集促進剤。
(6)SRF阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法。
(7)前記培地中における前記SRF阻害剤の濃度が4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である、(6)に記載の製造方法。
(8)さらに、前記培地中にROCK阻害剤を含む、(6)又は(7)に記載の製造方法。
(9)前記SRF阻害剤がCCG−1423である、(6)から(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)前記細胞が幹細胞である、(6)から(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)(6)から(10)のいずれかに記載の製造方法により得られた細胞凝集塊。
(12)細胞と、培地と、SRF阻害剤とを含む、細胞培養組成物。
(13)前記SRF阻害剤の濃度が4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である、(12)に記載の細胞培養組成物。
(14)さらにROCK阻害剤を含む、(12)又は(13)に記載の細胞培養組成物。
(15)前記SRF阻害剤がCCG−1423である、(12)から(14)のいずれかに記載の細胞培養組成物。
(16)前記細胞が幹細胞である、(12)から(15)のいずれかに記載の細胞培養組成物。
(17)前記細胞の形態が細胞凝集塊である、(12)から(16)のいずれかに記載の細胞培養組成物。
(18)SRF阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程を含む、細胞の凝集を促進する方法。
(19)前記培地中における前記SRF阻害剤の濃度が4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である、(18)に記載の方法。
(20)さらにROCK阻害剤を含む、(18)又は(19)に記載の方法。
(21)前記SRF阻害剤がCCG−1423である、(18)から(20)のいずれかに記載の方法。
(22)前記細胞が幹細胞である、(18)から(21)のいずれかに記載の方法。
(23)培地と、SRF阻害剤とを含む、細胞培養培地。
(24)前記SRF阻害剤の濃度が4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である、(23)に記載の細胞培養培地。
(25)さらにROCK阻害剤を含む、(23)又は(24)に記載の細胞培養培地。
(26)さらに増殖因子を含む、(23)から(25)のいずれかに記載の細胞培養培地。
(27)幹細胞の培養に用いるための、(23)から(26)のいずれかに記載の細胞培養培地。
(28)細胞凝集塊を作製するための、(23)から(27)のいずれかに記載の細胞培養培地。
(29)細胞凝集塊の70%以上(重量基準)において、最も幅の広い部分の寸法が500μm以下、好ましくは300μm以下である、(6)から(10)のいずれかに記載の製造方法、(11)に記載の細胞凝集塊、(17)に記載の細胞培養組成物、又は(28)に記載の細胞培養培地。
(30)細胞凝集塊の70%以上(重量基準)において、最も幅の広い部分の寸法が40μm以上、好ましくは100μm以上である、(6)から(10)及び(29)のいずれかに記載の製造方法、(11)又は(29)に記載の細胞凝集塊、(17)又は(29)に記載の細胞培養組成物、又は(28)もしくは(29)に記載の細胞培養培地。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2017-254688号の開示内容を包含する。
本発明の細胞凝集促進剤の一実施形態は、浮遊培養時の細胞の凝集を促進するために培地中に配合することができる。
本発明の細胞凝集塊の製造方法の一実施形態によれば、細胞凝集塊を高収量で製造することができる。
本発明の細胞凝集塊の一実施形態は適度な寸法を有し、生細胞率が高い。
本発明の細胞培養組成物の一実施形態は、細胞凝集塊を高収量で製造するために用いることができる。
図1は、ヒトiPS細胞を、CCG−1423を添加または未添加の培地中で浮遊培養したときの培養1日目の位相差顕微鏡による観察像を示す。 図2は、ヒトiPS細胞を、CCG−1423を添加または未添加の培地中で浮遊培養したときの培養1日目の死細胞数の測定結果を示す。 図3は、ヒトiPS細胞を、CCG−1423を添加または未添加の培地中で浮遊培養し、細胞凝集塊を作製した後、継続して浮遊培養したときの、培養1日目から5日目の位相差顕微鏡による観察像を示す。 図4は、ヒトiPS細胞を、CCG−1423を添加または未添加の培地中で浮遊培養し、細胞凝集塊を作製した後、継続して浮遊培養したときの、培養1日目から5日目のグルコース消費量の測定結果を示す。 図5は、ヒトiPS細胞を、CCG−1423を添加または未添加の培地中で浮遊培養し、細胞凝集塊を作製した後、継続して浮遊培養したときの、培養5日目の細胞収量の測定結果を示す。 図6は、CCG−1423を添加して浮遊培養し、細胞凝集塊を作製した後、継続して浮遊培養したときの、培養5日目のヒトiPS細胞の、未分化マーカー(SOX2、OCT4およびNanog)陽性率の測定結果を示す。 図7は、ヒトiPS細胞を、CCG−1423を含む培地中で浮遊培養(培養1日目)して細胞凝集塊を作製した際の培養1日目の細胞凝集塊の直径の分布を示したグラフである。
以下、本発明を、好ましい実施形態を用いて詳細に説明する。
<1.細胞>
本発明において細胞凝集塊を形成する細胞は、接着性を有する細胞(接着性細胞)であることができる。接着性細胞は、動物由来細胞等であることができ、好ましくは哺乳類動物由来細胞等であることができ、より好ましくは生体組織由来細胞及び生体組織由来細胞から派生した細胞等であることができ、特に好ましくは上皮組織由来細胞及び上皮組織細胞から派生した細胞等、又は結合組織由来細胞及び結合組織由来細胞から派生した細胞等、又は筋組織由来細胞及び筋組織由来細胞から派生した細胞等、又は神経組織由来細胞及び神経組織由来細胞から派生した細胞等であることができ、さらに好ましくは動物由来幹細胞及び動物由来幹細胞から分化した細胞等であることができ、もっと好ましくは動物由来多能性幹細胞及び動物由来多能性幹細胞から分化した細胞等であることができ、よりさらに好ましくは哺乳類動物由来多能性幹細胞及び哺乳類動物由来多能性幹細胞から分化した細胞等であることができ、もっとも好ましくはヒト由来多能性幹細胞及びヒト由来多能性幹細胞から分化した細胞等であることができる。
本発明において「幹細胞」とは、別の細胞に分化することができ且つ自己複製能をもつ細胞である。「幹細胞」のなかでも特に、生体を構成する全ての種類の細胞に分化することができる多分化能(多能性)を有し、適切な条件下のインビトロ(in vitro)での培養において多能性を維持したまま無限に増殖を続けることができる細胞を「多能性幹細胞」という。多能性幹細胞の具体例としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、胎児の始原生殖細胞由来の多能性幹細胞であるEG細胞(Shamblott M.J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA.(1998) 95, p.13726−13731)、精巣由来の多能性幹細胞であるGS細胞(Conrad S., Nature(2008) 456, p.344−349)、体細胞由来の人工多能性幹細胞であるiPS細胞(induced pluripotent stem cells)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に用いる多能性幹細胞は、特に好ましくは、ES細胞又はiPS細胞である。ES細胞は、胚盤胞と呼ばれる初期胚に由来する多能性幹細胞である。iPS細胞は、体細胞に初期化因子を導入することにより体細胞を未分化状態へと初期化し、多能性を付与した培養細胞である。初期化因子としては、例えばOCT3/4及びKLF4及びSOX2及びc−Mycを用いることができ(Takahashi K, et al. Cell. 2007;131:861-72.)、例えばOCT3/4及びSOX2及びLIN28及びNanogを用いることができる(Yu J, et al. Science. 2007;318:1917−20.)。これらの因子の細胞への導入形態は特に限定されないが、例えば、プラスミドを用いた遺伝子導入、合成RNAの導入、タンパク質として直接導入などが挙げられる。また、microRNAやRNA、低分子化合物等を用いた方法で作製されたiPS細胞を用いてもよい。ES細胞、iPS細胞を始めとする多能性幹細胞は、市販品又は分譲を受けた細胞を用いてもよいし、新たに作製したものを用いてもよい。iPS細胞として、例えば253G1株、201B6株、201B7株、409B2株、454E2株、HiPS−RIKEN−1A株、HiPS−RIKEN−2A株、HiPS−RIKEN−12A株、Nips−B2株、TkDN4−M株、TkDA3−1株、TkDA3−2株、TkDA3−4株、TkDA3−5株、TkDA3−9株、TkDA3−20株、hiPSC 38−2株、MSC−iPSC1株、BJ−iPSC1株等を使用することができる。ES細胞として、例えばKhES−1株、KhES−2株、KhES―3株、KhES−4株、KhES−5株、SEES−1株、SEES−2株、SEES−3株、SEES−4株、SEES−5株、SEES−6株、SEES−7株、HUES8株、CyT49株、H1株、H9株、HS−181株、RPChiPS771−2株等を使用することができる。新たに作製された臨床グレードのiPS細胞又はES細胞を用いてもよい。iPS細胞を作製する際の細胞の由来は特に限定されないが、例えば、繊維芽細胞又はリンパ球等を用いることができる。
また、本発明における細胞の種類としては、細胞外マトリックスやカドヘリン等によってプラスチックや細胞などに接着することができる細胞であれば特に限定されないが、例えば、上述した多能性幹細胞(人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、精巣由来の多能性幹細胞であるGS細胞、胎児の始原生殖細胞由来のEG細胞、骨髄等に由来するMuse細胞等)、体性幹細胞(骨髄、脂肪組織、歯髄、胎盤、卵膜、臍帯血、羊膜、絨毛膜等に由来する間葉系幹細胞、神経幹細胞等)、神経細胞、心筋細胞、心筋前駆細胞、肝細胞、肝臓前駆細胞、α細胞、β細胞、繊維芽細胞、軟骨細胞、角膜細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、周細胞等が例示でき、前記細胞は遺伝子導入された形態やゲノム上の対象遺伝子などをノックダウンされた形態でもよい。
本発明で用いられる細胞は、任意の動物由来のものであってよく、例えば、マウス、ラット、ハムスター等のげっ歯類、ヒト、ゴリラ、チンパンジー等の霊長類、さらにイヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の家畜又は愛玩動物等の哺乳動物由来のものであってよいが、ヒト由来の細胞が特に好ましい。
本発明では、接着又は浮遊させながら培養した後に単離された細胞を用いることができる。ここで「単離された細胞」とは、複数の細胞が集団として接着している細胞を剥離、分散した状態の前記細胞である。単離とは、培養容器や培養担体等に接着していた状態の細胞又は細胞同士が接着している状態の細胞集団を剥離、分散して単一の細胞にする工程である。単離する細胞集団は液体培地中に浮遊した状態であってもよい。単離の方法は特に限定されないが、剥離剤(トリプシン又はコラゲナーゼ等の細胞剥離酵素)又はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤又は剥離剤とキレート剤の混合物等を好適に使用することができる。剥離剤は特に限定されないが、トリプシン、Accutase(商標登録)、TrypLETM Express Enzyme(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、TrypLETM Select Enzyme(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、ディスパーゼ(商標登録)、コラゲナーゼなどが挙げられる。単離後に凍結保存した前記細胞も本発明で好適に使用することができる。
<2.細胞凝集塊>
細胞凝集塊は、複数の細胞が三次元的に凝集して形成される塊状の細胞集団であって、スフェロイドとも呼ばれる。細胞凝集塊は、典型的には、概ね球状の形状を有する。
本明細書において「細胞凝集」とは、複数の細胞が三次元的に集合して、集塊を形成することをいう。異なる細胞による凝集と同一細胞による凝集があるが、本明細書ではいずれの凝集も包含する。同一細胞による凝集は、1つの細胞の増殖によって集塊が形成される場合も含む。細胞凝集の機構としては、限定はしないが、膜タンパク質や細胞膜の細胞間での非特異的な吸着、細胞表面のカドヘリンを介した細胞間の接着等が挙げられる。
本発明において、細胞凝集塊を構成する細胞は1種類以上の前記細胞であれば特に限定されない。例えば、ヒト多能性幹細胞又はヒト胚性幹細胞等の多能性幹細胞で構成された細胞凝集塊は、多能性幹細胞マーカーを発現している及び/または多能性幹細胞マーカーが陽性を呈する細胞を含む。多能性幹細胞マーカーとしては、例えば、Alkaline Phosphatase、NANOG、OCT4、SOX2、TRA−1−60、c−Myc、KLF4、LIN28、SSEA−4、SSEA−1等が例示できる。
多能性幹細胞マーカーは、当該技術分野において任意の検出方法により検出することができる。発現マーカーを検出する方法としては、例えばフローサイトメトリーが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光標識抗体を用いるフローサイトメトリーにおいて、ネガティブコントロール(アイソタイプコントロール)と比較してより強い蛍光を発する細胞が検出された場合、当該細胞は当該マーカーについて「陽性」と判定される。フローサイトメトリーによって解析した蛍光標識抗体について陽性を呈する細胞の比率は、陽性率と記載されることがある。また、蛍光標識抗体は、当該技術分野において公知の任意の抗体を使用することができ、例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、フィコエリスリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)等により標識された抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
細胞凝集塊を構成する細胞が多能性幹細胞である場合、多能性幹細胞マーカーを発現する及び/または多能性幹細胞マーカーが陽性を呈する細胞の割合(比率)は、例えば80%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、100%以下とすることができる。多能性幹細胞マーカーを発現する及び/または多能性幹細胞マーカーが陽性を呈する細胞の割合が前記範囲内である細胞凝集塊は未分化性が高く、より均質な細胞集団である。なお、多能性幹細胞マーカーは未分化マーカーと同義であり、両者は置き換えて使用することができる。
本発明の一以上の実施形態により製造される細胞凝集塊の寸法(「サイズ」ともいう)は特に限定されないが、顕微鏡で観察したとき、観察像での最も幅の広い部分の寸法の上限は例えば1000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下である。下限は例えば40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、100μm以上である。因みにヒトiPS細胞1個が約10μmの寸法である。このような寸法範囲の細胞凝集塊は、内部の細胞にも酸素や栄養成分が供給され易く細胞の増殖環境として好ましい。
本発明の一以上の実施形態により製造される細胞凝集塊の集団は、該集団を構成する細胞凝集塊のうち重量基準で例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上が上記の範囲の寸法を有することが好ましい。上記の範囲の寸法の細胞凝集塊を20%以上含む細胞凝集塊の集団では、個々の細胞凝集塊において、内部の細胞にも酸素や栄養成分が供給され易く細胞の増殖環境として好ましい。
本発明の一以上の実施形態により製造される細胞凝集塊の集団は、該集団を構成する細胞のうち生細胞の割合(生存率)が、例えば50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上であることが好ましい。上記の範囲の生存率の細胞凝集塊は、凝集状態を維持しやすく、細胞の増殖に好ましい状態である。
<3.培地>
本発明で用いる培地は、任意の動物細胞培養用培地を基礎培地とし、SRF阻害剤若しくはSRF阻害剤とROCK阻害剤、又はSRF阻害剤若しくはSRF阻害剤とROCK阻害剤を含む細胞凝集促進剤、及び、必要に応じて他の成分を適宜添加することにより調製することができる。本発明で用いる培地は細胞の浮遊培養に適したものであることが好ましく、典型的には、液体培地である。
基礎培地としては、BME培地、BGJb培地、CMRL1066培地、Glasgow MEM培地、Improved MEM Zinc Option培地、IMDM培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)、Medium 199培地、Eagle MEM培地、αMEM培地、DMEM培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、ハムF10培地、ハムF12培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、及びこれらの混合培地(例えば、DMEM/F12培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium/Nutrient Mixture F−12 Ham))等の培地を使用することができるが、特に限定されない。DMEM/F12培地としては特に、DMEM培地とハムF12培地とを好ましくは60/40以上40/60以下の重量比、より好ましくは55/45以上45/55以下の重量比、最も好ましくは等量(50/50の重量比)で混合した培地を用いる。
本発明で用いる培地は、好ましくは血清を含まない培地、すなわち無血清培地であるか又は血清代替品(Serum Replacement)を含む培地である。血清代替品の例としては、KnockOutTM Serum Replacement(KSR)(Gibco)を挙げることができる。
本発明で用いる培地は、より好ましくは、L−アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン及び炭酸水素ナトリウムから選択される少なくとも1つを含み、より好ましくはこれらの全部を含む。L−アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン、及び炭酸水素ナトリウムは、溶液、誘導体、塩又は混合試薬等の形態で培地に添加することができる。例えば、L−アスコルビン酸は、2−リン酸アスコルビン酸マグネシウムなどの誘導体の形態で培地に添加してもよい。セレンは亜セレン酸塩(亜セレン酸ナトリウムなど)の形態で培地に添加してもよい。インスリン及びトランスフェリンは、動物(好ましくは、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヤギ等)の組織又は血清等から分離した天然由来のものであってもよいし、遺伝子工学的に作製した組換えタンパク質であってもよい。インスリン、トランスフェリン、及びセレンは、試薬ITS(インスリン−トランスフェリン−セレン)の形態で培地に添加してもよい。ITSは、インスリン、トランスフェリン、及び亜セレン酸ナトリウムを含む、細胞増殖促進用の添加剤である。
L−アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン及び炭酸水素ナトリウムから選択される少なくとも1つを含む市販の培地を使用することができる。インスリン及びトランスフェリンを添加した市販の培地としては、CHO−S−SFM II(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、Hybridoma−SFM(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、eRDF Dry Powdered Media(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、UltraCULTURETM(BioWhittaker社)、UltraDOMATM(BioWhittaker社)、UltraCHOTM(BioWhittaker社)、UltraMDCKTM(BioWhittaker社)等を用いることができる。STEMPRO(登録商標) hESC SFM(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、mTeSR1(Veritas社)、TeSR2(Veritas社)なども好適に用いることができる。その他、ヒトiPS細胞やヒトES細胞の培養に使用されている培地も好適に使用することができる。
本発明で用いる培地は好ましくは少なくとも1つの増殖因子を含む。増殖因子としては、限定するものではないが、FGF2(Basic fibroblast growth factor−2)、TGF−β1(Transforming growth factor−β1)、Activin A、IGF−1、MCP−1、IL−6、PAI、PEDF、IGFBP−2、LIF及びIGFBP−7からなる群から選択される1つ以上を含むことが好ましい。特に好ましい増殖因子は、FGF2及び/又はTGF−β1である。
本発明で用いる培地として最も好ましいものは、後述するSRF阻害剤とROCK阻害剤以外の成分として、L−アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン及び炭酸水素ナトリウム、並びに、少なくとも1つの増殖因子を含む無血清培地であり、特に好ましくは、L−アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン及び炭酸水素ナトリウム、並びに、少なくとも1つの増殖因子(好ましくはFGF2及びTGF−β1)を含み、血清を含まないDMEM/F12培地である。このような培地としては、SRF阻害剤又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を添加した、Essential 8TM培地(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)が好適に使用できる。Essential 8TM培地は、ライフテクノロジーズジャパン株式会社から市販されている、DMEM/F12培地であるDMEM/F−12(HAM)1:1と、Essential 8TMサプリメント(L−アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン、炭酸水素ナトリウム、FGF2及びTGF−β1を含む)とを混合して調製することができる。
本発明で用いる培地は、脂肪酸又は脂質、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、ビタミン、サイトカイン、抗酸化剤、2−メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類、抗生剤等の更なる成分を含有してもよい。
抗生剤としては、ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB等を使用することができる。
<4.SRF阻害剤>
SRF阻害剤は、MADS(MCM1, Agamous, Deficiens, and SRF)ボックススーパーファミリーに属する転写因子である血清応答因子(SRF、serum response factor)の活性を阻害する物質として定義され、例えば、CCG−1423(N−[2−[4(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエトキシ]−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンズアミド)、CCG−1423アナログであるCCG−100602(1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−N−(4−クロロフェニル)−3−ピペリジンカルボキサミド)、CCG−203971(6−amino−1,4−dihydro−1,3−dimethyl−4−[4−(trifluoromethyl)phenyl]−pyrano[2,3−c]pyrazole−5−carbonitrile)、CCG−222740(参考文献:Yu−Wai−Man C et al. Local delivery of novel MRTF/SRF inhibitors prevents scar tissue formation in a preclinical model of fibrosis. Sci Rep. 2017 Mar 31;7(1):518)及びそれらの誘導体、並びにSRFに対するアンチセンス核酸、RNA干渉誘導性核酸(例えば、siRNA)、ドミナントネガティブ変異体、及びそれらの発現ベクターが挙げられる。
SRF阻害剤としては、1種又は2種以上のSRF阻害剤を使用することができる。
上記の、N−[2−[4(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエトキシ]−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンズアミドの構造式は以下の通りである。
Figure 2019131942
SRF阻害剤は、特に好ましくは、CCG−1423及びCCG−100602及びCCG−203971及びCCG−222740から選択される1以上であり、最も好ましくは、CCG−1423である。
<5.ROCK阻害剤>
ROCK阻害剤は、Rho−キナーゼ(ROCK,Rho−associated protein kinase)のキナーゼ活性を阻害する物質として定義され、例えば、Y−27632(4−[(1R)−1−アミノエチル]−N−ピリジン−4−イルシクロヘキサン−1−カルボキサミド又はその塩(例えば2塩酸塩))(例えば、Ishizaki et al., Mol. Pharmacol. 57, 976-983 (2000);Narumiya et al., Methods Enzymol. 325,273-284 (2000)参照)、H−1152((S)−(+)−2−メチル−1−[(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル]−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン又はその塩(例えば2塩酸塩))(例えば、Sasaki et al., Pharmacol. Ther. 93: 225-232 (2002)参照)、Fasudil/HA1077(1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン又はその塩(例えば2塩酸塩))(例えば、Uenata et al., Nature 389: 990-994 (1997)参照)、Wf−536((+)−(R)−4−(1−アミノエチル)−N−(4−ピリジル)ベンズアミド1塩酸塩)(例えば、Nakajima et al., CancerChemother. Pharmacol. 52(4): 319-324 (2003)参照)、Y39983(4−[(1R)−1−Aminoethyl]−N−1H−pyrrolo[2、3−b]pyridin−4-ylbenzamide dihydrochloride)、SLx−2119(2−[3−[4−(1H−indazol−5−ylamino)−2−quinazolinyl]phenoxy]−N−(1-methylethyl)−acetamide)、Azabenzimidazole−aminofurazans、DE−104、XD−4000、HMN−1152、4−(1−aminoalkyl)−N−(4−pyridyl)cyclohexane−carboxamides、Rhostatin、BA−210、BA−207, BA−215, BA−285, BA−1037、Ki−23095、VAS−012(例えば、James K. Liao et al., J Cardiovasc Pharmacol. 2007 Jul;50(1):17-24.)及びそれらの誘導体、並びにROCKに対するアンチセンス核酸、RNA干渉誘導性核酸(例えば、siRNA)、ドミナントネガティブ変異体、及びそれらの発現ベクターが挙げられる。また、ROCK阻害剤としては他の低分子化合物も知られており、本発明においてはこのような化合物又はそれらの誘導体もROCK阻害剤として使用できる(例えば、米国特許出願公開第20050209261号、同第20050192304号、同第20040014755号、同第20040002508号、同第20040002507号、同第20030125344号、同第20030087919号、及び国際公開第2003/062227号、同第2003/059913号、同第2003/062225号、同第2002/076976号、同第2004/039796号参照)。ROCK阻害剤としては、1種又は2種以上のROCK阻害剤を使用することができる。
上記の、4−[(1R)−1−アミノエチル]−N−ピリジン−4−イルシクロヘキサン−1−カルボキサミドの構造式は以下の通りである。
Figure 2019131942
また、上記の(S)−(+)−2−メチル−1−[(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル]−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピンの構造式は以下の通りである。
Figure 2019131942
ROCK阻害剤は、特に好ましくは、Y−27632及びH−1152から選択される1以上であり、最も好ましくは、Y−27632である。Y−27632及びH−1152は、それぞれ、水和物の形態で用いられてもよい。
<6.細胞の凝集を促進する方法>
本発明の一態様は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程(浮遊培養工程)を含む、細胞の凝集を促進する方法である。
本明細書において「細胞(の)凝集(を)促進(する)」とは、細胞凝集作用を促進し、それにより細胞凝集塊の形成又は増大を促進することをいう。本明細書において「細胞凝集促進剤」とは、細胞凝集を促進する効果を有する薬剤をいう。
本態様の方法は、浮遊培養工程を必須の工程として、維持培養工程並びに回収工程を選択工程として含む。以下、それぞれの工程について、説明をする。
(浮遊培養工程)
SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程(浮遊培養工程)の具体的な実施形態について説明する。
SRF阻害剤、ROCK阻害剤、培地及び細胞の具体的な実施形態は既述の通りである。
浮遊培養工程での培地中のSRF阻害剤の濃度は、細胞の凝集を促進することができるように、細胞の種類、細胞数、培地の種類等の諸条件に応じて適宜調整することができる。浮遊培養工程での培地中のSRF阻害剤の濃度は、例えばSRF阻害剤がCCG−1423(Cayman Chemical、CAS No.285986−881、C1814ClF、分子量=454.8)の場合、前記阻害剤の濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは、4.5ng/mL以上であり、より好ましくは45ng/mL以上、特に好ましくは450ng/mL以上、最も好ましくは1.1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上、15μg/mL以上、16μg/mL以上、17μg/mL以上、18μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは4.6mg/mL以下であり、より好ましくは460μg/mL以下、特に好ましくは46μg/mL以下、最も好ましくは19μg/mL以下である。また、前記阻害剤の濃度は、好ましくは4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である。浮遊培養工程での培地中のSRF阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、10nM以上が好ましく、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上、26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。一方、上限としては好ましくは10mM以下であり、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
また、浮遊培養工程での培地中のROCK阻害剤の濃度は、細胞の凝集を促進することができるように、細胞の種類、細胞数、培地の種類等の諸条件に応じて適宜調整することができる。浮遊培養工程での培地中のROCK阻害剤の濃度は、例えばROCK阻害剤がY−27632(和光純薬工業株式会社、CAS No.331752−47−7、C1421O・2HCl・HO、分子量=338.27)の場合、3.3ng/mL以上3.4mg/mL以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは3.3ng/mL以上であり、より好ましくは33ng/mL以上、特に好ましくは330ng/mL以上、最も好ましくは800ng/mL以上、1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは3.4mg/mL以下であり、より好ましくは340μg/mL以下、特に好ましくは34μg/mL以下、最も好ましくは14μg/mL以下である。浮遊培養工程での培地中のROCK阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限は、好ましくは10nM以上であり、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上、26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。上限としては、好ましくは10mM以下であり、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
浮遊培養工程は、仮に本発明のSRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤が培地中に存在しない場合には、細胞が、細胞凝集塊を形成することとなる条件下において浮遊培養を行う工程であることが好ましい。
浮遊培養工程に用いる培養容器は、好ましくは容器内面への細胞の接着性が低い容器が好ましい。このような容器内面への細胞の接着性が低い容器としては、例えば生体適合性がある物質で親水性表面処理されているようなプレートが挙げられる。例えば、NunclonTMSphera(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を培養容器として使用できるが特に限定はされない。
培養容器の形状は特に限定されないが、例えば、ディッシュ状、フラスコ状、ウェル状、バッグ状、スピナーフラスコ状等の形状の培養容器が挙げられる。
浮遊培養は静置培養であってもよいし、培地が流動する条件での培養(流動培養)であってもよいが、好ましくは流動培養である。流動培養としては、細胞の凝集を促進するように培地が流動する条件での培養が好ましい。細胞の凝集を促進するように培地が流動する条件での培養としては、例えば、旋回流、揺動流等の流れによる応力(遠心力、求心力)により細胞が一点に集まるように培地が流動する条件での培養や、直線的な往復運動により培地が流動する条件での培養が挙げられ、旋回培養法又は揺動培養法が特に好ましい。
「旋回培養法」(振盪培養法を含む)とは、旋回流による応力(遠心力、求心力)により細胞が一点に集まるように培地が流動する条件で培養する方法をいう。具体的には、細胞を含む培地を収容した培養容器を概ね水平面に沿って円、楕円、扁平した円、扁平した楕円等の閉じた軌道を描くように旋回させたり、培養容器は静置させたままでスターラ―バーや撹拌翼のような撹拌子を用いて容器内の培地を旋回させたりすることにより行う。後者は、例えば、撹拌翼の付いたスピナーフラスコ状の培養容器を用いることで達成し得る。そのような培養容器は市販されており、それらを利用することもできる。その場合、培地や培養液の量等は培養容器メーカー推奨の量で使用すればよい。
旋回培養法における旋回速度は特に限定されないが、上限は、好ましくは200rpm以下、より好ましくは150rpm以下、さらに好ましくは120rpm以下、より好ましくは115rpm以下、より好ましくは110rpm以下、より好ましくは105rpm以下、もっと好ましくは100rpm以下、より好ましくは95rpm以下、特に好ましくは90rpm以下とすることができる。下限は好ましくは1rpm以上、より好ましくは10rpm以上、さらに好ましくは50rpm以上、より好ましくは60rpm以上、より好ましくは70rpm以上、さらに好ましくは80rpm以上、もっと好ましくは90rpm以上とすることができる。旋回培養の際の旋回幅は特に限定されないが、下限は、例えば1mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上、最も好ましくは25mm以上とすることができる。旋回幅の上限は、例えば200mm以下、好ましくは100mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下、最も好ましくは25mm以下とすることができる。旋回培養の際の回転半径もまた特に限定されないが、好ましくは旋回幅が前記の範囲となるように設定される。回転半径の下限は例えば5mm以上、好ましくは10mm以上であり、上限は例えば100mm以下、好ましくは50mm以下とすることができる。旋回培養の条件をこの範囲とすることで、適切な寸法の細胞凝集塊を製造することが容易となるため好ましい。
「揺動培養法」とは、揺動(ロッキング)撹拌のような直線的な往復運動により培地に揺動流を付与する条件で培養する方法をいう。具体的には、細胞を含む培地を収容した培養容器を概ね水平面に垂直な平面内で揺動させることにより行う。揺動速度は特に限定されないが、例えば1往復を1回とした場合、下限は1分間に2回以上、4回以上、6回以上、8回以上、又は10回以上、一方、上限は1分間に15回以下、20回以下、25回以下、又は50回以下で揺動すればよい。揺動の際、垂直面に対して若干の角度、すなわち揺動角度を培養容器につけることが好ましい。揺動角度は特に限定されないが、例えば、下限は0°以上、1°以上、2°以上、4°以上、6°以上、又は8°以上、一方、上限は10°以下、12°以下、15°以下、18°以下又は20°以下とすることができる。揺動培養の条件をこの範囲とすることで、適切な寸法の細胞凝集塊を製造することが可能となるため好ましい。
更に、上記のような旋回と揺動とを組み合わせた運動により撹拌しながら培養することもできる。
スピナーフラスコ状の培養容器を用いた培養は、培養容器の中に攪拌翼を使用して、液体培地を攪拌しながら行う培養である。回転数や培地量は特に限定されない。市販のスピナーフラスコ状の培養容器であれば、細胞培養組成物の量として、メーカー推奨の量を好適に使用することができる。回転数は例えば10rpm以上、100rpm以下とすることができるが、特に限定されない。
浮遊培養における細胞の培地中での播種密度(浮遊培養の開始時の細胞密度)は適宜調整することができるが、下限として、例えば0.01×10個細胞/mL以上、より好ましくは0.1×10個細胞/mL以上、より好ましくは1×10個細胞/mL以上である。播種密度の上限としては、例えば20×10個細胞/mL以下、より好ましくは10×10個細胞/mL以下である。播種密度がこの範囲であるとき、適切な大きさの細胞凝集塊が形成され易い。例えば、0.1×10個細胞/mL、0.2×10個細胞/mL、0.3×10個細胞/mL、0.4×10個細胞/mL、0.5×10個細胞/mL、0.6×10個細胞/mL、0.7×10個細胞/mL、0.8×10個細胞/mL、0.9×10個細胞/mL、1×10個細胞/mL、1.5×10個細胞/mL、2×10個細胞/mL、3×10個細胞/mL、4×10個細胞/mL、5×10個細胞/mL、6×10個細胞/mL、7×10個細胞/mL、8×10個細胞/mL、9×10個細胞/mL、10×10個細胞/mLでも良い。
浮遊培養の際の細胞培養組成物の量は使用する培養容器によって適宜調整することができるが、例えば12ウェルプレート(1ウェルあたりの平面視でのウェル底面の面積が3.5cm)を使用する場合は0.5mL/ウェル以上、1.5mL/ウェル以下とすることができ、より好ましくは1.3mL/ウェルとすることができる。例えば6ウェルプレート(1ウェルあたりの平面視でのウェル底面の面積が9.6cm)を使用する場合は、1.5mL/ウェル以上、好ましくは2mL/ウェル以上、より好ましくは3mL/ウェル以上とすることができ、6.0mL/ウェル以下、好ましくは5mL/ウェル以下、より好ましくは4mL/ウェル以下とすることができる。例えば125mL三角フラスコ(容量が125mLの三角フラスコ)を使用する場合は、10mL/容器以上、好ましくは15mL/容器以上、より好ましくは20mL/容器以上、より好ましくは25mL/容器以上、より好ましくは20mL/容器以上、より好ましくは25mL/容器以上、より好ましくは30mL/容器以上とすることができ、50mL/容器以下、より好ましくは45mL/容器以下、より好ましくは40mL/容器以下とすることができる。例えば500mL三角フラスコ(容量が500mLの三角フラスコ)を使用する場合は、100mL/容器以上、好ましくは105mL/容器以上、より好ましくは110mL/容器以上、より好ましくは115mL/容器以上、より好ましくは120mL/容器以上とすることができ、150mL/容器以下、より好ましくは145mL/容器以下、より好ましくは140mL/容器以下、より好ましくは135mL/容器以下、より好ましくは130mL/容器以下、より好ましくは125mL/容器以下とすることができる。例えば1000mL三角フラスコ(容量が1000mLの三角フラスコ)を使用する場合は、250mL/容器以上、好ましくは260mL/容器以上、より好ましくは270mL/容器以上、より好ましくは280mL/容器以上、より好ましくは290mL/容器以上とすることができ、350mL/容器以下、より好ましくは340mL/容器以下、より好ましくは330mL/容器以下、より好ましくは320mL/容器以下、より好ましくは310mL/容器以下とすることができる。例えば2000mL三角フラスコ(容量が2000mLの三角フラスコ)の場合は、500mL/容器以上、より好ましくは550mL/容器以上、より好ましくは600mL/容器以上とすることができ、1000mL/容器以下、より好ましくは900mL/容器以下、より好ましくは800mL/容器以下、より好ましくは700mL/容器以下とすることができる。例えば3000mL三角フラスコ(容量が3000mLの三角フラスコ)の場合は、1000mL/容器以上、好ましくは1100mL/容器以上、より好ましくは1200mL/容器以上、より好ましくは1300mL/容器以上、より好ましくは1400mL/容器以上、より好ましくは1500mL/容器以上とすることができ、2000mL/容器以下、より好ましくは1900mL/容器以下、より好ましくは1800mL/容器以下、より好ましくは1700mL/容器以下、より好ましくは1600mL/容器以下とすることができる。例えば2L培養バッグ(容量が2Lのディスポーザブル培養バッグ)の場合は、100mL/バッグ以上、より好ましくは200mL/バッグ以上、より好ましくは300mL/バッグ以上、より好ましくは400mL/バッグ以上、より好ましくは500mL/バッグ以上、より好ましくは600mL/バッグ以上、より好ましくは700mL/バッグ以上、より好ましくは800mL/バッグ以上、より好ましくは900mL/バッグ以上、より好ましくは1000mL/バッグ以上とすることができ、2000mL/バッグ以下、より好ましくは1900mL/バッグ以下、より好ましくは1800mL/バッグ以下、より好ましくは1700mL/バッグ以下、より好ましくは1600mL/バッグ以下、より好ましくは1500mL/バッグ以下、より好ましくは1400mL/バッグ以下、より好ましくは1300mL/バッグ以下、より好ましくは1200mL/バッグ以下、より好ましくは1100mL/バッグ以下とすることができる。例えば10L培養バッグ(容量が10Lのディスポーザブル培養バッグ)の場合は、500mL/バッグ以上、より好ましくは1L/バッグ以上、より好ましくは2L/バッグ以上、より好ましくは3L/バッグ以上、より好ましくは4L/バッグ以上、より好ましくは5L/バッグ以上とすることができ、10L/バッグ以下、より好ましくは9L/バッグ以下、より好ましくは8L/バッグ以下、より好ましくは7L/バッグ以下、より好ましくは6L/バッグ以下とすることができる。例えば、20L培養バッグ(容量が20Lのディスポーザブル培養バッグ)の場合は、1L/バッグ以上、より好ましくは2L/バッグ以上、より好ましくは3L/バッグ以上、より好ましくは4L/バッグ以上、より好ましくは5L/バッグ以上、より好ましくは6L/バッグ以上、より好ましくは7L/バッグ以上、より好ましくは8L/バッグ以上、より好ましくは9L/バッグ以上、より好ましくは10L/バッグ以上とすることができ、20L/バッグ以下、より好ましくは19L/バッグ以下、より好ましくは18L/バッグ以下、より好ましくは17L/バッグ以下、より好ましくは16L/バッグ以下、より好ましくは15L/バッグ以下、より好ましくは14L/バッグ以下、より好ましくは13L/バッグ以下、より好ましくは12L/バッグ以下、より好ましくは11L/バッグ以下とすることができる。例えば50L培養バッグ(容量が50Lのディスポーザブル培養バッグ)の場合は、1L/バッグ以上、より好ましくは2L/バッグ以上、より好ましくは5L/バッグ以上、より好ましくは10L/バッグ以上、より好ましくは15L/バッグ以上、より好ましくは20L/バッグ以上、より好ましくは25L/バッグ以上とすることができ、50L/バッグ以下、より好ましくは45L/バッグ以下、より好ましくは40L/バッグ以下、より好ましくは35L/バッグ以下、より好ましくは30L/バッグ以下とすることができる。細胞培養組成物の量がこの範囲であるとき、適切な大きさの細胞凝集塊が形成され易い。
使用する培養容器の容量は適宜選択することができ特に限定されないが、液体培地を収容する部分の底面を平面視したときの面積として、下限が、例えば0.32cm以上、好ましくは0.65cm以上、より好ましくは0.65cm以上、さらに好ましくは1.9cm以上、もっと好ましくは3.0cm以上、3.5cm以上、9.0cm以上、又は9.6cm以上の培養容器を用いることができ、上限としては、例えば1000cm以下、好ましくは500cm以下、より好ましくは300cm以下、より好ましくは150cm以下、より好ましくは75cm以下、もっと好ましくは55cm以下、さらに好ましくは25cm以下、さらにより好ましくは21cm以下、さらにもっと好ましくは9.6cm以下、又は3.5cm以下の培養容器を用いることができる。
前記SRF阻害剤又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤の存在下での細胞の浮遊培養の温度、時間、CO濃度等の条件は特に限定されない。培養温度は好ましくは20℃以上、より好ましくは35℃以上、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下、最も好ましくは37℃である。培養時間は好ましくは0.5時間以上、より好ましくは12時間以上、好ましくは7日間以下、より好ましくは72時間以下、より好ましくは48時間以下、最も好ましくは24時間以下である。培養時のCO濃度としては、好ましくは4%以上、より好ましくは4.5%以上、好ましくは10%以下、より好ましくは5.5%以下、最も好ましくは5%である。また、本発明の細胞の凝集を促進する方法においては、浮遊培養工程中で継代操作を伴ってもよい。培養条件がこの範囲であるとき、適切な大きさの細胞凝集塊が形成され易い。また、適当な頻度で培地交換を行うことができる。培地交換の頻度は培養する細胞種によって異なるが、例えば、5日に1回以上、4日に1回以上、3日に1回以上、2日に1回以上、1日に1回以上で行えばよい。培地交換は、後述する回収工程と同様の方法で細胞を回収した後、新鮮な培地を添加し、穏やかに細胞凝集塊を分散させた後、再度培養すればよい。
浮遊培養工程で細胞の数をどこまで増やすか、また細胞の状態をどこに合わせるかについては、培養する細胞の種類、細胞凝集の目的、培地の種類や培養条件に応じて適宜定めればよい。
浮遊培養工程に用いる細胞は、予め維持培養工程により培養され、回収工程により回収され、必要に応じて単細胞化された細胞であることが好ましい。維持培養工程、回収工程、単細胞化については、後述する通りである。
浮遊培養工程後は、常法により培養液を廃棄し、細胞を回収する。この時、細胞は、剥離又は分散処理によって単一の細胞として回収することが好ましい。具体的な方法については、後述の回収工程で詳述する。回収した細胞は、そのまま、又は必要に応じてバッファ(PBSバッファを含む)、生食、又は培地(次の工程で使用する培地か基礎培地が好ましい)で洗浄後、次の工程に供すればよい。
(維持培養工程)
「維持培養工程」は、浮遊培養工程前の細胞集団、又は浮遊培養工程後、若しくはその後の回収工程後に得られる細胞凝集塊を、未分化性を維持した状態で細胞を増殖させるために培養する工程である。維持培養は、細胞を容器、担体等培養基材に接着させながら培養する接着培養であってもよいし、細胞を培地中で浮遊させながら培養する浮遊培養であってもよい。
維持培養工程では、当該分野で既知の動物細胞培養法により、対象となる細胞を培養すればよい。接着培養又は浮遊培養を問わない。
維持培養工程で使用する培地、細胞の具体的な実施形態は既述の通りである。
維持培養工程で使用する培養容器、細胞の播種密度、培養条件は、浮遊培養工程に関して既述の通りである。
維持培養工程における、培地の流動状態は問わない。静置培養でもよいし、流動培養でもよい。
「静置培養」とは、培養容器内で培地を静置した状態で培養することをいう。接着培養では、通常、この静置培養が採用される。
「流動培養」とは、培地を流動させる条件下で培養することをいう。流動培養の具体的な実施形態は、浮遊培養工程に関して既述の通りである。
維持培養工程で細胞の数をどこまで増やすか、また細胞の状態をどこに合わせるかについては、培養する細胞の種類、細胞凝集の目的、培地の種類や培養条件に応じて適宜定めればよい。
維持培養工程の好適な一態様は、SRF阻害剤又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤の存在下での浮遊培養工程により形成された細胞凝集塊を更に培養する維持培養工程である。この態様の維持培養工程での培養方法は特に限定されないが、例えばSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含まない培地中で細胞凝集塊を浮遊培養する工程が挙げられる。この維持培養に用いる培地としては、SRF阻害剤及びROCK阻害剤を含まない以外は上記と同様の培地を用いることができ、培養の条件としては浮遊培養工程と同様の条件を用いることができる。この態様の維持培養工程では、適当な頻度で培地交換を行うことが好ましい。培地交換の頻度は細胞種により異なるが、好ましくは5日に一回以上、より好ましくは4日に一回以上、さらに好ましくは3日に一回以上、もっと好ましくは2日に一回以上、最も好ましくは1日に一回以上の頻度で培地交換作業を含むことができる。この頻度の培地交換は、幹細胞の細胞凝集塊を培養する際に特に好適である。培地交換の方法は特に限定されないが、好ましくは細胞凝集塊を含む細胞培養組成物を遠沈管に全量回収し、遠心分離又は静置状態5分程度置き、沈降した細胞凝集塊を残して上清を除去し、その後、新鮮な培地を添加し、穏やかに細胞凝集塊を分散させた後、再度プレート等の培養容器に細胞凝集塊分散培地を戻すことで細胞凝集塊を継続して培養することができる。この態様の維持培養工程の培養期間は特に限定されないが、3日以上7日以下が好ましい。細胞凝集塊をSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含まない培地中で上記の条件において更に浮遊培養することにより、適切な寸法の細胞凝集塊を得ることができる。
維持培養工程後は、常法により培養液を廃棄し、細胞を回収する。この時、細胞は、剥離又は分散処理によって単一の細胞として回収することが好ましい。具体的な方法については、後述の回収工程で詳述する。回収した細胞は、そのまま、又は必要に応じてバッファ(PBSバッファを含む)、生食、又は培地(次の工程で使用する培地か基礎培地が好ましい)で洗浄後、次の工程に供すればよい。
(回収工程)
「回収工程」は、維持培養工程又は浮遊培養工程後の培養液から培養した細胞を回収する工程で、本発明の方法における選択工程である。
本明細書において「(細胞の)回収」とは、培養液と細胞とを分離して細胞を取得することをいう。細胞の回収方法は、当該分野の細胞培養法で使用される常法に従えばよく、特に限定はしない。細胞培養方法は、一般に浮遊培養方法と接着培養方法に大別できる。以下、それぞれの培養方法後の細胞の回収方法について説明をする。
(浮遊培養方法後の回収方法)
細胞を浮遊培養法で培養した場合、細胞は培養液中に浮遊した状態で存在する。したがって、細胞の回収は、静置状態又は遠心分離により上清の液体成分を除去することで達成できる。また、細胞の回収方法としてはフィルターや中空糸分離膜等を選択することもできる。
静置状態で液体成分を除去する場合、培養液の入った容器を静置状態5分程度置き、沈降した細胞や細胞凝集塊を残して上清を除去すればよい。また遠心分離は、遠心力によって細胞がダメージを受けない回転速度と処理時間で行えばよい。例えば、回転速度の下限は、細胞を沈降できれば特に限定はされないが、例えば500rpm以上、800rpm以上、又は1000rpm以上であればよい。一方、上限は細胞が遠心力によるダメージを受けない、又は受けにくい速度であればよく、例えば1400rpm以下、1500rpm以下、又は1600rpm以下であればよい。また処理時間の下限は、上記回転速度により細胞を沈降できる時間であれば特に限定はされないが、例えば30秒以上、1分以上、3分以上、又は5分以上であればよい。また、上限は、上記回転により細胞がダメージを受けない、又は受けにくい時間であればよく、例えば30秒以下、6分以下、8分以下、又は10分以下であればよい。回収した細胞は、必要に応じて洗浄することができる。洗浄方法は、限定しない。例えば前述の維持培養工程における工程後の洗浄方法と同様に行えばよい。洗浄液には、バッファ(PBSバッファを含む)、生食、又は培地(基礎培地が好ましい)を使用すればよい。
(接着培養後の回収方法)
接着培養法で細胞を培養した場合、培養後、多くの細胞は培養容器や培養担体等の外部マトリクスに接着した状態で存在する。したがって、培養容器から培養液を除去するには、培養後の容器を静かに傾けて液体成分を流し出せばよい。外部マトリクスに接着した細胞が培養容器内に残るため、培養液と細胞を容易に分離することができる。
その後、必要に応じて外部マトリクスに接着した細胞表面を洗浄することもできる。洗浄液には、バッファ(PBSバッファを含む)、生食、又は培地(基礎培地が好ましい)を使用すればよい。ただし、これらに限定はされない。洗浄後の洗浄液は、培養液と同様の操作で除去すればよい。この洗浄ステップは、複数回繰り返してもよい。
続いて、外部マトリクスに接着した細胞集団を外部マトリクスから剥離する。剥離方法は、当該分野で公知の方法で行えばよい。通常は、スクレ―ピング、タンパク質分解酵素を有効成分とする剥離剤、EDTA等のキレート剤、又は剥離剤とキレート剤の混合物等が使用される。
スクレ―ピングは、スクレーパー等を用いて外部マトリクスに付着した細胞を機械的手段によって剥ぎ取る方法である。ただし機械的操作により細胞が損傷を受けやすいため、回収後の細胞をさらなる培養に供する場合には、外部マトリクスに固着している細胞の足場部分を化学的に破壊又は分解し、外部マトリクスとの接着を解除する剥離方法が好ましい。
剥離方法では、剥離剤及び/又はキレート剤を使用する。剥離剤は限定しないが、例えば、トリプシン、コラゲナーゼ、プロナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼの他、市販のAccutase(商標登録)、TrypLETMExpress Enzyme(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、TrypLETM Select Enzyme(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、ディスパーゼ(商標登録)等を利用することができる。各剥離剤の濃度及び処理時間は、細胞の剥離又は分散で用いられる常法の範囲で使用すればよい。例えば、トリプシンの場合、溶液中の濃度の下限は、細胞を剥離できる濃度であれば特に限定はされないが、例えば0.01%以上、0.02%以上、0.03%以上、0.04%以上、0.05%以上、0.08%以上、又は0.10%以上であればよい。一方、溶液中の濃度の上限は、トリプシンの作用によって細胞そのものが溶解される等の影響を受けない濃度であれば特に限定はされないが、例えば0.15%以下、0.20%以下、0.25%以下、又は0.30%以下であればよい。また処理時間は、トリプシンの濃度によって左右されるものの、その下限はトリプシンの作用によって外部マトリクスから細胞が十分に剥離される時間であれば特に限定はされず、例えば1分以上、2分以上、3分以上、4分以上又は5分以上であればよい。一方、処理時間の上限は、トリプシンの作用によって細胞そのものが溶解される等の影響を受けない時間であれば特に限定はされず、例えば8分以下、10分以下、12分以下、15分以下、18分以下、又は20分以下であればよい。他の剥離剤又はキレート剤の場合も、概ね同様に行えばよい。なお、市販の剥離剤を使用する場合には、添付のプロトコルに記載の濃度及び処理時間で行うことができる。
外部マトリクスから剥離した細胞は、遠心分離により剥離剤を含む上清を除去する。遠心条件は、上記「浮遊培養方法後の回収方法」と同様でよい。回収した細胞は、必要に応じて洗浄することができる。洗浄方法も上記「浮遊培養方法後の回収方法」と同様に行えばよい。
本工程後に得られた細胞は、単層細胞片や細胞凝集塊等の細胞集合体を一部に包含し得る。一方、回収した細胞は、必要に応じて単一細胞化することもできる。
(単一細胞化)
本明細書において「単一細胞化」とは、単層細胞片や細胞凝集塊等のように複数の細胞が互いに接着又は凝集した細胞集合体を分散させて、単一の遊離した細胞状態にすることをいう。
単一細胞化は、上記の剥離方法で使用する剥離剤及び/又はキレート剤の濃度を高めにする、及び/又は剥離剤及び/又はキレート剤での処理時間を長くすればよい。例えば、トリプシンの場合、溶液中の濃度の下限は、細胞集合体を分散できる濃度であれば特に限定はされないが、例えば0.15%以上、0.18%以上、0.20%以上、又は0.24%以上であればよい。一方、溶液中の濃度の上限は、細胞そのものが溶解される等の影響を受けない濃度であれば特に限定はされないが、0.25%以下、0.28%以下、又は0.30%以下であればよい。また処理時間は、トリプシンの濃度によって左右されるものの、その下限は、トリプシンの作用によって細胞集合体が十分に分散される時間であれば特に限定はされず、例えば5分以上、8分以上、10分以上、12分以上、又は15分以上であればよい。一方、処理時間の上限は、トリプシンの作用によって細胞そのものが溶解される等の影響を受けない時間であれば特に限定はされず、例えば18分以下、20分以下、22分以下、25分以下、28分以下、又は30分以下であればよい。なお、市販の剥離剤を使用する場合には、添付のプロトコルに記載の、細胞を分散させて単一状態にできる濃度で使用すればよい。前記剥離剤及び/又はキレート剤による処理後に物理的に軽く処理することで、単一細胞化を促進できる。この物理的処理は限定しないが、例えば、細胞を溶液ごと複数回ピペッティングする方法が挙げられる。さらに、必要に応じて、細胞をストレーナーやメッシュに通過させてもよい。
単一細胞化した細胞は、静置又は遠心分離により剥離剤を含む上清を除去して回収することができる。回収した細胞は、必要に応じて洗浄してもよい。遠心分離の条件や洗浄方法については上記「浮遊培養方法後の回収方法」と同様に行えばよい。
<7.細胞凝集促進剤>
本発明の他の一態様は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む、細胞の浮遊培養に用いるための細胞凝集促進剤である。
本発明の細胞凝集促進剤は、浮遊培養系において細胞の凝集を適度に促進し、略均一な大きさの細胞凝集塊を形成するために用いることができる。本発明の細胞凝集促進剤を用いた幹細胞の浮遊培養では、幹細胞の未分化性を維持することができる。
本発明における細胞凝集促進剤の形態は特に限定されず、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤自体であってもよいし、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤と他の成分とを組み合わせた組成物であってもよい。前記組成物の形態は特に限定されない。前記組成物は例えば浮遊培養に用いる培地の形態であってもよいし、培地の調製時に配合される添加用組成物の形態であってもよい。
本発明における細胞凝集促進剤の好ましい実施形態は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含有する培地又はリン酸緩衝液等の緩衝液である。培地中のSRF阻害剤及びROCK阻害剤の濃度としては、<6.細胞の凝集を促進する方法>の欄にて浮遊培養に関して記載の培地中のSRF阻害剤及びROCK阻害剤の濃度が例示できる。
本発明における細胞凝集促進剤の別の好ましい実施形態は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を液状又は固形状媒体中に含有する液状又は固形状組成物である。前記液状又は固形状組成物は、浮遊培養用の培地を調製する際に添加される添加物である。この実施形態の細胞凝集促進剤は、調製される培地中でのSRF阻害剤及びROCK阻害剤の最終濃度が、<6.細胞の凝集を促進する方法>の欄にて浮遊培養に関して記載の培地中のSRF阻害剤及びROCK阻害剤の濃度となるように調製されていることが好ましい。この実施形態の細胞凝集促進剤中でのSRF阻害剤の濃度は特に限定されないが、好ましくは、SRF阻害剤の、浮遊培養時の培地中での好ましい濃度として挙げた前記濃度の1倍以上、より好ましくは2倍以上、より好ましくは10倍以上、より好ましくは100倍以上、より好ましくは1000倍以上、より好ましくは10000倍以上であり、具体的には、例えばSRF阻害剤がCCG−1423(Cayman Chemical、CAS No.285986−881、C1814ClF、分子量=454.8)の場合、9.0μg/mL以上10.0mg/mL以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは9.0μg/mL以上、10.0μg/mL以上、20.0μg/mL以上、30.0μg/mL以上、40.0μg/mL以上、50.0μg/mL以上、60.0μg/mL以上、70.0μg/mL以上、80.0μg/mL以上、90.0μg/mL以上、100.0μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは10.0mg/mL以下、9.0mg/mL以下、8.0mg/mL以下、7.0mg/mL以下、6.0mg/mL以下、5.0mg/mL以下、4.0mg/mL以下、3.0mg/mL以下、2.0mg/mL以下、1.0mg/mL以下、900.0μg/mL以下、800.0μg/mL以下、700.0μg/mL以下、600.0μg/mL以下、500.0μg/mL以下である。また、SRF阻害剤の濃度は、20μM以上20mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記SRF阻害剤の濃度の下限としては、例えば、20μM以上、200μM以上、0.05mM以上、0.1mM以上、0.2mM以上、0.3mM以上、0.4mM以上、0.5mM以上、0.6mM以上、0.7mM以上、0.8mM以上、0.9mM以上、1mM以上、2mM以上、3mM以上、4mM以上、5mM以上、6mM以上、7mM以上、8mM以上、9mM以上、10mM以上、11mM以上、12mM以上、13mM以上、14mM以上、15mM以上である。一方、上限としては、例えば20mM以下である。また、この実施形態の細胞凝集促進剤中でのROCK阻害剤の濃度は特に限定されないが、好ましくは、ROCK阻害剤の、浮遊培養時の培地中での好ましい濃度として挙げた前記濃度の1倍以上、より好ましくは2倍以上、より好ましくは10倍以上、より好ましくは100倍以上、より好ましくは1000倍以上、より好ましくは10000倍以上であり、具体的には、例えばROCK阻害剤がY−27632(和光純薬工業株式会社、CAS No.331752−47−7、C1421O・2HCl・HO、分子量=338.27)の場合、6.7μg/mL以上14.0mg/mL以下の範囲であることが特に好ましい。例えば、6.7mg/mLでも良い。前記濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは6.7μg/mL以上、7.0μg/mL以上、8.0μg/mL以上、9.0μg/mL以上、10.0μg/mL以上、20.0μg/mL以上、30.0μg/mL以上、40.0μg/mL以上、50.0μg/mL以上、60.0μg/mL以上、70.0μg/mL以上、80.0μg/mL以上、90.0μg/mL以上、100.0μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは14.0mg/mL以下、13.0mg/mL以下、12.0mg/mL以下、11.0mg/mL以下、10.0mg/mL以下、9.0mg/mL以下、8.0mg/mL以下、7.0mg/mL以下、6.0mg/mL以下、5.0mg/mL以下、4.0mg/mL以下、3.0mg/mL以下、2.0mg/mL以下、1.0mg/mL以下、900.0μg/mL以下、800.0μg/mL以下、700.0μg/mL以下、600.0μg/mL以下、500.0μg/mL以下である。また、ROCK阻害剤の濃度は、20μM以上40mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記ROCK阻害剤の濃度の下限としては、例えば20μM以上、200μM以上、0.5mM以上、0.6mM以上、0.7mM以上、0.8mM以上、0.9mM以上、1mM以上、2mM以上、3mM以上、4mM以上、5mM以上、6mM以上、7mM以上、8mM以上、9mM以上、10mM以上、11mM以上、12mM以上、13mM以上、14mM以上、15mM以上、16mM以上、17mM以上、18mM以上、19mM以上、20mM以上である。一方、上限としては、例えば40mM以下、30mM以下である。
細胞凝集促進剤は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤に加えて、溶媒及び/又は賦形剤等を含有してもよい。溶媒としては、水、バッファ(PBSを含む)、生食、有機溶媒(DMSO、DMF、キシレン、低級アルコール)等が挙げられる。賦形剤としては、抗生剤、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、保存剤、抗酸化剤等が挙げられる。抗生剤は特に限定されないが、例えばペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB等を使用することができる。緩衝剤としては、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、グリシン緩衝液などが挙げられる。増粘剤としては、ゼラチン、多糖類などが挙げられる。着色剤としては、フェノールレッドなどが挙げられる。安定化剤としては、アルブミン、デキストラン、メチルセルロース、ゼラチンなどが挙げられる。界面活性剤としては、コレステロール、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルモノグリセリルエーテル、グルコシド、マルトシド、ネオペンチルグリコール系、ポリオキシエチレングリコール系、チオグルコシド、チオマルトシド、ペプチド、サポニン、リン脂質、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙がられる。防腐剤としては、アミノエチルスルホン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、カンテン、dl−カンフル、クエン酸、クエン酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、ジブチルヒドロキシトルエン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、窒素、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、2−ナフトール、白糖、ハチミツ、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、l−メントール、ユーカリ油などが挙げられる。保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸、グリセリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、D−ソルビトール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコール、リン酸などが挙げられる。抗酸化剤としては、クエン酸、クエン酸誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、リコペン、ビタミンA、カロテノイド類、ビタミンBおよびその誘導体、フラボノイド類、ポリフェノール類、グルタチオン、セレン、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンEおよびその誘導体、αリポ酸およびその誘導体、ピクノジェノール、フラバンジェノール、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン還元酵素、カタラーゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、およびこれらの混合物などが挙げられる。
細胞凝集促進剤は、増殖因子を含有してもよく、好ましくはFGF2及びTGF−β1の1種以上の増殖因子を含有していることが好ましい。
<8.細胞凝集塊の製造方法、及び、それにより製造された細胞凝集塊>
本発明の他の一態様は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法である。
この方法によれば、適度な寸法の細胞凝集塊を、高収量で製造することができる。特に、細胞が幹細胞である場合、幹細胞の未分化性の維持された、適度な寸法の細胞凝集塊を、高収量で製造することができる。
SRF阻害剤、ROCK阻害剤、培地及び細胞の具体的な実施形態は既述の通りである。
前記工程での培地中のSRF阻害剤の濃度は、例えばSRF阻害剤がCCG−1423(Cayman Chemical、CAS No.285986−881、C1814ClF、分子量=454.8)の場合、前記阻害剤の濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは4.5ng/mL以上、より好ましくは45ng/mL以上、特に好ましくは450ng/mL以上、最も好ましくは1.1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上、15μg/mL以上、16μg/mL以上、17μg/mL以上、18μg/mL以上、19μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは4.6mg/mL以下、より好ましくは460μg/mL以下、特に好ましくは46μg/mL以下、40μg/mL以下、30μg/mL以下、20μg/mL以下である。また、前記阻害剤の濃度は、好ましくは4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である。前記工程での培地中のSRF阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上、26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。一方、上限としては、好ましくは10mM以下、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
また、前記工程での培地中のROCK阻害剤の濃度は、例えばROCK阻害剤がY−27632(和光純薬工業株式会社、CAS No.331752−47−7、C1421O・2HCl・HO、分子量=338.27)の場合、3.3ng/mL以上3.4mg/mL以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは3.3ng/mL以上、より好ましくは33ng/mL以上、特に好ましくは330ng/mL以上、最も好ましくは800ng/mL以上、1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは3.4mg/mL以下、より好ましくは340μg/mL以下、特に好ましくは34μg/mL以下、最も好ましくは14μg/mL以下である。前記工程での培地中のROCK阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限は、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上,26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。上限としては、好ましくは10mM以下、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
前記工程の具体的な実施形態は、<6.細胞の凝集を促進する方法>の欄で説明した、細胞の凝集を促進する方法における「SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程」の具体的な実施形態と同様である。
本発明の他の一態様は、前記の細胞凝集塊の製造方法により得られた細胞凝集塊である。
本発明のこの態様に係る細胞凝集塊は適度な寸法を有し、生細胞率が高い。また、細胞が幹細胞である場合、細胞凝集塊を構成する細胞が未分化性を維持している。
本発明のこの態様に係る細胞凝集塊は、好ましくは、<2.細胞凝集塊>の欄に記載の特徴を備える。
また、本発明の細胞凝集塊を製造する方法は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する浮遊培養工程の他に、適宜任意の工程を含むことができる。前記任意の工程としては、例えば維持培養工程、細胞凝集塊の回収工程である。さらに、前記浮遊培養は継代操作を含んでいてもよい。維持培養工程及び回収工程の好適な実施形態は、<6.細胞の凝集を促進する方法>の欄で説明した維持培養工程及び回収工程と同様である。
<9.細胞培養組成物>
本発明の他の一態様は、細胞と、培地と、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤とを含む、細胞培養組成物である。
本発明のこの態様に係る細胞培養組成物は、細胞凝集塊を高収量で製造するために用いることができる。特に、細胞が幹細胞である場合、幹細胞の未分化性の維持された、適度な寸法の細胞凝集塊を、高収量で製造するために用いることができる。
また、本発明のこの態様に係る細胞培養組成物は、細胞を細胞凝集塊の形態で含んでもよい。
SRF阻害剤、ROCK阻害剤、培地、細胞及び細胞凝集塊の具体的な実施形態は既述の通りである。
本発明のこの態様に係る細胞培養組成物中のSRF阻害剤の濃度は、例えばSRF阻害剤がCCG−1423(Cayman Chemical、CAS No.285986−881、C1814ClF、分子量=454.8)の場合、前記阻害剤の濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは4.5ng/mL以上、より好ましくは45ng/mL以上、特に好ましくは450ng/mL以上、最も好ましくは1.1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上、15μg/mL以上、16μg/mL以上、17μg/mL以上、18μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは4.6mg/mL以下、より好ましくは460μg/mL以下、特に好ましくは46μg/mL以下、最も好ましくは19μg/mL以下である。また、前記阻害剤の濃度は、好ましくは4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である。本発明のこの態様に係る細胞培養組成物中のSRF阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上,26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。一方、上限としては、好ましくは10mM以下、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
また、本発明のこの態様に係る細胞培養組成物中のROCK阻害剤の濃度は、例えばROCK阻害剤がY−27632(和光純薬工業株式会社、CAS No.331752−47−7、C1421O・2HCl・HO、分子量=338.27)の場合、3.3ng/mL以上3.4mg/mL以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは3.3ng/mL以上、より好ましくは33ng/mL以上、特に好ましくは330ng/mL以上、最も好ましくは800ng/mL以上、1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは3.4mg/mL以下、より好ましくは340μg/mL以下、特に好ましくは34μg/mL以下、最も好ましくは14μg/mL以下である。本発明のこの態様に係る細胞培養組成物中のROCK阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限は、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上,26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。上限としては、好ましくは10mM以下、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
前記細胞培養組成物から細胞凝集塊を製造する工程としては、前記細胞培養組成物中で細胞を浮遊培養する工程が挙げられる。この工程の具体的な実施形態は、<6.細胞の凝集を促進する方法>の欄で説明した、細胞の凝集を促進する方法における「SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程」の具体的な実施形態と同様である。
前記細胞培養組成物は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を培地に添加した後に細胞を添加することにより調製してもよいし、細胞を培地に混合した後にSRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を添加することにより調製してもよいが、好ましくはSRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を培地に添加した後に細胞を添加することにより調製する。SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を培地に添加する際、安定化剤を添加することもできる。前記安定化剤は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤の液体培地中での安定化、活性維持、培養容器等への吸着防止等に寄与する物質であれば特に限定されないが、アルブミン等のタンパク質、乳化剤、界面活性剤、両親媒性物質、或いは、ヘパリン等の多糖類等を使用することができる。
前記細胞培養組成物は、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地(前記安定化剤を更に含んでいても良い)を凍結して保存し、その後に解凍してから細胞を添加することにより調製してもよい。
<10.細胞培養培地>
本発明の他の一態様は、培地と、SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤とを含む、細胞培養培地である。
本発明のこの態様に係る細胞培養培地は、浮遊培養により細胞から細胞凝集塊を高収量で製造するための培地として用いることができる。特に、細胞が幹細胞である場合、幹細胞の未分化性の維持された、適度な寸法の細胞凝集塊を、高収量で製造するために用いることができる。
SRF阻害剤、ROCK阻害剤、培地及び細胞の具体的な実施形態は既述の通りである。
本発明のこの態様に係る細胞培養培地中のSRF阻害剤の濃度は、例えばSRF阻害剤がCCG−1423(Cayman Chemical、CAS No.285986−881、C1814ClF、分子量=454.8)の場合、前記阻害剤の濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは4.5ng/mL以上、より好ましくは45ng/mL以上、特に好ましくは450ng/mL以上、最も好ましくは1.1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上、15μg/mL以上、16μg/mL以上、17μg/mL以上、18μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは4.6mg/mL以下、より好ましくは460μg/mL以下、特に好ましくは46μg/mL以下、最も好ましくは19μg/mL以下である。また、前記阻害剤の濃度は、好ましくは4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である。本発明のこの態様に係る細胞培養培地中のSRF阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上,26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。一方、上限としては、好ましくは10mM以下、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
また、本発明のこの態様に係る細胞培養培地中のROCK阻害剤の濃度は、例えばROCK阻害剤がY−27632(和光純薬工業株式会社、CAS No.331752−47−7、C1421O・2HCl・HO、分子量=338.27)の場合、3.3ng/mL以上3.4mg/mL以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限としては、細胞凝集促進効果を奏すれば特に限定されないが、好ましくは3.3ng/mL以上、より好ましくは33ng/mL以上、特に好ましくは330ng/mL以上、最も好ましくは800ng/mL以上、1μg/mL以上、2μg/mL以上、3μg/mL以上、4μg/mL以上、5μg/mL以上、6μg/mL以上、7μg/mL以上、8μg/mL以上、9μg/mL以上、10μg/mL以上、11μg/mL以上、12μg/mL以上、13μg/mL以上、14μg/mL以上である。一方、上限としては、細胞が死滅しない濃度であれば特に限定されないが、好ましくは3.4mg/mL以下、より好ましくは340μg/mL以下、特に好ましくは34μg/mL以下、最も好ましくは14μg/mL以下である。本発明のこの態様に係る細胞培養培地中のROCK阻害剤の濃度はまた、10nM以上、10mM以下の範囲であることが特に好ましい。前記濃度の下限は、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、特に好ましくは1μM以上、最も好ましくは2.5μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、11μM以上、12μM以上、13μM以上、14μM以上、15μM以上、16μM以上、17μM以上、18μM以上、19μM以上、20μM以上、21μM以上、22μM以上、23μM以上、24μM以上、25μM以上,26μM以上、27μM以上、28μM以上、29μM以上、30μM以上、31μM以上、32μM以上、33μM以上、34μM以上、35μM以上、36μM以上、37μM以上、38μM以上、39μM以上である。上限としては、好ましくは10mM以下、より好ましくは1mM以下、特に好ましくは100μM以下、最も好ましくは40μM以下である。
前記細胞培養培地から細胞凝集塊を製造する工程としては、前記細胞培養培地中で細胞を浮遊培養する工程が挙げられる。この工程の具体的な実施形態は、<6.細胞の凝集を促進する方法>の欄で説明した、細胞の凝集を促進する方法における「SRF阻害剤、又はSRF阻害剤及びROCK阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程」の具体的な実施形態と同様である。
前記細胞培養培地は、使用前まで凍結して保存し、使用時に解凍して使用することができる。
<実施例1.ヒトiPS細胞の維持培養>
ヒトiPS細胞として、TkDN4−M株(東京大学医科学研究所)を使用した。Vitronectin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)をコートした細胞培養用ディッシュ上にヒトiPS細胞を播種し、培地はEssential 8TM(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を使用して維持培養した。継代時の細胞剥離剤としては、Accutase(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いた。また、細胞播種時のみ、Y−27632(和光純薬工業株式会社)を10μMの濃度になるように培地に添加した。培地交換は毎日実施した。実験には継代数50回までのヒトiPS細胞を使用した。
<実施例2.細胞凝集アッセイによる凝集促進効果の確認>
SRF阻害剤添加による細胞の凝集促進効果について検討した。
(方法)
実施例1の手順で培養したヒトiPS細胞をAccutaseで3分間から5分間処理して剥離し、単細胞まで分散した。この細胞を最終濃度5mg/mLのBSA(和光純薬工業株式会社)および最終濃度2.5μMのY−27632(和光純薬工業株式会社)を含むEssential 8TM培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して細胞数を調べた。1mLあたり2×10個の細胞を含むように調製した。別途CCG−1423(Cayman、10010350)を最終濃度4・55mg/mL(10mM)になるように細胞凝集促進剤を調整し、前記調整した細胞凝集促進剤を前記細胞懸濁液にCCG−1423の最終濃度が10μMとなるように添加した上で、浮遊培養用12ウェルプレート(住友ベークライト株式会社)に1.3mL/ウェルの割合で播種した。細胞を播種したプレートは、ロータリーシェーカー(株式会社オプティマ)上で90 rpmのスピードで水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回培養し、5%CO、37℃の環境下で浮遊培養を行った。コントロール試験として、CCG−1423を添加していない以外は上記と同様に調製した細胞懸濁液を用いた条件での試験を行った。
培養を開始して翌日(培養1日目)に位相差顕微鏡にて画像を取得した。
また、Cytotoxicity LDH Assay Kit−WST(株式会社同仁化学研究所)を用いて、死細胞数を算出した。
(結果)
上記浮遊培養後(培養1日目)の顕微鏡観察像を図1に示す。観察の結果、コントロール試験(0μM CCG−1423)に比べて、CCG−1423を添加した条件では比較的大きな凝集塊を形成しており、凝集が促進されていた。死細胞数を調べた結果、コントロール試験(0μM CCG−1423)に比べて、CCG−1423を添加した条件では死細胞数が減少していた(図2)。
<実施例3.CCG−1423存在条件での凝集塊形成後の細胞増殖能、未分化能への影響>
ヒトiPS細胞の浮遊培養を行いグルコース消費量、細胞収量、未分化マーカーの陽性率を測定し、CCG−1423が与える細胞への影響を解析した。
(方法)
実施例2と同様に細胞懸濁液を調製し、別途CCG−1423(同上)を最終濃度4・55mg/mL(10mM)になるように細胞凝集促進剤を調整し、前記調整した細胞凝集促進剤を前記細胞懸濁液にCCG−1423の最終濃度が10μMとなるように添加した上で、浮遊培養用6ウェルプレート(住友ベークライト株式会社)に4mL/ウェルの割合で播種した。細胞を播種したプレートは、ロータリーシェーカー(株式会社オプティマ)上で90 rpmのスピードで水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回培養し、5%CO、37℃の環境下で浮遊培養を行った。培養翌日(培養1日目)以降、毎日新鮮な培地(最終濃度5mg/mLのBSA(和光純薬工業株式会社)を含むEssential 8TM培地)に培地交換し、培養5日後まで培養を続けた。コントロール試験として、CCG−1423およびY−27632を含まない培地で同様に培養した。培養中、毎日位相差顕微鏡により画像を取得とした。培養1日目に取得した画像中の208個の細胞凝集塊を観察し、顕微鏡写真のスケールと比較して各細胞凝集塊の最も広い部分の幅(「φ」とする)を求め、その分布を調べ、平均値±標準偏差を算出した。培地交換時に回収した培養上清に含まれるグルコースの濃度を、バイオセンサーBF−5iD(王子計測機器株式会社)で測定し、グルコース消費量を計算した。
また、培養5日目に細胞凝集塊を回収し、Accutaseにより分散後、5mg/mLのBSAを含むEssential 8TM培地で懸濁した。この細胞懸濁液の一部をトリパンブルー染色して細胞数を調べた。上記細胞懸濁液を300gで3分間遠心分離後、上清を取り除き、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で細胞を洗浄した。その後、4%パラホルムアルデヒド(和光純薬工業株式会社)により室温で20分間固定後、PBSで3回洗浄し、300μLのPBSで細胞を再懸濁後、ボルテックスで攪拌しながら冷メタノール3mLを添加し、−20℃で一晩以上透過処理を行った。3%FBS(ウシ胎仔血清)/PBSで3回洗浄後、3%FBS(ウシ胎仔血清)/PBSにより細胞を再懸濁して室温で30分から1時間ブロッキングした。その後、蛍光標識抗SOX2抗体(Cat.No.656110、Biolegend社)及び蛍光標識抗OCT4抗体(Cat.No.653703、Biolegend社)及び蛍光標識抗Nanog抗体(Cat.No.674010、Biolegend社)により4℃で30分から1時間染色した。3%FBS(ウシ胎仔血清)/PBSで1回洗浄後、セルストレーナーに通過させた細胞をFACSVerseにて解析した。コントロール試験として、上記3種の抗体(蛍光標識済抗SOX2抗体、蛍光標識抗OCT4抗体、蛍光標識抗Nanog抗体)の代わりに上記3種の各抗体に対応した3種の蛍光標識済アイソタイプコントロール抗体(Cat.No.400129、Cat.No.400314、Cat.No.400136;Biolegend社)を反応させた以外は同様に処理した細胞を用いた。
また、培養5日目に細胞収量を測定した。細胞収量の測定は次の手順で行った。すなわち、形成した細胞凝集塊をAccutaseで5分から10分処理し、ブルーチップでのピペッティングによって細胞を単分散させ、トリパンブルー染色した後、血球計算盤を用いて細胞数を係数し、細胞収量を測定した。
(結果)
図3は培養1日目から5日目に観察した顕微鏡写真である。CCG−1423を添加した条件では播種後から培養1日目にかけて細胞凝集塊が形成されており、培養を継続することで徐々に細胞が増殖し、細胞凝集塊が大きくなった。
図7はCCG−1423を添加した条件下での培養1日目の細胞凝集塊サイズ(直径)の分布図である。また、以下の表1にはCCG−1423を添加した条件下での培養1日目のある一定サイズ別の細胞凝集塊の個数およびその割合を示す。
CCG−1423を添加した条件下での培養1日目の細胞凝集塊サイズ(直径)の平均値±標準偏差を算出した結果、171.3±22.8μmであった。
また、CCG−1423を添加した条件下での培養1日目において、細胞凝集塊全個数に対する、細胞凝集塊サイズ(直径)が40μm以上300μm以下となる細胞凝集塊の割合は100%であった。そのうち、前記細胞凝集塊サイズ(直径)が60μm以上300μm以下となる細胞凝集塊の割合は99.5%であり、前記細胞凝集塊サイズ(直径)が80μm以上300μm以下となる細胞凝集塊の割合は98.5%であり、前記細胞凝集塊サイズ(直径)が100μm以上300μm以下となる細胞凝集塊の割合は98.5%であった。
Figure 2019131942
グルコース消費量を図4に、培養5日目の細胞収量を図5にそれぞれ示す。CCG−1423を添加した条件では、グルコース消費量は日々増加し、細胞が増殖していることが示唆され、培養5日目には播種細胞数(8×10個/ウェル)のおよそ8.5倍に増殖していることが明らかになった。
未分化マーカーの陽性率の測定結果を図6に示す。CCG−1423を含む培地で細胞凝集塊を作製し、その後も浮遊培養にて増殖した細胞において、マーカーであるSOX2陽性細胞が99%以上、OCT4陽性細胞が97%以上、Nanog陽性細胞が99%以上であり、CCG−1423添加によって形成されたヒトiPS細胞の凝集塊は未分化性を維持していることが確認された。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (17)

  1. SRF阻害剤を含む、細胞の浮遊培養に用いるための細胞凝集促進剤。
  2. 前記SRF阻害剤の濃度が9.0μg/mL以上10.0mg/mL以下である、請求項1に記載の細胞凝集促進剤。
  3. さらにROCK阻害剤を含む、請求項1又は2に記載の細胞凝集促進剤。
  4. 前記SRF阻害剤がCCG−1423である、請求項1から3のいずれか1項に記載の細胞凝集促進剤。
  5. 前記細胞が幹細胞である、請求項1から4のいずれか1項に記載の細胞凝集促進剤。
  6. SRF阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法。
  7. 前記培地中における前記SRF阻害剤の濃度が4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である、請求項6に記載の製造方法。
  8. さらに、前記培地中にROCK阻害剤を含む、請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 前記SRF阻害剤がCCG−1423である、請求項6から8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記細胞が幹細胞である、請求項6から9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 請求項6から10のいずれか1項に記載の製造方法により得られた細胞凝集塊。
  12. 細胞と、培地と、SRF阻害剤とを含む、細胞培養組成物。
  13. 前記SRF阻害剤の濃度が4.5ng/mL以上4.6mg/mL以下である、請求項12に記載の細胞培養組成物。
  14. さらにROCK阻害剤を含む、請求項12又は13に記載の細胞培養組成物。
  15. 前記SRF阻害剤がCCG−1423である、請求項12から14のいずれか1項に記載の細胞培養組成物。
  16. 前記細胞が幹細胞である、請求項12から15のいずれか1項に記載の細胞培養組成物。
  17. 前記細胞の形態が細胞凝集塊である、請求項12から16のいずれか1項に記載の細胞培養組成物。
JP2019562204A 2017-12-28 2018-12-27 細胞凝集促進剤 Active JP7349911B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254688 2017-12-28
JP2017254688 2017-12-28
PCT/JP2018/048314 WO2019131942A1 (ja) 2017-12-28 2018-12-27 細胞凝集促進剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019131942A1 true JPWO2019131942A1 (ja) 2020-12-17
JP7349911B2 JP7349911B2 (ja) 2023-09-25

Family

ID=67063755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019562204A Active JP7349911B2 (ja) 2017-12-28 2018-12-27 細胞凝集促進剤

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20210062159A1 (ja)
EP (1) EP3733837A4 (ja)
JP (1) JP7349911B2 (ja)
CN (1) CN111527197A (ja)
WO (1) WO2019131942A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11905261B1 (en) 2023-08-28 2024-02-20 King Faisal University 3-(4-methoxyphenyl)-5-{[5-methyl-2-(propan-2-yl)phenoxy]methyl}-1,2,4-oxadiazole as an antitumor and antimicrobial compound
US11884637B1 (en) 2023-08-28 2024-01-30 King Faisal University 3-(4-chlorophenyl)-5-{[5-methyl-2-(propan-2-yl)phenoxy]methyl}-1,2,4-oxadiazole as an antitumor and antimicrobial compound

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016121737A1 (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 株式会社カネカ 細胞凝集塊の作製方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE353889T1 (de) 2001-03-23 2007-03-15 Bayer Pharmaceuticals Corp Rho-kinase inhibitoren
PE20021011A1 (es) 2001-03-23 2003-02-01 Bayer Corp Derivados quinazolinicos como inhibidores de la rho-quinasa
EP1465900B1 (en) 2002-01-10 2008-05-14 Bayer HealthCare AG Rho-kinase inhibitors
JP4469179B2 (ja) 2002-01-23 2010-05-26 バイエル ファーマセチカル コーポレーション Rhoキナーゼ阻害剤としてのピリミジン誘導体
US6943172B2 (en) 2002-01-23 2005-09-13 Bayer Pharmaceuticals Corporation Rho-kinase inhibitors
JP2003304866A (ja) 2002-04-17 2003-10-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 三次元凝集塊形成による細胞の分化制御
EP1562935B1 (de) 2002-10-28 2006-09-06 Bayer HealthCare AG Heteroaryloxy-substituierte phenylaminopyrimidine als rho-kinaseinhibitoren
US8003606B2 (en) * 2008-06-06 2011-08-23 Joslin Diabetes Center, Inc. Inhibiting serum response factor (SRF) to improve insulin sensitivity
WO2011035143A2 (en) * 2009-09-17 2011-03-24 The Regents Of The University Of Michigan Methods and compositions for inhibiting rho-mediated diseases and conditions
US20140329317A1 (en) 2011-11-25 2014-11-06 Kyoto University Method for culturing pluripotent stem cell
US9629851B2 (en) * 2013-09-20 2017-04-25 Stitching Het Nederlands Kanker Institut—Antoni Van Leeuwenhoek Ziekenhuis ROCK in combination with MAPK pathway
WO2015066189A2 (en) * 2013-10-29 2015-05-07 Cornell University Modification of nuclear actin by mical-2 regulates srf signaling
CN106924231A (zh) * 2017-03-24 2017-07-07 南方医科大学南方医院 Ccg‑1423在制备治疗胃癌的药物中的用途

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016121737A1 (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 株式会社カネカ 細胞凝集塊の作製方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ONCOGENE, vol. 31, no. 16, JPN6019011576, 19 April 2012 (2012-04-19), pages 2075 - 2089, ISSN: 0005038485 *
PLOS ONE, vol. 9, no. 5, JPN6019011574, 8 May 2014 (2014-05-08), pages 96426 - 1, ISSN: 0005038484 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019131942A1 (ja) 2019-07-04
EP3733837A1 (en) 2020-11-04
EP3733837A4 (en) 2021-10-06
JP7349911B2 (ja) 2023-09-25
CN111527197A (zh) 2020-08-11
US20210062159A1 (en) 2021-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7336386B2 (ja) 多能性幹細胞凝集抑制剤
JP6238265B2 (ja) 細胞凝集塊の作製方法
JP5924750B2 (ja) Cd82陽性心筋前駆細胞
WO2021162090A1 (ja) 多能性幹細胞の分化抑制方法
AU2017377309B2 (en) Mammalian cell cryopreservation liquid
WO2022124298A1 (ja) 多能性幹細胞集団を製造する製造方法
JP2022552230A (ja) 間葉系幹細胞貯蔵または輸送製剤、およびその作製および使用方法
JP7349911B2 (ja) 細胞凝集促進剤
JP7446619B2 (ja) 輸送溶液によって間葉系幹細胞を輸送する方法および幹細胞を創傷に投与する方法
WO2020203532A1 (ja) 多能性幹細胞の製造方法
WO2020203538A1 (ja) 多能性幹細胞を含む細胞集団及びその製造方法
JP7257333B2 (ja) 細胞凝集抑制剤
JP7477983B2 (ja) 細胞凝集抑制剤
JP7518628B2 (ja) 細胞凝集促進剤
JP2021126065A (ja) 細胞凝集促進剤
WO2023017806A1 (ja) 多能性幹細胞の製造方法
WO2023149495A1 (ja) 人工多能性幹細胞の製造方法
TW201734206A (zh) 高機能肝細胞及其利用
JP2019118279A (ja) 細胞凝集促進剤
JP2023173802A (ja) 細胞凝集塊組成物の製造方法
JP2023114300A (ja) 人工多能性幹細胞の製造方法
JP2022151854A (ja) 多能性幹細胞集団の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230912

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7349911

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150