JPWO2019087982A1 - 樹脂組成物及び樹脂シート - Google Patents

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Abstract

難燃性に優れ、着色し難く、また、リン系化合物のブリードアウトに起因したベタツキを抑制できる樹脂組成物を提供する。本発明に係る樹脂組成物は、プロピレン系樹脂と、下記式(1)で表されるNOR型光安定剤と、融点が100〜235℃のリン系化合物と、を含有し、前記プロピレン系樹脂100質量部に対して、前記NOR型光安定剤の含有量が0.1〜3質量部であり、前記リン系化合物の含有量が0.1〜5質量部である。【化1】

Description

本発明は、樹脂組成物及びこの樹脂組成物を用いて成形された樹脂シートに関する。
プラスチック自体は燃えやすい素材であるため、プラスチックからなる成形品、例えば樹脂シート等に防炎性又は難燃性を付与することが望まれている。特に、建材として用いられる難燃壁紙、店舗に用いられる防炎ポスター、店舗ステッカー、家電品に用いられるシート部材、自動車に用いられるタグラベル、鉄道車両に用いられるガラスステッカー等には、高い難燃レベル(例えばDIN4102、FMVSS−302等)が要求されている。
このようなプラスチックからなる成形品に有用な原料として、プロピレン系樹脂が知られている。しかしながら、プロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物において高い難燃性を達成しようとすると、ハロゲン系難燃剤を配合する、比較的多量の無機系難燃剤を配合する等の必要があった。
特許文献1,2には、ハロゲン系難燃剤又は無機系難燃剤を配合することなく、難燃性を付与した樹脂組成物として、特定のNOR型HALS化合物(NOR型ヒンダードアミン系光安定剤)と特定のリン系化合物とを配合したプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
特表2015−510023号公報 特開2017−066299号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載されたプロピレン系樹脂組成物は着色しやすく、また、リン系化合物のブリードアウトによるベタツキを招くことから、得られる成形品の品質が十分満足な品質ではなかった。
そこで、本発明は上記課題を解決することを目的としている。すなわち、本発明の目的は、難燃性に優れ、着色し難く、また、リン系化合物のブリードアウトに起因したベタツキを抑制できる樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、プロピレン系樹脂と、特定構造のNOR型光安定剤と、特定融点のリン系化合物とを含有し、当該リン系化合物の含有量を所定範囲とした樹脂組成物を用いることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1]プロピレン系樹脂と、下記式(1)で表されるNOR型光安定剤と、融点が100〜235℃のリン系化合物と、を含有し、前記プロピレン系樹脂100質量部に対して、前記NOR型光安定剤の含有量が0.1〜3質量部であり、前記リン系化合物の含有量が0.1〜5質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
Figure 2019087982
[2]前記NOR型光安定剤の含有量に対する前記リン系化合物の含有量の比が0.5〜10である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記リン系化合物が亜リン酸エステル化合物を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]無機微細粉末を含有する、[1]〜[3]の何れか一項に記載の樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の樹脂組成物を用いて形成された層を含む樹脂シート。
本発明によれば、難燃性に優れ、着色し難く、また、リン系化合物のブリードアウトに起因したベタツキを抑制できる樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、プロピレン系樹脂と、下記式(1)で表されるNOR型光安定剤と、融点が100〜235℃のリン系化合物と、を含有し、前記プロピレン系樹脂100質量部に対する上記NOR型光安定剤の含有量が0.1〜3質量部であり、上記リン系化合物の含有量が0.1〜5質量部である。
Figure 2019087982
上記特定組成の樹脂組成物は、高温条件下に所定期間保管しても色相の変化及び樹脂の流動性の変化が少ない。つまり、本発明の樹脂組成物は耐熱性に優れている。そして、当該樹脂組成物を用いて難燃性に優れた樹脂シートを得ることができる。また、当該樹脂シートは、リン系化合物のブリードアウトによるベタツキ、及び、リン系化合物のプロピレン系樹脂への分散不良による外観不良を抑制できる。
以下、本発明の樹脂組成物に用い得る原材料について詳述する。
<プロピレン系樹脂>
プロピレン系樹脂は樹脂組成物の主材料として用いられ、樹脂組成物を用いて形成される樹脂シートに成膜性、耐水性、耐久性、軽量性、物理的強度、及び光透過性を付与する。
プロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等が挙げられる。また、主成分となるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンとの共重合体である、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。これらの中でも、プロピレン単独重合体が樹脂シートの主原料として取扱いやすく、好ましい。
プロピレン系樹脂としては従来公知の種々のプロピレン系樹脂を用いることができる。何ら限定されるものではないが、プロピレン系樹脂のMFR(Melt Flow Rate:メルトフローレート)は、通常0.5g/10min以上、好ましくは1.0g/10min以上であり、通常30g/10min以下、好ましくは20g/10min以下である。
<式(1)で表されるNOR型光安定剤>
本発明の樹脂組成物は、式(1)で表されるNOR型光安定剤を含有することにより、紫外線等によるプロピレン系樹脂の劣化を抑制し、優れた耐候性を付与することができる。また、高温環境下におけるプロピレン系樹脂の劣化が抑制され、耐熱性に優れた樹脂組成物及び樹脂シートを得ることができる。
また、式(1)で表されるNOR型光安定剤は、これを含む樹脂組成物及び樹脂シートの燃焼時に優れたラジカル捕捉剤として機能し、燃焼反応を停止させる働きを示す。つまり、樹脂組成物及び樹脂シートに優れた難燃性を付与することができる。
さらに式(1)で表されるNOR型光安定剤は、他のNOR型光安定剤に比べて化合物自体が安定であるため、樹脂組成物や樹脂シートの着色を防止できる。
式(1)で表されるNOR型光安定剤は常温で液体であることから、プロピレン系樹脂との溶融混錬時には、樹脂組成物中に均一に微分散され、優れた耐熱性及び難燃性を発揮しやすい。
本発明の樹脂組成物における、式(1)で表されるNOR型光安定剤の含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して0.1質量部以上であり、好ましくは0.22質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上、特に好ましくは0.7質量部以上である。また同含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して3質量部以下であり、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。式(1)で表されるNOR型光安定剤の含有量が上記範囲内にあると、樹脂組成物の耐熱性が向上すると共に、樹脂シートの難燃性が向上する。
<融点が100〜235℃のリン系化合物>
リン系化合物は、難燃剤として、プロピレン系樹脂の燃焼時にその燃焼成分を炭化(チャー化)させ、固化させて、空気を遮断する被膜を形成することで、燃焼反応を停止させる働きを示す。所定量の上記リン系化合物を、式(1)で表されるNOR型光安定剤と併用することにより、樹脂組成物及び樹脂シートに優れた難燃性を付与することができる。
本発明で用いられるリン系化合物は、融点が100℃以上であり、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上である。また同融点は、235℃以下であり、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。
リン系化合物の融点が100℃以上であれば、リン系化合物は常温では固体であり、樹脂組成物のペレットを乾燥ホッパー等で乾燥させる際にベタツキによる閉塞を抑えやすい。得られる樹脂シートもブリードアウトによる成形ロール汚れやベタツキ等の発生が少なく取扱いやすい。
また、本発明の樹脂組成物中にマトリックス樹脂として配合されるプロピレン系樹脂(特にホモポリプロピレン)は、一般に、230〜240℃程度に設定した押出機等で溶融混錬される。そのため、リン系化合物の融点が235℃以下であれば、リン系化合物が液化した状態でプロピレン系樹脂中に微分散されるため、樹脂組成物中におけるリン系化合物の分散性に優れる。その結果、樹脂組成物は優れた難燃性を発揮しやすい。また、リン系化合物が樹脂組成物中に均一に分散するため、成形品(例えば、樹脂シート)の外観不良等が発生しにくくなる。
本発明で用いるリン系化合物は、融点が100〜235℃であれば特に限定されないが、例えば、環状ホスファゼン化合物、亜リン酸エステル化合物等を好ましく用いることができる。高温環境下において樹脂組成物の色相変化が抑制されるため耐熱性に優れた樹脂組成物を得られるという観点からは環状ホスファゼン化合物が好ましく、リン系化合物のブリードアウトを抑制する効果に優れるという観点からは亜リン酸エステル化合物が好ましい。
環状ホスファゼン化合物としては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019087982
式(2)中、aは3〜25の整数である。また、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、置換又は無置換のC1〜30アルキル基、置換又は無置換のC3〜30シクロアルキル基、置換又は無置換のC6〜30アリール基を示す。ここで、Cx〜yとは炭素数がx〜yであることを意味し、シクロアルキル基又はアリール基の場合は環形成炭素数を意味する。なお、「置換又は無置換のC6〜30アリール基」とは、「置換基を有するC6〜30アリール基」又は「置換基を有さないC6〜30アリール基」を意味する。
亜リン酸エステル化合物としては、一般式P(OR又は後述する式(3)で表される亜リン酸エステル化合物が好ましい。
一般式P(ORにおいて、Rは置換又は無置換のC1〜30アルキル基、置換又は無置換のC3〜30シクロアルキル基、置換又は無置換のC6〜30アリール基を示す。複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。これらの中でも、Rの少なくとも1つが、置換又は無置換のC6〜30アリール基であることが好ましく、置換又は無置換のC6〜15アリール基であることがより好ましく、置換基を有するC6〜15アリール基であることが特に好ましい。アリール基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、tert-ブチル基等のC1〜10アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のC1〜10アルコキシ基等が挙げられ、好ましくはC1〜5アルキル基である。置換基の数は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上であり、通常5以下、好ましくは3以下である。
一般式P(ORで表される亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト;2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト等の二価フェノール類を含み環状構造を有するトリアリールホスファイト等が挙げられる。
下記式(3)で表される亜リン酸エステル化合物において、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、置換又は無置換のC1〜30アルキル基、置換又は無置換のC3〜30シクロアルキル基、置換又は無置換のC6〜30アリール基を示す。
Figure 2019087982
これらの中でも、R及びRは、各々独立に置換又は無置換のC6〜30アリール基であることが好ましく、置換又は無置換のC6〜15アリール基であることがより好ましく、置換基を有するC6〜15アリール基であることが特に好ましい。
及びRが置換基を有するC6〜15アリール基の場合、式(3)で表される亜リン酸エステル化合物は、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019087982
式(4)中、R、R、R、R10、R12、R13、R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子又はC1〜5アルキル基を示し、R、R11、R14及びR17は、それぞれ独立にC1〜5アルキル基、C6〜15アリール基又はアラルキル基を示す。アラルキル基は、C1〜5アルキル基の水素原子の1つがC6〜15アリール基で置換された置換基である。また、b1〜b4は、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。R、R、R、R10、R12、R13、R15及びR16はメチル基が好ましく、b1〜b4は0が好ましい。
式(3)又は(4)で表される亜リン酸エステル化合物の具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のペンタエリスリトールジホスファイト構造を有する亜リン酸エステル化合物等が挙げられる。
上記のリン系化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物におけるリン系化合物の含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であり、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上である。また、同含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して、5質量部以下であり、好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
リン系化合物の含有量が上記下限以上であると、NOR型光安定剤との併用により、樹脂組成物の耐熱性、及び樹脂シートの難燃性を向上させることができる。また、リン系化合物の含有量が上記上限以下であると、樹脂シート中のリン系化合物の分散性に優れると共に、リン系化合物のブリードアウトを低減できるため、樹脂シートのベトツキを抑制できる。
つまり、リン系化合物の含有量を所定範囲とすることで、樹脂組成物の耐熱性、樹脂シートの難燃性、リン系化合物の分散性、及びリン系化合物のブリードアウト抑制効果のバランスに優れる。
一方、リン系化合物の含有量が上記下限未満であると、樹脂組成物の耐熱性又は樹脂シートの難燃性の向上が期待できない。また、リン系化合物の含有量が上記上限を超えると効果の著しい向上は認められない傾向にあるため経済的ではなく、また、リン系化合物のブリードアウトが発生する。
<NOR型光安定剤とリン系化合物との含有量比>
本発明の樹脂組成物において、NOR型光安定剤の含有量に対するリン系化合物の含有量の比[(リン系化合物の含有量)/(NOR型光安定剤の含有量)]は、質量基準で、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは4以下である。つまり、NOR型光安定剤の含有量に対して、相対的にリン系化合物の含有量が大きい方が好ましい傾向にある。NOR型光安定剤の含有量に対するリン系化合物の含有量の比が上記範囲内であると、難燃性が特に向上する。NOR型光安定剤の含有量に対するリン系化合物の含有量の比が上記下限以上であると、樹脂組成物や樹脂シートにより高い難燃性を付与することができる。また、上記上限以下であると配合量に応じた効果が得られるため経済的であり、またリン系化合物のブリードアウトも抑制できるため好ましい。
<無機微細粉末>
本発明の樹脂組成物は、耐熱性や難燃性等の効果を阻害しない範囲で、無機微細粉末を含有してもよい。無機微細粉末は、無機フィラーとも呼ばれる。
無機微細粉末を含有することにより、得られる樹脂シートの白色性又は不透明性を向上させることができる。つまり、無機微細粉末の配合により、樹脂シート中にプロピレン系樹脂と屈折率の異なる界面が増加するため、樹脂シートの光拡散率を調整することができる。また、無機微細粉末は、樹脂シートの延伸成形時に空孔核材として働くため、樹脂シートを多孔化できる。
したがって、無機微細粉末を配合した樹脂組成物は、いわゆる合成紙の原料として有用である。
一方、無機微細粉末を配合すると、樹脂組成物や樹脂シートの表面積が増大するため、樹脂組成物又は樹脂シートの燃焼時に、燃焼反応を促進させることがある。これは、樹脂組成物や樹脂シートに引火すると、無機微細粉末はその熱伝導率の高さから周囲のプロピレン系樹脂を溶融させ、さらにロウソクの芯のように燃焼を助長させる働きをするためと考えられる。
本発明者らは、プロピレン系樹脂100質量部に対する無機微細粉末(特に炭酸カルシウム)の含有量が30質量部程度までであれば、所望の耐熱性や難燃性等を維持できることを見出した。したがって、無機微細粉末を含む樹脂組成物から、耐熱性及び難燃性に優れる樹脂シートが得られやすいことが分かった。
上記の観点から、無機微細粉末の含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。無機微細粉末の含有量が上記下限以上であると、樹脂シートの光拡散率を増加させやすい。また、無機微細粉末の含有量が上記上限以下であると、難燃性の低下を抑制しやすい。
無機微細粉末の具体例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、ゼオライト、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素等の微細粉末、中空ガラスビーズ等が挙げられる。これらの中でも、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムは、多くの種類の市販品があり、所望の平均粒子径又は粒度分布が得られやすく、樹脂シートの白色性、不透明性等の光学特性を設計しやすいために好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機微細粉末の平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。無機微細粉末の平均粒子径が上記下限以上であると、樹脂シートの光拡散率を増加させやすいとともに、光透過率を調整しやすい。また上記上限以下であると、より光拡散率が高い樹脂シートが得られやすい。また、粗大粒子の混入により延伸時における樹脂シートの破断を抑制しやすい。
なお、無機微細粉末の平均粒子径とは、樹脂シートの厚み方向の切断面を電子顕微鏡により観察し、観察領域より無作為に抽出した100個の無機微細粉末の粒子径を測定し、これに基づいて算出した平均値である。この場合の無機微細粉末の粒子径は、粒子の輪郭上の2点間の距離の最大値(最大径)から決定する。
<その他の添加剤>
樹脂組成物には、必要に応じて分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、滑剤等の公知の添加剤を配合してもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、式(1)で表されるNOR型光安定剤以外の光安定剤、融点が100℃未満又は235℃超のリン系化合物を配合してもよい。
分散剤は、例えば、樹脂組成物中に上記の無機微細粉末を高分散させる目的で用いられる。分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、これらの塩等を例示することができる。
分散剤の含有量は特に限定されないが、無機微細粉末の含有量に応じて、例えば、プロピレン系樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。分散剤の含有量が0.01質量部以上であると、プロピレン系樹脂中に無機微細粉末が均一に微分散されやすく、所望の光透過率及び光拡散率を得やすく、また、難燃性の低下を抑制しやすい傾向にある。また、分散剤の含有量が5質量部以下であると、余剰な分散剤によるベタツキ及び光透過性の阻害を防ぎやすい。
また本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、プロピレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。当該熱可塑性樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の結晶性エチレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等の結晶性オレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート又はその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。中でも結晶性エチレン系樹脂や、エチレン系又はプロピレン系以外の結晶性オレフィン系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるこれらの熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であればよいが、プロピレン系樹脂100質量部に対し、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、上記樹脂組成物を用いて形成された層を含む。
樹脂シートは、上記層を含むのであれば、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
樹脂シートが多層構造である場合、各層を構成する樹脂組成物は同一であっても、異なっていてもよい。樹脂シートが多層構造であって、各層を構成する樹脂組成物が異なる場合には、少なくとも一層が本発明の樹脂組成物を用いて形成された層であればよく、本発明の樹脂組成物を用いて形成された層を複数含む場合は、各層を構成する樹脂組成物(すなわち層中に含まれる化合物の種類又は含有量)は同一であっても異なっていてもよい。例えば、最外層におけるリン系化合物の含有量が比較的大きければ、樹脂シートの難燃性が向上しやすく、また、無機微細粉末の含有量が比較的大きければ、合成紙の外観を達成しやすい。
本発明の樹脂シートは無延伸シートであってもよく、延伸シートであってもよい。延伸シートである場合は、その延伸軸数が一方向であっても二方向以上であってもよい。
本発明の樹脂シートの厚みは、所望性能に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、樹脂シートの厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。樹脂シートの厚みが上記下限以上であると、樹脂シートは十分な機械的強度を有し、樹脂シートの延伸成形又は使用の際の破断を防止しやすい。また樹脂シートの厚みが上記上限以下であると、樹脂シートが重くなりすぎず、取り扱いが容易になる傾向にある。
なお、樹脂シートの厚みは、JIS K7130:1999に準拠して測定した値である。樹脂シートが多層構造の場合には、複数の層全体として測定した値である。樹脂シートが多層構造の場合の各層の厚みは、電子顕微鏡を用いてその断面を観察し、外観より層間の界面を判断して厚み比率を求め、上記測定した樹脂シート全体の厚みと各層の厚み比率の積から算出する。
[樹脂組成物、樹脂シートの物性]
<色差ΔE>
色差ΔEとは、高温下における樹脂組成物の色相の変化を示す指標値である。色差ΔEは樹脂組成物の熱安定性を示し、この値が低い樹脂組成物は、高温下における着色が少ないことを意味する。本発明における色差ΔEは、後述する実施例に記載した条件下で測定した値とする。
具体的には、まず樹脂組成物のペレットを、雰囲気の温度を150℃に設定したオーブン中で7日間加熱したサンプルと、常温で同期間保管したサンプルとを用意する。次いで、それぞれのペレットのサンプル約5gを、圧縮成型機を使用して230℃で油圧プレス成形して、直径約50mm、厚さ約2mmの、円盤状の評価用樹脂シートを得る。得られた評価用樹脂シートにつき、カラーメーターを用いて、加熱前後での明度L値、及び色座標a値、b値をそれぞれ求めて、L表示系における色差ΔEabを算出して、これを色差ΔEとする。
本発明の樹脂組成物の色差ΔEは、着色を減らす観点から、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。リン系化合物の含有量を減少させることで、樹脂組成物の色差ΔEを低く保つことができる傾向にあるが、難燃性確保に必要な量を配合することにより、樹脂組成物の色差ΔEは通常0.5以上となる。
<密度>
本発明の樹脂シートの密度は、樹脂シートの強度維持の観点から0.5g/cm以上が好ましく、0.6g/cm以上がより好ましい。一方、樹脂シートの軽量化の観点から、樹脂シートの密度は1.3g/cm以下が好ましく、1.0g/cm以下がより好ましい。
本発明の樹脂シートの密度は、JIS K 7112:1999に記載されている方法に従い、樹脂シートの厚みと、試料を10cm×10cmサイズに打ち抜いて質量を測定して得られた秤量の値とから、下記の計算式によって算出できる。
ρ=Wf/Tf
ただし、ρ、Wf及びTfのそれぞれは下記を示す。
ρ :樹脂シートの密度(g/cm
Wf:樹脂シートの坪量(g/cm
Tf:樹脂シートの厚み(cm)
<空孔率>
本発明の樹脂シートの空孔率は、不透明化又は軽量化の観点から1%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。一方、機械的強度や難燃性能維持の観点から、樹脂シートの空孔率は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
樹脂シートの空孔率は、電子顕微鏡で観察した樹脂シートの断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。具体的には、測定対象の樹脂シートの任意の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて測定対象のフィルムの面方向に垂直に切断し、その切断面が観察面となるように観察試料台に貼り付ける。観察面に金又は金−パラジウム等を蒸着し、電子顕微鏡にて観察しやすい任意の倍率(例えば、500倍〜3000倍の拡大倍率)において樹脂シートの空孔を観察し、観察した領域を画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置にて画像処理することによって、樹脂シートの一定領域における空孔部分の面積率(%)を求めて、空孔率(%)とする。この場合、任意の10箇所以上の観察における測定値を平均して、空孔率とすることができる。
[樹脂組成物・樹脂シートの製造方法]
本発明の樹脂組成物は、従来公知の方法に従って製造することができる。通常は各成分をよく混合し、次いで1軸又は2軸押出機で溶融混錬する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混錬し、樹脂組成物を調製することもできる。さらには、プロピレン系樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混錬してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りのプロピレン系樹脂や他の成分を配合して溶融混錬してもよい。また、樹脂シートが多層構造の場合には、各層に応じた各層形成用の樹脂組成物を調製すればよい。なお、溶融混錬に際しての加熱温度は、押出機のシリンダー温度として通常180〜300℃程度、特に圧縮ゾーンでのシリンダー温度として通常200〜250℃程度であり、吐出される樹脂温度は通常200〜250℃である。
次いで、得られた樹脂組成物をシート状に溶融押出して、樹脂シートを成形することができる。その後、必要に応じて、得られた樹脂シートを少なくとも一方向に延伸する。また、必要によりアニーリング処理(熱処理)し、続いて耳部をスリットすることにより、樹脂シートを得てもよい。
本発明の樹脂シートの製造には、従来公知の種々の方法が使用できる。例えば、樹脂シートが単層構造である場合は、上記成分を含有する樹脂組成物を溶融混練し単一のダイスから押し出して、必要に応じて延伸すればよい。また、多層構造の樹脂シートである場合は、フィードブロック又はマルチマニホールドを使用した多層ダイスを用いる共押出方式や、複数のダイスを使用する押出ラミネーション方式等により複数の樹脂シートが積層した多層樹脂シートを製造することができる。さらに多層ダイスによる共押出方式と押出ラミネーション方式を組み合わせる方法により樹脂シートを製造することもできる。
樹脂シートの延伸は、公知の種々の方法によって行うことができる。具体的には、ロール群の周速差を利用した縦延伸方法、テンターオーブンを使用した横延伸方法、上記縦延伸と横延伸とを正順又は逆順に行う逐次2軸延伸方法、圧延方法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸方法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸方法等を挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法であるチューブラー法による同時2軸延伸方法を挙げることができる。
延伸時の温度は、特に限定されず、プロピレン系樹脂の延伸に好適な温度範囲内で実施することができる。具体的には、プロピレン系樹脂の融点より、2〜15℃以上低い温度で行うことが好ましい。例えば、本発明の樹脂組成物が無機微細粉末を含有する場合、当該樹脂組成物をプロピレン系樹脂の融点より低い温度で延伸することで、無機微細粉末等を核とした空孔を内包した延伸樹脂シートが得られる。この場合、樹脂シートは、適度な不透明性及び軽量性を有するシートとなる。また延伸は、樹脂シートに用いる主要な(質量比で最も多く用いる)プロピレン系樹脂のガラス転移点温度以上であって、プロピレン系樹脂の結晶部の融点より1〜70℃低い温度で行ってもよく、融点より1℃低い温度から2℃高い温度の範囲で行ってもよい。
樹脂シートの延伸倍率は、特に制限されず、得られる樹脂シートの特性等を考慮して、適宜決定すればよい。縦1軸延伸時の延伸倍率は2〜8倍の範囲であることが好ましく、3〜7倍の範囲であることがより好ましく、4〜6倍の範囲であることがさらに好ましい。また、横1軸延伸時の延伸倍率は2〜12倍の範囲であることが好ましく、4〜10倍の範囲であることがより好ましく、6〜9倍の範囲であることがさらに好ましい。また、2軸方向に延伸する場合には、面積延伸倍率(縦倍率と横倍率の積)で、4〜70倍の範囲であることが好ましく、10〜60倍の範囲であることがより好ましく、20〜50倍の範囲であることがさらに好ましい。
樹脂シートが多層構造である場合、各層を構成する樹脂シートの延伸軸数、延伸倍率は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、単層構造の樹脂シートの好ましい製造方法について説明する。
まず、樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、単一のダイスに供給して、シート状に押し出し、プロピレン系樹脂の融点より低い温度、例えば40〜85℃まで冷却することで、無延伸樹脂シートが得られる。次に、この無延伸樹脂シートを、プロピレン系樹脂の融点よりも2〜15℃以上低い延伸温度で、縦方向に3〜10倍延伸する。これにより、縦方向に配向した1軸延伸樹脂シートが得られる。続いて、この1軸延伸樹脂シートを、プロピレン系樹脂の融点よりも2℃〜15℃以上低い延伸温度で、横方向に4〜12倍延伸する。これにより、2軸延伸樹脂シートが得られる。
<熱処理>
延伸後の樹脂シートには、熱処理を行うことが好ましい。熱処理の温度は、プロピレン系樹脂の融点より、1〜15℃以上高い温度で行うことが好ましい。熱処理を行うことにより、プロピレン系樹脂の非晶部分の結晶化が促進されて延伸方向への熱収縮率が低減し、樹脂シートの寸法変化が少なくなる。熱処理の方法はロール加熱又は熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組み合わせてもよい。
<表面処理>
延伸後の樹脂シートには、表面処理を行ってもよい。表面処理を行うことにより、樹脂シートの二次加工適性を向上させることができる。表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理等の酸化処理等が挙げられる。また、延伸後の樹脂シートに対して酸化処理を行った後に、アンカー剤及び帯電防止剤の塗布を行ってもよい。
[樹脂シートの用途]
本発明の樹脂シートの用途は特に限定されないが、特に、印刷用紙、ラベル用紙、反射シート等の用途に好適に利用可能である。
印刷が施される用途としては、例えば建材として用いられる難燃壁紙、店舗等に用いられる防炎ポスター、電飾ポスター、ポップ等が挙げられる。ラベル又はシールの用途としては、例えば店舗に用いられる店舗ステッカー、自動車等に用いられるタグラベルやハーネス、鉄道車両等に用いられるガラスステッカー等が挙げられる。光反射機能が求められる用途としては、例えば液晶ディスプレイ用の光反射シート、電飾看板用の光反射シート、室内照明用の光反射シート、農業用マルチシート、撮影用レフ板、コピー機の裏蓋等が挙げられる。
以下に、印刷用途の樹脂シートに関し詳述する。樹脂シートには直接印刷することが可能であるが、樹脂シートの少なくとも一方の面に印刷層としてインキ受理層を配置することが好ましい。
(インキ受理層)
インキ受理層は樹脂シートの印刷適性、特にインキの転移性及びインキの密着性を高める効果を奏する。
インキ受理層は、バインダーと帯電防止剤の少なくとも1つを含むことが好ましい。インキ受理層は、さらに架橋剤を含むことが好ましい。また、インキ受理層は、必要に応じて、アンチブロッキング剤、着色剤、消泡剤、防黴剤、滑剤等を含むことができる。
〈バインダー〉
バインダーは、粘着性があり、樹脂シートの表面に適用可能なものであれば特に限定されない。
バインダーとしては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びその金属塩(Zn、Al、Li、K、Na等)、エチレン・(メタ)アクリル酸(C1〜8)アルキルエステル共重合体等のエチレン系共重合体;マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酸変性ポリオレフィン;モノヒドロキシ(C3〜6)アルキル変性ポリエチレン等の水酸基変性ポリオレフィン;塩素化ポリオレフィン;ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン等のポリウレタン;ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)等のポリエチレンイミン及びその変性物;ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミドの各種(アルキル、シクロアルキル、アリル、アラルキル、ベンジル、シクロペンチル)変性体等の変性ポリアミンポリアミド等が挙げられる。
インキ受理層に特に耐水性を付与することを目的とする場合、水分散性(エマルジョン)のバインダーを選択することができる。
インキ受理層に含まれるバインダーの含有割合は特に限定されないが、インキ受理層の全質量に対して通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、通常100質量%以下、好ましくは99.5質量%以下である。
〈帯電防止剤〉
帯電防止剤としては、低分子量有機化合物、導電性無機化合物、いわゆる電子導電性ポリマー、非イオン性ポリマー型帯電防止剤、第四級アンモニウム塩型共重合体、アルカリ金属塩含有ポリマー等が挙げられる。具体的には、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩等の低分子量有機化合物;ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカ等の導電性無機化合物;ポリチオフェン、ポリピーロイル、ポリアニリン等の分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー型帯電防止剤;ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体;アルキレンオキシド基又は水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマー等が挙げられる。
帯電防止剤が適用された、樹脂シートの表面抵抗率は1×10〜1×1013Ωが好ましく、1×10〜1×1012Ωがより好ましい。
インキ受理層に含まれる帯電防止剤の含有割合は特に限定されないが、インキ受理層の全質量に対して通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
〈架橋剤〉
架橋剤は、バインダー又は帯電防止剤と反応して、あるいは架橋剤が形成する網目ネットワーク中にバインダー又は帯電防止剤を閉じ込めて、バインダー又は帯電防止剤を樹脂シートの表面に固定する働きをする。その結果、たとえば樹脂シートに施した印刷の密着性や耐水性を高める効果を奏する。
架橋剤としては、反応性官能基としてヒドロキシ(水酸)基、カルボキシ基、エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、オキサゾリン骨格、カルボジイミド骨格等を有する2官能以上の物質が挙げられる。中でもビスフェノールA−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂等が好ましく、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物、単官能又は多官能のグリシジルエーテル又はグリシジルエステル類がより好ましい。
インキ受理層に含まれる架橋剤の含有割合は特に限定されないが、インキ受理層の全質量に対して通常15質量%以上、好ましくは20質量%以上であり、通常45質量%以下、好ましくは40質量%以下である。架橋剤の含有割合が上記範囲であれば、印刷インキの密着性及び耐水性を高めることができる。
(インキ受理層の積層)
インキ受理層は、塗工液を塗工して形成されることが好ましい。塗工液に用いる溶剤は、工程管理が容易である観点から、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性溶剤;酢酸エチル、トルエン、キシレン等の非水溶性溶剤等が挙げられる。
塗工液は上記溶剤に、バインダー等の上記成分を均質に溶解又は分散させて、溶液又は分散液の状態として用いることが好ましい。中でも安全性又は臭気の観点から、上記成分を何れも水溶性又は水分散性の成分を用いて、水溶液又は水分散液の塗工液を用いることがより好ましい。
塗工液中の固形分濃度は、乾燥負荷を少なくする観点から0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。また、均一な塗工面を得る観点から20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
塗工方法としては、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、ブレードコーター、メイヤーバーコーター、エアーナイフコーター等の塗工装置を用いる方法が挙げられる。
溶剤として水又は水溶性有機溶剤を使用する場合、塗工液のはじきを抑制し均一に塗工する観点から、事前に塗工液を塗工する樹脂シート表面にコロナ放電処理に例示される活性化処理を施すことが好ましい。また、事前に樹脂シート表面に上記塗工液を塗工し、塗工層を乾燥させて溶剤を除去することも好ましい。
インキ受理層は、乾燥後の片面当たりの固形分塗工量として0.01〜7g/mであることが好ましく、0.01〜5g/mであることがより好ましく、0.05〜3g/mが特に好ましい。インキ受理層の塗工量が上記範囲であると、インキの転移性及び密着性が向上しやすい。インキ受理層の塗工量が上記上限以下であるとインキ受理層内での凝集破壊によるインキの密着性の低下を抑制しやすい。一方、インキ受理層の塗工量が上記下限以上であるとインキの転移性及び密着性が発現しやすくなる。
<樹脂シートの加工>
(印刷及び加飾)
本発明の樹脂シートは、表面に、好ましくはインキ受理層を設けた面に、印刷を施すことができる。印刷情報としては写真画像、絵柄、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、使用方法等が挙げられる。
印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シール印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
また、印刷以外に転写箔、ホログラム等の加飾を施してもよい。スレッド等のセキュリティ要素も加飾に含まれる。印刷と加飾との両方を施してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
表1に記載のプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY6、日本ポリプロ社製)98.3質量部、式(1)で表される化学構造を有するNOR型光安定剤(商品名:アデカスタブ LA−81、アデカ社製)1質量部、及び融点が110℃の環状ホスファゼン化合物(商品名:SPS−100、大塚化学社製)0.7質量部を、スーパーミキサーで混合し、実施例1の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を230℃に設定した2軸混錬機にて溶融混錬し、混錬物をダイよりストランド状に押し出し、これを水槽中で冷却した後にペレタイザーでカットして、ペレットを得た。
次いで、得られたペレットを230℃に設定した押出機を用いて再び溶融混錬し、混錬物をTダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて60℃まで冷却して単層の無延伸樹脂シートを得た。
次いで、この無延伸樹脂シートを143℃まで加熱した後、多数のロール群の周速差を利用したロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に4.2倍の延伸倍率で1軸延伸し、その後60℃にて冷却して1軸延伸された樹脂シートを得た。
次いで、この1軸延伸された樹脂シートを、テンターオーブンを用いて160℃まで再加熱し、テンター延伸機を用いたクリップ延伸法にて樹脂シートの幅方向(横方向)に8.5倍の延伸倍率で延伸し、クリップで保持したままさらにオーブンで、160℃で2秒間アニーリング処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして、逐次2軸延伸された単層の樹脂シートを得、これを実施例1の樹脂シートとした。実施例1の樹脂シートの厚みは100μmであった。また、同シートの搬送速度は、120m/minに制御した。
上記で得られた実施例1の樹脂組成物のペレットを用いて下記のとおり耐熱性の評価を行った。また、実施例1の樹脂シートを用いて下記のとおり難燃性、ブリードアウト及びリン系化合物の分散性の評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
<実施例2〜5、9、10及び比較例1〜6、9〜12>
実施例1における樹脂組成物を、表1に記載の原料を用いて表2に記載の割合に変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例2〜5、9、10及び比較例1〜6、9〜12の樹脂組成物及び樹脂シートを得た。なお、比較例10では、樹脂組成物の加工性の観点から、イオウ系酸化防止剤(商品名:アデカスタブ AO−412S、アデカ社製)を0.1質量部配合した。
得られた樹脂組成物及び樹脂シートを用いて、同様の評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
<実施例6〜8、比較例7〜8>
実施例1における樹脂組成物を、表1に記載の原料を用いて表3に記載の割合に変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例6〜8、比較例7〜8の樹脂組成物及び樹脂シート得た。得られた樹脂組成物及び樹脂シートを用いて、同様の評価を行った。結果を表3にまとめて示す。なお、実施例6〜8及び比較例7〜8では、無機微細粉末の配合により、樹脂シートが不透明化し、透過光による粒子状物の観察に不適なため、リン系化合物の分散性の評価は行わなかった。
[評価方法]
上記の実施例及び比較例より得られた樹脂組成物及び樹脂シートについて、下記の評価手法及び評価基準に従って物性評価を行った。
<厚み>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートの厚みは、定圧厚さ測定器(機器名:PG−01J、テクロック社製)を用い、JIS K7130:1999に従って求めた。
<難燃性評価1(FMVSS−302)>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートの難燃性を、FMVSS No.302規格に準拠して測定した。
具体的には、各実施例及び比較例で得られた樹脂シートを、102mm×356mmサイズの矩形に切り取り、片側端(短辺)から38mm及び292mm箇所に短辺に平行にラインを引いた測定用サンプルを作製し、これを温度21℃、相対湿度50%の条件下で24時間静置してコンディショニングした。次いでFMVSS−302専用チャンバー(寸法:381mm×203mm×356mm)を用いて、測定用サンプルをU字型のフレームに挟み、バーナーからの炎の高さを38mmとし、バーナーの先端の中心が、サンプルの下面側、短辺幅方向中央、解放端より19mmの場所となるように設置し、15秒間接炎して、ラインを引いた38mmから292mmまでの間の燃焼速度を計測した。炎が燃焼時間計測終了ライン(292mm位置)に達しない場合は、接炎から消火までの時間及び燃焼距離を計測した。計測の結果から、樹脂シートの難燃性を下記の基準で評価した。
○(良) :燃焼時間計測ライン(38mm位置)からの燃焼距離が30mm以内、且つ20秒以内に消火
△(可) :燃焼時間計測ライン(38mm位置)からの燃焼距離が51mm以内、且つ60秒以内に消火
×(不可):燃焼時間計測ライン(38mm位置)からの燃焼距離が51mmを超えて、又は60秒を超えて燃焼する
<難燃性評価2(防炎試験45度コイル法)>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートについて、消防法施行規則第4条3に規定される「45度コイル法」にて、難燃性評価試験を実施した。具体的には45度コイル法で燃焼試験を行い、燃え尽きるまでの接炎回数を測定した。なお、難燃性は下記の基準で評価した。
○(良) :4回以上
△(可) :3回
×(不可):2回以下
<耐熱性>
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、雰囲気の温度を150℃に設定したオーブン中で7日間加熱した前後において、色相及びMFRの測定を行い、その変化量から樹脂組成物の耐熱性の有無を評価した。
(色差ΔE)
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、雰囲気の温度を150℃に設定したオーブン中で7日間加熱したサンプルと、常温で同期間保管したサンプルとを作成した。次いで、それぞれのペレットのサンプル約5gを、圧縮成型機((株)東洋精機製作所製、ミニテストプレスMP−WC)を使用して230℃で油圧プレス成形して、直径約50mm、厚さ約2mmの、円盤状の評価用樹脂シートを得た。
次いで、得られた評価用樹脂シートを、カラーメーター(機器名:タッチパネル式カラーコンピューターSM−T、スガ試験機社製)を用いて、加熱前後での明度L値、及び色座標a値、b値をそれぞれ求めて、L表示系における色差ΔEabを算出して、これを色差ΔEとし、下記の基準で評価した。
○(可) :ΔE値が15以下
×(不可):ΔE値が15を超える
(MFR比)
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、雰囲気の温度を150℃に設定したオーブン中で7日間加熱したものと、常温で同期間保管したものとを作成した。次いで、それぞれのペレットから、JIS−K7210:1999に従ってMFRを測定した。次いで、加熱前後でのMFR値の比(加熱後のMFR値/加熱前のMFR値)を求めて、下記の基準で評価した。MFR比が1.7以下であると、Tダイから押し出された樹脂シートが垂れることなく、成形性が良好であるため好ましい。
○(可) :MFR比が1.7以下
×(不可):MFR比が1.7を超える
<ブリードアウト>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートを30mm径に切り出し、ブリードアウト評価用のサンプルとした。走査型蛍光X線分析装置(機器名:ZSU Primus、理学電機工業社製)を用いて、各樹脂シートのサンプルのリン系化合物に由来するリンの量を3点測定し、その平均値(Ps)を求めた。
別に、各実施例、比較例で得られた樹脂シートをA4サイズに断裁し、これにOPPフィルム(商品名:FOS60、フタムラ化学社製)をA4サイズに断裁したものを1枚ずつ重ねた状態で、これを2枚の平坦なガラス板(A4サイズ)で挟み込み、オーブン中の水平な卓上に静置して、さらに10kgのA4サイズの重りを乗せた。
次いで、これをオーブン中で100℃の条件下で1日間保管して、樹脂シートからブリードアウトしたリン系化合物を、OPPフィルムへと転写させた。
次いで、OPPフィルムから樹脂シートを丁寧に剥がし、OPPフィルムに転写されたリンの量(Po)を、重ねた面を測定面として、上記と同様に走査型蛍光X線分析装置を用いて測定した。
それぞれの測定結果から、リン系化合物のブリードアウト量を下記式より算出し、OPPフィルムに転写されたリンの量(Po)及びブリードアウト量から、下記の基準で良否を判定した。
ブリードアウト量(%)=(Po/Ps)×100
○(良) :転写されたリンの量(Po)が5kcps未満、又はブリードアウト量が5%未満
△(可) :転写されたリンの量(Po)が5kcps以上、且つブリードアウト量が5%以上、10%未満
×(不可):転写されたリンの量(Po)が5kcps以上、且つブリードアウト量が10%以上
<リン系化合物の分散性>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートを、屋内天井の点灯した蛍光灯から約3m離れた位置にて、光源光を透過させながら樹脂シートを目視で観察した際に、樹脂シート中にリン系化合物に由来する粒子状物(粒子径50μm以上)が視認されるか否かから、リン系化合物の分散性を下記の基準で評価した。
○(可) :リン系化合物に由来する粒子状物は視認できない
×(不可):リン系化合物に由来する粒子状物を視認できる
Figure 2019087982
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Figure 2019087982
<総括>
実施例1〜5、9及び10の樹脂組成物及び樹脂シートの評価結果から、本願発明の樹脂組成物及び樹脂シートは、優れた難燃性と耐熱性を兼ね備え、且つリン系化合物のブリードアウトによるベタツキを抑えるとともに、リン系化合物のプロピレン系樹脂への分散不良による外観不良をも抑え、優れた品質を具備していた。
一方、所定のリン系化合物を含まない比較例1の樹脂シートは、難燃性に劣るものであった。また、融点が所定の値よりも低いリン系化合物を用いた比較例2の樹脂シートは、高温環境下でリン系化合物の熱劣化により着色しやすく、リン系化合物のブリードアウトによりベタツキが生じやすかった。また、融点が所定の値よりも高いリン系化合物を用いた比較例3及び4の樹脂シートは、リン系化合物が高融点であるが故にプロピレン系樹脂の溶融混錬後にも粒子状のままであり、リン系化合物の分散性に劣っていた。
また、式(1)で表されるNOR型光安定剤と異なるNOR型光安定剤を含む比較例5及び6の樹脂組成物及び樹脂シートは、総じて高温環境下においてNOR型光安定剤の熱劣化により着色しやすく、またプロピレン系樹脂の劣化が生じやすく耐熱性に劣るものであった。
実施例6〜8の樹脂組成物及び樹脂シートの評価結果から、本願発明の樹脂組成物において、プロピレン系樹脂100質量部に対して無機微細粉末を30質量部程度まで添加しても、その難燃性及び耐熱性を好適に維持できることが分かった。
本出願は、2017年10月31日に出願された日本特許出願である特願2017−210792号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願のすべての記載内容を援用する。

Claims (5)

  1. プロピレン系樹脂と、
    下記式(1)で表されるNOR型光安定剤と、
    融点が100〜235℃のリン系化合物と、
    を含有し、
    前記プロピレン系樹脂100質量部に対して、前記NOR型光安定剤の含有量が0.1〜3質量部であり、前記リン系化合物の含有量が0.1〜5質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 2019087982
  2. 前記NOR型光安定剤の含有量に対する前記リン系化合物の含有量の比が0.5〜10である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記リン系化合物が亜リン酸エステル化合物を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 無機微細粉末を含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂組成物を用いて形成された層を含む樹脂シート。

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