JP2022027537A - 延伸樹脂シート、延伸樹脂シートの製造方法及び樹脂ペレット - Google Patents

延伸樹脂シート、延伸樹脂シートの製造方法及び樹脂ペレット Download PDF

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Abstract

【課題】難燃剤を配合したプロピレン系樹脂組成物を成形してなる樹脂シートにおいて、より高い難燃性を示すことができる樹脂シートの提供。【解決手段】難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含有する延伸樹脂シートであって、前記延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度が60~90%である延伸樹脂シートである。【選択図】なし

Description

本発明は、延伸樹脂シート、延伸樹脂シートの製造方法及び樹脂ペレットに関する。
プラスチック自体は燃えやすい素材であるため、プラスチックからなる成形品、例えば樹脂シート等に防炎性又は難燃性を付与することが望まれている。特に、建材として用いられる難燃壁紙、店舗に用いられる防炎ポスター、店舗ステッカー、家電品に用いられるシート部材、自動車に用いられるタグラベル、鉄道車両に用いられるガラスステッカー等には、高い難燃レベル(例えばDIN4102、FMVSS-302等)が要求されている。
このようなプラスチックからなる成形品に有用な原料として、プロピレン系樹脂が知られている。しかしながら、プロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物において高い難燃性を達成しようとすると、ハロゲン系難燃剤を配合するか、比較的多量の無機系難燃剤を配合する等の必要があった。
また、ハロゲン系難燃剤又は無機系難燃剤を配合することなく、難燃性を付与した樹脂組成物として、特定のNOR型HALS化合物(NOR型ヒンダードアミン系光安定剤)と特定のリン系化合物とを配合したプロピレン系樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特表2015-510023号公報 特開2017-066299号公報
近年、安全性の確保や用途拡大の要求等の観点から、プロピレン系樹脂組成物を成形してなる樹脂シートの成形品に対し、より高い難燃性が求められている。
しかし、上記特許文献1、2に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いて成形された樹脂シートは、その高い難燃性の要求レベルに応えるには十分とはいえず、改善の余地があった。
そこで、本発明は、難燃剤を配合したプロピレン系樹脂組成物を成形してなる樹脂シートにおいて、より高い難燃性を示すことができる樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、難燃剤を配合した、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分から難燃性を有する延伸樹脂シートを製造する際、得られる樹脂シート中のポリプロピレン成分の結晶化度を従来以上の高い値に調整することにより、比較的少ない難燃剤の使用でより優れた難燃効果を得ることができ、また、従来と同程度の難燃剤の使用量で更に高い難燃効果が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1]難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含有する延伸樹脂シートであって、
前記延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度が60~90%であることを特徴とする、延伸樹脂シート。
[2]前記難燃剤が、NOR型HALS化合物を含む、[1]に記載の延伸樹脂シート。
[3]前記難燃剤が、NOR型HALS化合物とリン系化合物とを含む、[2]に記載の延伸樹脂シート。
[4]前記樹脂成分100質量部に対して、前記NOR型HALS化合物の含有量が0.1~3質量部である、[2]又は[3]に記載の延伸樹脂シート。
[5]前記樹脂成分100質量部に対して、前記リン系化合物の含有量が0.1~7質量部である、[3]~[4]の何れかに記載の延伸樹脂シート。
[6]前記NOR型HALS化合物の含有量に対する前記リン系化合物の含有量の比が、質量基準で1~30である、[3]~[5]の何れかに記載の延伸樹脂シート。
[7]前記NOR型HALS化合物が、下記式(1)で表されるNOR型HALS化合物である、[2]~[6]の何れかに記載の延伸樹脂シート。
Figure 2022027537000001
[8]難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含むプロピレン系樹脂組成物を用いて、溶融押出することによりシート状に成形し、次いで、延伸して延伸樹脂シートを製造する延伸樹脂シートの製造方法であって、
前記プロピレン系樹脂の結晶化度が51~55%であることを特徴とする、延伸樹脂シートの製造方法。
[9]前記延伸する工程において、樹脂シートの延伸が2軸延伸である、[8]に記載の延伸樹脂シートの製造方法。
[10]前記2軸延伸において、縦方向の延伸倍率が2倍より大きく10倍以下であり、かつ横方向の延伸倍率が2倍より大きく20倍以下である、[9]に記載の延伸樹脂シートの製造方法。
[11]難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含有する樹脂ペレットであって、
前記プロピレン系樹脂の結晶化度が51~55%であることを特徴とする、樹脂ペレット。
本発明によれば、難燃剤を配合したプロピレン系樹脂組成物を成形してなる樹脂シートにおいて、より高い難燃性を示すことができる樹脂シートを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
[延伸樹脂シート]
本発明の延伸樹脂シートは、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分と難燃剤とを含有する。
本発明の延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度は、60~90%である。
延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度が60~90%と高い値を示す本発明の延伸樹脂シートは、より高い難燃性を示す延伸樹脂シートとなる。
本発明の延伸樹脂シートの好ましい実施態様としては、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分と難燃剤とを含有するプロピレン系樹脂組成物を、成形し延伸することにより得られる延伸樹脂シートが挙げられる。
本明細書では、プロピレン系樹脂組成物をシート状に成形した成形品を「樹脂シート」といい、つまり延伸工程の有無にかかわらず、シート状に成形された成形品に対し「樹脂シート」という。例えば、プロピレン系樹脂組成物をシート状に溶融押出して得られた樹脂シートに対し、さらに延伸工程を付与した場合であっても、延伸工程後のシートに対し「樹脂シート」という場合がある。
但し、本明細書では、延伸工程後の樹脂シートであることを明確にする場合、延伸工程を経て得られた延伸された樹脂シートに対し、「延伸樹脂シート」という。
プロピレン系樹脂組成物は、樹脂成分と難燃剤とを含有し、必要に応じ適宜その他の成分を含有する。
プロピレン系樹脂組成物を構成する成分について、以下説明する。
(樹脂成分)
樹脂成分としては、プロピレン系樹脂を主成分として含有していれば、その他の樹脂を含有していてもよい。
ここで、プロピレン系樹脂を主成分として含有するとは、樹脂成分を構成する各樹脂のうち、最も含有量が多い樹脂がプロピレン系樹脂ということである。
<プロピレン系樹脂>
プロピレン系樹脂は樹脂組成物の主成分として用いられ、樹脂組成物を用いて形成される樹脂シートに成膜性、耐水性、耐久性、軽量性、物理的強度、及び光透過性を付与する。
通常のシート成形に用いられるプロピレン系樹脂の結晶化度は51%未満(一般的には40~50.9%)であるが、本発明においては、シート成形後の延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度を60~90%にするために、プロピレン系樹脂全体の結晶化度が51%以上となるようにプロピレン系樹脂を混合使用する。
プロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等が挙げられる。また、主成分となるプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。これらの中でも、プロピレン単独重合体が樹脂シートの主原料として取扱いやすく、好ましい。
プロピレン系樹脂としては従来公知の種々のプロピレン系樹脂を用いることができる。何ら限定されるものではないが、プロピレン系樹脂のMFR(Melt Flow Rate:メルトフローレート)は、通常0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、通常30g/10分以下、好ましくは20g/10分以下である。
<<高結晶ポリプロピレン>>
本発明に係るプロピレン系樹脂は、高結晶ポリプロピレンを含有する。ここで、高結晶ポリプロピレンとは、結晶化度が51%以上、好ましくは53%以上、特に好ましくは55%以上のポリプロピレンをいう。
プロピレン系樹脂中に高結晶ポリプロピレンを含有させると、プロピレン系樹脂組成物を成形し、延伸して得られる延伸樹脂シートにおいて、延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度を上げることができる。
本発明に係るプロピレン系樹脂としては、高結晶ポリプロピレンのみを使用してもよいが、好ましい実施態様としては、結晶化度が51%未満の一般的なポリプロピレン(以下、汎用ポリプロピレンともいう)、例えば、結晶化度が40%以上51%未満の汎用ポリプロピレンで形成されたプロピレン系樹脂のうち、該汎用ポリプロピレンの一部を高結晶ポリプロピレンに変えた、高結晶ポリプロピレンを含有するプロピレン系樹脂が挙げられる。
プロピレン系樹脂に含有される高結晶ポリプロピレンは、1種類で用いても2種類以上で用いてもよい。
プロピレン系樹脂における、高結晶ポリプロピレンの含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは25質量部以上である。また、同含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して50質量部以下であり、好ましくは45質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下である。高結晶ポリプロピレンの含有量が、上記下限以上であると、延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度を所望の値に上げることができ、延伸樹脂シートの難燃性が向上する。また、高結晶ポリプロピレンの含有量が、上記上限以下であると、高結晶ポリプロピレンの含有量が増えることにより難燃剤の含有を阻害し、難燃剤の含有量が低下したり、難燃剤の均一分散が妨げられ、燃えやすい部分が発生するという難燃性が低下する弊害を効果的に抑制することができる。また、上記上限以下であると、高コストな高結晶ポリプロピレンの使用量を抑えることができ、経済性に優れる。
2種類以上の高結晶ポリプロピレンを用いる場合には、上記高結晶ポリプロピレンの好ましい含有量は、それぞれの高結晶ポリプロピレンの含有量を足し合わせた値とする。
<<<プロピレン系樹脂結晶化度(51-55%)とその測定方法>>>
プロピレン系樹脂の結晶化度は、51%以上であり、好ましくは51.5%以上であり、より好ましくは52%以上である。また、同結晶化度は、55%以下であり、好ましくは54%以下であり、より好ましくは53%以下である。プロピレン系樹脂が2種類以上のポリプロピレンからブレンドされてなる場合、プロピレン系樹脂の結晶化度は算術平均計算にて求めることができる。
プロピレン系樹脂の原料である種々のポリプロピレンの結晶化度を測定する場合には、DSC(示差走査熱量計)による方法を用いることができる。
以下、DSC法を用いてポリプロピレンの結晶化度を測定する方法について詳しく説明する。
対象となるポリプロピレンを、示差走査熱量測定装置にセットし、温度[℃]と融解熱量[J/g]の関係(DSC曲線)を測定する。得られたDSC曲線と、結晶化度が100%であるポリプロピレンのDSC曲線を比較し、融解熱量[J/g]の差からプロピレン系樹脂の結晶化度を算出することができる。
本発明においては、通常、上記の結晶化度51%未満のポリプロピレンと高結晶ポリプロピレンとを配合したプロピレン系樹脂組成物を出発原料とし、これを常法に従ってペレット化、溶融押出してシート成形を行い、延伸工程を経て延伸樹脂シートが得られる。この際の出発原料となるプロピレン系樹脂組成物における、高結晶ポリプロピレンの含有量は、通常、プロピレン系樹脂組成物100質量部に対して5質量部以上であり、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、さらに好ましくは22質量部以上である。また、同含有量は、プロピレン系樹脂組成物100質量部に対して42質量部以下であり、好ましくは36質量部以下であり、より好ましくは32質量部以下である。この配合量によって最終的に得られる延伸樹脂シートにおけるプロピレン成分の結晶化度が変化する。
<その他の樹脂>
プロピレン系樹脂組成物に含有される樹脂成分としては、上記プロピレン系樹脂に加え、その他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテン等の結晶性オレフィン系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート又はその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。中でもエチレン系樹脂を少量配合したものが好ましい。
その含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対し、通常1~20質量部、好ましくは3~15質量部である。
<<エチレン系樹脂>>
エチレン系樹脂は、上述したプロピレン系樹脂と同様、樹脂組成物を用いて形成される樹脂シートに成膜性、耐水性、耐久性、軽量性、物理的強度、及び光透過性を付与する。
エチレン系樹脂としては、例えば、密度が0.940~0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920~0.935g/cmの中密度ポリエチレン、密度が0.900~0.920g/cmの低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂等が挙げられる。これらエチレン系樹脂の結晶化度は通常、40~70%である。また、主成分となるエチレンと、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、エチレン-α-オレフィン共重合体を使用することもできる。またエチレン系樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体等を使用することもできる。これらの中でも、高密度ポリエチレンが好ましい。
(難燃剤)
難燃剤としては、樹脂シートに難燃効果を付与するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、NOR型HALS化合物、リン系化合物を用いるのが好ましく、前記両者を併用するのが特に好ましい。
<NOR型HALS化合物>
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、NOR型HALS化合物を含有することにより、これを含む樹脂組成物及び樹脂シートの燃焼時に優れたラジカル捕捉剤として機能し、燃焼反応を停止させる働きを示す。つまり、樹脂組成物及び樹脂シートに優れた難燃性を付与することができる。また、その他にも、紫外線等によるプロピレン系樹脂の劣化を抑制し、優れた耐候性の付与、高温環境下におけるプロピレン系樹脂の劣化が抑制され、耐熱性に優れた樹脂組成物及び樹脂シートを得ることができるという効果も合わせもつ。
NOR型HALS化合物としては、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有する化合物であれば特に限定されない。例えば、特表2002-507238号、国際公開第2005/082852号、国際公開第2008/003605号等の各公報に記載されているNOR型HALS化合物等が挙げられる。中でも、下記式(1)又は下記式(2)で表されるNOR型HALS化合物が好ましい。
Figure 2022027537000002
Figure 2022027537000003
(式(2)中、Rは下記式(2-1)で表される基である。)
Figure 2022027537000004
式(1)又は式(2)で表されるNOR型HALS化合物は、これを含む樹脂組成物及び樹脂シートの燃焼時に優れたラジカル捕捉剤として機能し、燃焼反応を停止させる働きを示す。つまり、樹脂組成物及び樹脂シートに優れた難燃性を付与することができる。
特に式(1)で表されるNOR型HALS化合物は、他のNOR型HALS化合物に比べて化合物自体が安定で、樹脂組成物や樹脂シートの着色をよく防止できるため、特に好ましい。
また、式(1)で表されるNOR型HALS化合物は、常温で液体であることから、プロピレン系樹脂との溶融混練時には、樹脂組成物中に均一に微分散され、優れた耐熱性及び難燃性を発揮しやすい。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物における、NOR型HALS化合物の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、通常0.1質量部以上であり、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また同含有量は、樹脂成分100質量部に対して、通常3質量部以下であり、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。NOR型HALS化合物の使用量が上記下限値より小さいと十分な難燃効果が得られず、一方、上記上限値より多いと効果に大きな差はないばかりか、ブリードアウトによるベタツキや費用増加等が発生する傾向にある。なお、NOR型HALS化合物は、単独で用いても2種を組み合わせて用いてもよい。
<リン系化合物>
リン系化合物は、難燃剤として、プロピレン系樹脂の燃焼時にその燃焼成分を炭化(チャー化)させ、固化させて、空気を遮断する被膜を形成することで、燃焼反応を停止させる働きと、NOR型HALS化合物と同様のラジカル捕捉剤としての働きと、リン系難燃剤の分解時に発生するホスフィンガスによる酸素濃度希釈の働きを示す。所定量のリン系化合物を、NOR型HALS化合物と併用すると、プロピレン系樹脂組成物及び樹脂シートに優れた難燃性を付与することができ、より好ましい。
リン系化合物としては、難燃効果を発揮するリン系化合物であれば特に制限なく、目的に応じて適宜使用することができるが、例えば、亜リン酸化合物、リン酸化合物、亜リン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物等を用いることができる。
また、本発明で用いるリン系化合物としては、引火点がないリン系化合物、あるいは引火点のあるリン系化合物のいずれのリン系化合物でも用いることができるが、好ましくは引火点があるリン系化合物、より好ましくは引火点が270℃以上のリン系化合物が挙げられる。また、引火点が270℃以上のリン系化合物の中でも、好ましくは引火点が320℃以上、より好ましくは360℃以上、さらに好ましくは400℃以上、特に好ましくは440℃以上のリン系化合物が挙げられる。リン系化合物の引火点が270℃以上であれば、プロピレン系樹脂組成物や樹脂シートに、より高い難燃性を付与することができる。
また、リン系化合物の加水分解度は、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。リン系化合物が加水分解されると、分子が細かくなるため、加水分解されたリン系化合物が樹脂中で動きやすくなり、延伸、加熱及び光照射時などに加水分解されたリン系化合物がブリードアウトしやすくなる。リン系化合物の加水分解度が上記上限以下であれば、難燃効果の低下や、ブリードアウトによる成形性・印刷適性の低下を抑制することができる。
リン系化合物が、亜リン酸化合物、リン酸化合物、亜リン酸エステル化合物、及びリン酸エステル化合物のいずれかから用いられる場合、これらの中でも亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物が好ましく、リン系化合物のブリードアウトを抑制する効果に優れるという観点からは亜リン酸エステル化合物がさらに好ましい。
亜リン酸エステル化合物としては、一般式P(OR又は後述する式(3)で表される亜リン酸エステル化合物が好ましい。
一般式P(ORにおいて、Rは置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC3~30シクロアルキル基、置換又は無置換のC6~30アリール基を示す。複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。これらの中でも、Rの少なくとも一つが、置換又は無置換のC6~30アリール基であることが好ましく、置換又は無置換のC6~15アリール基であることがより好ましく、置換基を有するC6~15アリール基であることが特に好ましい。アリール基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、tert-ブチル基等のC1~10アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のC1~10アルコキシ基等が挙げられ、好ましくはC1~5アルキル基である。置換基の数は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上であり、通常5以下、好ましくは3以下である。
下記式(3)で表される亜リン酸エステル化合物において、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC3~30シクロアルキル基、置換又は無置換のC6~30アリール基を示す。
Figure 2022027537000005
これらの中でも、R及びRは、各々独立に置換又は無置換のC6~30アリール基であることが好ましく、置換又は無置換のC6~15アリール基であることがより好ましく、置換基を有するC6~15アリール基であることが特に好ましい。
及びRが置換基を有するC6~15アリール基の場合、式(3)で表される亜リン酸エステル化合物は、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2022027537000006
式(4)中、R、R、R、R10、R12、R13、R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子又はC1~5アルキル基を示し、R、R11、R14及びR17は、それぞれ独立にC1~5アルキル基、C6~15アリール基又はアラルキル基を示す。アラルキル基は、C1~5アルキル基の水素原子の1つがC6~15アリール基で置換された置換基である。また、b1~b4は、それぞれ独立に0~3の整数を示す。R、R、R、R10、R12、R13、R15及びR16はメチル基が好ましく、b1~b4は0が好ましい。
式(3)又は(4)で表される亜リン酸エステル化合物の具体例としては、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト等が挙げられる。
リン酸エステル化合物の具体例としては、主骨格にペンタエリスリトールと2つのリン酸とのエステル構造を有する化合物;ジエチルアルミニウムホスフィネート;フェノール、4,4'-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノールおよびトリクロロホスフィン=オキシドの反応生成物;芳香族ホスホン酸エステル;レソルシノール-ビス-ジフェニルホスフェート;メチル-エチル-アルミニウムホスフィネート等が挙げられる。
なお、上述したリン系化合物の加水分解度[質量%]とは、相対湿度95%・50℃の加湿加温条件下で、リン系化合物5gを500時間静置した際の、リン系化合物の質量増加割合である。この値は、リン系化合物の加水分解のしやすさの指標であり、値が大きいほど加水分解しやすいことを示す。
リン系化合物が加水分解されると難燃効果の低下や、ブリードアウトによる成形性・印刷適性の低下が起こり得るため、リン系化合物の加水分解度の値は小さい方が好ましい。
上記のリン系化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物におけるリン系化合物の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上である。また、同含有量は、樹脂成分100質量部に対して、7質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である。
リン系化合物の含有量が上記下限以上であると、NOR型HALS化合物との併用により、プロピレン系樹脂組成物の耐熱性、及び樹脂シートの難燃性を向上させることができる。また、リン系化合物の含有量が上記上限以下であると、樹脂シート中のリン系化合物のブリードアウトをより低減できるため、樹脂シートのベタツキを抑制でき、成形性に優れる。
つまり、リン系化合物の含有量を所定範囲とすることで、プロピレン系樹脂組成物の耐熱性、樹脂シートの難燃性及びリン系化合物のブリードアウト抑制効果のバランスが図れる。
<NOR型HALS化合物とリン系化合物との含有量比>
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物において、NOR型HALS化合物の含有量に対するリン系化合物の含有量の比[(リン系化合物の含有量)/(NOR型HALS化合物の含有量)]は、質量基準で、好ましくは1以上、より好ましくは1.03以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは6以下、特に好ましくは4以下である。つまり、NOR型HALS化合物の含有量に対して、相対的にリン系化合物の含有量が同等以上である方が好ましい傾向にある。NOR型HALS化合物の含有量に対するリン系化合物の含有量の比が上記範囲内であると、難燃性が特に向上する。NOR型HALS化合物の含有量に対するリン系化合物の含有量の比が上記下限以上であると、プロピレン系樹脂組成物や樹脂シートにより高い難燃性を付与することができる。また、上記上限以下であると配合量に応じた効果が得られるため経済的であり、またリン系化合物のブリードアウトも抑制できるため好ましい。
(その他の成分)
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、その用途に応じて、上記樹脂成分及び上記難燃剤以外のその他の成分を含有してもよい。
例えば、無機フィラー、有機フィラー、分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、滑剤等の公知の添加剤を配合してもよい。
<無機フィラー>
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、通常、無機フィラーを配合することが好ましい。例えば、樹脂シートの白色性又は不透明性を向上させるために酸化チタンを配合すること、又は、樹脂シートの延伸時の多孔化核材として炭酸カルシウムを配合することが望ましい。
無機フィラーを配合した本発明の延伸樹脂シートは、いわゆる合成紙として用いることができる。
無機フィラーの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、樹脂シートの白色性又は不透明性の向上や、多孔化をさせやすい。また、無機フィラーの含有量が上記上限以下であると、難燃性の低下を抑制しやすい。
無機フィラーの具体例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、ゼオライト、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素等の微細粉末、中空ガラスビーズ等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン又は炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム若しくは軽質炭酸カルシウム)が特に好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は目的により適宜選択することができ、通常、0.1μm以上、10μm以下である。
<分散剤>
分散剤は、例えば、樹脂組成物中に上記の無機フィラーを高分散させる目的で用いられる。分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、これらの塩等を例示することができる。
分散剤の含有量は特に限定されないが、無機フィラーの含有量に応じて、例えば、樹脂成分100質量部に対して、0.01~5質量部の範囲で配合することが好ましい。分散剤の含有量が0.01質量部以上であると、プロピレン系樹脂中に無機フィラーが均一に微分散されやすく、また、難燃性の低下を抑制しやすい傾向にある。また、分散剤の含有量が5質量部以下であると、余剰な分散剤によるベタツキ及び光透過性の阻害を防ぎやすい。
(延伸樹脂シートの特性)
<シート構成>
本発明の延伸樹脂シートは、上記プロピレン系樹脂組成物を成形し延伸することにより得られた層を含む。尚、延伸樹脂シートの製造方法については、以下で詳しく説明する。
延伸樹脂シートは、上記層を含むのであれば、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
延伸樹脂シートが多層構造である場合、各層を構成するプロピレン系樹脂組成物は同一であっても、異なっていてもよい。例えば、最外層におけるリン系化合物の含有量が比較的大きければ、延伸樹脂シートの難燃性が向上しやすい。
本発明の延伸樹脂シートにおける延伸軸数としては、一方向であっても二方向以上であってもよい。
本発明の延伸樹脂シートの厚みは、所望性能に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、延伸樹脂シートの厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。延伸樹脂シートの厚みが上記下限以上であると、樹脂シートは十分な機械的強度を有し、樹脂シートの延伸成形又は使用の際の破断を防止しやすい。また延伸樹脂シートの厚みが上記上限以下であると、樹脂シートが重くなりすぎず、取り扱いが容易になる傾向にある。
なお、延伸樹脂シートの厚みは、JIS K7130:1999に準拠して測定した値である。例えば、延伸樹脂シートの厚みは、定圧厚さ測定器(機器名:PG-01J、テクロック社製)を用いて、JIS K7130:1999に従い、求めることができる。
延伸樹脂シートが多層構造の場合には、複数の層全体として測定した値である。延伸樹脂シートが多層構造の場合の各層の厚みは、電子顕微鏡を用いてその断面を観察し、外観より層間の界面を判断して厚み比率を求め、上記測定した延伸樹脂シート全体の厚みと各層の厚み比率の積から算出する。
<結晶化度>
本発明の延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度は、60~90%を示す。
ポリプロピレンとして一般に用いられている結晶化度が40%以上51%未満の汎用ポリプロピレンからなるプロピレン系樹脂を使用して、延伸樹脂シートを形成した場合、該延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度は、おおよそ53~58%を示す。樹脂シートの成形条件や延伸条件によって、結晶化度の値は多少変わるが、高くても58%程度である。
しかし、汎用ポリプロピレンの一部を結晶化度が51%以上の高結晶ポリプロピレンに変えて、高結晶ポリプロピレンを含有するプロピレン系樹脂を形成し、該高結晶ポリプロピレンを含有するプロピレン系樹脂を使用して、延伸樹脂シートを形成した場合には、該延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度は、60~90%になる。
下記実施例から明らかなように、高結晶ポリプロピレンを含有する延伸樹脂シートであって、延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度が60%以上と高い値を示す延伸樹脂シートは、高結晶ポリプロピレンを含有しておらず、ポリプロピレン成分の結晶化度が低い値を示す延伸樹脂シートに比べて、優れた難燃性を示す。
プロピレン系樹脂中に高結晶ポリプロピレンを含有させることにより、延伸樹脂シートの難燃性が向上する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測する。結晶化度が高い樹脂は通常の樹脂と比べて、結晶部分をほどくことに余計に熱量が必要であるため、融点や熱容量が大きくなる。このため、相対的に燃焼を防止する効果があり、高結晶ポリプロピレンを含有させることで、難燃性が発揮されると思われる。
尚、一般にポリエチレンの結晶化度はポリプロピレンに比べて高い。そこで、プロピレン系樹脂組成物に結晶化度の高いエチレン系樹脂を含有させ、延伸樹脂シートにおける難燃性への影響を確認したが、ポリエチレンはポリプロピレンに比べ燃えやすい樹脂であるためか、ポリエチレンの結晶化度の高いものを多く含有させ、プロピレン系樹脂組成物全体の結晶化度を上げても、延伸樹脂シートにおける難燃性への影響は変わらなかった。
一方、実施例でも示す通り、プロピレン系樹脂中に高結晶ポリプロピレンを含有させ延伸樹脂シートのポリプロピレン成分の結晶化度を上げると、延伸樹脂シートの難燃性を向上させることができる。
そこで、本発明では、延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度を規定する。
延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度は、60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは69%以上であり、さらに好ましくは74%以上である。また、同結晶化度は、上限値は特に存在しないが、通常90%以下である。
ポリプロピレン成分の結晶化度が上記範囲内にあると、延伸樹脂シートがより高い難燃性の効果を示すことができる。
<<樹脂シートにおける、ポリプロピレン成分の結晶化度の測定方法>>
延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度は、X線回折法を用いて測定する。
以下、X線回折法を用いて延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度を測定する方法について詳しく説明する。
X線回折装置(例えば、スペクトリス社製 EMPYREAN)を用いて測定を行う。測定試料をX線回折装置に設置して、試料の回折ピーク(回折プロファイル)を測定することで、全ピーク面積に対する結晶成分のピーク面積の比から結晶化度を算出する。
[延伸樹脂シートの製造方法]
本発明の延伸樹脂シートの製造方法は、プロピレン系樹脂と難燃剤とを含むプロピレン系樹脂組成物を出発原料とし、常法に従って、溶融押出成形によりシートを成形した後、延伸工程を経ることにより、延伸樹脂シートを製造する。
なお、溶融押出成形を行う前に、出発原料であるプロピレン系樹脂組成物をペレット化して、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂ペレット(以下、プロピレン系樹脂ペレットともいう)としてもよい。
本発明の延伸樹脂シートの製造方法の好ましい実施態様としては、下記(I)~(III)の工程:
(I)プロピレン系樹脂ペレットを用意する工程、
(II)溶融押出成形工程、
(III)延伸工程、
を含む延伸樹脂シートの製造方法が挙げられる。
上記(I)のプロピレン系樹脂ペレットを用意する工程とは、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分と難燃剤とを含有するプロピレン系樹脂組成物からなる成形加工原料を混練し、混練工程を経た混練物の造粒物(ペレット)を作製する工程をいう。
上記(II)の溶融押出成形工程とは、上記(I)で得られたペレットを溶融混練した後、混練物をシート状に押し出すことで無延伸の樹脂シートを成形する工程をいう。
上記(III)の延伸工程は、無延伸の樹脂シートを、少なくとも一軸方向に延伸する工程をいう。
以下、それぞれの工程について、詳しく説明する。
<(I)工程:プロピレン系樹脂ペレットを用意する工程>
プロピレン系樹脂組成物からなる成形加工原料を混練し、混練物であるプロピレン系樹脂ペレットを作製する。
プロピレン系樹脂ペレットを構成する、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分、難燃剤、その他プロピレン系樹脂組成物に含有される各構成成分やその含有量は、上記[延伸樹脂シート]の各項目で説明したとおりである。
プロピレン系樹脂ペレットに含まれているプロピレン系樹脂は、上記<<高結晶ポリプロピレン>>の欄で説明したとおり、結晶化度が51%以上の高結晶ポリプロピレンと結晶化度が51%未満の汎用ポリプロピレンとを含む。プロピレン系樹脂における、高結晶ポリプロピレンの含有量は、同<<高結晶ポリプロピレン>>の欄で記載したとおりである。
上記(I)のプロピレン系樹脂ペレットを用意する製造工程の好ましい実施態様としては、例えば、下記(I-i)の製造工程が挙げられる。
(I-i)プロピレン系樹脂原料を主成分として、難燃剤を配合し、押出混練機にて溶融混練し(プロピレン系樹脂にこれらの成分以外の他の成分も含む場合には、他の成分も一緒に混練する)、得られた混練物をストランド状に押し出して、冷却後にカッターで切断して、プロピレン系樹脂ペレットを作製する。
また、上記(I-i)において、プロピレン系樹脂原料を用意する際、下記(I-ii)に記載する製造工程のように、前もって、高結晶ポリプロピレンを用意し、これらをブレンドしてもよい。
(I-ii)高結晶ポリプロピレンをブレンドしたプロピレン系樹脂原料を主成分として、難燃剤を配合し、押出混練機にて溶融混練し、得られた混練物をストランド状に押し出して、冷却後にカッターで切断して、プロピレン系樹脂ペレットを作製する。
樹脂シートが多層構造の場合には、各層に応じた各層形成用のプロピレン系樹脂ペレットを作製すればよい。
なお、溶融混練に際しての加熱温度は、押出機のシリンダー温度として通常180~300℃程度、特に圧縮ゾーンでのシリンダー温度として通常200~250℃程度であり、吐出される樹脂温度は通常200~250℃である。
<(II)工程:溶融押出成形工程>
次いで、得られた樹脂ペレットを溶融混練した後、混練物をシート状に押し出すことで無延伸の樹脂シートを成形する。
上記(II)の溶融押出成形工程する製造工程の好ましい実施態様としては、例えば、下記(II-i)の製造工程が挙げられる。
(II-i)得られたペレットを、押出機のフィーダーに投入し、溶融混練した後、押出機でTダイに対して混練物を押し出すことにより、ダイからシート状の無延伸の樹脂シートを吐出させる。
また、延伸樹脂シートが、多層構造の樹脂シートである場合は、フィードブロック又はマルチマニホールドを使用した多層ダイスを用いる共押出方式や、複数のダイスを使用する押出ラミネーション方式等により複数の樹脂シートが積層した多層樹脂シートを製造することができる。さらに多層ダイスによる共押出方式と押出ラミネーション方式を組み合わせる方法により樹脂シートを製造することもできる。
<(III)工程:延伸工程>
得られた無延伸の樹脂シートを、ロールやテンター等を用いて、少なくとも一軸方向に延伸し、延伸樹脂シートを作製する。
また、必要によりアニーリング処理(熱処理)し、続いて耳部をスリットすることにより、延伸樹脂シートを得てもよい。
樹脂シートの延伸は、公知の種々の方法によって行うことができる。具体的には、ロール群の周速差を利用した縦延伸方法、テンターオーブンを使用した横延伸方法、上記縦延伸と横延伸とを正順又は逆順に行う逐次2軸延伸方法、圧延方法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸方法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸方法等を挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法であるチューブラー法による同時2軸延伸方法を挙げることができる。
延伸時の温度は、特に限定されず、プロピレン系樹脂の延伸に好適な温度範囲内で実施することができる。具体的には、プロピレン系樹脂の融点より、2~15℃以上低い温度で行うことが好ましい。例えば、プロピレン系樹脂組成物が無機フィラーを含有する場合、当該プロピレン系樹脂組成物をプロピレン系樹脂の融点より低い温度で延伸することで、無機フィラー等を核とした空孔を内包した延伸樹脂シートが得られる。この場合、樹脂シートは、適度な不透明性及び軽量性を有するシートとなる。また延伸は、樹脂シートに用いる主要な(質量比で最も多く用いる)プロピレン系樹脂のガラス転移点温度以上であって、プロピレン系樹脂の結晶部の融点より1~70℃低い温度で行ってもよく、融点より1℃低い温度から2℃高い温度の範囲で行ってもよい。
樹脂シートの延伸倍率は、特に制限されず、得られる延伸樹脂シートの特性等を考慮して、適宜決定すればよい。縦1軸延伸時の延伸倍率は、2倍より大きいことが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましく、10倍以下であることが好ましく、8倍以下であることがより好ましく、6倍以下であることがさらに好ましい。また、横1軸延伸時の延伸倍率は、2倍より大きいことが好ましく、4倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることがさらに好ましく、20倍以下であることが好ましく、12倍以下であることがより好ましく、10倍以下であることがさらに好ましい。
また、2軸方向に延伸する場合には、面積延伸倍率(縦倍率と横倍率の積)で、4倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、20倍以上であることがさらに好ましく、70倍以下であることが好ましく、60倍以下であることがより好ましく、50倍以下であることがさらに好ましい。
延伸樹脂シートが多層構造である場合、各層を構成する延伸樹脂シートの延伸軸数、延伸倍率は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、単層構造の延伸樹脂シートの好ましい製造方法について説明する。
まず、プロピレン系樹脂組成物を、押出混練機にて溶融混練し、得られた混練物をストランド状に押し出して、冷却後にカッターで切断して、プロピレン系樹脂ペレットを作製する。得られたプロピレン系樹脂ペレットを、押出機のフィーダーに投入し、溶融混練した後、押出機でTダイに対して混練物を押し出し、ダイからシート状の無延伸の樹脂シートを吐出させ、これを冷却装置にてプロピレン系樹脂の融点より低い温度、例えば40~85℃まで冷却して単層の無延伸樹脂シートを得る。次に、この無延伸樹脂シートを、プロピレン系樹脂の融点よりも2~15℃以上低い延伸温度で、縦方向に3~10倍延伸する。これにより、縦方向に配向した1軸延伸樹脂シートが得られる。続いて、この1軸延伸樹脂シートを、プロピレン系樹脂の融点よりも2℃~15℃以上低い延伸温度で、横方向に4~12倍延伸する。これにより、2軸延伸樹脂シートが得られる。
<熱処理>
延伸後の樹脂シートには、熱処理を行うことが好ましい。熱処理の温度は、プロピレン系樹脂の融点より、1~15℃以上高い温度で行うことが好ましい。熱処理を行うことにより、プロピレン系樹脂の非晶部分の結晶化が促進されて延伸方向への熱収縮率が低減し、樹脂シートの寸法変化が少なくなる。熱処理の方法はロール加熱又は熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組み合わせてもよい。
<表面処理>
延伸後の樹脂シートには、表面処理を行ってもよい。表面処理を行うことにより、延伸樹脂シートの二次加工適性を向上させることができる。表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理等の酸化処理等が挙げられる。また、延伸後の樹脂シートに対して酸化処理を行った後に、アンカー剤及び帯電防止剤の塗布を行ってもよい。
[延伸樹脂シートの用途]
本発明の延伸樹脂シートの用途は特に限定されないが、特に、印刷用紙、ラベル用紙、反射シート等の用途に好適に利用可能である。
印刷が施される用途としては、例えば建材として用いられる難燃壁紙、店舗等に用いられる防炎ポスター、電飾ポスター、ポップ等が挙げられる。ラベル又はシールの用途としては、例えば店舗に用いられる店舗ステッカー、自動車等に用いられるタグラベルやハーネス、鉄道車両等に用いられるガラスステッカー等が挙げられる。光反射機能が求められる用途としては、例えば液晶ディスプレイ用の光反射シート、電飾看板用の光反射シート、室内照明用の光反射シート、農業用マルチシート、撮影用レフ板、コピー機の裏蓋等が挙げられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその技術的思想の範囲を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY6、日本ポリプロ社製)である汎用ポリプロピレンを用意した。尚、プロピレン単独重合体:ノバテックPP FY6の結晶化度は、DSC法による測定の結果、50.7%であった。
高結晶ポリプロピレン(商品名:ノバテックPP MA3U、日本ポリプロ社製)を用意した。尚、高結晶ポリプロピレン:ノバテックPP MA3Uの結晶化度は、DSC法による測定の結果、57%であった。
表1に記載の汎用ポリプロピレン71.28質量部、高結晶ポリプロピレン12.5質量部、高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHP HJ381、日本ポリプロ社製)10質量部、式(1)で表される化学構造を有するNOR型HALS化合物(商品名:アデカスタブ LA-81、アデカ社製)0.6質量部、リン系化合物(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:イルガフォス-168、BASFジャパン社製))0.62質量部、及び無機フィラー(ルチル型二酸化チタン微細粉末(商品名:タイペーク CR-60、石原産業社製))5質量部を、スーパーミキサーで混合し、実施例1のプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン系樹脂組成物を230℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、混練物をダイよりストランド状に押し出し、これを水槽中で冷却した後にペレタイザーでカットして、プロピレン系樹脂ペレットを得た。
次いで、得られたペレットを230℃に設定した押出機を用いて再び溶融混練し、混練物をTダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて60℃まで冷却して単層の無延伸樹脂シートを得た。
次いで、この無延伸樹脂シートを143℃まで加熱した後、多数のロール群の周速差を利用したロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に4.2倍の延伸倍率で1軸延伸し、その後60℃にて冷却して1軸延伸された延伸樹脂シートを得た。
次いで、この1軸延伸された延伸樹脂シートを、テンターオーブンを用いて160℃まで再加熱し、テンター延伸機を用いたクリップ延伸法にて延伸樹脂シートの幅方向(横方向)に8.5倍の延伸倍率で延伸し、クリップで保持したままさらにオーブンで、160℃で2秒間アニーリング処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして、逐次2軸延伸された単層の延伸樹脂シートを得、これを実施例1の延伸樹脂シートとした。実施例1の延伸樹脂シートの厚みは100μmであった。また、同シートの搬送速度は、120m/分に制御した。
上記のプロピレン系樹脂原料及び延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度をそれぞれ下記の測定法により測定した。結果を表1に示す。
<プロピレン系樹脂原料におけるポリプロピレン成分の結晶化度の測定方法>
プロピレン系樹脂10gを示差走査熱量測定装置にセットし、10℃/分の昇温層度で200℃まで昇温することで、温度[℃]と融解熱量[J/g]の関係(DSC曲線)を得た。得られたDSC曲線と、結晶化度が100%の際のDSC曲線を比較し、融解熱量[J/g]の差からプロピレン系樹脂の結晶化度を算出した。
<延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度の測定方法>
回転試料ステージを付属装置として有する、X線回折装置(スペクトリス社製 EMPYREAN)を用いて測定を行った。
作製した延伸樹脂シートを、試料ホルダーに適したサイズに切り出して試料ホルダーに固定した後、試料ホルダーを回転させながら広角X線透過法による回折プロファイル測定(全透過測定)を出力45kV40mAで実施し、結晶化度を算出した。なお、用いたX線源はCuKα、検出器はPIXcel3Dである。
上記で得られた延伸樹脂シートについて、下記の評価手法及び評価基準に従って難燃性の評価を行った。
<難燃性評価1(UL-94 VTM試験)>
上記で得られた延伸樹脂シートの難燃性を、UL94 VTM試験に準拠して測定した。
具体的には、上記得られた延伸樹脂シートを、50mm×200mmサイズの短形に切り取り、延伸樹脂シート片を得た。その延伸樹脂シート片を温度23℃相対湿度50%の条件下で48時間以上静置した。その延伸樹脂シート片の長辺の下端から125mmの位置に標線を記した。その後、その延伸樹脂シート片の長辺の下端から125mm~200mmの範囲にテープを貼り付けて、直径13mmになるように短辺を丸めて接着し、筒状延伸樹脂シート片を得た。得られた筒状延伸樹脂シート片を試験片とした。試験片の上端をクランプで挟んで吊るし、下端から300mm下の位置に0.05g以下の100%綿を置いた。口径が10mmのバーナーを用い、105mL/分かつ20mmの青い炎で、炎の先端から10mmの高さの位置に試験片の下端が位置するように接炎した。3秒間の接炎を行った後、標線まで試験片の溶融が達するか否かと、試験片についた火が消えるまでにかかった時間t1と、試験片の下に置いた100%綿が燃えたか否か、を確認した。1回目の接炎において、試験片の溶融が標線まで達しなかった場合は、同試験片に対して、2回目の接炎を1回目同様に行い、1回目同様の確認(2回目の接炎によって試験片についた火が消えるまでにかかった時間はt2とする)を行った。上述した、樹脂シートを短形に切り取ることから始まる一連の作業を、同一樹脂シートにおいて5回行った。この5回を1セットとする。
t1とt2の合計時間をT1、T1の5回分(1セット)の合計をT2と定義し、下記の基準で評価した。
<<評価基準>>
A+:試験片の溶融が標線まで到達せず、t1及びt2がいずれも3秒以下かつT2が25秒以下であり、試験片下に置いた綿が燃えない
A :試験片の溶融が標線まで到達せず、t1及びt2において3秒より大きいサンプルが最低1つはあり、かつT2が25秒以下であり、試験片下に置いた綿が燃えない
B+:試験片の溶融が標線まで到達せず、t1及びt2がいずれも10秒以下、かつT2が25秒より大きく50秒以下で、t1及びt2において3秒以下のサンプルが最低1つはあり、試験片下に置いた綿が燃えない
B :試験片の溶融が標線まで到達せず、t1及びt2がいずれも10秒以下、かつT2が25秒より大きく50秒以下であり、試験片下に置いた綿が燃えない
B-:試験片の溶融が標線まで到達せず、t1及びt2がいずれも10秒以下、かつT2が25秒より大きく50秒以下であり、試験片下に置いた綿が燃えない、尚、B-は、5回測定するうち1つにおいて綿が燃焼したため、VTM UL94に従って、追加の1セットを再測定することになったものである。
C :試験片の溶融が標線まで到達せず、t1及びt2がいずれも30秒以下かつT2が250秒以下であり、試験片下に置いた綿が燃えない
D :試験片の溶融が標線まで到達せず、試験片下に置いた綿が燃える
E :試験片の溶融が標線まで到達(綿が燃焼せずとも不可となる)
上記で得られた延伸樹脂シートのUL94 VTM試験による難燃性の評価結果を下記表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分を、表1に記載の割合に変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例2のプロピレン系樹脂ペレット及び延伸樹脂シートを得た。
得られた延伸樹脂シートを用いて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、高結晶ポリプロピレンを含有させず、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分を、表1に記載の割合に変更した以外は、実施例1と同様の手順により比較例1のプロピレン系樹脂ペレット及び延伸樹脂シートを得た。
得られた延伸樹脂シートを用いて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分を、表2に記載の成分及び割合に変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例3のプロピレン系樹脂ペレット及び延伸樹脂シートを得た。
実施例3では、実施例1で用いたリン系化合物を変更した。実施例3では、リン系化合物として、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:ドーバーフォス S-9228、Dover Chemical社製)を用いた。
得られた延伸樹脂シートを用いて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例4~6>
実施例3において、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分を、表2に記載の割合に変更した以外は、実施例3と同様の手順により実施例4~6のプロピレン系樹脂ペレット及び延伸樹脂シートを得た。
得られた各延伸樹脂シートを用いて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例3において、高結晶ポリプロピレンを含有させず、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分を、表2に記載の割合に変更した以外は、実施例3と同様の手順により比較例2のプロピレン系樹脂ペレット及び延伸樹脂シートを得た。
得られた延伸樹脂シートを用いて、実施例3と同様の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
なお、表1及び表2では、NOR型HALS化合物、リン系化合物、及び無機フィラーを略号で示している。各略号に対応するNOR型HALS化合物、リン系化合物、及び無機フィラーは下記の通りである。
LA81:ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート(商品名:アデカスタブ LA-81、アデカ社製)
S9228:ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:ドーバーフォス S-9228、Dover Chemical社製)
Irg168:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:イルガフォス-168、BASFジャパン社製)
TiO:ルチル型二酸化チタン微細粉末(商品名:タイペーク CR-60、石原産業社製)
Figure 2022027537000007
Figure 2022027537000008
実施例1~6及び比較例1~2の延伸樹脂シートの評価結果から、プロピレン系樹脂中に高結晶ポリプロピレンを含有させると、延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度を60%以上に上げることができ、このようにポリプロピレン成分の結晶化度が高い延伸樹脂シートは、高結晶ポリプロピレンを含まない延伸樹脂シートに比べ、優れた難燃性を示すことが確認できた。
本発明により、難燃剤を配合したプロピレン系樹脂組成物を成形してなる樹脂シートにおいて、より高い難燃性を示す樹脂シートを提供することができる。

Claims (11)

  1. 難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含有する延伸樹脂シートであって、
    前記延伸樹脂シートにおけるポリプロピレン成分の結晶化度が60~90%であることを特徴とする、延伸樹脂シート。
  2. 前記難燃剤が、NOR型HALS化合物を含む、請求項1に記載の延伸樹脂シート。
  3. 前記難燃剤が、NOR型HALS化合物とリン系化合物とを含む、請求項2に記載の延伸樹脂シート。
  4. 前記樹脂成分100質量部に対して、前記NOR型HALS化合物の含有量が0.1~3質量部である、請求項2又は3に記載の延伸樹脂シート。
  5. 前記樹脂成分100質量部に対して、前記リン系化合物の含有量が0.1~7質量部である、請求項3~4の何れか一項に記載の延伸樹脂シート。
  6. 前記NOR型HALS化合物の含有量に対する前記リン系化合物の含有量の比が、質量基準で1~30である、請求項3~5の何れか一項に記載の延伸樹脂シート。
  7. 前記NOR型HALS化合物が、下記式(1)で表されるNOR型HALS化合物である、請求項2~6の何れか一項に記載の延伸樹脂シート。
    Figure 2022027537000009
  8. 難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含むプロピレン系樹脂組成物を用いて、溶融押出することによりシート状に成形し、次いで、延伸して延伸樹脂シートを製造する延伸樹脂シートの製造方法であって、
    前記プロピレン系樹脂の結晶化度が51~55%であることを特徴とする、延伸樹脂シートの製造方法。
  9. 前記延伸する工程において、樹脂シートの延伸が2軸延伸である、請求項8記載の延伸樹脂シートの製造方法。
  10. 前記2軸延伸において、縦方向の延伸倍率が2倍より大きく10倍以下であり、かつ横方向の延伸倍率が2倍より大きく20倍以下である、請求項9に記載の延伸樹脂シートの製造方法。
  11. 難燃剤と、プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分とを含有する樹脂ペレットであって、
    前記プロピレン系樹脂の結晶化度が51~55%であることを特徴とする、樹脂ペレット。
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