JPWO2018216587A1 - 気密パッケージの製造方法及び気密パッケージ - Google Patents
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Abstract
本発明の気密パッケージの製造方法は、セラミック基体を用意すると共に、セラミック基体上に第一の封着材料層を形成する工程と、ガラス蓋を用意すると共に、ガラス蓋上に第二の封着材料層を形成する工程と、第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触するように、セラミック基体とガラス蓋を積層配置する工程と、ガラス蓋側からレーザー光を照射し、第一の封着材料層と第二の封着材料層を軟化変形させることにより、第一の封着材料層と第二の封着材料層を気密封着して、気密パッケージを得る工程と、を備えることを特徴とする。
Description
本発明は、気密パッケージの製造方法及び気密パッケージに関し、具体的には、レーザー光を用いた封着処理(以下、レーザー封着)により、セラミック基体とガラス蓋を気密封着する気密パッケージの製造方法及びその方法で作製された気密パッケージに関する。
気密パッケージは、一般的に、セラミック基体と、光透過性を有するガラス蓋と、それらの内部に収容される内部素子と、を備えている。
気密パッケージの内部に実装されるセンサーチップ等の内部素子は、周囲環境から浸入する水分により劣化する虞がある。従来まで、セラミック基体とガラス蓋とを一体化するために、低温硬化性を有する有機樹脂系接着剤が使用されていた。しかし、有機樹脂系接着剤は、水分や気体を完全に遮蔽できないため、内部素子を経時的に劣化させる虞がある。
一方、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含む封着材料を用いると、封着部分が周囲環境の水分で劣化し難くなり、気密パッケージの気密信頼性を確保し易くなる。
しかし、ガラス粉末は、有機樹脂系接着剤よりも軟化温度が高いため、封着時に内部素子を熱劣化させる虞がある。このような事情から、近年、レーザー封着が注目されている。レーザー封着によれば、封着すべき部分のみを局所的に加熱することが可能であり、内部素子を熱劣化させることなく、セラミック基体とガラス蓋とを気密一体化することができる。
ところで、セラミック基体とガラス蓋とをレーザー封着する場合、ガラス基体とガラス蓋とをレーザー封着する場合に比べて、セラミック基体の熱伝導度が高く、レーザー封着時にセラミック基体の温度が上昇し難いため、封着材料層とセラミック基体が反応し難く、レーザー封着強度を確保し難いという問題がある。
一方、レーザー光の出力を高くすると、封着材料層とセラミック基体の反応性を高めることができるが、その場合、ガラス蓋において局所的に加熱された封着材料層に接する部分と局所的に加熱されていない部分で大きな温度差が生じるため、ガラス蓋がサーマルショックで破損し易くなり、気密パッケージ内の気密信頼性を確保できないという問題が生じる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、セラミック基体とガラス蓋をレーザー封着する場合に、レーザー封着強度と気密信頼性を高いレベルで両立し得る気密パッケージの製造方法を創案することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、セラミック基体上に第一の封着材料層、ガラス蓋上に第二の封着材料層を形成した後、第一の封着材料層と第二の封着材料層を接触させた状態でレーザー封着を行うと、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の気密パッケージの製造方法は、セラミック基体を用意すると共に、セラミック基体上に第一の封着材料層を形成する工程と、ガラス蓋を用意すると共に、ガラス蓋上に第二の封着材料層を形成する工程と、第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触するように、セラミック基体とガラス蓋を積層配置する工程と、ガラス蓋側からレーザー光を照射し、第一の封着材料層と第二の封着材料層を軟化変形させることにより、第一の封着材料層と第二の封着材料層を気密封着して、気密パッケージを得る工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の気密パッケージの製造方法は、セラミック基体上に第一の封着材料層、ガラス蓋上に第二の封着材料層を形成した後、第一の封着材料層と第二の封着材料層を接触させた状態でレーザー封着を行うことを特徴にしている。このようにすれば、レーザー封着前に、電気炉焼成等によりセラミック基体とガラス蓋上に封着材料層が形成されるため、セラミック基体の表層に強固な反応層を形成し得ると共に、ガラス蓋の表層にも強固な反応層を形成することができる。またレーザー封着時に、第一の封着材料層と第二の封着材料層の双方が軟化流動して溶け合うため、セラミック基体とガラス蓋とを容易に気密一体化することができる。更にレーザー封着時の局所加熱温度を低温化し得るため、ガラス蓋がサーマルショックで破損し難くなるだけでなく、内部素子に対して熱伝導により伝搬する熱を軽減することができる。結果として、気密パッケージのレーザー封着強度と気密信頼性を同時に高めることができ、且つ内部素子の熱劣化を防止することができる。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、第一の封着材料層が、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有し、且つ第二の封着材料層が、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有することが好ましい。ビスマス系ガラス、特にガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスは、他のガラス系と比較して、レーザー封着の際に、セラミック基体の表層に反応層を形成し易いという特長を有する。また、耐火性フィラー粉末を導入すると、封着材料層の機械的強度を高めることができ、且つ封着材料層の熱膨張係数を低下させることができる。銀リン酸系ガラスとテルル系ガラスは、ビスマス系ガラスと比較して、低温で軟化流動し易く、レーザー封着後に生じる熱歪みを低減し得るため、熱的信頼性及び機械的信頼性を高めることができるという特長を有する。更に、銀リン酸系ガラスとテルル系ガラスは、ビスマス系ガラスと同様に、耐火性フィラー粉末を混合すると、封着材料層の機械的強度を高めることができ、且つ封着材料層の熱膨張係数を低下させることができる。ここで、「ビスマス系ガラス」とは、Bi2O3を主成分とするガラスを指し、具体的にはガラス組成中にBi2O3を25モル%以上含むガラスを指す。「銀リン酸系ガラス」とは、Ag2OとP2O5を主成分とするガラスを指し、具体的にはガラス組成中にAg2OとP2O5を合量で20モル%以上含むガラスを指す。「テルル系ガラス」とは、TeO2を主成分とするガラスを指し、具体的にはガラス組成中にTeO2を20モル%以上含むガラスを指す。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、第一の封着材料層の平均厚みを8.0μm未満、第二の封着材料層の平均厚みを8.0μm未満、且つ第一の封着材料層の平均厚みと第二の封着材料層の平均厚みの合計を15.0μm未満に規制することが好ましい。このようにすれば、レーザー封着後の気密パッケージ内での残留応力が小さくなるため、気密パッケージの気密信頼性を高めることができる。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、第一の封着材料層の平均幅を2000μm未満、且つ第二の封着材料層の平均幅を2000μm未満に規制することが好ましい。このようにすれば、レーザー封着後の気密パッケージ内での残留応力が小さくなるため、気密パッケージの気密信頼性を高めることができる。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、基部と基部上に設けられた枠部とを有するセラミック基体を用い、枠部の頂部に第一の封着材料層を形成することが好ましい。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、更に、第一の封着材料層の表面を研磨する工程を備えることが好ましい。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、セラミック基体が、ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの何れか、或いはこれらの複合材料であることが好ましい。
また、本発明の気密パッケージの製造方法は、セラミック基体の枠部内に、センサー素子又はLED素子を収容することが好ましい。
本発明の気密パッケージは、セラミック基体とガラス蓋とを有する気密パッケージにおいて、セラミック基体が、基部と基部上に設けられた枠部とを有し、セラミック基体の枠部の頂部上に、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有する第一の封着材料層が形成されており、ガラス蓋上に、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有する第二の封着材料層が形成されており、且つ第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触配置された状態で気密一体化されていることを特徴とする。
また、本発明の気密パッケージは、第一の封着材料層が、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスを含有し、且つ第二の封着材料層が、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスを含有することが好ましい。
また、本発明の気密パッケージは、第一の封着材料層の平均厚みが8.0μm未満であり、第二の封着材料層の平均厚みが8.0μm未満であり、且つ第一の封着材料層の平均厚みと第二の封着材料層の平均厚みの合計が15.0μm未満であることが好ましい。
また、本発明の気密パッケージは、第一の封着材料層の平均幅が2000μm未満であり、且つ第二の封着材料層の平均幅が2000μm未満であることが好ましい。
また、本発明の気密パッケージは、セラミック基体が、ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの何れか、或いはこれらの複合材料であることが好ましい。
また、本発明の気密パッケージは、セラミック基体の枠部内に、センサー素子又はLED素子が収容されていることが好ましい。
本発明の気密パッケージの製造方法は、セラミック基体を用意すると共に、セラミック基体上に第一の封着材料層を形成する工程と、ガラス蓋を用意すると共に、ガラス蓋上に第二の封着材料層を形成する工程とを有する。
セラミック基体は、基部と基部上に設けられた枠部とを有することが好ましい。このようにすれば、セラミック基体内の空間にセンサーチップ等の内部素子を収容し易くなる。セラミック基体の枠部は、セラミック基体の外周端縁領域に沿って、額縁状に形成されていることが好ましい。このようにすれば、デバイスとして機能する有効面積を拡大することができる。更にセンサーチップ等の内部素子をセラミック基体の枠部内に収容し易くなり、且つ配線接合等も行い易くなる。
枠部の頂部における封着材料層が配される領域の表面の表面粗さRaは1.0μm未満であることが好ましい。この表面の表面粗さRaが大きくなると、レーザー封着の精度が低下し易くなる。ここで、「表面粗さRa」は、例えば、触針式又は非接触式のレーザー膜厚計や表面粗さ計により測定することができる。
セラミック基体は、ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの何れか、或いはこれらの複合材料(例えば、窒化アルミニウムとガラスセラミックを一体化したもの)であることが好ましい。ガラスセラミックは、サーマルビアを容易に形成し得るため、内部素子の動作時に、気密パッケージが過度に発熱する事態を適正に防止することができる。窒化アルミニウムと酸化アルミニウムは、放熱性が良好であるため、内部素子の動作時に、気密パッケージが過度に発熱する事態を適正に防止することができる。
ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムは、黒色顔料が分散されていても良い。このようにすれば、セラミック基体が、封着材料層を透過したレーザー光を吸収することができる。その結果、レーザー封着の際に熱伝導度の高いセラミック基体側への熱流動を低下させることができるため、効率良くレーザー封着することができる。
黒色顔料が分散されているセラミック基体の場合は、照射すべきレーザー光を吸収する性質を有すること、つまり厚み0.5mm、照射すべきレーザー光の波長(例えば808nm)における全光線透過率が10%以下(望ましくは5%以下)であることが好ましい。このようにすれば、効率良くセラミック基体を加熱することができる。
セラミック基体の基部の厚みは0.1〜2.5mm、特に0.2〜1.5mmが好ましい。これにより、気密パッケージの薄型化を図ることができる。
封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)の平均厚みは、好ましくは8.0μm未満、特に1.0μm以上、且つ6.0μm未満である。更に第一の封着材料層の平均厚みと第二の封着材料層の平均厚みの合計は、好ましくは15.0μm未満、特に12.0μm未満である。封着材料層の平均厚みが小さい程、封着材料層、セラミック基体及びガラス蓋の熱膨張係数が不整合であっても、レーザー封着後に封着部分に残留する応力を低減することができる。またレーザー封着の精度を高めることもできる。なお、上記のように封着材料層の平均厚みを規制する方法としては、封着材料ペーストを薄く塗布する方法、封着材料層の表面を研磨処理する方法が挙げられる。
封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)の平均幅は、好ましくは2000μm未満、1200μm未満、特に200μm以上、且つ800μm未満である。封着材料層の平均幅を狭くすると、レーザー封着後に封着部分に残留する応力を低減することができる。更にセラミック基体の枠部の幅を狭小化することができ、気密パッケージのデバイスとして機能する有効面積を拡大することができる。
封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)の表面粗さRaは、好ましくは0.5μm未満、0.2μm以下、特に0.01〜0.15μmである。このようにすれば、第一の封着材料層と第二の封着材料層の密着性が向上し、レーザー封着の精度が向上する。ここで、「表面粗さRa」は、例えば、触針式又は非接触式のレーザー膜厚計や表面粗さ計により測定することができる。なお、上記のように封着材料層の表面粗さRaを規制する方法としては、封着材料層の表面を研磨処理する方法、封着材料層に含まれる耐火性フィラー粉末の粒度を小さくする方法が挙げられる。
第一の封着材料層と第二の封着材料層は、同一の材料構成としてもよく、ガラス組成が同じガラス粉末を含有していてもよい。このようにすれば、第一の封着材料層と第二の封着材料層の流動性や熱膨張係数等の熱に対する挙動が同じになるため、レーザー封着工程を制御し易くなる。
第一の封着材料層と第二の封着材料層は、異なる材料構成としてもよく、ガラス組成が異なるガラス粉末を含有していてもよい。このようにすれば、第一の封着材料層と第二の封着材料層の熱膨張係数を個別に調整し得るため、第一の封着材料層、第二の封着材料層、セラミック基体及びガラス蓋間の熱膨張係数を適正化し易くなる。結果として、レーザー封着後にガラス蓋等の破損を防止し易くなる。
封着材料層は、封着材料の焼結体であり、レーザー封着時に軟化変形するものである。封着材料として、種々のガラス(例えば、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラス、リン酸錫系ガラス、バナジウム系ガラス等)が使用可能であり、特にレーザー封着強度を確保する観点から、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むガラスを用いるが好ましい。ガラス中の遷移金属酸化物の含有量は、レーザー吸収特性を高めるために1モル%以上、3モル%以上、5モル%以上、10モル%以上、特に15〜30モル%が好ましい。
ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi2O3 28〜60%、B2O3 15〜37%、ZnO 1〜30%、遷移金属酸化物 0〜40%を含有することが好ましい。なお、ビスマス系ガラスのガラス組成範囲の説明において、%表示はモル%を指す。
各成分の含有範囲を上記のように限定した理由を以下に説明する。
Bi2O3は、軟化点を低下させるための主要成分であり、その含有量は28〜60%、33〜55%、特に35〜45%が好ましい。Bi2O3の含有量が少な過ぎると、軟化点が高くなり過ぎて、流動性が低下し易くなる。一方、Bi2O3の含有量が多過ぎると、レーザー封着時にガラスが失透し易くなり、この失透に起因して、流動性が低下し易くなる。
B2O3は、ガラス形成成分として必須の成分であり、その含有量は15〜37%、20〜33%、特に25〜30%が好ましい。B2O3の含有量が少な過ぎると、ガラスネットワークが形成され難くなるため、レーザー封着時にガラスが失透し易くなる。一方、B2O3の含有量が多過ぎると、ガラスの粘性が高くなり、流動性が低下し易くなる。
ZnOは、耐失透性を高める成分であり、その含有量は1〜30%、3〜25%、5〜22%、特に9〜20%が好ましい。ZnOの含有量が上記範囲外になると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。
遷移金属酸化物は、レーザー吸収特性を有する成分であり、その含有量は0〜40%、1〜40%、3〜40%、5〜40%、12〜40%、特に15〜30モル%が好ましい。遷移金属酸化物の含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
CuOを添加すれば、レーザー吸収特性を高めることができる。CuOの含有量は0〜40%、5〜35%、10〜30%、特に15〜25%が好ましい。CuOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。なお、ビスマス系ガラスの軟化点を下げるためには、ガラス組成中にBi2O3を多量に導入する必要があるが、Bi2O3の含有量を増加させると、レーザー封着時にガラスが失透し易くなり、この失透に起因して流動性が低下し易くなる。特に、Bi2O3の含有量が30%以上になると、その傾向が顕著になる。この対策として、CuOを添加すれば、Bi2O3の含有量が30%以上であっても、ガラスの失透を効果的に抑制することができる。
Fe2O3は、耐失透性とレーザー吸収特性を高める成分であり、その含有量は0〜10%、0.1〜5%、特に0.5〜3%が好ましい。Fe2O3の含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
MnOは、レーザー吸収特性を高める成分である。MnOの含有量は、好ましくは0〜25%、特に5〜15%である。MnOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
MoO3は、レーザー吸収特性を高める成分である。MoO3の含有量は、好ましくは0〜25%、特に5〜15%である。MoO3の含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
SiO2は、耐水性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる作用を有する。このため、SiO2の含有量は0〜5%、0〜3%、0〜2%、特に0〜1%が好ましい。また、SiO2の含有量が多過ぎると、レーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
Al2O3は、耐水性を高める成分であり、その含有量は0〜10%、0〜5%、特に0.1〜2%が好ましい。Al2O3の含有量が多過ぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
Li2O、Na2O及びK2Oは、耐失透性を低下させる成分である。よって、Li2O、Na2O及びK2Oの含有量は、それぞれ0〜5%、0〜3%、特に0〜1%未満である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0〜20%、0〜10%、特に0〜5%である。
Sb2O3は、耐失透性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、特に0〜2%が好ましい。Sb2O3の含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
銀リン酸系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Ag2O 10〜50%、P2O5 10〜35%、ZnO 3〜25%、遷移金属酸化物 0〜30%を含有することが好ましい。なお、銀リン酸系ガラスのガラス組成範囲の説明において、%表示はモル%を指す。
Ag2Oは、ガラスを低融点化させると共に、水に溶け難いため、耐水性を高める成分である。Ag2Oの含有量は10〜50%、特に20〜40%が好ましい。Ag2Oの含有量が少な過ぎると、ガラスの粘性が高くなって、流動性が低下し易くなると共に、耐水性が低下し易くなる。一方、Ag2Oの含有量が多過ぎると、ガラス化が困難になる。
P2O5は、ガラスを低融点化させる成分である。その含有量は10〜35%、特に15〜25%が好ましい。P2O5の含有量が少な過ぎると、ガラス化が困難になる。一方、P2O5の含有量が多過ぎると、耐候性、耐水性が低下し易くなる。
ZnOは、耐失透性を高める成分であり、その含有量は3〜25%、5〜22%、特に9〜20%が好ましい。ZnOの含有量が上記範囲外になると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。
遷移金属酸化物は、レーザー吸収特性を有する成分であり、その含有量は0〜30%、1〜30%、特に3〜15%が好ましい。遷移金属酸化物の含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
CuOを添加すれば、レーザー吸収特性を高めることができる。CuOの含有量は0〜30%、1〜30%、特に3〜15%が好ましい。CuOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
TeO2は、ガラス形成成分であり、ガラスを低融点化させる成分である。TeO2の含有量は0〜40%、特に10〜30%が好ましい。
Nb2O5は、耐水性を高める成分である。Nb2O5の含有量は0〜25%、特に1〜12%が好ましい。Nb2O5の含有量が多過ぎると、ガラスの粘性が高くなって、流動性が低下し易くなる。
Li2O、Na2O及びK2Oは、耐失透性を低下させる成分である。よって、Li2O、Na2O及びK2Oの含有量は、それぞれ0〜5%、0〜3%、特に0〜1%未満である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0〜20%、0〜10%、特に0〜5%である。
テルル系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、TeO2 20〜80%、Nb2O5 0〜25%、遷移金属酸化物 0〜40%を含有することが好ましい。なお、テルル系ガラスのガラス組成範囲の説明において、%表示はモル%を指す。
TeO2は、ガラス形成成分であり、ガラスを低融点化させる成分である。TeO2の含有量は20〜80%、特に40〜75%が好ましい。
Nb2O5は、耐水性を高める成分である。Nb2O5の含有量は0〜25%、1〜20%、特に5〜15%が好ましい。Nb2O5の含有量が多過ぎると、ガラスの粘性が高くなって、流動性が低下し易くなる。
遷移金属酸化物は、レーザー吸収特性を有する成分であり、その含有量は0〜40%、5〜30%、特に15〜25%が好ましい。遷移金属酸化物の含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
CuOを添加すれば、レーザー吸収特性を高めることができる。CuOの含有量は0〜40%、5〜30%、特に15〜25%が好ましい。CuOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
Li2O、Na2O及びK2Oは、耐失透性を低下させる成分である。よって、Li2O、Na2O及びK2Oの含有量は、それぞれ0〜5%、0〜3%、特に0〜1%未満である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0〜20%、0〜10%、特に0〜5%である。
ガラス粉末の平均粒径D50は15μm未満、0.5〜10μm、特に0.8〜5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒径D50が小さい程、ガラス粉末の軟化点が低下する。
封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)は、耐火性フィラー粉末を含有していてもよい。封着材料層は、50〜100体積%のガラスと0〜50体積%の耐火性フィラー粉末を含有することが好ましく、55〜85体積%のガラスと15〜45体積%の耐火性フィラー粉末を含有することが更に好ましく、60〜80体積%のガラスと20〜40体積%の耐火性フィラー粉末を含有することが特に好ましい。耐火性フィラー粉末を添加すれば、封着材料の熱膨張係数が、セラミック基体とガラス蓋の熱膨張係数に整合し易くなる。その結果、レーザー封着後に封着部分に不当な応力が残留する事態を防止し易くなる。一方、耐火性フィラー粉末の含有量が多過ぎると、ガラスの含有量が相対的に少なくなるため、封着材料層の表面平滑性が低下して、レーザー封着の精度が低下し易くなる。
耐火性フィラー粉末として、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、ウイレマイト、β−ユークリプタイト、β−石英固溶体から選ばれる一種又は二種以上を用いることが好ましい。これらの耐火性フィラー粉末は、熱膨張係数が低いことに加えて、機械的強度が高く、しかもビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラス等との適合性が良好である。
耐火性フィラー粉末の平均粒径D50は、好ましくは2μm未満、特に0.1μm以上、且つ1.5μm未満である。耐火性フィラー粉末の平均粒径D50が大き過ぎると、封着材料層の表面平滑性が低下し易くなると共に、封着材料層の平均厚みが大きくなり易く、結果として、レーザー封着の精度が低下し易くなる。
耐火性フィラー粉末の99%粒径D99は、好ましくは5μm未満、4μm以下、特に0.3μm以上、且つ3μm以下である。耐火性フィラー粉末の99%粒径D99が大き過ぎると、封着材料層の表面平滑性が低下し易くなると共に、封着材料層の平均厚みが大きくなり易く、結果として、レーザー封着の精度が低下し易くなる。ここで、「99%粒径D99」は、レーザー回折法により体積基準で測定した値を指す。ここで、「平均粒径D50」と「99%粒径D99」は、レーザー回折法により体積基準で測定した値を指す。
封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)は、レーザー吸収特性を高めるために、更にレーザー吸収材を含んでもよいが、レーザー吸収材は、ガラスの失透を助長する作用を有する。よって、封着材料中のレーザー吸収材の含有量は、好ましくは10体積%以下、5体積%以下、1体積%以下、0.5体積%以下、特に実質的に含有しないことが好ましい。ガラスの耐失透性が良好である場合は、レーザー吸収特性を高めるために、レーザー吸収材を1体積%以上、特に3体積%以上導入してもよい。なお、レーザー吸収材として、Cu系酸化物、Fe系酸化物、Cr系酸化物、Mn系酸化物及びこれらのスピネル型複合酸化物等が使用可能である。
封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)の熱膨張係数は、好ましくは55×10−7〜105×10−7/℃、60×10−7〜82×10−7/℃、特に65×10−7〜76×10−7/℃である。このようにすれば、封着材料層の熱膨張係数が、セラミック基体やガラス蓋の熱膨張係数に整合して、封着部分に残留する応力が小さくなる。
封着材料層とセラミック基体の熱膨張係数差は65×10−7/℃未満、特に25×10−7/℃以下が好ましく、また封着材料層とガラス蓋の熱膨張係数差は75×10−7/℃未満、特に25×10−7/℃以下が好ましく、更に第一の封着材料層と第二の封着材料層の熱膨張係数差は30×10−7/℃未満、10×10−7/℃未満、特に5×10−7/℃以下が好ましい。これらの熱膨張係数差が大き過ぎると、封着部分に残留する応力が不当に高くなり、気密パッケージの長期信頼性が低下する虞がある。
本発明の気密パッケージの製造方法において、封着材料層(第一の封着材料層及び/又は第二の封着材料層)は、封着材料ペーストの塗布、焼結により形成することが好ましい。このようにすれば、封着材料層の寸法精度を高めることができる。ここで、封着材料ペーストは、封着材料とビークルの混合物である。そして、ビークルは、通常、溶媒と樹脂を含む。樹脂は、ペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製された封着材料ペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて、セラミック基体やガラス蓋の表面に塗布される。
封着材料ペーストは、セラミック基体の枠部の頂部に沿って、額縁状に塗布されることが好ましく、またガラス蓋の外周端縁領域に沿って、額縁状に塗布されることが好ましい。このようにすれば、気密パッケージ内に内部素子を収容する空間を広げることができる。
封着材料ペーストは、セラミック基体の枠部の頂部において幅方向の中心線上に塗布されることが好ましい。このようにすれば、レーザー封着時のセラミック基体側への熱伝導を均一化することができる。
封着材料ペーストは、通常、三本ローラー等により、封着材料とビークルを混練することにより作製される。ビークルは、通常、樹脂と溶剤を含む。ビークルに用いる樹脂として、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。ビークルに用いる溶剤として、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。
ガラス蓋として、種々のガラスが使用可能である。例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスが使用可能である。
ガラス蓋の板厚は0.01〜2.0mm、0.1〜1mm、特に0.2〜0.7mmが好ましい。これにより、気密パッケージの薄型化を図ることができる。
ガラス蓋の内部素子側の表面に機能膜を形成してもよく、ガラス蓋の外側の表面に機能膜を形成してもよい。特に機能膜として反射防止膜が好ましい。これにより、ガラス蓋の表面で反射する光を低減することができる。
またガラス蓋は、第一のガラス板と第二のガラス板が接着剤を介して積層一体化されたガラス板積層体であることが好ましい。
第一のガラス板と第二のガラス板は、種々のガラスが使用可能である。例えば、無アルカリガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスが使用可能である。なお、ガラス板積層体は、二枚のガラス板で構成されることが好ましいが、必要に応じて、別の板状体を更に積層させてもよい。
第一のガラス板と第二のガラス板は、同一のガラスを用いてもよい。つまり同一のガラス組成を有していてもよい。このようにすれば、両者の屈折率、熱膨張係数等の各種特性が一致するため、ガラス蓋の反りや貼り合わせ面での反射等を抑制することができる。
また、第一のガラス板と第二のガラス板は、異種のガラスを用いてもよい。つまり異種のガラス組成を有していてもよい。このようにすれば、第二のガラス板の熱膨張係数がセラミック基体の熱膨張係数に制約されなくなるため、セラミック基体と第一のガラス板の熱膨張係数を厳密に整合させつつ、生産性の良いガラス板を第二のガラス板に使用することができる。結果として、気密パッケージの気密信頼性と生産コストを両立し易くなる。
第一のガラス板と第二のガラス板を貼り合わせるための接着剤は、種々の材料が使用可能であるが、光透過性に優れる光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることが好ましい。そして、接着剤の厚みは500μm未満、特に100μm未満が好ましい。接着剤の厚みが厚過ぎると、ガラス蓋の透明性が低下し易くなる。
接着剤の屈折率ndは、第一のガラス板の屈折率nd±0.1の範囲内であることが好ましく、第二のガラス板の屈折率nd±0.1の範囲内であることが好ましい。接着剤の屈折率ndが、第一のガラス板の屈折率ndと第二のガラス板の屈折率ndに不整合であると、接着剤と第一のガラス板の界面及び接着剤と第二のガラス板の界面で光が反射し易くなる。同様の理由で、第一のガラス板の屈折率ndは、第二のガラス板の屈折率nd±0.1の範囲内であることが好ましい。
本発明の気密パッケージの製造方法は、第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触するように、セラミック基体とガラス蓋を積層配置する工程を有する。この場合、ガラス蓋をセラミック基体の下方に配置してもよいが、レーザー封着の効率の観点から、ガラス蓋をセラミック基体の上方に配置することが好ましい。
セラミック基体とガラス蓋を積層配置する際に、第一の封着材料層と第二の封着材料層の幅方向の中心線同士が重なるように、第一の封着材料層と第二の封着材料層を接触配置することが好ましい。このようにすれば、レーザー封着の精度を高めることができる。
本発明の気密パッケージの製造方法は、ガラス蓋側からレーザー光を照射し、第一の封着材料層と第二の封着材料層を軟化変形させることにより、第一の封着材料層と第二の封着材料層を気密封着して、気密パッケージを得る工程を有する。
レーザーとして、種々のレーザーを使用することができる。特に、半導体レーザー、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー、赤外レーザーは、取扱いが容易な点で好ましい。
レーザー封着を行う雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気でもよく、窒素雰囲気等の不活性雰囲気でもよい。
レーザー封着を行う際に、(100℃以上、且つ基体内部の発光素子の耐熱温度以下)の温度でガラス蓋を予備加熱すると、サーマルショックによるガラス蓋の割れを抑制することができる。またレーザー封着直後に、ガラス蓋側からアニールレーザーを照射すると、サーマルショックによるガラス蓋の割れを抑制することができる。
レーザー封着を行う際に、(100℃以上、且つ基体内部の発光素子の耐熱温度以下)の温度でセラミック基体を予備加熱すると、レーザー封着時にセラミック基体側への熱伝導を阻害し得るため、効率良くレーザー封着を行うことができる。
ガラス蓋を押圧した状態でレーザー封着を行うことが好ましい。これにより、レーザー封着時に封着材料層の軟化変形を促進することができる。
本発明の気密パッケージは、セラミック基体とガラス蓋とを有する気密パッケージにおいて、セラミック基体が、基部と基部上に設けられた枠部とを有し、セラミック基体の枠部の頂部上に、少なくともビスマス系ガラスを含む第一の封着材料層が形成されており、ガラス蓋上に、少なくともビスマス系ガラスを含む第二の封着材料層が形成されており、且つ第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触配置された状態で気密一体化されていることを特徴とする。本発明の気密パッケージの技術的特徴は、本発明の気密パッケージの製造方法の説明欄に記載済みであるため、その部分については、便宜上、詳細な説明を省略する。
以下、図面を参照しながら、本発明を説明する。図1は、本発明の一実施形態を説明するための断面概念図である。気密パッケージ1は、セラミック基体10とガラス蓋11を備えている。セラミック基体10は基部12を有し、更に基部12の外周端縁上に枠部13を有している。また、セラミック基体10の枠部13内に内部素子14が収容されている。そして、この枠部13の頂部15には第一の封着材料層16が形成されている。第一の封着材料層16の表面は、予め研磨処理されており、その表面粗さRaが0.15μm以下になっている。そして、第一の封着材料層16の幅は、枠部13の幅よりも若干小さくなっている。更に、第一の封着材料層16は、封着材料を焼結させたものであり、その封着材料は、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスと耐火性フィラー粉末とを含有している。なお、セラミック基体10内には、内部素子14と外部を電気的に接続する電気配線(図示されていない)が形成されている。
ガラス蓋11の表面には、額縁状の第二の封着材料層17が形成されている。第二の封着材料層17は、封着材料を焼結させたものであり、第一の封着材料層16と略同様の材料構成であり、その封着材料は、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスと耐火性フィラー粉末とを含有している。そして、第二の封着材料層17の幅は、第一の封着材料層16の幅と略同様である。更に、第二の封着材料層17の厚みは、第一の封着材料層16の厚みよりも若干小さくなっている。
ガラス蓋11が上方になり、且つ第一の封着材料層16と第二の封着材料層17の幅方向の中心線同士が接触するように、セラミック基体10とガラス蓋11とが積層配置されている。その後、レーザー照射装置18から出射したレーザー光Lが、ガラス蓋11側から第一の封着材料層16と第二の封着材料層17に沿って照射される。これにより、第一の封着材料層16と第二の封着材料層17が軟化流動した後、セラミック基体10とガラス蓋11が気密封着されて、気密パッケージ1の気密構造が形成される。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
まず、ビスマス系ガラス粉末を73体積%、耐火性フィラー粉末を27体積%の割合で混合して、封着材料Aを作製した。ここで、ビスマス系ガラス粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.5μmとし、耐火性フィラー粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.5μmとした。なお、ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi2O3 39%、B2O3 23.7%、ZnO 14.1%、Al2O3 2.7%、CuO 20%、Fe2O3 0.6%を含有している。また耐火性フィラー粉末はβ-ユークリプタイトである。
得られた封着材料Aの熱膨張係数を測定したところ、その熱膨張係数は、70×10−7/℃であった。なお、熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定したものであり、その測定温度範囲は30〜300℃である。
次に、銀リン酸系ガラス粉末を65体積%、耐火性フィラー粉末を35体積%の割合で混合して、封着材料Bを作製した。ここで、銀リン酸系ガラス粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.5μmとし、耐火性フィラー粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.5μmとした。なお、銀リン酸系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Ag2O 32%、P2O5 22%、TeO2 27%、ZnO 11%、Nb2O5 3%、CuO 5%を含有している。また耐火性フィラー粉末はNbZr(PO4)3である。
得られた封着材料Bの熱膨張係数を測定したところ、その熱膨張係数は、77×10−7/℃であった。なお、熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定したものであり、その測定温度範囲は30〜150℃である。
更に、テルル系ガラス粉末を69体積%、耐火性フィラー粉末を31体積%の割合で混合して、封着材料Cを作製した。ここで、テルル系ガラス粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.5μmとし、耐火性フィラー粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.5μmとした。なお、テルル系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、TeO2 72%、Nb2O5 8%、CuO 20%を含有している。また耐火性フィラー粉末はZr2(WO4)(PO4)2である。
得られた封着材料Cの熱膨張係数を測定したところ、その熱膨張係数は、74×10−7/℃であった。なお、熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定したものであり、その測定温度範囲は30〜250℃である。
次に、表中に記載の封着材料を用いて、図1に示すような枠部を有するセラミック基体(縦30mm×横30mm×基部厚み0.8mm、熱膨張係数70×10−7/℃)の枠部の頂部上に第一封着材料層を形成した。なお、セラミック基体は表中に示す材料で構成されており、また枠部は、幅2mm、高さ1.0mmの額縁状である。併せて、表中に記載の封着材料を用いて、表中に記載のガラス蓋(縦30mm×横30mm)の外周端縁上に沿って第二封着材料層を形成した。なお、表中の「アルカリホウケイ酸ガラス」は日本電気硝子社製BDAであり、「無アルカリガラス」は日本電気硝子社製OA−10Gであり、「ソーダ石灰ガラス」は市販の窓ガラスである。「ガラスセラミック」は、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含むグリーンシートの積層シートを焼結させたものである。
詳述すると、まず粘度が約120Pa・s(25℃、Shear rate:4)になるように、表中に記載の封着材料、ビークル及び溶剤を混練した後、更に三本ロールミルで粉末が均一に分散するまで混錬して、ペースト化し、封着材料ペーストを得た。次に、セラミック基体の枠部の頂部上に、スクリーン印刷機により上記の封着材料ペーストを額縁状に印刷した。同様に、ガラス蓋の外周端縁上に沿ってスクリーン印刷機により封着材料ペーストを額縁状に印刷した。更に、大気雰囲気下にて、120℃で10分間乾燥した後、大気雰囲気下にて、500℃で10分間焼成して、平均厚み6.0μm、平均幅500μmの第一の封着材料層及び第二の封着材料層を形成した。
最後に、セラミック基体の枠部の頂部に形成した第一封着材料層とガラス蓋に形成した第二封着材料層が接触するように配置した後、ガラス蓋側から波長808nm、出力8〜32Wの半導体レーザーを照射して、第一封着材料層及び第二封着材料層を軟化変形させることにより、セラミック基体とガラス蓋とを気密封着して、各気密パッケージを得た。
得られた気密パッケージについて、レーザー封着後のクラックと気密信頼性を評価した。レーザー封着後のクラックは、光学顕微鏡で封着部分を観察した時に、クラックがない場合を「○」、クラックがある場合を「×」として評価したものである。
次に、得られた気密パッケージについて、温度サイクル試験による気密信頼性を評価した。詳述すると、得られた気密パッケージに対して、温度サイクル試験を行った後、封着材料層の近傍を観察したところ、変質、クラック、剥離等が全く認められなかったものを「○」、変質、クラック、剥離等が認められたものを「×」として気密信頼性を評価した。なお、温度サイクル試験の条件は、125℃⇔−55℃、1000サイクルである。
次に、得られた気密パッケージについて、高温高湿高圧試験:HAST(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress test)による気密信頼性を評価した。詳述すると、得られた気密パッケージに対して、HASTを行った後、封着材料層の近傍を観察したところ、変質、クラック、剥離等が全く認められなかったものを「○」、変質、クラック、剥離等が認められたものを「×」として気密信頼性を評価した。なお、HASTの試験条件は、121℃、湿度100%、2atm、24時間である。
表1〜3から明らかなように、試料No.1〜4、8、9、12及び13は、レーザー封着後のクラックの評価と気密信頼性の評価が良好であった。一方、試料No.5〜7、10、11、14及び15は、セラミック基体に第一の封着材料層が形成されていないため、レーザー出力を表中の値まで上昇させて、セラミック基体の表層と第二の封着材料層を反応させる必要があった。その結果、試料No.5〜7、10、11、14及び15は、レーザー封着後にクラックが発生しており、気密パッケージの気密信頼性も低かった。なお、試料No.5〜7、10、11、14及び15について、レーザー封着の際にレーザー出力を低下させると、レーザー封着強度が低下して、気密信頼性の評価が不良になる。
本発明の気密パッケージは、センサーチップやLED等の内部素子が実装された気密パッケージに好適であるが、それ以外にも圧電振動素子や樹脂中に量子ドットを分散させた波長変換素子等を収容する気密パッケージ等にも好適に適用可能である。
1 気密パッケージ
10 セラミック基体
11 ガラス蓋
12 基部
13 枠部
14 内部素子
15 枠部の頂部
16 第一の封着材料層
17 第二の封着材料層
18 レーザー照射装置
L レーザー光
10 セラミック基体
11 ガラス蓋
12 基部
13 枠部
14 内部素子
15 枠部の頂部
16 第一の封着材料層
17 第二の封着材料層
18 レーザー照射装置
L レーザー光
Claims (14)
- セラミック基体を用意すると共に、セラミック基体上に第一の封着材料層を形成する工程と、
ガラス蓋を用意すると共に、ガラス蓋上に第二の封着材料層を形成する工程と、
第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触するように、セラミック基体とガラス蓋を積層配置する工程と、
ガラス蓋側からレーザー光を照射し、第一の封着材料層と第二の封着材料層を軟化変形させることにより、第一の封着材料層と第二の封着材料層を気密封着して、気密パッケージを得る工程と、を備えることを特徴とする気密パッケージの製造方法。 - 第一の封着材料層が、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有し、且つ第二の封着材料層が、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の気密パッケージの製造方法。
- 第一の封着材料層の平均厚みを8.0μm未満、第二の封着材料層の平均厚みを8.0μm未満、且つ第一の封着材料層の平均厚みと第二の封着材料層の平均厚みの合計を15.0μm未満に規制することを特徴とする請求項1又は2に記載の気密パッケージの製造方法。
- 第一の封着材料層の平均幅を2000μm未満、且つ第二の封着材料層の平均幅を2000μm未満に規制することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の気密パッケージの製造方法。
- 基部と基部上に設けられた枠部とを有するセラミック基体を用い、枠部の頂部に第一の封着材料層を形成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の気密パッケージの製造方法。
- 更に、第一の封着材料層の表面を研磨する工程を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の気密パッケージの製造方法。
- セラミック基体が、ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの何れか、或いはこれらの複合材料であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の気密パッケージの製造方法。
- セラミック基体の枠部内に、センサー素子又はLED素子を収容することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の気密パッケージの製造方法。
- セラミック基体とガラス蓋とを有する気密パッケージにおいて、
セラミック基体が、基部と基部上に設けられた枠部とを有し、
セラミック基体の枠部の頂部上に、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有する第一の封着材料層が形成されており、
ガラス蓋上に、ビスマス系ガラス、銀リン酸系ガラス、テルル系ガラスの何れか一種以上を含有する第二の封着材料層が形成されており、
且つ第一の封着材料層と第二の封着材料層が接触配置された状態で気密一体化されていることを特徴とする気密パッケージ。 - 第一の封着材料層が、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスを含有し、且つ第二の封着材料層が、ガラス組成中に遷移金属酸化物を含むビスマス系ガラスを含有することを特徴とする請求項10に記載の気密パッケージ。
- 第一の封着材料層の平均厚みが8.0μm未満であり、第二の封着材料層の平均厚みが8.0μm未満であり、且つ第一の封着材料層の平均厚みと第二の封着材料層の平均厚みの合計が15.0μm未満であることを特徴とする請求項9又は10に記載の気密パッケージ。
- 第一の封着材料層の平均幅が2000μm未満であり、且つ第二の封着材料層の平均幅が2000μm未満であることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の気密パッケージ。
- セラミック基体が、ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの何れか、或いはこれらの複合材料であることを特徴とする請求項9〜12の何れかに記載の気密パッケージ。
- セラミック基体の枠部内に、センサー素子又はLED素子が収容されていることを特徴とする請求項9〜13の何れかに記載の気密パッケージ。
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