JPWO2017208771A1 - 組成物、硬化膜、カラーフィルタ、遮光膜、固体撮像装置及び画像表示装置 - Google Patents

組成物、硬化膜、カラーフィルタ、遮光膜、固体撮像装置及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、遮光性能に優れた遮光膜を形成できる組成物を提供することである。また、本発明の他の課題は、遮光性能に優れた硬化膜、上記硬化膜を備えるカラーフィルタ、遮光膜、固体撮像装置及び画像表示装置を提供することである。本発明の組成物は、無機顔料と、黒色染料と、を含有する。

Description

本発明は、組成物、硬化膜、カラーフィルタ、遮光膜、固体撮像装置及び画像表示装置に関する。
黒色の遮光膜は、種々の用途に用いられている。例えば、遮光膜は固体撮像装置内に用いられる。通常、固体撮像装置は、撮影レンズと、この撮影レンズの背後に配されるCCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)及びCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor、相補性金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子(以下、固体撮像素子を「イメージセンサー」ともいう。)と、この固体撮像素子が実装される回路基板とを備える。この固体撮像装置においては、可視光の反射によるノイズが発生する場合がある。そこで、ノイズの発生の抑制を図る目的で、固体撮像装置内に所定の遮光膜を設けられる場合がある。
また、遮光膜の他の用途としては、いわゆるブラックマトリクスも挙げられる。
このような遮光膜を形成するための組成物としては、種々の組成物が提案されている。例えば特許文献1には、「少なくとも遮光材、樹脂及び溶媒を含み、遮光材として少なくともチタン窒化物粒子を含有する樹脂ブラックマトリクス用黒色樹脂組成物であって、CuKα線をX線源とした場合の上記チタン窒化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.5°以上42.8°以下である樹脂ブラックマトリクス用黒色樹脂組成物。」が開示されている(請求項1)。
特許第5136139号公報
本発明者は、固体撮像装置及び液晶画像装置等に配置されるカラーフィルタの遮光膜を特許文献1に基づいて調製した黒色組成物を用いて作製し、その諸性能について検討を行ったところ、特定の波長領域における遮光性能が低い(言い換えると、光学濃度が低い)ことを知見するに至った。
一般的にチタン窒化物含有粒子等の顔料を用いる場合には、顔料の分散性を向上させる観点から分散剤が用いられる場合が多い。しかし、遮光性能を向上させるために組成物中の顔料濃度を高くした場合、組成物中の分散剤の含有量が相対的に多くなり、これに起因して、得られる遮光膜の遮光性能が低下する場合がある。
したがって、顔料濃度を増やす以外の手段により、遮光膜の遮光性能を改善させることが望まれるところである。
本発明は、上記実情に鑑みて、遮光性能に優れた遮光膜を形成できる組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、遮光性能に優れた硬化膜、上記硬化膜を備えるカラーフィルタ、遮光膜、固体撮像装置及び画像表示装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、無機顔料(好ましくは後述する黒色の無機顔料であり、より好ましくは窒化物又は酸窒化物を含有する顔料)と、黒色染料とを含有する組成物を使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 無機顔料と、黒色染料と、を含む組成物。
(2) 上記無機顔料が、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料である(1)に記載の組成物。
(3) 上記黒色染料が重合性基を有する、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4) 上記重合性基がアクリロイル基又はメタクリロイル基である、(3)に記載の組成物。
(5) 上記黒色染料がキサンテン系染料又はアゾ系染料である、(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6) 上記黒色染料が染料多量体である、(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7) 更に、分散剤を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8) 上記分散剤の酸価が50mgKOH/g以上である、(7)に記載の組成物。
(9) 上記分散剤が、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリアクリル酸メチル及びポリメタクリル酸メチルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する、(7)又は(8)に記載の組成物。
(10) 更に、重合性化合物と、重合開始剤と、を含む、(1)〜(9)のいずれかに記載の組成物。
(11) 更に、有機溶剤を含む、(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) 更に、アルカリ可溶性樹脂を含む、(1)〜(11)のいずれかに記載の組成物。
(13) 上記黒色染料の含有量が、上記無機顔料の含有量に対して質量比で0.3以下である、(1)〜(12)のいずれかに記載の組成物。
(14) 組成物全質量に対する固形分量が10〜40質量%である、(1)〜(13)のいずれかに記載の組成物。
(15) 上記無機顔料の含有量が、固形分量に対して30〜70質量%である、(1)〜(14)のいずれかに記載の組成物。
(16) (1)〜(15)のいずれかに記載の組成物を用いて得られる、硬化膜。
(17) (16)に記載の硬化膜を有する、カラーフィルタ。
(18) (16)に記載の硬化膜を有する、遮光膜。
(19) (16)に記載の硬化膜を有する、固体撮像装置。
(20) (16)に記載の硬化膜を有する、画像表示装置。
本発明によれば、遮光性能に優れた遮光膜を形成できる組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、遮光性能に優れた硬化膜、上記硬化膜を備えるカラーフィルタ、遮光膜、固体撮像装置及び画像表示装置を提供することができる。
以下に、本発明について説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、及び、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、及び、EUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基をいう。
〔組成物〕
本発明の組成物は、無機顔料(好ましくは後述する黒色の無機顔料であり、より好ましくは窒化物又は酸窒化物を含有する顔料)と、黒色染料とを含む。
本発明の組成物によれば、遮光性能に優れた遮光膜を形成することができる。つまり、本発明の組成物によれば、特定の波長領域における遮光性能の低下がなく、所定領域(例えば、可視光領域〜1200nm)において最低光学濃度(以下「最低OD値」ともいう。)が充分な遮光能を与え得る範囲にある遮光膜を形成することができる。
本発明の組成物の特徴としては、黒色染料を含有している点にある。最低光学濃度を向上させるために無機顔料濃度を高くした場合、組成物中において、無機顔料の分散性を向上させる目的で使用される分散剤の含有量が相対的に多くなり、これに起因して、得られる遮光膜の遮光性能が低下する場合がある。しかし、本発明の組成物は、分散剤を必要とせず且つ可視光の略全波長領域にわたって吸収を有する黒色染料を含有するため、分散剤等の他の成分を増加させることなく遮光膜の最低光学濃度を向上させることが可能となる。
特に、後述するようなキサンテン系染料又はアゾ系染料を用いた場合、遮光性能により優れ、かつ、解像性に優れた遮光膜を形成できることを知見している。
今般、本発明者は、特に、上述の黒色染料が重合性基を有することが好ましいことを知見している。本発明の組成物を用いて遮光膜を形成した際、黒色染料が重合性基を有する場合には、この重合性基を介して染料が膜を構成するマトリックス中に組み込まれる。染料は一般的に顔料よりも耐熱性に劣ることが知られており、遮光膜の構成成分として染料を使用した場合、遮光膜は、染料に起因して耐熱性に劣るおそれがある。これに対して、上述のように、膜を構成するマトリックスと黒色染料とが重合性基により化学的に結合することで耐熱性により優れたものとなることを確認している。
また、昨今、遮光膜を所定の基板上に形成した後、遮光膜の形成位置のズレ等のために、遮光膜を基板上から剥離することが求められる場合がある。いわゆるリワーク性が求められる。
本発明者は、上記のように、膜を構成するマトリックスと黒色染料とが重合性基により化学的に結合することで、リワーク性も向上することも知見した。つまり、例えば、無機顔料と、重合性基を有する黒色染料と、アルカリ可溶性樹脂等を含有する組成物を用いて作製したカラーフィルタ(硬化膜)を、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等のアルカリ水溶液で除去する場合には、黒色染料がアルカリ可溶性樹脂を含んで構成される膜と化学的に結合しているため、染料をマトリックスごと除去(剥離)することが可能となる。一方、黒色染料が重合性基を有さず、つまり黒色染料がマトリックスと化学的に結合してない場合には、染料は一般的にアルカリ水溶液に溶けないため、固体撮像素子上に単独で残渣として付着し除去が困難となる。すなわちリワーク性に劣る。
また、黒色染料が、重合性基としてアクリロイル基又はメタクリロイル基を有している場合、本発明の組成物により形成される塗膜のパターニング性(以下「解像性」ともいう)がより向上することも確認している。
また、黒色染料は染料多量体であることが好ましい。黒色染料が染料多量体であることで、耐熱性がより向上する。黒色染料は、なかでも、重合性基を有する染料多量体であることが望ましい。
以下、組成物に含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
<無機顔料>
本発明の組成物は、無機顔料を含有する。
上記無機顔料としては、特に制限されず、公知の無機顔料を用いることができる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、並びに、サーモンピンク等が挙げられる。また、黒色の無機顔料であることが好ましく、無機顔料としては、含有量が少なくとも、高い光学濃度を有する硬化膜を形成することができる組成物が得られる点で、カーボンブラック、チタンブラック、及び金属顔料等が好ましい。金属顔料としては、例えば、Nb、V、Co、Cr、Cu、Mn、Ru、Fe、Ni、Sn、Ti、及びAgからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物、及び金属酸窒化物が挙げられる。
無機顔料としては、窒化チタン、酸窒化チタン、窒化ニオブ、酸窒化ニオブ、窒化バナジウム、酸窒化バナジウム、酸化クロム、窒化クロム、酸窒化クロム、酸化鉄、酸窒化鉄、銀を含有する金属顔料、錫を含有する金属顔料、並びに銀及び錫を含有する金属顔料からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なかでも、無機顔料は、後述する窒化物又は酸窒化物を含有する顔料から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
なお、無機顔料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、無機顔料の含有量は、組成物全固形分量に対して30〜70質量%であることが好ましい。無機顔料の含有量が固形分量に対して30質量%以上である場合、得られる遮光膜の遮光性能がより向上し、更に耐熱性も向上する。一方、無機顔料の含有量が固形分量に対して70質量%以下である場合、リワーク性およびパターニング性がより向上する。無機顔料の含有量は、組成物全固形分量に対して35〜70質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることが更に好ましい。
無機顔料は、平均一次粒子径で10〜80nmの範囲のものが好ましく、10〜50nmの範囲のものがより好ましい。平均一次粒子径は、例えば下記の方法により測定できる。
無機顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)を用いて測定できる。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の透過型顕微鏡HT7700を用いることができる。
透過型電子顕微鏡を用いて得た粒子像の最大長(Dmax:粒子画像の輪郭上の2点における最大長さ)、及び最大長垂直長(DV−max:最大長に平行な2本の直線で画像を挟んだ時、2直線間を垂直に結ぶ最短の長さ)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)1/2を粒子径とした。この方法で100個の粒子の粒子径を測定し、その算術平均値を平均粒子径として、顔料の平均一次粒子径とする。
(窒化物又は酸窒化物を含有する顔料)
上述のとおり、無機顔料は、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料であることが好ましい。
窒化物又は酸窒化物を含有する顔料としては、例えば、窒化チタン、酸窒化チタン、窒化ニオブ、酸窒化ニオブ、窒化バナジウム、酸窒化バナジウム、酸窒化鉄、及び、酸窒化タングステン等の顔料が挙げられる。なかでも、波長400〜1200nmの領域に吸収を有するものが好ましい。なお、無機顔料及び後述する黒色染料の吸収波長及び光学濃度は、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)等を用いて測定することができる。
少量で高い光学濃度を実現できる観点からは、例えば、窒化チタン、酸窒化チタン、窒化ニオブ又は窒化バナジウムが好ましく、窒化チタン又は酸窒化チタンがより好ましい。窒化チタン又は酸窒化チタンとしては、特に限定されないが、国際公開第2008/123097号公報、国際公開第2010/147098号公報、特許第5577659号公報に記載の窒化チタンを使用することができる。
また、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料において、窒化物又は酸窒化物の含有量(例えば顔料がチタン窒化物を含有する場合には、チタン窒化物の含有量)は、顔料全質量に対して10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
・チタンブラック
以下、酸窒化チタン顔料であるチタンブラック粒子について説明する。
チタンブラック粒子は、分散性向上又は凝集性抑制等の目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は、酸化ジルコニウムでチタンブラックを被覆することが可能である。また、特開2007−302836号公報に表されるような撥水性物質で、チタンブラックの表面処理も可能である。
チタンブラックは、典型的には、チタンブラック粒子であり、個々の粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径のいずれもが小さいものであることが好ましい。
具体的には、平均一次粒子径で10nm〜80nmの範囲のものが好ましい。平均一次粒子径は、例えば上記の方法により測定できる。
チタンブラックの比表面積は特に制限されないが、チタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET(Brunauer, Emmett, Teller)法にて測定した値が5m/g以上150m/g以下であることが好ましく、20m/g以上120m/g以下であることがより好ましい。
チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13M、13M−C、13R、13R−N、及び13M−T(商品名:三菱マテリアル(株)製)、並びに、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)等が挙げられる。
更に、チタンブラックを、チタンブラック及びSi原子を含む被分散体として含有することも好ましい。
この形態において、チタンブラックは、組成物中において被分散体として含有されるものであり、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が質量換算で0.05以上が好ましく、0.05〜0.5がより好ましく、0.07〜0.4が更に好ましい。
ここで、上記被分散体は、チタンブラックが一次粒子の状態であるもの、凝集体(二次粒子)の状態であるものの双方を包含する。
被分散体のSi/Tiを変更する(例えば、0.05以上とする)ためには、以下のような手段を用いることができる。
先ず、酸化チタンとシリカ粒子とを分散機を用いて分散することにより分散物を得て、この分散物を高温(例えば、850〜1000℃)にて還元処理することにより、チタンブラック粒子を主成分とし、SiとTiとを含有する被分散体を得ることができる。上記還元処理は、アンモニア等の還元性ガスの雰囲気下で行う。
酸化チタンとしては、TTO−51N(商品名:石原産業製)等が挙げられる。酸化チタンはこれに限定されないが一次粒径が5nm以上70nm以下のものが好ましく、7nm以上50nm以下のものがより好ましく、結晶系としてはルチル、アナタースであればどちらでも好適に用いることができ、これらの混晶であってもよい。
シリカ粒子の市販品としては、AEROSIL(登録商標)90、130、150、200、255、300、及び、380(商品名:エボニック製)等が挙げられる。
酸化チタンとシリカ粒子との分散は、分散剤を用いてもよい。分散剤としては、後述する分散剤の欄で説明するものが挙げられる。
上記の分散は溶剤中で行ってもよい。溶剤としては、水又は有機溶剤が挙げられる。後述する有機溶剤の欄で説明するものが挙げられる。
Si/Tiが、例えば、0.05以上等に調整されたチタンブラックは、例えば、特開2008−266045公報の段落番号〔0005〕及び段落番号〔0016〕〜〔0021〕に記載の方法により作製することができる。
チタンブラック及びSi原子を含む被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)を好適な範囲(例えば0.05以上)に調整することで、この被分散体を含む組成物を用いて遮光膜を形成した際に、遮光膜の形成領域外における組成物由来の残渣物が低減される。なお、残渣物は、チタンブラック粒子、及び、樹脂成分等の組成物に由来する成分を含むものである。
残渣物が低減される理由は不明だが、上記のような被分散体は小粒径となる傾向があり(例えば、粒径が30nm以下)、更に、この被分散体のSi原子が含まれる成分が増すことにより、膜全体の下地との吸着性が低減され、これが、遮光膜の形成における未硬化の組成物(特に、チタンブラック)の現像除去性の向上に寄与すると推測している。
また、チタンブラックは、紫外光から赤外光までの広範囲に亘る波長領域の光に対する遮光性に優れることから、上記したチタンブラック及びSi原子を含む被分散体(好ましくはSi/Tiが質量換算で0.05以上であるもの)を用いて形成された遮光膜は優れた遮光性を発揮する。
なお、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)は、例えば、特開2013−249417号公報の段落0033に記載の方法(1−1)又は方法(1−2)を用いて測定できる。
また、組成物を硬化して得られた遮光膜に含有される被分散体について、その被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.05以上か否かを判断するには、特開2013−249417号公報の段落0035に記載の方法(2)を用いる。
チタンブラック及びSi原子を含む被分散体において、チタンブラックは、上記したものを使用できる。
この場合、全被分散体中の50質量%以上をチタンブラックからなる被分散体が占めることが好ましい。
また、この被分散体においては、遮光性の調整等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、チタンブラックと共に、他の着色剤(有機顔料及び染料等)を所望により併用してもよい。
以下、被分散体にSi原子を導入する際に用いられる材料について述べる。被分散体にSi原子を導入する際には、シリカ等のSi含有物質を用いればよい。
用いうるシリカとしては、沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、及び、合成シリカ等を挙げることができ、これらを適宜選択して使用すればよい。
更に、シリカ粒子の粒径が遮光膜を形成した際に膜厚よりも小さい粒径であると遮光性がより優れるため、シリカ粒子として微粒子タイプのシリカを用いることが好ましい。なお、微粒子タイプのシリカの例としては、例えば、特開2013−249417号公報の段落0039に記載のシリカが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
・チタン窒化物含有粒子
また、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料としては、例えば、チタン窒化物含有粒子も用いることができる。
チタン窒化物含有粒子の製造には、通常、気相反応法が用いられ、具体的には電気炉法及び熱プラズマ法等が挙げられる。これらの製法のなかでも、不純物の混入が少ない点、粒子径が揃いやすい点、及び、生産性が高い点等の理由から、熱プラズマ法が好ましい。
熱プラズマの発生方法としては、直流アーク放電、多相アーク放電、高周波(RF)プラズマ、及び、ハイブリッドプラズマ等が挙げられ、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマが好ましい。熱プラズマ法によるチタン窒化物含有粒子の具体的な製造方法としては、例えば、チタン粉末を高周波熱プラズマにより蒸発させ、窒素をキャリアガスとして装置内に導入し、冷却過程にてチタン粉末を窒化させ、チタン窒化物含有粒子を合成する方法等が挙げられる。なお、熱プラズマ法は、上記に限定されるものではない。
また、チタン窒化物含有粒子は、熱プラズマ法を用いて得られることにより、CuKα線をX線源とした場合の(200)面に由来するピークの回折角2θ(詳細は後述する)を、42.8°超43.5°以下の範囲に調整することが容易になる。
チタン窒化物含有粒子中のチタン原子(Ti原子)の含有量は、チタン窒化物含有粒子の全質量に対して、50〜85質量%であることが好ましく、55〜85質量%であることがより好ましく、55〜80質量%であることが更に好ましい。チタン窒化物含有粒子中のTi原子の含有量は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により分析できる。
チタン窒化物含有粒子中の窒素原子(N原子)の含有量は、チタン窒化物含有粒子の全質量に対して、15〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。窒素原子の含有量は不活性ガス融解−熱伝導度法により分析することができる。
チタン窒化物含有粒子は、CuKα線をX線源としてX線回折スペクトルを測定した場合の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.8°超43.5°以下であることが好ましい。このような特徴をもつチタン窒化物含有粒子を含有する組成物を用いて得られる遮光膜は、OD値が適切な数値となり、パターニング性(解像性)により優れる。
チタン窒化物含有粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θは、上述の如く42.8°超43.5°以下であることが好ましく、42.85〜43.3°であることがより好ましく、42.9〜43.2°であることが更に好ましい。
チタン窒化物含有粒子は主成分としてチタン窒化物(TiN)を含み、通常、その合成時に酸素が混入する場合、及び、粒子径が小さい場合等に顕著になるが、粒子表面の酸化等により、一部酸素原子を含有している場合がある。
ただし、チタン窒化物含有粒子に含まれる酸素量が少ない方がより高いOD値(光学濃度)が得られるため好ましい。また、チタン窒化物含有粒子は、副成分としてTiOを含有しないことが好ましい。副成分として酸化チタンTiOをチタン窒化物含有粒子が含有する場合、最も強度の強いピークとしてアナターゼ型TiO(101)に由来するピークが2θ=25.3°近傍に、ルチル型TiO(110)に由来するピークが2θ=27.4°近傍に見られる。しかし、TiOは白色でありブラックマトリクスの遮光性を低下させる要因となるため、ピークとして観察されない程度に低減されていることが好ましい。
X線回折ピークの半値幅よりチタン窒化物含有粒子を構成する結晶子サイズを求めることができ、シェラーの式を用いて算出される。
結晶子サイズとしては、20nm以上であることが好ましく、20〜50nmであることがより好ましい。
チタン窒化物含有粒子の比表面積はBET法により求めることができ、40〜60m/gであることが好ましく、40〜58m/gであることがより好ましく、42〜55m/gであることが更に好ましい。チタン窒化物含有粒子の比表面積を40〜60m/gとすることで、得られる遮光膜はOD(光学濃度)値が適切な範囲となり、パターニング性(解像性)により優れる。
チタン窒化物含有粒子の平均一次粒子径は、10〜30nmであることが好ましく、10〜25nmであることがより好ましい。チタン窒化物含有粒子の平均一次粒子径を10〜30nmとすることで、得られる遮光膜はOD(光学濃度)値が適切な範囲となり、パターニング性(解像性)により優れる。平均一次粒子径は例えば上記の方法により測定することができる。
(他の顔料)
本発明の組成物は、無機顔料として、上記で挙げたもの以外の無機顔料も含有してもよい。他の顔料としては、例えば、タングステン化合物及び金属ホウ化物が挙げられる。
タングステン化合物、及び金属ホウ化物は、赤外線(波長が約800〜1200nmの光)に対しては吸収が高い(すなわち、赤外線に対する遮光性(遮蔽性)が高く)特徴を有する。なお、タングステン化合物及び金属ホウ化物は、赤外線に対する遮光性に比べると可視光に対しては吸収が低い。また、タングステン化合物及び金属ホウ化物は、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF及びArF等の露光に用いられる可視域より短波の光に対しても吸収が小さい。
タングステン化合物としては、酸化タングステン系化合物、ホウ化タングステン系化合物及び硫化タングステン系化合物等を挙げることができ、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物が好ましい。
・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mの金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os及びBi等が挙げられるが、アルカリ金属であることが好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でもよい。
Mはアルカリ金属であることが好ましく、Rb又はCsであることがより好ましく、Csであることが更に好ましい。
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、タングステン化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、又は、Ba0.33WO等を挙げることができ、Cs0.33WO又はRb0.33WOであることが好ましく、Cs0.33WOであることがより好ましい。
タングステン化合物は微粒子であることが好ましい。タングステン微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。製造時における取り扱い容易性等の理由から、タングステン微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
また、タングステン化合物は2種以上を使用することが可能である。
タングステン化合物は市販品として入手可能であるが、タングステン化合物が、例えば酸化タングステン系化合物である場合、酸化タングステン系化合物は、タングステン化合物を不活性ガス雰囲気又は還元性ガス雰囲気中で熱処理する方法により得ることができる(特許第4096205号公報を参照)。
また、酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02等のタングステン微粒子の分散物としても、入手可能である。
また、金属ホウ化物としては、ホウ化ランタン(LaB)、ホウ化プラセオジウム(PrB)、ホウ化ネオジウム(NdB)、ホウ化セリウム(CeB)、ホウ化イットリウム(YB)、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化クロム(CrB、CrB)、ホウ化モリブデン(MoB、Mo、MoB)、及び、ホウ化タングステン(W)等の1種又は2種以上を挙げることができ、ホウ化ランタン(LaB)であることが好ましい。
金属ホウ化物は微粒子であることが好ましい。金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。製造時における取り扱い容易性等の理由から、金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
また、金属ホウ化物は2種以上を使用することが可能である。
金属ホウ化物は市販品として入手可能であり、例えば、住友金属鉱山株式会社製のKHF−07AH等の金属ホウ化物微粒子の分散物としても、入手可能である。
無機顔料としては、体質顔料であってもよい。このような体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ白、グロス白、チタンホワイト、及び、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
無機顔料として体質顔料を用いる場合は、体質顔料を着色顔料(例えば、黒色の無機顔料)と併用することが好ましい。これらの体質顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。体質顔料の使用量は、着色剤100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。着色剤及び体質顔料は、場合により、それらの表面をポリマーで改質して使用することができる。
<黒色染料>
本発明の組成物は、黒色染料を含む。
黒色染料としては、可視光(380nm以上780nm)の全波長領域にわたって吸収を有するものが好ましい。
黒色染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168及び171等のほか、公知の黒色を呈する染料が挙げられる。また、黒色染料としては、キサンテン系染料、アゾ系染料、及びアニリン系染料も挙げられる。
黒色染料は、特に、400〜500nmの全波長領域において、光学濃度2以上が好ましく、4以上がより好ましい。
黒色染料は、重合性基を有することが好ましい。黒色染料が重合性基を有することで、耐熱性及びリワーク性を向上させることができる。
重合性基は、エネルギー付与により、化学結合を形成しうる官能基であり、例えば、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基等が挙げられる。なかでも、反応性がより優れる点から、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリル酸エステル基(アクリロイルオキシ基)、メタクリル酸エステル基(メタクリロイルオキシ基)、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、及び、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基のほか、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、及び、メタクリルアミド基等が挙げられる。なかでも、塗膜の解像性がより向上する観点から、メタクリロイル基又はアクリロイル基がより好ましい。
黒色染料中には、重合性基は2種以上含まれていてもよい。また、黒色染料中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、1つでも、2つ以上でもよい。
黒色染料は、染料単量体及び染料多量体のいずれでもよいが、耐熱性をより向上させる観点から、染料多量体であることが好ましい。
なかでも、下記一般式(1)で表される構造単位を有する染料多量体であることが好ましく、重合性基を有し、且つ、下記一般式(1)で表される構造単位を有する染料多量体であることがより好ましい。
〔一般式(1)中、R〜Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Lは、単結合又は2価の連結基を表し、Dyeは、黒色染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。〕
〜Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。なかでも、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基が好ましく、水素原子又はメチル基が好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、例えば、−O−、−S−、−NR−、−CO−、ビニレン基、エチニレン基、アルキレン基(環状、分岐鎖状、直鎖状のいずれであってもよい)、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又は、これらを組み合わせてなる2価の基が挙げられる。
は、例えば、水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基)、ハロゲン原子(好ましくは、F原子、Cl原子、Br原子、I原子)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20のアリール基)が挙げられる。これらのなかでも、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Dyeは、黒色染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。
黒色染料としては、特に限定されないが、上述した黒色染料が挙げられる。なかでも、遮光性能により優れた遮光膜を形成できる観点から、キサンテン系染料又はアゾ系染料が好ましい。
なお、上記一般式(1)で表される構造単位を有する染料多量体が重合性基を有する場合、染料多量体中における重合性基の位置は特に制限されない。染料多量体中における重合性基の位置としては、例えば、Dyeが重合性基を有していてもよいし、重合性基を有する構造単位を有していてもよい。なお、Dyeが重合性基を有するとは、Dyeで表される、黒色染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基が重合性基を有することを意図する。
黒色染料が染料多量体である場合、染料多量体において、上記一般式(1)で表される構造単位の含有量は、全構造単位に対して、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
上記一般式(1)で表わされる構造単位を有する染料多量体は、公知の方法により製造することができる。
黒色染料が染料多量体である場合、その分子量は特に定めるものではないが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算値として、重量平均分子量(Mw)が1000以上20000以下であることが好ましく、2000以上15000以下であることがより好ましく、2000以上10000以下であることが更に好ましい。
GPC法は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる方法に基づく。
重合性基を有する黒色染料の市販品としては、例えば、和光純薬株式会社製RDWシリーズが挙げられ、具体的にはRDW−K01等が挙げられる。
黒色染料の含有量は、リワーク性をより向上させる観点から、無機顔料の含有量に対して質量比(黒色染料/無機顔料)で0.3以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.2以下であることが更に好ましい。なお、黒色染料の含有量の下限は、特に限定されないが、無機顔料に対して質量比で0.01以上であることが好ましい。
本発明の組成物において、黒色染料の含有量は、組成物全固形分量に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、1〜8質量%であることが更に好ましい。
本発明の組成物において、黒色染料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<分散剤>
本発明の組成物は、分散剤を含有することが好ましい。分散剤は、上述した無機顔料等の顔料成分の分散性向上に寄与する。本発明において、分散剤と、後述するバインダー樹脂とは、異なる成分である。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤を適宜選択して用いることができる。なかでも、高分子化合物が好ましい。
分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及び、顔料誘導体等が挙げられる。
高分子化合物は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及びブロック型高分子に分類することができる。
高分子化合物は、無機顔料及び所望により併用する顔料等の被分散体の表面に吸着し、被分散体の再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及び、ブロック型高分子が好ましい。
一方で、無機顔料の表面を改質することにより、これに対する高分子化合物の吸着性を促進させることもできる。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位を有することが好ましい。なお、本明細書において、「構造単位」とは「繰り返し単位」と同義である。
このようなグラフト鎖を有する構造単位を有する高分子化合物は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、上述の無機顔料等の着色顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れるものである。また、グラフト鎖の存在により、グラフト鎖を有する構造単位を有する高分子化合物は重合性化合物又はその他の併用可能な樹脂等との親和性を有する。結果として、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり顔料等の分散性は向上する。一方、グラフト鎖が長すぎると上述の無機顔料等の着色顔料への吸着力が低下して、顔料等の分散性は低下する傾向となる。このため、グラフト鎖は、水素原子を除いた原子数が40〜10000であるものが好ましく、水素原子を除いた原子数が50〜2000であるものがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60〜500であるものが更に好ましい。
ここで、グラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元(主鎖から枝分かれしている基において主鎖に結合する原子)から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
グラフト鎖は、ポリマー構造を有することが好ましく、このようなポリマー構造としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート構造(例えば、ポリ(メタ)アクリル構造)、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造、及び、ポリエーテル構造等が挙げられる。
グラフト鎖と溶剤との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造及びポリ(メタ)アクリレート構造からなる群から選ばれた少なくとも1種を有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル構造及びポリエーテル構造の少なくともいずれかを有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなグラフト鎖を有するマクロモノマーとしては、特に限定されないが、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
高分子化合物が有するグラフト鎖を有する構造単位に対応し、高分子化合物の合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(商品名、東亜合成(株))、AA−10(商品名、東亜合成(株)製)、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、AW−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−714(商品名、東亜合成(株)製)、AY−707(商品名、東亜合成(株)製)、AY−714(商品名、東亜合成(株)製)、AK−5(商品名、東亜合成(株)製)、AK−30(商品名、東亜合成(株)製)、AK−32(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPP−100(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−500(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−1000(商品名、日油(株)製)、ブレンマー55−PET−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−400(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−1300(商品名、日油(株)製)、ブレンマー43PAPE−600B(商品名、日油(株)製)等が用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−10(商品名、東亜合成(株))、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、及び、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)等が用いられる。
分散剤は、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル及び環状又は鎖状のポリエステルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有することが好ましい。なかでも、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル及び鎖状のポリエステルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有することが好ましく、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリアクリル酸メチル及びポリメタクリル酸メチルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有することが更に好ましい。分散剤は、一の分散剤中に上記構造を単独で有するものであってもよいし、一の分散剤中にこれらの構造を複数有するものであってもよい。
ここで、ポリカプロラクトン構造とは、ε−カプロラクトンを開環した構造を繰り返し単位として有するものをいう。ポリバレロラクトン構造とは、δ−バレロラクトンを開環した構造を繰り返し単位として有するものをいう。
ポリカプロラクトン構造を有する分散剤の具体例としては、下記式(1)及び下記式(2)におけるj及びkが5であるものが挙げられる。また、ポリバレロラクトン構造を有する分散剤の具体例としては、下記式(1)及び下記式(2)におけるj及びkが4であるものが挙げられる。
ポリアクリル酸メチル構造を有する分散剤の具体例としては、下記式(4)におけるXが水素原子であり、Rがメチル基であるものが挙げられる。また、ポリメタクリル酸メチル構造を有する分散剤の具体例としては、下記式(4)におけるXがメチル基であり、Rがメチル基であるものが挙げられる。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位として、下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び下記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W、及びWは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表す。W、W、W、及びWは、酸素原子であることが好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X、X、X、X、及びXとしては、合成上の制約の観点からは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、及びYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基等が例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)又は(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基等が挙げられる。これらのなかでも、Z、Z、Z、及びZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5から24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、そのなかでも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐鎖状アルキル基、炭素数5から24の環状アルキル基、又は、炭素数5から24のアルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれでもよい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数である。
また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、組成物の分散安定性及び現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
式(3)中、Rは分岐鎖状又は直鎖状のアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。Rがアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が更に好ましい。式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、高分子化合物は、2種以上の構造が異なる、グラフト鎖を有する構造単位を有することができる。即ち、高分子化合物の分子中に、互いに構造の異なる式(1)〜式(4)で示される構造単位を含んでいてもよく、また、式(1)〜式(4)においてn、m、p、及びqがそれぞれ2以上の整数を表す場合、式(1)及び式(2)においては、側鎖中にj及びkが互いに異なる構造を含んでいてもよく、式(3)及び式(4)においては、分子内に複数存在するR、R及びXは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(1)で表される構造単位としては、組成物の分散安定性及び現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、式(2)で表される構造単位としては、組成物の分散安定性及び現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、式(3)で表される構造単位としては、組成物の分散安定性及び現像性の観点から、下記式(3A)又は式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(3A)又は(3B)中、X、Y、Z及びpは、式(3)におけるX、Y、Z及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位として、式(1A)で表される構造単位を有することがより好ましい。
高分子化合物において、グラフト鎖を有する構造単位(例えば、上記式(1)〜式(4)で表される構造単位)は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し2〜90%の範囲で含まれることが好ましく、5〜30%の範囲で含まれることがより好ましい。グラフト鎖を有する構造単位がこの範囲内で含まれると、上述の無機顔料の分散性が高く、遮光膜を形成する際の現像性が良好である。
また、高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位とは異なる(すなわち、グラフト鎖を有する構造単位には相当しない)疎水性構造単位を有することが好ましい。ただし、本発明において、疎水性構造単位は、酸基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等)を有さない構造単位である。
疎水性構造単位は、好ましくは、ClogP値が1.2以上の化合物(モノマー)に由来する(対応する)構造単位であり、より好ましくは、ClogP値が1.2〜8の化合物に由来する構造単位である。これにより、本発明の効果をより確実に発現することができる。
ClogP値は、Daylight Chemical Information System, Inc.から入手できるプログラム“CLOGP”で計算された値である。このプログラムは、Hansch, Leoのフラグメントアプローチ(下記文献参照)により算出される“計算logP”の値を提供する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、化学構造を部分構造(フラグメント)に分割し、そのフラグメントに対して割り当てられたlogP寄与分を合計することにより化合物のlogP値を推算している。その詳細は以下の文献に記載されている。本発明では、プログラムCLOGP v4.82により計算したClogP値を用いる。
A. J. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P. G. Sammnens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990 C. Hansch & A. J. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. John Wiley & Sons. A.J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993.
logPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、以下の式で示される。
logP=log(Coil/Cwater)
式中、Coilは油相中の化合物のモル濃度を、Cwaterは水相中の化合物のモル濃度を表す。
logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増すことを意味し、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。
高分子化合物は、疎水性構造単位として、下記一般式(i)〜(iii)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
上記式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、好ましくは水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。R及びRは、水素原子であることが更に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル基(−CO−)、及び、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐鎖状構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基であっても飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であることが好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基、又は、複素環基が挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
Zとしては、脂肪族基(例えば、アルキル基、置換アルキル基、不飽和アルキル基、置換不飽和アルキル基、)、芳香族基(例えば、アリール基、置換アリール基、アリーレン基、置換アリーレン基)、複素環基、又は、これらの組み合わせが挙げられる。これらの基には、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、又は、カルボニル基(−CO−)が含まれていてもよい。
脂肪族基は、環状構造又は分岐鎖状構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基には、更に環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、及び、4−シクロヘキシルフェニル基等が含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、及び、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)等の2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環等の3環式炭化水素環、並びに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、及び、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環等の4環式炭化水素環等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、及び、パーヒドロフェナレン環等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、脂肪族基は、置換基として酸基を有さない。
芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、芳香族基は、置換基として酸基を有さない。
複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、複素環基は、置換基として酸基を有さない。
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又はL−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基若しくはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、及び、スチレン類等から選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
なお、式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、特開2013−249417号公報の段落0089〜0093に記載の化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
高分子化合物において、疎水性構造単位は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し10〜90%の範囲で含まれることが好ましく、20〜80%の範囲で含まれることがより好ましい。含有量が上記範囲において十分なパターン形成が得られる。
高分子化合物は、上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。ここで、高分子化合物は、上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位を更に有することが好ましい。
この上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基としては、例えば、酸基、塩基性基、配位性基、及び、反応性を有する官能基等が挙げられる。
高分子化合物が、酸基、塩基性基、配位性基、又は、反応性を有する官能基を有する場合、それぞれ、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、又は、反応性を有する構造単位を有することが好ましい。
特に、高分子化合物が、更に、酸基として、カルボン酸基等のアルカリ可溶性基を有することで、高分子化合物に、アルカリ現像によるパターン形成のための現像性を付与することができる。
すなわち、高分子化合物にアルカリ可溶性基を導入することで、本発明の組成物は、上述の無機顔料等の着色顔料の分散に寄与する分散剤としての高分子化合物がアルカリ可溶性を有することになる。このような高分子化合物を含有する組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
また、高分子化合物が酸基を有する構造単位を有することにより、高分子化合物が溶剤となじみやすくなり、塗布性も向上する傾向となる。
これは、酸基を有する構造単位における酸基が上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用しやすく、高分子化合物が上述の無機顔料等の着色顔料を安定的に分散すると共に、上述の無機顔料等の着色顔料を分散する高分子化合物の粘度が低くなっており、高分子化合物自体も安定的に分散されやすいためであると推測される。
ただし、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記したグラフト鎖を有する構造単位と同一の構造単位であっても、異なる構造単位であってもよいが、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記した疎水性構造単位とは異なる構造単位である(すなわち、上記した疎水性構造単位には相当しない)。
上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基である酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、又は、フェノール性水酸基等があり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種であり、より好ましいものは、上述の無機顔料等の着色顔料への吸着力が良好で、且つ、着色顔料の分散性が高い点で、カルボン酸基である。
高分子化合物は、酸基を有する場合には、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種を有する構造単位を更に有することが好ましい。
高分子化合物は、酸基を有する構造単位を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物は、酸基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、酸基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは5〜80%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜60%である。
上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基である塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、及び、アミド基等があり、好ましいものは、上述の無機顔料等の着色顔料への吸着力が良好で、且つ、着色顔料の分散性が高い点で、第3級アミノ基である。高分子化合物は、これらの塩基性基を1種或いは2種以上、有することができる。
高分子化合物は、塩基性基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、塩基性基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0.01%以上50%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01%以上30%以下である。
上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、及び反応性を有する官能基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、及び、酸塩化物等が挙げられる。好ましいものは、上述の無機顔料等の着色顔料への吸着力が良好で、着色顔料の分散性が高い点で、アセチルアセトキシ基である。高分子化合物は、これらの基を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物は、配位性基を有する構造単位、又は、反応性を有する官能基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、これらの構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、20%以上60%以下である。
本発明における高分子化合物が、グラフト鎖以外に、上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する場合、上述したような、各種の上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、これらの官能基がどのように導入されているかは特に限定はされないが、高分子化合物は、下記一般式(iv)〜(vi)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、及びR13は、好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。一般式(iv)中、R12及びR13は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(iv)中のXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(v)中のYは、メチン基又は窒素原子を表す。
また、一般式(iv)〜一般式(v)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、及び置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、及び置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR31’−、ここでR31’は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル結合(−CO−)、及び、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐鎖状構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜10が最も好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
は、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、Zは、グラフト鎖以外に上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸基、及び、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸基であることがより好ましい。
一般式(vi)中、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、又はL−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるL及びZと同義であり、好ましい例も同様である。R14、R15、及びR16としては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(iv)で表される単量体として、R11、R12、及びR13がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(v)で表される単量体として、R11が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
更に、一般式(vi)で表される単量体として、R14、R15、及びR16がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
以下に、一般式(iv)〜一般式(vi)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、及び、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位の含有量は、上述の無機顔料等の着色顔料との相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、高分子化合物の全質量に対して、0.05〜90質量%が好ましく、1.0〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%が更に好ましい。
更に、高分子化合物は、画像強度等の諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、グラフト鎖を有する構造単位、疎水性構造単位、及び、上述の無機顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位とは異なる、種々の機能を有する他の構造単位(例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基等を有する構造単位)を更に有していてもよい。
このような、他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリル類、及び、メタクリロニトリル類等から選ばれるラジカル重合性化合物に由来の構造単位が挙げられる。
高分子化合物は、これらの他の構造単位を1種或いは2種以上用いることができ、その含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0%以上80%以下であり、特に好ましくは、10%以上60%以下である。含有量が上記範囲において、十分なパターン形成性が維持される。
高分子化合物の酸価は、0mgKOH/g以上160mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。アルカリ現像性をより良好とする観点から、その下限値は、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が更に好ましく、50mgKOH/g以上が特に好ましい。高分子化合物の酸価が50mgKOH/g以上であれば、上述の無機顔料等の着色顔料の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくする(言い換えると液中のパーティクル量を低減する)ことができ、組成物の経時安定性をより向上できる。
また、遮光膜を形成する際の現像時におけるパターン剥離をより効果的に抑制する観点からは、その上限値は、140mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下が更に好ましい。
本発明において、高分子化合物の酸価は、例えば、高分子化合物中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、高分子化合物の構成成分である酸基を含有する構造単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
本発明における高分子化合物の重量平均分子量は、遮光膜を形成する際において、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算値として、4,000以上300,000以下であることが好ましく、5,000以上200,000以下であることがより好ましく、6,000以上100,000以下であることが更に好ましく、10,000以上50,000以下であることが特に好ましい。
GPC法は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる方法に基づく。
高分子化合物は、公知の方法に基づいて合成でき、高分子化合物を合成する際に用いられる溶剤としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、及び、乳酸エチル等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
本発明に用いうる高分子化合物の具体例としては、楠木化成株式会社製「DA−7301」、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111(リン酸系分散剤)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170、190(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)」、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、12000、17000、20000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト共重合体)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。また、アクリベースFFS−6752、アクリベースFFS−187、アクリキュア−RD−F8、及び、サイクロマーPを用いることもできる。
また、両性樹脂の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−180、DISPERBYK−187、DISPERBYK−191、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2025、BYK−9076、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、アジスパーPB822、及び、アジスパーPB881等が挙げられる。
これらの高分子化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、高分子化合物の具体例の例としては、特開2013−249417号公報の段落0127〜0129に記載の高分子化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、分散剤としては、上述した高分子化合物以外に、特開2010−106268号公報の段落0037〜0115(対応するUS2011/0124824の段落0075〜0133欄)のグラフト共重合体が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
また、上記以外にも、特開2011−153283号公報の段落0028〜0084(対応するUS2011/0279759の段落0075〜0133欄)の酸性基が連結基を介して結合してなる側鎖構造を有する構成成分を含む高分子化合物が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
組成物が分散剤を含有する場合には、分散剤の含有量は、上述の無機顔料に対して質量比で0.1〜1の範囲であることが好ましく、0.1〜0.4の範囲であることがより好ましい。分散剤の含有量は、上述の無機顔料に対して質量比で0.1〜0.4の範囲とすることで、組成物中の粗大粒子の量をより低減できるほか、得られる遮光膜の遮光性能にも優れる。
組成物が分散剤を含有する場合において、分散剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましい。
分散剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<バインダー樹脂>
本発明の組成物は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。
バインダー樹脂としては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用することができる。好ましくは、水現像又は弱アルカリ水現像を可能とするために、水又は弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。なかでも、バインダー樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂(アルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂)が特に好ましい。
バインダー樹脂としては、線状有機ポリマーであって、分子(好ましくは、(メタ)アクリル系共重合体、又は、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルアミド系樹脂、(メタ)アクリル/(メタ)アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルアミド系樹脂、(メタ)アクリル/(メタ)アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、及び、フェノール性水酸基等が挙げられる。なかでも、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸由来の構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂がより好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、及び、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、及び、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、及び、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーの例としては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も例として挙げられる。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたもの等が有用である。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、及び、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダー樹脂は、膜強度、及び、現像性のバランスに優れており、好適である。
更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドン、及びポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロン、及び、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとの反応物であるポリエーテル等も有用である。
特に、これらの中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、及び、現像性のバランスに優れており、好適である。
市販品としては、例えばアクリベースFF−187、FF−426(藤倉化成社製)、アクリキュア−RD−F8(日本触媒(株))、及び、ダイセルオルネクス(株)製サイクロマーP(ACA)230AA等が挙げられる。
バインダー樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、並びに、溶剤の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能である。
また、バインダー樹脂として、グラフト鎖を有する構造単位と、酸基(アルカリ可溶性基)を有する構造単位と、を有するポリマーを使用することも好ましい。
グラフト鎖を有する構造単位の定義は、上述した分散剤が有するグラフト鎖を有する構造単位と同義であり、また好適範囲も同様である。
酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、又は、フェノール性水酸基等があり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種であり、より好ましいものは、カルボン酸基である。
酸基を有する構造単位としては、下記一般式(vii)〜一般式(ix)で表さる単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
一般式(vii)〜一般式(ix)中、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
一般式(vii)〜一般式(ix)中、R21、R22、及びR23は、好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。一般式(vii)中、R21及びR23は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(vii)中のXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(viii)中のYは、メチン基又は窒素原子を表す。
また、一般式(vii)〜一般式(ix)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、及び置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、及び置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR41’−、ここでR41’は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル結合(−CO−)、及び、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐鎖状構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R42、ここでR42は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
は、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(vii)〜一般式(ix)中、Zは、酸基であり、カルボン酸基であることが好ましい。
一般式(ix)中、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、又はL−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるL及びZと同義であり、好ましい例も同様である。R24、R25、及びR26としては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(vii)で表される単量体として、R21、R22、及びR23がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(vii)で表される単量体として、R21が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
更に、一般式(ix)で表される単量体として、R24、R25、及びR26がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
上記バインダー樹脂は、上述したグラフト鎖を有する構造単位を有する分散剤と同様の方法により合成することができ、また、その好ましい酸価、重量平均分子量も同じである。
上記バインダー樹脂は、酸基を有する構造単位を1種又は2種以上有してもよい。
酸基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、上記バインダー樹脂の総質量に対して、好ましくは5〜95%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜90%である。
本発明の組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.3〜25質量%であることがより好ましい。
バインダー樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<重合性化合物>
本発明の組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する基を1個以上有する化合物が好ましく、2個以上有する化合物がより好ましく、3個以上有することが更に好ましく、5個以上有することが特に好ましい。上限は、たとえば、15個以下である。エチレン性不飽和結合を有する基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、及び、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマー、及び、これらの混合物、並びに、これらの多量体等の化学的形態のいずれであってもよい。モノマーが好ましい。
重合性化合物の分子量は、100〜3000が好ましく、250〜1500がより好ましい。
重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
モノマー、プレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)及びそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、又は、上記不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との反応物、ハロゲン基又はトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との反応物も好適である。また、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落〔0095〕〜〔0108〕に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
本発明において、重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を1個以上有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。その例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落0227、特開2008−292970号公報の段落0254〜0257に記載の化合物を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
重合性化合物は、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製、A−DPH−12E;新中村化学社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール残基又はプロピレングリコール残基を介している構造(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。また、NKエステルA−TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学(株)製)、及び、KAYARAD RP−1040(日本化薬株式会社製)等を使用することもできる。
以下に好ましい重合性化合物の態様を示す。
重合性化合物は、カルボキシル基、スルホン酸基、及び、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有する重合性化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた重合性化合物がより好ましく、更に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の、アロニックスTO−2349、M−305、M−510、及び、M−520等が挙げられる。
酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、より好ましくは5〜30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像溶解特性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造又は取扱い上、有利である。更には、光重合性能が良好で、硬化性に優れる。
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物も好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε−カプロラクトンとをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも下記一般式(Z−1)で表されるカプロラクトン構造を有する化合物が好ましい。
一般式(Z−1)中、6個のRは全てが下記一般式(Z−2)で表される基であるか、又は6個のRのうち1〜5個が下記一般式(Z−2)で表される基であり、残余が下記一般式(Z−3)で表される基である。
一般式(Z−2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは1又は2の数を示し、
「*」は結合手であることを示す。
一般式(Z−3)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(Z−1)〜(Z−3)においてm=1、式(Z−2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(Z−2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(Z−2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(Z−2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等が挙げられる。
重合性化合物は、下記一般式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物を用いることもできる。
一般式(Z−4)及び(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CH2yCH2O)−、又は((CH2yCH(CH3)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
一般式(Z−4)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。
一般式(Z−5)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。
一般式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が更に好ましい。
一般式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が更に好ましい。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)中の−((CH2yCH2O)−又は((CH2yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(Z−5)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態、一般式(Z−5)において、6個のX全てがアクリロイル基である化合物と、6個のXのうち、少なくとも1個が水素原子ある化合物との混合物である態様が好ましい。このような構成とすることにより、現像性をより向上できる。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端ヒドロキシル基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程はよく知られた工程であり、当業者は容易に一般式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物を合成することができる。
一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物のなかでも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」とも称する。)が挙げられ、なかでも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
一般式(Z−4)、(Z−5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330等が挙げられる。
重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、又は、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、若しくは、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造又はスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた組成物を得ることができる。
市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200(新中村化学社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、及び、AI−600(共栄社製)等が挙げられる。
また、本発明に使用される重合性化合物は、SP(溶解パラメータ)値が、9.50以上であることが好ましく、10.40以上であることがより好ましく、10.60以上であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてSP値は、特に断らない限り、Hoy法によって求める(H.L.Hoy Journal of Painting,1970,Vol.42,76−118)。また、SP値については単位を省略して示しているが、その単位はcal1/2cm−3/2である。
また、組成物は、現像残渣改善の観点から、カルド骨格を有する重合性化合物を有することも好ましい。
カルド骨格を有する重合性化合物としては、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する重合性化合物が好ましく、下記式(Q3)で表される化合物がより好ましい。
一般式(Q3)
上記一般式(Q3)中、Ar11〜Ar14はそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基を表す。X〜Xはそれぞれ独立に重合性基を有する置換基を表し、上記置換基中の炭素原子はヘテロ原子によって置換されていてもよい。a及びbはそれぞれ独立に1〜5の整数を表し、c及びdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表し、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、e、f、g及びhの上限値はそれぞれAr11〜Ar14が有することができる置換基の数からa、b、c又はdを減じた値である。但し、Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含む多環芳香族炭化水素基である場合は、X〜X及びR〜Rはそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の環に置換していてもよい。
上記一般式(Q3)中、Ar11〜Ar14が表す破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基は、炭素数6〜14のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)であることがより好ましく、フェニル基(破線で囲まれたベンゼン環のみ)であることが更に好ましい。
上記一般式(Q3)中、X〜Xはそれぞれ独立に重合性基を有する置換基を表し、上記置換基中の炭素原子はヘテロ原子によって置換されていてもよい。X〜Xが表す重合性基を有する置換基としては特に制限はないが、重合性基を有する脂肪族基であることが好ましい。
〜Xが表す重合性基を有する脂肪族基としては、特に制限はないが、重合性基以外における炭素数が1〜12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜5のアルキレン基であることが更に好ましい。
また、X〜Xが表す重合性基を有する脂肪族基において、上記脂肪族基がヘテロ原子によって置換される場合は、−NR−(Rは置換基)、酸素原子、硫黄原子によって置換されていることが好ましく、上記脂肪族基中の隣り合わない−CH−が酸素原子又は硫黄原子で置換されていることがより好ましく、上記脂肪族基中の隣り合わない−CH−が酸素原子で置換されていることが更に好ましい。X〜Xが表す重合性基を有する脂肪族基は、ヘテロ原子によって1〜2箇所置換されていることが好ましく、ヘテロ原子によって1箇所置換されていることがより好ましく、Ar11〜Ar14が表す破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基に隣接する1箇所がヘテロ原子によって置換されていることが更に好ましい。
〜Xが表す重合性基を有する脂肪族基に含まれる重合性基としては、ラジカル重合又はカチオン重合可能な重合性基(以下、それぞれラジカル重合性基及びカチオン重合性基とも言う)が好ましい。
ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、好適なものとしてラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基を挙げることができ、具体的にはビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基等が挙げられる。なかでも、脂環式エーテル基、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基が特に好ましい。
Ar〜Arが含む置換基が有する上記重合性基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
Ar〜Arのうち2つ以上は重合性基を有する置換基を含み、Ar〜Arのうち2〜4個が重合性基を有する置換基を含むことが好ましく、Ar〜Arのうち2又は3個が重合性基を有する置換基を含むことがより好ましく、Ar〜Arのうち2個が重合性基を有する置換基を含むことが更に好ましい。
Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含む多環芳香族炭化水素基である場合は、X〜Xはそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の環に置換していてもよい。
上記一般式(Q3)中、a及びbはそれぞれ独立に1〜5の整数を表し、1又は2であることが好ましく、a及びbがいずれも1であることがより好ましい。
上記一般式(Q3)中、c及びdはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、c及びdがいずれも0であることがより好ましい。
上記一般式(Q3)中、R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表す。R〜Rが表す置換基としては特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、脂環基等が挙げられる。R〜Rが表す置換基はアルキル基、アルコキシ基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はフェニル基であることがより好ましく、メチル基、メトキシ基又はフェニル基であることが更に好ましい。
上記一般式(Q3)中、Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含む多環芳香族炭化水素基である場合は、R〜Rはそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の環に置換していてもよい。
上記一般式(Q3)中、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、e、f、g及びhの上限値はそれぞれAr11〜Ar14が有することができる置換基の数からa、b、c又はdを減じた値である。
e、f、g及びhはそれぞれ独立に0〜8であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含む多環芳香族炭化水素基である場合、e、f、g及びhは0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式(Q3)で表される化合物としては、例えば、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する重合性化合物としては、特開2010-254732号公報記載の化合物類も好適に用いることができる。
このようなカルド骨格を有する重合性化合物としては、限定されないが、例えば、オンコートEXシリーズ(長瀬産業社製)及びオグソール(大阪ガスケミカル社製)等が挙げられる。
本発明の組成物が重合性化合物を含有する場合において、重合性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対し、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<重合開始剤>
本発明の組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては特に制限はなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、感光性を有するもの(いわゆる、光重合開始剤)が好ましい。
本発明の組成物は、上述の無機顔料、黒色染料の他に、光重合開始剤及び上述した重合性化合物を含有する場合には、活性光線又は放射線の照射により硬化することから、「感光性組成物」と呼ばれることがある。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、等)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン等が挙げられる。上記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、等が挙げられる。
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、及び、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
更に好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、及び、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
特に、本発明の組成物を固体撮像素子の遮光膜の作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性と共に未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、光重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、光重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには光重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが好ましい。また、オキシム化合物を用いることにより、色移り性をより良化できる。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落0265〜0268を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィン系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379EG(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤は、365nm又は405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−819又はDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物(オキシム系開始剤)が挙げられる。特にオキシム化合物は高感度で重合効率が高く、色材濃度によらず硬化でき、色材の濃度を高く設計しやすいため好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、特開2006−342166号公報記載の化合物を用いることができる。
本発明において、好適に用いることのできるオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
また、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等も挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831及びアデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、N−1919(カルバゾール・オキシムエステル骨格含有光開始剤(ADEKA社製)も用いることができる。
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報及び米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、等を用いてもよい。
好ましくは、例えば、特開2013−29760号公報の段落0274〜0275を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
一般式(OX−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
一般式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、及び、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、及び、アリール基等が挙げられる。
一般式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
一般式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、又は、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報記載の化合物、特表2014−500852号公報記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報記載の化合物(C−3)等が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明は、光重合開始剤として、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を用いることもできる。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は、炭素数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRがフェニル基の場合、フェニル基同士が結合してフルオレン基を形成してもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合又はカルボニル基を示す。
式(2)において、R、R、R及びRは、式(1)におけるR、R、R及びRと同義であり、Rは、−R、−OR、−SR、−COR、−CONR、−NRCOR、−OCOR、−COOR、−SCOR、−OCSR、−COSR、−CSOR、−CN、ハロゲン原子又は水酸基を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合又はカルボニル基を表し、aは0〜4の整数を表す。
上記式(1)及び式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル、シクロヘキシル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はキシリル基が好ましい。Rは炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はナフチル基が好ましい。Xは直接結合が好ましい。
式(1)及び式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2014−137466号公報の段落番号0076〜0079に記載された化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものが好ましく、360nm〜480nmの波長領域に極大吸収波長を有するものがより好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが更に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが更に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。本発明の組成物は、重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<有機溶剤>
本発明の組成物は、有機溶剤を含有することが好ましい。
有機溶剤の例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、及び、乳酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、有機溶剤を1種含有していてもよいし、2種以上の有機溶剤を含有していてもよいが、本発明の組成物の調液時に上述の無機顔料の粒径変動を抑制できるという点から、2種以上の有機溶剤を含有することが好ましい。
2種以上の有機溶剤を含有する場合には、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選択される2種以上で構成されることが好ましい。
本発明の組成物が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤の含有量としては、組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。有機溶剤を2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<水>
本発明の組成物は、水を含有してもよい。水は、意図的に添加されるものであってもよいし、本発明の組成物に含まれる各成分を添加することで不可避的に組成物中に含有されるものであってもよい。
水の含有量は、組成物100質量%に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.05〜0.8質量%であることがより好ましく、0.1〜0.7質量%であることが更に好ましい。水の含有量が上記範囲内にあることで、遮光膜を作製したときのピンホールの発生を抑制できたり、遮光膜の耐湿性が向上したりする。
<他の成分>
本発明の組成物中には、上述した成分以外の他の成分が含まれていてもよい。
以下、各成分について詳述する。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤とは、分子中に加水分解性基とそれ以外の官能基を有する化合物である。なお、アルコキシ基等の加水分解性基は、珪素原子に結合している。
加水分解性基とは、珪素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、及び、アルケニルオキシ基が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。特に、炭素数4以下のアルコキシ基又は炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。
また、シランカップリング剤は基板と遮光膜間の密着性を向上させるため、フッ素原子及び珪素原子(ただし、加水分解性基が結合した珪素原子は除く)を含まないことが好ましく、フッ素原子、珪素原子(ただし、加水分解性基が結合した珪素原子は除く)、珪素原子で置換されたアルキレン基、炭素数8以上の直鎖状アルキル基、及び、炭素数3以上の分鎖アルキル基は含まないことが望ましい。
シランカップリング剤は、以下の式(Z)で表される基を有することが好ましい。*は結合位置を表す。
式(Z) *−Si−(RZ1
式(Z)中、RZ1は加水分解性基を表し、その定義は上述の通りである。
シランカップリング剤は、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、及び、オキセタニル基からなる群から選択される1種以上の硬化性官能基を有することが好ましい。硬化性官能基は、直接、珪素原子に結合してもよく、連結基を介して珪素原子に結合していてもよい。
なお、上記シランカップリング剤に含まれる硬化性官能基の好適態様としては、ラジカル重合性基も挙げられる。
シランカップリング剤の分子量は特に制限されず、取り扱い性の点から、100〜1000の場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、270以上が好ましく、270〜1000がより好ましい。
シランカップリング剤の好適態様の一つとしては、式(W)で表されるシランカップリング剤Xが挙げられる。
式(W) RZ2−Lz−Si−(RZ1
z1は、加水分解性基を表し、定義は上述の通りである。
z2は、硬化性官能基を表し、定義は上述のとおりであり、好適範囲も上述の通りである。
Lzは、単結合又は2価の連結基を表す。Lzが2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、ハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基、ハロゲン原子が置換していてもよいアリーレン基、−NR12−、−CONR12−、−CO−、−CO−、SONR12−、−O−、−S−、−SO−、又は、これらの組み合わせが挙げられる。なかでも、炭素数2〜10のハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基及び炭素数6〜12のハロゲン原子が置換していてもよいアリーレン基からなる群から選択される少なくとも1種、又は、これらの基と−NR12−、−CONR12−、−CO−、−CO−、SONR12−、−O−、−S−、及びSO−からなる群から選択される少なくとも1種の基との組み合わせからなる基が好ましく、炭素数2〜10のハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基、−CO−、−O−、−CO−、−CONR12−、又は、これらの基の組み合わせからなる基がより好ましい。ここで、上記R12は、水素原子又はメチル基を表す。
シランカップリング剤Xとしては、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−602)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−603)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBE−602)、γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−903)、γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBE−903)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−503)、及び、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−4803)等が挙げられる。
シランカップリング剤の他の好適態様としては、分子内に少なくとも珪素原子と窒素原子と硬化性官能基とを有し、かつ、珪素原子に結合した加水分解性基を有するシランカップリング剤Yが挙げられる。
このシランカップリング剤Yは、分子内に少なくとも1つの珪素原子を有すればよく、珪素原子は、以下の原子、置換基と結合できる。それらは同じ原子、置換基であっても異なっていてもよい。結合しうる原子、置換基は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1から20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキル基及び/又はアリール基で置換可能なアミノ基、シリル基、炭素数1から20のアルコキシ基、アリーロキシ基等が挙げられる。これらの置換基は更に、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、アルキル基及び/又はアリール基で置換可能なアミノ基、ハロゲン原子、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、アミド基、ウレア基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、カルボキシル基、又はその塩、スルホ基、又はその塩等で置換されていてもよい。
なお、珪素原子には少なくとも一つの加水分解性基が結合している。加水分解性基の定義は、上述の通りである。
シランカップリング剤Yには、式(Z)で表される基が含まれていてもよい。
シランカップリング剤Yは、分子内に窒素原子を少なくとも1つ以上有し、窒素原子は、2級アミノ基或いは3級アミノ基の形態で存在することが好ましく、即ち、窒素原子は置換基として少なくとも1つの有機基を有することが好ましい。なお、アミノ基の構造としては、含窒素ヘテロ環の部分構造の形態で分子内に存在してもよく、アニリン等置換アミノ基として存在していてもよい。
ここで、有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は、これらの組み合わせ等が挙げられる。これらは更に置換基を有してもよく、導入可能な置換基としては、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、アミド基、ウレア基、アルキレンオキシ基アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、カルボキシル基、又はその塩、スルホ基等が挙げられる。
また、窒素原子は、任意の有機連結基を介して硬化性官能基と結合していることが好ましい。好ましい有機連結基としては、上述の窒素原子及びそれに結合する有機基に導入可能な置換基が挙げられる。
シランカップリング剤Yに含まれる硬化性官能基の定義は、上述の通りであり、好適範囲も上述の通りである。
シランカップリング剤Yには、硬化性官能基は一分子中に少なくとも一つ以上有していればよいが、硬化性官能基を2以上有する態様をとることも可能であり、感度、安定性の観点からは、硬化性官能基を2〜20有することが好ましく、4〜15有することが更に好ましく、最も好ましくは分子内に硬化性官能基を6〜10有する態様である。
シランカップリング剤X及びシランカップリング剤Yの分子量は特に制限されないが、上述した範囲(270以上が好ましい)が挙げられる。
本発明の組成物中におけるシランカップリング剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1.0〜6質量%が更に好ましい。
本発明の組成物は、シランカップリング剤を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。組成物がシランカップリング剤を2種以上含む場合は、その合計が上記範囲内であればよい。
(界面活性剤)
本発明の組成物は、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及び、シリコーン系界面活性剤等の各種界面活性剤を使用できる。
本発明の組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上し、塗布厚の均一性又は省液性をより改善することができる。即ち、フッ素系界面活性剤を含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行うことができる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性又は省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、RS−72−K(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができ、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。
また、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報0050〜0090段落及び0289〜0295段落に記載された化合物、例えばDIC社製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、又は、RS−72−K等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。また、和光純薬工業社製の、NCW−101、NCW−1001、NCW−1002を使用することもできる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、サンデットBL(三洋化成(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4460、TSF−4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。
<重合禁止剤>
上記組成物は、重合禁止剤を含有することが好ましい。重合禁止剤を含有すると上記組成物はより優れた経時安定性を有する。
重合禁止剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.00055〜0.055質量%が好ましく、0.0015〜0.01質量%がより好ましい。
重合禁止剤としては、特に制限されず、重合禁止剤として用いられる公知の化合物を用いることができる。重合禁止剤として用いられる化合物としては、例えば、フェノール系化合物、キノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、フェノチアジン系化合物、及びニトロベンゼン系化合物等が挙げられる。上記化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、4−tert−ブチル−カテコール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、4−メトキシ−1−ナフトール、及び1,4−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、式(IH−1)で示されるフェノール系化合物が好ましい。
式(IH−1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、又はアシル基を表す。R〜Rはそれぞれ連結して環を形成してもよい。
式(IH−1)中のR〜Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基(例えば、メチル基及びエチル基等)、炭素数1〜5のアルコキシ基(例えば、メトキシ基及びエトキシ基等)、炭素数2〜4のアルケニル基(例えば、ビニル基等)、又はフェニル基が好ましい。
なかでも、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はtert−ブチル基がより好ましく、R及びRは水素原子がより好ましく、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。
上記キノン系化合物としては、例えば、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、及び1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、下記式(IH−2)で表わされる重合禁止剤が挙げられる。
式(IH−2)中のRは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアシル基を表す。なかでも、水素原子又はヒドロキシ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
また、式(IH−2)中のR〜R10は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表す。R〜R10が表すアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
重合禁止剤としては、上記の各化合物を1種単独で用いても、2種を併用してもよく、3種以上を併用してもよい。
上記重合禁止剤は、フェノール系化合物を含有することが好ましい。なかでも、経時安定性の観点から、重合禁止剤は2種以上のフェノール系化合物を含有することが好ましい。
また、上記重合禁止剤は、経時安定性の観点から、フェノール系化合物と、ヒンダードアミン系化合物とを含有することが好ましい。
<紫外線吸収剤>
上記組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。これにより、硬化膜のパターンの形状をより優れた(精細な)ものにすることができる。
紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、及びトリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。これらの具体例としては、特開2012−068418号公報の段落0137〜0142(対応するUS2012/0068292の段落0251〜0254)の化合物が使用でき、これらの内容が援用でき、本明細書に組み込まれる。
他にジエチルアミノ−フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学社製、商品名:UV−503)等も好適に用いられる。
紫外線吸収剤としては、特開2012−32556号公報の段落0134〜0148に例示される化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001〜15質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましい。紫外線吸収剤としては、上記の各化合物を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(有機顔料)
上記組成物は、有機顔料を含有してもよい。
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等;
C.I.ピグメントオレンジ 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等;
C.I.ピグメントレッド 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等;
C.I.ピグメントグリーン 7,10,36,37,58,59等;
C.I.ピグメントバイオレット 1,19,23,27,32,37,42等;
C.I.ピグメントブルー 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等;
が挙げられる。なお、顔料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<有彩色染料>
染料としては、例えば特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許4808501号明細書、米国特許5667920号明細書、米国特許505950号明細書、米国特許5667920号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に開示されている色素を使用できる。化学構造として区分すると、ピラゾールアゾ化合物、ピロメテン化合物、アニリノアゾ化合物、トリフェニルメタン化合物、アントラキノン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物等を使用できる。また、染料としては色素多量体を用いてもよい。色素多量体としては、特開2011−213925号公報、特開2013−041097号公報に記載されている化合物が挙げられる。また、分子内に重合性を有する有彩色染料重合性染料を用いてもよく、市販品としては、例えば、和光純薬株式会社製RDWシリーズが挙げられる。
<赤外線吸収剤>
上記着色剤は、更に赤外線吸収剤を含有してもよい。
赤外線吸収剤は、赤外領域(好ましくは、波長650〜1300nm)の波長領域に吸収を有する化合物を意味する。好ましくは、赤外線吸収剤は、波長675〜900nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましい。
このような分光特性を有する着色剤としては、例えば、ピロロピロール化合物、銅化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、イミニウム化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、ジチオール金属錯体系化合物、及びクロコニウム化合物等が挙げられる。
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イミニウム化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物、及びクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に開示の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。シアニン化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
上記分光特性を有する着色剤として、特開平07−164729号公報の段落0004〜0016に開示の化合物及び/又は特開2002−146254号公報の段落0027〜0062に開示の化合物、特開2011−164583号公報の段落0034〜0067に開示のCu及び/又はPを含む酸化物の結晶子からなり数平均凝集粒子径が5〜200nmである近赤外線吸収粒子を使用することもできる。
なお、赤外線吸収剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が上述の無機顔料以外のその他の着色剤を含有する場合には、上記着色剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
上記成分以外にも、本発明の組成物には、以下の成分を更に添加してもよい。例えば、増感剤、上述した以外の顔料分散剤、共増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤、希釈剤、及び感脂化剤等が挙げられ、更に、基板表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、及び、連鎖移動剤等)等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜[0309])、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物の固形分量は、10〜40質量%であることが好ましい。組成物の固形分量が10質量%以上であることで、遮光膜の遮光性能がより向上する。また、組成物の固形分量が40質量%以下であることで、組成物のパーティクル量がより低減できるほか、経時的安定性が良好となる。遮光膜の遮光性能が更に向上する観点から、固形分量が12質量%以上であることが好ましい。
<組成物の製造方法>
本発明の組成物は、上述した各種成分を公知の混合方法(例えば、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、湿式分散機)により混合して製造することができる。
組成物の製造に際しては、組成物を構成する各種成分を一括配合してもよいし、各種成分を有機溶剤に溶解又は分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序及び作業条件は、特に制約を受けない。
また、顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断及びキャビテーション等が挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化及び超音波分散等が挙げられる。また、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」及び「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」に記載のプロセス及び分散機を好適に使用することができる。
また、顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程による顔料の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器及び処理条件等は、例えば、特開2015−194521号及び特開2012−046629号に記載のものを使用することができる。
本発明の組成物は、異物の除去又は欠陥の低減等の目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材のなかでもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、ナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、更に好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、顔料のろ過詰まりを抑えつつ、顔料に含まれる不純物又は凝集物等、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、より好ましくは0.3〜6.0μm程度である。
[硬化膜(遮光膜)]
本発明の硬化膜は、上述した組成物を用いて得られる。本発明の硬化膜には、上述した無機顔料(好ましくは黒色の無機顔料であり、より好ましくは窒化物又は酸窒化物を含有する顔料)及び黒色染料が主に含まれる。
本発明の硬化膜は、遮光膜として好適に用いられ、具体的にはCCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサー等のイメージセンサー周辺遮光膜(額縁遮光膜)として好適に用いられる。
本発明の組成物を用いて得られるイメージセンサー周辺遮光膜は遮光性能に優れる。つまり、特定の波長領域における遮光性能の低下がなく、所定領域(例えば、可視光領域〜1200nm)において最低光学濃度が充分な遮光能を与え得る範囲にある。
本発明の硬化膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択でき、特に限定されない。
本発明の硬化膜を、例えば、イメージセンサー周辺遮光膜とする場合、遮光膜の膜厚としては特に限定はないが、乾燥後の膜厚で、0.2μm以上50μm以下が好ましく、0.2μm以上30μm以下がより好ましく、0.2μm以上25μm以下が更に好ましく、0.2μm以上20μm以下が特に好ましく、0.2μm以上10μm以下が最も好ましい。
また、遮光膜のサイズ(一辺の長さ)としては、0.001mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上4mm以下がより好ましく、0.1mm以上3.5mm以下が更に好ましい。
<硬化膜(遮光膜)の製造方法>
次に、本発明の硬化膜(遮光膜)の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。以下、代表例として、パターン状の硬化膜を製造する方法について詳述する。
本発明のパターン状の硬化膜の製造方法は、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層(塗布膜)を形成する工程(以下、適宜「組成物層形成工程」と略称する。)と、上記組成物層を、マスクを介して露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の組成物層を現像してパターン状の硬化膜を形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
具体的には、本発明の組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、組成物層を形成し(組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された組成物層部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、画素からなるパターン状の硬化膜を形成することができる。
以下、各工程について説明する。
(組成物層形成工程)
組成物層形成工程では、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層(塗布膜)を形成する。
基板としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたもの、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板(例えば、シリコン基板等)、CCD基板、並びに、CMOS基板等が挙げられる。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止又は基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
基板上への本発明の組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、又はスクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
イメージセンサー周辺遮光膜を製造する際には、組成物の塗布膜厚としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm以上1.5μm以下が好ましく、0.40μm以上1.0μm以下がより好ましい。
基板上に塗布された組成物は、通常、70℃以上110℃以下で2分以上4分以下程度の条件下で乾燥する。これにより、組成物層を形成できる。
(露光工程)
露光工程では、組成物層形成工程において形成された組成物層(塗布膜)を、マスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は、活性光線又は放射線の照射により行うことが好ましく、特に、g線、h線、又はi線等の紫外線がより好ましい。照射強度は5〜1500mJ/cmが好ましく、10〜1000mJ/cmがより好ましい。
(現像工程)
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分(光照射された塗布膜部分)だけが残る。
現像液としては、下地の回路等にダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
アルカリ性の水溶液としては、例えば、無機系現像液及び有機系現像液が挙げられる。無機系現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、又は、メタ硅酸ナトリウムを、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。有機系現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、又は、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液には、例えばメタノール又はエタノール等の水溶性有機溶剤及び/又は界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
現像方法としては、例えば、パドル現像方法又はシャワー現像方法等を用いることができる。
なお、本発明の硬化膜の製造方法においては、上述した、組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された硬化膜を加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
〔カラーフィルタ、遮光膜〕
本発明の組成物を用いて形成された硬化膜は、カラーフィルタの画素ブラックマトリクス、又は、後述する画像表示装置若しくはセンサモジュール内の各種部材に適用する遮光膜として好ましく用いることができる。
(カラーフィルタ)
カラーフィルタは、CCD又はCMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD又はCMOS等に好適である。カラーフィルタは、例えば、CCD又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置して用いることができる。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像素子の例としては、特開2012−227478号公報、特開2014−179577号公報に記載の装置が挙げられる。
本発明のカラーフィルタは、上記硬化膜を有していれば特にその形態は限定されない。上記硬化膜は、例えば、カラーフィルタの画素ブラックマトリクスとして好適に用いることができる。
(遮光膜)
遮光膜は、画像表示装置又はセンサモジュール内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、又は、固体撮像素子の裏面等)等に形成して用いることができる。
また、赤外光カットフィルタの表面上の少なくとも一部に、遮光膜を形成して、遮光膜付き赤外光カットフィルタとしてもよい。
遮光膜の厚さは特に制限されないが、0.2〜25μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましい。上記厚さは平均厚さであり、遮光膜の任意の5点以上の厚さを測定し、それらを算術平均した値である。
遮光膜の反射率は、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下が更に好ましく、4%以下が特に好ましい。なお、遮光膜の反射率は、遮光膜に、入射角度5°で400〜700nmの光を入射し、その反射率を日立ハイテクノロジーズ社製の分光器UV4100(商品名)により測定した値である。
〔固体撮像装置〕
本発明の固体撮像装置は、上述のような固体撮像素子を備え、固体撮像素子の外周部又は裏面等に上記硬化膜(カラーフィルタ、遮光膜等)を備える。本発明の固体撮像装置の構成としては、上記硬化膜及び固体撮像素子を有する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサー等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオード及び転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。
更に、デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
〔画像表示装置〕
本発明の硬化膜(カラーフィルタ又は遮光膜等)は、液晶表示装置、又は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置に用いることができる。
表示装置の定義又は各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」等に記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に適用する場合は、その形態は特に限定されない。
以下に、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に適用する場合の態様について詳述する。
本発明のカラーフィルタは、カラーTFT(Thin Film Transistor)方式の液晶表示装置に用いてもよい。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明のカラーフィルタはIPS(In Plane Switching)等の横電界駆動方式、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)等の画素分割方式等の視野角が拡大された液晶表示装置、又は、STN(Super−Twist Nematic)、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、OCS(on−chip spacer)、FFS(fringe field switching)、若しくは、R−OCB(Reflective Optically Compensated Bend)等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color−filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタに対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率及び剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタは、耐光性等に優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページ等に記載されている。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、及び、視野角保障フィルム等様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)、又は、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)等に記載されている。
また、本発明の硬化膜は、パーソナルコンピュータ、タブレット、携帯電話、スマートフォン又はデジタルカメラ等のポータブル機器;プリンタ複合機又はスキャナ等のOA(Office Automation)機器;監視カメラ、バーコードリーダ、現金自動預け払い機(ATM)、又は、ハイスピードカメラ若しくは顔画像認証を使用した本人認証等の産業用機器;車載用カメラ機器;内視鏡、カプセル内視鏡又はカテーテル等の医療用カメラ機器;生体センサー、バイオセンサー、軍事偵察用カメラ、立体地図用カメラ、気象若しくは海洋観測カメラ、陸地資源探査カメラ、又は、宇宙の天文若しくは深宇宙ターゲット用の探査カメラ等の宇宙用機器等に使用される光学フィルタ若しくはモジュールの遮光部材又は遮光層、更には反射防止部材又は反射防止層に用いることができる。
また、本発明の硬化膜は、マイクロLED(Light Emitting Diode)又はマイクロOLED(Organic Light Emitting Diode)等の用途にも用いることができる。特に限定されないが、マイクロLED又はマイクロOLEDに使用される光学フィルタ又は光学フィルムのほか、遮光機能又は反射防止機能を付与する部材に対して好適に用いられる。
マイクロLED又はマイクロOLEDの例としては、特表2015−500562号及び特表2014−533890に記載されたものが挙げられる。
また、本発明の組成物を硬化して得られた硬化膜は、量子ドットディスプレイ等の用途にも用いることができる。特に限定されないが、量子ドットディスプレイに使用される光学又は光学フィルムのほか、遮光機能又は反射防止機能を付与する部材に対して好適に用いられる。
量子ドットディスプレイの例としては、米国特許出願公開第2013/0335677号、米国特許出願公開第2014/0036536号、米国特許出願公開第2014/0036203号、及び、米国特許出願公開第2014/0035960号に記載されたものが挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
〔組成物〕
以下、実施例及び比較例の組成物の調製にあたって、まず組成物に含まれる各成分について説明する。
<無機顔料(窒化物又は酸窒化物を含有する顔料)>
(TiN−1)日清エンジニアリング社製(窒化チタン含有粒子、BET比表面積 55m/g、平均一次粒径 24.2nm)
(TiN−2) Hefei社製、商品名「TiN20nm」(窒化チタン含有粒子、平均一次粒子径 41.7nm)
(TiN−3) 三菱マテリアル社製、商品名「13M−T」(酸窒化チタン含有粒子、平均一次粒子径 75nm)
<染料>
(染料A)
下記の手順に基づき、染料Aを合成した。
特開2016−69656号公報の段落[0340]に記載された中間体(C)47gをN,N−ジメチルアセトアミド500mlに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにメタクリル酸クロリド(東京化成製)5.5gを内温5℃以下に保ちながら滴下した後に、室温で90分反応させた。得られた反応液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ入れ、ろ別した。これをクロロホルムに溶解し、カラムクロマトグラフィーで精製し、ロータリーエバポレーターにて濃縮乾固し、下記の重合性基含有化合物を取り出した(収率12%)。
次いで、フラスコ中のN,N−ジメチルアセトアミド45gに上記重合性基含有化合物5gを溶解し、70℃に加熱した。窒素雰囲気下にて、N,N−ジメチルアセトアミド45gに熱重合開始剤V−601(和光純薬(株)製)0.5gを溶解したものを30分かけて滴下した。滴下後、更に加熱反応を5時間継続した後、反応液を多量の酢酸エチルに投入し、析出物として下記のオリゴマーを取り出した(収率95%)。得られたオリゴマーをGPCにて分析し、繰り返し単位nの平均値が6.3であることを確認した。
上記で得られたオリゴマー5gをN,N−ジメチルアセトアミド500mlに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにメタクリル酸クロリド(東京化成製)5gを内温5℃以下に保ちながら滴下した後に、室温で90分反応させた。得られた反応液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ入れ、ろ別し、下記重合性基含有キサンテンオリゴマーを取り出した(収率98%)。
(染料B)
特開2013−253170号公報に準じて下記構造で表される重合性基を有さないキサンテン骨格化合物を得た。
(染料C)
特表2004−534121号公報に準じて下記構造式で表される重合性基を有さないアゾ化合物を得た。下記構造式において、Mは、pHに依存して水素原子及び/又はナトリウム原子を表す。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂として、アルカリ可溶性樹脂である以下の樹脂Aを用いた。
・樹脂A(アクリキュア RD−F8 日本触媒製、下記式参照)
<分散剤>
分散剤として、以下の構造の分散剤A〜Eを用いた。分散剤A、B、Dにおいて、各構造単位に記載の数値は、全構造単位に対する、各構造単位の質量%を意図する。また、分散剤Cにおいて、各構造単位に記載の数値(a〜e)は、全構造単位に対する、各構造単位のモル比を意図し、x及びyは連結数を意図する。また、分散剤Eにおいては、Zに連結した連結基に記載の数値は、Zに連結した連結数を意図する。




<重合性化合物>
重合性化合物として、以下の重合性化合物M1を用いた。
・重合性化合物M1
(日本化薬社製、商品名「KAYARAD DPHA」、下記式参照)
<重合開始剤>
重合開始剤として、以下のオキシム系開始剤を用いた。
・OXE−02:Irgacure OXE02(商品名、BASFジャパン社製)
<有機溶剤>
有機溶剤として、以下の有機溶剤を用いた。
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・シクロペンタノン
<界面活性剤>
界面活性剤としては、以下の界面活性剤1を用いた。
(界面活性剤1)下記構造式で表される混合物F−1(重量平均分子量(Mw)=14000)
なお、使用した各種樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)測定により算出した。
<顔料分散物の調製>
まず、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料、分散剤及び有機溶剤を、攪拌機(IKA社製EUROSTAR)によって15分間混合し、分散物を得た。次に、得られた分散物に対して、(株)シンマルエンタープライゼス製のNPM−Pilotを使用して下記条件にて分散処理を行い、顔料分散物を得た。なお、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料に対する分散剤の比率(質量比)(以下、「D/P」ともいう。)が第1表の各実施例及び比較例に示す割合になるように添加した。
(分散条件)
・ビーズ径:φ0.05mm、(ニッカトー製ジルコニアビーズ、YTZ)
・ビーズ充填率:65体積%
・ミル周速:10m/sec
・セパレータ周速:13m/s
・分散処理する混合液量:15kg
・循環流量(ポンプ供給量):90kg/hour
・処理液温度:19〜21℃
・冷却水:水
・処理時間:22時間程度
<組成物の調製>
次に、上記顔料分散液、黒色染料、バインダー樹脂、重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤及び有機溶剤を混合、攪拌して、下記第1表に示す実施例及び比較例の各組成物を得た。なお、黒色染料については、表中に記載される「持ち込み剤」と黒色染料とを混合した組成物を予め調製し、これを顔料分散液等の他の成分と混合させた。
実施例及び比較例の各組成物に含まれる各成分の含有量(質量%)を、第1表に示す。
<組成物中の水分量の測定>
実施例及び比較例の各組成物の水分量について、カールフィッシャー法を測定原理とするMKV−710(商品名、京都電子工業社製)により測定した。結果を第1表に示す。
なお、組成物中の水分は、各種原料に由来するものである。
[評価試験]
実施例及び比較例の各組成物について、以下の各評価試験を行った。
<パーティクルの個数>
実施例及び比較例の各組成物を100mLブルームビンに入れ、45℃の環境下で7日間静置した。そして、上澄み液90mLを取り除き、残った10mLの組成物をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で500倍に希釈して評価液を調製した。この評価液10ml中に含まれる10μm以上のパーティクルの数をフロー式粒子像分析装置(商品名「FPIA」、マルバーン社製)にてをカウントした。
<分光(遮光性)>
厚さ0.7mm、10cm角のガラス板(EagleXG、Corning)上に、膜厚1.0μmとなる回転数にてスピンコートにより組成物を塗布して塗布膜を形成し、ホットプレート上において、塗布膜を100℃、2minの熱処理をすることにより、乾燥膜を得た。得られた乾燥膜に対し、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)によりOD(光学濃度)を測定した。波長400〜1200nmにおける最低ODに基づいて、以下の基準により分光(遮光性)の評価を行った。このとき、組成物の組成を調製することにより、塗布液固形分中の50質量%が顔料とした。
「A」:最低OD>2.5
「B」:2.5≧最低OD>2.3
「C」:2.3≧最低OD>2.1
「D」:2.1≧最低OD
<経時粘度安定性>
実施例及び比較例の組成物を23℃において10日間保存した後、7℃において90日間保存した。また、保存前後の各組成物の粘度を、E型粘度計(東機産業社製、商品名「R85形粘度計」)を用いて回転数10rpm、23℃の条件にて測定した。そして、[{(経時後の粘度−調液直後の粘度)/調液直後の粘度}×100]の値(%)を算出した。評価基準は以下の通りである。
「A」:±3%以内
「B」:±3%超、±5%以内
「C」:±5超%、±10%以内
「D」:±10%超
<リワーク性>
実施例及び比較例の各組成物を用いて、各組成物の塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、表面に電極パターン(銅)が形成されたシリコンウエハの電極パターン上に、各組成物をスピンコート塗布した。その後、10分間そのままの状態で待機させ、100℃のホットプレートを用いて、各組成物が塗布されたシリコンウエハに対して120秒間加熱処理(プリベーク)を行い、塗布膜を形成した。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが20μm四方のIslandパターンマスクを通して、500mJ/cmの露光量で塗布膜を露光した。
なお、実施例及び比較例の各組成物は、露光部が硬化するネガ型の感光性樹脂組成物である。
その後、露光された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピンシャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製、有機アルカリ液現像液)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。
次いで、パドル現像後のシリコンウエハを真空チャック方式で上記水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハ基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スプレー乾燥し、額縁状のパターンを有するウエハを形成した。
次いで、得られた額縁状のパターンを有するウエハを、85℃のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)25%水溶液に5時間浸漬して、2LのDIW(純水)槽に室温にて2分間浸漬することでリンス処理を行った。得られた洗浄後ウエハからの額縁状のパターンの除去状態を光学顕微鏡(オリンパス社製、商品名「LEXT OLS4500」)により観察することで、リワーク性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
「A」:パターンが観察されない
「B」:パターン形成領域の5%以下に粒子状の除去残渣が観察される
「C」:パターン形成面積の5%超10%以下に粒子状の除去残渣が観察される
「D」:パターン形成面積の10%超に粒子状の除去残渣が観察されるか、若しくは、パターン若しくはパターンの一部が観察される
<耐熱性>
厚さ0.7mm、10cm角のガラス板(EagleXG、Corning)上に、膜厚1.0μmとなる回転数にてスピンコートにより組成物を塗布して塗布膜を形成し、ホットプレート上において、塗布膜を100℃、2minの熱処理をすることにより、乾燥膜を得た。得られた乾燥膜に対し、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)によりOD(光学濃度)を測定した。波長400〜1200nmにおける最低ODに基づいて、分光(遮光性)の評価を行い、耐熱試験前最低ODとした。乾燥膜を265℃のホットプレート上で10分間加熱処理し、上記と同様に分光評価を行い、耐熱試験後最低ODを得た。耐熱試験での分光変動量を下記式により算出し、評価した。
「変動量={(耐熱試験後最低OD−耐熱試験前最低OD)/耐熱試験前最低OD}×100」
「A」:±3%以内
「B」:±3%超、±5%以内
「C」:±5超%、±10%以内
「D」:±10%超
<パターニング性(解像性)>
実施例及び比較例の組成物を用いて、スピンコーターにより、イメージセンサーデバイス基板上に塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に対して、ホットプレート上で100℃、2minのプリベーク処理を行った。続いて、i線露光装置(FPA、キヤノン製)を用いて上記プリベーク処理を経た塗膜を露光し、更に現像することにより、基板上の受光部外周部分にダイシングライン及び電極部以外を被覆する遮光膜を形成すると同時に、基板上に20μmの線幅を有するアライメントマークを20個形成した。
光学顕微鏡を用い、形成したアライメントマークの個数を観察することで、解像性の評価を行った。
「A」: マークが20個形成できた。
「B」: マークが19個形成できた。
「C」: マークが18個形成できた。
「D」: マークが17個以下形成できた。
以上の評価試験の評価結果を、第1表に示す。
第1表の結果から、実施例1〜21の組成物から形成された遮光膜は、高い遮光性能を示すことが確認された。一方、比較例1の組成物から形成された遮光膜は、要求される遮光性能を満たさなかった。
実施例1、6、7及び8を対比すると、黒色染料の含有量が、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料に対して質量比で0.3以下(好ましくは0.25以下、より好ましくは0.2以下)であることにより、リワーク性がより向上することが示された。
実施例1、4及び5を対比すると、黒色染料が重合性基を有することにより、リワーク性、耐熱性及びパターニング性がより向上することが示された。また、アゾ系染料を用いた実施例5においては、耐熱性が優れていることが確認された。
実施例1、9〜12を対比すると、分散剤の酸価を50mgKOH/g以上とすることにより、液中のパーティクル量をより低減できることが示された。特に、実施例1では、疎水的な成分であるベンジルメタクリレートを含む分散剤Aを用いたことにより、液中のパーティクル量がより少なく、更にパターニング性にも優れていることが示された。
実施例1、16及び17を対比すると、組成物全質量に対する固形分量が10〜40質量%である場合、パーティクル量がより低減し、経時的安定性がより良好となることが示された。また、実施例13、14及び15の結果から、組成物全質量に対する固形分量が12質量%以上である場合に、得られる遮光膜の遮光性能がより向上することが示された。
実施例1、20及び21を対比すると、顔料の含有量が固形分量に対して30質量%以上である場合、得られる遮光膜の遮光性能がより向上し、更に耐熱性も向上することが示された。一方、顔料の含有量が固形分量に対して70質量%以下である場合、リワーク性及びパターニング性がより向上することが示された。
(実施例22)
実施例1にて染料Aを用いた代わりに重合性黒色染料「RDW−K01」(和光純薬工業株式会社製)を用いたこと以外は同様として組成物を調製し、評価を行ったところ、実施例1と同等の性能を有することが分かった。
(実施例23)
実施例1にて染料Aを用いた代わりに、染料Aと重合性黒色染料「RDW−K01」(和光純薬工業株式会社製)を用い、質量比で1:1として使用したこと以外は同様として組成物を調製し、評価を行ったところ、実施例1と同等の性能を有することが分かった。
(実施例24)
実施例4にて染料Bを用いた代わりに、染料Bと重合性黒色染料「RDW−K01」(和光純薬工業株式会社製)を用い、質量比で1:1として使用したこと以外は同様として組成物を調製し、評価を行ったところ、実施例4よりもより優れた評価が得られ、具体的にはリワーク性評価、耐熱性評価、パターニング性評価がいずれも「B」となることが分かった。
(実施例25)
実施例1において、TiN−1を用いた代わりに、TiN−1とカーボンブラック(商品名「カラーブラック S170」、デグサ社製、平均一次粒子径17nm、BET比表面積200m2/g、ガスブラック方式により製造されたカーボンブラック)を用い、質量比で7:3として使用したこと以外は同様として組成物を調製し、評価を行ったところ、実施例1と同等の性能を有することが分かった。
(実施例26)
実施例1において、TiN−1を用いた代わりに、TiN−1とピグメントイエロー150(Hangzhou Star-up Pigment Co., Ltd.製、商品名6150顔料黄5GN)を用い、質量比で9:1として使用したこと以外は同様として組成物を調製し、評価を行ったところ、実施例1と同等の性能を有することが分かった他、さらに黒味の濃い遮光膜が得られることが分かった。この結果から、他の有機顔料や、有彩色染料と併用しても本願所望の効果が得られることが推定される。

Claims (20)

  1. 無機顔料と、黒色染料と、を含む組成物。
  2. 前記無機顔料が、窒化物又は酸窒化物を含有する顔料である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記黒色染料が重合性基を有する、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
  4. 前記重合性基がアクリロイル基又はメタクリロイル基である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記黒色染料がキサンテン系染料又はアゾ系染料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記黒色染料が染料多量体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 更に、分散剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記分散剤の酸価が50mgKOH/g以上である、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記分散剤が、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリアクリル酸メチル及びポリメタクリル酸メチルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する、請求項7又は請求項8に記載の組成物。
  10. 更に、重合性化合物と、重合開始剤と、を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 更に、有機溶剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 更に、アルカリ可溶性樹脂を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 前記黒色染料の含有量が、前記無機顔料の含有量に対して質量比で0.3以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 組成物全質量に対する固形分量が10〜40質量%である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 前記無機顔料の含有量が、固形分量に対して30〜70質量%である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物を用いて得られる、硬化膜。
  17. 請求項16に記載の硬化膜を有する、カラーフィルタ。
  18. 請求項16に記載の硬化膜を有する、遮光膜。
  19. 請求項16に記載の硬化膜を有する、固体撮像装置。
  20. 請求項16に記載の硬化膜を有する、画像表示装置。
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