JPWO2017150714A1 - エラストマー組成物およびそれを成形してなる医療容器栓体 - Google Patents

エラストマー組成物およびそれを成形してなる医療容器栓体 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017150714A1
JPWO2017150714A1 JP2018503425A JP2018503425A JPWO2017150714A1 JP WO2017150714 A1 JPWO2017150714 A1 JP WO2017150714A1 JP 2018503425 A JP2018503425 A JP 2018503425A JP 2018503425 A JP2018503425 A JP 2018503425A JP WO2017150714 A1 JPWO2017150714 A1 JP WO2017150714A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
elastomer composition
weight
block
block copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018503425A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6912452B2 (ja
Inventor
可奈絵 軽部
可奈絵 軽部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MCPP Innovation LLC
Original Assignee
MCPP Innovation LLC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MCPP Innovation LLC filed Critical MCPP Innovation LLC
Publication of JPWO2017150714A1 publication Critical patent/JPWO2017150714A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6912452B2 publication Critical patent/JP6912452B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L91/00Compositions of oils, fats or waxes; Compositions of derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61JCONTAINERS SPECIALLY ADAPTED FOR MEDICAL OR PHARMACEUTICAL PURPOSES; DEVICES OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR BRINGING PHARMACEUTICAL PRODUCTS INTO PARTICULAR PHYSICAL OR ADMINISTERING FORMS; DEVICES FOR ADMINISTERING FOOD OR MEDICINES ORALLY; BABY COMFORTERS; DEVICES FOR RECEIVING SPITTLE
    • A61J1/00Containers specially adapted for medical or pharmaceutical purposes
    • A61J1/14Details; Accessories therefor
    • A61J1/1406Septums, pierceable membranes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L29/00Materials for catheters, medical tubing, cannulae, or endoscopes or for coating catheters
    • A61L29/04Macromolecular materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L51/00Compositions of graft polymers in which the grafted component is obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L51/06Compositions of graft polymers in which the grafted component is obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers grafted on to homopolymers or copolymers of aliphatic hydrocarbons containing only one carbon-to-carbon double bond
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L53/00Compositions of block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L53/02Compositions of block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers of vinyl-aromatic monomers and conjugated dienes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2205/00Polymer mixtures characterised by other features
    • C08L2205/03Polymer mixtures characterised by other features containing three or more polymers in a blend
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2207/00Properties characterising the ingredient of the composition
    • C08L2207/04Thermoplastic elastomer

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

本発明のエラストマー組成物は、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)を1〜25重量%、成分(C)を1〜70重量%含む熱可塑性エラストマー組成物からなる。成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックと共役ジエン及びイソブチレンから選ばれる少なくとも1つに由来する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体成分(B):下記成分(B1)を含むポリプロピレン系樹脂成分(B1):ポリプロピレン系樹脂をジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレン成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤

Description

本発明は、エラストマー組成物に関し、さらに詳しくは、圧縮永久歪が小さく、柔軟性、液漏れシール性、針刺し特性、滅菌安定性、成形加工性等が良好な医療用栓体を形成するためのエラストマー組成物、および該エラストマー組成物を成形してなる医療用栓体に関する。
輸液バッグとは、生体に血液製剤や点滴注射液などの液体を注入する際、あるいはこれらを保存する際に使用される容器を意味する。現在、輸液バッグにはガラス製、プラスチック製などが用いられ、容器の開口部には中に充填された液体(内容液)が漏洩しないようにゴム栓が嵌合されている。輸液バッグを使用する際は、ゴム栓に対して金属針ないしはプラスチック針などの注射針が刺し込まれ、それを通じて内容液を取り出すのが一般的である。
上記の輸液バッグの使用において、注射針は治療に応じた時間でゴム栓より抜かれるが、内容液が完全に消費された後に抜かれるものばかりではなく、内容液が輸液バッグ中に残っている状態で抜かれる場合もある。その際にゴム栓に対して要求される特性が液漏れシール性である。このシール性が不十分である場合、注射針を刺したところに形成された孔から内容液が漏洩する場合や飛散する場合がある。
旧来、輸液バッグ用のゴム栓等の医療用部材において、液漏れシール性に優れたイソプレンゴム等の加硫ゴムが多く使用されているが、加硫ゴムは医療用用品に適さない添加剤が含まれていることに加え、成形加工性にも劣る。また、輸液バッグの主流がガラス製からプラスチック製へと変遷していくに当たり、プラスチック製の輸液バッグ本体と二色成形で融着嵌合させることが可能であることから、熱可塑性エラストマー製のゴム栓を用いる試みが行われている。
その中でもスチレン系熱可塑性エラストマーはゴム弾性に優れることから、加硫ゴム代替が最も期待される材料として検討され、特定の硬度範囲にあるスチレン系エラストマーが液漏れシール性、刺通強度、ハンドリング性のバランスに優れることが開示されている(特許文献1参照。)。また、スチレン系熱可塑性エラストマー、炭化水素系ゴム用軟化剤及びポリオレフィン系樹脂を含み、特定の分子量分布を有する医療用ゴム栓が優れた針刺し特性を示すことが開示されている(特許文献2参照。)。更に、スチレン系熱可塑性エラストマーに加硫ゴムを添加する技術も開示されている(特許文献3参照。)。
日本国特開平7−228749号公報 日本国特開2012−025944号公報 日本国特開2010−227285号公報
本発明者の詳細な検討によれば、上記特許文献1〜3に記載されているような熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる成形体は、医療容器が備える栓体に要求される性能である、圧縮永久歪、液漏れシール性、針刺し特性、滅菌安定性、成形加工性の全てを十分に満足するものではないことがわかった。
本発明の課題は、上記問題点を解決しようとするものである。即ち、本発明の課題は、圧縮永久歪が小さく、柔軟性、液漏れシール性、針刺し特性、滅菌安定性、成形加工性等に優れる医療容器栓体を形成するためのエラストマー組成物、および該エラストマー組成物を成形してなる医療容器栓体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する変性ポリプロピレン系樹脂を用い、更に特定量のブロック共重合体及び炭化水素系ゴム用軟化剤を含む熱可塑性エラストマー組成物からなるエラストマー組成物を用いることで、該エラストマー組成物を成形した医療容器栓体は高い性能を発現し、従来の課題を全て解決しうることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明の要旨は以下[1]〜[9]の通りである。
[1]下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、これらの合計量に対し、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)を1〜25重量%、成分(C)を1〜70重量%含む熱可塑性エラストマー組成物からなるエラストマー組成物。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックと共役ジエン及びイソブチレンから選ばれる少なくとも1つに由来する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体
成分(B):下記成分(B1)を含むポリプロピレン系樹脂
成分(B1):ポリプロピレン系樹脂をジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレン
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[2]前記成分(B1)の前記ジエン化合物が共役ジエン化合物である、前記[1]に記載のエラストマー組成物。
[3]前記成分(B1)の前記共役ジエン化合物がイソプレンである、前記[2]に記載のエラストマー組成物。
[4]前記成分(B1)のメルトフローレート(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg))が0.1〜200g/10分である、前記[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物。
[5]前記成分(A)の重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000である、前記[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物。
[6]前記エラストマー組成物のデュロ硬度A(ISO 7619−1)が10〜40である、前記[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物。
[7]医療容器栓体用エラストマー組成物である、前記[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物。
[8]前記[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物から形成された医療容器栓体。
[9]医療用ゴム栓である、前記[8]に記載の医療容器栓体。
本発明のエラストマー組成物によれば、圧縮永久歪が小さく、柔軟性、液漏れシール性、針刺し特性、滅菌安定性、成形加工性等に優れる医療容器栓体等の医療用部材を成形することができる。本発明のエラストマー組成物は、上記効果を奏することから、医療用ゴム栓等の医療容器栓体、医療用キャップ、医療用ガスケット、医療用パッキン、カテーテル・チューブ、蘇生器等に好適に用いることができる。
図1は、実施例で用いた針刺し特性を評価するための冶具の断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔エラストマー組成物〕
本発明のエラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、これらの合計量に対し、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)を1〜25重量%、成分(C)を1〜70重量%含む熱可塑性エラストマー組成物(以下、「本発明の熱可塑性エラストマー組成物」と称す場合がある。)からなる。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックと共役ジエン及びイソブチレンから選ばれる少なくとも1つに由来する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体
成分(B):下記成分(B1)を含むポリプロピレン系樹脂
成分(B1):ポリプロピレン系樹脂をジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレン
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
<成分(A)>
本発明において、成分(A)は、ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロック(以下「ブロックP」と称す場合がある。)と、共役ジエン及びイソブチレンから選ばれる少なくとも1つに由来する重合体ブロック(以下「ブロックQ」と称す場合がある。)とを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体である。
ブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。中でも、スチレンを主体とすることが好ましい。なお、ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体が原料として含まれていてもよい。ここで、本発明において「主体とする」とは、50重量%以上であることを意味する。
上記ビニル芳香族化合物以外の単量体としては、エチレン、α−オレフィン等が挙げられる。また、ブロックPが、上記ビニル芳香族化合物以外の単量体を原料として含む場合、その含有量は、50重量%未満、好ましくは40重量%以下である。ビニル芳香族化合物以外の単量体の含有量がこの範囲であることにより耐熱性や圧縮永久歪が良好となる傾向がある。
ブロックQは共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来するものである。ブロックQに用いることのできる単量体の共役ジエンは特に限定されないが、ブタジエン及び/又はイソプレンを主体とすることが好ましく、より好ましくはブタジエン及びイソプレンである。なお、ブロックQには、共役ジエン以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
上記共役ジエン及び/又はイソブチレン以外の単量体としては、スチレン等が挙げられる。また、ブロックQが、上記共役ジエン及び/又はイソブチレン以外の単量体を原料として含む場合、その含有量は、50重量%未満、好ましくは40重量%以下である。共役ジエン及び/又はイソブチレン以外の単量体の含有量がこの範囲であることによりブリードアウトが抑制される傾向がある。
成分(A)のブロック共重合体は、上記ブロックPと上記ブロックQとを有するブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であってもよい。より具体的には、ブロック共重合体のブロックQが有する二重結合を水素添加した水添ブロック共重合体であってもよい。また、成分(A)のブロック共重合体において、ブロックPとブロックQの数は特に制限されてないが、好ましくは少なくとも2個のブロックPと少なくとも1個のブロックQを有するものである。ブロックQの水素添加率は特に限定されないが、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%である。ブロックQを前記範囲で水素添加することにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加することに加え、滅菌時の物性低下が抑制される傾向がある。また、水素添加率は、13C−NMRにより測定することができる。
なお、ブロックQを構成する単量体の共役ジエンがブタジエンの場合、ミクロ構造中のブタジエンは、1,4−付加構造と1,2−付加構造を取りうるが、特に、ブロックQが水素添加誘導体であり、ブタジエンを主体として構成される場合には、ブロックQのミクロ構造中のブタジエンの1,4−付加構造が20〜100重量%であることが好ましい。
ブロックQを構成する単量体の共役ジエンがイソプレンの場合、ミクロ構造中のイソプレンは、1,2−付加構造、1,4−付加構造及び3,4−付加構造を取りうるが、上記と同様に、特に、ブロックQが水素添加誘導体であり、ブロックQがイソプレンから構成される場合には、ブロックQのミクロ構造中のイソプレンの1,4−付加構造が30〜100重量%であることが好ましい。
また、ブロックQが水素添加誘導体であり、ブロックQを構成する単量体の共役ジエンがブタジエンとイソプレンを含む場合には、ブロックQのミクロ構造中のブタジエン及びイソプレンの1,4−付加構造が、それぞれ、20〜100重量%及び30〜100重量%であることが好ましい。
何れの場合も、1,4−付加構造の比率を前記の範囲とすることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加する傾向がある。なお、1,4−付加構造の比率(以下、「1,4−ミクロ構造比」ということがある。)は、13C−NMRにより測定することができる。
本発明における成分(A)は、ブロックPとブロックQを有する構造であれば特に限定されず、直鎖状、分岐状、放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体である場合が好ましい。さらに、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体は、水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることがより好ましい。下記式(1)又は(2)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、熱安定性が良好になる。
P−(Q−P) (1)
(P−Q) (2)
(式中、PはブロックPを、QはブロックQをそれぞれ示し、mは1〜5の整数を示し、nは2〜5の整数を示す。)
式(1)又は(2)において、m及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。
成分(A)が式(1)又は(2)で表される水添ブロック共重合体であり、ブロックQがブタジエンから構成される場合、ブロックQのミクロ構造中のブタジエンの1,4−付加構造が20〜100重量%であることが好ましい。同様に、ブロックQがイソプレンから構成される場合、ブロックQのミクロ構造中のイソプレンの1,4−付加構造が30〜100重量%であることが好ましい。同様に、ブロックQがブタジエン及びイソプレンから構成される場合、ブロックQのミクロ構造中のブタジエン及びイソプレンの1,4−付加構造は、それぞれ20〜100重量%及び30〜100重量%であることが好ましい。
何れの場合も、1,4−ミクロ構造比を前記の範囲とすることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加する傾向がある。
ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体(以下、「(水添)ブロック共重合体」ということがある。)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(1)で表される(水添)ブロック共重合体の方が好ましく、mが3以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が更に好ましく、mが1である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が最も好ましい。
成分(A)を構成するブロックPとブロックQとの重量割合は任意であるが、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度及び熱融着強度の点からはブロックPが多い方が好ましく、一方、柔軟性、異形押出成形性、ブリードアウト抑制の点からはブロックPが少ない方が好ましい。
成分(A)中のブロックPの重量割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、また、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。
本発明における成分(A)の製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。具体的には、例えば、日本国特公昭40−23798号公報に記載された方法によりリチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、例えば、日本国特公昭42−8704号公報、日本国特公昭43−6636号公報、日本国特開昭59−133203号公報及び日本国特開昭60―79005号公報等に記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。この水添処理では、重合体ブロック中のオレフィン性二重結合の50%以上が水添されていることが好ましく、80%以上が水添されていることがより好ましく、且つ、重合体ブロック中の芳香族不飽和結合の25%以下が水添されていることが好ましい。
このような水添ブロック共重合体の市販品としては、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)−Gシリーズ」、「クレイトン(登録商標)−Aシリーズ」、クラレ社製「セプトン(登録商標)シリーズ」、「ハイブラー(登録商標)シリーズ」の一部グレード、旭化成社製「タフテック(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。非水添型のブロック共重合体の市販品としては、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)−Dシリーズ」、クラレ社製「ハイブラー(登録商標)シリーズ」の一部グレード、旭化成社製「タフプレン(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
本発明における成分(A)の数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、好ましくは90,000以上、より好ましくは140,000以上、さらに好ましくは180,000以上であり、また、好ましくは450,000以下、より好ましくは410,000以下、さらに好ましくは360,000以下である。成分(A)の数平均分子量が上記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向がある。
成分(A)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、100,000〜500,000の範囲であることが好ましい。すなわち、重量平均分子量は、好ましくは100,000以上、より好ましくは150,000以上、さらに好ましくは200,000以上であり、また、好ましくは500,000以下、より好ましくは450,000以下、さらに好ましくは400,000以下である。成分(A)の重量平均分子量が上記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向がある。
なお、本発明において、成分(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で求められるポリスチレン換算値であり、その測定条件は以下の通りである。
(測定条件)
機器:東ソー社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー社製「TSKgel Super HM−M」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒:クロロホルム
温度:40℃
流速:0.5mL/分
注入量:20μL
濃度:0.1重量%
較正資料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
<成分(B)>
本発明において、成分(B)は、上記のとおり、「成分(B1):ポリプロピレン系樹脂をジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレン」を含有するポリプロピレン系樹脂である。成分(B)には、「成分(B2):ポリプロピレン系樹脂」を含んでいてもよい。なお、この成分(B2)には成分(B1)に該当するものは含まないこととする。
<ポリプロピレン系樹脂>
本発明において、成分(B1)の原料として用いるポリプロピレン系樹脂は、具体的にはプロピレンの単独重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体であって、結晶性の重合体が挙げられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレン単位を75重量%以上含有しているものが、ポリプロピレンの特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。
成分(B1)の原料として用いるプロピレンの共重合体を構成するプロピレンと共重合可能な単量体としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、エチレン、1−ブテンが、安価で取り扱いやすいという点で好ましい。
成分(B1)の原料として用いるポリプロピレン系樹脂の密度は特に限定されないが、通常0.87g/cm以上、好ましくは0.88g/cm以上であり、また、通常0.92g/cm以下、好ましくは0.91g/cm以下である。
本発明において、成分(B2)として用いるポリプロピレン系樹脂は、具体的にはプロピレンの単独重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体であって、結晶性の重合体が挙げられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレン単位を75重量%以上含有しているものが、ポリプロピレンの特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。
成分(B2)の原料として用いるプロピレンの共重合体を構成するプロピレンと共重合可能な単量体としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、エチレン、1−ブテンが、安価で取り扱いやすいという点で好ましい。
成分(B2)として用いるポリプロピレン系樹脂の密度は特に限定されないが、通常0.87g/cm以上、好ましくは0.88g/cm以上であり、また、通常0.92g/cm以下、好ましくは0.91g/cm以下である。
成分(B1)の原料及び成分(B2)それぞれに用いるポリプロピレン系樹脂は、上記の樹脂を2種以上併用してもよい。また、成分(B1)の原料、成分(B2)として、それぞれに異なるポリプロピレン系樹脂を用いてもよいし、同一のものを用いてもよい。
成分(B1)の原料及び成分(B2)それぞれに用いるポリプロピレン系樹脂の立体規則性には特に制限は無く、プロピレン連鎖がアイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック、ステレオブロック等の何れでもよいが、プロピレン連鎖がアイソタクティックであることが好ましく、特にアイソタクティックホモポリプロピレンが好ましい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。
本発明において、成分(B1)の原料及び成分(B2)それぞれに用いるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)の条件で、通常0.5g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上であり、また、通常100g/10分以下、好ましくは80g/10分以下、より好ましくは70g/10分以下である。
MFRが下限値よりも小さい場合には、単独での凝集力が強くなり他の成分との均一混合性が不十分になる場合があるほか、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物を製造する際のエネルギー負荷が大きくなり過ぎたり、該熱可塑性エラストマー組成物からなるエラストマー組成物を成形する際の金型転写性が悪くなり液漏れシール性が悪化する場合がある。また、MFRが上限値よりも大きい場合には、エラストマー組成物から成形される医療容器栓体等の医療用部材の液漏れシール性、耐熱性が悪化する場合がある。
成分(B1)及び(B2)それぞれに用いるポリプロピレン系樹脂は市販品として入手することができる。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PPシリーズ」、「ウィンテック(登録商標)シリーズ」、「ウェルネクス(登録商標)シリーズ」等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<成分(B1)>
本発明において、成分(B1)は、前記のポリプロピレン系樹脂をジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレンである。ここで用いることのできるジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合せ及び比率で用いてもよい。これらの中では、ブタジエン、イソプレンが好ましく、イソプレンが特に好ましい。
成分(B1)を得るための変性は如何なる方法を用いてもよく、例えば、日本国特開2015−98542号公報に記載されている方法により製造することができる。また、ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射するか、またはポリプロピレン系樹脂とジエン化合物とラジカル発生剤を溶融混合する等の方法が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレン系樹脂、ジエン化合物、及びラジカル発生剤を溶融混合する方法が、高価な設備を必要とせず、安価に変性ポリプロピレンを製造できる点から好ましい。
ポリプロピレン系樹脂、ジエン化合物、及びラジカル発生剤を反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、特に押出機が、生産性の点から好ましい。
ポリプロピレン系樹脂、ジエン化合物、及びラジカル発生剤を混合、混練(撹拌)する順序、方法には特に制限はない。ポリプロピレン系樹脂、ジエン化合物、及びラジカル発生剤を混合した後、溶融混練(撹拌)してもよいし、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練(撹拌)した後、ジエン化合物あるいはラジカル発生剤を同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合してもよいし、ポリプロピレン系樹脂とジエン化合物及びラジカル発生剤のいずれか一方を溶融混練(撹拌)した後、ジエン化合物及びラジカル発生剤のいずれか他方を添加して溶融混練(撹拌)してもよい。混練(撹拌)機の温度は130℃以上300℃以下が、ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。また、混練(撹拌)時間は、一般に、1〜60分が好ましい。
このようにして得られる変性ポリプロピレンの形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
ポリプロピレン系樹脂に対するジエン化合物の配合割合は特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
前記ジエン化合物と共に、このジエン化合物と共重合可能な単量体、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどの1種又は2種以上を併用してもよい。
ラジカル発生剤は特に限定されないが、過酸化物やアゾ化合物等を使用することができる。具体的には、ジパーオキサイド、ジラウロイルペルオキシド等のジアシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、クミルパーオキシピバレート等のアルキルパーオキシエステル、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、tert−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ−ト等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、原料のポリプロピレン系樹脂の種類やMFR、ジエン化合物の種類および反応条件等に応じて適宜選択することができ、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合せ及び比率で併用してもよい。
ラジカル発生剤の配合量は特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.05〜4重量部である。
本発明において、成分(B1)は、上記に該当する変性ポリプロピレンを単独で用いることもできるし、2種以上を任意の組み合せ及び比率で併用することもできる。
成分(B1)のMFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg))は特に限定されないが、0.1〜200g/10分の範囲であることが好ましい。すなわち、MFRは、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上、更に好ましくは3g/10分以上であり、また、好ましくは200g/10分以下、より好ましくは170g/10分以下、さらに好ましくは150g/10分以下である。
<成分(B1)と成分(B2)の配合比率>
成分(B)が成分(B2)を含有することは任意であり、成分(B1)および成分(B2)の配合比率は特に限定されない。成分(B1)とともに成分(B2)を用いる場合は、成分(B1)の含有量は、成分(B1)及び(B2)の合計量に対して、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。上限は特に限定されず、通常100重量%である。成分(B1)の含有量を上記下限値以上とすることにより、本発明のエラストマー組成物から成形された医療容器栓体における液漏れシール性及び耐熱性が向上する。
<成分(C)>
本発明の熱可塑性エラストマーに用いられる成分(C)は、炭化水素系ゴム用軟化剤である。成分(C)は、エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性、弾性、加工性、流動性を向上させると共に、得られる成形体の外観等の向上や、医療容器栓体に成形した場合はその液漏れシール性および針刺し特性等のバランスの向上に寄与する。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤のほか、常温(20℃)で液体である低重合度のビニル重合体(オレフィン重合体、ジエン化合物重合体、アクリル重合体等)等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中で、本発明においては、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は特に限定されないが、好ましくは20センチストークス以上、より好ましくは50センチストークス以上であり、また、好ましくは800センチストークス以下、より好ましくは600センチストークス以下である。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製「日石ポリブテン(登録商標)HVシリーズ」、出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPWシリーズ」、三井化学社製「ルーカント(登録商標)シリーズ」等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<各成分の含有量>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を所定の割合で含有するものである。
まず、成分(A)の含有量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、20〜80重量%である。すなわち、下限は20重量%以上、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、また、上限は80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。成分(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、熱可塑性エラストマーの耐熱性が良好となり、また、上記上限値以下であると、熱可塑性エラストマー組成物からなるエラストマー組成物を用いて成形された医療容器栓体の液漏れシール性、針刺し特性、成形加工性の観点から好ましい。
また、成分(B)の含有量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、1〜25重量%である。すなわち、下限は1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、また、上限は25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。成分(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、医療容器栓体の液漏れシール性、針刺し特性が良好となり、また、上記上限値以下であると、熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性が良好となる。
さらに、成分(C)の含有量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、1〜70重量%である。すなわち、下限は1重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり、また、上限は70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。成分(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、熱可塑性エラストマーのブロッキングの抑止の点で好ましく、上記上限値以下であると、医療容器栓体の液漏れシール性、耐熱性の観点で好ましい。また、成分(C)の含有量を上記範囲内とすることにより、熱可塑性エラストマー組成物の流動性が高くなり過ぎず、また流動性が下がり過ぎず、成形性が良好となる。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、成分(A)〜(C)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分を配合することができる。
その他の成分としては、例えば、成分(A)及び成分(B)以外の熱可塑性樹脂やエラストマー等の樹脂、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、相溶化剤、粘着性付与剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物等が挙げられる。これらは任意のものを単独又は併用して用いることができる。
成分(A)及び成分(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂(だだし、成分(B)に該当するものを除く。)等が挙げられる。また、成分(A)及び成分(B)以外のエラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のオレフィン系エラストマー;ポリ塩化ビニル系エラストマー及びポリブタジエン系エラストマー;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー(ただし、成分(A)に該当するものを除く。);ポリエステル系エラストマー、これらの水添物や、酸無水物などにより変性して極性官能基を導入させたもの、更に他の単量体をグラフト、ランダム及び/又はブロック共重合させたもの等が挙げられる。これらの成分は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
充填材は、有機充填材と無機充填材に大別される。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維、ガラス繊維、マイカ、金属石鹸、二酸化チタン等が挙げられる。充填材を用いる場合、成分(A)〜成分(C)の合計100重量部に対して、通常0.1〜50重量部で用いられる。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。熱安定剤及び酸化防止剤を用いる場合、成分(A)〜成分(C)の合計100重量部に対して、通常0.01〜3重量部の範囲で用いられる。
滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、脂肪酸アミド、脂肪酸グリセリド等が挙げられる。滑剤を用いる場合、成分(A)〜成分(C)の合計100重量部に対して、通常0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
成分(A)〜(C)以外の樹脂や成分を用いる場合でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物中における成分(A)〜(C)の合計量は、本発明の優れた効果の発現のしやすさ等の点から、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。なお、ここでの上限は、通常100重量%である。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより製造される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限は無い。すなわち、上述の各原料成分等を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分布した樹脂組成物を得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記の各原料成分をそのままドライブレンドした状態をも包含し、この熱可塑性エラストマー組成物をそのまま本発明のエラストマー組成物として用いてもよいが、より均一な混合・分散のためには、前記の各原料成分を、溶融混合しておくことが好ましい。溶融混合の方法としては、例えば、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の各原料成分等を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分等を順次溶融させながら混合してもよいし、各原料成分等の混合物をペレット化したり目的成形品を製造する際の成形時に溶融混合してもよい。
前記の各原料成分を混合する際の混合方法や混合条件は、各原料成分等が均一に混合されれば特に制限はないが、生産性の点からは、単軸押出機や二軸押出機のような連続混練機及びミルロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機等の公知の溶融混練方法が好ましい。溶融混合時の温度は、各原料成分の少なくとも一つが溶融状態となる温度であればよいが、通常は用いる全成分が溶融する温度が選択され、一般には150〜250℃の範囲である。
<エラストマー組成物の物性>
本発明のエラストマー組成物は、硬度がISO 7619−1に準拠して測定されたデュロ硬度Aで、10〜40であることが好ましい。デュロ硬度Aは、好ましくは40以下、より好ましくは38以下、さらに好ましくは36以下である。また、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上である。
<医療用部材>
本発明のエラストマー組成物を成形した成形体は、医療容器栓体等の医療用部材として好適に用いることができる。
<医療用部材の成形方法>
本発明の医療用部材は、以上で説明した本発明のエラストマー組成物を成形することにより得ることができる。用いることのできる成形方法としては通常の射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、又は必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット成形法等の各種成形方法が挙げられるが、これらのうち、成形サイクルや量産性を考えると、射出成形又は圧縮成形が好ましい。
<医療用部材の用途・物性>
本発明の医療用部材は、圧縮永久歪が小さく、柔軟性、液漏れシール性、針刺し特性、滅菌安定性、成形加工性等に優れる。このため、本発明の医療用部材は、より具体的には、液剤用バイアル、粉末製剤用バイアル、真空採血管、輸液バッグ等の医療容器栓体;採血針カバー、シリンジ等の医療用キャップ;ディスポシリンジ、プレフィルドシリンジ等の医療用ガスケット;O−リング等の医療用パッキン;輸液、人工透析、連結管、駆血帯、呼吸器等のカテーテル・チューブ;マスク、バッグ、リザーバー等の蘇生器等として好適に用いることができる。本発明の医療用部材は、これらの中でも医療容器栓体として特に好適に用いることができ、医療用ゴム栓として最も好適に用いることができる。
本発明の医療用部材が輸液バッグ等の医療容器に用いる医療容器栓体である場合、その医療容器栓体の形状は限定されないが、概略、円錐台状、円柱状、又は円盤状等が挙げられ、その直径は通常10〜20mm程度である。医療容器栓体の厚さ(注射針を刺通する方向の厚さ)も限定されないが、通常4〜8mm程度である。一般に、輸液バッグに用いられる熱可塑性エラストマー製の栓体は、液漏れシール性を確保するために厚くすべきところ、刺通特性の観点から厚くすることができない。しかしながら、本発明の医療容器栓体は液漏れシール性及び針刺し特性が良好であることから、厚みを8mm以上とした場合においても、輸液バッグに好適に用いることができる。
なお、本発明は以下の(1)〜(6)の構成も含むものとする。
(1)下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、これらの合計量に対し、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)を1〜25重量%、成分(C)を1〜70重量%含む熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用部材。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックと共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体
成分(B):下記成分(B1)を含むポリプロピレン系樹脂
成分(B1):ポリプロピレン系樹脂を共役ジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレン
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
(2)前記成分(B1)の共役ジエン化合物がイソプレンである、前記(1)に記載の医療用部材。
(3)前記成分(B1)のメルトフローレート(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg))が0.1〜200g/10分である、前記(1)又は(2)に記載の医療用部材。
(4)前記成分(A)の重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000である、前記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の医療用部材。
(5)前記熱可塑性エラストマー組成物のデュロ硬度A(ISO 7619−1)が10〜40である、前記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の医療用部材。
(6)医療用ゴム栓である、前記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の医療用部材。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
(成分(A))
A−1:クラレ社製「セプトン(登録商標)J3341」(スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔重量平均分子量(Mw):340,000、スチレン含有量:40重量%〕
A−2:クラレ社製「ハイブラー(登録商標)7135」(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔重量平均分子量:280,000、スチレン含有量:33重量%〕
A−3:クラレ社製「セプトン(登録商標)4055」(スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔重量平均分子量(Mw):290,000、スチレン含有量:30重量%〕
A−4:クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G1651HU」(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔重量平均分子量(Mw):250,000、スチレン含有量:33重量%〕
(成分(B))
<成分(B1)>
B1−1:カネカ社製イソプレングラフト変性ポリプロピレン(ポリプロピレン単独重合体にイソプレンをグラフトした変性ポリプロピレン)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):56g/10分〕
B1−2:カネカ社製イソプレングラフト変性ポリプロピレン(ポリプロピレン単独重合体にイソプレンをグラフトした変性ポリプロピレン)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):20g/10分〕
B1−3:カネカ社製イソプレングラフト変性ポリプロピレン(ポリプロピレン単独重合体にイソプレンをグラフトした変性ポリプロピレン)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):100g/10分〕
B1−4:カネカ社製イソプレングラフト変性ポリプロピレン(ポリプロピレン単独重合体にイソプレンをグラフトした変性ポリプロピレン)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):7g/10分〕
B1−5:カネカ社製イソプレングラフト変性ポリプロピレン(ポリプロピレン・エチレンランダム共重合体にイソプレンをグラフトした変性ポリプロピレン)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):7g/10分〕
<成分(B2)>
B2−1:日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP FA3KM」(ポリプロピレン単独重合体〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg):10g/10分〕)
B2−2:日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP BC06AH」(ポリプロピレン・エチレンブロック共重合体〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg):60g/10分〕)
(成分(C))
C−1:出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW90」(パラフィン系オイル)
(その他の成分)
d−1:BASFジャパン社製「イルガノックス(登録商標)1330」(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
e−1:東レ・ダウコーニング社製「SH200−100CS」(シリコーンオイル)〔動粘度(25℃):100cSt〕
[実施例1〜8及び比較例1、2]
表−1に示す各原料を、同方向二軸押出機(東芝機械社製「TEM−26SS」、シリンダー口径:26mm)に20kg/時の速度で投入し、180〜240℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、エラストマー組成物を製造した。得られたエラストマー組成物を、射出成形機(東芝機械社製「IS130GN−5A」)を用いてシート状に成形した。射出成形の条件は、樹脂温度:180〜240℃、射出時間:2〜20秒、金型温度:20〜60℃、冷却時間:10〜50秒の範囲とした。得られた射出成形シート(厚み2mm)を用いて、以下の(1)〜(3)の評価を行った。これらの評価結果を表−1に示す。
(評価方法)
エラストマー組成物を用いたゴム栓性能の評価方法は次の通りである。
(1)柔軟性(デュロ硬度A)
ISO7619−1に基づき、硬度(タイプAデュロメータ)を測定した。ゴム栓として用いるには、穿刺時の反力、穿刺後の再シール性の観点から、デュロ硬度A10以上40以下であることが好ましい。
(2)圧縮永久歪
ISO815に基づき、圧縮永久歪を測定した。ゴム栓として用いるには、加熱滅菌後の形状保持性の観点から、圧縮永久歪が45%以下であることが好ましい。
(3)医療用ゴム栓性能の評価
本評価では、医療用ゴム栓に要求される特性について以下の方法で評価を行った。
<針刺し特性評価>
射出成形シートを用い、直径28mmの試験片を打ち抜き、図1に示す治具に取り付けた。次いで医療用プラスチック針(テルモ社製TK−U200L)2を200mm/minの速度で試験片3に刺し込み、刺通する(プラスチック針2が試験片3を貫通する)までの最大荷重(刺通抵抗)と変位量(刺通伸び)を、オートグラフを用いて測定した。測定は3回行い、3回の平均値を求め、その値から以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
◎:刺通抵抗が30N以下かつ刺通伸びが15mm以下であるもの
○:刺通抵抗が40N以下かつ刺通伸びが20mm以下であって、「◎」の基準に該当しないもの
×:刺通抵抗が40N以上または刺通伸びが20mm以上であって、「○」の基準に該当しないもの
<液漏れシール性評価>
射出成形シートを用い、直径18mmの試験片を打ち抜き、500mLの消毒用エタノール(健栄製薬社製「消毒用エタノールIPA」)を充填した市販の500mL飲料用PETボトルの口栓部に取り付けた。口栓部には、試験片とPETボトルとの間から液漏れが無いよう、専用の治具を取り付け、PETボトルを正立させて設置した。次いで、この試験片に対し、垂直上方から医療用プラスチック針(テルモ社製TK−U200L)を手で刺し込んだ。この状態で24時間放置し、プラスチック針を抜いた直後に倒立させ、連続滴下が発生するか否かを確認し、あわせて40秒間に滴下した水量(液漏れ量)を測定した。なお、連続滴下がなく、液漏れ量が少ない方が望ましく、液漏れ量が1滴(0.05g)未満であることがより望ましい。
測定は3回行い、3回の平均値を求め、その値から以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
◎:連続滴下がなく、かつ液漏れ量が0.05g未満であるもの
○:連続滴下がなく、かつ液漏れ量が0.05g以上0.10g未満であるもの
×:1個以上の試験片で連続滴下があるか、もしくは液漏れ量が0.10g以上であるもの
Figure 2017150714
表−1より、成分(A)と成分(B)と成分(C)を所定の割合で含む本発明のエラストマー組成物よりなるゴム栓は、圧縮永久歪が小さく、柔軟性、液漏れシール性、針刺し特性に優れることが分かる。
これに対して、成分(B)として成分(B1)を含まない比較例1では、圧縮永久歪が大きく、液漏れシール性に劣っている。
また、成分(B1)の含有量が多過ぎる比較例2では、圧縮永久歪が更に大きく、針刺し特性及び液漏れシール性の低下が顕著である。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2016年3月3日出願の日本特許出願(特願2016−041123)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 針刺し特性評価用冶具
2 プラスチック針
3 試験片

Claims (9)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、これらの合計量に対し、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)を1〜25重量%、成分(C)を1〜70重量%含む熱可塑性エラストマー組成物からなるエラストマー組成物。
    成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックと共役ジエン及びイソブチレンから選ばれる少なくとも1つに由来する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体
    成分(B):下記成分(B1)を含むポリプロピレン系樹脂
    成分(B1):ポリプロピレン系樹脂をジエン化合物でグラフト変性した変性ポリプロピレン
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  2. 前記成分(B1)の前記ジエン化合物が共役ジエン化合物である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  3. 前記成分(B1)の前記共役ジエン化合物がイソプレンである、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  4. 前記成分(B1)のメルトフローレート(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg))が0.1〜200g/10分である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
  5. 前記成分(A)の重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
  6. 前記エラストマー組成物のデュロ硬度A(ISO 7619−1)が10〜40である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
  7. 医療容器栓体用エラストマー組成物である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエラストマー組成物から形成された医療容器栓体。
  9. 医療用ゴム栓である、請求項8に記載の医療容器栓体。
JP2018503425A 2016-03-03 2017-03-03 医療容器栓体用エラストマー組成物およびそれを成形してなる医療容器栓体 Active JP6912452B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016041123 2016-03-03
JP2016041123 2016-03-03
PCT/JP2017/008511 WO2017150714A1 (ja) 2016-03-03 2017-03-03 エラストマー組成物およびそれを成形してなる医療容器栓体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017150714A1 true JPWO2017150714A1 (ja) 2018-12-27
JP6912452B2 JP6912452B2 (ja) 2021-08-04

Family

ID=59743105

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018503425A Active JP6912452B2 (ja) 2016-03-03 2017-03-03 医療容器栓体用エラストマー組成物およびそれを成形してなる医療容器栓体

Country Status (5)

Country Link
US (2) US20180371250A1 (ja)
EP (1) EP3425003B1 (ja)
JP (1) JP6912452B2 (ja)
CN (1) CN108779320B (ja)
WO (1) WO2017150714A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11344705B2 (en) * 2017-12-27 2022-05-31 Argos Corporation Split sheath introducer and method of manufacturing a split sheath introducer
EP3762454A4 (en) 2018-03-07 2021-11-03 Avient Corporation THERMOPLASTIC COMPOUNDS BONDABLE TO SOLID SUBSTRATES
EP3879513B1 (en) * 2018-11-08 2023-05-10 Denka Company Limited Resin composition and biological model using same
WO2020095713A1 (ja) * 2018-11-08 2020-05-14 デンカ株式会社 人工血管
US20220153967A1 (en) * 2019-03-20 2022-05-19 Zeon Corporation Sealant and sealant composition for electrochemical device
US11884805B2 (en) * 2019-03-20 2024-01-30 Zeon Corporation Sealant and sealant composition for electrochemical device
JP2021007746A (ja) * 2019-07-02 2021-01-28 大成化工株式会社 保護カバー用組成物、及び、キャップ
CN114681681B (zh) * 2021-07-07 2023-06-30 浙江天原医用材料有限公司 一种医用导管用材料及其制备方法和应用
EP4389823A1 (en) 2021-08-19 2024-06-26 MCPP Innovation LLC Thermoplastic elastomer composition
WO2023153044A1 (ja) * 2022-02-10 2023-08-17 Mcppイノベーション合同会社 スチレン系熱可塑性エラストマー組成物

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6137242A (ja) * 1984-07-31 1986-02-22 塩谷エムエス株式会社 輸液用止栓
JPH07228749A (ja) * 1993-12-21 1995-08-29 Riken Viny Kogyo Kk 医療用ゴム組成物
JPH09601A (ja) * 1995-06-20 1997-01-07 Riken Vinyl Kogyo Kk 輸液バッグ用ゴム栓
JP2006291019A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Dow Corning Toray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物および車両用モールディング付きガラス板
JP2007050138A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Aron Kasei Co Ltd 医療用ゴム栓組成物
WO2010103988A1 (ja) * 2009-03-13 2010-09-16 アロン化成株式会社 医療容器栓体用エラストマー組成物
JP2010227285A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Aron Kasei Co Ltd 医療容器栓体用複合エラストマー組成物
WO2011135927A1 (ja) * 2010-04-28 2011-11-03 アロン化成株式会社 エラストマー組成物および医療容器用栓体
WO2011162257A1 (ja) * 2010-06-22 2011-12-29 三菱化学株式会社 医療用ゴム栓
JP2013074596A (ja) * 2011-09-29 2013-04-22 Bridgestone Corp スピーカーエッジ用組成物
JP2015019750A (ja) * 2013-07-17 2015-02-02 アロン化成株式会社 医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物
JP2015098542A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 三菱化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL288289A (ja) 1962-01-29
US3333024A (en) 1963-04-25 1967-07-25 Shell Oil Co Block polymers, compositions containing them and process of their preparation
SE307674B (ja) 1963-12-26 1969-01-13 Shell Int Research
FR1579960A (ja) 1967-10-02 1969-08-29
US3584889A (en) * 1968-05-13 1971-06-15 Paul A Sheets Flexible sealing ring
JPS59133203A (ja) 1983-01-20 1984-07-31 Asahi Chem Ind Co Ltd 重合体の水添方法
JPS6079005A (ja) 1983-10-07 1985-05-04 Asahi Chem Ind Co Ltd リビングポリマ−の水添方法
US4975308A (en) * 1988-12-22 1990-12-04 The West Company Molded pharmaceutical primary closure
EP2261277B1 (en) * 2003-12-26 2016-07-13 Japan Polypropylene Corporation Polypropylene-based resin composition and molded article thereof
WO2008139512A1 (ja) * 2007-04-26 2008-11-20 Aronkasei Co., Ltd. 医療用熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた薬液容器用栓体
EP2484717B1 (en) * 2009-09-30 2014-12-31 Kuraray Co., Ltd. Container stopper comprising foam-molded article
CN102575083B (zh) * 2009-09-30 2016-01-20 可乐丽股份有限公司 热塑性弹性体组合物、成型体及医疗用密封材料
JP2013239108A (ja) * 2012-05-17 2013-11-28 Sony Corp 画像処理装置および方法、学習装置および方法、並びに、プログラム
JP6073645B2 (ja) * 2012-10-29 2017-02-01 帝人株式会社 ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品
KR101811164B1 (ko) * 2014-04-16 2017-12-20 아사히 가세이 가부시키가이샤 열가소성 엘라스토머 조성물, 의료 용기용 마개 및 의료 용기
JP6577168B2 (ja) * 2014-04-17 2019-09-18 株式会社カネカ 熱可塑性エラストマー組成物およびそのシート
WO2016159912A1 (en) 2015-03-27 2016-10-06 Ipek Ahmet Column cladding rotating advertisement stand
CN104893315A (zh) * 2015-05-30 2015-09-09 浙江汪洋高分子材料有限公司 一种包覆pp的热塑性弹性体配方

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6137242A (ja) * 1984-07-31 1986-02-22 塩谷エムエス株式会社 輸液用止栓
JPH07228749A (ja) * 1993-12-21 1995-08-29 Riken Viny Kogyo Kk 医療用ゴム組成物
JPH09601A (ja) * 1995-06-20 1997-01-07 Riken Vinyl Kogyo Kk 輸液バッグ用ゴム栓
JP2006291019A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Dow Corning Toray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物および車両用モールディング付きガラス板
JP2007050138A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Aron Kasei Co Ltd 医療用ゴム栓組成物
WO2010103988A1 (ja) * 2009-03-13 2010-09-16 アロン化成株式会社 医療容器栓体用エラストマー組成物
JP2010227285A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Aron Kasei Co Ltd 医療容器栓体用複合エラストマー組成物
WO2011135927A1 (ja) * 2010-04-28 2011-11-03 アロン化成株式会社 エラストマー組成物および医療容器用栓体
WO2011162257A1 (ja) * 2010-06-22 2011-12-29 三菱化学株式会社 医療用ゴム栓
JP2013074596A (ja) * 2011-09-29 2013-04-22 Bridgestone Corp スピーカーエッジ用組成物
JP2015019750A (ja) * 2013-07-17 2015-02-02 アロン化成株式会社 医療容器栓体用熱可塑性エラストマー組成物
JP2015098542A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 三菱化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6912452B2 (ja) 2021-08-04
US20180371250A1 (en) 2018-12-27
US20200362170A1 (en) 2020-11-19
EP3425003A4 (en) 2019-04-17
US11718755B2 (en) 2023-08-08
WO2017150714A1 (ja) 2017-09-08
EP3425003A1 (en) 2019-01-09
EP3425003B1 (en) 2020-05-27
CN108779320A (zh) 2018-11-09
CN108779320B (zh) 2021-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11718755B2 (en) Elastomer composition and medical container stopper formed by molding same
JP5703990B2 (ja) 医療用ゴム栓
JP5575232B2 (ja) 医療容器用栓体用エラストマー組成物および医療容器用栓体
US9115282B2 (en) Resealable thermoplastic elastomer articles
JP5199456B2 (ja) 医療容器栓体用エラストマー組成物
JP2016089047A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP5346642B2 (ja) 医療容器栓体用複合エラストマー組成物
JP2016087110A (ja) 医療用器具
JP5887702B2 (ja) ガスケット及び樹脂組成物
JP2016022145A (ja) 医療用器具
JPH07100184A (ja) 耐熱性、回復特性に優れた医療用栓体
JP4901511B2 (ja) 熱可塑性樹脂部材又は熱可塑性エラストマー部材
JP2019131671A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP5236861B2 (ja) ガスケット用樹脂組成物およびこれを用いた医療用器具
JP2003206389A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及び複合成形体
JP6825510B2 (ja) 医療用器具及び熱可塑性エラストマー組成物
WO2023022028A1 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP6834832B2 (ja) 医療用器具及び熱可塑性エラストマー組成物
WO2023153044A1 (ja) スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
JP4163493B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及び複合成形体
JP2022135010A (ja) スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
JP2003206388A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及び複合成形体
JPWO2016133119A1 (ja) 成形体、積層体、工具用グリップ材及び工具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210216

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210609

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210708

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6912452

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150