JPWO2017006488A1 - 水中油型乳化化粧料 - Google Patents

Abstract

本発明は、ビーズミル等の強力な湿式分散機を用いずに簡便に製造でき、シリコーンを含まない系でも調製可能な水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。本発明は、水相と、該水相中に分散した油相と、該油相中に分散した粉体とを含み、前記油相が、（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油を合計で全油分に対して４０質量％以上含み、かつ（ａ）揮発性炭化水素油と（ｂ）不揮発性炭化水素油との配合量比率｛（ｂ）/（ａ）｝が、０〜２．５の範囲内であり、前記粉体が、高級脂肪酸と２価金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸と２価金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料に関する。【選択図】 図１

Description

本発明は、内油相中に粉体を均一に分散した水中油型乳化化粧料に関する。より詳細には、製造が容易であり、なおかつ粉体の分散性及び安定性に優れた水中油型乳化化粧料に関する。

酸化チタンや酸化亜鉛等の粉体を配合した水中油型乳化化粧料が知られている。特に、油相中に疎水化処理された粉体を分散した水中油型乳化化粧料は、みずみずしくさっぱりした使用感を有し、化粧持ちなどの塗布後の特性にも優れている。

油相中に粉体を分散した乳化系では、粉体の均一分散性及び安定性を確保することが課題となっている。従来は、ビーズミルやボールミルといった強力な湿式分散機で油相中に疎水化処理粉体を機械的に分散することによって製造する必要があった。

上記の製造方法において、粉体の分散性や乳化安定性を向上させるために、特定の分散剤や乳化助剤を配合する（特許文献１）、あるいは外相（水相）を増粘する（特許文献２）といった試みがなされ、一定の効果を上げている。

一方、油相中に粉体を分散した従来の水中油型乳化化粧料では、油相成分としてシリコーン油を配合するのが一般的であったが、近年のナチュラル志向の風潮からシリコーン油を含まない化粧料（ノンシリコーン化粧料）を望む消費者も存在する。しかしながら、シリコーン油を含まない系で油相中に粉体を分散した水中油型乳化化粧料を製造した例は知られていない。

特許第５２２８１３９号公報 特許第５０５３８８７号公報

本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ビーズミル等の強力な湿式分散機を用いずに簡便に製造でき、シリコーンを含まない系でも調製可能な水中油型乳化化粧料を提供することを課題とする。

本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、油相を構成する油分と疎水化処理粉体の疎水化処理剤との特定の組み合わせを採用することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明は、水相と、該水相中に分散した油相と、該油相中に分散した粉体とを含み、前記油相が、（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油を合計で全油分に対して４０質量％以上含み、かつ（ａ）揮発性炭化水素油と（ｂ）不揮発性炭化水素油との配合量比率｛（ｂ）/（ａ）｝が、０〜２．５の範囲内であり、前記粉体が、高級脂肪酸と２価金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸と２価金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料に関する。

本発明の水中油型乳化化粧料は、ホモミキサー等を用いた穏和な条件で油相中に疎水化処理粉体を均一かつ安定に分散させることができ、得られた油相を水相に乳化させて得られる水中油型乳化化粧料は、安定性に優れ、みずみずしい使用感を発揮する。また、シリコーンを含まない系で調製することも可能である。

実施例２の化粧料を黒色のプラスチックプレートに塗りのばしたときの外観を示す写真である。 比較例５の化粧料を黒色のプラスチックプレートに塗りのばしたときの外観を示す写真である。

本発明に係る化粧料は、外水相に内油相が分散した水中油型乳化化粧料であり、当該油相中に粉体が分散されている。

本発明の水中油型乳化化粧料における油相は、（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油を、（ａ）揮発性炭化水素油と（ｂ）不揮発性炭化水素油との配合量比率｛（ｂ）/（ａ）｝が０〜２．５となる範囲で含んでいる。即ち、本発明の化粧料は、油相中に（ｂ）不揮発性炭化水素油を含まない態様も包含する一方、（ｂ）不揮発性炭化水素油を含む場合は（ａ）揮発性炭化水素油との配合量比率｛（ｂ）/（ａ）｝を２．５以下、好ましくは２．０以下、より好ましくは１．５以下、更に好ましくは１．０以下とすることを特徴としている。

本発明における（ａ）揮発性炭化水素油とは、１気圧での沸点が３００℃未満の炭化水素油を指し、具体例としては、軽質イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
本発明における（ｂ）不揮発性炭化水素油とは、１気圧での沸点が３００℃以上の炭化水素油を指し、例えば、スクワラン、水添ポリデセン、ワセリン等が挙げられる。

本発明の化粧料にあっては、（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油の合計配合量が、全油分に対して４０質量％以上であることが必要である。（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油の合計配合量は、例えば５０質量％以上、６０質量％以上、７０質量％以上、８０質量％以上、又は８５質量％以上とすることができ、その上限値は特に限定されないが、１００質量％以下、９５質量％以下、又は９０質量％以下とすることができる。

本発明の化粧料における油相は、前記（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油の他に、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油等の任意の油分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
任意の油分としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、１２−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−２−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸Ｎ−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−２−へプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−２−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−２−エチルヘキサン酸ペンタンエリスリトール、トリ−２−エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル２−エチルヘキサノエート、２−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−２、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ（ベヘン酸／安息香酸／エチルヘキサン酸）ペンタエリスリチル、ジピバリン酸ＰＰＧ−３、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ（エチルヘキサン酸／安息香酸）ペンタエリスリチル、マカデミアナッツ油ポリグリセリル−６エステルズベヘネート、ダイマージリノール酸（フィトステリル／ベヘニル）、ラノリン、コハク酸ジエチルヘキシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、アジピン酸ジヘプチルウンデシル、ミリスチン酸イソセチル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ−２−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸２−へプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸−２−オクチルドデシル、アジピン酸ジ−２−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−２−エチルヘキシル、ミリスチン酸２−ヘキシルデシル、パルミチン酸２−ヘキシルデシル、アジピン酸２−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸２−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。

本発明の化粧料における油分の配合量は、化粧料全量に対して１〜４０質量％とするのが好ましく、より好ましくは５％〜３０％である。
なお、本発明の化粧料は、油分として（ａ）揮発性炭化水素油を必須に含み、任意に（ｂ）不揮発性炭化水素油を含み、これらの炭化水素油が油分の相当部分を占めている。そして、分散する粉体の表面処理として下記特定の処理を施すことにより油相中に粉体が均一かつ簡便に分散される。従って、従来の化粧料のように、使用感を軽くする目的で揮発性シリコーン油等を配合する必要が無い。従って本発明の化粧料は、シリコーン油を含まない、いわゆるノンシリコーン化粧料として製剤することが可能である。

本発明の化粧料では、前記油相中に粉末が分散されており、当該粉体は、特に限定されず、例えば特定の疎水化処理をされた酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛を含んでいる。
本発明における特定の疎水化処理とは、（１）高級脂肪酸と２価金属からなる金属石鹸による処理、又は（２）高級脂肪酸と２価金属水酸化物とによる複合処理を意味する。ここで用いられる高級脂肪酸は、Ｃ８〜Ｃ２４（好ましくはＣ１２〜Ｃ２２）の直鎖状もしくは分岐状のカルボン酸とするのが好ましい。具体例としては、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。２価金属としてはマグネシウムが特に好ましい。
なお、粉体表面に高級脂肪酸と２価金属水酸化物とによる複合処理を施すと、当該粉体表面には高級脂肪酸と２価金属との塩からなる金属石鹸の層が形成されると考えられている。

疎水化処理方法としては、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等を用いることができ、特に限定されない。

前記特定の疎水化処理される粉体は、顔料級または微粒子の、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母チタン、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、シリカ、酸化セリウム等から選択される１種又は２種以上である。中でも、顔料級酸化チタン、顔料級酸化亜鉛、及び顔料級酸化鉄からなる群から選択される顔料級粉体に前記特定の疎水化処理を施した粉体と、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、及び微粒子酸化鉄からなる群から選択される微粒子粉体に前記特定の疎水化処理を施した粉体とを、化粧料に配合するのが好ましい。

一般に、粒子径が小さい粉体の方が容易に分散することができるため、従来技術においてはビーズミル等の湿式分散機を用いて粉体を機械的に粉砕しながら分散させていた。しかしながら本発明の化粧料では、前記特定の表面処理を施した酸化チタン又は酸化亜鉛が顔料級等のサイズの大きな粉体あっても、炭化水素油を含む油相に容易に分散することができる。従って、特に顔料級の酸化チタン又は酸化亜鉛等の比較的粒子径の大きな粉体を配合する場合に、本発明の有利な特徴が発揮される。

本発明の化粧料に配合される粉体は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記特定の疎水化処理を施された粉体の他に、化粧料に通常配合可能な任意の粉体を含んでいてもよい。
前記任意の粉体は、未処理粉体であっても、（特定の疎水化処理以外の）表面疎水化処理を施された粉体であってもよい。前記特定の疎水化処理以外の表面疎水化処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン樹脂等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、２価金属以外の金属石鹸処理、アミノ酸誘導体処理、アルキルリン酸エーテル、アルキルエーテルリン酸エステル、フッ素化合物等がある。ただし、本発明の化粧料に配合される粉体としては、配合量として、処方中に配合される粉末の１／３以上、好ましくは１／２以上（１／１以下）を、前記本発明における特定の疎水化処理を施した粉体が占めるようにするのが安定性向上の面から好ましい。

粉体の平均粒子径は特に限定されないが、平均一次粒子径が０．００１μｍ〜１００μｍ、好ましくは０．００１μｍ〜１０μｍの粉体が用いられる。ただし、その平均粒子径は油相の乳化粒子より小さくするように調整するのが好ましい。なお、「微粒子」は平均一次粒子径が０．００１〜０．１μｍの粉体を指し、「顔料級」は平均一次粒子径が０．２〜０．４μｍの粉体を指すものとする。

本発明の化粧料における粉体の配合量は、目的とする製品形態により適宜選択できるが、例えば下地化粧料やファンデーションの場合は８〜６０質量％であることが好ましく、日焼け止め化粧料の場合は１０〜３５質量％であることが好ましい。

本発明の水中油型乳化化粧料の水相は増粘剤を含むのが好ましい。増粘剤を配合することによって乳化物の安定性が更に向上する。
増粘剤としては、化粧料に配合可能な天然又は合成の増粘剤から選択される１種又は２種以上とすることができる。具体例としては、サクシノグリカン、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、スターチ、ヒドロキシアルキルセルロース、プルラン、カルボマー、ケイ酸（Ｎａ／Ｍｇ）、ベントナイト、アクリルアミド系共重合体、アクロイルジメチルタウリンナトリウム／アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、寒天、ポリウレタン、疎水性ポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらの中でも、寒天や糖又はその誘導体といった天然由来の増粘剤が好ましく使用される。また、特開２００１−３４２４５１号公報に記載されたようなミクロゲルも好ましい。

本発明の化粧料における増粘剤の配合量は、化粧料全量に対して０．１〜３質量％とするのが好ましい。増粘剤の配合量が少なすぎると、安定性の向上が十分に得られない場合があり、配合量が多すぎると、よれが生じるなど使用感が悪くなる場合がある。

さらに、水相には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンから選択される１種または２種以上の乳化助剤を配合することも好適である。

また、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧料に通常配合されている成分、例えば紫外線吸収剤、保湿剤、香料、界面活性剤、各種薬効成分、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて配合することができる。

本発明の化粧料は、従来の製法とは異なり、穏和な条件で簡便に製造することができる。例えば、ホモミキサー等により油相成分中に粉体を分散させ、得られた油相をホモミキサー等を用いて水相中に添加して攪拌・乳化することにより製造できる。

本発明の水中油型乳化化粧料は、下地化粧料、ファンデーション又は日焼け止め化粧料として提供することが可能である。

以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特記しない限り質量％を示す。

下記の表１〜３に示す処方で、ホモミキサー等により油相成分中に粉体を分散させ、得られた油相をホモミキサー等を用いて水相中に添加して攪拌・乳化することにより水中油型乳化化粧料（試料）を調製した。各例の試料について、以下の項目を評価した。結果を各表に併せて示す。
（１）乳化安定性（粉末分散性）
各試料を黒色プレート上に塗布した際に生じる粉末の細かな凝集塊（粉末ブツ）や粉末凝集から生ずる色むらの有無を目視観察した。
Ａ＋：プレートに塗布した際に粉末の細かな凝集塊や凝集から生ずる粉末色むらが全く見られない。
Ａ−：プレートに塗布した際に極小さな粉末の凝集塊や凝集から生ずる粉末色むらが僅かに見られた。
Ｂ：プレートに塗布した際に小さな粉末の凝集塊や凝集から生ずる粉末色むらが見られた（使用上問題無い）。
Ｃ：プレートに塗布した際に比較的大きな粉末の凝集塊や粉末凝集から生ずる色むらが見られた。

（２）仕上がりの均一さ
女性パネル（１０名）が各実施例、比較例の試料について、塗布後の仕上がりの均一さについて、下記の評価基準に基づいて評価した。
（評価）
Ａ＋：８名以上が仕上がりの均一さを実感したと回答
Ａ−：６〜７名が仕上がりの均一さを実感したと回答
Ｂ：３〜５名が仕上がりの均一さを実感したと回答
Ｃ：２名以下が仕上がりの均一さを実感したと回答

（３）のびのなめらかさ
女性パネル（１０名）が各実施例、比較例の試料について、塗布中ののびのなめらかさついて、下記の評価基準に基づいて評価した。
（評価）
Ａ＋：８名以上がのびのなめらかさを実感したと回答
Ａ−：６〜７名がのびのなめらかさを実感したと回答
Ｂ：３〜５名がのびのなめらかささを実感したと回答
Ｃ：２名以下がのびのなめらかさを実感したと回答

表１に示した結果から明らかなように、油相に含まれる（ａ）揮発性炭化水素油と（ｂ）不揮発性炭化水素油との配合量比率｛（ｂ）/（ａ）｝が０〜２．５の範囲内であり、本願特定の表面疎水化処理を施した酸化チタンを含有する実施例１〜４は、評価した全ての項目について満足できるものであった。これに対して、揮発性炭化水素油を含まない比較例１は均一な仕上がりが得られなかった。

表２に示されるように、炭化水素油を含まない比較例２と、油分の合計配合量に対する炭化水素油（（ａ）揮発性炭化水素油と（ｂ）不揮発性炭化水素油）の合計配合量の割合が４０質量％未満である比較例３では、乳化安定性、仕上がりの均一さ、及びのびのなめらかさという評価項目の全てが劣っている。しかしながら、油分としてエステル油を配合した場合であっても、油分に占める炭化水素油の割合が４０質量％以上である実施例５及び６は全ての評価項目において優れるという結果が得られた。

本願特定の疎水化処理を施した酸化チタン（微粒子及び顔料級）を含む実施例２は、全ての評価項目において極めて優れていたが、シリコーンで表面処理した酸化チタンに置換した比較例４は、粉体が均一に分散されず仕上がりも劣るものであった。また、３価金属のアルミニウムを含む金属石鹸で処理した粉体に置換した比較例５及び６では、全ての評価項目において満足できる結果が得られなかった。
図１及び２は、各々実施例２及び比較例５の組成物（化粧料）をプラスチックプレートに塗布した際の外観を示す写真である。２価金属であるマグネシウムを含む金属石鹸（複合処理を含む）で表面処理された粉末を配合した実施例２は非常に滑らかで均一な外観を呈しているが、３価金属のアルミニウムを含む金属石鹸で表面処理した粉末を配合した比較例５は、粉末の細かな凝集塊（粉末ブツ）が生じてザラザラした不均一な外観を呈しており、粉末凝集による色むらも見られた。

以下に、本発明の水中油型乳化化粧料の処方例を掲げる。これらの化粧料は、下記の処方に基づいて、ビーズミル等の強力な湿式分散機を用いず、ホモミキサー等の穏和な条件下で製造でき、得られた化粧料は、前記の評価項目の全てで良好な結果が得られた。

処方例１：コンシーラー
配合成分 配合量（質量％）
イオン交換水 残余
プロパンジオール ７
ポリオキシエチレン水添ヒマシ油 １
寒天 １．５
ソルビタンセスキイソステアレート ０．５
イソステアリン酸 １
メドウフォーム油 １
スクワラン ６
イソドデカン １２
イソステアリン酸Ｍｇ処理顔料級酸化チタン １０
ココイルグルタミン酸ナトリウム／Ｌ−システイン／ラウロリルリジン処理黄酸化鉄
３．６
ココイルグルタミン酸ナトリウム／Ｌ−システイン／ラウロリルリジン処理赤酸化鉄
１．２
ココイルグルタミン酸ナトリウム／Ｌ−システイン／ラウロリルリジン処理黒酸化鉄
０．３５

処方例２：サンスクリーン
配合成分 配合量（質量％）
イオン交換水 残余
ジプロピレングリコール ９
ポリオキシエチレン水添ヒマシ油 １
カルボキシメチルセルロース ０．２
サクシノグルカン ０．３５
食塩 ０．０５
ソルビタンセスキイソステアレート ０．５
イソステアリン酸 １
トリ（カプリル／カプリン酸）グリセリン ３
スクワラン ６
イソドデカン １２
イソステアリン酸Ｍｇ処理微粒子酸化チタン １５
球状セルロース粉末 ３

処方例３：化粧下地
配合成分 配合量（質量％）
イオン交換水 残余
ジプロピレングリコール ９
ポリオキシエチレン水添ヒマシ油 １
カルボキシメチルセルロース ０．１
キサンタンガム ０．６
ソルビタンセスキイソステアレート ０．３５
イソステアリン酸 ０．５
ミリスチン酸イソプロピル ２
スクワラン ５
イソドデカン １２
イソステアリン酸Ｍｇ処理顔料級酸化チタン １
イソステアリン酸Ｍｇ処理微粒子酸化チタン ５
球状セルロース粉末 ２
多孔質シリカ １

処方例４：アイシャドー
配合成分 配合量（質量％）
イオン交換水 残余
１，３−ブチレングリコール ９
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン ２
カルボキシメチルセルロース ０．１
カラギーナン １
ソルビタンセスキイソステアレート １
イソステアリン酸 １
コハク酸ジ２−エチルヘキシル ２
スクワラン ５
イソドデカン １２
イソステアリン酸Ｍｇ処理微粒子酸化チタン ９
未処理パール剤 ３

Claims (8)

1. 水相と、該水相中に分散した油相と、該油相中に分散した粉体とを含み、
   前記油相が、（ａ）揮発性炭化水素油及び（ｂ）不揮発性炭化水素油を合計で全油分に対して４０質量％以上含み、かつ（ａ）揮発性炭化水素油と（ｂ）不揮発性炭化水素油との配合量比率｛（ｂ）/（ａ）｝が、０〜２．５の範囲内であり、
   前記粉体が、高級脂肪酸と２価金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸と２価金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体を含むことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
2. 前記水相中に増粘剤を含む、請求項１に記載の化粧料。
3. 前記増粘剤が、サクシノグリカン、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、スターチ、ヒドロキシアルキルセルロース、プルラン、カルボマー、ケイ酸（Ｎａ／Ｍｇ）、ベントナイト、アクリルアミド系共重合体、アクロイルジメチルタウリンナトリウム／アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、寒天、ポリウレタン、疎水性ポリエーテルウレタンからなる群から選択される１種または２種以上である、請求項２に記載の化粧料。
4. 前記表面疎水化処理された粉末が、酸化チタン、酸化鉄、及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる１種又は２種以上である、請求項１記載の化粧料。
5. 前記表面疎水化処理された粉末が、顔料級の酸化チタン、酸化鉄、及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる１種又は２種以上である、請求項１に記載の化粧料。
6. 前記高級脂肪酸がＣ８〜Ｃ２４（好ましくはＣ１２〜Ｃ２２）の直鎖状もしくは分岐状のカルボン酸であり、前記２価金属がマグネシウムである、請求項１に記載の化粧料。
7. シリコーン油を含まない、請求項１に記載の化粧料。
8. 前記表面疎水化処理された粉末が顔料級酸化チタン、顔料級酸化亜鉛、及び顔料級酸化鉄からなる群から選択される顔料級粉体と、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、及び微粒子酸化鉄からなる群から選択される微粒子粉体とを含む、請求項１から７のいずれか一項に記載の化粧料。