JPWO2014133029A1 - ドーパントの選択方法、ドーパント組成物、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法、シート状材料およびカーボンナノチューブ−ドーパント複合体 - Google Patents

ドーパントの選択方法、ドーパント組成物、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法、シート状材料およびカーボンナノチューブ−ドーパント複合体 Download PDF

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Abstract

信頼性の高いドーパントの選択方法を提供する。本発明にかかるカーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントの選択方法は、以下の(a)または(b)の物質を選択する工程を含んでいる:(a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;(b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。

Description

本発明は、ドーパントの選択方法、ドーパント組成物、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法、シート状材料およびカーボンナノチューブ−ドーパント複合体に関する。
単層カーボンナノチューブ(SWNT:single-wall carbon nanotube)は、柔軟な軽量エレクトロニクスの実現に向け、近年、盛んに研究されている。そして、SWNTを用いた素子材料が多数提案されている。
SWNTの極性(すなわち、SWNTがp型導電性を示すかn型導電性を示すか)は、ゼーベック係数の正負により判別することができる。SWNTの多くは正のゼーベック係数を示し、p型導電性を示す(非特許文献1〜4)。しかし、特に、ロジック回路や熱電変換素子をSWNTから構築する場合には、p型導電性を示すSWNT(p型導電性SWNT)およびn型導電性を示すSWNT(n型導電性SWNT)の両方が要求される。このため、p型導電性SWNTをn型導電性SWNTに転換することが求められる。
これまでに、例えば、窒素原子交換やアルカリ金属ドーピングなどによってp型導電性SWNTをn型導電性SWNTに転換できることが報告されている(例えば、非特許文献6、特許文献1、3、4および5を参照)。
非特許文献5および7には、ポリエチレンイミンをSWNTにドーピングすることによって、p型導電性SWNTをn型導電性SWNTに転換できることが開示されている。
特許文献2には、SWNTをチャネルに用いた電界効果型トランジスタにおけるチャネルSWNTのn型ドーパントとして、(CHC−基、(CHCH−基、CHCH−基またはCH−基等の電子供与性基を有するものを用いることが開示されている。
特許文献6には、ニコチンアミドおよびニコチンアミド系化合物をSWNT用のn型ドーパントとして使用できることが開示されている。
日本国公表特許公報「特表2008−523254号(2008年 7月 3日公表)」 日本国公開特許公報「特開2009−65057号(2009年 3月26日公開)」 日本国公開特許公報「特開2011−49188号(2011年 3月10日公開)」 日本国公表特許公報「特表2010−537410号(2010年12月 2日公表)」 日本国公開特許公報「特開2008−103329号(2008年 5月 1日公開)」 日本国公開特許公報「特開2009−292714号(2009年12月17日公開)」
J. Vavro et al, PHYSICA LREVIEW LETTERS, 2003, VOL. 90, NO. 6, 065503-1-065503-4. D. Kim et al, ACS Nano, 2010, VOL. 4, NO. 1, 513-523. Q. Yao et al, ACS Nano, 2010, VOL. 4, NO. 4, 2445-2451. K. Choi et al, PLOS ONE, 2012, VOL. 7, Issue. 9, e44977, 1-8. Y. Ryu et al, Carbon, 2011, 49, 4745-4751. R. Czerw et al, Nano Lett., 2001, VOL. 1, NO. 9, 457-460. M. Shim et al., J.Am. Chem. Soc., 2001, 123, 11512-11513.
しかしながら、p型導電性SWNTをn型導電性SWNTに変換する方法は未だ体系化されていない。つまり、いくつかのn型ドーパントは報告されているものの、これら公知のn型ドーパントの性質的または構造的な類似物質が必ずしもn型ドーパントになり得るわけではない。このため、新規n型ドーパントの開発には試行錯誤的な方法を採用せざるを得ない。このような試行錯誤的な方法は、新規n型ドーパントを開発するまでに多大な費用、時間および労力を必要とし、極めて非効率的である。よって、n型ドーパントとして使用し得る物質の選択にあたり、信頼性の高い選択方法が求められている。
また、従来のn型導電性SWNTの製造方法では、例えば、化学蒸着(例えば、特許文献3)、加熱(例えば、特許文献6)等を行う必要があり操作が簡便ではないため、n型導電性SWNTを大量に生産することは容易ではない。よって、より簡便かつ効率のよいn型導電性SWNTの製造方法が求められている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性の高いn型ドーパントの選択方法を提供すること、および簡便かつ効率のよいn型導電性SWNTの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、周期表第15族元素(例えば、窒素元素、リン元素、ヒ素元素)を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基を、SWNT表面にπ−πスタッキングを介して吸着させることにより、SWNTの多数キャリアが正孔から電子へと変化することを初めて見出した。電子対供与部位としての周期表第15族元素と、π電子共役系の分子構造とを併せ持つルイス塩基という観点でn型ドーパントとして使用できる物質を選択するという報告はこれまでにない。本発明は、かかる新規知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明にかかるドーパントの選択方法は、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントの選択方法であって、
上記ドーパントとして、以下の(a)または(b)の物質を選択する工程を含んでいることを特徴としている:
(a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;
(b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。
また、本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法は、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法であって、ドーパントと、カーボンナノチューブとを液中で接触させる接触工程を包含しており、上記ドーパントは、上記カーボンナノチューブの伝導帯端の準位をαeVとした場合に(α−1)eV以上(α+0.5)eV以下の範囲のHOMO準位を有するドーパントであり、上記接触工程では、上記カーボンナノチューブを液中にせん断分散させながら、上記カーボンナノチューブと上記ドーパントとを接触させることを特徴としている。
本発明にかかるドーパントの選択方法によれば、(i)電子対受容部位としての周期表第13族元素または周期表第15族元素と、π電子共役系の分子構造とを併せ持つルイス酸、または(ii)電子対供与部位としての周期表第15族元素と、π電子共役系の分子構造とを併せ持つルイス塩基、という観点でドーパントとなる物質を選択するので、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントを、高い信頼性をもって効率よく選択することができる。
また、本発明にかかるドーパントの選択方法によって選択されたドーパントは、π電子共役系の分子構造を有しているので、SWNT表面にπ−πスタッキングを介して効率よく吸着することができる。このため、従来のドーパントよりも、より効率的にSWNTに対して電子を供与または受容するドーパントとなり得る。従って、かかるドーパントを用いれば、p型導電性SWNTをn型導電性SWNTに効率よく変換し得るので、従来のドーパントを用いた場合に必要であった化学蒸着、加熱等を行う必要がなく、簡便に且つ効率よくn型導電性SWNTの製造することができる。また、かかるドーパントを用いることによって、簡便かつ効率よくn型導電性SWNTを製造することができるので、n型導電性SWNTを大量に生産することも可能となる。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法は、ドーパントと、カーボンナノチューブとを液中で接触させる接触工程を包含しており、上記接触工程では、上記カーボンナノチューブを液中にせん断分散させながら、上記カーボンナノチューブと上記ドーパントとを接触させる。そのため、ドーパントとカーボンナノチューブとを十分に接触させることができる。そして、ドーパントは、上記カーボンナノチューブの伝導帯端の準位をαeVとした場合に(α−1)eV以上(α+0.5)eV以下の範囲のHOMO準位を有するドーパントであるため、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントとなる。従って、簡便に且つ効率よくカーボンナノチューブ−ドーパント複合体を製造することができる。
実施例および参考例においてドーパントとして用いた物質の構造を示した図である。 実施例1〜3、5〜15、18〜33、参考例1〜3および比較例3において得られたシート状のSWNT構造体のゼーベック係数を示した図である。 実施例16で得られたシート状のSWNT構造体の導電率およびゼーベック係数を示した図である。 実施例で使用したそれぞれのドーパントの最高占有軌道(HOMO)準位と、そのドーパントをドープして得られた実施例のそれぞれのシート状のSWNT構造体のゼーベック係数との関係を示した図である。 カーボンナノチューブの伝導帯端の準位とドーパントのHOMO準位との関係の一例を示す模式図である。 実施例においてドーパントとして用いた物質の構造を示した図である。 実施例および参考例においてドーパントとして用いた物質の構造を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.ドーパント選択方法〕
本発明にかかるドーパントの選択方法(以下、「本発明のドーパント選択方法」ともいう。)は、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントを選択する方法であって、以下の(a)または(b)の物質を選択する工程(以下、「選択工程」と称する。)を含んでいる:
(a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;
(b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。
ここで、本明細書中、上記カーボンナノチューブは、金属型、半導体型または半金属型の性質を有するものであり得る。上記カーボンナノチューブが半導体型である場合は、p型導電性またはn型導電性のどちらの性質を有しているものであってもよい。また、上記カーボンナノチューブは、単層であっても多層であってもよい。
上記「ゼーベック係数」とは、ゼーベック効果を示す回路の、高温接合点と低温接合点の間の温度差に対する、開放回路電圧の比をいう(「マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版」より)。ゼーベック係数は、カーボンナノチューブの極性を判別するための指標となり得る。具体的には、例えば、ゼーベック係数が正の値を示すカーボンナノチューブは、p型導電性を有しているといえる。これに対して、ゼーベック係数が負の値を示すカーボンナノチューブは、n型導電性を有しているといえる。ゼーベック係数は、例えば、後述する実施例で用いたゼーベック効果測定装置(MMR社製)等を用いて測定することができる。
また、ゼーベック係数は、カーボンナノチューブの導電性とも相関がある。具体的には、例えば、ゼーベック係数の絶対値が大きいカーボンナノチューブは、ゼーベック係数の絶対値が小さいカーボンナノチューブよりも導電性が高いといえる。なお、上記「導電性」は、導電率(S/cm;Sは抵抗(Ω)の逆数)で表され、導電率が高ければ導電性が高く、導電率が低ければ導電性が低いといえる。導電率は、例えば、後述する実施例で用いたロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)等を用いて測定することができる。
上記「ゼーベック係数を変化させる」とは、ゼーベック係数を正の値から負の値に変化させること、または、ゼーベック係数の絶対値を増加または減少させることが意図される。よって、上記「カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパント」とは、かかるドーパントを用いてドープされたカーボンナノチューブにおけるゼーベック係数を正の値から負の値に変化させ得るドーパント、または、かかるドーパントを用いてドープされたカーボンナノチューブにおけるゼーベック係数の絶対値を、ドーピング前と比較して増加または減少させ得るドーパントが意図される。本明細書では、かかるドーパントを、単にp型ドーパントまたはn型ドーパントと称する場合がある。
上記選択工程は、上記(a)または(b)の物質に該当する物質をカーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントとして選択する工程である。
上述したように、本発明者らは、周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基を、SWNT表面にπ−πスタッキングを介して吸着させることにより、SWNTの多数キャリアが正孔から電子へと変化することを初めて見出した。そして、かかる知見をもとにさらなる鋭意検討を重ねた結果、電子対供与部位としての周期表第15族元素と、π電子共役系の分子構造とを併せ持つルイス塩基という観点でn型ドーパントとして使用できる物質を選択し得ること、および電子対受容部位としての周期表第13族元素または周期表第15族元素と、π電子共役系の分子構造とを併せ持つルイス酸という観点でp型ドーパントとして使用できる物質を選択し得ることを初めて見出した。
本発明のドーパント選択方法における選択工程は、この新規知見に基づいて、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントとなり得る物質を選択する工程である。すなわち、本発明のドーパント選択方法における選択工程では、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントとしてp型ドーパントを選択する場合は、上記(a)の物質に該当する物質を選択すればよい。これに対して、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントとしてn型ドーパントを選択する場合は、上記(b)の物質に該当する物質を選択すればよい。
以下に上記(a)または(b)の物質について説明する。
(1−1.物質(a))
周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸(物質(a))について具体的に説明する。
上記「ルイス酸」は、ルイスによって提出された電子の授受に基づく酸・塩基の理論に基づき、電子対を受けるものをいう。すなわち、上記ルイス酸は、電子対受容体として機能するものをいう。
上記「周期表第13族元素」は、III族元素とも言い換えられる。上記周期表第13族元素としては、具体的には、ホウ素(B)元素、アルミニウム(Al)元素、ガリウム(Ga)元素、インジウム(In)元素またはタリウム(Tl)元素を挙げることができ、好ましくは、ホウ素(B)元素である。本発明において選択されるルイス酸は、上記周期表第13族元素を、少なくとも1つ含んでいればよいが、2つ以上の元素を含んでいてもよい。また、上記周期表第13族元素の一種類を単独で含有していてもよく、複数種を組み合わせて含有していてもよい。
上記「周期表第15族元素」は、V族元素とも言い換えられる。上記周期表第15族元素としては、具体的には、窒素(N)元素、リン(P)元素、ヒ素(As)元素、アンチモン(Sb)元素、ビスマス(Bi)元素を挙げることができ、好ましくは、窒素(N)元素、リン(P)元素である。本発明において選択されるルイス酸は、上記周期表第15族元素を、少なくとも1つ含んでいればよいが、2つ以上の元素を含んでいてもよい。また、上記周期表第15族元素の一種類を単独で含有していてもよく、複数種を組み合わせて含有していてもよい。
上記「π電子共役系」は、多重結合が2つ以上共役している系であり、多重結合のπ電子が単結合を通して相互作用し非局在化している系をいう。上記「π電子共役系の分子構造」は、かかるπ電子共役系を含む分子構造であれば特に限定されないが、例えば、芳香環(例えばベンゼン環、π電子共役系を含む5員環)、炭素−炭素二重結合、炭素−酸素二重結合、複素芳香環(例えば、ベンゼン環に含まれる6つのC−H結合のうち少なくとも1つが窒素原子に置換された構造)等を挙げることができる。
ここで、上記「ベンゼン環に含まれる6つのC−H結合のうち少なくとも1つが窒素原子に置換された構造」としては、ベンゼン環に含まれる6つのC−H結合のうち1〜3個が窒素原子によって置換された構造であることが好ましい。また、ベンゼン環に含まれる6つのC−H結合の窒素原子によって置換される部位は特に限定されない。例えば、上記「ベンゼン環に含まれる6つのC−H結合のうち少なくとも1つが窒素原子に置換された構造」がトリアジンである場合、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジンまたは1,3,5−トリアジンであり得る。もちろん、複素芳香環は、π電子共役系を含む5員環であって、環構造に窒素原子または硫黄原子を含む5員環であってもよい。
本発明において選択されるルイス酸は、上記π電子共役系の分子構造を、少なくとも1つ含んでいればよいが、2つ以上含んでいてもよい。また、上記π電子共役系の分子構造の一種類を単独で含有していてもよく、複数種を組み合わせて含有していてもよい。
本発明において選択されるルイス酸は、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であれば特に限定されない。このようなルイス酸としては、具体的には、例えば、フェニルボロン酸、トリフェニルホスフィンオキシド、カルバゾール、2,6−ジフェニルピリジン、1,3,5−トリアジン、ピラジン、キノリン、トリフェニルアミン、ピリジン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。また、上記ルイス酸の例としては、ピリミジン、9H−カルバゾ−4−オール、テトラシアノキノジメタン、9H−カルバゾ−2−オール、テトラチアフルバレン、イミダゾールおよびポリアニリンも挙げられる。
(1−2.物質(b))
周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基(物質(b))について具体的に説明する。
上記「ルイス塩基」は、ルイスによって提出された電子の授受に基づく酸・塩基の理論に基づき、ルイス酸に電子対を与えて化学結合を形成するものをいう。すなわち、上記ルイス塩基は、電子対供与体として機能するものをいう。
上記「周期表第15族元素」および「π電子共役系の分子構造」については、上記「1−1.物質(a)」の項で説明したとおりであるので説明を省略する。
本発明において選択されるルイス塩基は、周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基であれば特に限定されない。このようなルイス塩基としては、具体的には、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、フェナントロリン、インドール、トリフェニルホスフィンおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。また、上記ルイス塩基の例としては、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンも挙げられる。
本発明のドーパント選択方法では、上記以外の工程が設けられていてもよく、上記以外の工程の内容は限定されない。
本発明のドーパント選択方法によれば、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントを、高い信頼性をもって効率よく選択することができる。
(1−3.ドーパントのHOMO準位)
本発明のドーパント選択方法では、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントとして、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位をαeVとした場合に(α−1)eV以上(α+0.5)eV以下の範囲のHOMO準位を有するドーパントを選択してもよい。換言すれば、本発明のドーパント選択方法では、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位よりも1eV深いHOMO準位から0.5eV浅いHOMO準位の範囲のHOMO準位を有するドーパントを選択してもよい。上記HOMO準位に基づくドーパントの選択方法によっても、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントを、高い信頼性をもって効率よく選択することができる。上記HOMO準位を有するドーパントとしては、例えば上述の物質(a)及び(b)が挙げられる。
図5は、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位とドーパントのHOMO準位との関係の一例を示す模式図である。図5の(a)は、p型導電性のカーボンナノチューブのバンド構造を示している。ここで、カーボンナノチューブの伝導帯端(伝導帯の底)1は約−4.65eVを示している。従って、上記HOMO準位に基づくドーパントの選択方法に基づけば、−5.65eV以上−4.15eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択される。例えば図5の(a)に示されるドーパントのHOMO準位2は−4.85eVである。従って、当該ドーパントは、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させる好適なドーパントとして選択される。
図5の(a)においてカーボンナノチューブのバンドギャップ(伝導帯と価電子帯との間)には欠陥準位が存在し、そのためホール(正孔)が生じている。上記ドーパントによるドーピングが行われると、図5の(b)に示すように、ドーパントの電子がホールへと供給される。そして、ホールが消失すると、ドーパントが有する残りの電子は、図5の(c)に示すように伝導体端へと供給される。その結果、p型導電性であったカーボンナノチューブは、n型導電性へと変化する。つまり、ドーピングにより、カーボンナノチューブのゼーベック係数が変化する。ドーパントのHOMO準位が上述の範囲であれば、図5の(a)〜(c)に示す過程によってカーボンナノチューブのゼーベック係数を好適に変化させることができる。
カーボンナノチューブの伝導帯端の準位としては特に限定されないが、例えば、−4.8eV以上−3.0eV以下であることが好ましく、−4.7eV以上−4.0eV以下であることがより好ましい。
例えば、上記HOMO準位に基づくドーパントの選択方法に基づけば、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.8eVである場合は、−5.8eV以上−4.3eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択され得る。また、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−3.0eVである場合は、−4.0eV以上−2.5eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択され得る。そして、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.8eV以上−3.0eV以下である場合は、−5.8eV以上−2.5eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択され得るといえる。
−5.8eV以上−2.5eV以下のHOMO準位を有するドーパントとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、インドール、トリフェニルホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン、カルバゾール、トリフェニルアミン、9H−カルバゾ−4−オール、9H−カルバゾ−2−オール、テトラチアフルバレン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。
また、例えば、上記HOMO準位に基づくドーパントの選択方法に基づけば、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.7eVである場合は、−5.7eV以上−4.2eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択され得る。また、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.0eVである場合は、−5.0eV以上−3.5eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択され得る。そして、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.7eV以上−4.0eV以下である場合は、−5.7eV以上−3.5eV以下のHOMO準位を有するドーパントが選択され得るといえる。
−5.7eV以上−3.5eV以下のHOMO準位を有するドーパントとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、インドール、トリフェニルホスフィン、カルバゾール、9H−カルバゾ−4−オール、テトラチアフルバレン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。
〔2.カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法〕
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)は、上述した本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを接触させる接触工程を包含していることを特徴としている。接触工程を経たカーボンナノチューブにはドーパントが吸着されている、すなわち、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体となっている。本発明の製造方法は、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体をシート状に成型する成型工程をさらに包含していてもよい。
本発明の製造方法では、上記以外の工程が設けられていてもよく、上記以外の工程の内容は限定されない。
(2−1.接触工程)
接触工程は、上述した本発明のドーパント選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを接触させることによってカーボンナノチューブとドーパントとの複合体を形成する工程である。なお、上記「本発明のドーパントの選択方法」および「カーボンナノチューブ」については、上記「1.ドーパント選択方法」の項で説明したとおりであるので、説明を省略する。
カーボンナノチューブとドーパントとを接触させることができればよく、その方法は特に限定されないが、例えば、ドーパントを溶解させた溶液にカーボンナノチューブを添加し、懸濁することによって両者を液中で接触させることができる。ドーパントとカーボンナノチューブとを十分に接触させる観点から、接触工程では、カーボンナノチューブを液中に分散させながら、カーボンナノチューブとドーパントとを接触させることが好ましい。特に、カーボンナノチューブを液中にせん断分散させながら、カーボンナノチューブとドーパントとを接触させることが好ましい。さらには、均質化装置を用いてカーボンナノチューブを液中に分散させながら、カーボンナノチューブとドーパントとを接触させることが好ましい。均質化装置を用いてカーボンナノチューブを液中に分散させることによってドーパントがカーボンナノチューブに接触し易くなり、その結果、ドーパントとカーボンナノチューブとを十分に接触させることができる。
上記「均質化装置」としては、カーボンナノチューブを液中で均質に分散させることができる装置であれば特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等の公知の手段を用いることができる。なお、本明細書中において、単に「ホモジナイザー」と表記した場合は、「撹拌ホモジナイザー」が意図される。
均質化装置の運転条件としては、カーボンナノチューブを液中に分散させることができる条件であれば特に限定されないが、均質化装置として、例えば、ホモジナイザーを用いる場合は、カーボンナノチューブを含むドーパント溶液を、ホモジナイザーの撹拌速度(回転数)20000rpmにて、室温(23℃)にて10分間懸濁することによって、カーボンナノチューブを液中に分散させることができる。
ドーパントを溶解させる溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
カーボンナノチューブと接触させるドーパントの量は、特に限定されないが、後述する実施例に示したように、カーボンナノチューブに対するドーパントの量を増加させると、ドーパント添加前のカーボンナノチューブのゼーベック係数と比較したときの、得られたカーボンナノチューブ−ドーパント複合体におけるゼーベック係数の変化量が大きくなる傾向がある。このため、ドーピングの効果を得るために、カーボンナノチューブ1gあたり0.001〜500mgのドーパントを添加することが好ましく、0.001〜100mgのドーパントを添加することがより好ましく、0.001〜10mgのドーパントを添加することが特に好ましい。
(2−2.成型工程)
成型工程は、上記接触工程を経たカーボンナノチューブをシート状に成型し、シート状のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体を得る工程である。
ここで、上記「シート状」は、フィルム状または膜状とも言い換えられる。「シート状に成型する」とは、得られたカーボンナノチューブ−ドーパント複合体を1μm〜1000μmの厚みの膜に成型することが意図される。
カーボンナノチューブ−ドーパント複合体をシート状に成型する方法としては、特に限定されないが、例えば、カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の懸濁液を、0.1〜2μm孔のメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過を行い、得られた膜を真空下、50〜150℃にて、1〜24時間乾燥させることにより、シート状に成型することができる。
本発明の製造方法では、接触工程の後で成型工程を行うので、溶媒中に分散させた1つ1つのカーボンナノチューブにドーパントを十分に吸着させることができる。その結果、成型工程の後で接触工程を行った場合のシート状材料が、シート表面近傍のみのカーボンナノチューブしかドープされていないのに対して、本発明の製造方法では、シート内部のカーボンナノチューブまでが均一にドープされたシート状材料を得ることができる。このため、例えば、シート内にドープされたn型カーボンナノチューブと未ドープのp型カーボンナノチューブが存在することによってゼーベック効果の相殺が起こる虞がない。
本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントは、π電子共役系の分子構造を有しているので、カーボンナノチューブ表面にπ−πスタッキングを介して効率よく吸着することができる。このため、従来のドーパントよりも、より効率的にカーボンナノチューブに対して電子を供与または受容することができる。本発明の製造方法は、本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントをカーボンナノチューブと接触させるので、簡便に且つ効率よくカーボンナノチューブ−ドーパント複合体を製造することができる。よって、本発明の製造方法によれば、簡便に且つ効率よくカーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させることができる。
〔3.シート状材料〕
本発明にかかるシート状材料(以下、「本発明のシート状材料」ともいう。)は、上述した本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法によって製造されたことを特徴としている。なお、上記「本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法」については、上記「2.カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法」の項で説明したとおりであるので、説明を省略する。
本発明のシート状材料は、本発明の製造方法によって製造されるので、上述したように、シート内部のカーボンナノチューブまでが均一にドープされている。このため、例えば、シート内にドープされたn型カーボンナノチューブと未ドープのp型カーボンナノチューブが存在することによってゼーベック効果の相殺が起こる虞がない。
〔4.ドーパント組成物〕
本発明にかかるドーパント組成物(以下、「本発明のドーパント組成物」ともいう。)は、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパント組成物であって、少なくとも、上述した本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントを含有していればよい。なお、上記「本発明のドーパントの選択方法」については、上記「1.ドーパント選択方法」の項で説明したとおりであるので、説明を省略する。
上記本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントとは、すなわち、以下の(a)または(b)の物質である:
(a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;
(b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。
本発明のドーパント組成物は、上記ルイス塩基が、特表2010−537410および特開2009−292714に記載のトリフェニルホスフィン、アニリン、ベンジルアミン、ポリビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、ポリアニリン、ニコチンアミドおよびニコチンアミド系化合物である場合を除くものであることが好ましい。
このような上記ルイス塩基としては、例えば、ポリビニルピリジン、フェナントロリン、インドールおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン等を挙げることができる。また、上記ルイス塩基の例としては、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンも挙げられる。これらの物質は一種類を単独で含有していてもよく、複数種を組み合わせて含有していてもよい。
また、本発明にかかるドーパント組成物では、上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であることが好ましい。
本発明のドーパント組成物は、上記ルイス酸として、具体的には、例えば、フェニルボロン酸、トリフェニルホスフィンオキシド、カルバゾール、2,6−ジフェニルピリジン、1,3,5−トリアジン、ピラジン、キノリン、トリフェニルアミンおよびピリジンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し得る。また、上記ルイス酸の例としては、ピリミジン、9H−カルバゾ−4−オール、テトラシアノキノジメタン、9H−カルバゾ−2−オール、テトラチアフルバレン、イミダゾールおよびポリアニリンも挙げられる。
本発明のドーパント組成物は、必要に応じて、本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパント以外の物質が含まれていてもよい。このような物質としては、ドーパントの働きを阻害しないものであれば特に限定されない。また、本発明のドーパント組成物には、複数の種類のドーパントが含有されていてもよい。
本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントは、π電子共役系の分子構造を有しているので、カーボンナノチューブ表面にπ−πスタッキングを介して効率よく吸着することができる。本発明のドーパント組成物は、少なくとも、本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントを含有しているので、従来のドーパントよりも、より効率的にカーボンナノチューブに対して電子を供与または受容することができる。よって、本発明のドーパント組成物を用いれば、カーボンナノチューブのゼーベック係数を簡便に且つ効率よく変化させることができる。
また、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパントであって、本発明に係るドーパントの選択方法によって選択されたことを特徴とするドーパントそのものも本発明に含まれる。
〔5.カーボンナノチューブ−ドーパント複合体〕
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体(以下、「本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体」ともいう。)は、上述した本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを含有していることを特徴としている。なお、上記「本発明のドーパントの選択方法」および「カーボンナノチューブ」については、上記「1.ドーパント選択方法」の項で説明したとおりであるので、説明を省略する。
上記本発明のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントとは、すなわち、以下の(a)または(b)の物質である:
(a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;
(b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。
本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体は、上記ルイス塩基が、特表2010−537410および特開2009−292714に記載のトリフェニルホスフィン、アニリン、ベンジルアミン、ポリビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、ポリアニリン、ニコチンアミドおよびニコチンアミド系化合物である場合を除くものであることが好ましい。
このような上記ルイス塩基としては、例えば、ポリビニルピリジン、フェナントロリン、インドールおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン等を挙げることができる。また、上記ルイス塩基の例としては、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンも挙げられる。これらの物質は一種類を単独で含有していてもよく、複数種を組み合わせて含有していてもよい。
また、本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体では、上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であることが好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体は、上記ルイス酸として、具体的には、例えば、フェニルボロン酸、トリフェニルホスフィンオキシド、カルバゾール、2,6−ジフェニルピリジン、1,3,5−トリアジン、ピラジン、キノリン、トリフェニルアミンおよびピリジンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し得る。また、上記ルイス酸の例としては、ピリミジン、9H−カルバゾ−4−オール、テトラシアノキノジメタン、9H−カルバゾ−2−オール、テトラチアフルバレン、イミダゾールおよびポリアニリンも挙げられる。
本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体では、カーボンナノチューブ1gあたりのドーパントの含有量は、特に限定されないが、後述する実施例に示したように、カーボンナノチューブに対するドーパントの量を増加させると、ドーパント添加前のカーボンナノチューブのゼーベック係数と比較したときの、得られたカーボンナノチューブ−ドーパント複合体におけるゼーベック係数の変化量が大きくなる傾向がある。このため、ドーピングの効果を得るために、本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体では、カーボンナノチューブ1gあたり0.001〜500mgのドーパントが含まれていることが好ましく、0.01〜100mgのドーパントが含まれていることがより好ましく、0.1〜10mgのドーパントが含まれていることが特に好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体は、上記以外の物質が含まれていてもよく、上記以外の物質の種類は限定されない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は以下のように構成することも可能である。
本発明にかかるドーパントの選択方法は、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントの選択方法であって、
上記ドーパントとして、以下の(a)または(b)の物質を選択する工程を含んでいることを特徴としている:
(a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;
(b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。
本発明にかかるドーパントの選択方法では、上記周期表第13族元素は、ホウ素元素であり得る。
本発明にかかるドーパントの選択方法では、上記周期表第15族元素は、窒素元素またはリン元素であり得る。
本発明にかかるドーパントの選択方法では、上記π電子共役系の分子構造は、ベンゼン環、炭素−炭素二重結合、炭素−酸素二重結合およびベンゼン環に含まれる6つのC−H結合のうち少なくとも1つが窒素原子に置換された構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり得る。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法は、上述した本発明にかかるドーパントの選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを接触させる接触工程を包含していることを特徴としている。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法では、上記接触工程では、均質化装置を用いて上記カーボンナノチューブを液中に分散させながら、上記カーボンナノチューブと上記ドーパントとを接触させることが好ましい。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法では、上記均質化装置は、ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーであり得る。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法では、上記接触工程を経たカーボンナノチューブをシート状に成型する成型工程をさらに包含していてもよい。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法では、上記カーボンナノチューブは、p型導電性またはn型導電性を有しているものであり得る。
本発明にかかるシート状材料は、上述した本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法によって製造されたことを特徴としている。
本発明にかかるドーパント組成物は、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパント組成物であって、
少なくとも、上述した本発明にかかるドーパントの選択方法によって選択されたドーパントを含んでいることを特徴としている。
本発明にかかるドーパント組成物では、上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であることが好ましい。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体は、上述した本発明にかかるドーパントの選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを含有していることを特徴としている。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体では、上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であることが好ましい。
また、本発明は、以下のように構成することも可能である。
本発明にかかるドーパントの選択方法では、上記π電子共役系の分子構造は、芳香環、炭素−炭素二重結合、炭素−酸素二重結合および複素芳香環よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり得る。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法では、上記接触工程を経たカーボンナノチューブをシート状に成型し、シート状のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体を得る成型工程をさらに包含していてもよい。
本発明にかかるドーパントは、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパントであって、本発明にかかるドーパントの選択方法によって選択されたことを特徴としている。
本発明にかかるドーパントでは、上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であってもよい。
本発明にかかるドーパント組成物は、カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパント組成物であって、少なくとも、本発明にかかるドーパントを含んでいることを特徴としている。
本発明にかかるカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法は、ドーパントと、カーボンナノチューブとを液中で接触させる接触工程を包含しており、上記ドーパントは、上記カーボンナノチューブの伝導帯端の準位をαeVとした場合に(α−1)eV以上(α+0.5)eV以下の範囲のHOMO準位を有するドーパントであり、上記接触工程では、上記カーボンナノチューブを液中にせん断分散させながら、上記カーボンナノチューブと上記ドーパントとを接触させることを特徴としている。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕
ドーパント分子としてフェニルボロン酸を用いた。図1の(a)に示したように、フェニルボロン酸は、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
単層カーボンナノチューブ(SWNT)(5mg)を、5重量%のフェニルボロン酸を溶解させたジメチルスルホキシド(10mL)にホモジナイザー(ウルトラタラックス社製)を用いて懸濁させた。具体的には、ホモジナイザーの撹拌速度(回転数)20000rpmにて、室温(23℃)にて10分間懸濁することによって、SWNTを液中に分散させた。
得られた懸濁液を、0.2mm孔のメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過を行い、得られた膜を真空下、80℃、12時間乾燥することにより、シート状のSWNT構造体を得た。
〔実施例2〕
ドーパント分子としてポリビニルピロリドンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(b)に示したように、ポリビニルピロリドンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例3〕
ドーパント分子としてポリビニルピリジンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(c)に示したように、ポリビニルピリジンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例4〕
ドーパント分子としてフェナントロリンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(d)に示したように、フェナントロリンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例5〕
ドーパント分子としてインドールを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(e)に示したように、インドールは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例6〕
ドーパント分子としてトリフェニルホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(f)に示したように、トリフェニルホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例7〕
ドーパント分子として1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(g)に示したように、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例8〕
ドーパント分子としてトリフェニルホスフィンオキシドを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(h)に示したように、トリフェニルホスフィンオキシドは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例9〕
ドーパント分子としてカルバゾールを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(i)に示したように、カルバゾールは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例10〕
ドーパント分子として2,6−ジフェニルピリジンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(j)に示したように、2,6−ジフェニルピリジンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例11〕
ドーパント分子として1,3,5−トリアジンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(k)に示したように、1,3,5−トリアジンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例12〕
ドーパント分子としてピラジンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(l)に示したように、ピラジンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例13〕
ドーパント分子としてキノリンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(m)に示したように、キノリンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例14〕
ドーパント分子としてトリフェニルアミンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(n)に示したように、トリフェニルアミンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例15〕
ドーパント分子としてピリジンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(o)に示したように、ピリジンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔参考例1〕
ドーパント分子としてポリエチレンイミンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(p)に示したように、ポリエチレンイミンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸およびルイス塩基のどちらにも該当しないが、n型ドーパントとして公知の物質である(非特許文献5および7を参照)ため参考として用いた。
〔参考例2〕
ドーパント分子としてテトロニック1107(BASF)を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(q)に示したように、テトロニック1107は、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸およびルイス塩基のどちらにも該当しないが、参考例1から容易に類推されるドーパントであることから参考として用いた。
〔比較例1〕
ドーパントを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。
〔実施例18〕
ドーパント分子として9H−カルバゾ−4−オールを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(a)に示したように、9H−カルバゾ−4−オールは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例19〕
ドーパント分子としてテトラシアノキノジメタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(b)に示したように、テトラシアノキノジメタンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例20〕
ドーパント分子として9H−カルバゾ−2−オールを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(c)に示したように、9H−カルバゾ−2−オールは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例21〕
ドーパント分子としてテトラチアフルバレンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(d)に示したように、テトラチアフルバレンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例22〕
ドーパント分子としてイミダゾールを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(e)に示したように、イミダゾールは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例23〕
ドーパント分子としてポリアニリンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(f)に示したように、ポリアニリンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔実施例24〕
ドーパント分子としてトリス(4−フルオロフェニル)ホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(g)に示したように、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例25〕
ドーパント分子として1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(h)に示したように、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例26〕
ドーパント分子としてジフェニルホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(i)に示したように、ジフェニルホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例27〕
ドーパント分子としてトリス(4−クロロフェニル)ホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図6の(j)に示したように、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例28〕
ドーパント分子として1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(a)に示したように、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例29〕
ドーパント分子として((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(b)に示したように、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)は、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例30〕
ドーパント分子としてビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(c)に示したように、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例31〕
ドーパント分子としてトリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(d)に示したように、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例32〕
ドーパント分子としてビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(e)に示したように、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例33〕
ドーパント分子としてトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(f)に示したように、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔実施例34〕
ドーパント分子としてピリミジンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(h)に示したように、ピリミジンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸に該当する。
〔参考例3〕
ドーパント分子として還元ベンジルビオロゲンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。なお、図7の(g)に中性のベンジルビオロゲンを示す。還元ベンジルビオロゲンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸およびルイス塩基のどちらにも該当しないが、n型ドーパントとして公知の物質であるため参考として用いた。
〔比較例3〕
ドーパントを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。
<SWNT構造体の評価1>
実施例1〜15、18〜33、参考例1〜3および比較例1、3において得られたSWNT構造体のゼーベック係数を、ゼーベック効果測定装置(MMR社製)を用いて評価した。評価は、310K(ゼーベック効果測定装置の表示温度)にて行った。
結果を図2に示す。図2は、実施例1〜3、5〜15、18〜33、参考例1〜3および比較例3において得られたシート状のSWNT構造体のゼーベック係数を示した図である。
カーボンナノチューブの極性はゼーベック係数の正負により判別することができる。比較例1のSWNT構造体は、およそ40μV/Kの正のゼーベック係数を示したことから、p型導電性であると判断された。また、比較例3のSWNT構造体は、およそ49.35μV/Kの正のゼーベック係数を示したことから、p型導電性であると判断された。
ルイス塩基性の強い1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンをドーパントとして用いた場合(実施例7)のみならず、ポリビニルピロリドン(実施例2)、ポリビニルピリジン(実施例3)、トリフェニルホスフィン(実施例6)等の比較的ルイス塩基性の弱い分子群をドーパントとして用いた場合にもSWNT構造体は負のゼーベック係数を与え、これらのSWNT構造体はn型導電性であることが明らかになった。
また、ルイス塩基であるフェナントロリン(実施例4)またはインドール(実施例5)をドーパントとして用いた場合にもSWNT構造体は負のゼーベック係数を与え、これらのSWNT構造体はn型導電性であることが明らかになった。なお、フェナントロリン(実施例4)およびインドール(実施例5)は、どちらもルイス塩基性の弱いルイス塩基であり、フェナントロリン(実施例4)は、インドール(実施例5)よりもルイス塩基性が弱い。
さらに、ルイス塩基であるトリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン(実施例24)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(実施例25)、ジフェニルホスフィン(実施例26)、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン(実施例27)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(実施例28)、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)(実施例29)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン(実施例30)、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン(実施例31)、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィン(実施例32)、およびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン(実施例33)をドーパントとして用いた場合にもSWNT構造体は負のゼーベック係数を与え、これらのSWNT構造体はn型導電性であることが明らかになった。
これらの結果から、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基をドーパントとして用いることによって、SWNT構造体のゼーベック係数の値を正から負に変化させ得ることが確認できた。また、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基をドーパントとして用いることによって、ドーピングしていない未処理のSWNT構造体と比較して、ゼーベック係数の絶対値を変化させ得ることが確認できた。
一方、ルイス酸であるフェニルボロン酸(実施例1)、トリフェニルホスフィンオキシド(実施例8)、カルバゾール(実施例9)、2,6−ジフェニルピリジン(実施例10)、1,3,5−トリアジン(実施例11)、ピラジン(実施例12)、キノリン(実施例13)、トリフェニルアミン(実施例14)またはピリジン(実施例15)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は正のゼーベック係数を与え、これらのSWNT構造体はp型導電性であることが明らかになった。
さらに、ルイス酸である9H−カルバゾ−4−オール(実施例18)、テトラシアノキノジメタン(実施例19)、9H−カルバゾ−2−オール(実施例20)、テトラチアフルバレン(実施例21)、イミダゾール(実施例22)、およびポリアニリン(実施例23)をドーパントとして用いた場合にも、SWNT構造体は正のゼーベック係数を与え、これらのSWNT構造体はp型導電性であることが明らかになった。
具体的には、比較例1のSWNT構造体は、およそ40μV/Kの正のゼーベック係数を示すのに対して、フェニルボロン酸(実施例1)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ56μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、トリフェニルホスフィンオキシド(実施例8)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ2.0μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、カルバゾール(実施例9)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ87.9μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、2,6−ジフェニルピリジン(実施例10)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ46.2μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、1,3,5−トリアジン(実施例11)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ33.4μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、ピラジン(実施例12)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ52.3μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、キノリン(実施例13)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ41.7μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、トリフェニルアミン(実施例14)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ33.5μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
また、ピリジン(実施例15)をドーパントとして用いた場合には、SWNT構造体は、およそ40.9μV/Kの正のゼーベック係数を示した。
SWNT構造体のゼーベック係数の測定結果を表1〜3にまとめた。
Figure 2014133029
Figure 2014133029
Figure 2014133029
これらの結果から、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス酸をドーパントとして用いることによって、ドーピングしていない未処理のSWNT構造体と比較して、ゼーベック係数の絶対値を変化させ得ることが確認できた。
〔実施例16〕
ドーパントの濃度をそれぞれ1重量%、2重量%、3重量%、4重量%または5重量%に変更した以外は、実施例6と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。
実施例16において得られたそれぞれのSWNT構造体の導電率およびゼーベック係数を評価した。導電率はロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)、ゼーベック係数はゼーベック効果測定装置(MMR社製)をそれぞれ用いて評価した。比較対象として、比較例1のSWNT構造体を用いた。
結果を図3に示す。図3は、実施例16で得られたシート状のSWNT構造体の導電率およびゼーベック係数を示した図である。図中の丸は導電率(図中の左向きの矢印が指すグラフの左軸を参照)を表し、四角はゼーベック係数(図中の右向きの矢印が指すグラフの右軸を参照)を表している。図3に示したように、ドーパントとして添加したトリフェニルホスフィンの濃度が高くなるにつれて、ゼーベック係数の値は正から負に変化した。また、トリフェニルホスフィンの濃度が高くなるにつれて、ゼーベック係数の値はより小さくなる(ゼーベック係数の絶対値はより大きくなる)傾向が認められた。さらには、ゼーベック係数の絶対値が大きいほど、導電率が高くなる傾向が認められた。この結果から、ドーピングによってSWNT構造体のゼーベック係数の絶対値を変化させることによって、SWNT構造体の導電率を変化させ得ることが確認できた。なお、トリフェニルホスフィンの濃度が2重量%のときにゼーベック係数が一度上昇するのは、一般的に同一材料中で導電率はキャリア密度に比例し、ゼーベック係数はキャリア密度に反比例するため、これらはトレードオフの関係にある。すなわち同一材料で導電率が減少するとき、ゼーベック係数は増加するためであると考えられた。
〔実施例17〕
ドーパント分子として1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用い、ドーパント溶液における1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの濃度を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてシート状のSWNT構造体を得た。
具体的には、単層カーボンナノチューブ(SWNT)(5mg)を、0.1重量%の1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを溶解させたジメチルスルホキシド(10mL)にホモジナイザー(ウルトラタラックス社製)を用いて懸濁させた。ホモジナイザーの運転条件は、具体的には、撹拌速度(回転数)20000rpm、10分間、室温(23℃)にて行った。
得られた懸濁液を、0.2mm孔のメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過を行い、得られた膜を真空下、80℃、12時間乾燥することにより、シート状のSWNT構造体を得た。なお、図1の(g)に示したように、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンは、本発明のドーパント選択方法によって選択されたルイス塩基に該当する。
〔比較例2〕
ドーパント分子として1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用いた。
単層カーボンナノチューブ(SWNT)(5mg)をジメチルスルホキシド(10mL)に懸濁させた懸濁液を、0.2mm孔のメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過を行い、得られた膜を真空下、80℃、12時間乾燥することにより、シート状のSWNT構造体を得た。
得られたシート状のSWNT構造体を、0.1重量%の1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを溶解させたジメチルスルホキシド(10mL)に23℃にて10分間浸漬することでシート状のSWNT構造体をドープした。
<SWNT構造体の評価2>
比較例1、比較例2および実施例17で得られたそれぞれのSWNT構造体のゼーベック係数を、ゼーベック効果測定装置(MMR社製)を用いて評価した。
結果を表4に示す。
Figure 2014133029
表4に示したように、本発明の製造方法(実施例17)では、SWNTにドーピング処理を行った後で、シート状に成型するので、シート内部のカーボンナノチューブまでが均一にドープされたシート状材料を得ることができる。このため、シート内にドープされたn型カーボンナノチューブと未ドープのp型カーボンナノチューブが存在することによってゼーベック効果の相殺が起こる虞がない。
これに対して、比較例2のSWNT構造体では、SWNTをシート状に成型した後でドーピング処理を行うので、ドープされたn型カーボンナノチューブと未ドープのp型カーボンナノチューブがシート内に存在することによるゼーベック効果の相殺が起こり、SWNT構造体全体としてドーピング処理の効果が十分に得られないことが確認された。
<SWNT構造体の評価3>
実施例1、2、4〜15、18〜34、および参考例1、2で使用したそれぞれのドーパントの最高占有軌道(HOMO)準位(eV)を、密度汎関数法(Density Functional Theory, DFT)によって計算した。具体的には、公知の量子化学計算ソフトGaussian 03W(Gaussian社製)を用いて、B3LYP 6-31G(d)の計算方法に従って計算した。
計算結果を表5〜7に示した。なお、実施例3、参考例3及び比較例3は導電率およびゼーベック係数のみ示した。また、実施例34はHOMO準位のみを示した。
Figure 2014133029
Figure 2014133029
Figure 2014133029
それぞれのドーパントの最高占有軌道(HOMO)準位と、そのドーパントをドープして得られた実施例1、2および5〜15、18〜33のそれぞれのシート状のSWNT構造体のゼーベック係数との関係を図4に示した。
図4に示したように、ドーパントの最高占有軌道(HOMO)準位と、ドーパントをドープして得られたSWNT構造体のゼーベック係数との間には相関があることが明らかになった。また、図4において特に点線で囲った領域に含まれるドーパントは、n型ドーパントとして好適に使用できる。
ここで、例えば、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.8eV以上−3.0eV以下である場合は、−5.8eV以上−2.5eV以下のHOMO準位を有するポリビニルピロリドン、インドール、トリフェニルホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン、カルバゾール、トリフェニルアミン、9H−カルバゾ−4−オール、9H−カルバゾ−2−オール、テトラチアフルバレン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンがドーパントとして好適に使用され得る。
また、例えば、カーボンナノチューブの伝導帯端の準位が−4.7eV以上−4.0eV以下である場合は、−5.7eV以上−3.5eV以下のHOMO準位を有するポリビニルピロリドン、インドール、トリフェニルホスフィン、カルバゾール、9H−カルバゾ−4−オール、テトラチアフルバレン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、((フェニルホスフィンジイル)ビス(メチレン))ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(((ジフェニルホスフィノ)メチル)(フェニルホスフィノ))メタン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノメチル)フェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンがドーパントとして好適に使用され得る。
カーボンナノチューブは、電界効果トランジスタ、熱電変換素子等の多様なデバイス構築のツールとなり得るので、本発明は、カーボンナノチューブを利用する種々広範な産業において利用可能である。
1 カーボンナノチューブの伝導帯端の準位
2 ドーパントのHOMO準位

Claims (16)

  1. カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるドーパントの選択方法であって、
    上記ドーパントとして、以下の(a)または(b)の物質を選択する工程を含んでいることを特徴とする方法:
    (a)周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸;
    (b)周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基。
  2. 上記周期表第13族元素は、ホウ素元素であることを特徴とする、請求項1に記載の選択方法。
  3. 上記周期表第15族元素は、窒素元素またはリン元素であることを特徴とする、請求項1または2に記載の選択方法。
  4. 上記π電子共役系の分子構造は、芳香環、炭素−炭素二重結合、炭素−酸素二重結合および複素芳香環よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の選択方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを接触させる接触工程を包含していることを特徴とするカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法。
  6. 上記接触工程では、均質化装置を用いて上記カーボンナノチューブを液中に分散させながら、上記カーボンナノチューブと上記ドーパントとを接触させることを特徴とする、請求項5に記載のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法。
  7. 上記均質化装置は、ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーであることを特徴とする、請求項6に記載のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法。
  8. 上記接触工程を経たカーボンナノチューブをシート状に成型し、シート状のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体を得る成型工程をさらに包含していることを特徴とする、請求項5から7のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法。
  9. 上記カーボンナノチューブは、p型導電性またはn型導電性を有しているものであることを特徴とする、請求項5から8のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法。
  10. 請求項8または9に記載のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法によって製造されたことを特徴とするシート状材料。
  11. カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパントであって、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のドーパントの選択方法によって選択されたことを特徴とするドーパント。
  12. 上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であることを特徴とする、請求項11に記載のドーパント。
  13. カーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させるためのドーパント組成物であって、
    少なくとも、請求項11または12に記載のドーパントを含んでいることを特徴とするドーパント組成物。
  14. 請求項1から4のいずれか1項に記載のドーパントの選択方法によって選択されたドーパントと、カーボンナノチューブとを含有していることを特徴とするカーボンナノチューブ−ドーパント複合体。
  15. 上記ドーパントは、周期表第13族元素または周期表第15族元素を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス酸であることを特徴とする、請求項14に記載のカーボンナノチューブ−ドーパント複合体。
  16. カーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法であって、
    ドーパントと、カーボンナノチューブとを液中で接触させる接触工程を包含しており、
    上記ドーパントは、上記カーボンナノチューブの伝導帯端の準位をαeVとした場合に(α−1)eV以上(α+0.5)eV以下の範囲のHOMO準位を有するドーパントであり、
    上記接触工程では、上記カーボンナノチューブを液中にせん断分散させながら、上記カーボンナノチューブと上記ドーパントとを接触させることを特徴とするカーボンナノチューブ−ドーパント複合体の製造方法。
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