JP6592268B2 - 導電性材料及びそれを用いた熱電変換素子、熱電変換装置 - Google Patents

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本発明は、導電性材料に関する。より詳しくは、熱電変換素子の材料として好適に用いることができる導電性材料に関する。
電子素子等の材料として用いられる導電性材料には様々な種類のものがあり、電子素子に要求される特性に応じた材料が用いられる。
そのような電子素子の一つに熱エネルギーと電力エネルギーとを相互に変換する熱電変換素子がある。近年、エコロジー運動や省エネルギー気運の高まりから、熱電変換素子を用いた地熱・温泉熱発電、太陽熱発電、工場や自動車等の廃熱発電等、エナジーハーベスト(環境発電)へのニーズが高まっており、熱電変換素子への注目が高くなってきている。
従来の熱電変換素子として、基材上に、第1の電極、熱電変換層および第2の電極を有する熱電変換素子であって、該熱電変換層が、ナノ導電性材料、ならびに、芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環からなる群より選択される少なくとも3環が縮合した縮合多環構造を有する低分子共役化合物を含有する熱電変換素子が開示されている(特許文献1参照)。また、単層のカーボンナノチューブにドーパントを加えた材料が、n型の熱電変換材料となることが開示されている(非特許文献1参照)。
一方、炭素系材料は、絶縁材料としても用いられており、高分子樹脂と、高分子樹脂の硬化物内に分散される酸化グラフェンと、を含む多層配線基板用絶縁樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。
特開2014−192190号公報 特開2012−117052号公報
Yoshiyuki Nonoguchi外8名,Scientific Reports,3,3344(2013)
熱電変換素子を用いて大きな電力を得るためには、p型の熱電変換素子とn型の熱電変換素子とを組み合わせた熱電変換装置を構成することになるため、p型、n型の両方の素子が必要である。また、熱電変換素子は大気中で使用できることが好ましく、大気安定性が高いことも求められる。
従来より熱電変換素子の材料として用いられているビスマス・テルルは非常に脆く、衝撃に弱いため、強度を向上させることを目的として、炭素材料を複合した有機材料を熱電変換素子の材料として用いることが検討されている。上記特許文献1の熱電変換素子は、そのような材料を用いたものであるが、特許文献1で開示されている素子は、いずれもp型の素子である。上記非特許文献1に記載の材料は、n型の熱電変換素子の材料であるが、単層のカーボンナノチューブは非常に高価であることから、実用化にはコスト面で課題がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、大気安定性が高く、従来の材料よりも低コストなn型熱電変換素子の材料を提供することを目的とする。
本発明者は、大気安定性が高く、かつ、従来のn型の熱電変換素子の材料よりも低コストなn型熱電変換素子の材料について種々検討したところ、炭素材料にエポキシ基含有有機化合物を混合した材料が、大気安定性が高く、n型熱電変換素子の材料として用いることができることを見出した。この材料は、単層のカーボンナノチューブを用いた従来のn型の熱電変換素子の材料に比べて低コストである。更に、本発明者は、エポキシ基含有有機化合物の選択により、p型熱電変換素子の材料としても用いることができ、同じエポキシ系の材料を用いてp型、n型の両方の熱電変換素子の作製が可能であることも見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、炭素材料とエポキシ基含有有機化合物とを含むことを特徴とする導電性材料である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<導電性材料>
本発明の導電性材料は、n型熱電変換素子の材料として用いることができるものである。
熱電性能は、熱電変換素子中の熱電変換層における性能指数Z(K−1)と絶対温度(K)との積である無次元性能指数ZTを用いて評価される。該無次元性能指数ZTは、下記式で表される。
ZT=(S・σ/κ)・T
式中、Sは、ゼーベック係数(VK−1)を表し、Sが正の値であればp型の素子であり、負の値であれば、n型の素子である。σは、電気伝導率(Ω−1−1)を表す。κは、熱伝導率(Wm−1−1)を表す。Tは、絶対温度(K)を表す。
なお、S・σをパワーファクター(PF)とも言う。パワーファクター(PF)が大きいほど、無次元性能指数ZTが大きくなり、熱電性能が優れる。
本発明の導電性材料は、炭素材料、エポキシ基含有有機化合物をそれぞれ1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、炭素材料、エポキシ基含有有機化合物以外のその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の導電性材料が含む炭素材料は、炭素原子を主成分とする材料であって、後述するエポキシ基含有有機化合物に該当しない化合物である。
本発明の導電性材料が含む炭素材料は、グラフェン骨格を有するものであることが好ましい。炭素材料としてグラフェン骨格を有するものを用いることで、本発明の導電性材料が熱電変換素子の材料としてより好適なものとなる。これは、グラフェン骨格を有する炭素材料はアスペクト比が大きく、炭素材料間のネットワーク構造を形成しやすいことによるものと考えられる。
上記グラフェン骨格を有する炭素材料は、sp結合で結合した炭素(C)を有し、該炭素が平面的に並んだものである限り特に制限されないが、酸素(O)と結合した炭素を有するものであることが好ましい。より好ましくは、グラフェンの炭素に酸素が結合した酸化グラフェンである。
なお、一般的にグラフェンとは、sp結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ1層からなるシートをいい、グラフェンシートが多数積層されたものはグラファイトといわれるが、本発明におけるグラフェン骨格を有する炭素材料や、本発明における酸化グラフェンには、1層のみからなるシートのみではなく、数層〜100層程度積層した構造を有するものも含まれる。後述するグラフェン結晶も同様である。
このような積層した構造を有する酸化グラフェンは、例えば、グラファイトを公知の酸化剤で処理して得ることができる。
本発明に係る炭素材料は、更に、カルボキシル基、水酸基、硫黄含有基、脂環型エポキシ基等の官能基を有していてもよい。
上記グラフェン骨格を有する炭素材料は、酸素原子数に対する炭素原子数の比が1〜100であることが好ましい。酸素原子数に対する炭素原子数の比がこのような範囲にあるものであると、炭素材料が良好な導電性を発揮するため好ましい。酸素原子数に対する炭素原子数の比は、より好ましくは、2〜50であり、更に好ましくは、3〜20である。
グラフェン骨格を有する炭素材料の酸素原子数に対する炭素原子数の比は、XPS測定で得られるO1s領域の全ピーク面積とC1s領域の全ピーク面積との比率により確認することができる。
上記炭素材料は、比表面積が1m/g以上であることが好ましく、5m/g以上であることがより好ましく、10m/g以上であることが更に好ましく、20m/g以上であることが一層好ましく、50m/g以上であることが特に好ましい。このような比表面積の炭素材料を用いることによって、エポキシ基含有有機化合物と複合化させた際に、高い分散性を維持することが可能となる。該比表面積は、上限は特に限定されないが、例えば2000m/g以下とすることができる。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定することができる。
上記炭素材料は、平均粒子径が1000μm以下であるものが好ましい。また、該平均粒子径は、5nm以上であることが好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
上記炭素材料の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をボールミル等により粉砕し、得られた粗粒子を分散剤に分散させて所望の粒子径にした後に乾固する方法や、該粗粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法のほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒径の(ナノ)粒子を得る方法等により製造することが可能である。
本発明の導電性材料は、導電性材料の固形分100質量%に対して、炭素材料を2〜90質量%含むことが好ましい。このような割合で含むことで、導電性材料が良好な導電性を発揮しつつ、導電性材料を用いて作成した素子が良好な強度を有するものとなる。炭素材料の割合は、より好ましくは、導電性材料の固形分100質量%に対して、10〜80質量%であり、更に好ましくは、25〜70質量%であり、特に好ましくは、40〜60質量%である。
一般的なエポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンと活性水素化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ基、グリシジルアミン型エポキシ基、グリシジルエステル型エポキシ基とオレフィン酸化から得られる脂環型エポキシ基の4種類である。
本発明の導電性材料が含むエポキシ基含有有機化合物は、構造中に脂環型エポキシ基以外のエポキシ基を少なくとも1つ有する有機化合物であれば特に制限されないが、構造中にエポキシ基を2つ有する有機化合物を用いることが好ましい。より好ましくは、構造中に脂環型エポキシ基以外のエポキシ基を2つ有する有機化合物を用いることである。
導電性材料は、1種のエポキシ基含有有機化合物のみを含んでいてもよく、2種以上の有機化合物を含んでいてもよいが、2種以上の有機化合物を含む場合、エポキシ基を2つ以上有する有機化合物がエポキシ基含有有機化合物全体の50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。
本発明の導電性材料が含むエポキシ基含有有機化合物は、構造中に芳香環を有することが好ましい。構造中に芳香環を有することで、得られる導電性材料を用いて作製した熱電変換素子がn型の素子になりやすくなる。
エポキシ基含有有機化合物が構造中に芳香環を有する場合、芳香環の数は特に制限されないが、1〜10個であることが好ましい。より好ましくは、1〜3個である。
なお、本発明において、芳香環の数とは、独立して存在する芳香環の数を意味し、ナフタレン環やアントラセン環のような複数の芳香環が縮環した構造のものは、縮環した環構造全体で1つの芳香環として数える。
芳香環としては、特に制限されず、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ピセン環、ペリレン環、ヘリセン環、コロネン環が挙げられるが、これら具体的に記載した芳香環のいずれかであることが好ましい。
また、本発明の導電性材料が含むエポキシ基含有有機化合物は、グリシジルエーテル基を有するものが好ましい。より好ましくは、下記式(1);
Figure 0006592268
(式中、Rは、炭素数1〜50の2価の炭化水素基を表す。)で表される構造を有するものである。このような構造を有するものを用いることで、本発明の導電性材料が熱電変換素子の材料としてより好適なものとなる。
Rは、炭素数1〜50の2価の炭化水素基であるが、好ましくは、炭素数1〜40の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。
上記式(1)におけるRの2価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれのものであってよく、これらを組み合わせた構造であってもよい。
本発明におけるエポキシ基含有有機化合物としてより好ましくは、上記式(1)のRの部分が、芳香環を有する炭化水素基である構造の化合物である。Rの部分が芳香環を有する炭化水素基である場合、Rの部分に含まれる芳香環の数は特に制限されないが、1〜10個であることが好ましい。より好ましくは、1〜3個である。
また、Rの部分が芳香環を有する炭化水素基である場合、Rが芳香環のみからなる構造、又は、2つ以上の芳香環が直鎖又は分岐状アルキル基を介して結合した構造が好ましい。
本発明の導電性材料は、導電性材料の固形分100質量%に対して、エポキシ基含有有機化合物を10〜98質量%含むことが好ましい。このような割合で含むことで、導電性材料が熱電変換特性により優れたものとなる。エポキシ基含有有機化合物の割合は、より好ましくは、導電性材料の固形分100質量%に対して、20〜90質量%であり、更に好ましくは、30〜75質量%であり、特に好ましくは、40〜60質量%である。
本発明の導電性材料は、エポキシ基含有有機化合物を硬化させる硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、エポキシ基含有有機化合物を硬化させることができるものである限り特に制限されず、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記硬化剤の含有量は、導電性材料が含むエポキシ基含有有機化合物100質量%に対して、0.01〜200質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜100質量%であり、更に好ましくは、0.2〜95質量%である。
本発明の導電性材料は、更に溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メタノール、水等の極性溶媒;トルエンやキシレン等の非極性溶媒等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記溶媒の量は、導電性材料全体100質量%に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
本発明の導電性材料は、更に上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、上述した本発明に係る炭素材料以外の炭素材料、上述したエポキシ基含有有機化合物以外の樹脂成分のほか、分散剤、無機充填材、離型剤、カップリング剤、難燃剤等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の導電性材料が上記他の成分を含む場合、他の成分の含有量は、導電性材料の固形分100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、5質量%以下であり、更に好ましくは、3質量%以下であり、特に好ましくは、1質量%以下である。
<熱電変換素子>
本発明の導電性材料は、熱電変換素子の熱電変換層の材料として好適である。このような、本発明の導電性材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成される熱電変換素子もまた、本発明の1つである。
本発明の熱電変換素子は、本発明の熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成されるものであればよく、公知の種々の形態をとることができる。
本発明の熱電変換素子における上記熱電変換層は、本発明の導電性材料を基材に塗布して調製することができる。また、上記熱電変換層は、基材に塗布した本発明の導電性材料を加熱して得られるものであることが好ましい。当該加熱は、公知の方法で適宜行うことが可能である。
<熱電変換装置>
上述のように、熱電変換素子を用いて大きな電位差を得る場合、高温側の絶縁材料と低温側の絶縁材料とにn型熱電変換素子、p型熱電変換素子の両方が挟まれた熱電変換装置を構成することになる。この場合、n型、p型の熱電変換素子の材料が異なると、熱膨張係数の違いによって素子の熱膨張に違いが生じ、熱電変換装置に歪みが生じて不具合をおこすおそれがある。これに対し、本発明の導電性材料は、エポキシ基含有有機化合物の種類によって、n型熱電変換素子、p型熱電変換素子のいずれも作製することができるため、n型熱電変換素子、p型熱電変換素子の両方を本発明の導電性材料を用いて作製すると、熱電変換素子の材料の違いに起因する上記のような不具合の発生を効果的に抑制することができる。
このようにn型熱電変換素子、p型熱電変換素子のいずれも作製することができることは、本発明の導電性材料の利点の1つである。
このような、p型及びn型の熱電変換素子を含んで構成される熱電変換装置であって、該p型及びn型熱電変換素子は、ともに炭素材料とエポキシ基含有有機化合物とを含む導電性材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成される熱電変換装置もまた、本発明の1つである。
上記熱電変換装置は通常、熱電変換素子の他、電極を含んで構成される。電極の材料は特に制限されないが、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明電極、金属、導電性炭素材料等が挙げられる。
本発明の熱電変換装置は種々の形態で利用することができ、例えば、地熱・温泉熱発電機、太陽熱発電機、工場や自動車等の廃熱発電機、体温発電機等の発電機や、該発電機を電源の少なくとも一つとして用いた各種電気製品、電動機、人工衛星等が挙げられる。
本発明の導電性材料は、上述の構成よりなり、比較的安価な材料を用いて得られ、大気安定なn型の熱電変換素子を作製できる材料であるだけでなく、エポキシ基含有有機化合物の選択により、同じ樹脂系を用いたp型の熱電変換素子も作製できることから、各種熱電変換装置の材料として好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
各種特性値は、以下の方法により測定した。
<体積抵抗値>
実施例に記載の方法で作成した導電性材料の膜に対して比抵抗測定装置(ロレスタGP MCP−T600、三菱化学株式会社製)を用いて、室温(約25℃)で測定した。
<ゼーベック係数、及び、パワーファクター(PF)>
実施例に記載の方法で作成した導電性材料の膜の表面において、平均温度が約25℃になるように一部を温め、別の一部を冷やすことによって、導電性材料の膜の表面に所定の温度差を生じさせて起電力を測定した。縦軸を起電力とし、横軸を温度差とするグラフを作成し、このグラフの傾きから、導電性材料のゼーベック係数を算出した。本試験でゼーベック係数の値がプラスを示す導電性材料はp型熱電材料であり、マイナスを示す導電性材料はn型熱電材料である。なおパワーファクター(PF)は、上記のように測定した体積抵抗値の逆数(電気伝導率)とゼーベック係数の二乗との積により算出した。
調製例1(酸化グラフェン(GO)水分散体の調製)
水浴に設置した1Lビーカーに濃硫酸300mLと鱗片状黒鉛(伊藤黒鉛工業製:Z−5F)12gを投入し、撹拌翼で撹拌した。ビーカーの周りを氷で冷やしながら6gのKMnO4を徐々に加えた後、35℃まで昇温し、35℃で2時間撹拌した。その後、ビーカーの周りを氷で冷やしながら水300mLをゆっくりと加えた。続いて濃度30%(w/v)の過酸化水素水3mLを加えて、20℃で30分間撹拌した。撹拌終了後、ビーカー内の液を4本の遠心瓶(500mL)に分けて入れ、遠心分離精製を行ってから上澄みを除去して沈殿物を得た。沈殿物が残った遠心瓶に水を入れ、撹拌、振盪により沈殿物を分散させてから再度遠心分離を行う操作を、pHが6程度になるまで繰り返して、炭素材料(酸化グラフェン)が水に分散した酸化グラフェン水分散体を得た。
調製例2(酸化グラフェン(GO)NMP分散体の調製)
調製例1で得られた酸化グラフェン(GO)水分散液500gにN−メチルピロリドン(NMP)220gを入れ、撹拌しながら130℃、200Torrで減圧し、溶媒置換を行った。最終的に酸化グラフェンのN−メチルピロリドン溶液分散体(濃度2.5wt%)を得た。
実施例1(導電性材料の調製及び評価)
70mLマヨネーズ瓶に2.5wt%の酸化グラフェンのN−メチルピロリドン溶液50gとナフタレン骨格含有エポキシ樹脂(日立化成工業製:HP−4032D)1.25gを加え、直径1mmジルコニアビーズを敷き詰め、ペイントシェーカー(東洋精機製:試験用分散機)で1時間撹拌した後、イミダゾール(四国化成工業製:2E4MZ−CN)を0.3g加え、さらに1分間ペイントシェーカーで撹拌した後、40メッシュの金網でジルコニアビーズを取り除き、導電性材料(1)を調製した。得られた導電性材料(1)をアルミ皿上に12g計量し、空気中150℃で3時間加熱して、熱電変換材料の膜(1)を得た。得られた膜(1)の体積抵抗値(Ω・cm)(電気伝導率の逆数)、ゼーベック係数(μV/K)を空気中で測定し、パワーファクター(PF)(μm/mK)を算出した。結果を表1に示す。
実施例2、3及び参考例1、2(導電性材料の調製及び評価)
エポキシ樹脂の種類を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性材料(2)、(3)、(5)及び(6)を調製した。これらの導電性材料から実施例1と同様にして得た熱電変換材料の膜(2)、(3)、(5)及び(6)の体積抵抗値(Ω・cm)(電気伝導率の逆数)、ゼーベック係数(μV/K)を空気中で測定し、パワーファクター(PF)(μm/mK)を算出した。結果を表1に示す。
実施例4(導電性材料の調製及び評価)
70mLマヨネーズ瓶に2.5wt%の酸化グラフェンのN−メチルピロリドン溶液33gとナフタレン骨格含有エポキシ樹脂(日立化成工業製:HD−3032D)16.47gを加え、直径1mmジルコニアビーズを敷き詰め、ペイントシェーカー(東洋精機製:試験用分散機)で1時間撹拌した後、イミダゾール(四国化成工業製:2E4MZ−CN)を0.33g加え、さらに1分間ペイントシェーカーで撹拌した後、40メッシュの金網でジルコニアビーズを取り除き、導電性材料(4)を調製した。得られた導電性材料(4)をアルミ皿上に12g計量し、空気中150℃で3時間加熱し、熱電変換材料の膜(4)を得た。得られた膜(4)の体積抵抗値(Ω・cm)(電気伝導率の逆数)、ゼーベック係数(μV/K)を測定し、パワーファクター(PF)(μm/mK)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006592268
実施例1〜4及び参考例1、2で使用したエポキシ基含有有機化合物(エポキシ樹脂)は、以下のものである。なお、これらの市販品には、下記に示した構造の単量体以外に、これらがオリゴマー化したものも一部含まれている。
エポキシ基含有有機化合物(1):ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂(DIC社製、HP−4032D)
エポキシ基含有有機化合物(2):ビスフェノールF型骨格含有エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL−983U)
エポキシ基含有有機化合物(3):ビスフェノールA型骨格含有エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL−828EL)
エポキシ基含有有機化合物(4):水添ビスフェノールA型骨格含有エポキシ樹脂(三菱化学社製、YX−8034)
エポキシ基含有有機化合物(5):グリシジルエーテル骨格含有エポキシ樹脂(阪本薬品工業社製、SR−2EG)
Figure 0006592268
表1から、以下の結果が明らかとなった。すなわち、本発明の導電性材料は、空気中で成膜及び熱電変換特性の発揮が可能であったことから、大気安定性の高い材料であることが確認された。
また、芳香環を構造に有するエポキシ基含有有機化合物に酸化グラフェンを配合したもの(実施例1〜4)は、ゼーベック係数の値がマイナスの値をとっており、n型熱電変換材料の挙動を示した。一方芳香環を構造に有しないエポキシ基含有有機化合物に酸化グラフェンを配合したもの(参考例1、2)のゼーベック係数の値はプラスであり、p型熱電変換材料の挙動を示した。特に、エポキシ基含有有機化合物が芳香環を有しているか脂環を有しているかの違い以外は同じ条件である実施例3と参考例1とを比較すると、n型熱電変換材料の挙動を示す上でエポキシ基含有有機化合物の構造に芳香環が必要であるといえる。
またこの結果から、エポキシ基含有有機化合物の選択により、n型熱電変換材料の挙動を示すもの、p型熱電変換材料の挙動を示すものの両方を作製することができ、同じエポキシ系有機化合物を用いた素子によって、熱電変換装置を構成することが可能であることが確認された。

Claims (8)

  1. 炭素材料と、芳香族エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするn型熱電変換材料。
  2. 前記炭素材料は、グラフェン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載のn型熱電変換材料。
  3. 前記グラフェン骨格を有する炭素材料は、酸素原子数に対する炭素原子数の比が1〜100であることを特徴とする請求項2に記載のn型熱電変換材料。
  4. 炭素材料と、脂環式エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするp型熱電変換材料。
  5. 前記炭素材料は、グラフェン骨格を有することを特徴とする請求項4に記載のp型熱電変換材料。
  6. 前記グラフェン骨格を有する炭素材料は、酸素原子数に対する炭素原子数の比が1〜100であることを特徴とする請求項5に記載のp型熱電変換材料。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のn型熱電変換材料、及び/又は、請求項4〜6のいずれかに記載のp型熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成されることを特徴とする熱電変換素子。
  8. p型及びn型の熱電変換素子を含んで構成される熱電変換装置であって、
    該p型熱電変換素子は、炭素材料と脂環式エポキシ樹脂とを含むp型熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成され、
    該n型熱電変換素子は、炭素材料と芳香族エポキシ樹脂とを含むn型熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成されることを特徴とする熱電変換装置。
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