JPWO2013151172A1 - 金属ニッケル粉末及び金属ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

金属ニッケル粉末粒子同士が凝集して形成された粗大粒子の含有量が少ない金属ニッケル粉末を提供する。平均粒径が10nmから1000nmであって、MCT検出器を具備するフーリエ変換赤外分光光度計における1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)と3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)が、Y ≦−1.0X+23.0である金属ニッケル粉末。

Description

本発明は、金属ニッケル粉末及び金属ニッケル粉末の製造方法に係り、特に、粒子同士が凝集して形成された粗大粒子の含有量が少ない金属ニッケル粉末及びその製造方法に関する。
金属ニッケルは、空気や湿度に対しては鉄よりはるかに安定であり、耐蝕・耐熱・耐摩耗に優れていることから、キッチンや食器などのステンレス鋼として利用されている。また、放熱特性や電気特性にも優れていることから、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の材料としても使用されているほか、携帯電話やパソコンの部品として欠かすことのできない積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCと略称することがある)の電極材料としても使われている。
MLCCは、誘電体セラミック層と、内部電極として使用される金属層とが交互に重ねられ、その積層体の両端に外部電極が接続された構成になっている。ここで、誘電体を構成する材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム等の誘電率の高い材料を主成分とするものが用いられている。一方、内部電極を構成する金属としては、銀、パラジウム、白金、金等の貴金属粉末、これら貴金属粉末を用いた合金、あるいはニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、タングステン、銅等の卑金属粉末、これら卑金属粉末を用いた合金等が用いられている。これらの中で、近年は金属ニッケル粉末を内部電極材料として利用したMLCCの開発が盛んに行われている。
また、近年、電子機器の軽量小型化に伴い、MLCCを小型化することが求められている、MLCCの小型化には、誘電体層、電極層厚を薄肉化することが必要で、それに伴い金属ニッケル粉末の粒径を1μm以下、さらには0.5μm以下、0.2μm以下と微粉化する要求が年々高まっている。
MLCCは、一般に次のような方法で製造されている。まず、チタン酸バリウム等の誘電体粉末を有機バインダーと混合し懸濁させ、これをドクターブレード法によりシート状に成形し誘電体グリーンシートを作成する。一方、内部電極用の金属粉末は、有機溶剤、可塑剤、有機バインダー等の有機化合物と混合して金属粉末ペーストを形成した後、これを前記グリーンシート上にスクリーン印刷法で印刷、乾燥する。次いで、このシートを積層および圧着した後、加熱処理にて有機成分を除去してから、1300℃前後またはそれ以上の温度で焼成する。この後、焼成体の両端に外部電極を焼き付けてMLCCを得る。
上記のようなMLCCの製造方法において、金属粉末ペースト中の金属粉末に、例えば金属粉末が凝集して形成された粗大粒子が存在すると、誘電体層を突き抜け電極間で短絡を発生させる原因となる問題があった。
その対策として、例えば、特許文献1には、赤外線吸収スペクトル(以下、FT−IRと略称することがある)信号位置が3700cm−1から3600cm−1において吸収ピークを示さないニッケル粉末を用いることにより、粉末同士の集合を抑制できることが提案されている。この範囲の振動は、金属ニッケルに化学的に結合するOH基に帰属するものである。このような金属ニッケル粉末は、気相法等により得られた金属ニッケル粉末を、200℃〜400℃の酸化性雰囲気下で熱処理を行なうことによって得ることができる。
しかしながら、上記した従来の方法では、粗大粒子への凝集を軽減して改善する目的としてはそれなりの効果を上げているが、粗大粒子への凝集を防止する方法としては必ずしも十分ではなかった。
特許第3787032号公報
従って、本発明の目的は、金属ニッケル粉末粒子同士が凝集して形成された粗大粒子の含有量が少ない金属ニッケル粉末及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、金属ニッケル粉末の粗大粒子について鋭意研究を重ねた結果、金属ニッケル粉末表面の水酸化物の他に、微量に含まれるケイ酸の存在により、ニッケル粉が凝集し粗大粒子が発生することを突き止め、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、平均粒径が10nmから1000nmであって、MCT検出器を具備するフーリエ変換赤外分光光度計における1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)と3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)が、
Y ≦−1.0X+23.0
であることを特徴とする金属ニッケル粉末である。
また、本発明は、前記の金属ニッケル粉末の製造方法であって、気相法または液相法によってニッケル化合物から金属ニッケル粉末を生成させ、前記金属ニッケル粉末を冷却し、静電吸着ろ過を行ってケイ素含有量を低減した純水に二酸化炭素を溶解させて炭酸水溶液を調製し、前記炭酸水溶液によって前記金属ニッケル粉末を処理することを特徴とする金属ニッケル粉末の製造方法である。
本発明に関わる金属ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末が凝集して形成される粗大粒子を殆ど含まない金属ニッケル粉末であり、積層セラミックスコンデンサの内部電極用として好適である。
本発明の実施例1の金属ニッケル粉末のFT−IR吸収スペクトルを示した図である。 本発明の比較例1の金属ニッケル粉末のFT−IR吸収スペクトルを示した図である。 本発明の参考例1(比較例1の金属ニッケル粉末)のFT−IR吸収スペクトルを示した図である。 本発明の実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例3の結果を示した図である。 本発明の実施例、比較例に用いた金属ニッケル粉末の製造装置を示した図である。
本発明の金属ニッケル粉末は、平均粒径が10nmから1000nmであって、MCT検出器を具備するフーリエ変換赤外分光光度計における1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)と3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)が、
Y ≦−1.0×X+23.0
であることを特徴とする金属ニッケル粉末である。好ましくは、
Y ≦−1.0×X+16.7
であることを特徴とする金属ニッケル粉末である。この範囲とすることで、凝集して形成される粗大粒子を殆ど含まない分散性の良好な金属ニッケル粉末を得ることができる。
本発明の金属ニッケル粉末の平均粒径は、10nmから1μmが好ましく、10nmから0.4μmの範囲の微粒子であればさらに好適である。この範囲とすることで、導電ペーストに用いるのに好適である。なお、本発明の金属ニッケル粉末の粒径は、各粒子を包み込む最小円の直径である。
本発明の金属ニッケル粉末のフーリエ変換赤外分光光度計による赤外吸収スペクトル分析における1200cm−1〜900cm−1の吸収スペクトルは、Si−O−Si(鎖状)、(Si−O−Si)(環状)、(Si−O−Si)(環状)、(Si−O−Si)(環状)、SiO 2−(珪酸塩)のSi−O−Siの骨格振動に帰属されるピークである。(文献参照:「Handbook of Infrared and Raman Spectra of Inorganic Compounds and Organic Salts(4−Volume set)」,「N.B.Colthup etal.,Introduction to Infrared and Raman Spectroscopy(Third Edition)」,「K.Nakamoto,Infrared and Raman Spectra of Inorganic and Coordination Compounds(FOURTH EDITION)」、「堀口博 著 外吸光図説総覧 三共出版社」,「有機化合物への吸収スペクトルの応用 東京化学同人」,「機器分析のてびき 化学同人社」)。また、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトルは、Ni(OH)に帰属されるピークである。(文献参照:特開2010−237051号公報)。
本発明の金属ニッケル粉末のS/N比は以下の方法により求めたものである。1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトルの吸光度、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトルの吸光度の、吸収スペクトルが無くベースラインが歪んでいない領域の吸光度に対する比である。一般に、吸収スペクトルが無くベースラインが歪んでいない領域の吸光度は、水分および二酸化炭素に影響されない波数を選ぶことが好ましく、例えば、2200cm−1から1950cm−1の範囲の中から選定することが好ましい。吸光度は、前記の周波数範囲を50cm−1単位でピーク面積値を求め、その平均値とした。
なお、本発明の金属ニッケル粉末に含まれるSiOH、SiO、Ni(OH)は微量であるため、フーリエ変換赤外分光光度計の検出器は高感度タイプが好ましく、MCT検出器タイプを用いる。この検出器の組成は、水銀、カドミウム、テルルからなる半導体素子からなっており、液体窒素を使用して検出器を使用して冷やすと高感度で情報が得られ、微量物質には有効である。更に、測定中の試料室の雰囲気下は多種成分のガスが入っていないことが好ましく、試料室内は乾燥雰囲気ガス下若しくは真空状態が好ましい。なお、乾燥雰囲気ガス下で測定する場合、露点は−50℃以下に保たないとOH基に由来する信号が現われ、解析に支障するため注意する必要がある。積算回数は、露点が保たれていれば128回以上であれば十分である。測定分解能は、4cm−1以下が好ましい。
例えば、本発明のフーリエ変換赤外分光の吸収スペクトルの強度は以下の測定条件で求めたものである。
機種名:型式 Nicolet 6700(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
検出器:MCT検出器
測定方法:拡散反射方式
測定条件:分解能4cm−1,積算回数256回
光源:赤外吸収光(IR)
試料室内ガス:乾燥窒素(露点:−72℃)
ビームスプリッタ:KBr
バックグランド積算回数,分解能:256回,4cm−1
解析法:K−M変換
本発明のニッケル粉末は、例えば、気相法や液相法など公知の方法から製造することができる。特に塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触させることによりニッケル粉末を生成させる気相還元法、あるいは熱分解性のニッケル化合物を噴霧して熱分解する噴霧熱分解法が、生成する金属微粉末の粒子径を容易に制御することができ、さらに球状の粒子を効率よく製造することができるという点において好ましい。また、ニッケル粉末の粒径は、10nmから1μmのものが一般的である。
ニッケル粉末気相還元法においては、気化させた塩化ニッケルのガスと水素等の還元性ガスとを反応させるが、固体の塩化ニッケルを加熱し蒸発させて塩化ニッケルガスを生成させてもよい。しかしながら、塩化ニッケルの酸化または吸湿防止、およびエネルギー効率を考慮すると、金属ニッケルに塩素ガスを接触させて塩化ニッケルガスを連続的に発生させ、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、次いで還元性ガスと接触させ塩化ニッケルガスを連続的に還元してニッケル微粉末を製造する方法が有利である。
気相還元反応によるニッケル粉末の製造過程では、塩化ニッケルガスと還元性ガスとが接触した瞬間にニッケル原子が生成し、ニッケル原子同士が衝突・凝集することによって超微粒子が生成し、成長する。そして、還元工程での塩化ニッケルガスの分圧や温度等の条件によって、生成するニッケル微粉末の粒径が決まる。上記のようなニッケル粉末の製造方法によれば、塩素ガスの供給量に応じた量の塩化ニッケルガスが発生するから、塩素ガスの供給量を制御することで還元工程へ供給する塩化ニッケルガスの量を調整することができ、これによって生成するニッケル微粉末の粒径を制御することができる。
さらに、金属塩化物ガスは、塩素ガスと金属との反応で発生するから、固体金属塩化物の加熱蒸発により金属塩化物ガスを発生させる方法とは異なり、キャリアガスの使用を少なくすることができるばかりでなく、製造条件によっては使用しないことも可能である。したがって、気相還元反応の方が、キャリアガスの使用量低減とそれに伴う加熱エネルギーの低減により、製造コストの削減を図ることができる。
また、塩化工程で発生した塩化ニッケルガスに不活性ガスを混合することにより、還元工程における塩化ニッケルガスの分圧を制御することができる。このように、塩素ガスの供給量もしくは還元工程に供給する塩化ニッケルガスの分圧を制御することにより、ニッケル粉末の粒径を制御することができ、粒径のばらつきを抑えることができるとともに、粒径を任意に設定することができる。
上記のような気相還元法によるニッケル粉末の製造条件は、平均粒径1μm以下になるように任意に設定するが、例えば、出発原料である金属ニッケルの粒径は約5〜20mmの粒状、塊状、板状等が好ましく、また、その純度は慨して99.5%以上が好ましい。この金属ニッケルを、まず塩素ガスと反応させて塩化ニッケルガスを生成させるが、その際の温度は、反応を十分進めるために800℃以上とし、かつニッケルの融点である1453℃以下とする。反応速度と塩化炉の耐久性を考慮すると、実用的には900℃〜1100℃の範囲が好ましい。
次いで、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、水素ガス等の還元性ガスと接触反応させるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスを、塩化ニッケルガスに対し1〜30モル%混合し、この混合ガスを還元工程に導入してもよい。また、塩化ニッケルガスとともに、または独立に塩素ガスを還元工程に供給することもできる。このように塩素ガスを還元工程に供給することによって、塩化ニッケルガスの分圧が調整でき、生成するニッケル粉末の粒径を制御することが可能となる。還元反応の温度は反応完結に十分な温度以上であればよいが、固体状のニッケル粉末を生成する方が、取扱いが容易であるので、ニッケルの融点以下が好ましく、経済性を考慮すると900℃〜1100℃が実用的である。
このように還元反応を行なったニッケル粉末を生成させたら、次は生成ニッケル粉末を冷却する。冷却の際、生成したニッケルの一次粒子同士の凝集による二次粒子の生成を防止して所望の粒径のニッケル粉末を得るために、窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むことにより、還元反応を終えた1000℃付近のガス流を400〜800℃程度までに急速冷却させることが望ましい。その後、生成したニッケル粉末を、例えばバグフィルター等により分離、回収する。
また、噴霧熱分解法によるニッケル粉末の製造方法では、熱分解性のニッケル化合物を原料とするが、具体的には、硝酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、アルコキシ化合物などの1種または2種以上が含まれる。このニッケル化合物を含む溶液を噴霧して、微細な液滴を作るが、このときの溶媒としては、水、アルコール、アセトン、エーテル等が用いられる。また、噴霧の方法は、超音波または二重ジェットノズル等の噴霧方法により行う。このようにして微細な液滴とし、高温で加熱して金属化合物を熱分解し、ニッケル粉末を生成させる。このときの加熱温度は、使用される特定のニッケル化合物が熱分解する温度以上であり、好ましくは金属の融点付近である。
液相法による金属微粉末の製造方法では、硫酸ニッケル、塩化ニッケルあるいはニッケル錯体を含むニッケル水溶液を、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物中に添加するなどして接触させニッケル水酸化物を生成させ、次いでヒドラジンなどの還元剤でニッケル水酸化物を還元し金属ニッケル粉末を得る。このようにして生成した金属ニッケル粉末は、均一な粒子を得るために必要に応じて解砕処理を行う。
例えば、以上の方法で得られたニッケル粉末を、pH、温度を制御した特定の条件で炭酸水溶液中に懸濁させて処理を行う。炭酸水溶液で処理することにより、ニッケル表面に付着している塩素などの不純物が十分に除去されるとともに、ニッケル粉末の表面に存在する水酸化ニッケルなどの水酸化物や粒子同士の摩擦などにより表面から離間して形成された微粒子が除去されるため、表面に均一な酸化ニッケルの被膜を形成することができる。例えば、炭酸水溶液で洗浄を行う方法、あるいは純水洗浄後の水スラリー中に炭酸ガスを吹き込むか、あるいは炭酸水溶液を添加して処理することもできる。
この炭酸水溶液での処理では、ケイ素含有量15wtppm以下の炭酸水溶液またはケイ素含有量15wtppm以下の純水に二酸化炭素を溶解させたものを用い、処理条件は温度0℃以上30℃未満、pH4以上6未満である。このような条件での処理により、乾燥後のニッケル粉末表面に均一な酸化皮膜が形成され、また、ケイ酸のニッケル粉への付着が抑制されるため、粗大粒の発生を抑制することができる。
なお、純水からのケイ素除去には、RO逆浸透膜、イオン交換器および静電吸着機能を具備したろ過器を用いる。今まではRO逆浸透膜とイオン交換器を用いてろ過するのが一般的であったが、RO逆浸透膜とイオン交換器で取れきれないケイ酸についての対応が困難であった。しかし、本発明者らが鋭意の研究を重ねた結果、RO逆浸透膜とイオン交換器で取りきれないケイ酸はコロイダルシリカ等からなるものであることが判った。このコロイダルシリカは、表面のゼータ電位が(−)に荷電しているため、表面のゼータ電位が(+)に荷電したろ材を具備したろ過器を用いることで低減できることが判った。このろ過器の材質は、親水性のナイロン、オレフィンポリマーまたはポリエステル等各種適用できるが、表面のゼータ電位がプラス(+)である材質であれば特に制限はない。純水中に含まれるケイ酸は、通常の純水製造に使用される逆浸透膜やイオン交換器では十分に除去することができない。ケイ素含有量15wtppm以下の純水や炭酸水溶液は、表面のゼータ電位が(+)に帯電したフィルターを有するろ過器で更に処理することにより得ることができる。例えば、このようなフィルターは、商品名:多用途型タンク付ホルダーろ過板タイプ(アドバンテック東洋株式会社)や商品名:ポジダインUP(日本ポール株式会社)等として市販されている。
このようにしてニッケル粉末を炭酸処理した後、そのニッケル粉末を乾燥する。乾燥方法は公知の方法を採用することができ、具体的には高温のガスと接触させ乾燥する気流乾燥、加熱乾燥および真空乾燥などが挙げられる。これらのうち、気流乾燥は粒子同士の接触による酸化皮膜の摩耗がないため、好ましい方法である。また、ニッケル粉末の表面に均質な酸化皮膜を形成させるためには、短時間で水分を除去して乾燥することが望ましい。
この乾燥したニッケル粉末は、さらに酸素分圧を制御した環境下で熱処理を行い、粉末表面のNi(OH)量を制御する。例えば、流動攪拌機などを用い、攪拌を行いながら、酸素分圧を制御した雰囲気下で、熱処理を行う。熱処理温度、熱処理時間は、ニッケル粉末のサイズ、酸化被膜の厚さに応じて決定され、このときの熱処理温度としては、通常200〜400℃であり、好ましくは200〜300℃、より好ましくは200〜250℃である。また、熱処理時間は、通常1分〜10時間である。
このようにして得られたニッケル粉は必要に応じ、再度、水などの溶媒に分散する。その後、フィルターを通過させることにより、粗粉や連結粒の除去を行う。ニッケル粉の分散性が良好なため、効率よく粗粉や連結粒の除去を行うことができる。フィルトレーションには、公知の方法を用いることができ、フィルターは、有機高分子製(ナイロン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン樹脂、セルロース、メラミン、フェノール樹脂、アクリルなど)、金属製、無機化合物製のフィルターを用いることができる。なお、フィルターの効率を上げるため、フィルターを通過させる前に、その他の分級手段、例えば遠心力を用いた分級手段(液体サイクロン)などを行ってもよい。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の例により何ら制限されるものではない。
本実施例における平均粒径、FT−IR測定、ケイ素濃度、凝集は以下の方法により評価を行った。
a.平均粒径の評価
走査電子顕微鏡によりニッケル粉末の写真を撮影し、その写真から粒子200個の粒径を測定してその平均値を算出した。なお、粒径は粒子を包み込む最小円の直径とした。
b.FT−IR測定
以下の条件にて、FT−IR測定を行った。
機種名:型式 Nicolet 6700(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
検出器:MCT検出器
測定方法:拡散反射方式
測定条件:分解能4cm−1,積算回数256回
光源:赤外吸収光(IR)
試料室内ガス:乾燥窒素(露点:−72℃)
ビームスプリッタ:KBr
バックグランド積算回数:256回
分解能:4cm−1
解析:K−M変換
測定サンプルは以下のように調製した。金属ニッケル粉末を、口径7mmφの底付円柱サンプル治具に詰めた後、金属ニッケル粉末を円柱サンプル治具上端部で水平に擦り切った。この円柱サンプル治具を、サンプルを溢さないようにFT−IR装置にセットした。
S/N比は、1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトルの吸光度または3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトルの吸光度の、吸収スペクトルが無くベースラインが歪んでいない領域の吸光度(2200cm−1から1950cm−1)に対する比とした。なお、吸光度は、前記の周波数範囲を50cm−1単位でピーク面積値を求め、その平均値とした。
c.ケイ素濃度測定
イオンクロマトグラフィーにより、純水、炭酸水溶液中のケイ素含有量を測定した。
機種名:型式IC−2010(東ソー社製)(検出器:CM検出器)
分析モード:CM;Range(5000μS−1/2)ノンサプレッサーモード
カラム:TSKgel SuperIC-AP 4.6mmID × 7.5cm
溶離液:2mMのKOH
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
d.凝集の評価
金属ニッケル粉末100gを純水1900gに投入し、5wt%の金属ニッケル粉粉末スラリーを作成する。次いで、目開き1μmのフィルターにより吸引ろ過を行う。フィルター上に残った金属ニッケル粉末を不活性ガス雰囲気下で120℃、30分で乾燥、その重量を計測し、その通過率((100(g)−フィルター上のニッケル粉の重量(g))/100(g))により凝集を評価した。通過率が90%以上を優良(表1、図4では「○」で示す)、80%以上を良(表1、図4では「△」で示す)、80%未満を不合格(表1、図4では「×」で示す)とした。
<実施例1> (Si最小、Ni(OH)最小)
特許第4286220号公報の実施例1に記載する方法と同様な方法で金属ニッケル粉末を作製した。なお、金属ニッケル粉末の製造に先立ち、下記のケイ素濃度が異なる純水を用意した。
純水A:ケイ素濃度 65wtppm
純水B:純水Aを表面のゼータ電位が(+)に帯電したフィルターを有するろ過装置(多用途型タンク付ホルダー
ろ過板タイプ(アドバンテック東洋株式会社製))で処理した。ケイ素濃度は3wtppmである。
図5に示す金属ニッケル粉末の製造装置の塩化炉1に、平均粒径5mmの金属ニッケルMを充填し、加熱手段11で炉内雰囲気温度を1100℃とした。次いで、ノズル12から塩化炉1内に塩素ガスを供給し、金属ニッケルショットMを塩化して塩化ニッケルガスを発生させた。この後、ノズル13から供給した窒素ガスで希釈、混合した。そして、塩化ニッケルガスと窒素ガスとの混合ガスを、加熱手段21で1000℃の炉内雰囲気温度とした還元炉2内に、ノズル22から導入した。
これと同時に、ノズル23から還元炉2内に水素ガスを供給して塩化ニッケルガスを還元し、ニッケル粉末Pを得た。さらに、還元工程にて生成した金属ニッケル粉末Pに、ノズル24から供給した窒素ガスを接触させ、金属ニッケル粉末Pを冷却した。金属ニッケル粉末Pの一部を採取し、水洗後、平均粒径を測定したところ、金属ニッケル粉末Pの平均粒径は0.3μmであった。
次いで、窒素ガス−塩酸蒸気−金属ニッケル粉末Pからなる混合ガスを、純水Bを充填した洗浄槽に導き、金属ニッケル粉末を分離回収し、純水Bで洗浄した(純水洗浄)。
次いで、金属ニッケル粉末スラリー中に炭酸ガスを吹き込んでpH4.0とし、炭酸水溶液として25℃で60分処理を行った(炭酸水溶液処理)。
炭酸水溶液で処理した金属ニッケル粉末を乾燥した後、大気中において200℃で30分処理を行い(加熱処理)、金属ニッケル粉末を得た。金属ニッケル粉末の平均粒径は0.3μmであった。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。また、FT-IRの結果を図1に示す。
<実施例2>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度5wtppmとした純水を用い、更に乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、250℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例3>
乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、150℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例4>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度14wtppmとした純水を用いた以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例5>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度6wtppmとした純水を用い、更に乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、150℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例6>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度5ppmとした純水を用い、乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、150℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例7>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度4wtppmとした純水を用い、更に乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、150℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例8>
ケイ素濃度3wtppmとした純水に代えて、ケイ素濃度7wtppmとした純水を用いた以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例9>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度14wtppmとした純水を用い、更に乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、250℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<比較例1>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度45wtppmとした純水Aを用い、更に乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、150℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<比較例2>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度49wtppmとした純水を用いた以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。なお、純水のケイ素濃度は、純水Aと純水Bを混合することにより調製した。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<比較例3>
ケイ素濃度3wtppmとした純水Bに代えて、ケイ素濃度65wtppmとした純水を用い、更に乾燥後の加熱処理を200℃で30分処理に代えて、250℃で30分処理とした以外は、実施例1と同様にして金属ニッケル粉末を得た。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<実施例10>
ノズル13からの窒素ガスの希釈量を増加させること以外は、実施例1と同様に金属ニッケル粉末Qを作製した。金属ニッケル粉末Qの一部を採取し、水洗後、平均粒径を測定したところ、金属ニッケル粉末Qの平均粒径は0.15μmであった。この金属ニッケル粉末Qを、実施例1と同様に純水洗浄、炭酸水溶液処理、加熱処理を行った。
表1に、金属ニッケル粉末の1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)、3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)、凝集の評価結果を示す。
<参考例1>
比較例1の金属ニッケル粉末を、TGS検出器を有する以下のFT−IR装置(機種名:型式Nicolet6700(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製))で評価した結果を図3に示す。
実施例1〜実施例9、比較例1〜比較例3の結果を図4に示す。図4より、フーリエ変換赤外分光光度計における1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)と3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)が、Y ≦−1.0×X+23.0を満たす金属ニッケル粉末が、凝集が無く良好な分散性を示すことがわかる。特に、Y ≦ ―1.0×X+16.7を満たす金属ニッケル粉末が、より優れた分散性を示すことがわかる。
Figure 2013151172
本発明によれば、ニッケル粒子が凝集して形成された粗大粒子が殆ど含まれない金属ニッケル粉末が得られ、積層セラミックスコンデンサの内部電極用ニッケル粉として好適である。
1…塩化炉
11…加熱手段
12…塩素ガス供給管
13…窒素ガス供給管
2…還元炉
21…加熱手段
22…ノズル
23…水素ガス供給管
24…冷却ガス供給管
M…ニッケル原料
P…ニッケル粉末

Claims (4)

  1. 平均粒径が10nmから1000nmであって、MCT検出器を具備するフーリエ変換赤外分光光度計における1200cm−1から900cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(X)と3700cm−1から3600cm−1の吸収スペクトル信号のS/N比(Y)が、
    Y ≦−1.0X+23.0
    であることを特徴とする金属ニッケル粉末。
  2. 前記S/N比(X)と前記S/N比(Y)が、
    Y ≦−1.0X+16.7
    であることを特徴とする請求項1に記載の金属ニッケル粉末。
  3. 請求項1または2に記載の金属ニッケル粉末の製造方法であって、
    気相法または液相法によってニッケル化合物から金属ニッケル粉末を生成させ、
    前記金属ニッケル粉末を冷却し、
    静電吸着ろ過を行ってケイ素含有量を低減した純水に二酸化炭素を溶解させて炭酸水溶液を調製し、
    前記炭酸水溶液によって前記金属ニッケル粉末を処理することを特徴とする金属ニッケル粉末の製造方法。
  4. 前記静電吸着ろ過によって、ケイ素含有量を15wtppm以下とすることを特徴とする請求項3に記載の金属ニッケル粉末の製造方法。

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