JPWO2012160762A1 - リチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにその電極を用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにその電極を用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

長期にわたって活物質層表面に被膜を保持させることによって、電解液の分解を抑制し、サイクル特性を向上したリチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにその電極を用いたリチウムイオン二次電池を提供する。集電体と、集電体の表面に形成されたバインダーを含む活物質層と、活物質層の少なくとも一部の表面に形成された被膜と、を有し、被膜は、官能基を有するアクリル系主鎖と、アクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖と、からなるシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなり、被膜はバインダーと化学結合していることを特徴とする。

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにその電極を用いたリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。現在、主として 携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用の電源として期待されている。リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入および脱離することが出来る活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、リチウムイオン二次電池は、両極間に設けられた電解液内をリチウムイオンが移動することによって動作する。
リチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返した後でも、放電容量を維持することが求められる。しかしながら電極活物質と電解液が徐々に反応して電解液が分解されることによって、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル寿命が短くなるという問題点がある。
この電解液の分解を抑制するために、種々の検討が行われている。例えば、下記特許文献1では、電解液の中にポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルカン及びそれらの誘導体を含む化合物をまぜ、正極もしくは負極に上記化合物の被膜を形成することが開示されている。これらの化合物は電解液よりも表面張力が小さく、かつ電解液に不溶性の化合物であるので、電池を組むと、電池内で電極に被膜が形成されると開示されている。下記特許文献2では、酸化錫または複合酸化錫からなる活物質に、ポリエチレングリコールユニットを有するリチウムイオン導電性高分子化合物を被覆することが開示されている。
しかしながら上記特許文献1に記載のような電極に被膜が付着している電池では、サイクル数が多くなるにつれて電極から被膜が取れるおそれがあり、上記特許文献2のように活物質自身に高分子化合物を被覆するのは手間がかかる。
特開2004−265609号公報 特開平10−312803号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、活物質層表面に長期にわたって保持出来る被膜を形成することであり、その被膜によって電解液の分解を抑制して、電池のサイクル特性を向上出来るリチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにその電極を用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、活物質層の表面の少なくとも一部にシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなる被膜を形成することによって、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上出来ることを見出した。
すなわち本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、集電体と、集電体の表面に形成されたバインダーを含む活物質層と、活物質層の少なくとも一部の表面に形成された被膜と、を有し、被膜は、官能基を有するアクリル系主鎖と、アクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖と、からなるシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなり、被膜はバインダーと化学結合していることを特徴とする。
上記被膜は、アクリル系主鎖の官能基を介してバインダーと化学結合することによって、活物質層の表面に形成されていることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極及び負極のうちの少なくとも一方が上記リチウムイオン二次電池用電極であることを特徴とする。本発明のリチウムイオン二次電池において、正極はLiを含まない正極活物質を有することが好ましい。正極活物質は、硫黄単体、硫黄とカーボンとの複合体、二酸化マンガンおよび酸化バナジウムから選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することが出来る。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、活物質と、バインダー樹脂と、シリコーンーアクリルグラフト共重合体と、を混合してスラリーを作成するスラリー作成工程と、スラリーを集電体の表面に塗布するスラリー塗布工程と、集電体の表面に塗布されたスラリーを加熱することにより、バインダー樹脂及びシリコーンーアクリルグラフト共重合体を硬化させ、かつシリコーンーアクリルグラフト共重合体とバインダー樹脂とを化学結合させる熱処理工程と、を有し、シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、官能基を有するアクリル系主鎖とアクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖とからなることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、活物質層の少なくとも一部の表面にバインダーと化学結合したシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなる被膜が形成されている。被膜が活物質層の表面に形成されることによって、電解液を分解すると考えられる活物質等が電解液と直接接触することを防ぐことが出来る。そのため、活物質等が電解液を分解するのを抑制することが出来る。また被膜はバインダーと化学結合しているため、被膜が活物質層から脱落しにくい。
上記リチウムイオン二次電池用電極を含むリチウムイオン二次電池は優れたサイクル特性を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法によると、リチウムイオン二次電池をサイクル特性に優れるようにすることが出来る電極を製造出来る。
上記リチウムイオン二次電池はサイクル特性に優れているので、上記リチウムイオン二次電池を車両に搭載すると、車両は高性能な車両となる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を説明する模式図である。 実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池について、サイクル数と放電容量維持率を示すグラフである。
1:集電体、2:活物質、3:バインダー、4:導電助剤、5:活物質層、6:被膜。
(リチウムイオン二次電池用電極)
ここで図1を用いて本発明のリチウムイオン二次電池用電極を説明する。図1は本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を説明する模式図である。
図1は、集電体1と、集電体1上に形成された活物質層5を示す。活物質層5では、活物質2と、導電助剤4と、がバインダー3を介して集電体1上に保持されている。活物質層5の少なくとも一部の表面にはバインダー3と箇所6aで化学結合している被膜6が形成されている。図1は模式図であり、大きさ、形状は正確なものではない。例えば被膜6は図1では板形状に示されているが、実際の被膜6は、不定形であり、活物質層5の表面に沿って薄膜状に形成されている。
また被膜6は、活物質層5の表面の少なくとも一部を覆っている。そのため被膜6は活物質層5の表面にある活物質2も覆っている。活物質層5の表面は部分的に被膜6によって覆われていない部分もあるかもしれないが、活物質層5の表面全体が、被膜6によって覆われていることが望ましい。
この図1に示すように、活物質層5の少なくとも一部の表面には被膜6が形成されており、被膜6はバインダー3と結合している。このため被膜6によって、活物質層5に含まれる活物質2などにより電解液が分解されることを長期にわたって抑制出来る。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、集電体と、集電体の表面に形成されたバインダーを含む活物質層と、活物質層の少なくとも一部の表面に形成された被膜と、を有し、被膜は、官能基を有するアクリル系主鎖と、アクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖と、からなるシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなり、被膜はバインダーと化学結合している。
集電体は放電或いは充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体のことである。集電体は箔、板等の形状を採用することが出来るが、目的に応じた形状であれば特に限定されない。集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることが出来る。
活物質層は、活物質、バインダーを含む。必要に応じて導電助剤を加えても良い。
活物質とは、充電反応及び放電反応などの電極 反応に直接寄与する物質のことである。正極の活物質としては、リチウム含有化合物が適当である。正極活物質として例えばリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物などのリチウム含有金属複合酸化物を用いることが出来る。
また正極活物質としてLiを含まない正極活物質、例えば他の金属化合物あるいは高分子材料、を用いることも出来る。他の金属化合物としては、例えば酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物、硫黄単体、硫黄とカーボンの複合体が挙げられる。硫黄とカーボンの複合体とは、カーボンの細孔内に硫黄が配置され、硫黄とカーボンが複合体となっているものを指し、カーボンとしてアセチレンブラックやメソポーラスカーボンが使用出来る。高分子材料としては例えばポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子が挙げられる。Liを含まない正極活物質は、特に限定されないが、硫黄単体、硫黄とカーボンとの複合体、二酸化マンガンおよび酸化バナジウムから選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
負極の活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料やリチウムと合金化可能な元素又は/及びリチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物、あるいは高分子材料などを用いることが出来る。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素は、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biの少なくとも1種を有するとよい。中でも、リチウムを合金化可能な元素は、珪素(Si)または錫(Sn)であるとよい。リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物としては、ZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOなどが挙げられる。リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物は珪素化合物または錫化合物であることがよい。珪素化合物は、SiO(0.5≦x≦1.5)であることがよい。錫化合物として、例えば、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などが挙げられる。
中でも、負極活物質は、珪素(Si)を有するとよく、更にはSiO(0.5≦x≦1.5)を有するとよい。珪素は、理論容量が大きい一方で、充放電時の体積変化が大きいため、SiOとすることで体積変化を少なくすることが出来る。
高分子材料としては、ポリアセチレン、ポリピロールなどが挙げられる。
バインダーは、活物質及び導電助剤を集電体に固定するための結着剤として用いられる。バインダーはなるべく少ない量で活物質等を結着させることが求められ、その量は活物質、導電助剤、及びバインダーを合計したものの量を100質量%としてバインダーの量が0.5質量%〜50質量%となることが望ましい。
バインダーとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の硬化物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマーの硬化物、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴムの硬化物、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系ポリマーの硬化物、アルコキシルシリル基含有樹脂の硬化物を用いることが出来る。
導電助剤は、電極層の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて添加することが出来る。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、活物質100質量部に対して、20〜100質量部程度とすることが出来る。
被膜は、活物質層の少なくとも一部の表面に形成されている。活物質層には電解液を分解する可能性のある物質、例えば活物質、導電助剤が含まれる。低電圧、還元雰囲気下で、例えば活物質表面のOH基などの活性基によって電解液は分解されるといわれている。被膜が活物質層の表面を覆うことにより、活物質または導電助剤と電解液とが直接接触することを防ぐことが出来る。電解液が電解液を分解する活物質または導電助剤の表面の活性基と直接接触しなければ、電解液の分解を抑制することが出来る。
被膜はシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなり、被膜の主骨格はアクリルである。主骨格がアクリルであるシリコーンーアクリルグラフト共重合体を活物質及びバインダー樹脂を混合して形成したスラリーに添加すると、スラリーの表面張力を下げることが出来る。被膜はスラリーの表面に形成されるため、スラリーの表面張力が下がることによって、被膜は、膜厚に極端なムラのない均一な被膜とすることが出来る。そのため、被膜に極端な膜厚ムラがあると、電池とした場合に、被膜は膜厚が厚いところで局所的に高抵抗となり、被膜の高抵抗の部分でリチウムが析出して内部短絡する恐れがあるが、それを防止することが出来る。
被膜は活物質層の少なくとも一部の表面に形成されていれば良いが、望ましくは活物質層の表面全体を覆っていることが好ましい。被膜が活物質層の表面全体を覆うことにより、電解液を分解すると考えられる活物質などの活性基全体が電解液と接触することを抑制することが出来、電解液の分解を確実に抑制することが出来る。
本発明における被膜は、官能基を有するアクリル系主鎖と、アクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖と、からなるシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなる。シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、片末端に重合性反応基を有するジメチルポリシロキサンと、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどのアクリル系モノマーをグラフト共重合させて得ることが出来る。その際アクリル系モノマーに官能基を導入することが出来る。官能基として例えばヒドロキシル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基などが挙げられる。
シリコーンのグラフト量は、Si量がシリコーンーアクリルグラフト共重合体の2−20質量%程度になるような量であることが好ましい。グラフト量が上記程度であれば、シリコーンーアクリルグラフト共重合体は十分にスラリー表面に配向する。また上記グラフト量であれば、シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、アクリル成分が多く含まれることになる。シリコーンーアクリルグラフト共重合体にアクリル成分が多く含まれると、シリコーンーアクリルグラフト共重合体を添加したスラリーの表面張力をより下げることが出来、極端な膜厚ムラのない被膜を形成することが出来る。
またシリコーンがグラフト重合されているので、シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、バインダー樹脂や有機溶媒に相溶しにくく、またシリコーンの表面活性が高いため、シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、スラリー中で気液界面に配向する。またシリコーンーアクリルグラフト共重合体がスラリー中で気液界面に配向する際、シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、シリコーン部分が気液界面側に向き、アクリル部分がスラリー側に向くように配向する。そのため上記シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、集電体に塗布されたスラリーの表面に配向して膜状に広がる。
被膜はバインダーと化学結合している。化学結合は化学的に結合している状態を指し、一般的にはイオン結合、共有結合、金属結合、水素結合などの種類がある。被膜とバインダーとの化学結合は、主鎖であるアクリル(有機物)とバインダー(有機物)との化学結合であるので、この化学結合は主に共有結合である。シリコーンーアクリルグラフト共重合体の主鎖であるアクリルが有する官能基とバインダーとが反応して化学結合していることが好ましい。被膜がバインダーと化学結合しているため、電極の充放電によって活物質が膨張収縮した場合でも、活物質層から被膜がはがれにくい。そのため電解液の分解を抑制する効果が、長く続く。
(リチウムイオン二次電池用電極の製造方法)
本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、スラリー作成工程と、スラリー塗布工程と、熱処理工程と、を有する。スラリー作成工程では、活物質と、バインダー樹脂と、シリコーンーアクリルグラフト共重合体と、を混合してスラリーを作成する。必要に応じて溶媒、導電助剤をスラリーに添加しても良い。
スラリー塗布工程では、上記スラリーを集電体の表面に塗布する。熱処理工程では、集電体の表面に塗布されたスラリーを加熱することによって、バインダー樹脂及びシリコーンーアクリルグラフト共重合体を硬化させ、かつシリコーンーアクリルグラフト共重合体をバインダー樹脂と化学結合させる。
活物質、バインダー樹脂、シリコーンーアクリルグラフト共重合体及び導電助剤は上記で説明したものと同様である。溶媒は特に限定されない。溶媒として、N−メチルピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用出来る。
これらを混合してスラリーとするには、プラネタリーミキサー、脱泡ニーダー、ボールミル、ペイントシェーカー、振動ミル、ライカイ機、アジテーターミル等の一般的な混合装置を使用することが出来る。
シリコーンーアクリルグラフト共重合体のスラリーに対する混合割合は、スラリー全体を100質量%とした時に、シリコーンーアクリルグラフト共重合体が0.1質量%〜1質量%であることが好ましい。この混合割合とすることによって、非常に薄いシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなる被膜をほぼ活物質層全体に被覆することが出来る。
スラリーの塗布方法として、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法など二次電池用電極を作製する際に一般的に用いる塗布方法を用いることが出来る。集電体の表面に塗布されたスラリーの塗布厚みは10μm〜20μmであることが好ましい。
熱処理工程では、使用するバインダー樹脂及びシリコーンーアクリルグラフト共重合体の硬化温度にあわせ、かつシリコーンーアクリルグラフト共重合体とバインダー樹脂とを化学結合させることが出来る温度で加熱する。シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、アクリル系主鎖に官能基が導入されている。そのため。シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、スラリー側に配向しているアクリル系主鎖部分でバインダー樹脂と化学結合することが出来る。
この熱処理工程によって、集電体上に活物質層が形成され、活物質層の表面に被膜が形成される。さらに被膜はバインダーと化学結合される。
(リチウムイオン二次電池)
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極及び負極のうちの少なくとも一方が上記リチウムイオン二次電池用電極である。正極及び負極のうちの少なくとも一方が上記リチウムイオン二次電池用電極であれば、正極活物質または負極活物質などによる電解液の分解を抑制することが出来、リチウムイオン二次電池は、優れたサイクル特性を有することが出来る。
上記したリチウムイオン二次電池用電極を用いるリチウムイオン二次電池は、上記のリチウムイオン二次電池用電極を用いる以外は公知の電池構成要素を用いることが出来、また公知の手法により製造することが出来る。
すなわち、電池構成要素として、本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータ及び電解液を有する。本発明のリチウムイオン二次電池において、正極または負極の少なくとも一方が上記リチウムイオン二次電池用電極である。
本発明のリチウムイオン二次電池において、リチウム(Li)と反応可能で反応時の電位が高い材料を正極活物質とし、反応時の電位が低い材料を負極活物質とする組み合わせで、正極活物質と負極活物質とを用いることが好ましい。正極活物質は、反応時に使用されるLiを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。正極活物質中に反応時に使用されるLiを含有しない場合は、負極活物質にLiを外部より供給してやればよい。
Liを含有しない正極活物質は、特に限定されないが、硫黄単体、硫黄とカーボンとの複合体、二酸化マンガンおよび酸化バナジウムから選ばれる少なくとも1つを含むものであることが好ましい。これらの正極活物質を有する正極とすることにより、電池容量の高いリチウムイオン二次電池とすることが出来る。
正極がLiを含まない正極活物質を有する場合、負極活物質は、Liを含有する必要がある。そのため負極活物質として、Liを含まない負極活物質、例えば炭素系材料やリチウムと合金化可能な元素又は/及びリチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物、あるいは高分子材料を用いる場合、負極活物質にLiをドープ(挿入)する必要がある。
負極活物質にLiをドープする方法としては、Liをあらかじめ負極活物質に挿入(プレドープ)する方法を用いてもよいし、電池として使用するときにLiが負極活物質に挿入されるようにする方法を用いてもよい。
例えば負極活物質にLiをプレドープする方法として、対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にLiをドープする電解ドープ法によってLiを挿入する方法;金属リチウム箔を電極に貼り付けたあと電解液の中に放置し電極へのリチウムの拡散を利用してドープする貼り付けプレドープ法によりLiを挿入する方法などが挙げられる。このような方法でLiをあらかじめ挿入した後、対極と組み合わせて電池を構成すればよい。
また電池として使用するときにLiが負極活物質に挿入されるようにする方法としては、予め負極の表面および/または内部にLi源(例えば金属Li等)を一体化して負極を形成する方法が使用出来る。
負極活物質にプレドープするLiの量または負極に一体化するLiの量は、正極活物質、負極活物質、電解液等の種類やその組み合わせ、電圧等の電池の使用条件に応じて種々に異なる。このため、Liの量は、製造する電池の構成に応じて適宜実測または計算して求めれば良い。
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が使用出来る。
電解液はリチウムイオン二次電池用に用いることの出来る電解液が使用出来る。電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
例えば溶媒として環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用出来る。環状エステル類として、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等が使用出来る。鎖状エステル類として、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等が使用出来る。エーテル類として、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等が使用出来る。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えばLiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することが出来る。
例えば、電解液として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することが出来る。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することが出来る。上記リチウムイオン二次電池は優れたサイクル特性を有するので、上記リチウムイオン二次電池を車両に搭載すると、車両は高性能となる。なお車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにその電極を用いたリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
<評価用電極作製>
活物質として、SiO(アルドリッチ社製)を準備した。バインダー樹脂としてアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名コンポセラン、品番H901−2、溶剤組成:N-メチルピロリドン(NMP)/キシレン(Xyl)、硬化残分30%、粘度8000mPa・s、硬化残分中のシリカ、2質量%、硬化残分とは樹脂硬化させ揮発性成分を除いた固形分を意味する)を準備した。緩衝材として、塊状人造黒鉛“MAG(Massive Artifical Graphite)”(日立化成工業株式会社製)を準備した。導電助剤としてケッチェンブラックインターナショナル社製のKB(ケッチェンブラック)を準備した。シリコーンーアクリルグラフト共重合体としてビックケミージャパン株式会社製、品名BYK-3550(硬化残分52%、硬化残分とは揮発性成分を除いた固形分を意味する)を準備した。
上記活物質、緩衝材、導電助剤及びバインダー樹脂を、活物質:緩衝材:導電助剤:バインダー樹脂=48:34.4:2.6:15(質量%)の割合で混合した。この混合物に、溶媒としてNMPを適量入れて調整した後、シリコーンーアクリルグラフト共重合体を添加してスラリーとした。このときのシリコーンーアクリルグラフト共重合体の添加量は、スラリー全体を100質量%として、0.6質量%とした。
スラリー調整後、厚さ20μmの電解銅箔に上記スラリ−を乗せて、ドクターブレードを用いて電解銅箔にスラリーを膜状に塗布した。得られたシートを80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を強固に密着接合させた。接合物を200℃で2時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状(26mm×31mmの矩形状)に切り取り、厚さ35μm程度の電極とした。この電極を実施例1の電極とした。
実施例1の電極ではシリコーンーアクリルグラフト共重合体の配合量から被膜の厚みは約200nmと推測される。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池作製>
実施例1の電極を負極とした。正極として以下の電極を作製した。集電体として20μmのアルミニウム箔を用い、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用い、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。上記活物質、導電助剤及びバインダー樹脂を、LiNi1/3Co1/3Mn1/3:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)=88:6:6(質量%)の割合で混合した。この混合物に、溶媒としてNMPを適量入れて調整してスラリーとした。厚さ20μmのアルミニウム箔に上記スラリ−を乗せて、ドクターブレードを用いてアルミニウム箔にスラリーを膜状に塗布した。得られたシートを80℃で30分間乾燥してNMPを揮発させて除去した後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を、塗膜の厚さが50μmになるように、つまり電極の合計厚さが70μmとなるようにプレスした。これを負極と同様の所定形状に打ち抜き、抜き取ったものを120℃で6時間、真空で加熱し、正極を得た。この正極の容量は3.0mAh/cmであり、電極密度は2.3g/cmであった。電解液としてエチレンカ−ボネ−ト(EC)とジエチルカ−ボネ−ト(DEC)をEC:DEC=3:7(体積比)で混合した溶媒に1モルのLiPF6を溶解した溶液を用いた。
上記の正極および負極を用いて、ラミネート型電池を製作した。詳しくは、正極および負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン樹脂からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記の電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉されたラミネート型電池を得た。なお、正極および負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1の電極を用いたラミネート型のリチウムイオン二次電池を得た。これを実施例1のリチウムイオン二次電池とする。
(実施例2)
実施例1の電極を負極とし、まず実施例1の負極と金属リチウム箔を用いて半電池を組み、温度:25℃、レート:1/100C、カットオフ:0CV〜0.01V でLiを挿入した負極を用意し、正極活物質として酸化バナジウム(V)を用いたこと以外は実施例1の正極と同様にした正極と組み合わせて、実施例2のリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
シリコーンーアクリルグラフト共重合体をスラリーに添加しないこと以外は実施例1の電極と同様にして比較例1の電極を作製し、実施例1のリチウムイオン二次電池と同様にして比較例1の電極を用いたラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。これを比較例1のリチウムイオン二次電池とする。
<電池評価>
(充放電試験)
上記実施例1のリチウムイオン二次電池及び比較例1のリチウムイオン二次電池の充放電試験を行った。充放電試験では、負荷試験(6サイクル)とサイクル試験(100サイクル)とを組み合わせた。
負荷試験は1サイクル目から6サイクルと107サイクル目から6サイクルの2回行った。負荷試験は、充電は充電レート0.2C、電圧4.2VのCCCV充電(定電流定電圧充電)で行い、放電は電圧2.5Vで、充電レートは1サイクルから順に0.2C、1C、2C、3C、4C、5CのCC放電(定電流放電)を行った。この時、電気容量を1時間で放電する電流を1C、5時間で放電する電流を0.2Cと表す。従って1Cの電流値は0.2Cの電流値の5倍である。
サイクル試験は、最初の負荷試験後7サイクルから106サイクルまでと、2回目の負荷試験を行ってから続けて200サイクルまで行った。充電は電圧4.2V、充電レート1CのCCCV充電、放電は電圧2.5V、放電レート1CのCC放電で行った。
7サイクル目の放電レート1Cで行った充放電の放電容量を基準にして各放電容量維持率を計算した。なお、このサイクル試験は45℃で行い加速試験とした。放電容量維持率(%)は以下の式で求めた。
放電容量維持率(%)=(各サイクルの放電容量/放電レート1Cで行った7サイクル目の放電容量)×100
実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池について、サイクル数と放電容量維持率(%)の関係を示すグラフを図2に示す。図2から明らかなように、まず実施例1のリチウムイオン二次電池では、比較例1のリチウムイオン二次電池に比べて各サイクルにおいて放電容量の低下率が少なかった。また比較例1のリチウムイオン二次電池では200サイクル後の放電容量維持率が83%程度であるのに対し、実施例1のリチウムイオン二次電池では200サイクル後の放電容量維持率が84%程度維持されていることがわかった。
つまり、このサイクル試験結果から実施例1のリチウムイオン二次電池は、比較例1のリチウムイオン二次電池と比べて、サイクル特性が優れていることがわかった。これは上記被膜によって、電解液の分解が長期にわたって抑制されたためと考えられる。
また、2回目の負荷試験の結果から放電レート2Cまでは実施例1のリチウムイオン二次電池は比較例1のリチウムイオン二次電池に比べて放電容量維持率が高いことがわかった。このことから、放電レート2Cの急速充放電時でも上記被膜によって、電解液の分解が抑制される効果が発揮され、電池の放電容量維持率が向上したことがわかった。
なお実施例では負極に被膜を形成した場合を示したが、正極に被膜を形成した場合でも同様の効果が得られる。また実施例2も実施例1と同様の効果が得られると考えられる。

Claims (6)

  1. 集電体と、
    該集電体の表面に形成されたバインダーを含む活物質層と、
    該活物質層の少なくとも一部の表面に形成された被膜と、
    を有し、
    該被膜は、官能基を有するアクリル系主鎖と、該アクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖と、からなるシリコーンーアクリルグラフト共重合体硬化物からなり、該被膜は該バインダーと化学結合していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極。
  2. 前記被膜は、該官能基を介して該バインダーと化学結合することによって、前記活物質層の表面に形成されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  3. 正極及び負極のうちの少なくとも一方が請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用電極であるリチウムイオン二次電池。
  4. 前記正極はLiを含まない正極活物質を有する請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記正極活物質は、硫黄単体、硫黄とカーボンとの複合体、二酸化マンガンおよび酸化バナジウムから選ばれる少なくとも1つを含む請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 活物質と、バインダー樹脂と、シリコーンーアクリルグラフト共重合体と、を混合してスラリーを作成するスラリー作成工程と、
    該スラリーを集電体の表面に塗布するスラリー塗布工程と、
    該集電体の表面に塗布された該スラリーを加熱することにより、該バインダー樹脂及び該シリコーンーアクリルグラフト共重合体を硬化させ、かつ該シリコーンーアクリルグラフト共重合体と該バインダー樹脂とを化学結合させる熱処理工程と、
    を有し、該シリコーンーアクリルグラフト共重合体は、官能基を有するアクリル系主鎖と該アクリル系主鎖にグラフト重合されたシリコーンを有する側鎖とからなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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