JPWO2011118191A1 - 液晶シール剤、それを用いた液晶表示パネルの製造方法、および液晶表示パネル - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、高温および高湿条件においても表示特性を変化させず、表示信頼性に優れた液晶シール剤を提供することである。本発明の液晶シール剤は、分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、硬化剤と、光重合開始剤とを含み、前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、前記分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂と前記(メタ)アクリル酸との反応により生成する水酸基を含み、かつ前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量は9超であり、前記水酸基を含む水素結合性官能基価は3×10−3〜5×10−3mol/gである。

Description

本発明は、液晶シール剤、それを用いた液晶表示パネルの製造方法、および液晶表示パネルに関する。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示パネルとして、液晶表示パネルが広く使用されている。液晶表示パネルは、表面に電極が設けられた2枚の透明基板の間に液晶材料(以下、単に「液晶」という)を挟み込み、その周りを液晶シール剤によってシールされた構造を有する画像表示パネルである。
上記液晶シール剤は、その使用量は僅かであるものの液晶と直接接触するため、液晶表示パネルの信頼性に大きな影響を与える。したがって、液晶表示パネルの高画質化を実現するため、現在、液晶シール剤には、高度かつ多様な特性が求められている。
従来から、液晶表示パネルは、主に液晶注入工法によって製造されている。液晶注入工法は、一般に、(1)1枚の透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して枠を形成し、(2)当該基板をプレキュア処理することによって液晶シール剤を乾燥させた後、他方の基板を貼り合わせ、(3)この2枚の基板を加熱圧締し、基板同士を接着させることにより基板の間に液晶シール剤の枠(セル)を形成し、(4)空のセル内に適量の液晶を注入した後、液晶の注入口を封止することにより液晶表示パネルを製造する方法である。
一方、最近では、生産性の向上が見込まれる液晶表示パネルの製造方法として液晶滴下工法が検討されている。液晶滴下工法は、(1)透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して液晶を充填するための枠を形成し、(2)前記枠内に微小の液晶を滴下し、(3)液晶シール剤が未硬化状態のままで2枚の基板を高真空下で重ね合わせた後、(4)液晶シール剤を硬化させてパネルを製造する方法である。通常、液晶滴下工法では、光および熱硬化性の液晶シール剤を使用し、上記(3)の工程で、液晶シール剤に紫外線などの光を照射する仮硬化を行った後、加熱による後硬化が行われている。
液晶滴下工法用の液晶シール剤としては、例えば液状エポキシ樹脂を用いることが提案されている(特許文献1)。しかしながら、このエポキシ樹脂は、常温においても液晶への溶解性があり、液晶表示パネルの表示特性を低下させる要因となる。
一方、液晶に溶解しにくい樹脂としてエーテル型エポキシ樹脂などの結晶性エポキシ樹脂を用いた液晶シール剤(例えば特許文献2);アクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂とウレタン変性部分アクリル変性物とを含む液晶シール剤(例えば特許文献3)などが提案されている。
特許第3955038号公報 特開2005−018022号公報 特開2006−124698号公報
特許文献2および3に記載の樹脂は、いずれも室温における液晶への溶解性はある程度低い。しかしながら、高温および高湿条件において、樹脂は液晶へ溶解し易くなるため、液晶表示パネルの表示特性を低下させるおそれがあった。特に液晶滴下工法では、未硬化の液晶シール剤が液晶と接触するため、液晶シール剤の成分が液晶に溶解しやすく、液晶表示パネルの表示特性を低下させる原因となりやすい。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、高温および高湿条件においても表示特性を変化させず、表示信頼性に優れた液晶シール剤を提供することを目的とする。
前述の通り、液晶表示パネルの表示特性を低下させないためには、液晶シール剤の液晶への溶解を抑制することが重要となる。樹脂の液晶への溶解は、結晶性の樹脂とすることによってもある程度抑制できるが、特に高温下では樹脂が溶解し易いため、液晶に溶解してしまうことがあった。さらに、液晶への溶解を抑制した従来の液晶シール剤は、粘度が高くなりやすいため、塗布性や作業性が低いという不具合もあった。
これに対して本発明者らは、エポキシ樹脂のエポキシ基の一部を(メタ)アクリル酸と反応させて、樹脂に(液晶との相溶性の低い)水酸基を導入することで、樹脂の液晶への溶解を抑制する方法に着目した。そして、樹脂の液晶への溶解性は、樹脂に含まれる水酸基の絶対的な数だけではなく、未反応のエポキシ基の数に対する水酸基の数の割合(バランス)が大きく影響していることを見出した。つまり、未反応のエポキシ基の数に対する水酸基の数の割合を多くすること;具体的には、水素結合性官能基の範囲を一定の範囲とし、かつ(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量を一定以上とすることで、液晶への溶解を抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
本発明の第1は、液晶シール剤に関する。
[1] 分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸と、を反応させて得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と;熱硬化剤と;光重合開始剤とを含み、前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、前記分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂と前記(メタ)アクリル酸との反応により生成する水酸基を含む水素結合性官能基を有し、かつ前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量は9超であり、前記水素結合性官能基価は3×10−3〜5×10−3mol/gである、液晶シール剤。
[2] 前記分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる2官能のエポキシ樹脂である、[1]に記載の液晶シール剤。
[3] 前記2官能のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である、[2]に記載の液晶シール剤。
[4] 100重量部の前記液晶シール剤に対して、1〜20重量部の、軟化点が40℃以上150℃以下の固形エポキシ樹脂をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[5] 前記光重合開始剤が、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、およびオキシムエステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[6] 前記熱硬化剤は、融点が50℃以上250℃以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[7] 有機酸ジヒドラジド系化合物、イミダゾール系化合物、ジシアンジアミド化合物、およびポリアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶シール剤。
[8] 液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造に用いられる、[1]〜[7]のいずれかに記載の液晶シール剤。
本発明の第二は、液晶シール剤を用いた液晶表示パネルの製造方法等に関する。
[9] 一方の基板に[1]〜[8]のいずれかに記載の液晶シール剤を用いてシールパターンを形成する工程、前記シールパターンが未硬化の状態において前記一方の基板のシールパターン領域内、または前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程、前記一方の基板と、前記他方の基板とを重ね合わせる工程、および前記シールパターンを光硬化させた後、熱硬化させる工程、を含む液晶表示パネルの製造方法。
[10] 表示基板と、前記表示基板と対になる対向基板と、前記表示基板と、前記対向基板との間に介在する、枠状のシール部材と、前記表示基板と前記対向基板との間の、前記シール部材で囲まれた空間に充填された液晶層と、を含む液晶表示パネルであって、前記シール部材は、[1]〜[8]のいずれかに記載の液晶シール剤の硬化物である、液晶表示パネル。
本発明によれば、表示信頼性に優れた液晶シール剤を提供できる。
1.液晶シール剤
本発明の液晶シール剤は、(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂、(B)熱硬化剤、および(C)光重合開始剤を含み、必要に応じて(A−2)固形エポキシ樹脂、(D)アクリル樹脂、および(E)フィラーなどをさらに含んでよい。
(A)エポキシ樹脂
(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂
本発明における(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、例えば塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂である。
原料となるエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2つ以上有する2官能以上のエポキシ樹脂であればよく、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、および水添ビスフェノール型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、およびトリスフェノールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂等が含まれる。3官能や4官能などの多官能エポキシ樹脂を(メタ)アクリル変性して得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、架橋密度が高く、密着強度が低下し易いことから、2官能エポキシ樹脂が好ましい。
2官能エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、なかでもビスフェノールA型およびビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂が、製造効率という観点からは好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビフェニルエーテル型等のエポキシ樹脂と比べて塗布性に優れる等の利点があるからである。
原料となるエポキシ樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。また、原料となるエポキシ樹脂は、分子蒸留法、洗浄法等により高純度化されていることが好ましい。
原料となるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量が、所定の範囲となるように行うことが好ましい。
すなわち、原料となるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量が、9超となるように行うことが好ましく、9.5以上となるように行うことがより好ましい。本発明において、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂における(メタ)アクリル基の当量は、「1分子の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂に含まれる(メタ)アクリル基の平均個数/(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)」として表される。同様に、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂におけるエポキシ基の当量は、「1分子の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の平均個数/(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)」として表される。つまり、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量は、(メタ)アクリル基の平均個数/エポキシ基の平均個数と同じである。
(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量が9未満である(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、未反応のエポキシ基の数に対して(反応で生成した)水酸基の数の割合が少ない;あるいは未反応物(水酸基を含まないエポキシ樹脂)に対して反応物(水酸基を含むエポキシ樹脂)の割合が少ないため、液晶材料への溶解を抑制する効果が得られ難くなる。
このことを、原料となるエポキシ樹脂が2官能エポキシ樹脂である例で具体的に説明すると、2官能エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させると、1)2つのエポキシ基がいずれも未反応で残る未反応物、2)1つのエポキシ基が(メタ)アクリル酸で変性された部分(メタ)アクリル化物、および3)2つのエポキシ基のいずれもが(メタ)アクリル酸で変性された全(メタ)アクリル化物、の3種類が生成する。そして、2官能エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、(メタ)アクリル基の個数/エポキシ基の個数が1となるように反応させると、液晶への溶解が顕著な、1)未反応物の生成割合が25モル%程度残存することが確認されている。一方、(メタ)アクリル基の個数/エポキシ基の個数が9超となるように反応させると、液晶への溶解が顕著な1)未反応物の割合を2モル%以下にまで少なくすることができ、液晶に対する溶解を顕著に抑制できる。
特に、本発明で用いられる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、好ましくは比較的柔軟な骨格を有し、結晶性が低くてもよい。このような(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を含むシール剤は、比較的低粘度になりやすく、液晶へ溶解し易くなる。(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比を9超とすることで、このような低粘度の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂でも、液晶に対して溶解し難くすることができる。
このような(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば310〜500程度であってもよい。(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
一方、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比が9を超えて大きくなりすぎると、(メタ)アクリル酸の付加反応により生成する水酸基が増えるため、硬化物の耐湿性が低下することがある。このため、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比の上限を、耐湿性を大幅に損なわない程度に設定することが好ましい。あるいは、後述のように、(A−2)軟化点が40〜150℃の固形エポキシ樹脂を併用するか;(B)熱硬化剤として、高融点の熱硬化剤を併用することにより、耐湿性を維持することもできる。
また、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比が9未満である(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、(メタ)アクリル基の含有割合が少ないため、光硬化性が低い。そのため、液晶シール剤の光による仮硬化が不十分となりやすく、液晶への溶出を抑制しにくいことがある。
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、水酸基、ウレタン結合、アミド基、カルボキシル基などの水素結合性官能基を有する。このような水素結合性官能基の例には、少なくともエポキシ樹脂のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応することにより生成する水酸基が含まれるが、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の原料となる(メタ)アクリル酸やエポキシ樹脂に含まれる水酸基、ウレタン結合、カルボキシル基、およびアミド基等も含まれる。水素結合性官能基を有する樹脂は、疎水性である液晶材料との相溶性が低いため、液晶材料への溶解が抑制される。
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基価は、3×10−3〜5×10−3mol/gであることが好ましく、3.5×10−3〜4.5×10−3mol/gであることがより好ましい。水素結合性官能基価が3×10−3mol/g未満であると、1分子の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂に含まれる水素結合性官能基の数が少ないため、液晶への溶解の抑制効果が得られ難く、5×10−3mol/gを超えると、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の硬化物の耐湿性が低下し易いからである。
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基価(mol/g)は、「1分子の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂に含まれる水素結合性官能基の数」/「(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)」として表される。たとえば、水素結合性官能基として、(メタ)アクリル酸とエポキシ樹脂とを反応させて得られる水酸基のみを有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基価は、反応させた(メタ)アクリル酸のモル数を、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)で割ることにより求めることができる。
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基価は、例えば、原料となるエポキシ樹脂に反応させる(メタ)アクリル酸のモル数を調整したり;原料となる(メタ)アクリル酸やエポキシ樹脂が有する水素結合性官能基の量を調整したりすることなどによって制御できる。
原料としてのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水酸基価は、3×10−3〜5×10−3mol/gであることが好ましい。
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量は、液晶シール剤100質量部に対して、10〜70質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。
このように、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有するため、光硬化性と熱硬化性とを併せ持つことができる。さらに、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂が、非結晶性のエポキシ樹脂であっても、エポキシ基の数に対する水酸基の数の割合が多いことから、液晶に対する溶解を高度に抑制できる。
(A−2)固形エポキシ樹脂
本発明の液晶シール剤は、必要に応じて軟化点が40℃以上150℃以下の固形エポキシ樹脂を含んでもよい。このような固形エポキシ樹脂は、液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶パネルの表示特性が良好であるだけでなく、硬化物の耐湿性を高めうる。
このような固形エポキシ樹脂は、重量平均分子量が500〜10000、好ましくは1000〜5000の芳香族エポキシ樹脂でありうる。固形エポキシ樹脂の重量平均分子量は、前述と同様に測定できる。
このような芳香族エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類およびそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;フェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類等が含まれる。
上記芳香族エポキシ樹脂は、中でもクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。さらにこれらを混合して用いてもよい。
固形エポキシ樹脂の含有量は、液晶シール剤100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。固形エポキシ樹脂の含有量が多すぎると、液晶シール剤の粘度が高くなり、塗布性が低下することがあり、固形エポキシ樹脂の含有量が少なすぎると、液晶シール剤の硬化物の耐湿性が不十分となることがある。
(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と(A−2)固形エポキシ樹脂の質量比((メタ)アクリル変性エポキシ樹脂/固形エポキシ樹脂)は、液晶シール剤の粘度安定性と、硬化物の耐湿性とを両立する観点などから調整すればよい。前記質量比が大きすぎると、固形エポキシ樹脂の含有量が少ないため、液晶シール剤の硬化物の耐湿性が不十分となることがあり、前記質量比が小さすぎると、固形エポキシ樹脂の含有量が多いため、粘度が高くなり、塗布性が低下することがある。
(B)熱硬化剤
熱硬化剤は、エポキシ樹脂に混合されていても、樹脂を通常保存する状態(室温、可視光線下等)ではエポキシ樹脂を硬化させないが、熱を与えられるとエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤である。熱硬化剤を含有する液晶シール剤は、保存安定性に優れ、かつ熱硬化性に優れる。本発明に用いられる熱硬化剤は、公知のものであってよいが、液晶シール剤の粘度安定性を高めるとともに、耐湿性を維持する観点から、熱硬化温度にもよるが、融点が50℃以上250℃以下である熱硬化剤が好ましく、融点が100℃以上200℃以下である熱硬化剤がより好ましく、融点が150℃以上200℃以下である熱硬化剤がさらに好ましい。
そのような熱硬化剤の好ましい例には、有機酸ジヒドラジド系化合物、イミダゾール系化合物、ジシアンジアミド化合物、およびポリアミン系化合物等が含まれる。
有機酸ジヒドラジド系化合物の例には、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド(融点160℃)、ドデカン二酸ジヒドラジド(融点190℃)、およびセバシン酸ジヒドラジド(融点189℃)等が含まれる。イミダゾール系化合物の例には、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン(融点215〜225℃)、および2−フェニルイミダゾール(融点137〜147℃)等が含まれる。ジシアンジアミド系化合物の例には、ジシアンジアミド(融点209℃)等が含まれる。ポリアミン系化合物は、アミンとエポキシとを反応させて得られるポリマー構造を有する熱潜在硬化剤であり、その具体例には、(株)ADEKA製アデカハードナーEH4339S(軟化点120〜130℃)、および(株)ADEKA製アデカハードナーEH4357S(軟化点73〜83℃)等が含まれる。これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化剤の添加量は、活性水素当量がエポキシ当量に対して0.8〜1.2当量となるように調整されることが好ましい。熱硬化剤を含む液晶シール剤は、いわゆる一液硬化性樹脂組成物となりうる。一液硬化性樹脂組成物は使用に際して主剤と硬化剤を混合する必要がないので作業性に優れる。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂や後述の(D)アクリル樹脂などを光硬化反応させるための開始剤である。液晶シール剤が光重合開始剤を含むと、液晶パネルを製造する際に光硬化によるシール剤の仮硬化が可能となり、作業工程が容易になる。
光重合開始剤としては公知のものが使用できる。この例には、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサトン系化合物、α−アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が含まれる。
アルキルフェノン系化合物の例には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651)等のベンジルジメチルケタール;2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(IIRGACURE 907)等のα−アミノアルキルフェノン;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184)等のα−ヒドロキシアルキルフェノンなどが含まれる。アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が含まれる。チタノセン系化合物には、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等が含まれる。オキシムエステル化合物の例には、1.2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(0-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01)などが含まれる。
光重合開始剤の含有量は、(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂、(A−2)固形エポキシ樹脂、(B)熱硬化剤、および後述の(D)アクリル樹脂の合計(以下「樹脂ユニット」ともいう)100質量部に対して0.3〜5.0質量部である。前記含有量を0.3質量部以上とすることにより液晶シール剤の光照射による硬化性が良好となり、5.0質量部以下とすることにより、基板への塗布時の安定性が良好となる。
(D)アクリル樹脂
本発明の液晶シール剤は、必要に応じてアクリル樹脂を含んでいてもよい。アクリル樹脂の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリアクリレートおよび/またはジまたはトリメタクリレート;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ペンタエリスリトールトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴアクリレートおよび/またはオリゴメタクリレート等が含まれる。
アクリル樹脂の含有量は、求められる光硬化性の程度にもよるが、液晶シール剤100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
(E)フィラー
本発明の液晶シール剤は、さらにフィラーを含んでいてもよい。フィラーの添加により、液晶シール剤の粘度、硬化物の強度、および線膨張性の制御等を行うことができる。
フィラーは、特に制限されないが、その例には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機フィラーが含まれ、好ましくは二酸化ケイ素、タルクである。
フィラーの形状は、特に限定されず、球状、板状、針状等の定形状あるいは非定形状のいずれであってもよい。フィラーは平均一次粒子径が1.5μm以下であることが好ましく、かつその比表面積が0.5m/g〜20m/gであることが好ましい。フィラーの平均一次粒子径は、JIS Z8825−1に記載のレーザー回折法で測定できる。また、比表面積測定は、JIS Z8830に記載のBET法により測定できる。
フィラーの充填量は、(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂、(A−2)固形エポキシ樹脂、(B)熱硬化剤、および(D)アクリル樹脂の合計(以下「樹脂ユニット」ともいう)100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
(F)熱可塑性樹脂粒子
本発明の液晶シール剤は、必要に応じてエポキシ樹脂で変性された熱可塑性樹脂粒子(「エポキシ変性粒子」ともいう)を含んでもよい。熱可塑性樹脂粒子は、エポキシ基と二重結合基を含む樹脂を、ラジカル重合可能なモノマーと懸濁重合して得られる。熱可塑性樹脂粒子は、液晶注入方式用液晶シール剤とする際に添加されることが好ましい。加熱により硬化物に発生する収縮応力を緩和できるからである。
エポキシ基と二重結合基を含む樹脂の例には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とメタアクリル酸を三級アミン存在下で反応させた樹脂が含まれる。ラジカル重合可能なモノマーの例には、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびジビニルベンゼンが含まれる。熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、液晶セルのギャップは5μm以下が主流であるために、通常0.05〜5μm、好ましくは0.07〜3μmの範囲であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂粒子は、樹脂ユニット100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。
(G)その他の添加剤
本発明の液晶シール剤は、必要に応じて熱ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、液晶パネルのギャップを調整するためにスペーサー等を配合してもよい。
本発明の液晶シール剤は、(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂、(B)熱硬化剤、および(C)光重合開始剤を含むことから、光硬化と熱硬化を併用することが多い液晶滴下工法用の液晶シール剤に好ましく用いられる。液晶滴下工法用の液晶シール剤は、好ましくは(A−2)固形エポキシ樹脂および(D)アクリル樹脂をさらに含み、さらに好ましくは(E)フィラーをさらに含む。
本発明の液晶シール剤のE型粘度計を用いた25℃、2.5rpmでの粘度は、30〜350Pa・sであることが好ましい。粘度が上記範囲にある液晶シール剤は、塗布性に優れるからである。
2.液晶表示パネルの製造方法
本発明の液晶表示パネルは、表示基板と、それと対になる対向基板と、表示基板と対向基板との間に介在している枠状のシール部材と、表示基板と対向基板との間のシール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含む。本発明の液晶シール剤の硬化物を、シール部材とすることができる。
表示基板および対向基板は、いずれも透明基板である。透明基板の材質は、ガラス、または、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォンおよびPMMA等のプラスチックでありうる。
表示基板または対向基板の表面には、マトリックス状のTFT、カラーフィルタ、ブラックマトリクスなどが配置されうる。表示基板または対向基板の表面には、さらに配向膜が形成される。配向膜には、公知の有機配向剤や無機配向剤などが含まれる。
このような液晶表示パネルは、本発明の液晶シール剤を用いて製造されうる。液晶表示パネルの製造方法には、液晶滴下工法と、液晶注入工法とがある。
液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法は、
a1)一方の基板に、本発明の液晶シール剤のシールパターンを形成する第1の工程と、
a2)シールパターンが未硬化の状態において、基板のシールパターンで囲まれた領域、またはシールパターンで囲まれた領域に対向する他方の基板の領域に、液晶を滴下する第2の工程と、
a3)一方の基板と、他方の基板とを、シールパターンを介して重ね合わせる第3の工程と、
a4)シールパターンを硬化させる第4の工程と、を含む。
a2)の工程における、シールパターンが未硬化の状態とは、液晶シール剤の硬化反応がゲル化点までは進行していない状態を意味する。このため、a2)の工程では、液晶シール剤の液晶への溶解を抑制するために、シールパターンを光照射または加熱して半硬化させてもよい。一方の基板および他方の基板は、それぞれ表示基板または対向基板である。
a4)の工程では、加熱による硬化のみを行ってもよいが、光照射による硬化(仮硬化)を行った後、加熱による硬化(本硬化)を行うことが好ましい。光照射による仮硬化で液晶シール剤を瞬時に硬化させることで、液晶への溶解を抑制できるからである。
光硬化時間は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば10分程度である。光照射エネルギーは、(A−1)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂や(D)アクリル樹脂などを硬化させることができる程度のエネルギーであればよい。光は、好ましくは紫外線である。熱硬化温度は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば120℃であり、熱硬化時間は2時間程度である。
液晶滴下工法では、未硬化の液晶シール剤と液晶との接触時間が比較的長いため、液晶汚染を生じやすい。これに対して本発明の液晶シール剤は、液晶への溶解性が低いため、本発明の液晶シール剤を用いた液晶滴下工法により得られる液晶表示パネルは、表示信頼性に優れている。
液晶注入工法による液晶表示パネルの製造方法は、
b1)一方の基板に、本発明の液晶シール剤のシールパターンを形成する第1の工程と、
b2)一方の基板と、他方の基板とを、シールパターンを介して重ね合わせる第2の工程と、
b3)シールパターンを熱硬化させて、液晶を注入するための注入口を有する液晶注入用セルを得る第3の工程と、
b4)液晶を、注入口を介して液晶注入用セルに注入する第4の工程と、
b5)注入口を封止する第5の工程と、を含む。
b1)〜b3)の工程では、液晶注入用セルを準備する。まず、2枚の透明な基板(例えば、ガラス板)を準備する。そして、一方の基板に液晶シール剤でシールパターンを形成する。基板のシールパターンが形成された面に、他方の基板を重ね合わせた後、シールパターンを硬化させればよい。この際、液晶注入用セルの一部に、液晶を注入するための注入口を設ける必要があるが、注入口はシールパターンを描画する際に、一部に開口部を設ければよい。また、シールパターンを形成した後に、所望の箇所のシールパターンを除去して注入口を設けてもよい。
b3)の工程における熱硬化条件は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば150℃で2〜5時間程度である。
b4)の工程は、b1)〜b3)の工程で得られた液晶注入用セルの内部を真空状態にして、液晶注入用セルの注入口から液晶を吸い込ませるという公知の方法に準じて行えばよい。b5)の工程では、液晶シール剤を、液晶注入用セルの注入口に封入した後、硬化させてもよい。
液晶注入工法では、未硬化の液晶シール剤と液晶が接触する時間は比較的短い。しかし、液晶注入用セルの液晶シール剤の硬化が十分に進行していなくても、液晶を注入する場合がある。本発明の液晶シール剤は液晶への溶解性が低いため、そのような場合でも液晶を汚染しにくい。よって、本発明の液晶シール剤を用いた液晶注入工法によっても表示信頼性に優れた液晶表示パネルを得られる。
[合成例1]
メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の合成(95%部分メタアクリル化物)
160gの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポトートYDF-8170C 東都化成社製 エポキシ当量160g/eq)、重合禁止剤として0.1gのp−メトキシフェノール、触媒として0.2gのトリエタノールアミン、および81.7gのメタアクリル酸をフラスコ内に仕込み、乾燥空気を送り込んで90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた化合物を、超純水にて20回洗浄し、メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂を得た。
ここで、原料となるビスフェノールF型エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数は、1モルである。反応させるメタアクリル酸に含まれるメタアクリル基の数は、0.95モルである。よって、得られるメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、95%部分メタアクリル化物となり、メタアクリル基の当量/エポキシ基の当量の比は0.95/0.05(=19)となる。
1分子のメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂に含まれる水酸基数(水素結合性官能基数)0.95×2(=1.9)個を、メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の平均分子量483.4(=492×0.95+320×0.05)で割ることにより、水素結合性官能基価を算出したところ、3.93×10−3(mol/g)であった。ビスフェノールF型エポキシの分子量は320であり、両末端メタクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の分子量は492である。
[合成例2]
メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の合成(50%部分メタアクリル化物)
メタアクリル酸の仕込み量を43gとしたこと以外は、合成例1と同様にしてメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(50%部分メタアクリル化物)を得た。
ここで、原料となるビスフェノールF型エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数は、前述と同様、1モルである。反応させるメタアクリル酸に含まれるメタアクリル基の数は、0.5モルである。よって、得られるメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、50%部分メタアクリル化物であり、メタアクリル基の当量/エポキシ基の当量の比は0.5/0.5(=1)となる。
また、メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の水素結合性官能基価を、1分子のメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂に含まれる水酸基数(水素結合性官能基数)0.5×2(=1.0)個を、メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の平均分子量(406=492×0.5+320×0.5)で割ることにより算出したところ、2.46×10−3(mol/g)であった。
[合成例3]
アクリル酸変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂の合成(50%部分アクリル化物)
179gの液状フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製:D.E.N.431 エポキシ当量179g/eq)、重合禁止剤として0.2gのp-メトキシフェノール、触媒として0.2gのトリエチルアミン、および36gのアクリル酸をフラスコ内に仕込み、乾燥空気を送り込んで90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた化合物を超純水にて20回洗浄し、アクリル酸変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。
ここで、原料となるノボラック型エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数は、1.0モルである。反応させるアクリル酸に含まれるアクリル基の数は、0.5モルである。よって、得られるアクリル変性フェノールノボラックエポキシ樹脂は、50%部分メタアクリル化物であり、アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比は0.5/0.5=1.0となる。
また、アクリル変性フェノールノボラックエポキシ樹脂の水素結合性官能基価を、1分子のアクリル変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂に含まれる水酸基数(水素結合性官能基数)0.5×2(=1)個を、アクリル酸変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量(430=179×2+72)で割ることにより算出したところ、2.3×10−3(mol/g)であった。
[合成例4]
13.4gのトリメチロールプロパン、重合禁止剤として0.02gのBHT、触媒として0.001gのジブチル錫ジラウリレート、66.6gのイソホロンジイソシアネートを加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させた。次いで、2.55gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、および11.1gのグリシドールを加え、乾燥空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させた。得られた化合物を、超純水にて20回洗浄し、ウレタン変性部分アクリル化物を得た。
ここで、原料となるグリシドールに含まれるエポキシ基の数は、0.15モルである。2−ヒドロキシエチルアクリレートに含まれるアクリル基の数は、0.022モルである。よって、得られるウレタン変性部分アクリル化物は、アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比は0.022/0.128(=0.172)となる。
また、ウレタン変性部分アクリル化物の水素結合性官能基価を、1分子のウレタン変性部分アクリル化物に含まれるウレタン結合(水素結合性官能基)の数を、ウレタン変性部分アクリル化物の平均分子量で割ることにより算出したところ、3.0×10−3(mol/g)であった。
[合成例5]
メタアクリル酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の合成(90%部分メタアクリル化物)
185gの液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名エピクロンYL980、エポキシ当量185g/eq)、重合禁止剤として0.1gのp−メトキシフェノール、触媒として0.2gのトリエタノールアミン、および77.4gのメタアクリル酸をフラスコ内に仕込み、乾燥空気を送り込んで90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた化合物を、超純水にて20回洗浄し、メタアクリル酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。
ここで、原料となるビスフェノールA型エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数は、1モルである。反応させるメタアクリル酸に含まれるメタアクリル基の数は、0.90モルである。よって、得られるメタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、90%部分メタアクリル化物となり、メタアクリル基の当量/エポキシ基の当量の比は0.90/0.10(=9)となる。
また、メタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の水素結合性官能基価を、1分子のメタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂に含まれる水酸基数(水素結合性官能基数)0.9×2(=1.8)個を、メタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量(500)で割ることにより算出したところ、3.6×10−3(mol/g)であった。
[合成例6]
メタアクリル酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の合成(85%部分メタアクリル化物)
185gの液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名エピクロンYL980、エポキシ当量185g/eq)、重合禁止剤として0.1gのp−メトキシフェノール、触媒として0.2gのトリエタノールアミン、および73.1gのメタアクリル酸をフラスコ内に仕込み、乾燥空気を送り込んで90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた化合物を、超純水にて20回洗浄し、メタアクリル酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。
ここで、原料となるビスフェノールA型エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数は、1モルである。反応させるメタアクリル酸に含まれるメタアクリル基の数は、0.85モルである。よって、得られるメタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、85%部分メタアクリル化物となり、メタアクリル基の当量/エポキシ基の当量の比は0.85/0.15(=5.7)となる。
また、メタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の水素結合性官能基価を、1分子のメタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂に含まれる水酸基数(水素結合性官能基数)0.85×2(=1.7)個を、メタアクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量(500)で割ることにより算出したところ、3.4×10−3(mol/g)であった。
合成例1〜6で得られた(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の物性を表1に示す。
Figure 2011118191
[実施例1]
43重量部の合成例1で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(95%部分メタアクリル化物)、4重量部の固形エポキシ樹脂(JER社製:エピコート1004、軟化点97℃)、20重量部のアクリル樹脂(ポリエチレングリコールジアクリレート 共栄社化学製 ライトアクリレート14EG-A)、熱硬化剤として9重量部のアジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製、ADH、融点177〜184℃)、光重合開始剤として2重量部のアルキルフェノン系重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:IRGACURE651)、13重量部のシリカ粒子:S-100(日本触媒化学社製)、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとこれらと共重合可能なモノマーとを共重合させて得られる7重量部の熱可塑性樹脂粒子(微粒子ポリマーF351(ゼオン化成社製))、および2重量部のシランカップリング剤(信越化学工業社製:KBM-403)からなる硬化性樹脂組成物を、三本ロールを用いて均一な液となるように十分に混合して、シール剤を得た。
[実施例2]
熱硬化剤として、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製、ADH)の代わりに、9重量部の1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素社製 アミキュアVDH、融点120℃)を用いた以外は実施例1と同様にしてシール剤を得た。
[実施例3]
固形エポキシ樹脂を用いなかった以外は実施例1と同様にしてシール剤を得た。
[比較例1]
合成例1で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(95%部分メタアクリル化物)の代わりに、合成例2で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(50%部分メタアクリル化物)を用いた以外は実施例1と同様にしてシール剤を得た。
[比較例2]
熱硬化剤として、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製、ADH)の代わりに、9重量部の1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素社製 アミキュアVDH)を用いた以外は比較例1と同様にしてシール剤を得た。
[比較例3]
合成例3で得られた43重量部のアクリル酸変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)、合成例4で得られた20重量部のウレタン変性部分アクリル化物、4重量部の固形エポキシ樹脂(JER社製:エピコート1004、軟化点97℃)、熱硬化剤として9重量部の1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素社製 アミキュアVDH)、光重合開始剤として2重量部の2,2’-ジエトキシアセトフェノン、13重量部のシリカ粒子:S-150(日本触媒化学社製)、7重量部の熱可塑性樹脂粒子(微粒子ポリマーF351(ゼオン化成社製))および1重量部のシランカップリング剤(信越化学工業社製:KBM-403)からなる硬化性樹脂組成物を、三本ロールを用いて均一な液となるように十分に混合し、シール剤を得た。
[比較例4]
合成例1で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(95%部分メタアクリル化物)の代わりに、合成例5で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(90%部分メタアクリル化物)を用いた以外は実施例1と同様にしてシール剤を得た。
[比較例5]
合成例1で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(95%部分メタアクリル化物)の代わりに、合成例6で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(85%部分メタアクリル化物)を用いた以外は実施例1と同様にしてシール剤を得た。
実施例1〜3および比較例1〜5で得られたシール剤について、1)粘度安定性、2)液晶のN−I点、3)紫外線硬化性、4)液晶表示パネルの表示特性、および5)接着性を、以下の方法で評価した。
1)粘度安定性
実施例および比較例で得られたシール剤を、ディスペンス用シリンジ内のシール剤の重量が10gになるように採取した後、脱泡処理をした。そのうち2gについて、E型粘度計を用いて、室温(23℃)において初期粘度を測定した。次いで、このサンプルを、23℃50%RHで1週間保存した後、再度、同様の条件で粘度を測定した。このときの、初期粘度に対する1週間保存後の粘度の上昇率を求めた。
初期粘度に対する保存後粘度の上昇率が1.2倍以下であるものを○(優れる);1.2倍を超え1.5倍以下であるものを△(やや劣る);1.5倍を超えるものを×(劣る);とした。
2)液晶のN−I点(ネマティック−等方相転移温度)
実施例および比較例で得られた0.1gの(未硬化の)シール剤と、1gの液晶(メルク社製、MLC-11900-000)とをバイアル瓶に投入し、120℃で1時間加熱して液晶混合物を得た。次いで、この液晶混合物を取り出して、そのN−I点を、DTA(示差熱分析)により昇温速度5℃/分で測定した。
液晶のN−I点は、液晶に少量でも不純物が含まれると、大きく変化する。このため、加熱後の液晶混合物のN−I点の、(加熱前の)液晶のN−I点に対する変化量が小さいほど、シール剤成分の液晶への溶解が少ないことを意味する。液晶混合物のN−I点の、液晶(本来)のN−I点に対する変化量が5℃未満のものを○(優れる);5℃以上のものを×(劣る)とした。
3)紫外線硬化性
実施例および比較例で得られたシール剤に、5mW/cmの紫外線を照射後の粘度上昇挙動を、REOLOGICA INSTRUMENT社製VISCOANALYSER VAR100を用いて測定した。紫外線照射後のシール剤の粘度が、飽和粘度値に対して50%の値となるまでの硬化時間を測定した。飽和粘度値とは、シール剤を完全硬化させたときの粘度である。硬化時間が短い程、硬化性に優れると判断できる。
4)液晶表示パネルの表示特性
実施例と比較例で得られたシール剤を、ディスペンサー(ショットマスター:武蔵エンジニアリング製)を用いて、透明電極と配向膜が予め形成された40mm×45mmガラス基板(EHC社製、RT−DM88−PIN)上に、35mm×40mmの四角形のシールパターン(断面積3500μm)(メインシール)と、その外周に同様のシールパターン(38mm×43mmの四角形のシールパターン)とを形成した。
次いで、貼り合せ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−119000−000:メルク社製)を、メインシールの枠内にディスペンサーを用いて精密に滴下した。次いで、対になるガラス基板を減圧下で貼り合せた後、大気開放して貼り合わせた。そして、貼り合わせた2枚のガラス基板を3分間遮光ボックス内で保持した後、2000mJ/cmの紫外線を照射し、さらに100℃で1時間加熱した。
得られた液晶表示パネルを、70℃、95%RHで500時間、恒温槽での保存前後における、シール部周辺の液晶に生じる色むらを目視で観察した。色むらが確認されなかったものを○(優れる);確認されたものを×(劣る)とした。
さらに、恒温槽で保存後、取り出した液晶表示パネルを、直流電源装置を用いて5Vの印加電圧で駆動させ、液晶シール剤近傍の液晶表示機能が、駆動初期から正常に機能するか否かによって、液晶表示パネルの表示特性を評価した。
表示特性は、シール際まで液晶表示機能が正常に発揮できている場合を○(優れる)とし、シール際の近傍0.3mm未満で液晶表示機能の異常が確認された場合を△(やや劣る)とし、シール際の近傍0.3mm以上で表示機能の異常が確認された場合を×(劣る)とした。
5)接着性
前記4)において、恒温槽で保存した後の液晶表示パネルのサンプルについて、引張り試験装置(インテスコ製)を用いて、引張り速度2m/分で平面引張り強度を測定した。接着性は、以下のように評価した。
接着強度が15MPa以上:○(優れる)
接着強度が7MPa以上15MPa未満:△(やや劣る)
接着強度が7MPa未満:×(劣る)
実施例1〜3および比較例1〜5の評価結果を表2に示す。
Figure 2011118191
表2に示されるように、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比が19である(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を用いた実施例1〜3のシール剤は、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量の比が9以下である(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を用いた比較例1〜5のシール剤よりも液晶のN−I点および液晶表示特性が極めて良好であることがわかる。これは、実施例1〜3のシール剤に含まれる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、比較例1〜5のシール剤に含まれる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂よりも、未反応エポキシ基に対する水酸基の含有比率が高いことから、液晶への溶解性が顕著に抑制されたものと考えられる。
また、実施例1〜3のシール剤に含まれる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、比較例1〜5の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂よりもメタアクリル基の含有比率が多いため、紫外線硬化性も良好であることがわかる。
また、実施例1と3の比較から、固形エポキシ樹脂を含むシール剤は、駆動後の表示特性が高いことから耐湿性が高いことが示唆される。また、固形エポキシ樹脂を含むシール剤は接着性が高いことがわかる。
本出願は、2010年3月26日出願の特願2010−072893に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の液晶シール剤は、水酸基を多く含むため、高温および高湿下においても液晶への溶解が抑制される。このため、本発明の液晶シール剤の硬化物をシール部材(液晶シール部)として適用すると、液晶のシール部材へのリークがなく、表示信頼性に優れた液晶パネルを提供できる。このため、本発明の液晶シール剤は、液晶表示パネルの製造に好適である。

Claims (10)

  1. 分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、熱硬化剤と、光重合開始剤とを含み、
    前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、前記分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂と前記(メタ)アクリル酸との反応により生成する水酸基を含む水素結合性官能基を有し、かつ
    前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の、(メタ)アクリル基の当量/エポキシ基の当量は9超であり、
    前記水素結合性官能基価は3×10−3〜5×10−3mol/gである、液晶シール剤。
  2. 前記分子内に2以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる2官能のエポキシ樹脂である、請求項1に記載の液晶シール剤。
  3. 前記2官能のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である、請求項2に記載の液晶シール剤。
  4. 100重量部の前記液晶シール剤に対して、1〜20重量部の、軟化点が40℃以上150℃以下の固形エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載の液晶シール剤。
  5. 前記光重合開始剤が、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、およびオキシムエステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の液晶シール剤。
  6. 前記熱硬化剤は、融点が50℃以上250℃以下である、請求項1に記載の液晶シール剤。
  7. 前記熱硬化剤は、有機酸ジヒドラジド系化合物、イミダゾール系化合物、ジシアンジアミド化合物、およびポリアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の液晶シール剤。
  8. 液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造に用いられる、請求項1に記載の液晶シール剤。
  9. 一方の基板に請求項1に記載の液晶シール剤を用いてシールパターンを形成する工程、
    前記シールパターンが未硬化の状態において前記一方の基板のシールパターン領域内、または前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程、
    前記一方の基板と、前記他方の基板とを重ね合わせる工程、および
    前記シールパターンを光硬化させた後、熱硬化させる工程、を含む液晶表示パネルの製造方法。
  10. 表示基板と、
    前記表示基板と対になる対向基板と、
    前記表示基板と、前記対向基板との間に介在する、枠状のシール部材と、
    前記表示基板と前記対向基板との間の、前記シール部材で囲まれた空間に充填された液晶層と、を含む液晶表示パネルであって、
    前記シール部材は、請求項1に記載の液晶シール剤の硬化物である、液晶表示パネル。
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