JPWO2010021094A1 - 複合溶接方法および複合溶接装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の複合溶接方法は、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら上記溶接位置に第1ワイヤを送給して上記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法であって、上記レーザビームと上記アーク溶接とにより形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することによって、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。

Description

本発明は、被溶接物にレーザビームの照射とアーク溶接とを行う複合溶接方法および複合溶接装置に関する。
レーザ溶接はレーザビームのエネルギー密度が高いため、高速で熱影響部の狭い溶接を行うことが可能である。しかし、被溶接物にギャップがあると、レーザビームがそのギャップから抜けてしまいエネルギーロスが生じるので、溶接ができなくなる恐れがあった。
この問題を克服するために、フィラーワイヤを使用したレーザ溶接方法が従来からあり(例えば、非特許文献1参照)、また、非消耗電極方式または消耗電極方式のアーク溶接と併用する複合溶接方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。非消耗電極方式のアーク溶接(TIG溶接:Tungsten Inert Gas welding)と併用する複合溶接方法では、フィラーワイヤを添加してTIG電極であるタングステン電極を振動しながら良好な溶接部を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、TIG溶接を使用する場合は、通常、その電極として融点の高いタングステン電極を使用するが、溶接中にそのタングステン電極が焼損または消耗し、アーク不安定をきたす場合がある。それと共に、消耗したタングステン電極が溶接金属に混入し、溶接継手部の性能劣化を招いてしまう恐れがあった。
一方、上記の非消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法に対して、消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。この複合溶接方法ではタングステン電極を使用することなく、ワイヤを溶接部に添加することが可能であり、深溶け込みの溶接を行うことができる。さらに高速加工および溶融幅の改善の視点から、消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法では、更に、レーザビーム照射位置に対して溶接加工進行方向の前方と後方にアーク溶接の電極を配置する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この場合においてレーザビーム照射位置の前方と後方とに配置させるアーク溶接は、その電極がいずれもMIG(Metal Inert Gas)溶接の電極(ワイヤ)である。しかしながら、このワイヤの送給速度とMIG溶接のアーク電流とを独立に調整することができない(例えば、非特許文献2参照)。通常、ワイヤ送給速度を高くすると、アーク電流も同時に高くなってしまう。そのため、例えば、ギャップ付の薄板の溶接では高い溶着金属量を必要とする場合には、高いワイヤ送給速度をのみ要するが、アーク電流も同時に高くなってしまうので、溶落ちが発生してしまう恐れがあった。
図16Aおよび図16Bは、従来のレーザ溶接および複合溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図である。図16Aは従来のレーザ溶接の場合の突合せ溶接のイメージを示している。
図16Aに示すようにレーザビーム1は被溶接物2の突合せ面間にあるギャップ3を溶接するために用いられている。ビード4は、レーザビーム1を用いて被溶接物2同士の溶接を行う際に得られるものである。ギャップ3が狭い時または溶接速度の遅い時には、ビード4は良好なものとなる。しかしながら、例えばギャップ3が広い、または溶接速度が速い場合には、レーザビーム1がギャップ3から抜けてしまい、ビード4に溶落ち部分5を形成してしまう恐れがあった。
図16Bは、従来の消耗電極方式のアーク溶接を使用した複合溶接の場合の突合せ溶接のイメージを示している。図16Bに示すようにワイヤ6と被溶接物2との間に形成したアーク7により、ワイヤ6の先端が溶融されて溶滴8が形成されている。レーザビーム1とアーク7によって被溶接物2の突合せ部に溶融池9が形成され、溶融池9の一部が凝固してビード10が形成されている。図16Bに示す複合溶接ではワイヤ6が添加できるため、図16Aに示すレーザ溶接の場合と比較して許容するギャップ3を広くすることができる。しかしながら、ギャップ3が許容範囲を超えて広すぎた場合、または溶接速度が速すぎた場合には、ビード10が不連続に形成され、その中心部に溶落ち部分11を形成してしまう恐れがあった。この場合には、ギャップ3を埋めるのに必要な量だけワイヤ6の送給量を増やしても、同様に溶落ち部分11が発生してしまう恐れがあった。これは、通常のアーク溶接ではワイヤ6を単独で増やすことができなく、アーク電流も同時に増加してしまい、被溶接物2に対する入熱が増加する。それと共に、溶融池9のサイズが大きくなる。そうすると溶融池9の周辺部から発生した表面張力のみによってサイズが大きくなった溶融池9を保持できなくなるためである。その結果、溶落ち部分11が発生するわけである。
特開昭53−137044号公報 特開2002−178177号公報 特公昭60−8916号公報 特開昭59−66991号公報 特開2001−246485号公報
池田正幸、藤岡知夫、堀池靖浩、丸尾大、吉川省吾編、レーザプロセス技術ハンドブック、1992年、朝倉書店、第149頁 黄地尚義著、溶接・接合プロセスの基礎、1996年、産報出版、第128頁
本発明は上記従来の課題を解決するもので、レーザ照射とアーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本のワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶接の溶着量を上げることのできる複合溶接方法および複合溶接装置を提供する。
本発明の複合溶接方法は、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ溶接と、上記溶接位置に第1ワイヤを送給して上記被溶接物と前記第1ワイヤとの間のアーク溶接を同時に行う複合溶接方法である。そして、本発明の複合溶接方法は、上記レーザビームと上記アーク溶接とにより形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給する方法からなる。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
また、本発明の複合溶接装置は、レーザ発生部と第1ワイヤ供給部とアーク発生部と第2ワイヤ送給部とレーザ発生部、アーク発生部および第2ワイヤ送給部を制御する制御部とを備えている。そして、第1ワイヤと被溶接物との間の位置にアーク溶接とレーザビームとにより形成した溶融池に第2ワイヤを供給する構成からなる。ここで、レーザ発生部は被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するものである。第1ワイヤ送給部は第1トーチを介して溶接位置に第1ワイヤを送給するものである。アーク発生部は第1ワイヤと被溶接物にアーク溶接のための電力を供給するものである。第2ワイヤ送給部は少なくとも1本の第2トーチを介して溶接位置に少なくとも1本の第2ワイヤを送給するものである。
このような構成とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
また、本発明の複合溶接装置は、レーザ発生部と第1ワイヤ送給部と第2ワイヤ送給部とアーク発生部と制御部とを備えている。ここで、レーザ発生部は被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するものであり、第1ワイヤ送給部は第1トーチを介して溶接位置に第1ワイヤを送給するものである。第2ワイヤ送給部は第2トーチを介して溶接位置に第2ワイヤを送給するものであり、アーク発生部は第1ワイヤ送給部を制御し、かつ第1ワイヤと被溶接物にアーク溶接のための電力を送給するものである。また、制御部は、時間設定部からの所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3と電流検出部からの電流検知信号とを入力し、レーザ発生部、アーク発生部および第2ワイヤ送給部を制御するものである。
そして、本発明の複合溶接装置の制御部は、溶接を開始する時にはアーク発生部を制御してアーク溶接を開始させ、電流検知信号を受けると直ちにレーザ発生部を制御してレーザビームの照射を始めさせる。そして、所定の時間ΔT1が経過した後に第2ワイヤ送給部を制御して第2ワイヤの送給を開始させるよう溶接を行わせる。
溶接を終了する時には前記第2ワイヤの送給を停止させてから所定の時間ΔT2が経過した後にレーザビームの照射を終了させる。更に所定の時間ΔT3が経過した後にアーク溶接を終了させるように制御して複合溶接装置を動作させる構成からなる。
このような構成とすることにより、良好なアークスタート性能と終了部ビード形状を得ることができる。
また、本発明の複合溶接装置は、レーザ発生部と第1ワイヤ送給部と第2ワイヤ送給部とアーク発生部と制御部とを備えている。ここで、レーザ発生部は被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するものであり、第1ワイヤ送給部は第1トーチを介して溶接位置に第1ワイヤを送給するものである。第2ワイヤ送給部は第2トーチを介して溶接位置に第2ワイヤを送給するものであり、アーク発生部は第1ワイヤ送給部を制御し、かつ第1ワイヤと被溶接物にアーク溶接のための電力を送給するものである。また、制御部は、時間設定部からの所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3と電流検出部からの電流検知信号と電圧検出部からのアーク電圧検知信号とを入力し、レーザ発生部、アーク発生部および第2ワイヤ送給部を制御するものである。
そして、本発明の複合溶接装置の制御部は、溶接を開始する時にはレーザ発生部を制御してレーザビームの照射を開始させ、所定の時間ΔT1が経過した後にアーク発生部を制御してアーク溶接を開始させる。そして、電流検知信号とアーク電圧検知信号を受けると直ちに第2ワイヤ送給部を制御して第2ワイヤの送給を開始させるよう溶接を行わせる。
溶接を終了する時には第2ワイヤの送給を停止させてから所定の時間ΔT2が経過した後にレーザビームの照射を終了させる。更に所定の時間ΔT3が経過した後にアーク溶接を終了させるように制御して複合溶接装置を動作させる構成からなる。
このような構成とすることにより、良好なアークスタート性能と終了部ビード形状を得ることができる。
図1は本発明の実施の形態1における複合溶接方法の構成を示す模式図である。 図2Aは従来の消耗電極式アーク溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図である。 図2Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図である。 図3Aは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図である。 図3Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図である。 図4Aは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図である。 図4Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図である。 図4Cは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図である。 図5Aは本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図である。 図5Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図である。 図5Cは本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図である。 図5Dは本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図である。 図6は本発明の実施の形態2における複合溶接方法の構成を示す模式図である。 図7は本発明の実施の形態3における複合溶接方法の構成を示す模式図である。 図8は図7のセンシング部の配置を示す模式図である。 図9は本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の構成を示す模式図である。 図10は本発明の本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の原理を示す模式図である。 図11は本発明の実施の形態4における複合溶接方法の構成を示す模式図である。 図12は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の動作シーケンスを示す図である。 図13は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の別の動作シーケンスを示す図である。 図14は本発明の実施の形態4における複合溶接装置のさらに別の動作シーケンスを示す図である。 図15は電流検知信号とアーク電圧検知信号との出力タイミングを示す模式図である。 図16Aは従来のレーザ溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図である。 図16Bは従来の複合溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。以下の図面において同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における複合溶接方法の構成を示す模式図である。なお、図16Aおよび図16Bに示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図1に示すように、被溶接物2の突合せ部の溶接位置2aにレーザビーム1を照射するレーザ溶接と、溶接位置2aに第1ワイヤ12を送給して被溶接物2と第1ワイヤとの間でアーク7を発生させてアーク溶接を同時に行う。この際に、第2ワイヤ13がレーザビーム1とアーク7とで形成した溶融池14に供給されている。ビード15は、溶融池14が凝固して形成されている。図1において第2ワイヤ13が1本示されているが、溶融さえ可能であれば、必ずしも1本である必要がなく2本以上の第2ワイヤ13が溶融池14に供給されてもよい。
図2Aは従来の消耗電極式アーク溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図、図2Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図である。
図1に示した複合溶接方法の原理について、図2Aおよび図2Bを参照しつつ説明する。図2Aに示す溶融曲線MRは消耗電極式のアーク溶接方法におけるアーク電流とワイヤを溶融した時に得られる溶着量との関係を示す溶融曲線である。溶融曲線MRによると、溶着量VW0と対応するアーク電流はIである。したがって、図1における被溶接物2のギャップ3が広い時に、図2Aに示す溶着量VW0を溶着量VW1に上げてギャップ3を埋めようする。そうすると、アーク電流Iがアーク電流Iまでに上昇してしまう。その結果、溶融池14の大きさが増加し、溶融池14にかかるアーク力も増加してしまうので、溶落ちがかえって発生しやすくなる恐れがあった。
一方、図2Bに示す溶融曲線MRは、溶融池14に供給される第2ワイヤ13から得られる溶着量を示す溶融曲線である。第2ワイヤ13の溶融池14への送給速度が一定であれば、アーク電流と無関係に一定の溶着量VWWを得ることが可能である。したがって、アーク溶接と同時に行う複合溶接の溶融曲線MRとしては、溶融曲線MRと溶融曲線MRとを足すことによって得ることができる。なお、アーク電流を変えることなく、溶融量VWWと対応する第2ワイヤ13の送給速度のみを変更することによって、全体の溶着量を変えることができる。例えば、図1における被溶接物2のギャップ3が広い時には、第2ワイヤ13による溶着量がVWWになるよう供給する。そうすると、第2ワイヤの送給がない場合の溶着量VW0を溶着量VW1にするために、アーク電流Iをかえって下げる必要がある。図2Bに示す通り、アーク電流Iをアーク電流Iに下げる必要がある。すなわち、図1に示す複合溶接を使用すると、アーク電流を上げることなく、溶着量のみを上げることができる。その結果、ギャップ3が広くても良好なビードを得ることができる。
以上のように本実施の形態1の複合溶接方法は、被溶接物2の溶接位置2aにレーザビーム1を照射するレーザ溶接と、溶接位置2aに第1ワイヤ12を送給して被溶接物2と第1ワイヤとの間のアーク溶接を同時に行う複合溶接方法である。この複合溶接方法はレーザビーム1によるレーザ溶接とアーク溶接とにより形成した溶融池9に少なくとも1本の第2ワイヤ13を供給する方法である。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
以上の説明では、例えば第2ワイヤ13として1本のワイヤを図示して説明したが、言うまでもなく第2ワイヤ13は1本のみである必要がなく2本以上であってもよい。
また、以上の説明では、レーザビーム1を照射して溶接が進行する溶接方向に対し、レーザビーム1の照射を溶接方向の前方に配置し第1ワイヤ12をレーザビーム1の後方に配置し、第2ワイヤ13を第1ワイヤ12の後方の方向から供給している(図1参照)。ここで、前方とは被溶接物2をレーザ溶接により溶接していく方向であり、後方とは被溶接物2を溶接した方向である。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
図3Aおよび図3Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤ13の供給位置を説明する模式図である。
図3Aに示すようにレーザビーム1の照射を前方に配置し第1ワイヤ12をレーザビーム1の後方に配置し、第2ワイヤ13をレーザビーム1と第1ワイヤ12との間から供給してもよい。また、図3Bに示すようにレーザビーム1の照射を前方に配置し第1ワイヤ12をレーザビーム1の後方に配置し、第2ワイヤ13をレーザビーム1の前方の方向から供給してもよい。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
図4A、図4Bおよび図4Cは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤ13の供給位置を説明する模式図である。
図4Aに示すようにレーザビーム1を照射して溶接が進行する溶接方向に対し、第1ワイヤ12を前方に配置しレーザビーム1の照射を第1ワイヤ12の後方に配置し、第2ワイヤ13をレーザビーム1の後方の方向から供給してもよい。また、図4Bに示すように第1ワイヤ12を前方に配置しレーザビーム1の照射を第1ワイヤ12の後方に配置し、第2ワイヤ13を第1ワイヤ12とレーザビーム1との間の位置から供給してもよい。更に、図4Cに示すように第1ワイヤ12を前方に配置しレーザビーム1の照射を第1ワイヤ12の後方に配置し、第2ワイヤ13を第1ワイヤ12の前方の方向から供給してもよい。
また、図1、図3および図4においてレーザビーム1の光軸と第1ワイヤ12の中心軸および第2ワイヤ13の中心軸がそれぞれ異なる軸芯である場合について説明した。図示していないが、第1ワイヤ12および第2ワイヤ13の内の少なくともどちらか一方の中心軸をレーザビーム1の光軸と同軸に配置してもよい。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
また、以上の説明では、シールドガスの供給については言及しなかった。図示していないが、アーク溶接に用いるシールドガスは、第2ワイヤ13を送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルおよび第1ワイヤ12を送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルのうちの少なくとも何れかから供給してもよい。なお、第1ノズルと第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにしてもよい。
言うまでもなく、第1ノズルと第2ノズルとから供給するシールドガスを溶接部位に応じてシールドガスの供給と停止を独立に行ってもよい。シールドガスを停止、または再開する際にレーザビーム1の照射条件とアーク溶接の条件とのうちの少なくとも何れかを変えてもよい。または、シールドガスは、第2ワイヤ13と第1ワイヤ12とを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給してもよい。その内容については、図5を参照しつつ説明する。
図5(図5A、図5B、図5Cおよび図5D)は本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤ12と第2ワイヤ13との供給方法を説明する模式図である。
図3および図4においては図示していないが、図5において第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とを同時に送給する複合トーチによって送給される際に、複合トーチの先端に取り付けた複合ノズル16のイメージ図を示す。図5において、シールドガスは第1ワイヤ12および第2ワイヤ13を送給する複合ノズル16によって供給される。言うまでもなく、複合トーチでは第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とに対して同じ速度で送給してもよいが、異なった速度で送給してもよい。
また、以上の説明では、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13との材質について言及しなかったが、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とを同一の材質としてよい。また、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とを同一の主成分を持つ、異なる材質のものとしてもよい。言うまでもなく、第1ワイヤ12、第2ワイヤ13および被溶接物2は、その主成分がアルミニウムであってもよく、鉄であってもよい。
また、以上の説明では、溶接部位について言及しなかったが、第2ワイヤ13が複数本ある複合溶接方法の場合に、溶接部位により、その少なくとも1本を停止してもよい。なお、第2ワイヤ13の少なくとも1本を停止、あるいはその後再開する際には、レーザビーム1の照射条件、アーク溶接の条件および第2ワイヤ13の稼働している少なくとも1本の送給速度とのうちの少なくとも何れかを変えてもよい。
また、溶接部位により、レーザビーム1の照射とアーク溶接のどちらかを停止してもよい。なお、レーザビーム1の照射とアーク溶接のどちらかを停止、あるいは再開する際には、レーザビーム1の照射条件、第1ワイヤ12の送給速度および第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度との少なくとも何れかを変えてもよい。更に、溶接部位により、第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変えてもよい。なお、第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変える際には、レーザビーム1の照射条件およびアーク溶接の条件のうちの少なくとも何れかを変えてもよい。
また、以上の複合溶接方法の説明では、レーザビーム1の照射をもって説明したが、レーザビーム1の代わりに、ここでその詳細な図示による説明を省略するが、プラズマアークを使用してもよい。
また、以上の説明では、アーク溶接はパルスアーク溶接であってもよい。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における複合溶接方法の構成を示す模式図である。なお、図1〜図5に示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図6に示すようにレーザ発生部17は、レーザ発振器18、レーザ伝送部19および集光光学系20からなり、レーザビーム1を被溶接物2の溶接位置2aに照射する。レーザ伝送部19は、光ファイバであってもよく、複数のレンズを組み合わせた光学的な伝送系であってもよい。集光光学系20は、一枚あるいは複数のレンズから構成されてもよい。第1ワイヤ12は、第1ワイヤ送給部21によって第1トーチ22を通して被溶接物2の溶接位置2aに送給される。アーク発生部25は、第1トーチ22および被溶接物2にそれぞれ接続されたケーブル26とケーブル27により給電を行うものである。
アーク発生部25は、溶接を開始する時には第1ワイヤ送給部21を制御し、第1トーチ22を通して第1ワイヤ12を被溶接物2の溶接位置2aに向かって送給する。アーク発生部25は、この第1ワイヤ12の送給とともに、第1ワイヤ12と被溶接物2との間にアーク7を発生するように制御する。そして、アーク発生部25は、溶接を終了する時には第1ワイヤ送給部21による第1ワイヤ12の送給を停止すると共に、アーク7を停止するように制御する。第2ワイヤ13は、第2ワイヤ送給部23によって第2トーチ24を通して、レーザビーム1とアーク7とによって被溶接物2の溶接位置2aに形成した溶融池に送給される。
制御部28は、図示していないが、外部から溶接開始または溶接終了の命令を受けてから各構成要素の動作を制御する。すなわち、制御部28は、レーザ発生部17から発生するレーザビーム1の照射開始およびその終了と、アーク発生部25から発生するアーク7の放電開始およびその終了と、第2ワイヤ送給部23から送給される第2ワイヤ13の送給開始およびその停止とを制御する。制御部28は、コンピュータを使用して構成してもよいが、コンピュータのような演算機能を有する部品、デバイス、装置あるいはそれらの組み合わせを使用してもよい。
制御部28としては、ロボットを使用してもよい。詳細の説明を省略するが、ロボットを使用する際には、ロボットのマニピュレータ部分に集光光学系20、第1トーチ22および第2トーチ24を固定して使用してもよい。レーザ発振器18は、予め設定した所定の出力値を出力するが、制御部28で設定した出力値の信号を受け、それを出力してもよい。アーク発生部25は、レーザ発生部17と同様に制御部28によってその出力を制御することができる。また、第2ワイヤ送給部23は、制御部28によってその送給速度および送給の開始と停止を制御することができる。
図6に示した構成の複合溶接装置の動作について説明する。溶接を開始する時には、溶接開始命令を受けた制御部28は、レーザ発生部17にレーザ溶接の開始信号を送りレーザビーム1の照射を開始する。それと共に、制御部はアーク発生部25にアーク溶接の開始信号を送ってアーク放電を開始し、また第2ワイヤ送給部23にワイヤ送給の開始信号を送るよう動作する。溶接を終了する時には、溶接終了命令を受けた制御部28は、レーザ発生部17にレーザ溶接終了信号を送りレーザビーム1の照射を終了する。それと共に、制御部28はアーク発生部25にアーク溶接終了信号を送ってアーク放電を終了し、また第2ワイヤ送給部23にワイヤ送給の終了信号を送ることによって溶接を終了するよう動作する。
以上の説明では、レーザビーム1、第1ワイヤ12および第2ワイヤ13の配置については言及しなかったが、それは図1〜図5に示した配置が適用するものである。
以上のように本実施の形態2によれば、レーザビーム1を照射しながらアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、レーザビーム1とアーク溶接により形成した溶融池14に第2ワイヤ13を供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
以上の説明では、第2ワイヤ13として1本のワイヤをもって図示したが、言うまでもなく、2本以上の第2ワイヤ13を使用してもよい。その時、それぞれの第2ワイヤ13を供給するために、それぞれのワイヤ送給部とトーチを設けるのは、言うまでもない。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における複合溶接方法の構成を示す模式図、図8は図7のセンシング部の配置を示す模式図である。
図7の複合溶接方法の構成は、図6の構成において、制御部28の代わりに溶接位置2aの近傍Aの溶接状況をセンシングするセンシング部29からの信号を入力信号とする制御部30を使用したものである。制御部30は、センシング部29の信号を受け、それに基づいてレーザ発生部17、アーク発生部25および第2ワイヤ送給部23を制御する。なお、図6の構成に示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図7に示したセンシング部29の動作について、図8を参照しつつ説明する。図8に示すようにセンシング部29は、センサユニット31と光ビーム32とから構成される。センサユニット31は、その発光部からは被溶接物2の突合せ部の任意の箇所に対して光ビーム32を照射している。この光ビーム32は、被溶接物2の突合せ部に対して垂直な方向を示す8A−8A線の方向に長く伸びた形をしている。センサユニット31は光ビーム32を照射すると共に、その受光部からは光ビーム32が被溶接物2に当たった場合の照射位置の形状をキャッチし、それを測定する機能を備えている。なお、センサユニット31は、照射位置の形状に基づき被溶接物2の突合せ面における隙間であるギャップを算出し、ギャップ信号を制御部30に出力する。
以上の説明では、光ビーム32を8A−8A線の方向に長く伸びた形のものとして説明したが、言うまでもなく、それはセンサユニット31から発生して8A−8A線の方向に沿って高速にスキャンするスポット状のビームであってもよい。その際、センサユニット31は、スポット状のビームが被溶接物2に当たった場合の照射位置の軌跡によって被溶接物2の突合せ部のギャップを計測してもよい。
次に制御部30の動作について説明する。実際の溶接では、被溶接物2の突合せ面においてギャップが存在し、さらにこのギャップの大きさなどが場所によって変動する場合がある。したがって、良好な溶接ビードを得るためには、ギャップの大きさなどに応じて溶接条件を変える必要がある。図7に示す制御部30は、図6において説明した制御部28の持つ機能以外に、センシング部29から入力したギャップ信号に基づき、一定の溶接ビードが得られるよう動作する。この一定の溶接ビードは、第2ワイヤ13の送給、レーザビーム1の照射およびアーク溶接の停止、再開、またはその条件変更を行うことによって得られる。但し、図8に示したように、光ビーム32の照射位置を示す8A-8A線の方向は厳密には溶融池14が形成される位置と一致しない。実際に溶接を行ったときの条件などを参考にして8A−8A線と溶融池14との距離は予め制御部30に入力されていてもよい。
以上のように本実施の形態3によれば、レーザビーム1を照射しながらアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、レーザビーム1とアーク溶接により形成した溶融池14に第2ワイヤ13を供給している。このことによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げると共に、被溶接物2にギャップ3があっても良好な溶接ビードを得ることができる。
以上の本実施の形態1から3の説明では、図1〜図8に示した通り、ギャップ3を持った被溶接物2の突合せ溶接を例にして説明した。しかしながら、このような突合せ溶接以外の継手においても同様に、本実施の形態1から3における複合溶接方法を使用すればアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。また、被溶接物2にギャップ3があっても良好な溶接ビードを得ることができる。
また、以上の説明では、溶接方向に対し、レーザビーム1の照射の位置、第1ワイヤ12の送給の位置および第2ワイヤ13の送給の位置のうちのそれぞれの位置の前後の順を変えて配置した構成について説明した。レーザビーム1の照射の位置、第1ワイヤ12の送給の位置および第2ワイヤ13の送給の位置のうちのそれぞれの位置の配置については、溶接方向に沿った方向ではなく垂直する方向において行ってもよい。また、以上の説明では、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とのワイヤ径については言及しなかったが、言うまでもなく、両者は同じでもよく、異なってもよい。
(実施の形態4)
実施の形態1から3においてレーザ溶接とアーク溶接とを同時に行う複合溶接方法および複合溶接装置において、溶接を行う時の溶融池に第2ワイヤを供給することによって被溶接物に溶着する金属量の自由調整を行っている。
図9は本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の構成を示す模式図、図10は本発明の本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の原理を示す模式図である。
図9に示すように被溶接物101に対してレーザビーム102が照射され、送給された第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104が形成されている。溶滴105は第1ワイヤ103が溶融して形成され、溶融池106はレーザビーム102とアーク104とにより形成されている。この溶融池106に第2ワイヤ107が送給され、溶融池106が凝固してビード108が形成されている。
図10は複合溶接方法の原理を示す模式図で、複合溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示している。図10において溶融曲線MRは従来の消耗電極式のアーク溶接方法の溶着量を示す溶融曲線である。目標の溶着量をVW0とすると、アーク溶接でこの溶着速度を実現するには、溶融曲線MRよりIのアーク電流で溶接を行う必要がある。
一方、本実施の形態1の複合溶接方法では、例えば、溶融曲線MRで示す溶着量VWFで第2ワイヤ13を送給すると、溶着量は溶融曲線MRに従う。したがって、同じ目標の溶着量VW0では、溶融曲線MRによりアーク電流IからIに低下する。すなわち、同一の溶着量を実現した場合、この複合溶接方法ではアーク溶接の入熱をI/I倍に下げることができる。しかし、この複合溶接方法では、レーザビーム102と第1ワイヤ103のみではなく第2ワイヤ107も必要である。したがって、溶接を開始する時または溶接を終了する時にはレーザビーム102、第1ワイヤ103および第2ワイヤ107の三者のシーケンスを、良好なアークスタート性能または終了部ビード形状が得られるよう、決定しなければならない。
図11は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の構成を示す模式図である。なお、図9および図10に示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図11に示すように本実施の形態4の複合溶接装置は、レーザ発生部109とアーク発生部113と第1ワイヤ送給部119と第2ワイヤ送給部120と制御部122とを備えている。ここで、レーザ発生部109はレーザ発振器110、レーザ伝送部111および集光光学系112を含んで構成されている。アーク発生部113はケーブル114、115、116によって電流検出部117と第1ワイヤ103を送給する第1トーチ118および被溶接物101とに接続されている。そして、アーク発生部113は第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するための電力を送給している。第1ワイヤ送給部119は第1トーチ118を通って第1ワイヤ103を被溶接物101に送給し、第2ワイヤ送給部120は第2トーチ121を通って第2ワイヤ107を被溶接物101に形成した溶融池106に送給している。制御部122はケーブル114およびケーブル116に接続される電圧検出部124からのアーク電圧検知信号と電流検出部117からの電流検知信号と時間設定部123で設定した所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3とを入力している。そして、制御部122はレーザ発生部109、アーク発生部113および第2ワイヤ送給部120を制御している。
ところで、図11に示すようにレーザ発生部109は、その集光光学系112によってレーザビーム102を集光して被溶接物101に照射している。集光光学系112は一枚あるいは複数のレンズから構成されてもよい。レーザ伝送部111は光ファイバであってもよく、レンズによって組み合わせた伝送系であってもよい。レーザ発振器110は、図示していないが、外部の制御装置によってその出力値および出力タイミングを自由に制御することができる。アーク発生部113は、溶接を開始する時には第1ワイヤ送給部119を制御し、第1ワイヤ103を被溶接物101に向かって送給する。それと共にアーク発生部113は、第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するように制御する。そして、溶接を終了する時には第1ワイヤ送給部119による第1ワイヤ103の送給を停止すると共に、アーク発生部113はアーク104を停止するよう制御する。
ここで、電流検出部117はケーブル115とケーブル116に接続されるシャントであってもよく、ホール素子などのような半導体素子を使用してもよい。第2ワイヤ送給部120は、その送給速度および送給の開始と停止は外部の制御装置によって自由に制御することができる。制御部122は、コンピュータを使用してもよいが、コンピュータのような演算機能を有する部品、デバイス、装置あるいはそれらの組み合わせを使用してもよい。また、制御部122としてロボットを使用してもよい。詳細の説明を省略するが、ロボットを使用する場合は、ロボットのマニピュレータ部に集光光学系112と第1トーチ118と第2トーチ121とを固定して使用してもよい。電圧検出部124は、ケーブル114とケーブル116に接続されると説明したが、できるだけ第1ワイヤ103と被溶接物101とにおける、アーク104に近い位置に接続することが望ましい。
次に本実施の形態4における複合溶接装置の動作について、図12を参照しつつ説明する。
図12は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の動作シーケンスを示す図である。溶接を開始する時には、制御部122は溶接開始命令を受けると、アーク発生部113を制御して第1ワイヤ送給部119より第1ワイヤ103を溶接位置102aに送給する。それと共に、アーク溶接の電力を供給して第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するよう動作する。第1ワイヤ103が被溶接物101と接触して溶接電流が流れると、電流検出部117では溶接電流が流れたタイミングを検知して電流検知信号を制御部122に出力する(後述の図15を参照)。図12では電流検知信号としてON(以下、「オン」とする)/OFF(以下、「オフ」とする)と表示している。オンは電流検知信号が出力された時間を示し、オフは電流検知信号が出力されなくなった時間を示す。
図12に示すように、時間t1は電流検知信号が制御部122に出力された時間に該当する。制御部122では、電流検知信号を受けると、直ちにレーザ発生部109を制御してレーザビーム102の照射を開始する。その後、時間設定部123で設定した所定の時間ΔT1が経過した時間t2では、制御部122は第2ワイヤ送給部120を制御して第2ワイヤ107の送給を開始する。その後、通常の複合溶接が行われる。以上に示した溶接開始シーケンスでは、電流検知信号を受けてから直ちにレーザビーム102の照射を開始することによって良好なアークスタート性能を得ることができる。また、所定の時間ΔT1を設けるのは、この期間中においてレーザビーム102とアーク104とによって形成した溶融池106の形状がある程度整えられるためのものである。
一方、溶接を終了する時には、制御部122は、溶接停止命令を受けると直ちに第2ワイヤ送給部120を制御して第2ワイヤ107の送給を停止する。これは、図12の時間t3に該当する。その後、所定の時間ΔT2が経過した時間t4では、制御部122は、レーザ発生部109を制御してレーザビーム102の照射を停止する。更に、所定の時間ΔT3が経過した時間t5では、制御部122は、アーク発生部113を制御して第1ワイヤ103の送給を停止する。それと共に、制御部122はアーク104によるアーク溶接を終了するよう動作する。以上に示した溶接終了シーケンスでは、第2ワイヤ107の送給を停止してからレーザビーム102の照射またはアーク溶接を終了するように動作する。したがって、第2ワイヤ107が溶融池106に突っ込むことなく良好な終了部ビード形状を得ることができる。
以上のように本実施の形態4における複合溶接装置によれば、被溶接物101の溶接位置102aにレーザビーム102を照射しながら溶接位置102aに第1ワイヤ103を送給して被溶接物101との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法を用いる。この複合溶接装置において、レーザビーム102とアーク溶接とにより形成した溶融池106に第2ワイヤ107を送給する。それと共に、溶接を開始する時には第2ワイヤ107の送給はレーザビーム102の照射とアーク溶接のうちの少なくとも何れかが開始してから所定の時間が経過した後に開始する。溶接を終了する時には第2ワイヤ107の送給を停止してから所定の時間が経過した後にレーザビーム102の照射を停止し、更に所定の時間が経過した後にアーク溶接を停止する。このような構成とすることによって良好なアークスタート性能と終了部ビード形状を得ることができる。
以上に示した本実施の形態4における複合溶接装置の動作において、図12の動作シーケンスと溶接走行とを併せて実施することによっても上述の内容と同様の効果を得ることができる。その動作について、図13を参照しつつ説明する。
図13は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の別の動作シーケンスを示す図である。溶接走行装置は図11には図示していないが、溶接走行は、ロボットを使用してそのマニピュレータ部に集光光学系112、第1トーチ118および第2トーチ121を固定して行ってもよい。言うまでもなく、ロボット以外の可動装置に集光光学系112、第1トーチ118および第2トーチ121とを固定して溶接を行ってもよい。溶接を開始する時には、時間t1から所定の時間ΔT1が経過した後の時間t2では、溶接走行装置の溶接走行を開始するようにしている。溶接を終了する時には、図13に示すように第2ワイヤ107の送給が停止した時間t3では、溶接走行装置の溶接走行を終了するようにしている。
以上の動作シーケンスを使用する理由は、以下の通りである。溶接を開始する時には、被溶接物101の溶接位置102aはまだ冷たい。したがって、この溶接位置102aの部分のビードの広がりおよび溶込みを確保するために、通常、溶接を開始してからトーチまたはレーザヘッドをしばらくその位置で停止するよう溶接シーケンスが組まれる。その後の通常の溶接の部分と比較すると、この部分では第1ワイヤ103による溶着金属が送給されるので、その堆積が発生する。この位置で更に第2ワイヤ107を送給すると、溶着金属の体積が過多となり、ビード外観が損なわれてしまう。したがって、溶接走行が開始してからの第2ワイヤ107の送給が望ましいのである。
一方、溶接を終了する時には、従来のアーク溶接では、所定の溶接位置に達した時点で溶接走行を停止し、その位置でクレータ処理を行う。本実施の形態4における複合溶接装置でも従来のアーク溶接と同様な考え方で、クレータ処理を行う必要がある。なお、クレータ処理については、第1ワイヤ103の溶着金属量だけで十分な場合が多く、良好なビード外観を得るためには、通常は図13に示すように第2ワイヤ107を送給しなくてもよい。
また、以上に示した本実施の形態4における複合溶接装置において、図14に示す動作を行うことによって上述の内容と同様の効果を得ることができる。その内容を説明する。
図14は本発明の実施の形態4における複合溶接装置のさらに別の動作シーケンスを示す図である。溶接を開始する時には、制御部122は溶接開始命令を受けると、図14に示すようにレーザ発生部109を制御して直ちにレーザビーム102の照射を開始する。これは、図14の時間t1に該当する。その後、所定の時間ΔT1が経過した時間t2では、制御部122は、アーク発生部113を制御して第1ワイヤ送給部119より第1ワイヤ103を溶接位置に送給する。それと共に、アーク溶接の電力を送給して第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するよう動作する。第1ワイヤ103が被溶接物101と接触して溶接電流が流れると、電流検出部117では溶接電流が流れた時間を検知して電流検知信号を制御部122に出力する(後述の図15を参照)。
一方、電圧検出部124では、溶接電流が流れ、被溶接物101に接触していた第1ワイヤ103の先端からアーク104が発生する。そうすると、それを検知してアーク電圧検知信号(後述の図15を参照)が制御部122に出力される。制御部122では、溶接電流検知信号を受け、更にアーク電圧信号を受けると直ちに第2ワイヤ送給部120を制御して第2ワイヤ107の送給を開始する。その後の動作は、図12および図13の動作シーケンスで説明した内容と同様であるので、その説明は省略する。
図12〜図14の動作シーケンスの電流検知信号またはアーク電圧検知信号の概略について、図15を参照しつつ説明する。
図15は電流検知信号とアーク電圧検知信号の出力タイミングを示す模式図である。時間ta、時間tbおよび時間tcは,図12と図13の時間t1、または図14の時間t2の部分の時間軸を拡大したものに該当する。時間taまでは,アーク発生部113から電力が出力される期間である。それと共に、第1ワイヤ103が被溶接物101の溶接位置102aに向かって送給され、第1ワイヤ103が被溶接物101に接触するまでの期間が時間taである。この間、第1ワイヤ103を流れる電流が0アンペアであるが、第1ワイヤ103と被溶接物101との間に無負荷電圧VNLがかかる。時間taでは、第1ワイヤ103が被溶接物101に接触するが、両者の間の電圧がほとんど0ボルトとなる。時間taと時間tcとの間では、第1ワイヤ103を流れる電流が増加し、その先端が加熱されるが、まだアーク104が発生していない。この期間は、短絡期間である。図15に示すように、電流検出部117は、第1ワイヤ103を流れる電流が予め設定されていた電流検知レベルIDCに達した時間tbでは電流検知信号を制御部122に出力する。時間tcでは、第1ワイヤ103の先端からアーク104が発生すると共に、アーク電流IARCが流れ、第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク電圧VARCがかかる。電圧検出部124は、図示していないが、第1ワイヤ103と被溶接物101との間にかかる電圧が予め設定されていた電圧検知レベルVDCに達した時点でアーク電圧検出信号を制御部122に出力する。通常のアーク溶接では、時間taから時間tcまでの時間が非常に短いので、図14では、電流検知信号とアーク電圧検知信号とは同じ時間t2で表記している。
図12〜図14では、第2ワイヤ107での送給を停止してから所定の時間ΔT2だけレーザビーム102の照射を続けているが、所定の時間ΔT2を0秒としてもよい。なお、何れの場合においても、クレータ処理は所定の時間ΔT3で行うことが望ましい。
以上の説明では、溶接を開始する時には、第2ワイヤ107の送給はレーザビーム102の照射とアーク溶接との少なくとも何れかが開始してから所定の時間が経過した後に開始してもよい。または、レーザビーム102の照射とアーク溶接との両方が開始してから開始してもよい。または、アーク溶接が開始しアーク電流が流れたことを検知してから直ちにレーザビーム102の照射を開始し、所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を開始してもよい。または、レーザビーム102の照射が開始し所定の時間が経過した後にアーク溶接を開始し、更に所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を開始してもよい。または、レーザビーム102の照射が開始して所定の時間が経過した後にアーク溶接を開始し、アーク溶接のアーク放電が開始してから直ちに第2ワイヤ107の送給を開始してもよい。
また、溶接を終了する時には、第2ワイヤ107の送給を停止してから所定時間が経過した後にレーザビーム102の照射とアーク溶接とを停止してもよい。または、第2ワイヤ107の送給を停止してから所定の時間が経過した後にレーザビーム102の照射を停止し、更に所定の時間が経過した後にアーク溶接を停止してもよい。または、レーザビーム102の照射を停止してから所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を停止し、更に所定の時間が経過した後にアーク溶接を停止してもよい。または、アーク溶接を停止してから所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を停止し、更に所定の時間が経過した後にレーザビーム102の照射を停止してもよい。なお、アーク溶接が停止してからのレーザビーム102の出力と第2ワイヤ107の送給速度との両方とも、それまでの溶接に使用した値以下にしてもよい。
また、アーク溶接としてパルスMIGアーク溶接を使用してもよく、レーザビーム発生部としてYAGレーザ、半導体レーザおよびファイバレーザのうちの少なくとも何れかを使用してもよい。
また、被溶接物、第1ワイヤおよび第2ワイヤは材質がアルミニウム合金、または鉄鋼のものを使用してもよい。
以上のように本発明によれば、レーザビームとアーク溶接とにより形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することによって、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることのできる複合溶接方法および複合溶接装置を実現できる。この複合溶接方法および複合溶接装置を使用すると、各種の金属などを溶接し良好なビード形状を得ることができ有用である。
1,102 レーザビーム
2,101 被溶接物
2a,102a 溶接位置
3 ギャップ
4,10,15,108 ビード
5,11 溶落ち部分
6 ワイヤ
7,104 アーク
8,105 溶滴
9,14,106 溶融池
12,103 第1ワイヤ
13,107 第2ワイヤ
16 複合ノズル
17,109 レーザ発生部
18,110 レーザ発振器
19,111 レーザ伝送部
20,112 集光光学系
21,119 第1ワイヤ送給部
22,118 第1トーチ
23,120 第2ワイヤ送給部
24,121 第2トーチ
25,113 アーク発生部
26,27,114,115,116 ケーブル
28,30,122 制御部
29 センシング部
31 センサユニット
32 光ビーム
117 電流検出部
123 時間設定部
124 電圧検出部
本発明は、被溶接物にレーザビームの照射とアーク溶接とを行う複合溶接方法および複合溶接装置に関する。
レーザ溶接はレーザビームのエネルギー密度が高いため、高速で熱影響部の狭い溶接を行うことが可能である。しかし、被溶接物にギャップがあると、レーザビームがそのギャップから抜けてしまいエネルギーロスが生じるので、溶接ができなくなる恐れがあった。
この問題を克服するために、フィラーワイヤを使用したレーザ溶接方法が従来からあり(例えば、非特許文献1参照)、また、非消耗電極方式または消耗電極方式のアーク溶接と併用する複合溶接方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。非消耗電極方式のアーク溶接(TIG溶接:Tungsten Inert Gas welding)と併用する複合溶接方法では、フィラーワイヤを添加してTIG電極であるタングステン電極を振動しながら良好な溶接部を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、TIG溶接を使用する場合は、通常、その電極として融点の高いタングステン電極を使用するが、溶接中にそのタングステン電極が焼損または消耗し、アーク不安定をきたす場合がある。それと共に、消耗したタングステン電極が溶接金属に混入し、溶接継手部の性能劣化を招いてしまう恐れがあった。
一方、上記の非消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法に対して、消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。この複合溶接方法ではタングステン電極を使用することなく、ワイヤを溶接部に添加することが可能であり、深溶け込みの溶接を行うことができる。さらに高速加工および溶融幅の改善の視点から、消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法では、更に、レーザビーム照射位置に対して溶接加工進行方向の前方と後方にアーク溶接の電極を配置する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この場合においてレーザビーム照射位置の前方と後方とに配置させるアーク溶接は、その電極がいずれもMIG(Metal Inert Gas)溶接の電極(ワイヤ)である。しかしながら、このワイヤの送給速度とMIG溶接のアーク電流とを独立に調整することができない(例えば、非特許文献2参照)。通常、ワイヤ送給速度を高くすると、アーク電流も同時に高くなってしまう。そのため、例えば、ギャップ付の薄板の溶接では高い溶着金属量を必要とする場合には、高いワイヤ送給速度をのみ要するが、アーク電流も同時に高くなってしまうので、溶落ちが発生してしまう恐れがあった。
図16Aおよび図16Bは、従来のレーザ溶接および複合溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図である。図16Aは従来のレーザ溶接の場合の突合せ溶接のイメージを示している。
図16Aに示すようにレーザビーム1は被溶接物2の突合せ面間にあるギャップ3を溶接するために用いられている。ビード4は、レーザビーム1を用いて被溶接物2同士の溶接を行う際に得られるものである。ギャップ3が狭い時または溶接速度の遅い時には、ビード4は良好なものとなる。しかしながら、例えばギャップ3が広い、または溶接速度が速い場合には、レーザビーム1がギャップ3から抜けてしまい、ビード4に溶落ち部分5を形成してしまう恐れがあった。
図16Bは、従来の消耗電極方式のアーク溶接を使用した複合溶接の場合の突合せ溶接のイメージを示している。図16Bに示すようにワイヤ6と被溶接物2との間に形成したアーク7により、ワイヤ6の先端が溶融されて溶滴8が形成されている。レーザビーム1とアーク7によって被溶接物2の突合せ部に溶融池9が形成され、溶融池9の一部が凝固してビード10が形成されている。図16Bに示す複合溶接ではワイヤ6が添加できるため、図16Aに示すレーザ溶接の場合と比較して許容するギャップ3を広くすることができる。しかしながら、ギャップ3が許容範囲を超えて広すぎた場合、または溶接速度が速すぎた場合には、ビード10が不連続に形成され、その中心部に溶落ち部分11を形成してしまう恐れがあった。この場合には、ギャップ3を埋めるのに必要な量だけワイヤ6の送給量を増やしても、同様に溶落ち部分11が発生してしまう恐れがあった。これは、通常のアーク溶接ではワイヤ6を単独で増やすことができなく、アーク電流も同時に増加してしまい、被溶接物2に対する入熱が増加する。それと共に、溶融池9のサイズが大きくなる。そうすると溶融池9の周辺部から発生した表面張力のみによってサイズが大きくなった溶融池9を保持できなくなるためである。その結果、溶落ち部分11が発生するわけである。
特開昭53−137044号公報 特開2002−178177号公報 特公昭60−8916号公報 特開昭59−66991号公報 特開2001−246485号公報
池田正幸、藤岡知夫、堀池靖浩、丸尾大、吉川省吾編、レーザプロセス技術ハンドブック、1992年、朝倉書店、第149頁 黄地尚義著、溶接・接合プロセスの基礎、1996年、産報出版、第128頁
本発明は上記従来の課題を解決するもので、レーザ照射とアーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本のワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶接の溶着量を上げることのできる複合溶接方法および複合溶接装置を提供する。
本発明の複合溶接方法は、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ溶接と、上記溶接位置に第1ワイヤを送給して上記被溶接物と前記第1ワイヤとの間のアーク溶接を同時に行う複合溶接方法である。そして、本発明の複合溶接方法は、上記レーザビームと上記アーク溶接とにより形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給する方法からなる。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
また、本発明の複合溶接装置は、レーザ発生部と第1ワイヤ供給部とアーク発生部と第2ワイヤ送給部とレーザ発生部、アーク発生部および第2ワイヤ送給部を制御する制御部とを備えている。そして、第1ワイヤと被溶接物との間の位置にアーク溶接とレーザビームとにより形成した溶融池に第2ワイヤを供給する構成からなる。ここで、レーザ発生部は被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するものである。第1ワイヤ送給部は第1トーチを介して溶接位置に第1ワイヤを送給するものである。アーク発生部は第1ワイヤと被溶接物にアーク溶接のための電力を供給するものである。第2ワイヤ送給部は少なくとも1本の第2トーチを介して溶接位置に少なくとも1本の第2ワイヤを送給するものである。
このような構成とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
また、本発明の複合溶接装置は、レーザ発生部と第1ワイヤ送給部と第2ワイヤ送給部とアーク発生部と制御部とを備えている。ここで、レーザ発生部は被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するものであり、第1ワイヤ送給部は第1トーチを介して溶接位置に第1ワイヤを送給するものである。第2ワイヤ送給部は第2トーチを介して溶接位置に第2ワイヤを送給するものであり、アーク発生部は第1ワイヤ送給部を制御し、かつ第1ワイヤと被溶接物にアーク溶接のための電力を送給するものである。また、制御部は、時間設定部からの所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3と電流検出部からの電流検知信号とを入力し、レーザ発生部、アーク発生部および第2ワイヤ送給部を制御するものである。
そして、本発明の複合溶接装置の制御部は、溶接を開始する時にはアーク発生部を制御してアーク溶接を開始させ、電流検知信号を受けると直ちにレーザ発生部を制御してレーザビームの照射を始めさせる。そして、所定の時間ΔT1が経過した後に第2ワイヤ送給部を制御して第2ワイヤの送給を開始させるよう溶接を行わせる。
溶接を終了する時には前記第2ワイヤの送給を停止させてから所定の時間ΔT2が経過した後にレーザビームの照射を終了させる。更に所定の時間ΔT3が経過した後にアーク溶接を終了させるように制御して複合溶接装置を動作させる構成からなる。
このような構成とすることにより、良好なアークスタート性能と終了部ビード形状を得ることができる。
また、本発明の複合溶接装置は、レーザ発生部と第1ワイヤ送給部と第2ワイヤ送給部とアーク発生部と制御部とを備えている。ここで、レーザ発生部は被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するものであり、第1ワイヤ送給部は第1トーチを介して溶接位置に第1ワイヤを送給するものである。第2ワイヤ送給部は第2トーチを介して溶接位置に第2ワイヤを送給するものであり、アーク発生部は第1ワイヤ送給部を制御し、かつ第1ワイヤと被溶接物にアーク溶接のための電力を送給するものである。また、制御部は、時間設定部からの所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3と電流検出部からの電流検知信号と電圧検出部からのアーク電圧検知信号とを入力し、レーザ発生部、アーク発生部および第2ワイヤ送給部を制御するものである。
そして、本発明の複合溶接装置の制御部は、溶接を開始する時にはレーザ発生部を制御してレーザビームの照射を開始させ、所定の時間ΔT1が経過した後にアーク発生部を制御してアーク溶接を開始させる。そして、電流検知信号とアーク電圧検知信号を受けると直ちに第2ワイヤ送給部を制御して第2ワイヤの送給を開始させるよう溶接を行わせる。
溶接を終了する時には第2ワイヤの送給を停止させてから所定の時間ΔT2が経過した後にレーザビームの照射を終了させる。更に所定の時間ΔT3が経過した後にアーク溶接を終了させるように制御して複合溶接装置を動作させる構成からなる。
このような構成とすることにより、良好なアークスタート性能と終了部ビード形状を得ることができる。
本発明の実施の形態1における複合溶接方法の構成を示す模式図 従来の消耗電極式アーク溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤの供給位置を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図 本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図 本発明の実施の形態2における複合溶接方法の構成を示す模式図 本発明の実施の形態3における複合溶接方法の構成を示す模式図 図7のセンシング部の配置を示す模式図 本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の構成を示す模式図 本発明の本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の原理を示す模式図 本発明の実施の形態4における複合溶接方法の構成を示す模式図 本発明の実施の形態4における複合溶接装置の動作シーケンスを示す図 本発明の実施の形態4における複合溶接装置の別の動作シーケンスを示す図 本発明の実施の形態4における複合溶接装置のさらに別の動作シーケンスを示す図 電流検知信号とアーク電圧検知信号との出力タイミングを示す模式図 従来のレーザ溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図 従来の複合溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。以下の図面において同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における複合溶接方法の構成を示す模式図である。なお、図16Aおよび図16Bに示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図1に示すように、被溶接物2の突合せ部の溶接位置2aにレーザビーム1を照射するレーザ溶接と、溶接位置2aに第1ワイヤ12を送給して被溶接物2と第1ワイヤとの間でアーク7を発生させてアーク溶接を同時に行う。この際に、第2ワイヤ13がレーザビーム1とアーク7とで形成した溶融池14に供給されている。ビード15は、溶融池14が凝固して形成されている。図1において第2ワイヤ13が1本示されているが、溶融さえ可能であれば、必ずしも1本である必要がなく2本以上の第2ワイヤ13が溶融池14に供給されてもよい。
図2Aは従来の消耗電極式アーク溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図、図2Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図である。
図1に示した複合溶接方法の原理について、図2Aおよび図2Bを参照しつつ説明する。図2Aに示す溶融曲線MRは消耗電極式のアーク溶接方法におけるアーク電流とワイヤを溶融した時に得られる溶着量との関係を示す溶融曲線である。溶融曲線MRによると、溶着量VW0と対応するアーク電流はIである。したがって、図1における被溶接物2のギャップ3が広い時に、図2Aに示す溶着量VW0を溶着量VW1に上げてギャップ3を埋めようする。そうすると、アーク電流Iがアーク電流Iまでに上昇してしまう。その結果、溶融池14の大きさが増加し、溶融池14にかかるアーク力も増加してしまうので、溶落ちがかえって発生しやすくなる恐れがあった。
一方、図2Bに示す溶融曲線MRは、溶融池14に供給される第2ワイヤ13から得られる溶着量を示す溶融曲線である。第2ワイヤ13の溶融池14への送給速度が一定であれば、アーク電流と無関係に一定の溶着量VWWを得ることが可能である。したがって、アーク溶接と同時に行う複合溶接の溶融曲線MRとしては、溶融曲線MRと溶融曲線MRとを足すことによって得ることができる。なお、アーク電流を変えることなく、溶融量VWWと対応する第2ワイヤ13の送給速度のみを変更することによって、全体の溶着量を変えることができる。例えば、図1における被溶接物2のギャップ3が広い時には、第2ワイヤ13による溶着量がVWWになるよう供給する。そうすると、第2ワイヤの送給がない場合の溶着量VW0を溶着量VW1にするために、アーク電流Iをかえって下げる必要がある。図2Bに示す通り、アーク電流Iをアーク電流Iに下げる必要がある。すなわち、図1に示す複合溶接を使用すると、アーク電流を上げることなく、溶着量のみを上げることができる。その結果、ギャップ3が広くても良好なビードを得ることができる。
以上のように本実施の形態1の複合溶接方法は、被溶接物2の溶接位置2aにレーザビーム1を照射するレーザ溶接と、溶接位置2aに第1ワイヤ12を送給して被溶接物2と第1ワイヤとの間のアーク溶接を同時に行う複合溶接方法である。この複合溶接方法はレーザビーム1によるレーザ溶接とアーク溶接とにより形成した溶融池9に少なくとも1本の第2ワイヤ13を供給する方法である。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
以上の説明では、例えば第2ワイヤ13として1本のワイヤを図示して説明したが、言うまでもなく第2ワイヤ13は1本のみである必要がなく2本以上であってもよい。
また、以上の説明では、レーザビーム1を照射して溶接が進行する溶接方向に対し、レーザビーム1の照射を溶接方向の前方に配置し第1ワイヤ12をレーザビーム1の後方に配置し、第2ワイヤ13を第1ワイヤ12の後方の方向から供給している(図1参照)。ここで、前方とは被溶接物2をレーザ溶接により溶接していく方向であり、後方とは被溶接物2を溶接した方向である。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
図3Aおよび図3Bは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤ13の供給位置を説明する模式図である。
図3Aに示すようにレーザビーム1の照射を前方に配置し第1ワイヤ12をレーザビーム1の後方に配置し、第2ワイヤ13をレーザビーム1と第1ワイヤ12との間から供給してもよい。また、図3Bに示すようにレーザビーム1の照射を前方に配置し第1ワイヤ12をレーザビーム1の後方に配置し、第2ワイヤ13をレーザビーム1の前方の方向から供給してもよい。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
図4A、図4Bおよび図4Cは本発明の実施の形態1における複合溶接方法の第2ワイヤ13の供給位置を説明する模式図である。
図4Aに示すようにレーザビーム1を照射して溶接が進行する溶接方向に対し、第1ワイヤ12を前方に配置しレーザビーム1の照射を第1ワイヤ12の後方に配置し、第2ワイヤ13をレーザビーム1の後方の方向から供給してもよい。また、図4Bに示すように第1ワイヤ12を前方に配置しレーザビーム1の照射を第1ワイヤ12の後方に配置し、第2ワイヤ13を第1ワイヤ12とレーザビーム1との間の位置から供給してもよい。更に、図4Cに示すように第1ワイヤ12を前方に配置しレーザビーム1の照射を第1ワイヤ12の後方に配置し、第2ワイヤ13を第1ワイヤ12の前方の方向から供給してもよい。
また、図1、図3および図4においてレーザビーム1の光軸と第1ワイヤ12の中心軸および第2ワイヤ13の中心軸がそれぞれ異なる軸芯である場合について説明した。図示していないが、第1ワイヤ12および第2ワイヤ13の内の少なくともどちらか一方の中心軸をレーザビーム1の光軸と同軸に配置してもよい。
このような方法とすることにより、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
また、以上の説明では、シールドガスの供給については言及しなかった。図示していないが、アーク溶接に用いるシールドガスは、第2ワイヤ13を送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルおよび第1ワイヤ12を送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルのうちの少なくとも何れかから供給してもよい。なお、第1ノズルと第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにしてもよい。
言うまでもなく、第1ノズルと第2ノズルとから供給するシールドガスを溶接部位に応じてシールドガスの供給と停止を独立に行ってもよい。シールドガスを停止、または再開する際にレーザビーム1の照射条件とアーク溶接の条件とのうちの少なくとも何れかを変えてもよい。または、シールドガスは、第2ワイヤ13と第1ワイヤ12とを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給してもよい。その内容については、図5を参照しつつ説明する。
図5(図5A、図5B、図5Cおよび図5D)は本発明の実施の形態1における複合溶接方法において第1ワイヤ12と第2ワイヤ13との供給方法を説明する模式図である。
図3および図4においては図示していないが、図5において第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とを同時に送給する複合トーチによって送給される際に、複合トーチの先端に取り付けた複合ノズル16のイメージ図を示す。図5において、シールドガスは第1ワイヤ12および第2ワイヤ13を送給する複合ノズル16によって供給される。言うまでもなく、複合トーチでは第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とに対して同じ速度で送給してもよいが、異なった速度で送給してもよい。
また、以上の説明では、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13との材質について言及しなかったが、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とを同一の材質としてよい。また、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とを同一の主成分を持つ、異なる材質のものとしてもよい。言うまでもなく、第1ワイヤ12、第2ワイヤ13および被溶接物2は、その主成分がアルミニウムであってもよく、鉄であってもよい。
また、以上の説明では、溶接部位について言及しなかったが、第2ワイヤ13が複数本ある複合溶接方法の場合に、溶接部位により、その少なくとも1本を停止してもよい。なお、第2ワイヤ13の少なくとも1本を停止、あるいはその後再開する際には、レーザビーム1の照射条件、アーク溶接の条件および第2ワイヤ13の稼働している少なくとも1本の送給速度とのうちの少なくとも何れかを変えてもよい。
また、溶接部位により、レーザビーム1の照射とアーク溶接のどちらかを停止してもよい。なお、レーザビーム1の照射とアーク溶接のどちらかを停止、あるいは再開する際には、レーザビーム1の照射条件、第1ワイヤ12の送給速度および第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度との少なくとも何れかを変えてもよい。更に、溶接部位により、第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変えてもよい。なお、第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変える際には、レーザビーム1の照射条件およびアーク溶接の条件のうちの少なくとも何れかを変えてもよい。
また、以上の複合溶接方法の説明では、レーザビーム1の照射をもって説明したが、レーザビーム1の代わりに、ここでその詳細な図示による説明を省略するが、プラズマアークを使用してもよい。
また、以上の説明では、アーク溶接はパルスアーク溶接であってもよい。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における複合溶接方法の構成を示す模式図である。なお、図1〜図5に示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図6に示すようにレーザ発生部17は、レーザ発振器18、レーザ伝送部19および集光光学系20からなり、レーザビーム1を被溶接物2の溶接位置2aに照射する。レーザ伝送部19は、光ファイバであってもよく、複数のレンズを組み合わせた光学的な伝送系であってもよい。集光光学系20は、一枚あるいは複数のレンズから構成されてもよい。第1ワイヤ12は、第1ワイヤ送給部21によって第1トーチ22を通して被溶接物2の溶接位置2aに送給される。アーク発生部25は、第1トーチ22および被溶接物2にそれぞれ接続されたケーブル26とケーブル27により給電を行うものである。
アーク発生部25は、溶接を開始する時には第1ワイヤ送給部21を制御し、第1トーチ22を通して第1ワイヤ12を被溶接物2の溶接位置2aに向かって送給する。アーク発生部25は、この第1ワイヤ12の送給とともに、第1ワイヤ12と被溶接物2との間にアーク7を発生するように制御する。そして、アーク発生部25は、溶接を終了する時には第1ワイヤ送給部21による第1ワイヤ12の送給を停止すると共に、アーク7を停止するように制御する。第2ワイヤ13は、第2ワイヤ送給部23によって第2トーチ24を通して、レーザビーム1とアーク7とによって被溶接物2の溶接位置2aに形成した溶融池に送給される。
制御部28は、図示していないが、外部から溶接開始または溶接終了の命令を受けてから各構成要素の動作を制御する。すなわち、制御部28は、レーザ発生部17から発生するレーザビーム1の照射開始およびその終了と、アーク発生部25から発生するアーク7の放電開始およびその終了と、第2ワイヤ送給部23から送給される第2ワイヤ13の送給開始およびその停止とを制御する。制御部28は、コンピュータを使用して構成してもよいが、コンピュータのような演算機能を有する部品、デバイス、装置あるいはそれらの組み合わせを使用してもよい。
制御部28としては、ロボットを使用してもよい。詳細の説明を省略するが、ロボットを使用する際には、ロボットのマニピュレータ部分に集光光学系20、第1トーチ22および第2トーチ24を固定して使用してもよい。レーザ発振器18は、予め設定した所定の出力値を出力するが、制御部28で設定した出力値の信号を受け、それを出力してもよい。アーク発生部25は、レーザ発生部17と同様に制御部28によってその出力を制御することができる。また、第2ワイヤ送給部23は、制御部28によってその送給速度および送給の開始と停止を制御することができる。
図6に示した構成の複合溶接装置の動作について説明する。溶接を開始する時には、溶接開始命令を受けた制御部28は、レーザ発生部17にレーザ溶接の開始信号を送りレーザビーム1の照射を開始する。それと共に、制御部はアーク発生部25にアーク溶接の開始信号を送ってアーク放電を開始し、また第2ワイヤ送給部23にワイヤ送給の開始信号を送るよう動作する。溶接を終了する時には、溶接終了命令を受けた制御部28は、レーザ発生部17にレーザ溶接終了信号を送りレーザビーム1の照射を終了する。それと共に、制御部28はアーク発生部25にアーク溶接終了信号を送ってアーク放電を終了し、また第2ワイヤ送給部23にワイヤ送給の終了信号を送ることによって溶接を終了するよう動作する。
以上の説明では、レーザビーム1、第1ワイヤ12および第2ワイヤ13の配置については言及しなかったが、それは図1〜図5に示した配置が適用するものである。
以上のように本実施の形態2によれば、レーザビーム1を照射しながらアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、レーザビーム1とアーク溶接により形成した溶融池14に第2ワイヤ13を供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
以上の説明では、第2ワイヤ13として1本のワイヤをもって図示したが、言うまでもなく、2本以上の第2ワイヤ13を使用してもよい。その時、それぞれの第2ワイヤ13を供給するために、それぞれのワイヤ送給部とトーチを設けるのは、言うまでもない。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における複合溶接方法の構成を示す模式図、図8は図7のセンシング部の配置を示す模式図である。
図7の複合溶接方法の構成は、図6の構成において、制御部28の代わりに溶接位置2aの近傍Aの溶接状況をセンシングするセンシング部29からの信号を入力信号とする制御部30を使用したものである。制御部30は、センシング部29の信号を受け、それに基づいてレーザ発生部17、アーク発生部25および第2ワイヤ送給部23を制御する。なお、図6の構成に示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図7に示したセンシング部29の動作について、図8を参照しつつ説明する。図8に示すようにセンシング部29は、センサユニット31と光ビーム32とから構成される。センサユニット31は、その発光部からは被溶接物2の突合せ部の任意の箇所に対して光ビーム32を照射している。この光ビーム32は、被溶接物2の突合せ部に対して垂直な方向を示す8A−8A線の方向に長く伸びた形をしている。センサユニット31は光ビーム32を照射すると共に、その受光部からは光ビーム32が被溶接物2に当たった場合の照射位置の形状をキャッチし、それを測定する機能を備えている。なお、センサユニット31は、照射位置の形状に基づき被溶接物2の突合せ面における隙間であるギャップを算出し、ギャップ信号を制御部30に出力する。
以上の説明では、光ビーム32を8A−8A線の方向に長く伸びた形のものとして説明したが、言うまでもなく、それはセンサユニット31から発生して8A−8A線の方向に沿って高速にスキャンするスポット状のビームであってもよい。その際、センサユニット31は、スポット状のビームが被溶接物2に当たった場合の照射位置の軌跡によって被溶接物2の突合せ部のギャップを計測してもよい。
次に制御部30の動作について説明する。実際の溶接では、被溶接物2の突合せ面においてギャップが存在し、さらにこのギャップの大きさなどが場所によって変動する場合がある。したがって、良好な溶接ビードを得るためには、ギャップの大きさなどに応じて溶接条件を変える必要がある。図7に示す制御部30は、図6において説明した制御部28の持つ機能以外に、センシング部29から入力したギャップ信号に基づき、一定の溶接ビードが得られるよう動作する。この一定の溶接ビードは、第2ワイヤ13の送給、レーザビーム1の照射およびアーク溶接の停止、再開、またはその条件変更を行うことによって得られる。但し、図8に示したように、光ビーム32の照射位置を示す8A-8A線の方向は厳密には溶融池14が形成される位置と一致しない。実際に溶接を行ったときの条件などを参考にして8A−8A線と溶融池14との距離は予め制御部30に入力されていてもよい。
以上のように本実施の形態3によれば、レーザビーム1を照射しながらアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、レーザビーム1とアーク溶接により形成した溶融池14に第2ワイヤ13を供給している。このことによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げると共に、被溶接物2にギャップ3があっても良好な溶接ビードを得ることができる。
以上の本実施の形態1から3の説明では、図1〜図8に示した通り、ギャップ3を持った被溶接物2の突合せ溶接を例にして説明した。しかしながら、このような突合せ溶接以外の継手においても同様に、本実施の形態1から3における複合溶接方法を使用すればアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。また、被溶接物2にギャップ3があっても良好な溶接ビードを得ることができる。
また、以上の説明では、溶接方向に対し、レーザビーム1の照射の位置、第1ワイヤ12の送給の位置および第2ワイヤ13の送給の位置のうちのそれぞれの位置の前後の順を変えて配置した構成について説明した。レーザビーム1の照射の位置、第1ワイヤ12の送給の位置および第2ワイヤ13の送給の位置のうちのそれぞれの位置の配置については、溶接方向に沿った方向ではなく垂直する方向において行ってもよい。また、以上の説明では、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とのワイヤ径については言及しなかったが、言うまでもなく、両者は同じでもよく、異なってもよい。
(実施の形態4)
実施の形態1から3においてレーザ溶接とアーク溶接とを同時に行う複合溶接方法および複合溶接装置において、溶接を行う時の溶融池に第2ワイヤを供給することによって被溶接物に溶着する金属量の自由調整を行っている。
図9は本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の構成を示す模式図、図10は本発明の本発明の実施の形態1において示した複合溶接方法の原理を示す模式図である。
図9に示すように被溶接物101に対してレーザビーム102が照射され、送給された第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104が形成されている。溶滴105は第1ワイヤ103が溶融して形成され、溶融池106はレーザビーム102とアーク104とにより形成されている。この溶融池106に第2ワイヤ107が送給され、溶融池106が凝固してビード108が形成されている。
図10は複合溶接方法の原理を示す模式図で、複合溶接方法の溶着量とアーク電流の関係を示している。図10において溶融曲線MRは従来の消耗電極式のアーク溶接方法の溶着量を示す溶融曲線である。目標の溶着量をVW0とすると、アーク溶接でこの溶着速度を実現するには、溶融曲線MRよりIのアーク電流で溶接を行う必要がある。
一方、本実施の形態1の複合溶接方法では、例えば、溶融曲線MRで示す溶着量VWFで第2ワイヤ13を送給すると、溶着量は溶融曲線MRに従う。したがって、同じ目標の溶着量VW0では、溶融曲線MRによりアーク電流IからIに低下する。すなわち、同一の溶着量を実現した場合、この複合溶接方法ではアーク溶接の入熱をI/I倍に下げることができる。しかし、この複合溶接方法では、レーザビーム102と第1ワイヤ103のみではなく第2ワイヤ107も必要である。したがって、溶接を開始する時または溶接を終了する時にはレーザビーム102、第1ワイヤ103および第2ワイヤ107の三者のシーケンスを、良好なアークスタート性能または終了部ビード形状が得られるよう、決定しなければならない。
図11は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の構成を示す模式図である。なお、図9および図10に示した内容と同様の構成要素並びに動作、作用および効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
図11に示すように本実施の形態4の複合溶接装置は、レーザ発生部109とアーク発生部113と第1ワイヤ送給部119と第2ワイヤ送給部120と制御部122とを備えている。ここで、レーザ発生部109はレーザ発振器110、レーザ伝送部111および集光光学系112を含んで構成されている。アーク発生部113はケーブル114、115、116によって電流検出部117と第1ワイヤ103を送給する第1トーチ118および被溶接物101とに接続されている。そして、アーク発生部113は第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するための電力を送給している。第1ワイヤ送給部119は第1トーチ118を通って第1ワイヤ103を被溶接物101に送給し、第2ワイヤ送給部120は第2トーチ121を通って第2ワイヤ107を被溶接物101に形成した溶融池106に送給している。制御部122はケーブル114およびケーブル116に接続される電圧検出部124からのアーク電圧検知信号と電流検出部117からの電流検知信号と時間設定部123で設定した所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3とを入力している。そして、制御部122はレーザ発生部109、アーク発生部113および第2ワイヤ送給部120を制御している。
ところで、図11に示すようにレーザ発生部109は、その集光光学系112によってレーザビーム102を集光して被溶接物101に照射している。集光光学系112は一枚あるいは複数のレンズから構成されてもよい。レーザ伝送部111は光ファイバであってもよく、レンズによって組み合わせた伝送系であってもよい。レーザ発振器110は、図示していないが、外部の制御装置によってその出力値および出力タイミングを自由に制御することができる。アーク発生部113は、溶接を開始する時には第1ワイヤ送給部119を制御し、第1ワイヤ103を被溶接物101に向かって送給する。それと共にアーク発生部113は、第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するように制御する。そして、溶接を終了する時には第1ワイヤ送給部119による第1ワイヤ103の送給を停止すると共に、アーク発生部113はアーク104を停止するよう制御する。
ここで、電流検出部117はケーブル115とケーブル116に接続されるシャントであってもよく、ホール素子などのような半導体素子を使用してもよい。第2ワイヤ送給部120は、その送給速度および送給の開始と停止は外部の制御装置によって自由に制御することができる。制御部122は、コンピュータを使用してもよいが、コンピュータのような演算機能を有する部品、デバイス、装置あるいはそれらの組み合わせを使用してもよい。また、制御部122としてロボットを使用してもよい。詳細の説明を省略するが、ロボットを使用する場合は、ロボットのマニピュレータ部に集光光学系112と第1トーチ118と第2トーチ121とを固定して使用してもよい。電圧検出部124は、ケーブル114とケーブル116に接続されると説明したが、できるだけ第1ワイヤ103と被溶接物101とにおける、アーク104に近い位置に接続することが望ましい。
次に本実施の形態4における複合溶接装置の動作について、図12を参照しつつ説明する。
図12は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の動作シーケンスを示す図である。溶接を開始する時には、制御部122は溶接開始命令を受けると、アーク発生部113を制御して第1ワイヤ送給部119より第1ワイヤ103を溶接位置102aに送給する。それと共に、アーク溶接の電力を供給して第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するよう動作する。第1ワイヤ103が被溶接物101と接触して溶接電流が流れると、電流検出部117では溶接電流が流れたタイミングを検知して電流検知信号を制御部122に出力する(後述の図15を参照)。図12では電流検知信号としてON(以下、「オン」とする)/OFF(以下、「オフ」とする)と表示している。オンは電流検知信号が出力された時間を示し、オフは電流検知信号が出力されなくなった時間を示す。
図12に示すように、時間t1は電流検知信号が制御部122に出力された時間に該当する。制御部122では、電流検知信号を受けると、直ちにレーザ発生部109を制御してレーザビーム102の照射を開始する。その後、時間設定部123で設定した所定の時間ΔT1が経過した時間t2では、制御部122は第2ワイヤ送給部120を制御して第2ワイヤ107の送給を開始する。その後、通常の複合溶接が行われる。以上に示した溶接開始シーケンスでは、電流検知信号を受けてから直ちにレーザビーム102の照射を開始することによって良好なアークスタート性能を得ることができる。また、所定の時間ΔT1を設けるのは、この期間中においてレーザビーム102とアーク104とによって形成した溶融池106の形状がある程度整えられるためのものである。
一方、溶接を終了する時には、制御部122は、溶接停止命令を受けると直ちに第2ワイヤ送給部120を制御して第2ワイヤ107の送給を停止する。これは、図12の時間t3に該当する。その後、所定の時間ΔT2が経過した時間t4では、制御部122は、レーザ発生部109を制御してレーザビーム102の照射を停止する。更に、所定の時間ΔT3が経過した時間t5では、制御部122は、アーク発生部113を制御して第1ワイヤ103の送給を停止する。それと共に、制御部122はアーク104によるアーク溶接を終了するよう動作する。以上に示した溶接終了シーケンスでは、第2ワイヤ107の送給を停止してからレーザビーム102の照射またはアーク溶接を終了するように動作する。したがって、第2ワイヤ107が溶融池106に突っ込むことなく良好な終了部ビード形状を得ることができる。
以上のように本実施の形態4における複合溶接装置によれば、被溶接物101の溶接位置102aにレーザビーム102を照射しながら溶接位置102aに第1ワイヤ103を送給して被溶接物101との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法を用いる。この複合溶接装置において、レーザビーム102とアーク溶接とにより形成した溶融池106に第2ワイヤ107を送給する。それと共に、溶接を開始する時には第2ワイヤ107の送給はレーザビーム102の照射とアーク溶接のうちの少なくとも何れかが開始してから所定の時間が経過した後に開始する。溶接を終了する時には第2ワイヤ107の送給を停止してから所定の時間が経過した後にレーザビーム102の照射を停止し、更に所定の時間が経過した後にアーク溶接を停止する。このような構成とすることによって良好なアークスタート性能と終了部ビード形状を得ることができる。
以上に示した本実施の形態4における複合溶接装置の動作において、図12の動作シーケンスと溶接走行とを併せて実施することによっても上述の内容と同様の効果を得ることができる。その動作について、図13を参照しつつ説明する。
図13は本発明の実施の形態4における複合溶接装置の別の動作シーケンスを示す図である。溶接走行装置は図11には図示していないが、溶接走行は、ロボットを使用してそのマニピュレータ部に集光光学系112、第1トーチ118および第2トーチ121を固定して行ってもよい。言うまでもなく、ロボット以外の可動装置に集光光学系112、第1トーチ118および第2トーチ121とを固定して溶接を行ってもよい。溶接を開始する時には、時間t1から所定の時間ΔT1が経過した後の時間t2では、溶接走行装置の溶接走行を開始するようにしている。溶接を終了する時には、図13に示すように第2ワイヤ107の送給が停止した時間t3では、溶接走行装置の溶接走行を終了するようにしている。
以上の動作シーケンスを使用する理由は、以下の通りである。溶接を開始する時には、被溶接物101の溶接位置102aはまだ冷たい。したがって、この溶接位置102aの部分のビードの広がりおよび溶込みを確保するために、通常、溶接を開始してからトーチまたはレーザヘッドをしばらくその位置で停止するよう溶接シーケンスが組まれる。その後の通常の溶接の部分と比較すると、この部分では第1ワイヤ103による溶着金属が送給されるので、その堆積が発生する。この位置で更に第2ワイヤ107を送給すると、溶着金属の体積が過多となり、ビード外観が損なわれてしまう。したがって、溶接走行が開始してからの第2ワイヤ107の送給が望ましいのである。
一方、溶接を終了する時には、従来のアーク溶接では、所定の溶接位置に達した時点で溶接走行を停止し、その位置でクレータ処理を行う。本実施の形態4における複合溶接装置でも従来のアーク溶接と同様な考え方で、クレータ処理を行う必要がある。なお、クレータ処理については、第1ワイヤ103の溶着金属量だけで十分な場合が多く、良好なビード外観を得るためには、通常は図13に示すように第2ワイヤ107を送給しなくてもよい。
また、以上に示した本実施の形態4における複合溶接装置において、図14に示す動作を行うことによって上述の内容と同様の効果を得ることができる。その内容を説明する。
図14は本発明の実施の形態4における複合溶接装置のさらに別の動作シーケンスを示す図である。溶接を開始する時には、制御部122は溶接開始命令を受けると、図14に示すようにレーザ発生部109を制御して直ちにレーザビーム102の照射を開始する。これは、図14の時間t1に該当する。その後、所定の時間ΔT1が経過した時間t2では、制御部122は、アーク発生部113を制御して第1ワイヤ送給部119より第1ワイヤ103を溶接位置に送給する。それと共に、アーク溶接の電力を送給して第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク104を発生するよう動作する。第1ワイヤ103が被溶接物101と接触して溶接電流が流れると、電流検出部117では溶接電流が流れた時間を検知して電流検知信号を制御部122に出力する(後述の図15を参照)。
一方、電圧検出部124では、溶接電流が流れ、被溶接物101に接触していた第1ワイヤ103の先端からアーク104が発生する。そうすると、それを検知してアーク電圧検知信号(後述の図15を参照)が制御部122に出力される。制御部122では、溶接電流検知信号を受け、更にアーク電圧信号を受けると直ちに第2ワイヤ送給部120を制御して第2ワイヤ107の送給を開始する。その後の動作は、図12および図13の動作シーケンスで説明した内容と同様であるので、その説明は省略する。
図12〜図14の動作シーケンスの電流検知信号またはアーク電圧検知信号の概略について、図15を参照しつつ説明する。
図15は電流検知信号とアーク電圧検知信号の出力タイミングを示す模式図である。時間ta、時間tbおよび時間tcは,図12と図13の時間t1、または図14の時間t2の部分の時間軸を拡大したものに該当する。時間taまでは,アーク発生部113から電力が出力される期間である。それと共に、第1ワイヤ103が被溶接物101の溶接位置102aに向かって送給され、第1ワイヤ103が被溶接物101に接触するまでの期間が時間taである。この間、第1ワイヤ103を流れる電流が0アンペアであるが、第1ワイヤ103と被溶接物101との間に無負荷電圧VNLがかかる。時間taでは、第1ワイヤ103が被溶接物101に接触するが、両者の間の電圧がほとんど0ボルトとなる。時間taと時間tcとの間では、第1ワイヤ103を流れる電流が増加し、その先端が加熱されるが、まだアーク104が発生していない。この期間は、短絡期間である。図15に示すように、電流検出部117は、第1ワイヤ103を流れる電流が予め設定されていた電流検知レベルIDCに達した時間tbでは電流検知信号を制御部122に出力する。時間tcでは、第1ワイヤ103の先端からアーク104が発生すると共に、アーク電流IARCが流れ、第1ワイヤ103と被溶接物101との間にアーク電圧VARCがかかる。電圧検出部124は、図示していないが、第1ワイヤ103と被溶接物101との間にかかる電圧が予め設定されていた電圧検知レベルVDCに達した時点でアーク電圧検出信号を制御部122に出力する。通常のアーク溶接では、時間taから時間tcまでの時間が非常に短いので、図14では、電流検知信号とアーク電圧検知信号とは同じ時間t2で表記している。
図12〜図14では、第2ワイヤ107での送給を停止してから所定の時間ΔT2だけレーザビーム102の照射を続けているが、所定の時間ΔT2を0秒としてもよい。なお、何れの場合においても、クレータ処理は所定の時間ΔT3で行うことが望ましい。
以上の説明では、溶接を開始する時には、第2ワイヤ107の送給はレーザビーム102の照射とアーク溶接との少なくとも何れかが開始してから所定の時間が経過した後に開始してもよい。または、レーザビーム102の照射とアーク溶接との両方が開始してから開始してもよい。または、アーク溶接が開始しアーク電流が流れたことを検知してから直ちにレーザビーム102の照射を開始し、所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を開始してもよい。または、レーザビーム102の照射が開始し所定の時間が経過した後にアーク溶接を開始し、更に所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を開始してもよい。または、レーザビーム102の照射が開始して所定の時間が経過した後にアーク溶接を開始し、アーク溶接のアーク放電が開始してから直ちに第2ワイヤ107の送給を開始してもよい。
また、溶接を終了する時には、第2ワイヤ107の送給を停止してから所定時間が経過した後にレーザビーム102の照射とアーク溶接とを停止してもよい。または、第2ワイヤ107の送給を停止してから所定の時間が経過した後にレーザビーム102の照射を停止し、更に所定の時間が経過した後にアーク溶接を停止してもよい。または、レーザビーム102の照射を停止してから所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を停止し、更に所定の時間が経過した後にアーク溶接を停止してもよい。または、アーク溶接を停止してから所定の時間が経過した後に第2ワイヤ107の送給を停止し、更に所定の時間が経過した後にレーザビーム102の照射を停止してもよい。なお、アーク溶接が停止してからのレーザビーム102の出力と第2ワイヤ107の送給速度との両方とも、それまでの溶接に使用した値以下にしてもよい。
また、アーク溶接としてパルスMIGアーク溶接を使用してもよく、レーザビーム発生部としてYAGレーザ、半導体レーザおよびファイバレーザのうちの少なくとも何れかを使用してもよい。
また、被溶接物、第1ワイヤおよび第2ワイヤは材質がアルミニウム合金、または鉄鋼のものを使用してもよい。
以上のように本発明によれば、レーザビームとアーク溶接とにより形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することによって、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることのできる複合溶接方法および複合溶接装置を実現できる。この複合溶接方法および複合溶接装置を使用すると、各種の金属などを溶接し良好なビード形状を得ることができ有用である。
1,102 レーザビーム
2,101 被溶接物
2a,102a 溶接位置
3 ギャップ
4,10,15,108 ビード
5,11 溶落ち部分
6 ワイヤ
7,104 アーク
8,105 溶滴
9,14,106 溶融池
12,103 第1ワイヤ
13,107 第2ワイヤ
16 複合ノズル
17,109 レーザ発生部
18,110 レーザ発振器
19,111 レーザ伝送部
20,112 集光光学系
21,119 第1ワイヤ送給部
22,118 第1トーチ
23,120 第2ワイヤ送給部
24,121 第2トーチ
25,113 アーク発生部
26,27,114,115,116 ケーブル
28,30,122 制御部
29 センシング部
31 センサユニット
32 光ビーム
117 電流検出部
123 時間設定部
124 電圧検出部

Claims (77)

  1. 被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ溶接と、前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物と前記第1ワイヤとの間のアーク溶接を同時に行う複合溶接方法であって、
    前記レーザ溶接と前記アーク溶接とにより形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することを特徴とする複合溶接方法。
  2. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記レーザビームの照射を溶接方向の前方に配置し前記第1ワイヤを前記レーザビームの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記レーザビームの前方の方向から供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  3. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記レーザビームの照射を溶接方向の前方に配置し前記第1ワイヤを前記レーザビームの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記レーザビームと前記第1ワイヤとの間の位置から供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  4. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記レーザビームの照射を溶接方向の前方に配置し前記第1ワイヤを前記レーザビームの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記第1ワイヤの後方の方向から供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  5. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記第1ワイヤを溶接方向の前方に配置し前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記第1ワイヤの前方の方向から供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  6. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記第1ワイヤを溶接方向の前方に配置し前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記第1ワイヤと前記レーザビームとの間の位置から供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  7. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記第1ワイヤを溶接方向の前方に配置し前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後方に配置し、前記第2ワイヤをレーザ照射の後方の方向から供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  8. 前記レーザビームの光軸、前記第1ワイヤの中心軸および前記第2ワイヤの中心軸がそれぞれ異なる軸芯である請求項1から7の何れか1項に記載の複合溶接方法。
  9. 前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの内、いずれか一方の中心軸を前記レーザビームの光軸と同軸に配置する請求項1から7の何れか1項に記載の複合溶接方法。
  10. 前記アーク溶接に用いるシールドガスは、前記第2ワイヤを送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルおよび前記第1ワイヤを送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルのうちの少なくとも何れかから供給する請求項1に記載の複合溶接方法。
  11. 前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにする請求項10に記載の複合溶接方法。
  12. 前記シールドガスは、前記第2ワイヤと前記第1ワイヤとを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給する請求項10に記載の複合溶接方法。
  13. 前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給する前記シールドガスを溶接部位に応じて前記シールドガスの供給と停止を独立に行う請求項10に記載の複合溶接方法。
  14. 前記シールドガスを停止、または再開する際に前記レーザビームの照射条件および前記アーク溶接の条件のうちの少なくとも何れかを変化する請求項13に記載の複合溶接方法。
  15. 前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとを同一の材質とする請求項1に記載の複合溶接方法。
  16. 前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは、同一の主成分を持つが異なる材質のものとする請求項1に記載の複合溶接方法。
  17. 前記被溶接物、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは、その主成分をアルミニウムとする請求項1に記載した複合溶接方法。
  18. 前記被溶接物、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは、その主成分を鉄とする請求項1に記載の複合溶接方法。
  19. 溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本の供給を停止する請求項1に記載の複合溶接方法。
  20. 前記第2ワイヤの少なくとも1本の供給を停止、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件、前記アーク溶接の条件および前記第2ワイヤの稼働している少なくとも1本の送給速度とのうちの少なくとも何れかを変える請求項1に記載の複合溶接方法。
  21. 溶接部位により、前記レーザビームの照射または前記アーク溶接を停止する請求項1に記載の複合溶接方法。
  22. 前記レーザビームの照射または前記アーク溶接を停止する、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件、前記第1ワイヤの送給速度および前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度のうちの少なくともいずれかを変える請求項1に記載の複合溶接方法。
  23. 溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変える請求項1に記載の複合溶接方法。
  24. 前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変える際には、前記レーザビームの照射条件および前記アーク溶接の条件のうちの少なくとも何れかを変える請求項1に記載の複合溶接方法。
  25. 前記第2ワイヤの供給、前記レーザビームの照射および前記アーク溶接の停止、再開、またはそれらの条件変更は、センサからの入力信号に応じて行う請求項19に記載の複合溶接方法。
  26. 前記レーザビームの照射の代わりに、プラズマアークを使用する請求項1に記載の複合溶接方法。
  27. 前記アーク溶接として、パルスアーク溶接を用いる請求項1に記載の複合溶接方法。
  28. 溶接を開始する時には前記第2ワイヤの送給を前記レーザビームの照射および前記アーク溶接のうちの少なくとも何れかが開始してから所定の時間が経過した後に開始する請求項1に記載の複合溶接方法。
  29. 溶接を開始する時には前記第2ワイヤの送給を前記レーザビームの照射および前記アーク溶接の両方を開始してから所定の時間が経過した後に開始する請求項1に記載の複合溶接方法。
  30. 溶接を開始する時には前記アーク溶接を開始しアーク電流が流れたことを検知してから直ちに前記レーザビームの照射を開始し、所定の時間が経過した後に前記第2ワイヤの供給を開始する請求項1に記載の複合溶接方法。
  31. 前記所定の時間を0秒とする請求項28に記載の複合溶接方法。
  32. 溶接を開始する時には前記レーザビームの照射を開始して所定の時間が経過した後に前記アーク溶接を開始し、更に所定の時間が経過した後に前記第2ワイヤの送給を開始する請求項1に記載の複合溶接方法。
  33. 溶接を開始する時には前記レーザビームの照射を開始して所定の時間が経過した後に前記アーク溶接を開始し、前記アーク溶接のアーク放電を開始してから直ちに前記第2ワイヤの送給を開始する請求項1に記載の複合溶接方法。
  34. 溶接を終了する時には前記第2ワイヤの送給を停止してから所定の時間が経過した後に前記レーザビームの照射および前記アーク溶接を停止する請求項1に記載の複合溶接方法。
  35. 溶接を終了する時には前記第2ワイヤの送給を停止してから所定の時間が経過した後に前記レーザビームの照射を停止し、更に所定の時間が経過した後に前記アーク溶接を停止する請求項1に記載の複合溶接方法。
  36. 溶接を終了する時には前記レーザビームの照射を停止してから所定の時間が経過した後に前記第2ワイヤの送給を停止し、更に所定の時間が経過した後に前記アーク溶接を停止する請求項1に記載の複合溶接方法。
  37. 溶接を終了する時には前記アーク溶接を停止してから所定の時間が経過した後に前記第2ワイヤの送給を停止し、更に所定の時間が経過した後に前記レーザビームの照射を停止する請求項1に記載の複合溶接方法。
  38. 前記アーク溶接が停止してからの前記レーザビームの出力および前記第2ワイヤの送給速度の両方の値を、それまでの前記アーク溶接において使用した値以下にする請求項37に記載の複合溶接方法。
  39. 前記アーク溶接としてパルスMIGアーク溶接を用いる請求項28に記載の複合溶接方法。
  40. 前記レーザビームとしてYAGレーザ、半導体レーザ、またはファイバレーザの何れかを用いる請求項1に記載の複合溶接方法。
  41. 前記被溶接物と前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとして材質がアルミニウム合金のものを用いる請求項1に記載の複合溶接方法。
  42. 被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ発生部と、
    第1トーチを介して前記溶接位置に第1ワイヤを送給する第1ワイヤ送給部と、
    前記第1ワイヤと前記被溶接物にアーク溶接のための電力を供給するアーク発生部と、
    少なくとも1本の第2トーチを介して前記溶接位置に少なくとも1本の第2ワイヤを送給する第2ワイヤ送給部と、
    前記レーザ発生部、前記アーク発生部および前記第2ワイヤ送給部を制御する制御部とを備え、
    前記第1ワイヤと前記被溶接物との間の位置に前記アーク溶接と前記レーザビームとにより形成した溶融池に前記第2ワイヤを供給することを特徴とする複合溶接装置。
  43. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記レーザビームの照射を溶接方向の前方に配置し前記第1ワイヤを前記レーザビームの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記レーザビームの前方の方向から供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  44. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記レーザビームの照射を溶接方向の前方に配置し前記第1ワイヤを前記レーザビームの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記レーザビームと前記第1ワイヤとの間の位置から供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  45. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記レーザビームの照射を溶接方向の前方に配置し前記第1ワイヤを前記レーザビームの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記第1ワイヤの後方の方向から供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  46. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記第1ワイヤを溶接方向の前方に配置し前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記第1ワイヤの前方の方向から供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  47. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記第1ワイヤを溶接方向の前方に配置し前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後方に配置し、前記第2ワイヤを前記第1ワイヤと前記レーザビームとの間の位置から供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  48. 溶接が進行する溶接方向に対し、前記第1ワイヤを溶接方向の前方に配置し前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後方に配置し、前記第2ワイヤが前記レーザ照射の後方の方向から供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  49. 前記レーザビームの光軸、前記第1ワイヤの中心軸および前記第2ワイヤの中心軸がそれぞれ異なる軸芯である請求項42に記載の複合溶接装置。
  50. 前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの内、いずれか一方の中心軸を前記レーザビームの光軸と同軸に配置する請求項42に記載の複合溶接装置。
  51. シールドガスは、前記第2ワイヤを送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルおよび前記第1ワイヤを送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルのうちの少なくとも何れかから供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  52. 前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにする請求項51に記載の複合溶接装置。
  53. シールドガスは、前記第2ワイヤと前記第1ワイヤとを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給する請求項42に記載の複合溶接装置。
  54. 前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給する前記シールドガスを溶接部位に応じて前記シールドガスの供給と停止を独立に行う請求項51に記載の複合溶接装置。
  55. 前記シールドガスを停止、または再開する際に前記レーザビームの照射条件および前記アーク溶接の条件のうちの少なくとも何れかを変化する請求項54に記載の複合溶接装置。
  56. 前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとを同一の材質とする請求項42に記載の複合溶接装置。
  57. 前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは、同一の主成分を持つが異なる材質のものとする請求項42に記載の複合溶接装置。
  58. 前記被溶接物、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは、その主成分をアルミニウムとした請求項42に記載の複合溶接装置。
  59. 前記被溶接物、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤとして、その主成分を鉄とした請求項42に記載の複合溶接装置。
  60. 溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本の供給を停止する請求項42に記載の複合溶接装置。
  61. 前記第2ワイヤの少なくとも1本の供給を停止、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件、前記アーク溶接の条件および前記第2ワイヤの稼働している少なくとも1本の送給速度とのうちの少なくとも何れかを変える請求項42に記載の複合溶接装置。
  62. 溶接部位により、前記レーザビームの照射または前記アーク溶接を停止する請求項42に記載の複合溶接装置。
  63. 前記レーザビームの照射または前記アーク溶接を停止する、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件、前記第1ワイヤの送給速度および前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度のうちの少なくともいずれかを変える請求項42に記載の複合溶接装置。
  64. 溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変える請求項42に記載の複合溶接装置。
  65. 前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度および溶接速度のうちの少なくとも何れかを変える際には、前記レーザビームの照射条件および前記アーク溶接の条件のうちの少なくとも何れかを変える請求項42に記載の複合溶接装置。
  66. 前記第2ワイヤの供給、前記レーザビームの照射および前記アーク溶接の停止、再開、またはそれらの条件変更は、センサからの入力信号に応じて行う請求項60に記載の複合溶接装置。
  67. 前記レーザビームの照射の代わりに、プラズマアークを使用する請求項42に記載の複合溶接装置。
  68. 前記アーク溶接としてパルスアーク溶接を用いる請求項42に記載の複合溶接装置。
  69. 被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ発生部と、
    第1トーチを介して前記溶接位置に第1ワイヤを送給する第1ワイヤ送給部と、
    第2トーチを介して前記溶接位置に第2ワイヤを送給する第2ワイヤ送給部と、
    前記第1ワイヤ送給部を制御し、かつ前記第1ワイヤと前記被溶接物にアーク溶接のための電力を送給するアーク発生部と、
    時間設定部からの所定の時間ΔT1、ΔT2、ΔT3と電流検出部からの電流検知信号とを入力し、前記レーザ発生部、前記アーク発生部および前記第2ワイヤ送給部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、溶接を開始する時には前記アーク発生部を制御してアーク溶接を開始させ、前記電流検知信号を受けると直ちに前記レーザ発生部を制御して前記レーザビームの照射を始めさせ、前記所定の時間ΔT1が経過した後に前記第2ワイヤ送給部を制御して前記第2ワイヤの送給を開始させるよう溶接を行わせるが、
    溶接を終了する時には前記第2ワイヤの送給を停止させてから前記所定の時間ΔT2が経過した後に前記レーザビームの照射を終了させ、更に前記所定の時間ΔT3が経過した後にアーク溶接を終了させるように制御して複合溶接装置を動作させることを特徴とする複合溶接装置。
  70. 被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ発生部と、
    第1トーチを介して前記溶接位置に第1ワイヤを送給する第1ワイヤ送給部と、
    第2トーチを介して前記溶接位置に第2ワイヤを送給する第2ワイヤ送給部と、
    前記第1ワイヤ送給部を制御し、かつ前記第1ワイヤと前記被溶接物にアーク溶接のための電力を送給するアーク発生部と、
    時間設定部からの所定の時間ΔT1、ΔT1、ΔT3と電流検出部からの電流検知信号と電圧検出部からのアーク電圧検知信号とを入力し、前記レーザ発生部、前記アーク発生部および前記第2ワイヤ送給部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、溶接を開始する時には前記レーザ発生部を制御して前記レーザビームの照射を開始させ、前記所定の時間ΔT1が経過した後に前記アーク発生部を制御してアーク溶接を開始させ、前記電流検知信号と前記アーク電圧検知信号を受けると直ちに前記第2ワイヤ送給部を制御して前記第2ワイヤの送給を開始させるよう溶接を行わせるが、
    溶接を終了する時には前記第2ワイヤの送給を停止させてから前記所定の時間ΔT2が経過した後に前記レーザビームの照射を終了させ、更に前記所定の時間ΔT3が経過した後に前記アーク溶接を終了させるように制御して複合溶接装置を動作させることを特徴とする複合溶接装置。
  71. 溶接走行の開始を前記所定の時間ΔT1の終了と一致させる請求項69または70に記載の複合溶接装置。
  72. 溶接走行の停止を前記第2ワイヤの停止と一致させる請求項69または70に記載の複合溶接装置。
  73. 前記所定の時間ΔT3中にクレータ処理を行う請求項69または70に記載の複合溶接装置。
  74. 前記所定の時間ΔT2を0秒とする請求項69または70に記載の複合溶接装置。
  75. 前記アーク溶接としてパルスMIGアーク溶接を用いる請求項69または70に記載の複合溶接装置。
  76. 前記レーザビーム発生部としてYAGレーザ、半導体レーザおよびファイバレーザのうちの少なくとも何れかを用いる請求項69または70に記載の複合溶接装置。
  77. 前記被溶接物、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは材質がアルミニウム合金のものを用いる請求項69または70に記載の複合溶接装置。
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