JPWO2009113195A1 - ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体、触媒体製造方法、ブラシ状カーボンナノ構造物及びその製法 - Google Patents

ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体、触媒体製造方法、ブラシ状カーボンナノ構造物及びその製法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ロープ状CNT等のCNT集合体の作製に利用することができる高密度なブラシ状カーボンナノ構造物を高効率に製造すること及びその製造を可能にするブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を提供することを目的とする。本発明は、基体32と前記基体表面に形成された反応防止層34と前記反応防止層34上の触媒層40からなり、前記触媒層40が前記反応防止層34上の触媒金属層36と前記触媒金属層36の表面に形成された凝集抑制層38から構成されるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体1、その製造方法、触媒体を用いて製造されたブラシ状カーボンナノ構造物及びその製法である。

Description

本発明は、ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体及びその製造方法に関し、更に詳細には、ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体、その製造方法、前記触媒体を用いて生成されたブラシ状CNT構造物及び触媒体を用いた前記構造物の製造方法に関する。
本発明のカーボンナノ構造物とは、炭素原子から構成されるナノサイズの物質であり、例えば、カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称す)、CNTがコイル状に形成されるカーボンナノコイル(以下「CNC」と称す)、CNTにビーズが形成されたビーズ付CNT、底の無いカップ状のグラフェンが積層して形成されるカップスタック型ナノチューブなどが知られている。更に、CNCやCNTがブラシ状に密集するブラシ状CNTや先端が角状に丸められた多数のCNTが放射状に密集するカーボンナノホーンなど、ナノサイズの炭素物質がブラシ状に密集して形成されるカーボンナノ構造物をブラシ状カーボンナノ構造物と称している。
CNTは、直径が約0.5nm〜10nm程度、長さが1μm程度のパイプ状の炭素物質であり、1991年に飯島氏によって発見された新規の炭素材料である。CNTは、極めて微細な構造を有することから、CNTの肉眼での観察や操作を行うことが困難であり、その取り扱い性や加工性を向上させるため、CNT集合体を製造することが試みられている。例えば、肉眼で視認することができるCNT集合体を製造することが可能であり、以下に詳述するように、いわゆるブラシ状に形成されたCNT構造物を用いて製造されたロープ状のCNT集合体(以下、「ロープ状CNT」と称す)が存在する。
図16は、従来のロープ状CNT152の製造方法を説明する概略図である。(16A)に示すように、基体132の表面上に前記基体132に対して略垂直に配向するブラシ状CNT148を形成し、(16B)に示すように、隣接する複数のCNT146が絡み合った束状CNT集合体150をピンセット160等によって引っ張ることにより、ロープ状CNT152を製造することが可能である。即ち、複数のCNT146からなる集合体、いわゆるロープ状CNT152の製造工程は、(1)基体上に基体132に対して垂直方向に配向した複数のCNT146を形成する化学気相成長(CVD)工程、(2)基体132を劈開する劈開工程、(3)CNT146の複数本又は束状CNT集合体150を引張り、ロープ状CNT152を形成する引張工程からなる。国際公開第WO2005/102924A1パンフレット(特許文献1)には、複数のCNTが互いに絡みあった束状の集合体であるロープ状CNTとこのロープ状CNT(特許文献1では、「CNTロープ」と呼ばれている)が平面的に集合したCNT集合体である「CNTシート」の製造方法が記載されている。
非特許文献1には、鉄触媒の昇温工程において、ヘリウムガス雰囲気中における鉄触媒が、室温からCNT構造物成長温度(700℃)に至る過程で、鉄元素状態からマグネタイト(Fe)状態を経て、700℃ではヘマタイト(Fe)等の酸化鉄状態に相転移する技術的説明が示されている。図17の(16A)は、非特許文献1に記載される従来の珪素基体表面に形成された鉄触媒粒子の原子間力顕微鏡(AFM)像であり、(17B)は、(17A)の点線で示した領域(縦横共に500nm)の拡大像である。鉄粒子が凝集して触媒粒子径100nm程度まで成長した肥大化触媒粒子が形成されており、CNTの成長に適した粒子径を越えている。更に、肥大化触媒粒子が形成されることにより、鉄触媒粒子の密度が大幅に低減化されている。
国際公開第WO2005/102924A1パンフレット Kenji Nishimura,Nobuharu Okazaki,Lujin Pan, and Yoshikazu Nakayama,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.43, No.4A, 2004, pp.L471−L474
図18は、従来の触媒体101及びブラシ状CNT148の構成及びこれらの製造方法を示す概略図であり、図15に示される肥大化触媒粒子の形成過程等を説明するものである。(18A)に示す従来の珪素基体132の表面には、鉄膜からなる触媒層140が形成され、(18B)に示すように、不活性ガス雰囲気下における加熱処理により前記触媒層140から鉄触媒粒子142が形成される。しかしながら、従来の珪素基体132は、鉄等の触媒金属との高い親和性を有し、珪素基体132との界面に鉄シリサイドが形成されたシリサイド化粒子143が成長し、基体に付着して半球状の形状となり、CNTが成長しない現象が見られていた。更に、図17に示したように、鉄触媒粒子142が形成される昇温過程では、鉄粒子が凝集してCNTの成長に適した触媒粒子径を越えて成長した肥大化触媒粒子142aが形成され、特に、高速昇温では、その傾向が顕著になっていた。(17C)に示すように、CNT直径を越える粒径を有する肥大化触媒粒子142aからはCNT146が成長せず、ブラシ状CNT148のCNT密度を低減化させていた。
前述のように、特許文献1には、ロープ状CNTが記載されているが、所定の長さ以上の連続的なロープ状CNTを従来のブラシ状CNTから製造する場合、再現性が低く、大量かつ安定に製造できる条件は明らかにされてこなかった。更に、ロープ状CNTを製造することができる高密度なブラシ状CNTを高速合成、例えば、10℃/sec以上の高速昇温により合成することは、従来のブラシ状CNTの製造方法では困難であった。即ち、基体上の触媒層からブラシ状CNTを成長させ、CNTの密度と高さが所定値に設定されたブラシ状CNTを安定的に製造するブラシ状CNT製造用触媒体を提供することができなかった。
本発明は、上記の課題を解決するため、ロープ状CNT等のCNT集合体の作製に利用することができる高密度なブラシ状CNT等のブラシ状カーボンナノ構造物を高効率に製造すること及びその製造を可能にするブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、基体と前記基体表面に形成された反応防止層と前記反応防止層上の触媒層からなり、前記触媒層が前記反応防止層上の触媒金属層と前記触媒金属層の表面に形成された凝集抑制層から構成されるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体である。
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記凝集抑制層が前記触媒金属層より融点の高い金属化合物から形成され、加熱時に前記触媒層が融解して凝集することを抑制する機能を有するブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体である。
本発明の第3の形態は、第1又は2の形態において、前記凝集抑制層が前記触媒金属層を構成する金属元素の金属酸化物から形成されるブラシ状カーボンナ構造物製造用触媒体である。
本発明の第4の形態は、基体を加熱処理して基体表面に酸化物からなる反応防止層を形成し、前記反応防止層の表面に触媒金属層を形成し、80℃≦T<300℃の温度範囲で加熱処理して前記触媒金属層の表面に金属酸化物からなる凝集抑制層を形成し、10℃/sec以上の昇温速度で加熱して前記触媒金属層と前記凝集抑制層からなる触媒層を比較的均一に粒子化して、前記反応防止層の表面に触媒金属を主成分とする金属系触媒粒子からなる触媒粒子層を形成するブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の製造方法である。
本発明の第5の形態は、第4の形態において、前記金属系触媒粒子の平均粒径Dが0.5nm≦D≦80nmの範囲にあり、前記金属系触媒粒子の個々の粒径dが前記平均粒径Dの範囲内にあり、前記金属系触媒粒子の粒径分布の半値幅をΔDとしたとき、前記平均粒径Dに対する前記半値幅ΔDの比率ΔD/Dが0<ΔD/D≦0.7の範囲にあり、前記触媒層を形成する前記金属系触媒粒子の単位面積当たりの個数が1×10個/cm以上に設定されるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の製造方法である。
本発明の第6の形態は、第1、2又は3の形態のブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を反応室に配設し、前記反応室を加熱して前記触媒金属層と前記凝集抑制層からなる触媒層を粒子化して、前記反応防止層の表面に触媒金属を主成分とする金属系触媒粒子からなる触媒粒子層を形成し、加熱された前記反応室に少なくとも原料ガスを流通させ、前記ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の前記触媒粒子層の表面に多数のカーボンナノ構造物をブラシ状に成長ブラシ状カーボンナノ構造物製造方法である。
本発明の第7の形態は、第4又は5の形態の製造方法により製造されたブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を反応室に配設し、前記反応室を加熱し、加熱された前記反応室に少なくとも前記原料ガスを流通させ、前記ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の前記触媒粒子層の表面に多数のカーボンナノ構造物をブラシ状に成長させるブラシ状カーボンナノ構造物製造方法である。
本発明の第8の形態は、第7の形態のブラシ状カーボンナノ構造物製造方法により製造されたカーボンナノチューブの構造物であり、前記構造物の嵩密度が20mg/cm以上であり、前記カーボンナノチューブの平均高さが50μm以上であるブラシ状カーボンナノ構造物である。
本発明の第1の形態によれば、前記触媒層が前記反応防止層上の触媒金属層と前記触媒金属層の表面に形成された凝集抑制層から構成されるから、加熱処理によりブラシ状CNTを成長させる場合において、前記触媒金属層が粒子化して形成された金属系触媒粒子が凝集し、CNTやCNC等のカーボンナノ構造物の成長に適した所定の粒径以上に肥大化することを抑制することができる。尚、本発明に係る触媒体とは、触媒物質から構成される部分とそれ以外の部材(基体、反応防止層)から構成されるものであり、基体の形状は基板、多層基板、筒体、多面体、ペレット、粉体など種々の形態がある。本発明に係るブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体によれば、高密度にCNTが配向され、ロープ状CNTを製造可能なブラシ状CNTを大量に安価で安定的に製造することができる。
第1の形態の前記触媒層は、触媒粒子層の前駆体であり、CNTやCNC等のカーボンナノ構造物を合成するための加熱処理により、前記触媒層から触媒粒子層が形成される。即ち、前記触媒層の粒子化とカーボンナノ構造物の成長が加熱処理中に順次又は連続的もしくは連続的且つ同時に行われる。前記触媒金属層とその表面に形成された前記凝集抑制層から構成される前記触媒層は、前記凝集抑制層が形成されることにより、前記触媒層の粒子化に必要な熱量を増大させることができる。従って、カーボンナノ構造物の合成時に触媒体を加熱しても、比較的低温では前記触媒層の粒子化が抑制され、所定の温度以上で粒子化が開始されるから、触媒粒子の肥大化を防止することができる。前記凝集抑制層としては、前記触媒金属層より融点が高い物質や前記触媒金属層との反応により触媒層の融解温度を上昇させる物質を利用することができる。更に、加熱時に前記触媒金属層に前記凝集抑制層の一部の構成元素が拡散し反応する物質を利用する場合、前記触媒層が粒子化することを抑制することができる。例えば、前記凝集抑制層が酸化物からなる場合、酸化物が前記触媒金属層の表面に形成され、触媒金属の過剰な酸化を抑制すると共に、触媒金属の酸化剤として機能し、触媒層全体の融解温度が高くなり、比較的低温での粒子化が抑制される。また、前記凝集抑制層が前記触媒金属層より融点が高い物質が選択される場合には、前記凝集抑制層が保持されることにより、前記触媒層が比較的低温で凝集して粒子化することを抑制する効果もある。従って、前記凝集抑制層は、前記触媒金属層表面の全面を均一に被覆するように形成されることが好ましい。また、前述のように、前記凝集抑制層は、前記触媒金属層が粒子化過程における酸化を抑制することができ、前記金属系触媒粒子に含まれる酸化金属成分を好適な量に設定することができる。
更に、ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体が基体と前記基体表面に形成された反応防止層と前記反応防止層上の触媒層から構成されるから、前記反応防止層は、前記触媒金属との親和性が極めて低く、前記CNTやCNPの合成時の昇温過程において、基体と前記触媒金属が反応することを防止することができ、前記触媒層が粒子化して形成される金属系触媒粒子の触媒機能を保持することができる。前記反応防止層は、触媒金属との反応性が極めて低い酸化物や耐熱性樹脂等から形成され、本発明に係るブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を高温で加熱処理しても、前記触媒金属と基体材料との結合等を防止することができる。より具体的には、窒化珪素、炭化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の反応防止層が形成される。例えば、前記基体が珪素基体である場合、前記反応防止層として基体表面を加熱して酸化珪素層を形成することができ、比較的容易に前記反応防止層を形成することができる。この場合、前記触媒金属が基体と反応し、金属シリサイドが形成されることが防止される。尚、前記珪素基体は、精度の高い平滑な表面が形成できると共に、安価に製造することができ、基体材料として好ましい材料である。前記反応防止層の厚さは、10nm以上であることが好ましく、前記触媒層と前記基体の反応をより確実に防止することができる。前記反応防止層の厚さが10nm未満である場合、加熱処理により基体材料が前記反応防止層へ拡散し、前記触媒金属との反応が引起される可能性があった。本発明者らは、CNTの成長温度下において、反応防止層の効果に関する試験を行い、前記反応防止層の厚さが10nm以上である場合、前記触媒層と前記基体の反応が確実に防止されることを確認している。前記反応防止層の厚さは、10nm以上であれば、ブラシ状CNTの用途、基体の構造等に応じて、適宜設定することができる。
前記触媒金属としては、鉄、錫、インジウム、コバルト、ニッケル、それらの合金又はそれらの酸化物等から適宜選択することができ、いずれの触媒金属を主成分とする金属系触媒粒子が形成される場合においても、反応防止層により金属系触媒粒子が加熱処理により基体と反応することを防止することができる。例えば、前記金属系触媒粒子が1種以上の鉄酸化物からなる場合、CNTが密集するブラシ状CNTが形成され、鉄酸化物以外に錫、インジウム、コバルト及びニッケルやそれらの合金などから選択される1種以上の酸化物を含む場合、コイル状のCNT、すなわちカーボンナノコイルを成長させることが可能である。従って、作製条件と共に金属系触媒粒子の構成元素や組成に応じて種々のブラシ状カーボンナノ構造物を製造することができる。
本発明の第2の形態によれば、前記凝集抑制層が前記触媒金属層より融点の高い金属化合物から形成され、加熱時に前記触媒層が融解して凝集することが抑制されるから、ブラシ状カーボンナノ構造物の成長に適した粒径が小さく、比較的均一な金属系触媒粒子を形成することができる。前記触媒層の厚さが数nm〜数十nm以下である場合、その金属又は金属化合物の流動化開始温度は、バルク金属の流動化開始温度から降下するから、前記凝集抑制層の流動化開始温度は、降下した触媒金属層の流動化開始温度より高く設定されれば良い。ここで、流動化開始温度は、表面溶融など固体の一部が流動化し始める温度を含み、固体の流動化が開始される下限温度を意味しており、本件明細書における融点とは、前記流動化開始温度を含む。
本発明の第3の形態によれば、前記凝集抑制層が前記触媒金属層を構成する金属元素の金属酸化物からなり、前記触媒金属層の表面に酸化処理を施すことにより比較的容易に凝集抑制層を形成することができる。また、物理蒸着法や化学蒸着法により前記凝集抑制層を形成する場合、触媒金属層との馴染性が良く、前記凝集抑制層をより高効率に形成することができる。本発明に係る凝集抑制層を形成する金属酸化物は、触媒金属層より高い融点を有している。従って、前述のように、加熱処理が施されるブラシ状CNTの成長過程において、粒子化した前記触媒金属層が表面溶融等により凝集し、CNTの成長に適した所定の粒径以上に肥大化する速度を低減化することができる。また、金属酸化物は、前記触媒金属層より融点が高く、前記触媒金属層の一部又は全部を酸化して触媒層の融解温度を上昇させることができる。前記凝集抑制層は、前記加熱処理過程において、前記触媒粒子層の形成時に前記触媒金属が過剰に酸化されることを防止することができる。従って、加熱時に前記触媒金属層に前記凝集抑制層の一部の構成元素が拡散し反応する場合、酸化物が前記触媒金属層の表面に形成され、触媒金属の過剰な酸化を抑制すると共に、触媒金属の酸化剤として機能し、触媒層全体の融解温度を上昇させ、比較的低温での粒子化が抑制される。より具体的には、前記触媒金属層が鉄、錫、インジウム、コバルト又はニッケルから構成される場合、前記凝集抑制層は、それぞれ、FeO、Fe、Fe、SnO、CoO又はNiOから形成される。
本発明の第4の形態によれば、10℃/sec以上の高速昇温により前記触媒金属層と前記凝集抑制層からなる触媒層を比較的均一に粒子化して、高密度で均一に金属系触媒粒子が分布するブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を高効率に製造することができる。また、基体を加熱処理して基体表面に酸化物からなる反応防止層を形成するから、加熱処理による前記触媒層の粒子化において、前記触媒金属が基体と反応することを防止することができる。更に、ブラシ状CNT製造の前処理として、前記触媒層を80℃≦T<300℃の温度範囲で加熱処理して前記触媒金属層の表面に金属酸化物からなる凝集抑制層を形成するから、金属系触媒粒子が凝集し、CNTの成長に適した所定の粒径以上に肥大化することを抑制することができる。前記触媒層の温度が300℃以上になると、触媒層の粒子化が急速に進行することが、実験的に確かめられている。また、前記凝集抑制層は、前記触媒粒子層の形成時に前記触媒金属が過剰に酸化され、CNT製造用触媒としての機能が低減することを防止することができる。従って、本発明に係る製造方法によれば、高密度で均一なブラシ状CNTを高効率に製造できる触媒体を提供することができる。
本発明の第5の形態によれば、前記金属系触媒粒子の平均粒径Dが0.5nm≦D≦80nmの範囲にあり、前記金属系触媒粒子の個々の粒径dが前記平均粒径Dの範囲内に設定されるから、ブラシ状カーボンナノ構造物を高効率に成長させるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を提供することができる。ここで、前記平均粒径Dとは、1辺が100nm〜10μmの正方形区画を取り出し、その区画内で観察される全粒子の算術平均であり、前記全粒子の数をn、個々粒子の直径をd(i=1,2,・・・,n)とすると平均粒径DはD=(d+d+・・・+d)/nで表される。前記金属系触媒粒子は、触媒となる金属元素、即ち、触媒金属を主成分とし、触媒金属の酸化物を含有することが好ましく、好適な触媒性能が付与される。前記平均粒径Dが0.5nm未満の場合、前記金属系触媒粒子の殆どがCNTの直径以下となり、CNTを成長させる触媒としての機能が失われる。また、前記平均粒径Dが80nmを越える場合、前記金属系触媒粒子の殆どがCNT直径よりも大きくなり、CNTを成長させる金属系触媒粒子の個数が大幅に低減化する。従って、本発明の第5の形態により製造された触媒体によれば、前記平均粒径D及び前記個々の粒径dが前記範囲内に設定されることにより、ブラシ状CNTを高効率に製造することができる。
更に、前記平均粒径Dに対する前記半値幅ΔDの比率ΔD/Dが0<ΔD/D≦0.7の範囲に設定されて、前記金属系触媒粒子の粒径dが均一化されるから、高効率に均一なブラシ状CNT等を成長させるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を提供することができる。即ち、本発明の第5の形態によれば、前記粒径分布は、前記半値幅ΔDが平均粒径Dに対して0<ΔD/D≦0.7の範囲にあって、前記粒径dが前記平均粒径Dの近傍に集中しており、前記金属系 触媒粒子の均一性が保持され、高効率にブラシ状CNT等のブラシ状カーボンナノ構造物を成長させることができ、特にブラシ状CNTでは高い均一性が実現される。前記比率ΔD/Dが0.7を越える場合、粒径分布が拡がるため、成長するブラシ状CNTの直径が不均一となり、ロープ状CNTを作製することが困難となると共に、所定の直径が全長に亘って保持されるロープ状CNTを製造することは不可能となる。更に、前記触媒層を形成する前記金属系触媒粒子の単位面積当たりの個数が1×10個/cm以上であり、上述のようにCNTを成長させることが可能な粒径の金属系触媒粒子が均一に形成されるから、高密度で均一なブラシ状CNTを高効率に製造することができる。ブラシ状CNTのCNT密度が1×10本/cm未満の場合、ロープ状CNTの製造がほぼ不可能であることが確かめられており、前述のように、前記金属系触媒粒子の密度は、少なくとも1×10個/cm以上であることが要求される。全ての金属系触媒粒子からCNTを成長させることが困難であることを考慮すると、前記金属系触媒粒子の単位面積当たりの個数は、1×10個/cm以上であることがより好ましい。
本発明の第6の形態によれば、第1、2又は3の形態のブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を反応室に配設して加熱するから、前記触媒金属層と前記凝集抑制層からなる触媒層を比較的均一に粒子化して、高密度で均一に金属系触媒粒子が分布するブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を高効率に製造することができる。即ち、ブラシ状カーボンナノ構造物が生成される所定温度又は比較的高温に近づくまで前記凝集抑制層が保持される又はその表面のみが溶融されることにより、前記触媒層が比較的低温で凝集して粒子化することが抑制され、比較的高温で短時間に粒子化されることにより、均一で微小な金属系触媒粒子を形成することができる。更に、前記反応防止層の表面に触媒金属を主成分とする金属系触媒粒子からなる触媒粒子層が形成されるから、加熱により前記触媒金属が基体と反応することを防止することができる。
本発明の第7の形態によれば、第1又は2の形態の触媒体を反応室に配設し、前記触媒粒子層の表面に多数のCNT等のカーボンナノ構造物をブラシ状に成長させるから、高密度でCNTの直径などそれらの形状がより均一なブラシ状カーボンナノ構造物を製造することができる。前述のように、ブラシ状CNT製造用触媒体のようなブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体は、好適な粒径と触媒活性を有する金属系触媒粒子が均一に形成されており、高密度のブラシ状CNTを提供することができ、このブラシ状CNTからロープ状CNTや直径の揃った多量のCNTを得ることができる。前記原料ガスとしては、炭化水素ガス、硫黄含有有機ガス、リン含有有機ガスなどの有機ガスを用いることができる。炭化水素としては、メタン、エタンなどのアルカン化合物、エチレン、ブタジエンなどのアルケン化合物、アセチレンなどのアルキン化合物、ベンゼン、トルエン、スチレンなどのアリール炭化水素化合物、インデン、ナフタリン、フェナントレンなどの縮合環を有する芳香族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキサンなどのシクロパラフィン化合物、シクロペンテンなどのシクロオレフィン化合物、ステロイドなどの縮合環を有する脂環式炭化水素化合物などが利用できる。また、上記の炭化水素化合物を2種以上混合した混合炭化水素ガスを使用することも可能である。炭化水素の中でも低分子、例えば、アセチレン、アリレン、エチレン、ベンゼン、トルエンなどが好ましく、アセチレンガスCは安価で容易に手に入り、かつ3重結合をもち、触媒粒子との反応性が高いことから、最も低い温度域でCNTなどのカーボンナノ構造物を生成することが可能な原料ガスとして利用できる。
本発明の第8の形態によれば、ブラシ状CNTが第6の形態のブラシ状カーボンナノ構造物製造方法により製造されるから、前記構造物の嵩密度が20mg/cm以上であり、前記CNTの平均高さが1μm以上のブラシ状CNTを容易に製造することができる。本発明者らは、ブラシ状CNTを構成するCNTの平均高さが約1μm以上でCNTが所定密度以上の場合に、前記ロープ状CNTが形成されることを実験から明らかにし、本発明を完成するに到った。前記ブラシ状CNTの平均高さが1μm程度では、前記嵩密度が20mg/cm以上である場合に前記所定密度に達し、このブラシ状CNTからロープ状CNTを製造することができる。前記平均高さが高く、前記嵩密度が大きなブラシ状CNTほど、高効率に好適なロープ状CNTを製造することができる。
本発明に係るブラシ状CNT製造用触媒体の製造工程を示す概略図である。 本発明に係る触媒体からブラシ状CNTを製造する工程を示す概略図である。 本発明に係る金属系触媒粒子から成長するCNTを模式的に示した概略図である。 本発明に係る触媒金属塩溶液の塗布により触媒金属層を形成して得られた触媒体によるブラシ状CNTの製造工程図である。 本発明に係るブラシ状CNTの製造工程における時間経過と反応室内の温度変化の関係を示すチャート図である。 本発明に係るブラシ状CNT製造装置の構成概略図である。 実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体表面と比較例のAFM像である。 実施例2のブラシ状CNT製造用触媒体表面と比較例のAFM像である。 実施例2と同じ方法により製造された鉄系触媒粒子の粒径分布図である。 事前酸化処理の効果と処理温度を比較するために示す比較例1及び比較例3〜5のAFM像である。 実施例3のブラシ状CNT及び比較例6を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例7〜9のブラシ状CNTを観察したSEM像である。 昇温速度と平均触媒粒子径の関係を示すグラフ図である。 ブラシ状CNTの嵩密度と平均高さの関係からロープ状CNTが製造できる条件を考察する説明図である。 CNT嵩密度と触媒粒子径の関係からロープ状CNTが製造できる配向CNTの条件について示すグラフ図である。 従来のロープ状CNTの製造方法を説明する概略図である。 従来の珪素基体表面に形成された鉄触媒粒子の原子間力顕微鏡(AFM)像である。 従来の触媒体及びブラシ状CNTの構成及びこれらの製造方法を示す概略図である。
符号の説明
1 触媒体
2 反応ヒータ
3 ガス排出管路
4 反応室
5 開閉バルブ
7 開閉バルブ
8 原料ガス流量制御器
9 原料ガス流入路
10 電磁三方弁
11 開閉バルブ
12 電磁三方弁
13 酸素流量制御器
14 電磁三方弁
15 水分添加装置
16 ガス流量制御器
17 水分分析装置
18 電磁三方弁
19 監視用バイパス路
20 ガス流量制御器
21 酸素分析装置
22 酸素流量制御器
23 酸素流量制御器
32 基体
34 反応防止層
36 触媒金属層
38 凝集抑制層
40 触媒層
42 金属系触媒粒子
44 触媒粒子層
46 CNT
46a 多層レイヤ
46b 接触部
48 ブラシ状CNT
101 触媒体
132 基体又は珪素基体
142 鉄触媒粒子
142a 肥大化触媒粒子
143 シリサイド化粒子
146 CNT
148 ブラシ状CNT
150 束状CNT集合体
152 ロープ状CNT
160 ピンセット
図1は、本発明に係るブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体1の製造工程を示す概略図である。(1A)に示すように、先ず、基体32が処理室(図示せず)に配設され、この基体32の表面に酸化性ガスを供給して加熱処理を施す。前記基体32としては、平滑な表面を有する種々の材料を用いることができるが、従来の加工技術を用いて容易かつ安価に作製できることから、珪素基体が適している。(1B)に示すように、酸化性ガス雰囲気下で加熱処理された基体32の表面には、酸化物からなる反応防止層34が形成される。
反応防止層34は、10nm以上の厚さTを有することで、後に形成される触媒金属層36と基体32が加熱時に反応することが防止される。また、反応防止層34が酸化物の場合、触媒金属層36が事前酸化処理工程やCVD工程の高速昇温(80℃/secほど)において反応防止層が触媒金属によって還元され、反応防止層34の酸素が触媒金属層36に移動する場合がある。従って、基体と触媒金属層に強い親和力が発生すると、後述の粒子化過程において触媒粒子が形成されず、結果としてCNTの成長確率が落ちる現象が見られる。触媒金属層36によって還元されない反応防止層34を形成すること、すなわち温度、圧力などの各諸条件に対して安定であり触媒金属層36と全く無反応の反応防止層34を用いることで、より高密度で高確率のCNTの成長を実現できる。但し、製造コストの問題があるため反応防止層34は適宜選択するものである。
(1C)では、前記反応防止層34の表面に、CNTの成長に適した触媒金属元素からなる触媒金属層36が形成されている。触媒金属層36の形成には、金属膜や金属粉体層を形成する種々の成膜方法並びに金属原子が配位子と呼ばれる原子団によって取り囲まれている錯体いわゆる配位化合物や、金属イオンを含む触媒金属塩溶液、その他常温・常圧において気体状、液体状、固体状の有機金属化合物の塗布方法等を利用することが可能である。Arスパッタ、電子ビーム蒸着法、ディップコーティング法、スピンコート法などを利用することが可能であるが、均一にナノメートルオーダーの厚みの触媒金属層36が形成できることが重要である。
金属膜や金属粉体層を形成する触媒では、図1(1D)に示すように、酸化性ガス雰囲気下で、前記触媒金属層の表面が80℃〜300℃、好ましくは80℃〜300℃未満の温度範囲で加熱して酸化処理を施し、前記触媒金属層36の表面に金属酸化物からなる凝集抑制層38を形成し、ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体としてブラシ状CNT製造用触媒体1(以下、「触媒体1」とも称す)が完成される。酸化処理における加熱温度は、150℃程度であることがより好ましく、約10分程度の加熱により、好適な厚さの凝集抑制層38が形成される。前記触媒体1の触媒層40は、前記触媒金属層36と前記凝集抑制層38からなる後述の触媒粒子層の前駆体であり、CNTの合成時には、加熱処理により粒子化される。
また、金属原子が配位子と呼ばれる原子団によって取り囲まれている錯体いわゆる配位化合物や、金属イオンを含む触媒金属塩溶液などを触媒層とする湿式の場合、後述するように、図4では溶液の溶媒を乾燥させる塗膜加熱処理(塗膜乾燥工程)を50℃〜300℃の温度範囲で不活性ガス雰囲気及び/又は真空状態において行うことを必要とする。あわせて有機性並びに親水性の溶媒を完全に揮発させた後の金属成分に対する事前酸化処理では、高速昇温(80℃/secほど)に耐える凝集抑制層38を得るため80℃〜300℃の温度範囲に加熱して酸化処理を施す必要がある。湿式で得られた触媒層の場合、600℃〜700℃の温度範囲で酸化処理が行われることがより好ましい。
本件明細書では、図1の(1D)に示すような、前記前駆体からなる触媒層40も本発明に係るブラシ状CNT製造用触媒体1として定義している。尚、前記酸化性ガスとしては、水、酸素、アセトン、アルコール、DMF(ジメチルホルムアミド)、CO、CO、O又はHなどが用いられる。
図2は、本発明に係る触媒体1からブラシ状CNT48を製造する工程を示す概略図である。(2A)に示す前記触媒体1を加熱処理することにより、前記触媒層40が粒子化され、(2B)に示すように、前記触媒金属とその酸化物からなる触媒粒子42が形成され、触媒粒子層44を構成する。ここで、粒子化温度が800℃程度であれば、前記触媒層は、均一な粒子化が行われると共に、CNTの成長に適した粒径に設定される。これは、前記凝集抑制層38によって加熱処理における前記触媒金属層36の流動化と金属粒子の凝集が抑止され、前記金属系触媒粒子42の肥大化が抑制されることによるものと考えられる。前記金属系触媒粒子42が鉄系触媒粒子である場合、(2A)における凝集抑制層は、酸化鉄から形成されることが好ましく、CNTの合成時における加熱処理では、酸化鉄の酸素が触媒金属層内に拡散し、同時に又はその後に粒子化する。また、10℃/sec以上の高速昇温により加熱処理を行っても、前記金属系触媒粒子42の肥大化が抑制され、CNTの成長に適した均一な触媒粒子層44が形成され、80℃/sec程度の高速昇温においても、好適な触媒粒子層44を形成することができる。更に、(2C)に示すように、前記金属系触媒粒子42からは、原料ガスを供給しながら、触媒体1を加熱することによりCNT46が成長し、ブラシ状CNT48が形成される。
図3には、本発明に係る金属系触媒粒子42から成長するCNT46を模式的に示した概略図である。前記金属系触媒粒子42は、鉄を主成分とする鉄系触媒粒子であり、酸化鉄成分を含有している。CNT46を形成可能な金属系触媒粒子42は、図に示すように必ずしも球状とは限らず、粒径が0.5nm〜80nmであればよい。原料ガスとしてアセチレンガスを供給すると、CNT46の合成反応は初期の急速な成長と、アモルファスカーボンを生成しながらの緩慢な成長の2段階の反応による成長があることが判明している。原料ガスがアセチレンの場合について説明するが、他の原料ガスについても同様のメカニズムになる。特に初期の急速な反応は、金属系触媒粒子42の表面での下記式1及び式2を主体とする反応自体を律速とする反応である。
Fe+C → 2FeC+HO+CO (式1)
Fe+C → FeO+2FeC+HO+O (式2)
急速な第1段階の成長については、触媒が保持している酸素量が反応によって消費されることで停止し、通常は原料ガスから供給される過剰なアモルファスカーボンにより触媒表面が覆われることで触媒と原料ガスの接触が困難となり、最終的に反応停止に至る。前記金属系触媒粒子42の保持する酸素が同程度の場合、CNT46の長さが、ほぼ同じ長さになることこから、再現性があると同時に、初期触媒の酸素の保持量によってCNT46の長さが決まるものと理解できる。
次に、長さを制御可能なCNTを製造するのに不可欠な、アモルファスカーボンを生成しながらの緩慢な成長について説明する。緩慢な成長については、下記式3及び式4を主体とする、炭素の表面拡散を律速とする反応であると理解できる。
FeO+C → FeC + HO + C (式3)
Fe+C → FeC + C + H (式4)
図3に示すように、アセチレンに接触する金属系触媒粒子42の接触部46bでは、炭素と結合した粒子状の炭化物が形成され、この炭化物の表面にCNT46の壁を構成する多層レイヤ46aが形成される。金属系触媒粒子46と原料ガスが反応して生成したアモルファスカーボンが多層レイヤ46aを押し出すことによりCNTが形成される。図中の矢印はカーボンの拡散方向を示す。触媒金属と基体の親和力が強い場合、金属系触媒粒子42は球状とならないため、両サイドの多層レイヤ46aは、均等な速度で押し出されず、垂直に配向しない原因となるが、本発明では、前記反応防止層が形成され、親和力が極めて低減化されている。また、適度な親和力を有する場合、ある程度カーボンレイヤが垂直に伸び、親和力がカーボンの拡散により押し出される力に反して触媒が浮きあがり、CNT46の長さ方向の中間点に存在する場合もありうる。金属系触媒粒子により、式3、式4の反応で発生するカーボン成分がキャリアガス及び/又は原料ガス中に含まれる酸素と水分を触媒表面で燃焼、除去することにより供給され、CNT46の連続的な生成が可能となる。
図1の説明において、触媒金属層36の形成には、物理蒸着法や化学蒸着法などの成膜方法以外に、金属原子が配位子と呼ばれる原子団によって取り囲まれている錯体いわゆる配位化合物や、金属イオンを含む触媒金属塩溶液などを触媒層とする場合、触媒金属が含まれた溶液をスピンコート法やディップコート法などによって塗布する方法が利用できることを述べた。図4は、本発明に係る触媒金属塩溶液の塗布方法により触媒金属層を形成し、得られた触媒体によりブラシ状CNTを製造する製造工程図である。CNT製造に用いる触媒金属層の形成は、前記反応防止層との濡れ性が良い溶媒に、触媒金属塩を分散又は溶解させた触媒金属塩溶液を調製し(触媒金属塩溶液調整工程S1)、その触媒金属塩溶液が前記反応防止層上に塗布される(触媒金属塩溶液の塗布処理工程S2)。
次に触媒金属塩の濃度、加熱温度や加熱時間に応じて50℃〜300℃の温度範囲において加熱処理することにより(式5)、(式6)に示したように溶媒(solvent)の揮発と触媒金属イオンの単離を促進し、基板上に金属イオンの状態で触媒金属層が形成される(塗膜加熱処理:塗膜乾燥工程S3)。

Fe錯体+溶媒(solvent)→Feイオン+(solvent)↑+配位子↑ (式5)
Fe(NO+HO(solvent)→Fe2-+ HO↑+3NO3↑ (式6)

基板上に金属イオンの状態で触媒金属層からなる触媒層が形成された後、事前酸化処理工程S4において、80℃/secほどの高速昇温耐える凝集抑制層を形成するために、80℃〜800℃の温度範囲で、空気などの酸化成分を含む雰囲気で加熱して酸化処理を施す必要がある。事前酸化処理は主に(式7)および(式8)に示された反応式によって金属イオンが酸化金属になる工程である。

Fe2- + 1/2O → FeO (式7)
3FeO + 1/2O → Fe (式8)
事前酸化処理後において図2(2B)に示すような金属粒子が形成されている現象は確認されない。図2(2A)に示すように触媒金属層36の表面には事前酸化処理により凝集防止層38が形成されていると理解できる。但し、金属原子が配位子と呼ばれる原子団によって取り囲まれている錯体いわゆる配位化合物や、金属イオンを含む触媒金属塩溶液などを触媒層40とする場合、触媒金属が含まれた溶液をスピンコート法やディップコート法などによって塗布する方法においては基板上の金属イオンの状態から金属触媒層が形成される。従って、一般的に物理蒸着法や化学蒸着法などのArスパッタ、電子ビーム蒸着法で工業的に注意深く成膜した金属触媒層(最小膜厚 4nm)に比べて更に薄い金属触媒層(膜厚 1nm以下)の形成が可能である。金属触媒層が薄いため事前酸化処理では、凝集抑制層38を80℃〜300℃の高い温度範囲で、空気などの酸化成分を含む雰囲気において、加熱して事前酸化処理を施すことで80℃/secほどの高速昇温耐える凝集抑制層38を形成する必要があることが判明している。
この後、図2及び図4に示すように、触媒粒子層44が形成された触媒体を後述のブラシ状CNT製造装置に導入して熱CVD法によりCNT成長させる(CNT成長処理工程:S5)。尚、塗布処理工程S2における金属原子が配位子と呼ばれる原子団によって取り囲まれている錯体いわゆる配位化合物や、金属イオンを含む触媒金属塩溶液などを触媒層とする場合の塗布方法としてスピンコート法又はディップコート法が用いられる。
図5は、本発明に係るブラシ状CNTの製造工程における時間経過と反応室内の温度変化の関係を示すチャート図である。触媒体入替工程P1では、前処理(事前酸化処理)により80℃〜300℃、好ましくは150℃程度の加熱温度で加熱され、前記凝集抑制層が形成されたブラシ状CNT製造用触媒体が導入される。次に、昇温工程P2では、初期温度T1hから10℃/sec以上の高速昇温によりCNTの成長温度Th2まで加熱される。成長温度Th2は、約800℃程度である。維持工程P3では、t時間、数10秒〜数分程度)、前記ブラシ状CNT触媒体が反応温度に維持されて完全な熱平衡状態となった後、反応工程P4において原料ガスが供給される。原料ガスの供給時間tは、数10秒〜数分程度である。パージ工程P5では、Arガス等の不活性ガスにより、残留する原料ガスがパージされ、パージ時間tは数10秒〜数分程度である。次に、降温工程P6において、反応室内の温度を降下させ、ブラシ状CNTが合成された基体が取り出される。高速昇温により、次のタームまでの時間tを短縮することが可能である。
図6は、本発明に係るブラシ状CNT製造装置の構成概略図である。このブラシ状CNT製造装置は、CVD法によりブラシ状CNT48を合成する製造装置である。反応室4は反応ヒータ2により加熱され、この反応室4に前記触媒体1が配置される。この触媒体1の前記触媒粒子層が鉄元素と酸化鉄を含有する鉄系触媒粒子から形成されるものとし、以下に、ブラシ状CNT製造装置について詳述する。また、原料ガスとしては、前述のように、炭化水素、硫黄含有有機ガス、リン含有有機ガスなどのCNTの生成に好適な種々の有機ガスが選択できるが、アセチレンガスは、安価で容易に得られる共に3重結合を有し、前記鉄系触媒粒子との反応性が高く、前記ブラシ状CNT48を前記鉄系触媒粒子に成長させる場合、好適な原料ガスである。
前記反応室4の一端にはガス排出管路3が連通されており、ガス排出管路3に連結する流路には開閉バルブ5、7を介してキャリアガス容器(図示せず)に接続されている。キャリアガスとしては、ヘリウムHeとアルゴンArの混合ガスが使用される。キャリアガスには、ヘリウム、アルゴン以外にネオン、N、CO2、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスまたはその混合ガスが利用される。キャリアガスは原料ガスを搬送するガスで、原料ガスが反応により消耗されるのに対し、キャリアガスは全く無反応で消耗しない特徴がある。
原料ガス容器(図示せず)から原料ガスが、反応室4の他端に設けた原料ガス流入路9を通じて反応室4に供給され、原料ガス容器の原料ガスはレギュレータ(図示せず)により所定圧力まで低圧化される。低圧化された原料ガスはマスフローコントローラ(MFC)からなる原料ガス流量制御器8により所定流量に調節される。原料ガス流量制御器8は原料ガス流入路9に連通する流入路に設けられており、電磁三方弁10、12及び開閉バルブ11を介して原料ガスが供給される。キャリアガスは前記キャリアガス容器から供給され、ガス流量制御器22、23が設けられた2系統の流路を通じて、後述のように、原料ガス流入路9に合流するようにキャリアガスが供給される。
前記ブラシ状CNT製造装置は、反応室4に前記触媒体1が配置され、原料ガスを供給して反応室4に流通させながら、触媒体1によりカーボンナノ構造物を成長させるブラシ状CNT48の製造装置であり、原料ガスを供給して反応室4に流通させる前に、キャリアガスとともに酸化性ガスが反応室4に供給され、触媒体1をマグネタイトに転化させるようにしている。また、触媒体1によるブラシ状CNTの成長過程においても、原料ガス及び酸化性ガスを反応室4に流通させるようにしている。
酸化性ガスは、0.05ppm〜3%の水分、0.01ppb〜1%の酸素を含んでいる。重量法によって所定の濃度に充填された酸素ボンベ(図示せず)から、マスフローコントローラ(MFC)を具備する酸素流量制御器13により所定流量に調節される。酸素流量制御器13は原料ガス流入路9に連通する流入路に設けられており、電磁三方弁14及び開閉バルブ11を介して反応室4に酸素が供給される。尚、開閉バルブ11手前のキャリアガスの導入路には酸素分析装置21が設けられており、この酸素分析装置21には、酸素ボンベからの酸素も導入され、反応室4に適正濃度の酸素が供給されるように監視している。
水分添加装置15は、加熱ヒータを備えた水容器からなり、精製されたHe、Arなどのキャリアガスをガス流量制御器16を介して水分添加装置15の加温水中に導入して、流量混合法により水分を添加した水分とキャリアガスの混合ガスが電磁三方弁18及び開閉バルブ11を介して反応室4に供給される。キャリアガスは水分添加装置15の出口側でもガス流量制御器20を介して合流し混合される。水分とキャリアガスの混合ガス導入路に設けられた監視用バイパス路19に、水分分析装置17が設けられており、水分分析装置17により反応室4に適正濃度の水分が供給されるように監視している。
一般に、市販のキャリアガス、原料ガスには製造段階で不純物が含まれている。キャリアガスとしては、上述のように、He、ネオン、アルゴン、N、CO2、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスがあげられるが、この中で特に安価で手に入り易い、He、Arが利用できる。例えば、大陽日酸(株)製ヘリウムガス中の微量成分に関して、G2グレードでは、酸素(<1ppm)と水分(<2.6ppm)などが含有され、G1グレードでは、酸素(<0.05ppm)と水分(<0.54ppm)などが含有されており、この含有不純物を酸化性ガスとして利用することができ、更に脱酸素剤や吸着剤を用いて低い濃度レベルに精製して利用することも可能である。なお、通常の一般グレードでも酸素と水分などが高純度グレードより多く含有されているが、精製すれば利用可能である。脱酸素剤としては一般的にPd、Ni、Mn、Zr系、Ti系の金属、吸着剤としては合成ゼオライト、アルミナ、シリカゲルなどを用いた精製方法が挙げられる。
次に、ガス流路切換機構について説明する。電磁三方弁10は自動バルブ制御器(図示せず)の作用により遮断状態と供給状態に制御される。即ち、原料ガスの遮断状態では、原料ガスは排気側に排気され、原料ガスの供給状態では、原料ガスは注入側に供給され、開閉バルブ11に至る合流部にて原料ガスはキャリアガスと混合される。電磁三方弁10を使用すると、既に原料ガスは所定流量に制御されていることから、注入側に切換えられても原料ガスの初期揺らぎは存在しない。しかも電磁作用により切換えられるため、その切換えは圧力変動無く瞬時に行われ、原料ガスの緩慢な立ち上がりは無く、一気に所定流量の原料ガスが供給される。また、原料ガスを供給状態から遮断状態に切換える場合でも、自動バルブ制御器による電磁作用で瞬時に圧力変動なく原料ガスの流量をゼロに切換えることができ、原料ガスの緩慢な立下りは無い。
このように、電磁三方弁10を用いれば、原料ガスの反応室4への供給と遮断を瞬時に行うことができ、しかもその変化過程において流量の揺らぎは全く存在しない。従って、合計流量が一定であると、反応室4の内部のガス圧力が一定になる。この全圧力(ガス圧力)が一定の中で原料ガスが分解されるため、反応室4の内部に圧力揺らぎが発生せず、ブラシ状CNT48の成長を促進する作用がある。
キャリアガスと原料ガスは前記合流部で混合された後、混合流として原料ガス流入路9先端に設けたガス供給ノズル(図示せず)から反応室4に供給される。反応室4はカーボンナノ構造物を最も生成しやすい温度域に加熱されており、原料ガスは触媒体1の近傍で熱分解され、触媒体1の表面で分解物からブラシ状CNT48が成長する。CVD法では、原料ガスを分解するのに熱分解法を利用しているが、例えばレーザービーム分解法、電子ビーム分解法、イオンビーム分解法、プラズマ分解法、その他の分解法が利用できる。これらの分解物から前記触媒体1の表面にカブラシ状CNT48が形成される。前記触媒体1の表面では原料ガスの一部からブラシ状CNTが合成され、反応に寄与しなかった未反応の原料ガスはキャリアガスとともにガス排出管路3からパージされる。
[実施例1]
実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体は、酸化処理によって、円板状の珪素基体(直径6インチ)のSi(001)面に前記反応防止層として酸化珪素層が形成され、酸化珪素(SiO)基板を構成している。前記酸化珪素層の厚さは、約10nmに設定されている。前記SiO基板の表面には、電子ビーム蒸着法により、膜厚4nmの純鉄膜が触媒金属層として形成され、前処理として150℃で10分間、酸素雰囲気下で加熱することによりCNT合成前の事前酸化処理が行われている。この酸化処理により酸化鉄からなる凝集抑制層が形成された後、CVDの前段として80℃/secの高速昇温によりCNT合成時の反応温度である約800℃まで加熱される。このとき、前記触媒金属層と前記凝集抑制層から形成される触媒層が粒子化され、鉄系触媒粒子の触媒粒子層が形成されて実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体となる。
以下では、ブラシ状CNT製造用触媒体表面のAFM測定を行っており、その測定から得られたAFM像を示す。AFM(Atomic Force Microscope)測定とは、先端の鋭いカンチレバー探針を用いて試料表面をなぞり、カンチレバーの上下方向への変位を計測することで試料表面形状の評価を行う方法である。基板上の微粒子の形状を測定するのにAFMは通常使用される。AFMにはいくつかの測定方法があるが、本特許技術ではタッピングモードと呼ばれるDFM(Dinamic Force Microscope)測定を実施し、振動させた探針が試料表面を跳ねるように上下に動き、表面状態を測定している。尚、AFM測定はセイコーインスツルメンツ社の型式SPI−3800Nを使用し、そのDFMモードを用いて測定を実施した。走査周波数は1Hzに設定され、大気中で計測が行われており、カンチレバー探針にはCNTプローブを使用した。
図7は、実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体表面と比較例のAFM像である。(7A)には、実施例1のAFM像、(7B)には、比較例1として、反応防止層が形成されていない珪素基体のSi(001)面に膜厚4nmの純鉄膜からなる触媒金属層を形成し、事前の酸化処理を行わず、80℃/secで高速昇温され、触媒粒子層が形成されたブラシ状CNT製造用触媒体表面のAFM像を示す。実施例1(7A)における平均粒径Dは12nmであり、個々の粒子の範囲は0.5nm〜80nmの範囲内であった。更に、(7C)には、比較例2として、珪素基体のSi(001)面に反応防止層(SiO層:10nm)を形成し、触媒金属層(純鉄膜:4nm)を形成し、事前酸化処理を行わず、80℃/secで高速昇温され、触媒粒子層が形成されたブラシ状CNT製造用触媒体表面のAFM像を示す。(7D)には、比較例3として、比較例1の製法で事前酸化処理を施した場合のブラシ状CNT製造用触媒体表面のAFM像を示す。以下に、反応防止層として酸化珪素(SiO)層を形成することの効果及び事前酸化処理により凝集抑制層を形成する効果について詳述する。また、実施例及び比較例の作製条件を表1に示す。
<反応防止層:SiO層の効果について>
(7B)の比較例1では、鉄系触媒粒子の密度が低く、肥大化して粒径が80nmを越え、CNTを成長させることができない肥大化粒子が多数形成されている。(7C)の比較例2では、反応防止層としてSiO層が形成されることにより、鉄系触媒粒子の粒子密度が増加すると共に平均粒径が小さくなっている。この違いは、珪素基体との界面に鉄シリサイドが形成され、基体との接触面積が大きく、肥大化した半球形のシリサイド化粒子が多数生成されることに起因している。(7A)に示す実施例1と(7D)の比較例3を比較すると、(7A)では、鉄系触媒粒子の密度が高く、形状がより均一であり、より球形に近いCNTの成長に適した触媒粒子が多数形成されており、SiO層によるシリサイド化抑制の効果が現れている。特に、後述するように、実施例1と比較例3の触媒体を用いたブラシ状CNT(図11の(11A)、図12の(12C)参照)には、顕著な違いが現れており、鉄系触媒粒子の形成時にSiOからなる反応防止層を形成することにより、好適なブラシ状CNT製造用触媒体が得られることが分かる。
<事前酸化処理の効果について>
前述のように、(7A)の実施例1及び(7D)の比較例3では、触媒金属層として純鉄膜が形成された後、150℃で10分間の加熱することにより事前の酸化処理が施され、CNT合成時の反応温度まで加熱される昇温過程の前に、酸化鉄からなる凝集抑制層が形成されている。(7A)と(7C)及び(7B)と(7D)を比較すると、事前の酸化処理を施すことにより、鉄系触媒粒子の肥大化が顕著に抑制されている。特に、(7C)の比較例2では、実施例1と同様に凝集抑制層としてSiO層が形成された基板(SiO基板)が用いられているが、鉄系触媒粒子の粒径は50〜100nm程度になり、CNTの成長に適さない触媒粒子が多数含まれ、高密度のブラシ状CNTを製造することは困難である。これは、凝集抑制層によって、加熱処理における鉄膜の流動化と金属粒子の凝集が抑止され、鉄系触媒粒子の肥大化が抑制されることによるものと考えられる。更に、(7A)と(7B)を比較すると、事前酸化処理による凝集抑制層の形成と前記反応防止層との相乗効果によって、触媒粒子層の高密度化及び均一化が実現されると共に、粒子の肥大化が大幅に抑制されていることが分かる。
[実施例2]
実施例2のブラシ状CNT製造用触媒体では、実施例1と同様に、円板状の珪素基体(直径6インチ)のSi(001)面に前記反応防止層として、厚さ10nmの酸化珪素層が形成され、電子ビーム蒸着法により、膜厚4nmの純鉄膜が触媒金属層として形成されている。実施例2では、事前の酸化処理を行わず、昇温過程で凝集抑制層の形成と粒子化がほぼ同時に行われている。ここで、CVD前段における昇温速度は、0.3℃/secであり、実施例2は700℃でブラシ状CNTを成長させるためのブラシ状CNT製造用触媒体である。
図8は、実施例2のブラシ状CNT製造用触媒体表面と比較例2のAFM像であり、CVD前段の昇温過程で凝集抑制層を形成する場合において、昇温速度と加熱温度を変化させている。(8A)は、CVD前段の昇温速度が0.3℃/secであり、700℃まで加熱された実施例2のAMF像であり、(8B)に示す比較例2は、CVD前段において、昇温速度を80℃/secに設定し、800℃まで加熱した場合のブラシ状CNT製造用触媒体である。実施例2と比較例2は、SiOからなる反応防止層が10nmの厚さで形成されているため、触媒粒子径は共に均一に揃っている。(8A)の実施例2では、鉄系触媒粒子の粒径が20〜30nmで均一に粒子化されている。一方、(8B)の比較例2では、鉄系触媒粒子の粒径が50〜100nm程度になり、CNTの成長に適さない触媒粒子が多数含まれ、高密度のブラシ状CNTを製造することは困難である。従って、実施例2のように、CVD前段の昇温過程において前記凝集抑制層が形成される場合、昇温速度は、0.3℃/sec以下であることが好ましい。換言すれば、昇温速度を80℃/sec以上に設定する場合は、図7の(7A)に示した実施例1と同様に、事前に酸化処理を行うことにより、より高速な昇温速度でブラシ状CNT製造用触媒体を製造することができ、製造効率を格段に向上させることができる。
図9は、実施例2と同じ方法により製造された鉄系触媒粒子の粒径分布図である。プロット(四角印:■)は、AFM像から見積もられた粒径d(Particle diameter)に対する個数(Number)を示し、実線で示す粒径分布は、分布関数をフィッティングしたものである。平均粒径Dは、約34nmであり、分布関数の半値幅ΔDは23nmである。即ち、半値幅ΔDの平均粒径Dに対する比率ΔD/Dは、0.68である。図の粒径分布を有するブラシ状CNT製造用触媒体を用いて製造されたブラシ状CNTからは、ロープ状CNTを作製できることが確かめられている。尚、前述のように、事前の酸化処理により凝集抑制層を形成することにより、均一化が向上することが確かめられており、比率ΔD/Dを更に小さくすることが可能であり、前記触媒粒子層の均一化が向上するほど、均一なブラシ状CNTを製造することができる。
図10は、事前酸化処理の効果と処理温度を比較するために示す比較例1及び比較例3〜5のAFM像である。(10A)の比較例1、(10B)の比較例4、(10C)の比較例3、(10D)の比較例5は、いずれも珪素基体上に純鉄膜からなる触媒金属層が形成されており、事前酸化処理の効果がより明確化されている。また、前記触媒金属層が粒子化される昇温過程の昇温速度は、すべて80℃/secであり、800℃まで加熱している。(10A)の比較例1は、前述のように、事前の酸化処理が施されておらず、鉄系触媒粒子の肥大化及び不均一化が顕著である。(10B)の比較例4では、酸化性ガス雰囲気下において80℃で10分間の酸化処理を施して凝集抑制層を形成した後、CNTの反応温度に相当する800℃に昇温されて触媒層が粒子化されている。(10C)の比較例3では、事前酸化処理を150℃で10分間、(10D)の比較例5では、事前酸化処理を300℃で10分間行っている。
(10B)の比較例4では、事前酸化処理の効果が十分ではなく、触媒粒子の肥大化しており、少なくとも酸化処理における加熱温度は80℃より高く設定されることが好ましい。(10C)の比較例3では、150℃で10分間の事前酸化処理により、鉄系触媒粒子が所々変形しているが、粒径は(10B)に比べて小さく、30〜50nmの粒径が観察される。(10D)の比較例5では、鉄系触媒粒子に形状が変化し、角張った固まりが観察されている。これは、触媒金属層に比べ、酸化された凝集抑制層の割合が大きくなりすぎると、触媒粒子の形成がうまく起こらないものと考えられ、(10D)の触媒体を用いてもブラシ状CNTを合成することはできなかった。前述のように、これらの条件は全てSi基板での事前酸化処理の効果を調べたものであり、高速昇温によって鉄シリサイドが形成され、部分的に触媒粒子の形状が揃っていない状態が観察される。
[実施例3]
実施例3は、実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体を用いて製造されたブラシ状CNTであり、原料ガスとしてアセチレンを用い、CVD法により反応温度を800℃に設定してブラシ状CNTが製造されている。また、キャリアガスとしては、Heガスが用いられている。図11は、実施例3のブラシ状CNT及び比較例6を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)像である。比較例6のブラシ状CNTは、比較例2(図8の(8B)参照)の触媒体を同条件で用いて製造されたブラシ状CNTである。(11A)に示すように、実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体からは、高密度で均一なブラシ状CNTが成長していることが観察されており、ブラシ状CNTの平均高さは86μm、嵩密度は、53.5mg/CC(mg/cm)である。(11B)に示すように、比較例6のブラシ状CNTは、CNT密度が低く、ブラシ状CNTの平均高さが40μmであり、嵩密度も16.0mg/CCであった。即ち、150℃で10分間の事前酸化処理を行った場合、CNTの嵩密度が顕著に増加する結果が得られており、実施例3のブラシ状CNTからは、ロープ状CNTが製造されることが確認されている。
図12は、比較例7〜9のブラシ状CNTを観察したSEM像である。尚、比較例7〜9においても原料ガスとしては、アセチレンが用いられ、反応温度は、800℃に設定されている。(12A)に示す比較例7のブラシ状CNTは、比較例1(図7の(7B)参照)のブラシ状CNT製造用触媒体(事前酸化処理無し、反応防止層無し)を用いて製造されたブラシ状CNTである。ブラシ状CNTの平均高さは、64μmであるが、低密度であるためCNTの嵩密度は、10.8mg/CCである。(12B)に示す比較例8のブラシ状CNTは、比較例4(図10の(10B)参照)のブラシ状CNT製造用触媒体を用いて製造されたブラシ状CNTであり、CNTの高さが78μmに及ぶが、嵩密度は、8.3mg/CCと低い値になっている。これは、前述のように、反応防止層が形成されなかったこと、さらには、事前酸化処理における加熱温度が80℃と低温であることにより凝集抑制層の形成が不十分であり、触媒粒子層の密度が低かったことに起因する。(12C)に示す比較例9のブラシ状CNTは、比較例3(図10の(10B)参照)のブラシ状CNT製造用触媒体を用いて製造されたブラシ状CNTであり、CNTの高さが96μmとなっているが、嵩密度は、36.0mg/CCであり、図11(11A)の実施例3に比べてかなり低い値となっていおり、反応防止層を形成しなかったため、触媒粒子層の密度が低減化したことに起因する。但し、(12C)では、(12A)や(12B)と比べ、150℃で10分間の処理を行うことにより嵩密度は増加しており、より好ましい事前酸化処理の条件であることが分かる。尚、(12A)〜(12C)に示した比較例7〜9のブラシ状CNTからは、ロープ状CNTを製造することができなかった。また、ブラシ状CNTに関する実施例及び比較例を表2に示す。
図13には、本発明に係る触媒層が粒子化される昇温過程での昇温速度と、形成される金属系触媒粒子の平均粒径Dの関係を示す。ここで、金属系触媒粒子は、鉄系触媒粒子である。線Aは、事前酸化処理として、酸化性ガス雰囲気下で前記触媒金属層を150℃まで加熱して、10分間の酸化処理(事前酸化処理:150℃×10min)を施し、凝集抑制層を形成した後に、前記昇温過程において触媒粒子層が形成される場合の前記昇温速度と前記平均粒径Dの関係を示している。線Bは、前記触媒金属層が80℃で10分間、事前酸化処理が施された場合、線Cは、事前酸化処理を行わず、昇温過程で金属系触媒粒子が形成された場合の前記昇温速度と前記平均粒径Cの関係を示している。線A〜Cは、グラフ中にプロットされる実測値から見積もられている。また、グラディエーションが掛かった領域Gは、徐々にCNTが製造され難くなることを示している。
図に示すように、線Aの事前酸化処理:150℃×10minの場合、傾きが比較的小さく、昇温速度が増大して80℃/secに達しても、平均粒径Dが30nm以下の金属系触媒粒子が形成され、触媒金属層を構成している。また、線Bの事前酸化処理:80℃×10minの場合、線Aに比べ傾きが大きくなり、昇温速度が80℃/secを越えると、平均粒径Dは、CNTが製造され難くなる領域Gと重なっている。事前酸化処理が行われない線Cの場合、少なくとも昇温速度10℃/sec程度までは、金属系触媒粒子がCNTの成長に好適な平均粒径Dを有しているが、10℃/sec以上では、事前酸化処理を行うことが好ましい。
また、前記基体がSiである場合、金属系触媒粒子層のSi基体との反応を防止するため、Si基体表面の酸化により、親和力が低減化されたSiOが反応防止層として形成される。更に、金属系触媒粒子層が鉄や鉄酸化物からなる場合、少なくともFeを含むFe複合粒子から形成されている。例えば、前記Fe複合粒子は、Feと共にFeを含んでいる。その構造は、図2に記載した触媒体の構造を有している。
[実施例4〜7]
表3は、反応防止層が窒化珪素膜から形成される触媒体を用いて製造された実施例4〜7のブラシ状CNTの作製条件とその特性を示している。実施例4と実施例5の製造に用いられた触媒体は、それぞれ、1cm×1cmと3cm×3cmにカットされたSi基板(シリコンウェハ)が基体として用いられている。これらのSi基板の表面には、厚さ約10nmの酸化珪素層(SiO層)が形成されている。実施例4と実施例5に用いられた触媒体では、スパッタ装置(ULVAC社製 RFS−200)を用いて、前記酸化珪素膜上に厚さ約11.5nmの窒化珪素層(Si層)を成膜している。この実験において、前記窒化珪素層はSiから形成されているが、珪素の組成比Xと窒素の組成比Yは、作製条件により変化する。従って、反応防止層は、SiO層とその上に形成されたSi層から構成されている。更に、前記反応防止層の表面には、電子ビーム蒸着法により触媒金属層として膜厚約4nmの純鉄膜を成膜した。CNT合成前の事前酸化処理では、10分間150℃で加熱して純鉄膜表面に凝集抑制層として機能する酸化膜層が形成され、実施例4及び5の製造に用いられるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体が完成される。
次に、前記触媒体を用いて製造されたブラシ状CNTの作製条件と製造されたブラシ状CNTである実施例4と実施例5の評価について説明する。原料ガスとしては、日合ニッコー製の高純度アセチレン、キャリアガスとして大陽日酸製グレードG1(純度99.9999%)のヘリウムを利用した。前記触媒体は、反応室に設置され、反応温度は700℃〜800℃に設定している。この条件下において、熱CVD法によりロープ状CNTが引き出せるブラシ状CNTを製造することができた。実施例4では、基体と反応防止層からなる基板上にCNT平均高さが119μm、嵩密度が49.1mg/cc(mg/cm)のブラシ状CNTが形成されていることが確認された。実施例5では、平均高さが119μmであっても嵩密度が50mg/cc(mg/cm)程度あれば安定してロープ状CNTが引き出せた。実施例5では、前記基板上のCNT平均高さが167μm、嵩密度が27.6mg/cc(mg/cm)であった。実施例4に比べて、嵩密度が小さく、50mg/cc(mg/cm)程度に達していないため、ロープ状CNTの収率がやや低下したが、実施例5からロープ状CNTを製造できることを確認した。
表3の実施例6と実施例7の製造に用いられた触媒体では、基体となる直径6インチのSi基板(シリコンウェハ)上に、反応防止層として窒化珪素層(Si層)が形成されている。このSi層は、E&M社製の装置を用いてCVD法により成膜されており、膜厚が約310nmに設定されている。実施例4及び5と同様に、触媒金属層として膜厚4nmの純鉄膜が電子ビーム蒸着法により成膜されている。CNT合成前の事前酸化処理では、10分間150℃で加熱して純鉄膜表面に凝集抑制層として酸化膜層が形成され、本発明に係る触媒体が完成する。更に、実施例4及び5と同様に、原料ガスとして前記高純度アセチレン、キャリアガスとして前記グレードG1のヘリウムを利用し、反応温度を700℃〜800℃に設定して熱CVD法によりブラシ状CNTを製造した。実施例6では、基板上のCNT平均高さが182μm、嵩密度が30.1mg/cc(mg/cm)であり、嵩密度が約30mg/cc(mg/cm)程度であっても平均高さが約180μm程度あれば、安定してロープ状CNTが引き出せることが確認されている。実施例7では、基板上のCNT平均高さが119μm、嵩密度が49.1mg/cc(mg/cm)でり、平均高さが119μmであっても嵩密度が50mg/cc(mg/cm)程度あれば、安定してロープ状CNTが引き出せることが確かめられている。
図14は、ブラシ状CNTの嵩密度と平均高さの関係からロープ状CNTが製造できる条件を考察する説明図である。図14では、実施例4〜7の嵩密度(mg/cc)に対するCNT平均高さ(μm)がプロットされている。ブラシ状CNTからCNTの集合体を引き出すことにより、ロープ状CNTを製造する場合、嵩密度と平均高さの関係に関して好適な領域が明らかになりつつある。この領域には、本件発明者らのこれまでの研究から、図14において、実施例4〜7が含まれる一点鎖線で囲まれた斜線の範囲にある又はこれらの範囲を含むものと考えられる。即ち、嵩密度が比較的小さな場合においても、ブラシ状CNTの平均高さがその嵩密度に対応する所定の範囲内あれば、ブラシ状CNTからロープ状CNTを安定に製造できることを示しており、逆に平均高さが比較的小さな場合においても、嵩密度がその平均高さに対応する所定の範囲内あれば、ブラシ状CNTからロープ状CNTを安定に製造できることを示している。また、点線で示した範囲の場合、ブラシ状CNTの嵩密度又は平均高さが比較的大きな値を有していても、対応する一方の値が好適な範囲にない場合、ロープ状CNTを安定に製造できない範囲が存在することを示している。
[実施例8〜10]
表4は、溶媒に硝酸鉄又は硝酸鉄9水和物を溶解させた触媒金属塩溶液を用いて得られた本発明に係る触媒体により製造されたブラシ状CNTの評価を実施例6〜37として示す。即ち、表4には、エタノールとα−テルピネオールの混合液又はエタノールからなる溶媒に触媒金属塩を溶解させた溶液(溶液濃度0.6重量%)を用いて得られたブラシ状CNT製造用触媒体により、ブラシ状CNTが製造できるか程度かどうかで評価されている。表中では、ブラシ状CNTが成長した場合に丸印は付けている。均質で高密度なブラシ状CNTが得られた場合、ロープ状CNTを容易に作製することができる。溶媒は、反応防止層との濡れ性に富んだ性質を具備することが好ましく、より薄い触媒金属層を形成することにより触媒粒子の粒径を小さくすることができる。更に、金属塩としては、種々の鉄錯体などを用いることができ、例えば、アセチルアセトナト鉄錯体、DMF(ジメチルホルムアミド)鉄錯体、ハロゲノ鉄錯体、シアノ鉄錯体などを用いることができる。
図15は、CNT嵩密度と触媒粒子径の関係からロープ状CNTが製造できる配向CNTの条件について示す。プロットEは、実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体を示しており、領域Fは、ロープ状CNTを製造できる最適な範囲を示している。尚、嵩密度が増加すればするほど、ロープ状CNTを容易に作製することができる。ロープ状CNTを製造できる条件は、CNT嵩密度が20mg/cm望ましくは40mg/cm程度以上必要であり、かつ金属系触媒粒子の平均粒径Dが20nm〜30nm程度の範囲が望ましい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明に係るブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体によれば、高効率にCNTを製造できると共に、CNTの集合体である、いわゆるロープ状CNTの製造に欠かせない、高密度かつ均一でCNTの長さが長いブラシ状カーボンナノ構造物のブラシ状CNT等を製造することができる。即ち、高密度かつ長尺高配向CNTを製造することができる。本発明に係るブラシ状CNTを用いて製造されたロープ状CNTは、超軽量、高強度の繊維であり、カーボン製電線などや種々の炭素材料として利用することができる。
【0002】
た束状CNT集合体150をピンセット160等によって引っ張ることにより、ロープ状CNT152を製造することが可能である。即ち、複数のCNT146からなる集合体、いわゆるロープ状CNT152の製造工程は、(1)基体上に基体132に対して垂直方向に配向した複数のCNT146を形成する化学気相成長(CVD)工程、(2)基体132を劈開する劈開工程、(3)CNT146の複数本又は束状CNT集合体150を引張り、ロープ状CNT152を形成する引張工程からなる。国際公開第WO2005/102924A1パンフレット(特許文献1)には、複数のCNTが互いに絡みあった束状の集合体であるロープ状CNTとこのロープ状CNT(特許文献1では、「CNTロープ」と呼ばれている)が平面的に集合したCNT集合体である「CNTシート」の製造方法が記載されている。
[0005]
非特許文献1には、鉄触媒の昇温工程において、ヘリウムガス雰囲気中における鉄触媒が、室温からCNT構造物成長温度(700℃)に至る過程で、鉄元素状態からマグネタイト(Fe)状態を経て、700℃ではヘマタイト(Fe)等の酸化鉄状態に相転移する技術的説明が示されている。図17の(17A)は、非特許文献1に記載される従来の珪素基体表面に形成された鉄触媒粒子の原子間力顕微鏡(AFM)像であり、(17B)は、(17A)の点線で示した領域(縦横共に500nm)の拡大像である。鉄粒子が凝集して触媒粒子径100nm程度まで成長した肥大化触媒粒子が形成されており、CNTの成長に適した粒子径を越えている。更に、肥大化触媒粒子が形成されることにより、鉄触媒粒子の密度が大幅に低減化されている。
特許文献1:国際公開第WO2005/102924A1パンフレット
非特許文献1:Kenji Nishimura,Nobuharu Okazaki,Lujin Pan,and Yoshikazu Nakayama,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.43,No.4A,2004,pp.L471−L474
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0006]
図18は、従来の触媒体101及びブラシ状CNT148の構成及びこれらの製造方法を示す概略図であり、図17に示される肥大化触媒粒子の形成過程等を説明するものである。(18A)に示す従来の珪素基体132の表面には、鉄膜からなる触媒層140
【0003】
が形成され、(18B)に示すように、不活性ガス雰囲気下における加熱処理により前記触媒層140から鉄触媒粒子142が形成される。しかしながら、従来の珪素基体132は、鉄等の触媒金属との高い親和性を有し、珪素基体132との界面に鉄シリサイドが形成されたシリサイド化粒子143が成長し、基体に付着して半球状の形状となり、CNTが成長しない現象が見られていた。更に、図17に示したように、鉄触媒粒子142が形成される昇温過程では、鉄粒子が凝集してCNTの成長に適した触媒粒子径を越えて成長した肥大化触媒粒子142aが形成され、特に、高速昇温では、その傾向が顕著になっていた。(18C)に示すように、CNT直径を越える粒径を有する肥大化触媒粒子142aからはCNT146が成長せず、ブラシ状CNT148のCNT密度を低減化させていた。
[0007]
前述のように、特許文献1には、ロープ状CNTが記載されているが、所定の長さ以上の連続的なロープ状CNTを従来のブラシ状CNTから製造する場合、再現性が低く、大量かつ安定に製造できる条件は明らかにされてこなかった。更に、ロープ状CNTを製造することができる高密度なブラシ状CNTを高速合成、例えば、10℃/sec以上の高速昇温により合成することは、従来のブラシ状CNTの製造方法では困難であった。即ち、基体上の触媒層からブラシ状CNTを成長させ、CNTの密度と高さが所定値に設定されたブラシ状CNTを安定的に製造するブラシ状CNT製造用触媒体を提供することができなかった。
[0008]
本発明は、上記の課題を解決するため、ロープ状CNT等のCNT集合体の作製に利用することができる高密度なブラシ状CNT等のブラシ状カーボンナノ構造物を高効率に製造すること及びその製造を可能にするブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009]
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、基体と前記基体表面に形成された反応防止層と前記反応防止層上の触媒層からなり、前記触媒層が前記反応防止層上の触媒金属層と前記触媒金属層の表面に形成された凝集抑制層から構成されるブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体である。
【0012】
[図5]本発明に係るブラシ状CNTの製造工程における時間経過と反応室内の温度変化の関係を示すチャート図である。
[図6]本発明に係るブラシ状CNT製造装置の構成概略図である。
[図7]実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体表面と比較例のAFM像である。
[図8]実施例2のブラシ状CNT製造用触媒体表面と比較例のAFM像である。
[図9]実施例2と同じ方法により製造された鉄系触媒粒子の粒径分布図である。
[図10]事前酸化処理の効果と処理温度を比較するために示す比較例1及び比較例3〜5のAFM像である。
[図11]実施例3のブラシ状CNT及び比較例6を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
[図12]比較例7〜9のブラシ状CNTを観察したSEM像である。
[図13]昇温速度と平均触媒粒子径の関係を示すグラフ図である。
[図14]CNT嵩密度と触媒粒子径の関係からロープ状CNTが製造できる配向CNTの条件について示すグラフ図である。
[図15]ブラシ状CNTの嵩密度と平均高さの関係からロープ状CNTが製造できる条件を考察する説明図である。
[図16]従来のロープ状CNTの製造方法を説明する概略図である。
[図17]従来の珪素基体表面に形成された鉄触媒粒子の原子間力顕微鏡(AFM)像である。
[図18]従来の触媒体及びブラシ状CNTの構成及びこれらの製造方法を示す概略図である。
符号の説明
[0029]
1 触媒体
2 反応ヒータ
3 ガス排出管路
4 反応室
5 開閉バルブ
7 開閉バルブ
【0031】
防止層からなる基板上にCNT平均高さが119μm、嵩密度が49.1mg/cc(mg/cm)のブラシ状CNTが形成されていることが確認された。実施例5では、平均高さが119μmであっても嵩密度が50mg/cc(mg/cm)程度あれば安定してロープ状CNTが引き出せた。実施例5では、前記基板上のCNT平均高さが167μm、嵩密度が27.6mg/cc(mg/cm)であった。実施例4に比べて、嵩密度が小さく、50mg/cc(mg/cm)程度に達していないため、ロープ状CNTの収率がやや低下したが、実施例5からロープ状CNTを製造できることを確認した。
[0074]
表3の実施例6と実施例7の製造に用いられた触媒体では、基体となる直径6インチのSi基板(シリコンウェハ)上に、反応防止層として窒化珪素層(Si層)が形成されている。このSi層は、E&M社製の装置を用いてCVD法により成膜されており、膜厚が約310nmに設定されている。実施例4及び5と同様に、触媒金属層として膜厚4nmの純鉄膜が電子ビーム蒸着法により成膜されている。CNT合成前の事前酸化処理では、10分間150℃で加熱して純鉄膜表面に凝集抑制層として酸化膜層が形成され、本発明に係る触媒体が完成する。更に、実施例4及び5と同様に、原料ガスとして前記高純度アセチレン、キャリアガスとして前記グレードG1のヘリウムを利用し、反応温度を700℃〜800℃に設定して熱CVD法によりブラシ状CNTを製造した。実施例6では、基板上のCNT平均高さが182μm、嵩密度が30.1mg/cc(mg/cm)であり、嵩密度が約30mg/cc(mg/cm)程度であっても平均高さが約180μm程度あれば、安定してロープ状CNTが引き出せることが確認されている。実施例7では、基板上のCNT平均高さが119μm、嵩密度が49.1mg/cc(mg/cm)でり、平均高さが119μmであっても嵩密度が50mg/cc(mg/cm)程度あれば、安定してロープ状CNTが引き出せることが確かめられている。
[0075]
図15は、ブラシ状CNTの嵩密度と平均高さの関係からロープ状CNTが製造できる条件を考察する説明図である。図15では、実施例4〜7の嵩密度(mg/cc)に対するCNT平均高さ(μm)がプロットされている。ブラシ状CNTからCNTの集合体を引き出すことにより、ロープ状CNTを製造する場合、嵩密度と平均高さの関係に関して好適な領域が明らかになりつつある。この領域には、本件発明者らのこれまでの研究から、図15において、実施例4〜7が含まれる一点鎖線で囲まれた斜線の範囲に
【0033】
[0078]
図14は、CNT嵩密度と触媒粒子径の関係からロープ状CNTが製造できる配向CNTの条件について示す。プロットEは、実施例1のブラシ状CNT製造用触媒体を示しており、領域Fは、ロープ状CNTを製造できる最適な範囲を示している。尚、嵩密度が増加すればするほど、ロープ状CNTを容易に作製することができる。ロープ状CNTを製造できる条件は、CNT嵩密度が20mg/cm望ましくは40mg/cm程度以上必要であり、かつ金属系触媒粒子の平均粒径Dが20nm〜30nm程度の範囲が望ましい。
[0079]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
産業上の利用可能性
[0080]
本発明に係るブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体によれば、高効率にCNTを製造できると共に、CNTの集合体である、いわゆるロープ状CNTの製造に欠かせない、高密度かつ均一でCNTの長さが長いブラシ状カーボンナノ構造物のブラシ状CNT等を製造することができる。即ち、高密度かつ長尺高配向CNTを製造することができる。本発明に係るブラシ状CNTを用いて製造されたロープ状CNTは、超軽量、高強度の繊維であり、カーボン製電線などや種々の炭素材料として利用することができる。

Claims (8)

  1. 基体と前記基体表面に形成された反応防止層と前記反応防止層上の触媒層からなり、前記触媒層が前記反応防止層上の触媒金属層と前記触媒金属層の表面に形成された凝集抑制層から構成されることを特徴とするブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体。
  2. 前記凝集抑制層は、前記触媒金属層より融点の高い金属化合物から形成され、加熱時に前記触媒層が融解して凝集することを抑制する機能を有する請求項1に記載のブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体。
  3. 前記凝集抑制層が前記触媒金属層を構成する金属元素の金属酸化物から形成される請求項1又は2に記載のブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体。
  4. 基体を加熱処理して基体表面に酸化物からなる反応防止層を形成し、前記反応防止層の表面に触媒金属層を形成し、80℃≦T<300℃の温度範囲で加熱処理して前記触媒金属層の表面に金属酸化物からなる凝集抑制層を形成し、10℃/sec以上の昇温速度で加熱して前記触媒金属層と前記凝集抑制層からなる触媒層を比較的均一に粒子化して、前記反応防止層の表面に触媒金属を主成分とする金属系触媒粒子からなる触媒粒子層を形成することを特徴とするブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の製造方法。
  5. 前記金属系触媒粒子の平均粒径Dが0.5nm≦D≦80nmの範囲にあり、前記金属系触媒粒子の個々の粒径dが前記平均粒径Dの範囲内にあり、前記金属系触媒粒子の粒径分布の半値幅をΔDとしたとき、前記平均粒径Dに対する前記半値幅ΔDの比率ΔD/Dが0<ΔD/D≦0.7の範囲にあり、前記触媒層を形成する前記金属系触媒粒子の単位面積当たりの個数が1×10個/cm以上に設定される請求項4に記載のブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の製造方法。
  6. 請求項1、2又は3に記載のブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を反応室に配設し、前記反応室を加熱して前記触媒金属層と前記凝集抑制層からなる触媒層を粒子化して、前記反応防止層の表面に触媒金属を主成分とする金属系触媒粒子からなる触媒粒子層を形成し、加熱された前記反応室に少なくとも原料ガスを流通させ、前記ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の前記触媒粒子層の表面に多数のカーボンナノ構造物をブラシ状に成長させることを特徴とするブラシ状カーボンナノ構造物製造方法。
  7. 請求項4又は5に記載の製造方法により製造されたブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体を反応室に配設し、前記反応室を加熱し、加熱された前記反応室に少なくとも原料ガスを流通させ、前記ブラシ状カーボンナノ構造物製造用触媒体の前記触媒粒子層の表面に多数のカーボンナノ構造物をブラシ状に成長させることを特徴とするブラシ状カーボンナノ構造物製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載のブラシ状カーボンナノ構造物製造方法により製造されたカーボンナノチューブの構造物であり、前記構造物の嵩密度が20mg/cm以上であり、前記カーボンナノチューブの平均高さが1μm以上であることを特徴とするブラシ状カーボンナノ構造物。
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