JPWO2007072790A1 - 細胞電気生理センサ - Google Patents

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Abstract

細胞電気生理センサは、両端に開口部を有した1つの曲面からなる壁面を設けたウエルと、貫通孔と電極を設けた枠体基板と、第二の貫通孔を有した薄板を設けた細胞電気生理センサチップと、空洞基板とを有し、枠体基板の厚みを細胞電気生理センサチップの厚みより大きくし、第三の開口部の開口径を第四の開口部の開口径より大きくする。

Description

本発明は、細胞の活動によって発生する物理化学的変化を測定するために用いられる細胞内電位あるいは細胞外電位等の細胞電気生理現象を測定するための細胞電気生理センサに関する。
従来、電気生理学におけるパッチクランプ法は、細胞膜に存在するイオンチャンネル機能を測定する方法として知られており、このパッチクランプ法によってイオンチャンネルの様々な機能が解明されてきた。そして、イオンチャンネルの働きは細胞学において重要な関心ごとであり、これは薬剤の開発にも応用されている。
しかし、一方でパッチクランプ法は測定技術に微細なマイクロピペットを1個の細胞に高い精度で挿入するという極めて高い技能を必要としているため、熟練作業者が必要である。したがって、高いスループットで測定を必要とする場合には適切な方法でない。
このため、微細加工技術を利用した平板型プローブの開発がなされており、これらは個々の細胞についてマイクロピペットの挿入を必要としない自動化システムに適している。例えば、2つの領域を分離するキャリアに穴を有し、このキャリアの上下に設置した電極によって電界を発生させることで細胞に穴を接触させた状態を効率よく保持し、上下の電極間で電気的測定を行うことで細胞の電気生理的測定を可能にする技術が開示されている(特許文献1参照)。また、平板のデバイスに複数の貫通孔を設け、ここに接着した細胞の連続層を含み、電極で電位依存性のイオンチャンネル活性を測定する技術が開示されている(特許文献2参照)。
また、基板に複数設けたキャビティの内部にそれぞれ設けたマイクロエレメントと、このマイクロエレメントにつながる流路を減圧することにより細胞をマイクロエレメントに引きつけて、細胞の電気生理現象を測定する技術が開示されている(特許文献3参照)。さらに、基板の平板部に穴を設け、基板に基準電極および測定電極を一体化することにより、細胞の電気生理現象を測定する技術も開示されている(特許文献4参照)。また、1つのチャンネルが貫通している表面に、細胞の下面から吸引して位置決めした後、圧力差を増大させて細胞の下面一部を破裂させることにより、液体中に含まれる細胞の測定を行う方法が開示されている(特許文献5参照)。
さらに、使用時に物体がオリフィスをシールし、これによって電気的に絶縁された第一および第二の空洞部が形成されるように構成し、第一および第二の空洞部にそれぞれ設置された電極間のインピーダンスの変化によって、媒体中の物体の電気的測定を行う装置が開示されている(特許文献6参照)。
また、基板の上に設けられた細胞保持手段を備えたウエルと、このウエルの電気信号を検出する測定用電極と、基準電極とを備えた細胞外電位測定用デバイスによって細胞外電位を測定する技術が開示されている(特許文献7参照)。
また、オリフィスに物体をシールさせて、これによって電気的に絶縁された空洞間の電極インピーダンスを測定することによって、物体の状態変化を検出する装置が開示されており、物体が置かれている液体環境を迅速に除去・交換するために液体供給毛細管と液体吸引毛細管を備えた液体供給手段についても開示されている(特許文献6参照)。
その他、SiOなどの平板に、直径数μmの貫通孔を形成したデバイスも知られている。この貫通孔は、パッチクランプ法におけるガラスピペットの先端穴と同様の役割を果たす。そして、平板の裏面側から細胞を吸引等すれば、細胞を貫通孔に自動的に引きつけ、密着させることができ、容易に細胞外電位を測定することができる。
しかしながら、上述したような従来における細胞電気生理センサの主な目的は細胞の電気生理現象を従来のパッチクランプ法で使われる微細プローブを用いることなく簡便に計測することである。特に特許文献6で開示された液体供給手段は細胞周辺の液体環境を迅速に除去・交換するために有効な手段である。しかしながら、液体供給手段である極めて細い管を細胞の周辺に精度良く配置することは重要であると考えられるが、液体中への管の挿入を高精度に行うには液体中では管への表面張力の影響が無視できないために困難さが伴う。また、細胞の周辺に液体を供給する際に細胞へ向かって直接流れを発生させると、液体を迅速に供給させるために流れを強くしすぎると流れが不安定になることがある。
特表2002−508516号公報 特表2002−518678号公報 米国特許第6315940号明細書 特表2003−511668号公報 特表2003−511699号公報 特表2003−527581号公報 国際公開第02/055653号
本発明の細胞電気生理センサは、少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面を設けるとともに第一の壁面の両端に第一の開口部と第二の開口部とを有したウエルと、第二の開口部に当接する第三の開口部と第四の開口部とを有した第一の貫通孔を設けた枠体基板と、少なくとも1つの第二の貫通孔を有した薄板を設けるとともに第一の貫通孔の内部に埋め込まれた細胞電気生理センサチップと、第四の開口部に当接するように空洞を設けた空洞基板とを備え、第三の開口部の端部より下方に細胞電気生理センサチップの薄板が設置されたものである。
このような構成により、使用に際して、液体中の特定位置に配置された細胞の周辺に確実に、そして安定的に、薬剤その他の液体を供給・吸引できるようにすることによって、細胞電気生理現象の効率的な測定を実現するものである。
図1は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図である。 図2は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図である。 図3は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大上面図である。 図4は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの測定方法を説明するための断面図である。 図5は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図である。 図6は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図である。 図7は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図である。 図8は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図である。 図9は本発明の実施の形態1における別の構造の細胞電気生理センサの断面図である。 図10は本発明の実施の形態1における別の構造の細胞電気生理センサの断面図である。 図11は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図である。 図12は本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図である。 図13は本発明の実施の形態1における要部拡大断面図である。 図14は本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図である。 図15は本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの断面図である。 図16Aは本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図である。 図16Bは本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図である。 図16Cは本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図である。 図17は本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの断面図である。 図18は本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサのチップ部分の拡大断面図である。 図19は本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサのチップ部分の断面図である。 図20は本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサのチップ部分の拡大断面図である。 図21は本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサのチップ部分の断面図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C ウエル
2 枠体基板
3 空洞基板
4 細胞電気生理センサチップ
5 第一の貫通孔
6 第一の開口部
7 第二の開口部
9 第三の開口部
10 第四の開口部
11 流路
12 溝
13 第一の壁面
14 第二の壁面
15 空洞
16 第二の貫通孔
17 薄板
18 マイクロピペット
19 細胞
20 溝
21 凹部
22 凸部
23 第一の電極
24 第二の電極
25 第三の電極
26 細胞外液
27 細胞内液
28 シール剤
30 配線電極
31 空洞構造体
以下、本発明の実施の形態における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図であり、図2は図1の要部拡大断面図、図3は要部拡大上面図である。図1〜図3に示すように、樹脂よりなるウエル1は少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面13とこの両端に第一の開口部6、第二の開口部7を有している。第一の開口部6は、図1の矢印に示すようにウエル1の上部に開口した部分である。同様に第二の開口部7は、図1の矢印に示すようにウエル1の下部に開口した部分である。そして、図3に示すように、第一の開口部6と第二の開口部7とは実質的に円形の開口部として形成されている。なお、本実施の形態では第一の開口部6と第二の開口部7とは実質的に円形の開口部として形成されているが、円形に限るものではなく、実質的に楕円状でも矩形状でもよい。また、ウエル1の第一の壁面13は、第一の開口部6の開口径が第二の開口部7より大きく、その壁面はテーパ形状に形成されている。
そして、第二の開口部7には樹脂よりなる枠体基板2が当接されている。枠体基板2には両端に第三の開口部9、第四の開口部10を有した第一の貫通孔5が形成されている。第三の開口部9は、枠体基板2の上面に開口した部分である。同様に第四の開口部10は、枠体基板2の下面に開口した部分である。そして、第一の貫通孔5は、第三の開口部9が第四の開口部10より大きい開口径を有するテーパ形状であり、図2に示すようにすり鉢状に形成されている。
さらに、第四の開口部10には樹脂よりなる空洞基板3が当接されており、空洞基板3は第四の開口部10の下方に位置する部分に空洞15を有している。それぞれの空洞15はお互いに接続されて薬剤などの流路11として利用されるものである。
さらに、枠体基板2の第一の貫通孔5の内部には保持部4A(側壁部分)と薄板17とが設けられた細胞電気生理センサチップ4が埋め込まれるとともにシール剤28によって封止されている。そして、薄板17には少なくとも1つの第二の貫通孔16が設けられている。なお、第二の貫通孔16は、図2では表示されないほど微小な径を有する貫通孔である。また、枠体基板2の厚みは細胞電気生理センサチップ4の厚みより大きく形成されている。このとき、センサチップ4の薄板17は、第1の貫通孔5の上側の開口部である第三の開口部9より下方に位置している。また、第一の貫通孔5は、図2に示すように第三の開口部9が徐々に小さくなるように構成されている。そして、第一の貫通孔5は、細胞電気生理センサチップ4の外形とほぼ同じになったところで、枠体基板2に対して垂直な穴となり、第四の開口部10へと通じるように構成されている。すなわち、実施の形態1における細胞電気生理センサは、第三の開口部9の大きさを第二の開口部7と同じあるいは小さくし、且つ細胞電気生理センサチップ4の上面における大きさまで徐々に小さくしたテーパ状の第二の壁面14を有している。このように構成とすることによって、後の動作の説明でも述べるが、ウエル1に細胞、薬剤、培養液、細胞外液等を投入する際に、細胞電気生理センサチップ4の第二の貫通孔16が形成された薄板17の近傍へ確実にこれらを到達させることができる。したがって、効率的な測定を可能にする細胞電気生理センサを実現することができる。
ウエル1、枠体基板2および空洞基板3はすべて樹脂で構成されており、樹脂としては熱可塑性樹脂がより好ましい。これにより、これら材料は熱溶着などの手段を用いることで特に接着剤を使うことなく、互いに強固に接合することができる。また、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィンポリマ樹脂、ポリメタクリル酸メチルアセテート樹脂の少なくともいずれか1つを含む熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これらの材料は、特に熱溶着によって接合を行いやすい。さらに、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3は、環状オレフィンポリマ、線状オレフィンポリマ、またはこれらが共重合した環状オレフィンコポリマ、またはポリエチレンの少なくともいずれか1つから選択することがより好ましい。特に、環状オレフィンコポリマは透明性、アルカリ・酸などの無機系薬剤に対する耐性が強く、本発明の製造工程もしくは使用環境に最も適している。
なお、図1には細胞電気生理センサチップ4を複数形成した構成を示しているが、このことは本発明の範囲を限定するものではない。また、図1は第一の電極23、第二の電極24および第三の電極25が枠体基板2に設けられた様子を示している。これら電極はセンサ部で発生する電気的指標、たとえば電位、電流などを測定するためのものであるが、これらの形状、材質などは本発明の範囲を限定するものではない。また、これらの電極は予め細胞電気生理センサと一体化されていてもよく、あるいは測定時に細胞電気生理センサ内に差し込まれるように設計してもよい。
なお、配線電極30は細胞電気生理センサチップ4をマトリックス状に複数配置した構成としたときの電極パターンを示している。
次に、本発明の細胞電気生理センサを用いて細胞の電気生理活動を測定する方法について述べる。図4〜図11は本発明の細胞電気生理センサを用いた測定方法を説明するための断面図である。
まず、図4に示すように、細胞内液27がウエル1Bからウエル1Cにかけて吸引されて空洞15に充填され、また、ウエル1Aに細胞外液26が充填される。ここで細胞内液27とは、例えば、ほ乳類筋細胞の場合、代表的には、Kイオンが155mM、Naイオンが12mM程度、Clイオンが4.2mM程度添加された電解液であり、細胞外液26とは、Kイオンが4mM程度、Naイオンが145mM程度、Clイオンが123mM程度添加された電解液である。この状態で、ウエル1の内部に設置された第一の電極23と空洞15の内部に設置された塩化銀などからなる第三の電極25との間で、100kΩ〜10MΩ程度の抵抗値を測定することができる。この第三の電極25は、枠体基板2の上下をシールして流路11内の細胞内液27がウエル側に漏れ出さないようにするとともに、参照用の電極としての役割をはたしている。すなわち、細胞電気生理センサチップ4の薄板17の内部に設けられた第二の貫通孔16に電解液である細胞内液27あるいは細胞外液26が浸透することにより、第一の電極23と第三の電極25の電極間に電気回路が形成されている。
次に、図5および図6に示すように、マイクロピペット18を用いて、細胞19を投入する。なお、図6は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図であり、図5に示した破線の円形部分を拡大して示している。図6に示すように、第三の開口部9の開口径を第四の開口部10の開口径より大きくして、テーパ形状の第一の貫通孔5が枠体基板2に形成されている。したがって、投入された細胞19が細胞電気生理センサチップ4の薄板17の近傍まで到達しやすい構造が実現されている。
なお、枠体基板2の第一の貫通孔5の形状は、図7に示すように、垂直な穴にすることもできるが、この場合は前述のようにテーパ形状にするときよりも細胞、薬剤、培養液、細胞外液等を投入した際に薄板17の近傍へ到達しにくくなることが考えられる。したがって、これらを投入する際に上部から挿入するマイクロピペット18の位置を、図8に示すように、第一の貫通孔5の中心より若干、好ましくは100〜500um程度水平方向にずらして溶液の投入を行うことが望ましい。このようにすれば、溶液の流れが第一の貫通孔5内で発生して、確実に溶液が薄板17の近傍へ到達することができるようになる。
そして、本実施の形態によれば、薄板17が第一の貫通孔5の上側の開口部である第三の開口部9より下方に位置していることにより、細胞、薬剤、等を上部より投入する際に薄板17の近傍へ向かって直接流れが発生するのではなく、第一の貫通孔5の壁面に沿って流れが発生する。したがって、より穏やかな流れが発生する。
なお、本発明における細胞電気生理センサチップ4は、薄板17が保持部4Aに保持された形状である。保持部4Aに薄板17を保持させて細胞電気生理センサチップ4が形成されている理由は、薄板17の厚みが100um以下と極めて薄いため単独では扱いが困難であるためである。また、図9および図10に示すように、細胞電気生理センサチップ4を第一の貫通孔5に配置する際に、薄板17がより第三の開口部9へ近くなるようにしても良い。この選択は投入する細胞、薬剤等の流れをどのような条件(流速、流れ方向)で発生させたいか、あるいは測定する細胞19の性質(たとえば浮遊性か粘着性か、大きさ、密度等)によって最適に決定されるべきである。例えば、細胞密度が小さい場合、薄板17を下にして薄板17と第三の開口部9との段差を大きくすると、薄板17付近における細胞外液の流動抵抗が大きくなる。したがって、細胞外液の流れが穏やかになって、細胞のトラップ率を高くできる。一方、細胞密度が大きい場合、薄板17を上にして薄板17を第三の開口部9に近づけると、細胞外液の流れが速くなる。したがって、細胞をより迅速にトラップできる。
次に、図11に示すように空洞15に充填された細胞内液27が吸引されると、細胞19は第二の貫通孔16へ引きつけられ、ついにはこの第二の貫通孔16をふさぎ、ウエル1と空洞15との間の電気抵抗は十分に高くなる。この状態においては、細胞19の電気生理活動によって細胞19の内外の電位が変化した場合に、わずかな電位差あるいは電流であっても高精度な測定を実現できる。
さらに、本実施の形態1の別の例として、図12に示すように枠体基板2の第三の開口部9につながる第二の壁面14には、第一の貫通孔5へ向かって放射状に少なくとも1つの溝12が形成されている。そして、溝12は、直線状に形成されることが好ましい。この形状によれば、図13に示すように、マイクロピペット18をウエル1から挿入したとき、マイクロピペット18がウエル1の溶液の表面張力等によって応力を受けて高精度な位置決めが難しい場合でも、第二の壁面14へ設けられた溝12がガイドとなり、マイクロピペット18は望む方向に先端を向けることとなり、より確実に細胞電気生理センサチップ4の近傍へ細胞19、薬液、等を投入できる。
さらに本実施の形態1の他の例として、図14に示すように枠体基板2の第二の壁面14に、第一の貫通孔5の中心部へ向かって少なくとも1つのらせん状の溝20が形成されてもよい。このようにらせん状の溝20が第二の壁面14に形成されることにより、マイクロピペット18によって投入される液体がらせん状の溝20に沿って流れることとなり、ウエル1の容器内における薬液の混合を容易にすることができる。
さらに、本実施の形態1の別の構成として、図15に示すように、第一の貫通孔5の第三の開口部9は第二の開口部7と同じあるいは小さくし、且つ第四の開口部10より大きくし、第三の開口部9側の内壁面は第四の開口部10に向かって垂直となるように形成し、第一の貫通孔5をいわゆる座繰り穴形状として形成してもよい。すなわち、細胞電気生理センサチップ4の上面の高さまで実質的に同じ大きさになるように座繰り抜くとともに、細胞電気生理センサチップ4の上面と同一面上に平面である底面が形成されている。このように座繰り穴形状に形成する場合は、先に述べたテーパ形状よりも加工が行いやすいという利点を有している。なお、枠体基板2の第一の貫通孔5の内部には細胞電気生理センサチップ4が埋め込まれているが、この細胞電気生理センサチップ4の厚みは枠体基板2の厚みより小さい。そして、図16Aに示すように、座繰り抜いた第三の開口部9の底面部に、第一の貫通孔5の中心部に向かって少なくとも1つの溝12が形成されていてもよい。なお、図16Aには、溝12の数は12個の場合について示したが、この数に限るものではない。この溝12によって座繰り穴形状の底面付近にある液体の流れを安定化させることができる。
そして、さらに図16Bに示すように、座繰り抜いた第三の開口部9の底面部に、第一の貫通孔5の中心部に向かって少なくとも1つのらせん形状の溝20が形成されてもよい。このような構成により、第一の貫通孔5の内部に液体が進入した際に、液体の流れがらせん形状の溝20によってらせん状に生じるようになる。したがって、このような構成は異なる液体の混合がスムーズに行われる利点を有している。なお、図16Bには、溝20の数は12個の場合について示したが、この数に限るものではない。
また、図16Cに示すように、第一の貫通孔5の第三の開口部9の底面部に、複数の鋭角な先端部を有する星形形状の凹部29が形成されてもよい。これによって、凹部29の鋭角な先端部では液体が濡れにくくなる。したがって、第一の貫通孔5の内部へ液体が進入する際に、気泡が凹部29の中央部に集中することから第三の開口部9側に伝わって気泡が除去されやすくなる。これによって、第一の貫通孔5の内部へ液体が進入する際の流路抵抗を下げることができ、確実な送液を可能にすることができる。なお、図16Cには、星形形状の凹部29をその鋭角な先端部が5個の場合について示したが、この数に限るものではない。
なお、上記したように第三の開口部9側の内壁面は第四の開口部10に向かって垂直となった、いわゆる座繰り穴形状の細胞電気生理センサチップ4を第一の貫通孔5に配置する際に、図17に示すように薄板17がより第三の開口部9側へ近くなるようにしても良い。この選択は測定する細胞の性質(例えば浮遊性、吸着性、大きさ、質量等)によって適宜選択することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。なお、図面において実施の形態1と同じ機能を持つ構成部材については同番号を付与する。
図18は本実施の形態2における細胞電気生理センサのチップ部分の拡大断面図である。ウエル1と枠体基板2と空洞基板3と細胞電気生理センサチップ4から構成される点は実施の形態1と同じ構成であるが、特に異なっている点は枠体基板2と細胞電気生理センサチップ4の形状である。
すなわち、図18に示すように枠体基板2は、第三の開口部9が第四の開口部10より大きく形成され、この第四の開口部10の周縁部に沿って、凹部21が形成されている。一方、細胞電気生理センサチップ4には薄板17の周囲に凸部22が設けられている。そして、凸部22は枠体基板2の凹部21に嵌合して内部に埋め込まれている。また、ウエル1と空洞基板3については基本的な構造は変わらないので詳細な説明を省く。
このような構成とすることによって、枠体基板2に設けられた第一の貫通孔5の第四の開口部10が細胞電気生理センサチップ4の薄板17付近にまで接近しているので、ウエル1から極めて効率的に薬液の交換、細胞19の投入などが行えるようになり、測定を効率化することができる。
さらに、このような構成によれば、凸部22と凹部21を嵌合することで枠体基板2と細胞電気生理センサチップ4の組み立てが完了する。したがって、組み立て時に、特にアライメントを必要としないという構造上の利点も有する。
さらに、実施の形態1で示したのと同様にウエル1、枠体基板2および空洞基板3はすべて樹脂で構成されており、特に熱可塑性樹脂で構成することが好ましい。これにより、これら材料は熱溶着などの手段を用いることで特に接着剤を使うことなく、互いに強固に接合できる。また、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィンポリマ樹脂、ポリメタクリル酸メチルアセテート樹脂の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。これらの材料は、特に熱溶着によって接合を行いやすい。さらに、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3が、環状オレフィンポリマ、線状オレフィンポリマ、またはこれらが共重合した環状オレフィンコポリマ、またはポリエチレンの少なくともいずれか1つから選択することがより好ましい。特に、環状オレフィンコポリマは透明性、アルカリ・酸などの無機系薬剤に対する耐性が強く、本発明の製造工程もしくは使用環境に適している。
さらに、図19に示すように実施の形態1で示したのと同様に、枠体基板2の第三の開口部9につながる第二の壁面14には、第一の貫通孔5の中心部へ向かって放射状に少なくとも一つの直線状の溝12が形成されることが好ましい。この形状とすることによって、マイクロピペット18をウエル1から挿入したときに、マイクロピペット18がウエル1の溶液の表面張力等によって応力を受けて高精度な位置決めが難しい場合でも、第二の壁面14へマイクロピペット18を突き当てれば、溝12がガイドとなり、より確実に第一の貫通孔5へ設置した細胞電気生理センサチップ4の近傍へ細胞19、薬液等を投入することができる。
なお、枠体基板2の第二の壁面14には、実施の形態1で示したのと同様、少なくとも一つのらせん状の溝20が形成されても良い。このような構成により、マイクロピペット18によって投入する液体がらせん状の溝20に沿って流れることとなり、ウエル1の容器内における薬液の混合を容易にする。
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。図20は実施の形態3における細胞電気生理センサの断面図である。図20に示すように、第一の貫通孔5が設けられた枠体基板2内に空洞構造体31が挿入されており、この空洞構造体31内に細胞電気生理センサチップ4が設置されている。このとき、細胞電気生理センサチップ4は空洞構造体31の上側の開口部より下方に薄板17が位置するように設置されている。
このような構成により、薄板17が空洞構造体31の上側の開口部より下方に位置することで、薬剤、細胞を上部より投入する際に、より穏やかな流れを発生させることができるという実施の形態1と同様の利点を有している。なお、図21に示すように、細胞電気生理センサチップ4は保持板4Aと薄板17の位置関係が反対になるように設置してもよく、この選択は投入する細胞、薬剤等の流れをどのような条件(流速、流れ方向)で発生させたいか、あるいは測定する細胞の性質(たとえば浮遊性か粘着性か、大きさ、密度等)によって最適に決定されるべきである。
以上のように本発明にかかる細胞電気生理センサは、液体中の特定位置に配置された細胞の周辺に確実に薬剤その他の液体を供給・吸引できるようにすることによって、細胞電気生理現象の効率的な測定を可能にするので、高速で薬理判定を行う、薬品スクリーニング等の測定器に有用である。
本発明は、細胞の活動によって発生する物理化学的変化を測定するために用いられる細胞内電位あるいは細胞外電位等の細胞電気生理現象を測定するための細胞電気生理センサに関する。
従来、電気生理学におけるパッチクランプ法は、細胞膜に存在するイオンチャンネル機能を測定する方法として知られており、このパッチクランプ法によってイオンチャンネルの様々な機能が解明されてきた。そして、イオンチャンネルの働きは細胞学において重要な関心ごとであり、これは薬剤の開発にも応用されている。
しかし、一方でパッチクランプ法は測定技術に微細なマイクロピペットを1個の細胞に高い精度で挿入するという極めて高い技能を必要としているため、熟練作業者が必要である。したがって、高いスループットで測定を必要とする場合には適切な方法でない。
このため、微細加工技術を利用した平板型プローブの開発がなされており、これらは個々の細胞についてマイクロピペットの挿入を必要としない自動化システムに適している。例えば、2つの領域を分離するキャリアに穴を有し、このキャリアの上下に設置した電極によって電界を発生させることで細胞に穴を接触させた状態を効率よく保持し、上下の電極間で電気的測定を行うことで細胞の電気生理的測定を可能にする技術が開示されている(特許文献1参照)。また、平板のデバイスに複数の貫通孔を設け、ここに接着した細胞の連続層を含み、電極で電位依存性のイオンチャンネル活性を測定する技術が開示されている(特許文献2参照)。
また、基板に複数設けたキャビティの内部にそれぞれ設けたマイクロエレメントと、このマイクロエレメントにつながる流路を減圧することにより細胞をマイクロエレメントに引きつけて、細胞の電気生理現象を測定する技術が開示されている(特許文献3参照)。さらに、基板の平板部に穴を設け、基板に基準電極および測定電極を一体化することにより、細胞の電気生理現象を測定する技術も開示されている(特許文献4参照)。また、1つのチャンネルが貫通している表面に、細胞の下面から吸引して位置決めした後、圧力差を増大させて細胞の下面一部を破裂させることにより、液体中に含まれる細胞の測定を行う方法が開示されている(特許文献5参照)。
さらに、使用時に物体がオリフィスをシールし、これによって電気的に絶縁された第一および第二の空洞部が形成されるように構成し、第一および第二の空洞部にそれぞれ設置された電極間のインピーダンスの変化によって、媒体中の物体の電気的測定を行う装置が開示されている(特許文献6参照)。
また、基板の上に設けられた細胞保持手段を備えたウエルと、このウエルの電気信号を検出する測定用電極と、基準電極とを備えた細胞外電位測定用デバイスによって細胞外電位を測定する技術が開示されている(特許文献7参照)。
また、オリフィスに物体をシールさせて、これによって電気的に絶縁された空洞間の電極インピーダンスを測定することによって、物体の状態変化を検出する装置が開示されており、物体が置かれている液体環境を迅速に除去・交換するために液体供給毛細管と液体吸引毛細管を備えた液体供給手段についても開示されている(特許文献6参照)。
その他、SiOなどの平板に、直径数μmの貫通孔を形成したデバイスも知られている。この貫通孔は、パッチクランプ法におけるガラスピペットの先端穴と同様の役割を果たす。そして、平板の裏面側から細胞を吸引等すれば、細胞を貫通孔に自動的に引きつけ、密着させることができ、容易に細胞外電位を測定することができる。
しかしながら、上述したような従来における細胞電気生理センサの主な目的は細胞の電気生理現象を従来のパッチクランプ法で使われる微細プローブを用いることなく簡便に計測することである。特に特許文献6で開示された液体供給手段は細胞周辺の液体環境を迅速に除去・交換するために有効な手段である。しかしながら、液体供給手段である極めて細い管を細胞の周辺に精度良く配置することは重要であると考えられるが、液体中への管の挿入を高精度に行うには液体中では管への表面張力の影響が無視できないために困難さが伴う。また、細胞の周辺に液体を供給する際に細胞へ向かって直接流れを発生させると、液体を迅速に供給させるために流れを強くしすぎると流れが不安定になることがある。
特表2002−508516号公報 特表2002−518678号公報 米国特許第6315940号明細書 特表2003−511668号公報 特表2003−511699号公報 特表2003−527581号公報 国際公開第02/055653号
本発明の細胞電気生理センサは、少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面を設けるとともに第一の壁面の両端に第一の開口部と第二の開口部とを有したウエルと、第二の開口部に当接する第三の開口部と第四の開口部とを有した第一の貫通孔を設けた枠体基板と、少なくとも1つの第二の貫通孔を有した薄板を設けるとともに第一の貫通孔の内部に埋め込まれた細胞電気生理センサチップと、第四の開口部に当接するように空洞を設けた空洞基板とを備え、第三の開口部の端部より下方に細胞電気生理センサチップの薄板が設置されたものである。
このような構成により、使用に際して、液体中の特定位置に配置された細胞の周辺に確実に、そして安定的に、薬剤その他の液体を供給・吸引できるようにすることによって、細胞電気生理現象の効率的な測定を実現するものである。
以下、本発明の実施の形態における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図であり、図2は図1の要部拡大断面図、図3は要部拡大上面図である。図1〜図3に示すように、樹脂よりなるウエル1は少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面13とこの両端に第一の開口部6、第二の開口部7を有している。第一の開口部6は、図1の矢印に示すようにウエル1の上部に開口した部分である。同様に第二の開口部7は、図1の矢印に示すようにウエル1の下部に開口した部分である。そして、図3に示すように、第一の開口部6と第二の開口部7とは実質的に円形の開口部として形成されている。なお、本実施の形態では第一の開口部6と第二の開口部7とは実質的に円形の開口部として形成されているが、円形に限るものではなく、実質的に楕円状でも矩形状でもよい。また、ウエル1の第一の壁面13は、第一の開口部6の開口径が第二の開口部7より大きく、その壁面はテーパ形状に形成されている。
そして、第二の開口部7には樹脂よりなる枠体基板2が当接されている。枠体基板2には両端に第三の開口部9、第四の開口部10を有した第一の貫通孔5が形成されている。第三の開口部9は、枠体基板2の上面に開口した部分である。同様に第四の開口部10は、枠体基板2の下面に開口した部分である。そして、第一の貫通孔5は、第三の開口部9が第四の開口部10より大きい開口径を有するテーパ形状であり、図2に示すようにすり鉢状に形成されている。
さらに、第四の開口部10には樹脂よりなる空洞基板3が当接されており、空洞基板3は第四の開口部10の下方に位置する部分に空洞15を有している。それぞれの空洞15はお互いに接続されて薬剤などの流路11として利用されるものである。
さらに、枠体基板2の第一の貫通孔5の内部には保持部4A(側壁部分)と薄板17とが設けられた細胞電気生理センサチップ4が埋め込まれるとともにシール剤28によって封止されている。そして、薄板17には少なくとも1つの第二の貫通孔16が設けられている。なお、第二の貫通孔16は、図2では表示されないほど微小な径を有する貫通孔である。また、枠体基板2の厚みは細胞電気生理センサチップ4の厚みより大きく形成されている。このとき、センサチップ4の薄板17は、第1の貫通孔5の上側の開口部である第三の開口部9より下方に位置している。また、第一の貫通孔5は、図2に示すように第三の開口部9が徐々に小さくなるように構成されている。そして、第一の貫通孔5は、細胞電気生理センサチップ4の外形とほぼ同じになったところで、枠体基板2に対して垂直な穴となり、第四の開口部10へと通じるように構成されている。すなわち、実施の形態1における細胞電気生理センサは、第三の開口部9の大きさを第二の開口部7と同じあるいは小さくし、且つ細胞電気生理センサチップ4の上面における大きさまで徐々に小さくしたテーパ状の第二の壁面14を有している。このように構成とすることによって、後の動作の説明でも述べるが、ウエル1に細胞、薬剤、培養液、細胞外液等を投入する際に、細胞電気生理センサチップ4の第二の貫通孔16が形成された薄板17の近傍へ確実にこれらを到達させることができる。したがって、効率的な測定を可能にする細胞電気生理センサを実現することができる。
ウエル1、枠体基板2および空洞基板3はすべて樹脂で構成されており、樹脂としては熱可塑性樹脂がより好ましい。これにより、これら材料は熱溶着などの手段を用いることで特に接着剤を使うことなく、互いに強固に接合することができる。また、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィンポリマ樹脂、ポリメタクリル酸メチルアセテート樹脂の少なくともいずれか1つを含む熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これらの材料は、特に熱溶着によって接合を行いやすい。さらに、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3は、環状オレフィンポリマ、線状オレフィンポリマ、またはこれらが共重合した環状オレフィンコポリマ、またはポリエチレンの少なくともいずれか1つから選択することがより好ましい。特に、環状オレフィンコポリマは透明性、アルカリ・酸などの無機系薬剤に対する耐性が強く、本発明の製造工程もしくは使用環境に最も適している。
なお、図1には細胞電気生理センサチップ4を複数形成した構成を示しているが、このことは本発明の範囲を限定するものではない。また、図1は第一の電極23、第二の電極24および第三の電極25が枠体基板2に設けられた様子を示している。これら電極はセンサ部で発生する電気的指標、たとえば電位、電流などを測定するためのものであるが、これらの形状、材質などは本発明の範囲を限定するものではない。また、これらの電極は予め細胞電気生理センサと一体化されていてもよく、あるいは測定時に細胞電気生理センサ内に差し込まれるように設計してもよい。
なお、配線電極30は細胞電気生理センサチップ4をマトリックス状に複数配置した構成としたときの電極パターンを示している。
次に、本発明の細胞電気生理センサを用いて細胞の電気生理活動を測定する方法について述べる。図4〜図11は本発明の細胞電気生理センサを用いた測定方法を説明するための断面図である。
まず、図4に示すように、細胞内液27がウエル1Bからウエル1Cにかけて吸引されて空洞15に充填され、また、ウエル1Aに細胞外液26が充填される。ここで細胞内液27とは、例えば、ほ乳類筋細胞の場合、代表的には、Kイオンが155mM、Naイオンが12mM程度、C1イオンが4.2mM程度添加された電解液であり、細胞外液26とは、Kイオンが4mM程度、Naイオンが145mM程度、C1イオンが123mM程度添加された電解液である。この状態で、ウエル1の内部に設置された第一の電極23と空洞15の内部に設置された塩化銀などからなる第三の電極25との間で、100kΩ〜10MΩ程度の抵抗値を測定することができる。この第三の電極25は、枠体基板2の上下をシールして流路11内の細胞内液27がウエル側に漏れ出さないようにするとともに、参照用の電極としての役割をはたしている。すなわち、細胞電気生理センサチップ4の薄板17の内部に設けられた第二の貫通孔16に電解液である細胞内液27あるいは細胞外液26が浸透することにより、第一の電極23と第三の電極25の電極間に電気回路が形成されている。
次に、図5および図6に示すように、マイクロピペット18を用いて、細胞19を投入する。なお、図6は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図であり、図5に示した破線の円形部分を拡大して示している。図6に示すように、第三の開口部9の開口径を第四の開口部10の開口径より大きくして、テーパ形状の第一の貫通孔5が枠体基板2に形成されている。したがって、投入された細胞19が細胞電気生理センサチップ4の薄板17の近傍まで到達しやすい構造が実現されている。
なお、枠体基板2の第一の貫通孔5の形状は、図7に示すように、垂直な穴にすることもできるが、この場合は前述のようにテーパ形状にするときよりも細胞、薬剤、培養液、細胞外液等を投入した際に薄板17の近傍へ到達しにくくなることが考えられる。したがって、これらを投入する際に上部から挿入するマイクロピペット18の位置を、図8に示すように、第一の貫通孔5の中心より若干、好ましくは100〜500um程度水平方向にずらして溶液の投入を行うことが望ましい。このようにすれば、溶液の流れが第一の貫通孔5内で発生して、確実に溶液が薄板17の近傍へ到達することができるようになる。
そして、本実施の形態によれば、薄板17が第一の貫通孔5の上側の開口部である第三の開口部9より下方に位置していることにより、細胞、薬剤、等を上部より投入する際に薄板17の近傍へ向かって直接流れが発生するのではなく、第一の貫通孔5の壁面に沿って流れが発生する。したがって、より穏やかな流れが発生する。
なお、本発明における細胞電気生理センサチップ4は、薄板17が保持部4Aに保持された形状である。保持部4Aに薄板17を保持させて細胞電気生理センサチップ4が形成されている理由は、薄板17の厚みが100um以下と極めて薄いため単独では扱いが困難であるためである。また、図9および図10に示すように、細胞電気生理センサチップ4を第一の貫通孔5に配置する際に、薄板17がより第三の開口部9へ近くなるようにしても良い。この選択は投入する細胞、薬剤等の流れをどのような条件(流速、流れ方向)で発生させたいか、あるいは測定する細胞19の性質(たとえば浮遊性か粘着性か、大きさ、密度等)によって最適に決定されるべきである。例えば、細胞密度が小さい場合、薄板17を下にして薄板17と第三の開口部9との段差を大きくすると、薄板17付近における細胞外液の流動抵抗が大きくなる。したがって、細胞外液の流れが穏やかになって、細胞のトラップ率を高くできる。一方、細胞密度が大きい場合、薄板17を上にして薄板17を第三の開口部9に近づけると、細胞外液の流れが速くなる。したがって、細胞をより迅速にトラップできる。
次に、図11に示すように空洞15に充填された細胞内液27が吸引されると、細胞19は第二の貫通孔16へ引きつけられ、ついにはこの第二の貫通孔16をふさぎ、ウエル1と空洞15との間の電気抵抗は十分に高くなる。この状態においては、細胞19の電気生理活動によって細胞19の内外の電位が変化した場合に、わずかな電位差あるいは電流であっても高精度な測定を実現できる。
さらに、本実施の形態1の別の例として、図12に示すように枠体基板2の第三の開口部9につながる第二の壁面14には、第一の貫通孔5へ向かって放射状に少なくとも1つの溝12が形成されている。そして、溝12は、直線状に形成されることが好ましい。この形状によれば、図13に示すように、マイクロピペット18をウエル1から挿入したとき、マイクロピペット18がウエル1の溶液の表面張力等によって応力を受けて高精度な位置決めが難しい場合でも、第二の壁面14へ設けられた溝12がガイドとなり、マイクロピペット18は望む方向に先端を向けることとなり、より確実に細胞電気生理センサチップ4の近傍へ細胞19、薬液、等を投入できる。
さらに本実施の形態1の他の例として、図14に示すように枠体基板2の第二の壁面14に、第一の貫通孔5の中心部へ向かって少なくとも1つのらせん状の溝20が形成されてもよい。このようにらせん状の溝20が第二の壁面14に形成されることにより、マイクロピペット18によって投入される液体がらせん状の溝20に沿って流れることとなり、ウエル1の容器内における薬液の混合を容易にすることができる。
さらに、本実施の形態1の別の構成として、図15に示すように、第一の貫通孔5の第三の開口部9は第二の開口部7と同じあるいは小さくし、且つ第四の開口部10より大きくし、第三の開口部9側の内壁面は第四の開口部10に向かって垂直となるように形成し、第一の貫通孔5をいわゆる座繰り穴形状として形成してもよい。すなわち、細胞電気生理センサチップ4の上面の高さまで実質的に同じ大きさになるように座繰り抜くとともに、細胞電気生理センサチップ4の上面と同一面上に平面である底面が形成されている。このように座繰り穴形状に形成する場合は、先に述べたテーパ形状よりも加工が行いやすいという利点を有している。なお、枠体基板2の第一の貫通孔5の内部には細胞電気生理センサチップ4が埋め込まれているが、この細胞電気生理センサチップ4の厚みは枠体基板2の厚みより小さい。そして、図16Aに示すように、座繰り抜いた第三の開口部9の底面部に、第一の貫通孔5の中心部に向かって少なくとも1つの溝12が形成されていてもよい。なお、図16Aには、溝12の数は12個の場合について示したが、この数に限るものではない。この溝12によって座繰り穴形状の底面付近にある液体の流れを安定化させることができる。
そして、さらに図16Bに示すように、座繰り抜いた第三の開口部9の底面部に、第一の貫通孔5の中心部に向かって少なくとも1つのらせん形状の溝20が形成されてもよい。このような構成により、第一の貫通孔5の内部に液体が進入した際に、液体の流れがらせん形状の溝20によってらせん状に生じるようになる。したがって、このような構成は異なる液体の混合がスムーズに行われる利点を有している。なお、図16Bには、溝20の数は12個の場合について示したが、この数に限るものではない。
また、図16Cに示すように、第一の貫通孔5の第三の開口部9の底面部に、複数の鋭角な先端部を有する星形形状の凹部29が形成されてもよい。これによって、凹部29の鋭角な先端部では液体が濡れにくくなる。したがって、第一の貫通孔5の内部へ液体が進入する際に、気泡が凹部29の中央部に集中することから第三の開口部9側に伝わって気泡が除去されやすくなる。これによって、第一の貫通孔5の内部へ液体が進入する際の流路抵抗を下げることができ、確実な送液を可能にすることができる。なお、図16Cには、星形形状の凹部29をその鋭角な先端部が5個の場合について示したが、この数に限るものではない。
なお、上記したように第三の開口部9側の内壁面は第四の開口部10に向かって垂直となった、いわゆる座繰り穴形状の細胞電気生理センサチップ4を第一の貫通孔5に配置する際に、図17に示すように薄板17がより第三の開口部9側へ近くなるようにしても良い。この選択は測定する細胞の性質(例えば浮遊性、吸着性、大きさ、質量等)によって適宜選択することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。なお、図面において実施の形態1と同じ機能を持つ構成部材については同番号を付与する。
図18は本実施の形態2における細胞電気生理センサのチップ部分の拡大断面図である。ウエル1と枠体基板2と空洞基板3と細胞電気生理センサチップ4から構成される点は実施の形態1と同じ構成であるが、特に異なっている点は枠体基板2と細胞電気生理センサチップ4の形状である。
すなわち、図18に示すように枠体基板2は、第三の開口部9が第四の開口部10より大きく形成され、この第四の開口部10の周縁部に沿って、凹部21が形成されている。一方、細胞電気生理センサチップ4には薄板17の周囲に凸部22が設けられている。そして、凸部22は枠体基板2の凹部21に嵌合して内部に埋め込まれている。また、ウエル1と空洞基板3については基本的な構造は変わらないので詳細な説明を省く。
このような構成とすることによって、枠体基板2に設けられた第一の貫通孔5の第四の開口部10が細胞電気生理センサチップ4の薄板17付近にまで接近しているので、ウエル1から極めて効率的に薬液の交換、細胞19の投入などが行えるようになり、測定を効率化することができる。
さらに、このような構成によれば、凸部22と凹部21を嵌合することで枠体基板2と細胞電気生理センサチップ4の組み立てが完了する。したがって、組み立て時に、特にアライメントを必要としないという構造上の利点も有する。
さらに、実施の形態1で示したのと同様にウエル1、枠体基板2および空洞基板3はすべて樹脂で構成されており、特に熱可塑性樹脂で構成することが好ましい。これにより、これら材料は熱溶着などの手段を用いることで特に接着剤を使うことなく、互いに強固に接合できる。また、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィンポリマ樹脂、ポリメタクリル酸メチルアセテート樹脂の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。これらの材料は、特に熱溶着によって接合を行いやすい。さらに、ウエル1、枠体基板2および空洞基板3が、環状オレフィンポリマ、線状オレフィンポリマ、またはこれらが共重合した環状オレフィンコポリマ、またはポリエチレンの少なくともいずれか1つから選択することがより好ましい。特に、環状オレフィンコポリマは透明性、アルカリ・酸などの無機系薬剤に対する耐性が強く、本発明の製造工程もしくは使用環境に適している。
さらに、図19に示すように実施の形態1で示したのと同様に、枠体基板2の第三の開口部9につながる第二の壁面14には、第一の貫通孔5の中心部へ向かって放射状に少なくとも一つの直線状の溝12が形成されることが好ましい。この形状とすることによって、マイクロピペット18をウエル1から挿入したときに、マイクロピペット18がウエル1の溶液の表面張力等によって応力を受けて高精度な位置決めが難しい場合でも、第二の壁面14へマイクロピペット18を突き当てれば、溝12がガイドとなり、より確実に第一の貫通孔5へ設置した細胞電気生理センサチップ4の近傍へ細胞19、薬液等を投入することができる。
なお、枠体基板2の第二の壁面14には、実施の形態1で示したのと同様、少なくとも一つのらせん状の溝20が形成されても良い。このような構成により、マイクロピペット18によって投入する液体がらせん状の溝20に沿って流れることとなり、ウエル1の容器内における薬液の混合を容易にする。
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。図20は実施の形態3における細胞電気生理センサの断面図である。図20に示すように、第一の貫通孔5が設けられた枠体基板2内に空洞構造体31が挿入されており、この空洞構造体31内に細胞電気生理センサチップ4が設置されている。このとき、細胞電気生理センサチップ4は空洞構造体31の上側の開口部より下方に薄板17が位置するように設置されている。
このような構成により、薄板17が空洞構造体31の上側の開口部より下方に位置することで、薬剤、細胞を上部より投入する際に、より穏やかな流れを発生させることができるという実施の形態1と同様の利点を有している。なお、図21に示すように、細胞電気生理センサチップ4は保持板4Aと薄板17の位置関係が反対になるように設置してもよく、この選択は投入する細胞、薬剤等の流れをどのような条件(流速、流れ方向)で発生させたいか、あるいは測定する細胞の性質(たとえば浮遊性か粘着性か、大きさ、密度等)によって最適に決定されるべきである。
以上のように本発明にかかる細胞電気生理センサは、液体中の特定位置に配置された細胞の周辺に確実に薬剤その他の液体を供給・吸引できるようにすることによって、細胞電気生理現象の効率的な測定を可能にするので、高速で薬理判定を行う、薬品スクリーニング等の測定器に有用である。
本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大上面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの測定方法を説明するための断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態1における別の構造の細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態1における別の構造の細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの要部拡大断面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図 本発明の実施の形態1における要部拡大断面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの上面図 本発明の実施の形態1における他の構造の細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサのチップ部分の拡大断面図 本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサのチップ部分の断面図 本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサのチップ部分の拡大断面図 本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサのチップ部分の断面図
符号の説明
1,1A,1B,1C ウエル
2 枠体基板
3 空洞基板
4 細胞電気生理センサチップ
5 第一の貫通孔
6 第一の開口部
7 第二の開口部
9 第三の開口部
10 第四の開口部
11 流路
12 溝
13 第一の壁面
14 第二の壁面
15 空洞
16 第二の貫通孔
17 薄板
18 マイクロピペット
19 細胞
20 溝
21 凹部
22 凸部
23 第一の電極
24 第二の電極
25 第三の電極
26 細胞外液
27 細胞内液
28 シール剤
30 配線電極
31 空洞構造体

Claims (22)

  1. 少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面を設けるとともに前記第一の壁面の両端に第一の開口部と第二の開口部とを有したウエルと、
    前記第二の開口部に当接する第三の開口部と第四の開口部とを有した第一の貫通孔を設けた枠体基板と、
    少なくとも1つの第二の貫通孔を有した薄板を設けるとともに前記第一の貫通孔の内部に埋め込まれた細胞電気生理センサチップと、
    前記第四の開口部に当接するように空洞を設けた空洞基板とを備え、
    前記第三の開口部の端部より下方に前記細胞電気生理センサチップの前記薄板が設置される細胞電気生理センサ。
  2. 前記枠体基板の厚みを前記細胞電気生理センサチップの厚みより大きくし、前記第三の開口部の開口径を前記第四の開口部の開口径より大きくした請求項1記載の細胞電気生理センサ。
  3. 前記ウエル、前記枠体基板および前記空洞基板を熱可塑性樹脂により形成した請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  4. 前記ウエル、前記枠体基板および前記空洞基板をポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィンポリマ樹脂、ポリメタクリル酸メチルアセテート樹脂の少なくともいずれか1つを含む熱可塑性樹脂とした請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  5. 前記ウエル、前記枠体基板および前記空洞基板を環状オレフィンポリマまたは線状オレフィンポリマおよびこれらが共重合した環状オレフィンコポリマ、またはポリエチレンポリマの少なくともいずれか1つから選択した請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  6. 前記第三の開口部の大きさを前記第二の開口部と同じあるいは小さくし、且つ前記細胞電気生理センサチップの上面における大きさまで徐々に小さくしたテーパ状の第二の壁面を有した請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  7. 前記第一の貫通孔のテーパ状の前記第二の壁面に、前記第一の貫通孔の中心部に向かって少なくとも1つの溝を有した請求項6に記載の細胞電気生理センサ。
  8. 前記溝は、直線状に形成された請求項7に記載の細胞電気生理センサ。
  9. 前記溝は、らせん状に形成された請求項7に記載の細胞電気生理センサ。
  10. 前記第三の開口部の大きさを前記第二の開口部と同じあるいは小さくし、且つ前記細胞電気生理センサチップの上面の高さまで実質的に同じ大きさになるように座繰り抜くとともに、前記細胞電気生理センサチップの上面と同一面上に平面である底面を有した請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  11. 前記第三の開口部の底面部に、前記第一の貫通孔の中心部に向かって少なくとも1つの直線状の溝を形成した請求項10に記載の細胞電気生理センサ。
  12. 前記第三の開口部の底面部に、前記第一の貫通孔の中心部に向かって少なくとも1つのらせん形状の溝を形成した請求項10に記載の細胞電気生理センサ。
  13. 前記第三の開口部の底面部に、複数の先端部を有する星形形状の凹部を形成した請求項10に記載の細胞電気生理センサ。
  14. 少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面を設けるとともに前記第一の壁面の両端に第一の開口部と第二の開口部とを有したウエルと、
    前記第二の開口部に当接する第三の開口部と第四の開口部とを有した第一の貫通孔を設けた枠体基板と、
    空洞を有するとともに前記第一の貫通孔の内部に埋め込まれた空洞構造体と、
    少なくとも1つの第二の貫通孔を有した薄板を設けるとともに前記空洞構造体の前記空洞内に細胞電気生理センサチップとを備え、
    前記空洞構造体の上側の開口部より下方に前記細胞電気生理センサチップの前記薄板が設置される細胞電気生理センサ。
  15. 少なくとも1つの曲面からなる第一の壁面を設けるとともに前記第一の壁面の両端に第一の開口部と第二の開口部とを有したウエルと、
    前記第二の開口部に当接する第三の開口部と第四の開口部とを有した第一の貫通孔を設けるとともに前記第三の開口部の開口径を前記第四の開口部より大きくし、前記第四の開口部の周縁部に凹部を有した枠体基板と、
    少なくとも1つの第二の貫通孔を有した薄板と凸部を設けるとともに前記凸部を前記枠体基板の前記凹部に嵌合して埋め込んだ細胞電気生理センサチップと、
    前記第四の開口部に当接するように空洞を設けた空洞基板とを備え、
    前記枠体基板の厚みを前記細胞電気生理センサチップの厚みより大きくした細胞電気生理センサ。
  16. 前記ウエル、前記枠体基板および前記空洞基板を熱可塑性樹脂により形成した請求項15に記載の細胞電気生理センサ。
  17. 前記ウエル、前記枠体基板および前記空洞基板は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィンポリマ樹脂、ポリメタクリル酸メチルアセテート樹脂の少なくともいずれか1つを含む請求項15に記載の細胞電気生理センサ。
  18. 前記ウエル、前記枠体基板および前記空洞基板は、環状オレフィンポリマまたは線状オレフィンポリマおよびこれらが共重合した環状オレフィンコポリマ、またはポリエチレンポリマの少なくともいずれか1つから選択した請求項15に記載の細胞電気生理センサ。
  19. 前記第三の開口部の大きさを前記第二の開口部と同じあるいは小さくし、且つ前記細胞電気生理センサチップの上面における大きさまで徐々に小さくしたテーパ状の第二の壁面を有した請求項15に記載の細胞電気生理センサ。
  20. 前記第一の貫通孔の前記テーパ状の第二の壁面に、前記第一の貫通孔の中心部に向かって少なくとも1つの溝を有した請求項19に記載の細胞電気生理センサ。
  21. 前記溝は、直線状に形成された請求項19に記載の細胞電気生理センサ。
  22. 前記溝は、らせん状に形成された請求項19に記載の細胞電気生理センサ。
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