本発明は、平面ディスプレイ部材およびその製造方法、並びに該平面ディスプレイ部材を用いた平面ディスプレイおよび平面ディスプレイの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、平面ディスプレイの前面に配置され、平面ディスプレイ画面から発生する電磁波を遮蔽し、かつ映り込みを防止する平面ディスプレイ部材およびその製造方法に関する。また、前記平面ディスプレイ部材を用いた平面ディスプレイおよび平面ディスプレイ部材を配置した平面ディスプレイの製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(以下、LCD)、プラズマディスプレイ(以下、PDP)などの平面ディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。平面ディスプレイには、通常、外光の反射防止、平面ディスプレイから発生する電磁波遮蔽、平面ディスプレイの保護などを目的とした前面フィルターが平面ディスプレイの視認側に配置される。特にPDPはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するため、人体や他の機器に与える影響が懸念され、日本ではVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)、米国ではFCC(米国連邦通信委員会)等の基準値内に抑えることが規格化されている。このように電磁波を遮蔽するための技術としては、前面フィルターに導電層を設けることが知られている。導電層を用いる場合、アースを取って電荷を逃がさないと電磁波遮蔽性能が維持できないため、導電層と外部電極が電気的に接続される必要がある。前面フィルターは、通常、上記のような導電層と反射防止層を積層して形成される。導電層上に反射防止層が積層される場合、導電層が剥き出しになるように反射防止層が存在しない部分を設け、導電層の剥き出し部と外部電極とを電気的に接続する方法が通常用いられる。その場合、反射防止層を導電層より小さく成形し積層して、額縁状に導電層を剥き出しにする額縁積層や、あらかじめ剥き出しにする部分に別部材を介在させて反射防止層を積層した後に別部材を除去するなど、枚葉形状での加工が必要になる。しかし、枚葉形状での加工は生産効率が劣るという問題があった。近年、ディスプレイの価格ダウンに伴い、パネルや周辺部材のコストダウンが急務となっている。前面フィルターのコストダウンとして、反射防止層を有するフィルムロールと、それよりも幅が広く、導電層を有するフィルムロールをロール・ツー・ロール方式で貼り合わせ、ロール幅方向両端の導電層が剥き出しになっている2辺に電極を形成する方法(特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、このように前面フィルターの2辺にのみ導電層剥き出し部分を設け、電極を形成した場合、4辺全てに電極が形成した場合と比較して電磁波遮蔽性能が劣る。そのため、上記方法ではさらに残りの辺の反射防止層の端面を封止することで電磁波漏洩を防止して電磁波遮蔽性能を向上させることが提案されている。しかしながら、アース効率が低下するため、4辺全てに電極が形成されている場合と比較して、電磁波遮蔽性能が劣るという問題があった。上述したように、電磁波遮蔽性能に優れ、かつ生産効率よく製造することができる平面ディスプレイ用前面フィルターは、未だ提案されていなかった。
一方、ディスプレイパネルの表示面基板に前面フィルターを一体化する方法(特許文献2)が提案されている。特許文献2には、表示面基板に電磁波シールド材を積層し、電磁波シールド材の電極が設けられる周縁部を残して、電磁波シールド材と光学フィルターとを透明粘着材を用いて密着させる方法が記載されている。しかしながら、このような形状とするためには、電磁波シールド材と光学フィルターを異なる寸法にして貼り合わせる必要があり、それぞれの寸法に成形した部材を特定の位置関係となるように調整し枚葉方式で貼り合わせる必要があり、工程が複雑となりコスト増の要因となっていた。
特開2002−318544号公報
特開2003−150065号公報
そこで、本発明の目的は、生産効率よく製造することができ、かつ電磁波遮蔽性能に優れた平面ディスプレイ部材およびその製造方法を提供することである。さらに本発明は、前記平面ディスプレイ部材を用いて電磁波遮蔽性を向上させた平面ディスプレイ、および生産性に優れた平面ディスプレイの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の発明によって、前述した課題が解決できることを見いだした。
(1)少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された平面ディスプレイ部材であって、該平面ディスプレイ部材の周辺部に前記第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する電極を有する平面ディスプレイ部材。
(2)(1)の平面ディスプレイ部材を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置してなる平面ディスプレイ。
(3)少なくとも反射防止層、導電層、透明樹脂層および電極を有する平面ディスプレイ部材の製造方法であって、
導電層の第1の面に反射防止層、第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層を有する積層体を得る第1の工程、
該積層体の周辺部に前記第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する第2の工程、および
該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する第3の工程を有する平面ディスプレイ部材の製造方法。
(4)少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、
前記積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、
該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および
該電極と外部電極を接続する工程を有する平面ディスプレイの製造方法。
(5)少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、
前記空隙が形成された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、
該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および
該電極と外部電極を接続する工程を有する平面ディスプレイの製造方法。
本発明によれば、生産性に優れる平面ディスプレイ部材を提供でき、さらに、この平面ディスプレイ部材を視認側に配置することで、電磁波遮蔽性に優れた平面ディスプレイを提供できる。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体1の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体1の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例を示す模式平面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の周辺部における模式断面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の周辺部における模式断面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の一例を示す平面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル3の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル3の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル3の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
従来の平面ディスプレイ部材の平面図
従来の平面ディスプレイ部材の模式断面図
符号の説明
1 反射防止フィルム
2 粘着材
3 銅メッシュフィルム
4a 空隙
5 銅メッシュ層
6 PETフィルム
7 電極
8 ガラス基板
9 近赤外線遮蔽層
10 色調粘着材
11 ディスプレイパネル
12 外部電極
13 カバーフィルム
20 積層体1
21 積層体2
22 平面ディスプレイ部材
23 平面ディスプレイ
31 ディスプレイパネル2
32 ディスプレイパネル3
本発明の平面ディスプレイ部材は、平面ディスプレイの視認側に配置することによって、平面ディスプレイから発生する電磁波を遮断する機能を有するものをいう。
本発明の平面ディスプレイ部材は、少なくとも導電層、反射防止層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、第2の面に透明樹脂層が配置された積層体に電極を設けたものである。
(導電層)
本発明の平面ディスプレイ部材に用いる導電層は、0.01〜10Ω/□の範囲の面抵抗を有することが好ましい。導電層の面抵抗が低いほど、平面ディスプレイから発生する電磁波を効率よく遮蔽することができるが、導電層の低抵抗化は、通常、材料およびプロセス面でコストアップにつながる。加えて、平面ディスプレイから発生する電磁波自体、平面ディスプレイの品種間差、固体間差があるため、それらに対応した最適な面抵抗範囲を設定することが重要である。上記した範囲の面抵抗を有する導電層を用いることで、ほとんどの平面ディスプレイから発生する電磁波を効率よく遮蔽することが可能となり、VCCIやFCCなどで規制される放射電界強度の範囲内に抑えられる。
本発明の平面ディスプレイ部材は、平面ディスプレイの視認側に配置されるため、透明性が必要となる。透明性を有する導電層としては、導電性メッシュ、導電性薄膜などを用いることができる。導電性メッシュとしては、例えば合成繊維または金属繊維のメッシュに金属被覆した繊維メッシュ、金属を格子状もしくはランダムメッシュ状にパターン化した金属メッシュなどを用いることができる。金属メッシュとしては、例えば、金属膜を形成した後にパターンエッチング処理した金属エッチング膜、導電性ペーストをパターン印刷したもの、半導体ペーストをパターン印刷した後導電加工を施したもの、導電性ペーストを感光パターニングしたもの、半導体ペーストを感光パターニングした後導電加工を施したものなどが挙げられる。導電性薄膜としては、金属薄膜や酸化物半導体膜、それらの積層体などを用いることができる。金属薄膜の材料としては、銀、金、パラジウム、銅、インジウムおよびスズから選ばれた金属や、銀とそれ以外の金属の合金などが用いられる。金属薄膜の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキ等の公知の方法を用いることができる。酸化物半導体膜の材料としては、亜鉛、チタン、インジウム、スズ、ジルコニウム、ビスマス、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物または硫化物、またはこれら酸化物の混合物などが用いられる。酸化物半導体の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工等の公知の方法を用いることができる。
導電性メッシュは導電性が高く、導電性薄膜は透明性に優れる。PDPのような高い電磁波遮蔽性能を必要とする平面ディスプレイには、導電性に優れることから、導電性メッシュが好ましく用いられる。さらに、導電性メッシュとしては、汎用性が高く、各種パターンに対応可能なことから、金属メッシュが好ましく用いられる。金属メッシュとしては、プラスチックフィルムなどの支持体上に銅箔をラミネートし、メッシュ状にパターニングしたものが一般的であるが、本発明はこれに限定されるものではない。金属メッシュとしては、通常、格子パターンのような規則的な繰り返しパターンが使用されるが、ランダムパターンもモアレ防止の観点から好ましく用いられる。このようなランダムパターンとしては、乱数表に基づいた線幅、ピッチ等のランダム化、木の葉状の枝分かれ、はじきによる海島構造等が挙げられる。金属メッシュの線幅としては5〜40μm、線間隔(ピッチ)は100〜400μmの範囲が好ましく、金属メッシュの厚みは3〜20μmの範囲が好ましい。
また、プラスチックフィルム上に金属メッシュが形成されたロール状の金属メッシュフィルムを用いることにより、本発明で好ましく用いられる透明導電層、透明基材、反射防止層等の光学機能層の連続的ラミネートが可能となる。さらに、メッシュパターンは通常は品種に合わせた枚葉形式で繰り返し形成されるが、メッシュパターンが連続して形成された連続メッシュロールを用いることで、ラミネート後に任意のサイズに加工することができるため、品種数の圧縮が可能となる。また、異物等の欠陥が発生した場合の欠陥部分のみを除去することにより、工程歩留まりが向上する。
導電層として導電性メッシュを用いる場合、導電層の全面がメッシュパターンに加工されていても良いし、導電層のうち平面ディスプレイの画像表示領域に相当する部分のみがメッシュパターンに加工され、画像表示領域外に相当する部分は、連続した金属膜層(金属ベタとも言う)であっても良い。画像表示領域外ではディスプレイの表示に影響を及ぼさないので、透明性は必要ない。
(反射防止層)
本発明の平面ディスプレイ部材は、導電層の第1の面に、反射防止層を有する。反射防止層は、平面ディスプレイの視認側に装着されたとき、外光の反射防止や映り込み防止により、平面ディスプレイの画像表示の劣化を防ぐものである。このような反射防止層としては、反射防止膜(AR膜)、防眩膜(AG膜)または反射防止防眩膜(AGAR膜)などを用いることができる。
AR膜としては、通常、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)等のプラスチックフィルムからなる支持体上に、高屈折率層および低屈折率層をこの順に2層以上積層したものが用いられる。支持体の光学特性を考慮し、光学設計によって層構成および各層の膜厚を決定することができる。AR膜の反射防止性としては、表面の視感反射率が3%以下であることが好ましい。
AG膜とは、通常、表面に微小な凹凸を有する膜のことをいい、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。AG膜の防眩性としては、ヘイズ値(JIS K 7136;2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。
また、AGAR膜は、防眩性を有する膜あるいは支持体上に反射防止膜を形成することによって得られる。AGAR膜の表面の視感反射率は3%以下であることが好ましい。このような光学機能層を有することにより、平面ディスプレイの表面での反射を抑え、輝度を低下させることなくコントラストを向上させることができる。
本発明において、導電層と反射防止層は、直接接していても良いし、間にプラスチックフィルム、接着剤層、粘着材層などが存在していても良い。
(透明樹脂層)
本発明の平面ディスプレイ部材は、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層を有する。本発明において、透明樹脂層とは、導電層に直接接して配置された透明な樹脂層のことを言い、単層でも複数の層であっても良い。
透明樹脂層の透明度は、JIS K7136(2000年)に準拠したヘイズ値に基づいて5%以下が好ましい。透明樹脂層の全光線透過率(JIS K7361;1997年)としては、60%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
本発明において透明樹脂層は、導電層の支持体、導電層と支持体とを接着する接着材もしくは粘着材、または平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイに貼り合せるための接着材もしくは粘着材等としての役目を有する。
このような透明樹脂層としては、フィルム、粘着材および接着材から選ばれた単体、あるいはこれらの複合層を好ましく用いることができる。
フィルムとしては、透明性が良好でかつ機械的強度にすぐれる、ポリエステルフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルムなどのプラスチックフィルムが好ましい。フィルムの厚みは通常0.01〜0.5mmが好ましく、可とう性の点から0.05〜0.3mmがより好ましい。
粘着材としては、アクリル、シリコン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。粘着材の厚みは0.02〜1.5mmが好ましい。
接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、ポリ−1,3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。接着材の厚みは、0.01〜0.05mmが好ましい。
(形状)
本発明の平面ディスプレイ部材は、平面ディスプレイ本体の視認側に配置される。平面ディスプレイ本体は通常長方形であるので、本発明の平面ディスプレイ部材の形状は略長方形であることが好ましい。平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認側に配置するに際しては、平面ディスプレイ部材の長辺および短辺の大きさが、それぞれ平面ディスプレイ本体の長辺および短辺と同じかそれ以下で、かつ、平面ディスプレイにおける表示エリア(画像表示領域)より大きい必要がある。特に、視認性向上のために平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体に密着する場合、平面ディスプレイ部材の長辺および短辺がそれぞれ平面ディスプレイ本体の長辺および短辺より小さい場合、装着の際の位置ずれマージンが得られるとともに、装着後に検査で欠陥が見られるなどの不具合が発生した場合の平面ディスプレイ部材の剥離が容易となる。平面ディスプレイ部材の4角の形状は、直角、R形状等、適宜選択できるが、上述した剥離の際は、少なくとも1角が直角形状であることが剥離開始の平面ディスプレイ部材の保持が容易となる点から好ましい。
(電極)
本発明において電極は、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層まで達しており、導電層と外部電極との導通をとる役割を果たす。このような電極を設けないと、導電層と外部電極との導通が不十分になり、優れた電磁波遮蔽性能が得られない。
ここで、平面ディスプレイ部材の最表面とは、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層がこの順に配置された積層体において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面のことである。最終的には剥離除去されるようなカバーフィルムなどは積層体に含めない。したがって、カバーフィルム、反射防止層、導電層および透明樹脂層がこの順に配置された積層体においては、最表面は、反射防止層の表面になる。
電極は、平面ディスプレイ部材の周辺部に設けられる。ここで、周辺部とは、平面ディスプレイ部材の外周近くであって、平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体に設置した際に、平面ディスプレイの画像表示領域の外側に相当する部分のことを言う。電極を設ける位置は、好ましくは平面ディスプレイ部材の端部から1mm以上内側で、画像表示領域に相当する部分から1mm以上外側の範囲である。平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認面に設置した際に、周辺部は平面ディスプレイの画像表示領域外になるので、ディスプレイの表示に影響を及ぼさない。高いアース効率が得られる点から、平面ディスプレイ部材の対向する4辺全てに電極が設けられることが好ましい。
従来の平面ディスプレイ部材の一例を図33、34に示す。4辺の端縁は、反射防止フィルム1および粘着材2が存在せず導電層5がむき出しの状態になっており、その導電層むき出し部が電極となる。この導電層むき出し部は、導電層5より小さいサイズの反射防止フィルム1および粘着材2を積層することによって、設けることができる。あるいは、図7に示すように、導電層5と同じサイズの反射防止フィルム1および粘着材2を積層した後、周辺部に切り込みを入れて、周辺部の反射防止フィルム1および粘着材2のみを剥離除去することによって、設けることができる。しかしながら、いずれにしても枚葉形状で製造する必要があり、生産効率が低かった。
そこで発明者らは、生産効率が高く、かつ優れた電磁波遮蔽性能が得られる、電極の形成方法について検討し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の平面ディスプレイ部材は、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体によって構成され、該積層体の周辺部に、第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層に達する電極(以降、本発明の電極と称す)を有することを特徴とする。
ここで、電極が導電層に達するとは、電極は導電層に接触するが、導電層を貫通して透明樹脂層に接触してはいない状態を意味する。電極が透明樹脂層に達するとは、電極が導電層を貫通して透明樹脂層に接触しているが、透明樹脂層を貫通してはいない状態を意味する。
本発明の電極は、第2の面側の最表面まで貫通するものであってはならない。すなわち、本発明の電極は積層体を貫通するような形状に形成されず、従って空隙も積層体を貫通しないように形成される。
電極が積層体を貫通する形状の場合には、電極を形成するための空隙が積層体を貫通しなければならず、この場合、積層体、すなわち平面ディスプレイ部材の剛性の低下を招く。また、本発明においては、直線状の連続した電極を設けるのが好ましいが、このような電極は、積層体を貫通した形状に形成することは難しく、たとえ形成することができたとしても、平面ディスプレイ部材の剛性が著しく低下する。また、後述するような、本発明の積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後に空隙の形成および電極の形成を実施する態様においては、積層体を貫通する空隙を形成する際に、ディスプレイパネルを傷つける等の不都合が生じることがある。
平面ディスプレイ部材に上記した本発明の電極を設けることは、ロール形状のまま連続的に行うことができるので、本発明の平面ディスプレイ部材は、上記したような従来の平面ディスプレイ部材と比較して、高効率に製造することができる。
また、本発明は平面ディスプレイ部材の厚み方向に電極が形成されるため、導電層が剥き出しになる部分を周辺部に設ける場合と比較して、反射防止層などの端面からの電磁波漏洩を防止でき、より高い電磁波遮蔽性能を発揮することができる。
さらにまた、本発明は、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から第2の面側の最表面まで貫通する電極を設ける場合と比較して、平面ディスプレイ部材の剛性が高くなり、作業性が向上するため、高効率に平面ディスプレイ部材を製造することができる。
本発明において、導電層として導電性薄膜を用いる場合は、電極は第1の面側の最表面から導電層(導電性薄膜)に達する形状にするのが好適である。また、導電層として、画像表示領域に相当する部分のみをメッシュパターンに加工した金属箔(画像表示領域の周辺部は連続した金属箔)を用いた場合も、電極は導電層(金属箔)に達する形状にするのが好適である。上記のように導電性薄膜または金属箔と導通する電極を形成する場合、アース効率と空隙形成の容易性の観点から、透明樹脂層に達する電極より導電層に達する電極の方が有利である。
一方、導電層として、導電性メッシュ(画像表示領域およびその周辺部とも導電性メッシュで構成)を用いた場合は、透明樹脂層に達する電極を形成するのが好ましい。これによって導電層と電極との接続部分の面積が大きくなり、アース効率が向上し、より高い電磁波遮蔽性能を発揮することができる。この場合、空隙は導電層(導電性メッシュ)を貫通するが、導電性メッシュは切断しないような手段で空隙を形成するのが好ましい。かかる手段としては、レーザーが好ましく用いられる。
本発明の電極は、積層体に形成された空隙に導電体を充填することによって、好ましく形成される。ここで用いられる導電体としては、導電性ペーストや空隙の形状に合わせた導電性固体が挙げられる。空隙への充填効率が高い点から、導電性ペーストが好ましく用いられる。導電性ペーストとしては、銀、金、パラジウム、銅、インジウムおよびスズから選ばれた金属や、銀とそれ以外の金属の合金などを含有する金属ペーストが高い導電性が得られるので好ましい。
電極の最表面における平面形状は、円形、多角形、連続、不連続等のいずれであっても良いが、直線状の連続した形状が好ましい。直線状の連続した形状の電極を設けることによって高いアース効率を得られる。
この場合、電極の最表面の高さ位置における幅は、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。特に好ましくは1mm以下である。下限は0.3mm以上が好ましい。電極の最表面の高さ位置における幅を上記したような範囲にすることによって、外部電極との導通を十分に確保し、画像表示領域への影響がなく、かつ、導電層と電極の接合強度を十分確保することができる。電極の最表面の高さ位置における幅が4mmを越えて大きくなると、電極が積層体から剥離しやすくなる。電極の底部における幅は、導電層と電極との導通に必要な接触面積を確保するために、0.1mm以上が好ましく、0.2m以上がより好ましい。上限は2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
ここで、電極の最表面の高さ位置における幅とは、平面ディスプレイ部材の最表面の高さの位置における電極の幅である。また、電極の底部における幅とは、平面ディスプレイ部材の厚さ方向の電極の深さが最も深い部分において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、電極の最も深い部分までの深さの95%の深さの位置における、電極の幅である。
また、電極の長さは、該電極を設けた平面ディスプレイ部材の辺の長さの10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。上記した辺の長さに対する電極の長さの比率は高い方が良好な電磁波遮蔽性能を得るという観点から好ましい。電極が不連続直線(破線)である場合の電極の長さは、破線の合計の長さである。
電極は、平面ディスプレイ部材の周辺部の4辺全てに設けることが好ましい。この場合、本発明の電極は、4辺の内の少なくとも対向する2辺に設けるのが好ましい。他の2辺には、従来の導電層がむき出し状態の電極を形成してもよい。また、本発明の電極を3辺に設け、残りの1辺に導電層むき出しの電極を設けてもよい。またさらに、4辺全てに本発明の電極を設けてもよい。いずれの態様においても、後述のように、従来の平面ディスプレイ部材と比較して、生産性良く、該部材を製造することができる。また、電極を、平面ディスプレイの外部電極と接続することによって、4辺全ての周辺部でアースを取ることができ、電磁波遮蔽性に優れた平面ディスプレイを提供できる。
また、本発明の電極を、4辺の内の少なくとも対向する2辺に設けることにより、平面ディスプレイ部材の少なくとも対向する2辺における導電層と反射防止層の端部位置のずれの最大値を1mm以下にすることができる。これにより、平面ディスプレイ部材端部の段差が抑えられ、平面ディスプレイ部材をディスプレイパネルとラミネートする際、均等なラミネートが可能となる。4辺全てに導電層むき出しの電極を設けた従来の平面ディスプレイ部材においては、4辺全てにおいて、導電層と反射防止層の端部位置のずれによる段差が生じるため、均等なラミネートが難しくなる。
本発明の電極の断面形状は、最表面の高さ位置における断面積Aが底部の断面積Bより大であるのが好ましい。AがB以下の場合、特に粘度の高い導電性ペーストなどを用いて電極を形成する場合に、導電性ペーストが空隙の底部に到達しにくくなるため、導電層と電極の接触面積の確保が困難となり、アース効率の高い電極が得られにくくなる。一方、平面ディスプレイの画像表示領域への影響や電極と導電層との密着性等を考慮した場合、断面積Aは必要以上に大きくしないことが好ましいので、A/Bの上限は5以上とならないことが好ましい。したがって、前記断面積Aと断面積Bは、下式(1)を満たすことが好ましい。
1<A/B<5 (1)
さらに好ましくは、下式(2)を満たすことである。
1.2<A/B<3 (2)
ここで、電極の底部の断面積Bとは、平面ディスプレイ部材の厚さ方向の電極の深さが最も深い部分において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、電極の最も深い部分までの深さの95%の深さの位置の断面における電極の断面積である。
本発明の電極の平面形状が直線状の連続した形状である場合、電極の断面積AおよびBは、それぞれ電極の最表面の高さ位置および底部における幅と、電極の長さの積から求めることができる。電極の最表面の高さ位置および底部における幅は、積層体の電極形成部分を厚み方向に切断した断面を電子顕微鏡で撮影し、その断面写真から求めることができる。電極が不連続直線(破線)のように2本以上ある場合は、断面積AおよびBは、それぞれ各電極について求めた面積の全ての合計値である。
電極は、外部電極との導通を確実にするために、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面と少なくとも同等の高さになるように形成されている。さらに、図31に示すように、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、電極が突出した形状にするのが好ましい。電極が最表面から突出することによって、アース効率がさらに向上する。電極が最表面から突出する高さは、10〜200μmの範囲が好ましく、15〜150μmの範囲がより好ましく、特に20〜100μmの範囲が好ましい。この場合、電極の断面積Aは、平面ディスプレイ部材の最表面の高さ位置で切断したときの断面積である。
(透過率制御)
本発明の平面ディスプレイ部材には、さらに光線透過率制御機能を付与することができる。光線透過率制御機能としては、透過する光の波長を制御する色調機能、赤外線遮蔽機能、オレンジ光遮蔽機能、紫外線遮蔽機能などが挙げられる。PDPは、その構造および発光原理上、近赤外線およびオレンジ光を発生する。近赤外線は周辺電子機器に影響して誤動作を引き起こす可能性がある。オレンジ光は赤色発光蛍光体の発光、および封入希ガスのネオンの励起によって発生し、赤色発光の色純度低下を引き起こす問題がある。従って、特にPDPに用いる場合には、近赤外線遮蔽機能およびオレンジ光遮蔽機能を付与することが好ましい。
近赤外線遮蔽機能としては、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が15%以下であることが好ましい。平面ディスプレイ部材に近赤外線遮蔽機能を付与する方法としては、導電層として導電性薄膜を用いる方法がある。導電性薄膜は金属の自由電子によって近赤外線を反射する。また、平面ディスプレイ部材に、屈折率制御多層膜による選択波長反射層を設ける方法もある。さらに、平面ディスプレイ部材のいずれかの層に、近赤外線吸収色素を含有させる方法もある。近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等が挙げられる。
オレンジ光遮蔽機能としては、波長580〜610nmの範囲における光線透過率の最小値が30%以下であることが好ましい。平面ディスプレイ部材にオレンジ光遮蔽色調機能を付与する方法としては、平面ディスプレイ部材に、屈折率制御多層膜による選択波長反射層を設ける方法がある。また、平面ディスプレイ部材のいずれかの層に、オレンジ光吸収色素を含有させる方法もある。オレンジ光吸収色素としては、所望の吸収波長を有する染料または顔料が用いられる。
近赤外線吸収、オレンジ光吸収色素など、上述したような色素を、平面ディスプレイ部材のいずれかの層に含有させる方法としては、色素を混錬・分散または溶解させたプラスチックフィルムを用いる方法、色素を混錬・分散・溶解させた塗料を支持体上に塗布する方法、あるいは、色素を混錬・分散または溶解させた粘着材を用いる方法、などの方法を適宜選択できる。また、それぞれの方法を組み合わせて用いても良い。
(積層体)
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体は、少なくとも透明樹脂層、導電層、および反射防止層をこの順に有する。本発明に用いられる積層体のいくつかの例を以下に示す。
a)粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層の複合体である)
b)粘着材層/プラスチックフィルム/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/プラスチックフィルムの複合体である)
c)粘着材層/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は粘着材層である)
d)粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/近赤外線遮蔽層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層の複合体である)
e)粘着材層/近赤外線遮蔽層/プラスチックフィルム/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/近赤外線遮蔽層/プラスチックフィルムの複合体である)
上記構成の中で、近赤外線遮蔽機能およびオレンジ光遮蔽機能は、それぞれ独立した層として設けてもよいし、両者の機能を併せ持つ層を設けてもよいし、あるいは、これらの機能をプラスチックフィルム、粘着材層あるいは接着材層に持たせてもよい。
(平面ディスプレイ)
平面ディスプレイとしては、例えばPDP、LCD、プラズマアドレス液晶ディスプレイパネル(PALC)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの各種の平面ディスプレイが適用できる。例えば、PDPは、背面基板と前面基板の2枚のガラス基板間に、多数の放電セルを形成するための隔壁を挟み、放電セル内に放電用電極を形成し、各放電セル内に赤色、緑色または青色に発光する蛍光体膜をそれぞれ形成し、かつ放電セル内にはキセノン(Xe)を含むガスが封入される。このような放電セル内の蛍光体を選択的に放電発光させることによって、フルカラー表示することができる。
このような平面ディスプレイの視認側には、通常、外光の反射防止、平面ディスプレイから発生する電磁波遮蔽などを目的とした前面フィルターが配置される。本発明の平面ディスプレイは、上述した本発明の平面ディスプレイ部材を、前面フィルターとして、平面ディスプレイ本体の視認側に配置したものである。ここで、平面ディスプレイ本体とは、表示パネルを含む平面ディスプレイの主要な部材であり、前面フィルターを取り付けていない状態のものをいう。また、本発明の平面ディスプレイ部材を、平面ディスプレイ本体に配置するにあたっては、平面ディスプレイ部材の第1の面が外側、第2の面が平面ディスプレイ本体側になるように配置する。
本発明の平面ディスプレイ部材を視認側に配置した本発明の平面ディスプレイは、平面ディスプレイ部材の第1の面の反射防止層により外光の反射が抑制され、かつ、導電層および電極による外部電極との接続によって発生電磁波が遮蔽される。特に、PDPに用いる場合、近赤外線遮蔽およびオレンジ光遮蔽機能を付与した平面ディスプレイ部材を用いると、周辺電子機器の誤動作を防止し、色純度を向上させることができるので好ましい。
本発明の平面ディスプレイは、平面ディスプレイ部材の第2の面側を平面ディスプレイ本体に密着することが好ましい。例えば、PDPの場合、平面ディスプレイ本体の視認側、すなわち前面基板に、平面ディスプレイ部材の第2の面側を密着配置する。このような構成とすることにより、平面ディスプレイ部材と平面ディスプレイの界面における光の反射が防止され、外光の映りこみが抑制されて、視認性が向上する。
また、別の態様として平面ディスプレイ部材をガラスやポリカーボネート等の高剛性基板に貼り合わせた後、平面ディスプレイ本体の視認側に設置することもできる。この場合、平面ディスプレイを保護する効果が高くなる。
(平面ディスプレイ部材の製造方法)
本発明の平面ディスプレイ部材の製造方法は、導電層の第1の面に反射防止層、第2の面に透明樹脂層を有する積層体を得る第1の工程、該積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層に達する空隙を形成する第2の工程、および該空隙に電極を充填する第3の工程を含む。
前記第1の工程においては、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層をこの順に有する積層体を得る。積層体を得る方法としては、ラミネート、熱プレス、加圧加熱、減圧加熱、塗布、スパッタリング等の公知の方法を適宜使用することができる。導電層、反射防止層および透明樹脂層のうちの少なくとも2つをロール形状で連続的にラミネートする方法は、歩留まり向上およびリードタイム短縮が可能になる点から、好ましい。ここで、ロール形状で連続的にラミネートするとは、ロール形状で供給された長尺のフィルム同士を2つ以上連続的に積層することである。積層した後は、ロール形状に巻き取ってもよいし、積層工程に続く同一ライン上でシート状に切断してもよい。
導電層、反射防止層および透明樹脂層が予め全てフィルム状に形成できる場合、3つを同時にロール形状で連続的にラミネートするか、導電層上に反射防止層および透明樹脂層の一方をロール形状で連続的にラミネートした後、さらに他方をロール形状で連続的にラミネートすることによって、高効率に平面ディスプレイ部材を製造することができる。
透明樹脂層として粘着材を用いる場合は、フィルム状に成形した粘着材を用い、導電層とロール形状で連続的にラミネートしても良いし、導電層上に直接粘着材を塗布しても良い。
また、透明樹脂層としてプラスチックフィルムを用いる場合は、プラスチックフィルムを支持体として、その上に導電層を予め積層したものを使用しても良い。この積層フィルムに反射防止層をロール形状で連続的にラミネートすることによって、高効率に平面ディスプレイ部材を製造することができる。
反射防止層は、支持体上に反射防止機能、防眩機能または反射防止防眩機能を有する機能層を形成したフィルム状の反射防止層を用いることが好ましい。導電層と反射防止層をロール形状で連続的にラミネートしても良いし、導電層上に直接反射防止層を形成しても良い。
ロール形状で連続的にラミネートする際、減圧雰囲気下でラミネートを行うことが好ましい。例えば、減圧状態を維持できる真空チャンバーの中でラミネートを行う。減圧下でラミネートを行うことにより、層間への気泡の混入を効果的に防止することができ、ヘイズ値の低い透明な平面ディスプレイ部材を得ることができる。ラミネートを行う際の気圧は、気泡の混入を効果的に防止するために、20kPa以下が好ましく、さらに15kPa以下が好ましい。気圧の下限は、設定気圧に到達するまでの時間等の観点から100Pa程度が好ましい。気泡が混入した場合は、積層体をオートクレーブ等で長時間(一般的には30分以上)加熱加圧して、積層体内部に混入した気泡を微細化または拡散することによって透明化する必要がある。減圧雰囲気下でラミネートして積層体を作製することによって、気泡の混入を防ぎ、オートクレーブ処理が省略できるので、生産性が大幅に向上する。
ロール形状にラミネートした積層体を任意のサイズに成形することもできる。積層体の成形は、金属、セラミック等のカット刃や、水圧、レーザー等の出力刃などを用いた、打ち抜き、シートカット等の公知の方法を用いることができる。平面ディスプレイ保護の目的で、前記積層体を高剛性基板にラミネートする場合、ロール形状の積層体を高剛性基板にロール・ツー・シートでラミネートして、高剛性基板の端面でシートカットすることにより、高効率に平面ディスプレイ部材を製造できる。
第2の工程においては、第1の工程で得られた積層体に、積層体の第1の面側の最表面から、導電層または透明樹脂層に達する空隙を形成する。ここで空隙とは、平面ディスプレイ部材の第1の面側に設けられた孔状もしくは溝状の空隙を指す。
空隙の形成方法は、積層体の第1の面側の最表面側から、導電層または透明樹脂層に達するハーフカットを行う方法が好ましく用いられる。ハーフカットは、金属、セラミック等のカット刃や、水圧、レーザー等の出力刃などを用いて行うことができる。カット刃を用いる場合、所望の形状の空隙を形成するためには、空隙を形成する部分の両側にカット刃を用いて切れ目を入れた後、積層体の第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層までを剥離する工程が必要となる。
一方、レーザーで空隙を形成する場合、レーザーが照射された部分の有機物は溶解、蒸発、あるいは燃焼するので、積層体にレーザーを照射するだけで空隙が形成される。従って、カット刃を用いる方法に比べ、剥離工程を必要としないので、生産性向上に有益である。
第3の工程で形成される電極の形状は空隙の形状とほぼ一致する。従って、空隙の形成においては、最表面の高さ位置における幅が底部における幅よりも大きくなるように空隙を形成するのが好ましい。ここで、底部における幅とは、平面ディスプレイ部材の厚さ方向の空隙の深さが最も深い部分において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、最も深い部分までの95%の深さの位置における、空隙の幅である。また、最表面における空隙の断面積aと底部における空隙の断面積bは、1<a/b<5を満たすことがより好ましい。さらに好ましくは、1.2<a/b<3を満たすことである。空隙の形状をこのような範囲にすることにより、第3の工程で形成される電極の形状を好ましい形状にすることができる。ここで、底部における断面積とは、前記と同様である。
レーザーで空隙を形成する場合、レーザーの焦点位置、出力および走査速度(ヘッドスピード)を調整することにより、空隙の形状を制御することができる。従って、前述した式(1)あるいは式(2)を満たす電極を形成するための空隙を効率よく形成することができる。樹脂を主体とした積層体に前述したような形状の空隙をレーザーで形成するには、レーザーの焦点を最表面から高さ方向に離れた位置に設定するのが好ましい。例えば、レーザーの焦点位置を最表面から高さ方向に2〜20mm離れた位置に設定し、レーザーの出力あるいは走査速度を調整することによって、上述したような本発明に好適な空隙を形成することができる。レーザーの焦点位置は、好ましくは最表面から高さ方向に3〜15mm離れた位置に設定することである。レーザー出力源としては、ヨウ素、YAG、CO2などがあり、所望の出力に合わせて適宜選択することができる。
本発明の平面ディスプレイ部材の製造方法は、第3の工程において、第2の工程で形成した空隙に導電体を充填して電極を形成する。導電体を充填する方法としては、導電性ペーストを空隙の表面形状に合わせた版を用いて印刷する方法、導電性ペーストをディスペンサーで塗布する方法などを用いることができる。特に、ディスペンサー塗布方法は、材料効率が高く、非接触塗布が可能な点から好ましく用いられる。このようなディスペンサー塗布方法としては、1個もしくは複数個の吐出孔を有する口金から導電性ペーストを吐出する方法が好ましく用いられる。吐出部分の形状は平板、ノズル、ニードル等のいずれであっても良い。吐出孔形状は、円形、楕円形、スリット等のいずれであっても良い。
ディスペンサー塗布方法において、口金から導電性ペーストを吐出する際に、一定範囲の圧力で連続的に導電性ペーストを加圧して、その圧力で導電性ペーストを吐出する定圧吐出、あるいはシリンジなどに充填された導電性ペーストの一定体積を連続的に押し出す定量吐出などの方法が好ましく用いられる。これにより、導電性ペーストの吐出量を一定に保つことができる。導電性ペーストが溶媒等の揮発性物質を含有する場合は、充填の後に、乾燥して電極を形成することもできる。
本発明においては、前記第1の工程において、積層体の前記第1の面側の最表面の上にさらにカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体を得ることも好ましい。
カバーフィルムは、導電層の第1の面側の最表面を保護し、傷等が生じないようにする目的で最表面の上に積層され、最終的には剥離除去されるものである。本発明においては反射防止層が積層体の最表面となるのが好ましいので、ここでは最表面を反射防止層に言い換えて説明する。カバーフィルムを反射防止層上に積層する時期は、導電層と反射防止層とを積層する前が好ましく、特に、プラスチック樹脂フィルム等の支持体に反射防止性の光学機能層を形成して、反射防止層を作成した後で、かつ、得られた反射防止層をロール状に巻き取る前が好ましい。カバーフィルムの剥離除去の時期は、平面ディスプレイ本体に平面ディスプレイ部材を装着した後が好ましい。
本発明において、カバーフィルムの厚みは、20〜200μmが適当であり、30〜100μmが好ましい。カバーフィルムとしては、各種プラスチックフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられ、これらの中でもポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられ。
カバーフィルムは、最終的には平面ディスプレイ部材から剥離除去されるので、剥離可能な粘着材または接着材を積層して用いられる。あるいは、カバーフィルムとして粘着性を有するフィルムを用いる場合には、粘着材等は不要である。
また、上記のカバーフィルムを用いる製造方法は、第1の面側の最表面から突出した形状の電極を形成するための好適な方法である。
カバーフィルムが積層された状態で、第2の工程において、カバーフィルムの表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する。この状態を表す模式図を図19に示す。続いて、第3の工程において、該空隙に導電性ペースト等の導電体を充填する。この状態を表す模式図を図20に示す。カバーフィルムの部分にまで導電体が充填されることにより、電極は、反射防止層よりも、カバーフィルムの厚み分だけ突出している。この後、カバーフィルムを剥離除去することによって、第1の面側の最表面から突出した電極を形成することができる。電極の突出部分の高さは、カバーフィルムの厚みを調整することによって、あるいは導電体の充填量を調整することによって任意に設定できる。例えば、カバーフィルムの最表面まで導電体を充填する場合は、電極の突出部分の高さはカバーフィルムの厚みと同程度になる。カバーフィルムの厚みの50%程度まで導電体を充填する場合は、電極の突出部分の高さはカバーフィルムの厚みの50%程度の高さとなる。
また、第2工程において、レーザーで空隙を形成することが好ましいが、この場合、空隙の両端が盛り上がって土手を形成することがある。第3工程において、空隙の土手まで導電体を充填することによって、電極の突出部分をカバーフィルムの厚みよりさらに高くすることができる。このような空隙の土手の形成は、比較的厚みの薄いカバーフィルムを用いた場合に、カバーフィルムの厚み以上に電極の突出部分を高くできるので有効である。
カバーフィルムは最終的には平面ディスプレイ部材から剥離除去されるが、上述のようにして形成した電極の突出部分はカバーフィルムを剥離除去後もほぼ同じ形状で残る。
本発明の一つの態様は、本発明の電極を対向する2辺に形成し、他の対向する2辺には導電層がむき出し状態の電極を形成することである。この態様は、第1の工程において、導電層よりも幅の狭い反射防止層を連続的にラミネートして作製したロール状の積層体を用いることによって、対向する2辺に導電層がむき出し状態の電極を形成する。次に、第2の工程および第3の工程によって、残りの2辺に本発明の電極を形成する。
本発明の他の態様は、本発明の電極を3辺に形成し、他の1辺に導電層がむき出し状態の電極を形成することである。この態様は、積層体の幅方向に平面ディスプレイ部材を2面取りする場合に好適である。すなわち、上記の態様と同様にして対向する2辺に導電層がむき出し状態の電極を形成した後、積層体を半分の幅にスリットする。これにより、1辺に導電層がむき出し状態の電極を有する積層体が得られるので、残りの3辺に、前記第2の工程および第3の工程によって、本発明の電極を形成する。あるいは、先に前記第2の工程および第3の工程によって、本発明の電極を形成した後に、積層体を半分の幅にスリットしてもよい。
またさらに他の態様は、本発明の電極を4辺全ての周辺部に形成することである。この態様は、導電層と概ね同幅の反射防止層をロール形状で連続的にラミネートした積層体を用いる場合に好適である。
(平面ディスプレイの製造方法)
本発明の平面ディスプレイは、平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認側に配置することによって得られる。ここで、前記の方法により本発明の平面ディスプレイ部材を得た後、該平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認側に装着しても良いし、本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後、前記の方法により本発明の電極を形成しても良い。
後者の場合、前記第1の工程により得られた積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後、前記第2の工程および第3の工程により、空隙の形成および電極の形成を行う方法と、前記第1の工程および第2の工程により得られた、空隙を有する積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後、前記第3の工程により、電極の形成を行う方法とがある。
本発明の平面ディスプレイの製造方法の好ましい一態様は、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、前記積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および該電極と外部電極を接続する工程を有する方法である。
積層体を平面ディスプレイ本体の視認側に配置する方法としては、ロール形状の積層体を、略長方形のシート状に切り出しながら密着配置するロール・ツー・シート方式、あるいは、あらかじめ略長方形のシート状に成形した積層体を密着配置する枚葉形式のシート・ツー・シート方式を用いることができる。積層体の切り出しおよび成形は、金属、セラミック等のカット刃や、水圧、レーザー等の出力刃などを用いてシートカットする方法、打ち抜き等の公知の方法を用いることができる。特に、ロール・ツー・シート密着方式は、ロール形状の積層体を用いるため、工程が簡略化でき、積層体のセッティング、密着配置の際の積層体のテンション調整等が容易である点から、生産性に優れているため好ましい。
積層体の密着配置の方法としては、ロールで押しつけることによるラミネート、熱プレス、加圧加熱、減圧加熱等の公知の方法を適宜使用することができるが、汎用性、工程の簡略化から、ロールを用いたラミネートが好ましく用いられる。本発明の製造方法に用いられる積層体は、少なくとも対向する2つの辺における導電層と反射防止層の端部位置のずれの最大値を1mm以下とすることが好ましい。このような形状とすることにより、積層体端部の段差が抑えられ、積層体をディスプレイパネルとラミネートする際、均等なラミネートが可能となる。
積層体に空隙を形成する工程、および該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程については、先に本発明の平面ディスプレイ部材およびその製造方法で述べた構成および方法を用いることができる。
本発明の平面ディスプレイの製造方法の別の態様は、前記の態様において、積層体に空隙を形成する工程を、前記積層体を平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程よりも前に行う態様である。すなわち、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、前記空隙が形成された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および該電極と外部電極を接続する工程を有する方法である。積層体を平面ディスプレイ本体の視認側に配置する方法、積層体に空隙を形成する工程、および該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程については、前記の構成および方法を用いることができる。
本発明の平面ディスプレイの製造方法の別の態様は、前述したカバーフィルム付き積層体を用いる。すなわち、平面ディスプレイ本体の視認側に、第1の面側の最表面の上にさらにカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体を配置する。該積層体に対して、前記と同様にして、カバーフィルムの表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する。つづいて、前記と同様にして電極の形成を行った後、前記カバーフィルムを剥離し、さらに該電極と外部電極を接続する。
さらに本発明の平面ディスプレイの製造方法の別の態様は、第1の面側の最表面の上にさらにカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体に対して、前記と同様にして、カバーフィルムの表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙の形成を行う。次に、該空隙が形成されたカバーフィルム付き積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する。つづいて、前記と同様に電極の形成を行った後、前記カバーフィルムを剥離し、さらに該電極と外部電極を接続する。
カバーフィルムの材質、厚み等については前述したとおりである。空隙の形成方法および電極の形成方法等についても、前述した方法が用いられる。
電極と外部電極とは、導電性テープ、導電性接着剤、導電性塗料、導電性の成型部品など公知の導電性部材を用いて電気的に接続することができる。平面ディスプレイ本体の外部電極は、アースと接続されており、平面ディスプレイ部材の電極と外部電極を接続し、アースを取ることによって、平面ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽することができる。
上述した平面ディスプレイの製造方法を用いることによって、電磁波遮蔽性能に優れた平面ディスプレイを生産性高く製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、各物性は、以下の方法で測定した。
(1)表面抵抗
三菱化学(株)製の表面抵抗測定器「ロレスタ」を使用し、4端針法にて測定した。
(2)反射率
(株)日立製作所製の分光光度計「U−3400」を使用し、可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて視感反射率(Y)を計算した。
(3)透過率
(株)日立製作所製の分光光度計「U−3400」を使用し、所望の波長の光線透過率を測定した。
(4)A/Bの算出
(株)日立製作所製の電子顕微鏡「SE−2400」を使用し、各電極について各5点の断面を撮影した。各電極の最表面の高さ位置における幅の平均値と電極の長さの積を各電極の最表面における断面積とした。各電極の最表面における断面積の和を求めて平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面における電極の断面積Aとした。また、各電極の最も深い部分の95%の深さの断面における幅の平均値と電極の長さの積を各電極の底部の断面積とした。各電極の底部の断面積の和を求めて平面ディスプレイ部材の電極の底部における電極の断面積Bとした。こうして得たAとBから両者の比A/Bを算出した。
なお、実施例10〜13および比較例6については、ディスプレイパネルに積層体を貼り合わせた後で電極を形成した後、ディスプレイパネルから積層体を剥離し、A/Bを測定した。
(5)アース性能(電極間抵抗値)
マルチ計測器(株)製の抵抗測定器「ポケットマルチメーター」を使用し、2端針法にて対向する2辺に設けた電極間の抵抗値を測定した。
(6)電磁波遮断性能
松下電器産業(株)製のプラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外し、実施例、比較例で得られた平面ディスプレイ部材を、第1の面を視認側、第2の面をディスプレイ側になるように取り付けた。なお、透明樹脂層として粘着材を用いた実施例7では、平面ディスプレイ部材の粘着材面をディスプレイの視認側に貼り付けた。平面ディスプレイ部材を「42PX−20」に取り付けた後、平面ディスプレイ部材の周辺部に設けた電極を「42PX−20」の筐体の外部電極と接続して平面ディスプレイを得た。リケン製3m法電波暗室にSchwarzbeck製アンテナを設置し、Rohde & Schwarz 製EMIテストレシーバおよびAgilent Technologies製スペクトラムアナライザを用いて、「42PX−20」から放射される周波数30〜88MHzの放射エミッションを測定した。FCC規格classBを満たすためには、40dB以下が許容値である。
(7)近赤外線遮蔽性能
前記(6)項で作成した平面ディスプレイについて、赤外線リモートコントローラーを使用するシャープ(株)製のハードディスクレコーダー「HG−02S」を平面ディスプレイの1m前面に設置し、平面ディスプレイと同時に動作して、誤動作の発生の有無で評価した。
(8)RGB色純度
前記(6)項で作成した平面ディスプレイについて、コニカミノルタホールディングス(株)製のカラーアナライザを用いて、RGB色度を測定し、xy座標にプロットした。NTSC方式のRGB色度座標と比較して、両者が重なる面積を評価した。NTSC方式のRGB色座標と重なる比率が大きいほど色純度が良好となる。
(9)ヘイズ値
平面ディスプレイ部材のヘイズ値の測定は、JIS K 7136(2000年)に従って行った。カバーフィルム付きのサンプルについては、カバーフィルムを剥離した後、測定した。
また、各実施例で用いた材料、装置、および処理方式は、次のとおりである。
A.導電層
銅メッシュフィルム(PETフィルム支持体と銅メッシュ層との積層フィルム:厚み150μm、表面抵抗0.03Ω/□、銅メッシュの厚み10μm、線幅12μm、線間隔300μm)を用いた。
B.反射防止層(反射防止フィルム)
東レ(株)製のARフィルム「リアルック」(PETフィルム支持体、厚み100μm、反射率0.5%)を用いた。
C.透明樹脂層
・熱風乾燥型粘着材
東亜合成(株)製のアクリル粘着塗料を用いた。
・UV硬化型粘着材
綜研化学(株)製のアクリル粘着塗料「アクリルシロップ」を用いた。
・フィルム状粘着材
(株)巴川製紙所製アクリル粘着材「TD43A」(粘着材厚み25μm、セパレートフィルムとして、粘着材の片面に重剥離処理PETフィルムを、反対側の面に軽剥離処理PETフィルムを積層したもの)を用いた。
D.導電性ペースト
藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」を用いた。
E.ガラス基板
セントラル硝子製ソーダガラス(570mm×980mm、厚み2.5mm)を用いた。
F.近赤外線遮蔽層(オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ)
近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を用いた。
G.色調粘着材
(株)巴川製紙所製の色調粘着塗料「TD43B」(アクリル粘着材、色素溶解型、熱風乾燥型)を用いた。
H.カバーフィルム
日東電工(株)製のE−MASK IP300(38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を用いた。
I.ラミネーター
・枚葉ラミネーター
大成ラミネーター(株)製の枚葉ラミネーターを用いた。
・ロールラミネーター
(株)エム・シー・ケイ製のロールラミネーターを用いた。
・オートカットラミネーター
(株)サンテック製のオートカットラミネーターを用いた。
J.スリッター
井上金属工業(株)製のフィルムスリッターを用いた。
K.塗布機
(株)康井精機製のフレキシブルコーターを用いた。
L.乾燥機
日本ガイシ(株)製のIR乾燥炉およびタバイ製熱風乾燥炉を用いた。
M.UV照射機
(株)ジャテック製のUV照射装置を用いた、
N.レーザーカッター
(株)コマックス製のレーザーカッター(CO2レーザーヘッド、最大出力200W)を用いた。
O.ディスペンサー
武蔵エンジニアリング(株)製のディスペンサーを用いた。
P.オートクレーブ処理
積層体もしくは平面ディスプレイ部材を作成した後、(株)協真エンジニアリング製のオートクレーブ装置「HP−120150AA」を用いて、積層体もしくは平面ディスプレイ部材のヘイズ値(JIS K 7136;2000年版)が、2%程度になるように60℃、0.7MPaの条件で50〜70分間オートクレーブ処理した。ただし、実施例9、12、13、および14は、減圧雰囲気下でラミネートすることによって積層体もしくは平面ディスプレイ部材のヘイズ値が2%程度になったので、オートクレーブ処理を省略した。
また、以下の実施例において、平面ディスプレイ部材の中間製品のうち、反射防止層/導電層/透明樹脂層を積層して得られた積層体を積層体1、積層体1に空隙を設けた積層体を積層体2とした。
<実施例1>
まず、570×950mmのフィルム状粘着材の軽剥離処理PETフィルムを剥離した後、粘着面を、枚葉ラミネーターを用いて、570mm×950mmの反射防止フィルムのPETフィルム面と、端部の位置を合わせて貼り合わせて、粘着材付き反射防止フィルムを得た。次に、前記粘着材付き反射防止フィルムのフィルム状粘着材の重剥離処理PETフィルムを剥離し、粘着面と、570×980mmの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面とを枚葉ラミネーターで貼り合わせて、積層体1を得た。図1に実施例1の積層体1の模式平面図を示した。実施例1の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと粘着材付き反射防止フィルムの端部位置のずれは、長辺の2辺において各0.2mm、短辺の2辺において各15mmであり、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。積層体1の1枚あたりの製造時間は60秒であった。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に960mm長さのライン状に、出力20%、ヘッドスピード1500cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例1の積層体2の模式平面図を、図3に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して電極を形成し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図4に実施例1の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分における厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.55mm、電極の底部における幅の平均値は0.37mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.5であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極2辺間の抵抗値を測定したところ、0.9Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例2>
レーザー照射条件を、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minとする以外は実施例1と同様にしてディスプレイ部材を得た。図2に実施例2の積層体2の模式平面図を、図5に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)まで形成されており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
さらに、図6に実施例2の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムまで形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極2辺間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例3>
570×980mmの反射防止フィルムと、570×980mmのフィルム状粘着材とを用いる以外は実施例1と同様にして積層体1を得た。図7に実施例3の積層体1の模式平面図を示した。実施例3の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと粘着材付き反射防止フィルムの端部位置のずれの最大値は0.3mmであった。
次に、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルム側の表面から、積層体1の周辺部において、端部から10mm内側に、長辺2辺は956mm長さ、短辺2辺は546mm長さのライン状に、出力20%、ヘッドスピード1500cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図8に実施例3の積層体2の模式平面図を、図3に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、平面ディスプレイ部材を得た。図4に平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分における厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.55mm、電極の底部における幅の平均値は0.37mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.5であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、長辺2辺間で0.9Ω、短辺2辺間で1.4Ωであった。
<比較例1>
積層体1の空隙形成および電極充填を行わない以外は実施例1と同様に平面ディスプレイ部材を得た。このようにして得られた平面ディスプレイ部材の、抵抗値を測定したところ、長辺2辺間で導通が得られず、アースが取れなかった。
<比較例2>
レーザー照射条件を、出力10%、ヘッドスピード2000cm/minとする以外は実施例1と同様に平面ディスプレイ部材を得た。図9に比較例2の積層体2の空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙底部は、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで達しておらず、銅メッシュがフィルム状粘着材で被覆されていた。
また、図10に比較例2の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、銅メッシュフィルムの銅メッシュに達していなかった。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.51mm、電極の底部における幅の平均値は0.39mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.3であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、導通が得られず、アースが取れなかった。
<実施例4>
銅メッシュフィルムとして、4辺の周辺部にそれぞれ端部から20mm幅の銅ベタ部(メッシュ加工していない銅箔部分)を有する銅メッシュフィルムを用いる以外は実施例1と同様にして積層体1を作製した。次に、実施例1と同様にして積層体1の長辺2辺に空隙を形成して積層体2を得た。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムの銅ベタ表面まで形成されており、銅ベタ表面が剥き出しになっていた。続いて、実施例1と同様にして空隙に導電性ペーストを塗布して電極を形成し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.55mmで、電極の底部における幅の平均値は0.37mmで、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.5であった。
電極表面での電極2辺間の抵抗値は、0.4Ωであった。また、短辺2辺の銅ベタ部が剥き出しになった部分の2辺間の抵抗値は、0.2Ωであった。
<実施例5>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、東亜合成製アクリル粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、該反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅950mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、前記反射防止フィルムの粘着材面とを、ロールラミネーターで貼り合わせた。続いて、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅980mmにスリットして積層体1のロールを得た。
次に、積層体1のロールを570mm長さに切断して積層体1を得た。図1に実施例5の積層体1の模式平面図を示した。実施例5の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと反射防止フィルムの端部位置のずれは、長辺2辺において0mm、短辺2辺において各15mmで、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に960mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例5の積層体2の模式平面図を、図5に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図6に実施例5の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達して形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例6>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、東亜合成製アクリル粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、該反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅950mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムのPETフィルム面に、東亜合成製アクリル粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した。粘着材厚みは25μmであった。続いて、銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、前記反射防止フィルムの粘着材面とを、ロールラミネーターで貼り合わせた後、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅980mmにスリットして積層体1のロールを得た。
次に、積層体1のロールを570mm長さに切断しながら、粘着面を570×980mmのガラス基板と、端部の位置を合わせて、オートカットラミネーターで貼り合わせて、積層体1を得た。図1に実施例6の積層体1の模式平面図を示した。実施例6の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと反射防止フィルムの端部位置のずれは、長辺2辺において0mm、短辺2辺において各15mmで、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に960mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例6の積層体2の模式平面図を、図11に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムの基材PETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュ層が剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図12に実施例6の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの基材PETフィルムに達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<比較例3>
レーザー照射条件を、出力10%、ヘッドスピード2000cm/minとする以外は実施例6と同様に積層体2および平面ディスプレイ部材を得た。図13に比較例3の積層体2の空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙底部は、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで達しておらず、銅メッシュがフィルム状粘着材で被覆されていた。また、図14に比較例3の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、銅メッシュフィルムの銅メッシュに達していなかった。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.51mmで、電極の底部における幅の平均値は0.39mmで、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.3であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、導通が得られず、アースが取れなかった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例7>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、近赤外線遮蔽塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して、近赤外線遮蔽層を形成した。近赤外線遮蔽層の厚みは12μmであった。次に、該近赤外線遮蔽層上に、色調粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅934mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、前記反射防止フィルムの粘着材面とを、ロールラミネーターで貼り合わせた。続いて、前記銅メッシュフィルムのPETフィルム面にUV硬化型粘着材をフレキシブルコーターで塗布し、UV照射装置で硬化した。粘着材厚みは1mmであった。次に、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅964mmにスリットして積層体1のロールを得た。
次に、積層体1のロールを554mm長さに切断して積層体1を得た。図1に実施例7の積層体1の模式平面図を示した。実施例7の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと反射防止フィルム(第1の絶縁体)の端部位置のずれは、長辺2辺において0mm、短辺2辺において各15mmであり、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に944mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例7の積層体2の模式平面図を、図15に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図16に実施例7の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。さらに、透過率を測定したところ、580〜610nmの範囲の最小値が20%、800〜1100nmの範囲の最大値が13%であった。
次に、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外し、本実施例の平面ディスプレイ部材を、第1の面を視認側、第2の面をディスプレイ側にして、ディスプレイの視認側に貼り付け、筐体に組み立てた。その際、本実施例の平面ディスプレイ部材の長辺2辺の電極および短辺2辺の銅メッシュフィルムの銅メッシュ剥き出し部分を、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の筐体の外部電極と接続して、本発明の平面ディスプレイを得た。図17に実施例7の平面ディスプレイの電極を形成した部分における模式断面図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイについて、電磁波遮蔽性能を測定したところ、周波数30〜88MHzでMAX35dBで、FCC規格classBをクリアしている。また、RGB表示における色純度を評価したところ、NTSCのRGB色度の90%であり、比較例4と比較して色純度が向上していた。さらに、近赤外線遮蔽性能を評価したところ、シャープ製ハードディスクレコーダー「HG−02S」の誤動作等の発生は無かった。
<比較例4>
平面ディスプレイ部材を配置せずに、前面フィルターの無い状態で、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」を組み立て、平面ディスプレイを得た。
このようにして得られた平面ディスプレイについて、電磁波遮蔽性能を測定したところ、周波数30〜88MHzでMAX50dBで、FCC規格classBの許容値を超えていた。また、RGB表示における色純度を評価したところ、NTSCのRGB色度の70%であった。さらに、近赤外線遮蔽性能を評価したところ、シャープ製ハードディスクレコーダー「HG−02S」に誤動作が発生した。
<実施例8>
反射防止フィルムとして表面(第1の面の最表面)にカバーフィルムを積層したカバーフィルム付き反射防止フィルムを用いる以外は、実施例7と同様にして積層体1のロールを作製した。積層体1のロールを実施例7と同様に切断して、シート状の積層体1を作製した。
次に、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1のカバーフィルムの表面から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に920mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図18は、実施例8の積層体2の模式平面図、図19は空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図である。空隙は、カバーフィルム表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図20に実施例8の平面ディスプレイ部材の周辺部の厚さ方向の模式断面図を示した。実施例8の平面ディスプレイ部材の電極は、カバーフィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達して形成されていた。なお、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)の高さ位置における幅の平均値は0.55mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.8であった。また、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)から突出した部分の高さは40μmであった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、銅メッシュフィルムの銅箔剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。さらに、透過率を測定したところ、580〜610nmの範囲の最小値が20%、800〜1100nmの範囲の最大値が13%であった。
次に、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外し、本実施例の平面ディスプレイ部材を、第1の面を視認側、第2の面をディスプレイ側にして、ディスプレイの視認側に貼り付け、カバーフィルムを剥離除去した後、筐体に組み立てた。その際、本実施例の平面ディスプレイ部材の長辺2辺の電極および短辺2辺の銅メッシュフィルムの銅メッシュ剥き出し部分を、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の筐体の外部電極と接続して、本発明の平面ディスプレイを得た。図21に実施例8の平面ディスプレイの電極を形成した部分における模式断面図を示した。電極は、平面ディスプレイ部材の第1の面の最表面(反射防止層)から突出した形状に形成されている。電極の突出部分は筐体側の外部電極に食い込み、これによって平面ディスプレイ部材の電極と外部電極の導通が安定的に確実に得られるようになる。電極の突出部分の高さは、ほぼカバーフィルムの厚みに相当する。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能を測定したところ、周波数30〜88MHzでMAX30dBで、FCC規格classBをクリアしている。また、RGB表示における色純度を評価したところ、NTSCのRGB色度の90%であり、比較例4と比較して色純度が向上していた。さらに、近赤外線遮蔽性能を評価したところ、シャープ製ハードディスクレコーダー「HG−02S」の誤動作等の発生は無かった。
<実施例9>
銅メッシュフィルムとカバーフィルム付き反射防止フィルムとをラミネートする際に、気圧10kPaの減圧雰囲気下でラミネートを行った以外は実施例8と同様に行った。このようにして得られた平面ディスプレイ部材の性能を評価したところ実施例8と同様な結果が得られた。また、減圧雰囲気下ラミネートの効果を見るために、常圧雰囲気下でラミネートを行った以外は上記と同様にしてサンプルを作製し、ヘイズ値を比較した。平面ディスプレイ部材のヘイズ値は、減圧雰囲気下ラミネートにおいては2.0%、常圧雰囲気下ラミネートにおいては18%であった。なお、常圧雰囲気下ラミネートのサンプルに前記の条件でオートクレーブ処理を施した後のヘイズ値は2.0%であった。この実施例から、減圧下ラミネートは、オートクレーブによる透明化処理と同等の透明性(ヘイズ値)が得られることがわかる。従って、減圧下ラミネートは、オートクレーブ処理を省略できるので生産性アップにつながる。
<実施例10>
まず、554×934mmのフィルム状粘着材の軽剥離処理面側のPETフィルムを剥離した後、粘着面を、枚葉ラミネーターを用いて、554mm×934mmの反射防止フィルムのPETフィルム面と、端部の位置を合わせて貼り合わせて、粘着材付き反射防止フィルムを得た。次に、554×964mmのフィルム状粘着材の軽剥離処理面側のPETフィルムを剥離した後、粘着面を、枚葉ラミネーターを用いて、554×964mmの銅メッシュフィルムのPETフィルム面と、端部の位置を合わせて貼り合わせて、粘着材付き銅メッシュフィルムを得た。続いて、前記粘着材付き反射防止フィルムのフィルム状粘着材の重剥離処理面側の処理PETフィルムを剥離した後、粘着面を、前記粘着材付き銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、枚葉ラミネーターで貼り合わせて、積層体を得た。この積層体において、粘着材付き銅メッシュフィルムの粘着材層は、重剥離処理PETフィルムで保護されている。図1に実施例10の積層体の模式平面図を示す。この積層体の銅メッシュフィルムと反射防止フィルムの周辺部における端部位置のずれは、長辺2辺において各0.2mm、短辺2辺において各15mmであり、短辺2辺の端部は銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。ここで、重剥離処理PETフィルムを剥離して積層体の光線透過率を測定したところ、波長580〜610nmの範囲の最小値が70%、波長800〜1100nmの範囲の最大値が85%であった。
次に、積層体の重剥離処理PETフィルムを剥離し、粘着材面をディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付けて、ディスプレイパネル1を得た。
続いて、ディスプレイパネルに貼り合わされた積層体の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に930mm長さのライン状に、出力20%、ヘッドスピード1500cm/minでレーザーを照射して、積層体の空隙を形成し、ディスプレイパネル2を得た。図22に実施例10のディスプレイパネル2の模式平面図を、図23に空隙を形成した部分における模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュ表面に達して形成されており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
次に、ディスプレイパネル2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して電極を形成し、ディスプレイパネル3を得た。図24に実施例10のディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュ表面に達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.65mm、電極の底部における幅の平均値は0.43mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は、1.5であった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺の電極および短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図25に実施例10平面ディスプレイの中央付近における短辺方向の模式断面図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX35dBで、FCC規格classBをクリアしていた。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<実施例11>
レーザー照射条件を、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minとする以外は実施例10と同様にして平面ディスプレイを得た。図26に実施例11の平面ディスプレイの中央付近における短辺方向の模式断面図を示した。実施例11の平面ディスプレイの電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.70mm、電極の底部における幅の平均値は0.35mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBで、FCC規格classBをクリアしていた。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものである。
<実施例12>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、近赤外線遮蔽塗料を、フレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して、近赤外線遮蔽層を形成した。近赤外線遮蔽層の厚みは12μmであった。次に、近赤外線遮蔽層上に、色調粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅934mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、反射防止フィルムの粘着面とを、気圧10kPaの減圧雰囲気下でロールラミネーターで貼り合わせた。続いて、銅メッシュフィルムのPETフィルム面にUV硬化型粘着材をフレキシブルコーターで塗布し、UV照射機で硬化した後、粘着材表面にセパレートフィルム(東レフィルム加工(株)製セラピールMT)を貼り合わせた。粘着材厚みは1mmであった。次に、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅964mmにスリットして、積層体ロールを得た。さらに、セパレートフィルムを剥離した状態で積層体の透過率を測定したところ、波長580〜610nmの範囲の最小値が20%、波長800〜1100nmの範囲の最大値が13%であった。
次に、前記積層体ロールのセパレートフィルムを剥離した後に、570mm長さに切断しながらディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付けて、ディスプレイパネル1を得た。
続いて、ディスプレイパネルに貼り合わされた積層体の反射防止フィルムの最表面から、積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に930mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザーを照射して空隙を形成し、ディスプレイパネル2を得た。図27に実施例12のディスプレイパネル2の空隙を形成した部分における模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達しており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
次に、ディスプレイパネル2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を形成し、ディスプレイパネル3を得た。図28に実施例12のディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図を示した。実施例12のディスプレイパネル3の長辺2辺に設けられた電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺に設けられた電極および短辺2辺の銅メッシュ層剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図29に実施例12の平面ディスプレイの模式断面図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBで、FCC規格classBをクリアしている。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<比較例5>
空隙形成および電極充填を行わない以外は実施例10と同様に平面ディスプレイを得た。このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX48dBで、FCC規格classBの許容値を超えていた。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<実施例13>
反射防止フィルムとして最表面(第1の面の最表面に相当する)にカバーフィルムを積層したカバーフィルム付き反射防止フィルムを用いる以外は、実施例12と同様にして積層体ロールを作製した。
次に、積層体ロールのセパレートフィルムを剥離した後に、554mm長さに切断しながらディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付けて、ディスプレイパネル1を得た。
次に、ディスプレイパネルに貼り合わされた積層体のカバーフィルム表面から、積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に920mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザーを照射して空隙を形成し、ディスプレイパネル2を得た。図30に実施例13のディスプレイパネル2の空隙を形成した部分における模式断面図を示した。実施例13のディスプレイパネル2の空隙は、カバーフィルムから、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達しており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
次に、ディスプレイパネル2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を形成した後、カバーフィルムを剥離除去して、ディスプレイパネル3を得た。図31に実施例13のディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図を示した。実施例13のディスプレイパネル3の長辺2辺に設けられた電極は、第1の面の最表面(反射防止層)から突出した形状に形成されていた。また電極の底部は銅メッシュフィルムのPETフィルムに達していた。なお、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)の高さ位置における幅の平均値は0.59mm、電極の底部における幅の平均値は0.33mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.8であった。また、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)から突出した部分の高さは40μmであった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺に設けられた電極および短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図32に実施例13の平面ディスプレイの断面の模式図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBであり、FCC規格classBをクリアしている。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<実施例14>
実施例13と同様にしてカバーフィルム付き積層体ロールを作製した後、この積層体ロールを554mmの長さに切断してシート状積層体を得た。このシート状積層体のカバーフィルム表面から、該積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に920mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザーを照射して空隙を形成した。空隙は、カバーフィルムから、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達しており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。次に、空隙が形成されたシート状積層体をディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付け、空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を形成した。続いて、カバーフィルムを剥離除去して、ディスプレイパネル3を得た。図31はディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図である。ディスプレイパネル3の長辺2辺に設けられた電極の形状は、実施例13とほぼ同じであった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺に設けられた電極および短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図32は、平面ディスプレイの模式断面図である。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBであり、FCC規格classBをクリアしている。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
本発明によれば、生産性に優れる平面ディスプレイ部材を提供でき、さらに、この平面ディスプレイ部材を視認側に配置することで、電磁波遮蔽性に優れた平面ディスプレイを提供できる。
本発明は、平面ディスプレイ部材およびその製造方法、並びに該平面ディスプレイ部材を用いた平面ディスプレイおよび平面ディスプレイの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、平面ディスプレイの前面に配置され、平面ディスプレイ画面から発生する電磁波を遮蔽し、かつ映り込みを防止する平面ディスプレイ部材およびその製造方法に関する。また、前記平面ディスプレイ部材を用いた平面ディスプレイおよび平面ディスプレイ部材を配置した平面ディスプレイの製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(以下、LCD)、プラズマディスプレイ(以下、PDP)などの平面ディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。平面ディスプレイには、通常、外光の反射防止、平面ディスプレイから発生する電磁波遮蔽、平面ディスプレイの保護などを目的とした前面フィルターが平面ディスプレイの視認側に配置される。特にPDPはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するため、人体や他の機器に与える影響が懸念され、日本ではVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)、米国ではFCC(米国連邦通信委員会)等の基準値内に抑えることが規格化されている。このように電磁波を遮蔽するための技術としては、前面フィルターに導電層を設けることが知られている。導電層を用いる場合、アースを取って電荷を逃がさないと電磁波遮蔽性能が維持できないため、導電層と外部電極が電気的に接続される必要がある。前面フィルターは、通常、上記のような導電層と反射防止層を積層して形成される。導電層上に反射防止層が積層される場合、導電層が剥き出しになるように反射防止層が存在しない部分を設け、導電層の剥き出し部と外部電極とを電気的に接続する方法が通常用いられる。その場合、反射防止層を導電層より小さく成形し積層して、額縁状に導電層を剥き出しにする額縁積層や、あらかじめ剥き出しにする部分に別部材を介在させて反射防止層を積層した後に別部材を除去するなど、枚葉形状での加工が必要になる。しかし、枚葉形状での加工は生産効率が劣るという問題があった。近年、ディスプレイの価格ダウンに伴い、パネルや周辺部材のコストダウンが急務となっている。前面フィルターのコストダウンとして、反射防止層を有するフィルムロールと、それよりも幅が広く、導電層を有するフィルムロールをロール・ツー・ロール方式で貼り合わせ、ロール幅方向両端の導電層が剥き出しになっている2辺に電極を形成する方法(特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、このように前面フィルターの2辺にのみ導電層剥き出し部分を設け、電極を形成した場合、4辺全てに電極が形成した場合と比較して電磁波遮蔽性能が劣る。そのため、上記方法ではさらに残りの辺の反射防止層の端面を封止することで電磁波漏洩を防止して電磁波遮蔽性能を向上させることが提案されている。しかしながら、アース効率が低下するため、4辺全てに電極が形成されている場合と比較して、電磁波遮蔽性能が劣るという問題があった。上述したように、電磁波遮蔽性能に優れ、かつ生産効率よく製造することができる平面ディスプレイ用前面フィルターは、未だ提案されていなかった。
一方、ディスプレイパネルの表示面基板に前面フィルターを一体化する方法(特許文献2)が提案されている。特許文献2には、表示面基板に電磁波シールド材を積層し、電磁波シールド材の電極が設けられる周縁部を残して、電磁波シールド材と光学フィルターとを透明粘着材を用いて密着させる方法が記載されている。しかしながら、このような形状とするためには、電磁波シールド材と光学フィルターを異なる寸法にして貼り合わせる必要があり、それぞれの寸法に成形した部材を特定の位置関係となるように調整し枚葉方式で貼り合わせる必要があり、工程が複雑となりコスト増の要因となっていた。
特開2002−318544号公報
特開2003−150065号公報
そこで、本発明の目的は、生産効率よく製造することができ、かつ電磁波遮蔽性能に優れた平面ディスプレイ部材およびその製造方法を提供することである。さらに本発明は、前記平面ディスプレイ部材を用いて電磁波遮蔽性を向上させた平面ディスプレイ、および生産性に優れた平面ディスプレイの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の発明によって、前述した課題が解決できることを見いだした。
(1)少なくとも反射防止層、導電層、透明樹脂層および電極を有する平面ディスプレイ部材の製造方法であって、
導電層の第1の面に反射防止層、第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層を有する積層体を得る第1の工程、
該積層体の周辺部に、レーザーを照射することによって前記第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する第2の工程、および
該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する第3の工程を有する平面ディスプレイ部材の製造方法。
(2)少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、
前記積層体の周辺部に、レーザーを照射することによって積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、
該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および
該電極と外部電極を接続する工程を有する平面ディスプレイの製造方法。
(3)少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体の周辺部に、レーザーを照射することによって積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、
前記空隙が形成された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、
該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および
該電極と外部電極を接続する工程を有する平面ディスプレイの製造方法。
本発明によれば、生産性に優れる平面ディスプレイ部材を提供でき、さらに、この平面ディスプレイ部材を視認側に配置することで、電磁波遮蔽性に優れた平面ディスプレイを提供できる。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体1の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体1の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例を示す模式平面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の周辺部における模式断面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の周辺部における模式断面図である。
比較例の平面ディスプレイ部材の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例を示す模式平面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイ部材の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の一例を示す平面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル3の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル3の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル2の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイを構成するディスプレイパネル3の例の周辺部における模式断面図である。
本発明の平面ディスプレイの例の中央付近における短辺方向における模式断面図である。
従来の平面ディスプレイ部材の平面図
従来の平面ディスプレイ部材の模式断面図
符号の説明
1 反射防止フィルム
2 粘着材
3 銅メッシュフィルム
4a 空隙
5 銅メッシュ層
6 PETフィルム
7 電極
8 ガラス基板
9 近赤外線遮蔽層
10 色調粘着材
11 ディスプレイパネル
12 外部電極
13 カバーフィルム
20 積層体1
21 積層体2
22 平面ディスプレイ部材
23 平面ディスプレイ
31 ディスプレイパネル2
32 ディスプレイパネル3
本発明の平面ディスプレイ部材は、平面ディスプレイの視認側に配置することによって、平面ディスプレイから発生する電磁波を遮断する機能を有するものをいう。
本発明の平面ディスプレイ部材は、少なくとも導電層、反射防止層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、第2の面に透明樹脂層が配置された積層体に電極を設けたものである。
(導電層)
本発明の平面ディスプレイ部材に用いる導電層は、0.01〜10Ω/□の範囲の面抵抗を有することが好ましい。導電層の面抵抗が低いほど、平面ディスプレイから発生する電磁波を効率よく遮蔽することができるが、導電層の低抵抗化は、通常、材料およびプロセス面でコストアップにつながる。加えて、平面ディスプレイから発生する電磁波自体、平面ディスプレイの品種間差、固体間差があるため、それらに対応した最適な面抵抗範囲を設定することが重要である。上記した範囲の面抵抗を有する導電層を用いることで、ほとんどの平面ディスプレイから発生する電磁波を効率よく遮蔽することが可能となり、VCCIやFCCなどで規制される放射電界強度の範囲内に抑えられる。
本発明の平面ディスプレイ部材は、平面ディスプレイの視認側に配置されるため、透明性が必要となる。透明性を有する導電層としては、導電性メッシュ、導電性薄膜などを用いることができる。導電性メッシュとしては、例えば合成繊維または金属繊維のメッシュに金属被覆した繊維メッシュ、金属を格子状もしくはランダムメッシュ状にパターン化した金属メッシュなどを用いることができる。金属メッシュとしては、例えば、金属膜を形成した後にパターンエッチング処理した金属エッチング膜、導電性ペーストをパターン印刷したもの、半導体ペーストをパターン印刷した後導電加工を施したもの、導電性ペーストを感光パターニングしたもの、半導体ペーストを感光パターニングした後導電加工を施したものなどが挙げられる。導電性薄膜としては、金属薄膜や酸化物半導体膜、それらの積層体などを用いることができる。金属薄膜の材料としては、銀、金、パラジウム、銅、インジウムおよびスズから選ばれた金属や、銀とそれ以外の金属の合金などが用いられる。金属薄膜の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキ等の公知の方法を用いることができる。酸化物半導体膜の材料としては、亜鉛、チタン、インジウム、スズ、ジルコニウム、ビスマス、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物または硫化物、またはこれら酸化物の混合物などが用いられる。酸化物半導体の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工等の公知の方法を用いることができる。
導電性メッシュは導電性が高く、導電性薄膜は透明性に優れる。PDPのような高い電磁波遮蔽性能を必要とする平面ディスプレイには、導電性に優れることから、導電性メッシュが好ましく用いられる。さらに、導電性メッシュとしては、汎用性が高く、各種パターンに対応可能なことから、金属メッシュが好ましく用いられる。金属メッシュとしては、プラスチックフィルムなどの支持体上に銅箔をラミネートし、メッシュ状にパターニングしたものが一般的であるが、本発明はこれに限定されるものではない。金属メッシュとしては、通常、格子パターンのような規則的な繰り返しパターンが使用されるが、ランダムパターンもモアレ防止の観点から好ましく用いられる。このようなランダムパターンとしては、乱数表に基づいた線幅、ピッチ等のランダム化、木の葉状の枝分かれ、はじきによる海島構造等が挙げられる。金属メッシュの線幅としては5〜40μm、線間隔(ピッチ)は100〜400μmの範囲が好ましく、金属メッシュの厚みは3〜20μmの範囲が好ましい。
また、プラスチックフィルム上に金属メッシュが形成されたロール状の金属メッシュフィルムを用いることにより、本発明で好ましく用いられる透明導電層、透明基材、反射防止層等の光学機能層の連続的ラミネートが可能となる。さらに、メッシュパターンは通常は品種に合わせた枚葉形式で繰り返し形成されるが、メッシュパターンが連続して形成された連続メッシュロールを用いることで、ラミネート後に任意のサイズに加工することができるため、品種数の圧縮が可能となる。また、異物等の欠陥が発生した場合の欠陥部分のみを除去することにより、工程歩留まりが向上する。
導電層として導電性メッシュを用いる場合、導電層の全面がメッシュパターンに加工されていても良いし、導電層のうち平面ディスプレイの画像表示領域に相当する部分のみがメッシュパターンに加工され、画像表示領域外に相当する部分は、連続した金属膜層(金属ベタとも言う)であっても良い。画像表示領域外ではディスプレイの表示に影響を及ぼさないので、透明性は必要ない。
(反射防止層)
本発明の平面ディスプレイ部材は、導電層の第1の面に、反射防止層を有する。反射防止層は、平面ディスプレイの視認側に装着されたとき、外光の反射防止や映り込み防止により、平面ディスプレイの画像表示の劣化を防ぐものである。このような反射防止層としては、反射防止膜(AR膜)、防眩膜(AG膜)または反射防止防眩膜(AGAR膜)などを用いることができる。
AR膜としては、通常、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)等のプラスチックフィルムからなる支持体上に、高屈折率層および低屈折率層をこの順に2層以上積層したものが用いられる。支持体の光学特性を考慮し、光学設計によって層構成および各層の膜厚を決定することができる。AR膜の反射防止性としては、表面の視感反射率が3%以下であることが好ましい。
AG膜とは、通常、表面に微小な凹凸を有する膜のことをいい、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。AG膜の防眩性としては、ヘイズ値(JISK 7136;2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。
また、AGAR膜は、防眩性を有する膜あるいは支持体上に反射防止膜を形成することによって得られる。AGAR膜の表面の視感反射率は3%以下であることが好ましい。このような光学機能層を有することにより、平面ディスプレイの表面での反射を抑え、輝度を低下させることなくコントラストを向上させることができる。
本発明において、導電層と反射防止層は、直接接していても良いし、間にプラスチックフィルム、接着剤層、粘着材層などが存在していても良い。
(透明樹脂層)
本発明の平面ディスプレイ部材は、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層を有する。本発明において、透明樹脂層とは、導電層に直接接して配置された透明な樹脂層のことを言い、単層でも複数の層であっても良い。
透明樹脂層の透明度は、JIS K7136(2000年)に準拠したヘイズ値に基づいて5%以下が好ましい。透明樹脂層の全光線透過率(JIS K7361;1997年)としては、60%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
本発明において透明樹脂層は、導電層の支持体、導電層と支持体とを接着する接着材もしくは粘着材、または平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイに貼り合せるための接着材もしくは粘着材等としての役目を有する。
このような透明樹脂層としては、フィルム、粘着材および接着材から選ばれた単体、あるいはこれらの複合層を好ましく用いることができる。
フィルムとしては、透明性が良好でかつ機械的強度にすぐれる、ポリエステルフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルムなどのプラスチックフィルムが好ましい。フィルムの厚みは通常0.01〜0.5mmが好ましく、可とう性の点から0.05〜0.3mmがより好ましい。
粘着材としては、アクリル、シリコン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。粘着材の厚みは0.02〜1.5mmが好ましい。
接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、ポリ−1,3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。接着材の厚みは、0.01〜0.05mmが好ましい。
(形状)
本発明の平面ディスプレイ部材は、平面ディスプレイ本体の視認側に配置される。平面ディスプレイ本体は通常長方形であるので、本発明の平面ディスプレイ部材の形状は略長方形であることが好ましい。平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認側に配置するに際しては、平面ディスプレイ部材の長辺および短辺の大きさが、それぞれ平面ディスプレイ本体の長辺および短辺と同じかそれ以下で、かつ、平面ディスプレイにおける表示エリア(画像表示領域)より大きい必要がある。特に、視認性向上のために平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体に密着する場合、平面ディスプレイ部材の長辺および短辺がそれぞれ平面ディスプレイ本体の長辺および短辺より小さい場合、装着の際の位置ずれマージンが得られるとともに、装着後に検査で欠陥が見られるなどの不具合が発生した場合の平面ディスプレイ部材の剥離が容易となる。平面ディスプレイ部材の4角の形状は、直角、R形状等、適宜選択できるが、上述した剥離の際は、少なくとも1角が直角形状であることが剥離開始の平面ディスプレイ部材の保持が容易となる点から好ましい。
(電極)
本発明において電極は、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層まで達しており、導電層と外部電極との導通をとる役割を果たす。このような電極を設けないと、導電層と外部電極との導通が不十分になり、優れた電磁波遮蔽性能が得られない。
ここで、平面ディスプレイ部材の最表面とは、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層がこの順に配置された積層体において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面のことである。最終的には剥離除去されるようなカバーフィルムなどは積層体に含めない。したがって、カバーフィルム、反射防止層、導電層および透明樹脂層がこの順に配置された積層体においては、最表面は、反射防止層の表面になる。
電極は、平面ディスプレイ部材の周辺部に設けられる。ここで、周辺部とは、平面ディスプレイ部材の外周近くであって、平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体に設置した際に、平面ディスプレイの画像表示領域の外側に相当する部分のことを言う。電極を設ける位置は、好ましくは平面ディスプレイ部材の端部から1mm以上内側で、画像表示領域に相当する部分から1mm以上外側の範囲である。平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認面に設置した際に、周辺部は平面ディスプレイの画像表示領域外になるので、ディスプレイの表示に影響を及ぼさない。高いアース効率が得られる点から、平面ディスプレイ部材の対向する4辺全てに電極が設けられることが好ましい。
従来の平面ディスプレイ部材の一例を図33、34に示す。4辺の端縁は、反射防止フィルム1および粘着材2が存在せず導電層5がむき出しの状態になっており、その導電層むき出し部が電極となる。この導電層むき出し部は、導電層5より小さいサイズの反射防止フィルム1および粘着材2を積層することによって、設けることができる。あるいは、図7に示すように、導電層5と同じサイズの反射防止フィルム1および粘着材2を積層した後、周辺部に切り込みを入れて、周辺部の反射防止フィルム1および粘着材2のみを剥離除去することによって、設けることができる。しかしながら、いずれにしても枚葉形状で製造する必要があり、生産効率が低かった。
そこで発明者らは、生産効率が高く、かつ優れた電磁波遮蔽性能が得られる、電極の形成方法について検討し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の平面ディスプレイ部材は、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体によって構成され、該積層体の周辺部に、第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層に達する電極(以降、本発明の電極と称す)を有することを特徴とする。
ここで、電極が導電層に達するとは、電極は導電層に接触するが、導電層を貫通して透明樹脂層に接触してはいない状態を意味する。電極が透明樹脂層に達するとは、電極が導電層を貫通して透明樹脂層に接触しているが、透明樹脂層を貫通してはいない状態を意味する。
本発明の電極は、第2の面側の最表面まで貫通するものであってはならない。すなわち、本発明の電極は積層体を貫通するような形状に形成されず、従って空隙も積層体を貫通しないように形成される。
電極が積層体を貫通する形状の場合には、電極を形成するための空隙が積層体を貫通しなければならず、この場合、積層体、すなわち平面ディスプレイ部材の剛性の低下を招く。また、本発明においては、直線状の連続した電極を設けるのが好ましいが、このような電極は、積層体を貫通した形状に形成することは難しく、たとえ形成することができたとしても、平面ディスプレイ部材の剛性が著しく低下する。また、後述するような、本発明の積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後に空隙の形成および電極の形成を実施する態様においては、積層体を貫通する空隙を形成する際に、ディスプレイパネルを傷つける等の不都合が生じることがある。
平面ディスプレイ部材に上記した本発明の電極を設けることは、ロール形状のまま連続的に行うことができるので、本発明の平面ディスプレイ部材は、上記したような従来の平面ディスプレイ部材と比較して、高効率に製造することができる。
また、本発明は平面ディスプレイ部材の厚み方向に電極が形成されるため、導電層が剥き出しになる部分を周辺部に設ける場合と比較して、反射防止層などの端面からの電磁波漏洩を防止でき、より高い電磁波遮蔽性能を発揮することができる。
さらにまた、本発明は、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から第2の面側の最表面まで貫通する電極を設ける場合と比較して、平面ディスプレイ部材の剛性が高くなり、作業性が向上するため、高効率に平面ディスプレイ部材を製造することができる。
本発明において、導電層として導電性薄膜を用いる場合は、電極は第1の面側の最表面から導電層(導電性薄膜)に達する形状にするのが好適である。また、導電層として、画像表示領域に相当する部分のみをメッシュパターンに加工した金属箔(画像表示領域の周辺部は連続した金属箔)を用いた場合も、電極は導電層(金属箔)に達する形状にするのが好適である。上記のように導電性薄膜または金属箔と導通する電極を形成する場合、アース効率と空隙形成の容易性の観点から、透明樹脂層に達する電極より導電層に達する電極の方が有利である。
一方、導電層として、導電性メッシュ(画像表示領域およびその周辺部とも導電性メッシュで構成)を用いた場合は、透明樹脂層に達する電極を形成するのが好ましい。これによって導電層と電極との接続部分の面積が大きくなり、アース効率が向上し、より高い電磁波遮蔽性能を発揮することができる。この場合、空隙は導電層(導電性メッシュ)を貫通するが、導電性メッシュは切断しないような手段で空隙を形成するのが好ましい。かかる手段としては、レーザーが好ましく用いられる。
本発明の電極は、積層体に形成された空隙に導電体を充填することによって、好ましく形成される。ここで用いられる導電体としては、導電性ペーストや空隙の形状に合わせた導電性固体が挙げられる。空隙への充填効率が高い点から、導電性ペーストが好ましく用いられる。導電性ペーストとしては、銀、金、パラジウム、銅、インジウムおよびスズから選ばれた金属や、銀とそれ以外の金属の合金などを含有する金属ペーストが高い導電性が得られるので好ましい。
電極の最表面における平面形状は、円形、多角形、連続、不連続等のいずれであっても良いが、直線状の連続した形状が好ましい。直線状の連続した形状の電極を設けることによって高いアース効率を得られる。
この場合、電極の最表面の高さ位置における幅は、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。特に好ましくは1mm以下である。下限は0.3mm以上が好ましい。電極の最表面の高さ位置における幅を上記したような範囲にすることによって、外部電極との導通を十分に確保し、画像表示領域への影響がなく、かつ、導電層と電極の接合強度を十分確保することができる。電極の最表面の高さ位置における幅が4mmを越えて大きくなると、電極が積層体から剥離しやすくなる。電極の底部における幅は、導電層と電極との導通に必要な接触面積を確保するために、0.1mm以上が好ましく、0.2m以上がより好ましい。上限は2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
ここで、電極の最表面の高さ位置における幅とは、平面ディスプレイ部材の最表面の高さの位置における電極の幅である。また、電極の底部における幅とは、平面ディスプレイ部材の厚さ方向の電極の深さが最も深い部分において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、電極の最も深い部分までの深さの95%の深さの位置における、電極の幅である。
また、電極の長さは、該電極を設けた平面ディスプレイ部材の辺の長さの10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。上記した辺の長さに対する電極の長さの比率は高い方が良好な電磁波遮蔽性能を得るという観点から好ましい。電極が不連続直線(破線)である場合の電極の長さは、破線の合計の長さである。
電極は、平面ディスプレイ部材の周辺部の4辺全てに設けることが好ましい。この場合、本発明の電極は、4辺の内の少なくとも対向する2辺に設けるのが好ましい。他の2辺には、従来の導電層がむき出し状態の電極を形成してもよい。また、本発明の電極を3辺に設け、残りの1辺に導電層むき出しの電極を設けてもよい。またさらに、4辺全てに本発明の電極を設けてもよい。いずれの態様においても、後述のように、従来の平面ディスプレイ部材と比較して、生産性良く、該部材を製造することができる。また、電極を、平面ディスプレイの外部電極と接続することによって、4辺全ての周辺部でアースを取ることができ、電磁波遮蔽性に優れた平面ディスプレイを提供できる。
また、本発明の電極を、4辺の内の少なくとも対向する2辺に設けることにより、平面ディスプレイ部材の少なくとも対向する2辺における導電層と反射防止層の端部位置のずれの最大値を1mm以下にすることができる。これにより、平面ディスプレイ部材端部の段差が抑えられ、平面ディスプレイ部材をディスプレイパネルとラミネートする際、均等なラミネートが可能となる。4辺全てに導電層むき出しの電極を設けた従来の平面ディスプレイ部材においては、4辺全てにおいて、導電層と反射防止層の端部位置のずれによる段差が生じるため、均等なラミネートが難しくなる。
本発明の電極の断面形状は、最表面の高さ位置における断面積Aが底部の断面積Bより大であるのが好ましい。AがB以下の場合、特に粘度の高い導電性ペーストなどを用いて電極を形成する場合に、導電性ペーストが空隙の底部に到達しにくくなるため、導電層と電極の接触面積の確保が困難となり、アース効率の高い電極が得られにくくなる。一方、平面ディスプレイの画像表示領域への影響や電極と導電層との密着性等を考慮した場合、断面積Aは必要以上に大きくしないことが好ましいので、A/Bの上限は5以上とならないことが好ましい。したがって、前記断面積Aと断面積Bは、下式(1)を満たすことが好ましい。
1<A/B<5 (1)
さらに好ましくは、下式(2)を満たすことである。
1.2<A/B<3 (2)
ここで、電極の底部の断面積Bとは、平面ディスプレイ部材の厚さ方向の電極の深さが最も深い部分において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、電極の最も深い部分までの深さの95%の深さの位置の断面における電極の断面積である。
本発明の電極の平面形状が直線状の連続した形状である場合、電極の断面積AおよびBは、それぞれ電極の最表面の高さ位置および底部における幅と、電極の長さの積から求めることができる。電極の最表面の高さ位置および底部における幅は、積層体の電極形成部分を厚み方向に切断した断面を電子顕微鏡で撮影し、その断面写真から求めることができる。電極が不連続直線(破線)のように2本以上ある場合は、断面積AおよびBは、それぞれ各電極について求めた面積の全ての合計値である。
電極は、外部電極との導通を確実にするために、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面と少なくとも同等の高さになるように形成されている。さらに、図31に示すように、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、電極が突出した形状にするのが好ましい。電極が最表面から突出することによって、アース効率がさらに向上する。電極が最表面から突出する高さは、10〜200μmの範囲が好ましく、15〜150μmの範囲がより好ましく、特に20〜100μmの範囲が好ましい。この場合、電極の断面積Aは、平面ディスプレイ部材の最表面の高さ位置で切断したときの断面積である。
(透過率制御)
本発明の平面ディスプレイ部材には、さらに光線透過率制御機能を付与することができる。光線透過率制御機能としては、透過する光の波長を制御する色調機能、赤外線遮蔽機能、オレンジ光遮蔽機能、紫外線遮蔽機能などが挙げられる。PDPは、その構造および発光原理上、近赤外線およびオレンジ光を発生する。近赤外線は周辺電子機器に影響して誤動作を引き起こす可能性がある。オレンジ光は赤色発光蛍光体の発光、および封入希ガスのネオンの励起によって発生し、赤色発光の色純度低下を引き起こす問題がある。従って、特にPDPに用いる場合には、近赤外線遮蔽機能およびオレンジ光遮蔽機能を付与することが好ましい。
近赤外線遮蔽機能としては、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が15%以下であることが好ましい。平面ディスプレイ部材に近赤外線遮蔽機能を付与する方法としては、導電層として導電性薄膜を用いる方法がある。導電性薄膜は金属の自由電子によって近赤外線を反射する。また、平面ディスプレイ部材に、屈折率制御多層膜による選択波長反射層を設ける方法もある。さらに、平面ディスプレイ部材のいずれかの層に、近赤外線吸収色素を含有させる方法もある。近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等が挙げられる。
オレンジ光遮蔽機能としては、波長580〜610nmの範囲における光線透過率の最小値が30%以下であることが好ましい。平面ディスプレイ部材にオレンジ光遮蔽色調機能を付与する方法としては、平面ディスプレイ部材に、屈折率制御多層膜による選択波長反射層を設ける方法がある。また、平面ディスプレイ部材のいずれかの層に、オレンジ光吸収色素を含有させる方法もある。オレンジ光吸収色素としては、所望の吸収波長を有する染料または顔料が用いられる。
近赤外線吸収、オレンジ光吸収色素など、上述したような色素を、平面ディスプレイ部材のいずれかの層に含有させる方法としては、色素を混錬・分散または溶解させたプラスチックフィルムを用いる方法、色素を混錬・分散・溶解させた塗料を支持体上に塗布する方法、あるいは、色素を混錬・分散または溶解させた粘着材を用いる方法、などの方法を適宜選択できる。また、それぞれの方法を組み合わせて用いても良い。
(積層体)
本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体は、少なくとも透明樹脂層、導電層、および反射防止層をこの順に有する。本発明に用いられる積層体のいくつかの例を以下に示す。
a)粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層の複合体である)
b)粘着材層/プラスチックフィルム/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/プラスチックフィルムの複合体である)
c)粘着材層/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は粘着材層である)
d)粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/近赤外線遮蔽層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/プラスチックフィルム/接着材層の複合体である)
e)粘着材層/近赤外線遮蔽層/プラスチックフィルム/(第2の面)導電層(第1の面)/粘着材層/プラスチックフィルム/反射防止層 (この構成の中で、透明樹脂層は、粘着材層/近赤外線遮蔽層/プラスチックフィルムの複合体である)
上記構成の中で、近赤外線遮蔽機能およびオレンジ光遮蔽機能は、それぞれ独立した層として設けてもよいし、両者の機能を併せ持つ層を設けてもよいし、あるいは、これらの機能をプラスチックフィルム、粘着材層あるいは接着材層に持たせてもよい。
(平面ディスプレイ)
平面ディスプレイとしては、例えばPDP、LCD、プラズマアドレス液晶ディスプレイパネル(PALC)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの各種の平面ディスプレイが適用できる。例えば、PDPは、背面基板と前面基板の2枚のガラス基板間に、多数の放電セルを形成するための隔壁を挟み、放電セル内に放電用電極を形成し、各放電セル内に赤色、緑色または青色に発光する蛍光体膜をそれぞれ形成し、かつ放電セル内にはキセノン(Xe)を含むガスが封入される。このような放電セル内の蛍光体を選択的に放電発光させることによって、フルカラー表示することができる。
このような平面ディスプレイの視認側には、通常、外光の反射防止、平面ディスプレイから発生する電磁波遮蔽などを目的とした前面フィルターが配置される。本発明の平面ディスプレイは、上述した本発明の平面ディスプレイ部材を、前面フィルターとして、平面ディスプレイ本体の視認側に配置したものである。ここで、平面ディスプレイ本体とは、表示パネルを含む平面ディスプレイの主要な部材であり、前面フィルターを取り付けていない状態のものをいう。また、本発明の平面ディスプレイ部材を、平面ディスプレイ本体に配置するにあたっては、平面ディスプレイ部材の第1の面が外側、第2の面が平面ディスプレイ本体側になるように配置する。
本発明の平面ディスプレイ部材を視認側に配置した本発明の平面ディスプレイは、平面ディスプレイ部材の第1の面の反射防止層により外光の反射が抑制され、かつ、導電層および電極による外部電極との接続によって発生電磁波が遮蔽される。特に、PDPに用いる場合、近赤外線遮蔽およびオレンジ光遮蔽機能を付与した平面ディスプレイ部材を用いると、周辺電子機器の誤動作を防止し、色純度を向上させることができるので好ましい。
本発明の平面ディスプレイは、平面ディスプレイ部材の第2の面側を平面ディスプレイ本体に密着することが好ましい。例えば、PDPの場合、平面ディスプレイ本体の視認側、すなわち前面基板に、平面ディスプレイ部材の第2の面側を密着配置する。このような構成とすることにより、平面ディスプレイ部材と平面ディスプレイの界面における光の反射が防止され、外光の映りこみが抑制されて、視認性が向上する。
また、別の態様として平面ディスプレイ部材をガラスやポリカーボネート等の高剛性基板に貼り合わせた後、平面ディスプレイ本体の視認側に設置することもできる。この場合、平面ディスプレイを保護する効果が高くなる。
(平面ディスプレイ部材の製造方法)
本発明の平面ディスプレイ部材の製造方法は、導電層の第1の面に反射防止層、第2の面に透明樹脂層を有する積層体を得る第1の工程、該積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層に達する空隙を形成する第2の工程、および該空隙に電極を充填する第3の工程を含む。
前記第1の工程においては、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層をこの順に有する積層体を得る。積層体を得る方法としては、ラミネート、熱プレス、加圧加熱、減圧加熱、塗布、スパッタリング等の公知の方法を適宜使用することができる。導電層、反射防止層および透明樹脂層のうちの少なくとも2つをロール形状で連続的にラミネートする方法は、歩留まり向上およびリードタイム短縮が可能になる点から、好ましい。ここで、ロール形状で連続的にラミネートするとは、ロール形状で供給された長尺のフィルム同士を2つ以上連続的に積層することである。積層した後は、ロール形状に巻き取ってもよいし、積層工程に続く同一ライン上でシート状に切断してもよい。
導電層、反射防止層および透明樹脂層が予め全てフィルム状に形成できる場合、3つを同時にロール形状で連続的にラミネートするか、導電層上に反射防止層および透明樹脂層の一方をロール形状で連続的にラミネートした後、さらに他方をロール形状で連続的にラミネートすることによって、高効率に平面ディスプレイ部材を製造することができる。
透明樹脂層として粘着材を用いる場合は、フィルム状に成形した粘着材を用い、導電層とロール形状で連続的にラミネートしても良いし、導電層上に直接粘着材を塗布しても良い。
また、透明樹脂層としてプラスチックフィルムを用いる場合は、プラスチックフィルムを支持体として、その上に導電層を予め積層したものを使用しても良い。この積層フィルムに反射防止層をロール形状で連続的にラミネートすることによって、高効率に平面ディスプレイ部材を製造することができる。
反射防止層は、支持体上に反射防止機能、防眩機能または反射防止防眩機能を有する機能層を形成したフィルム状の反射防止層を用いることが好ましい。導電層と反射防止層をロール形状で連続的にラミネートしても良いし、導電層上に直接反射防止層を形成しても良い。
ロール形状で連続的にラミネートする際、減圧雰囲気下でラミネートを行うことが好ましい。例えば、減圧状態を維持できる真空チャンバーの中でラミネートを行う。減圧下でラミネートを行うことにより、層間への気泡の混入を効果的に防止することができ、ヘイズ値の低い透明な平面ディスプレイ部材を得ることができる。ラミネートを行う際の気圧は、気泡の混入を効果的に防止するために、20kPa以下が好ましく、さらに15kPa以下が好ましい。気圧の下限は、設定気圧に到達するまでの時間等の観点から100Pa程度が好ましい。気泡が混入した場合は、積層体をオートクレーブ等で長時間(一般的には30分以上)加熱加圧して、積層体内部に混入した気泡を微細化または拡散することによって透明化する必要がある。減圧雰囲気下でラミネートして積層体を作製することによって、気泡の混入を防ぎ、オートクレーブ処理が省略できるので、生産性が大幅に向上する。
ロール形状にラミネートした積層体を任意のサイズに成形することもできる。積層体の成形は、金属、セラミック等のカット刃や、水圧、レーザー等の出力刃などを用いた、打ち抜き、シートカット等の公知の方法を用いることができる。平面ディスプレイ保護の目的で、前記積層体を高剛性基板にラミネートする場合、ロール形状の積層体を高剛性基板にロール・ツー・シートでラミネートして、高剛性基板の端面でシートカットすることにより、高効率に平面ディスプレイ部材を製造できる。
第2の工程においては、第1の工程で得られた積層体に、積層体の第1の面側の最表面から、導電層または透明樹脂層に達する空隙を形成する。ここで空隙とは、平面ディスプレイ部材の第1の面側に設けられた孔状もしくは溝状の空隙を指す。
空隙の形成方法は、積層体の第1の面側の最表面側から、導電層または透明樹脂層に達するハーフカットを行う方法が好ましく用いられる。ハーフカットは、金属、セラミック等のカット刃や、水圧、レーザー等の出力刃などを用いて行うことができる。カット刃を用いる場合、所望の形状の空隙を形成するためには、空隙を形成する部分の両側にカット刃を用いて切れ目を入れた後、積層体の第1の面側の最表面から導電層または透明樹脂層までを剥離する工程が必要となる。
一方、レーザーで空隙を形成する場合、レーザーが照射された部分の有機物は溶解、蒸発、あるいは燃焼するので、積層体にレーザーを照射するだけで空隙が形成される。従って、カット刃を用いる方法に比べ、剥離工程を必要としないので、生産性向上に有益である。
第3の工程で形成される電極の形状は空隙の形状とほぼ一致する。従って、空隙の形成においては、最表面の高さ位置における幅が底部における幅よりも大きくなるように空隙を形成するのが好ましい。ここで、底部における幅とは、平面ディスプレイ部材の厚さ方向の空隙の深さが最も深い部分において、平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面から、最も深い部分までの95%の深さの位置における、空隙の幅である。また、最表面における空隙の断面積aと底部における空隙の断面積bは、1<a/b<5を満たすことがより好ましい。さらに好ましくは、1.2<a/b<3を満たすことである。空隙の形状をこのような範囲にすることにより、第3の工程で形成される電極の形状を好ましい形状にすることができる。ここで、底部における断面積とは、前記と同様である。
レーザーで空隙を形成する場合、レーザーの焦点位置、出力および走査速度(ヘッドスピード)を調整することにより、空隙の形状を制御することができる。従って、前述した式(1)あるいは式(2)を満たす電極を形成するための空隙を効率よく形成することができる。樹脂を主体とした積層体に前述したような形状の空隙をレーザーで形成するには、レーザーの焦点を最表面から高さ方向に離れた位置に設定するのが好ましい。例えば、レーザーの焦点位置を最表面から高さ方向に2〜20mm離れた位置に設定し、レーザーの出力あるいは走査速度を調整することによって、上述したような本発明に好適な空隙を形成することができる。レーザーの焦点位置は、好ましくは最表面から高さ方向に3〜15mm離れた位置に設定することである。レーザー出力源としては、ヨウ素、YAG、CO2などがあり、所望の出力に合わせて適宜選択することができる。
本発明の平面ディスプレイ部材の製造方法は、第3の工程において、第2の工程で形成した空隙に導電体を充填して電極を形成する。導電体を充填する方法としては、導電性ペーストを空隙の表面形状に合わせた版を用いて印刷する方法、導電性ペーストをディスペンサーで塗布する方法などを用いることができる。特に、ディスペンサー塗布方法は、材料効率が高く、非接触塗布が可能な点から好ましく用いられる。このようなディスペンサー塗布方法としては、1個もしくは複数個の吐出孔を有する口金から導電性ペーストを吐出する方法が好ましく用いられる。吐出部分の形状は平板、ノズル、ニードル等のいずれであっても良い。吐出孔形状は、円形、楕円形、スリット等のいずれであっても良い。
ディスペンサー塗布方法において、口金から導電性ペーストを吐出する際に、一定範囲の圧力で連続的に導電性ペーストを加圧して、その圧力で導電性ペーストを吐出する定圧吐出、あるいはシリンジなどに充填された導電性ペーストの一定体積を連続的に押し出す定量吐出などの方法が好ましく用いられる。これにより、導電性ペーストの吐出量を一定に保つことができる。導電性ペーストが溶媒等の揮発性物質を含有する場合は、充填の後に、乾燥して電極を形成することもできる。
本発明においては、前記第1の工程において、積層体の前記第1の面側の最表面の上にさらにカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体を得ることも好ましい。
カバーフィルムは、導電層の第1の面側の最表面を保護し、傷等が生じないようにする目的で最表面の上に積層され、最終的には剥離除去されるものである。本発明においては反射防止層が積層体の最表面となるのが好ましいので、ここでは最表面を反射防止層に言い換えて説明する。カバーフィルムを反射防止層上に積層する時期は、導電層と反射防止層とを積層する前が好ましく、特に、プラスチック樹脂フィルム等の支持体に反射防止性の光学機能層を形成して、反射防止層を作成した後で、かつ、得られた反射防止層をロール状に巻き取る前が好ましい。カバーフィルムの剥離除去の時期は、平面ディスプレイ本体に平面ディスプレイ部材を装着した後が好ましい。
本発明において、カバーフィルムの厚みは、20〜200μmが適当であり、30〜100μmが好ましい。カバーフィルムとしては、各種プラスチックフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられ、これらの中でもポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられ。
カバーフィルムは、最終的には平面ディスプレイ部材から剥離除去されるので、剥離可能な粘着材または接着材を積層して用いられる。あるいは、カバーフィルムとして粘着性を有するフィルムを用いる場合には、粘着材等は不要である。
また、上記のカバーフィルムを用いる製造方法は、第1の面側の最表面から突出した形状の電極を形成するための好適な方法である。
カバーフィルムが積層された状態で、第2の工程において、カバーフィルムの表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する。この状態を表す模式図を図19に示す。続いて、第3の工程において、該空隙に導電性ペースト等の導電体を充填する。この状態を表す模式図を図20に示す。カバーフィルムの部分にまで導電体が充填されることにより、電極は、反射防止層よりも、カバーフィルムの厚み分だけ突出している。この後、カバーフィルムを剥離除去することによって、第1の面側の最表面から突出した電極を形成することができる。電極の突出部分の高さは、カバーフィルムの厚みを調整することによって、あるいは導電体の充填量を調整することによって任意に設定できる。例えば、カバーフィルムの最表面まで導電体を充填する場合は、電極の突出部分の高さはカバーフィルムの厚みと同程度になる。カバーフィルムの厚みの50%程度まで導電体を充填する場合は、電極の突出部分の高さはカバーフィルムの厚みの50%程度の高さとなる。
また、第2工程において、レーザーで空隙を形成することが好ましいが、この場合、空隙の両端が盛り上がって土手を形成することがある。第3工程において、空隙の土手まで導電体を充填することによって、電極の突出部分をカバーフィルムの厚みよりさらに高くすることができる。このような空隙の土手の形成は、比較的厚みの薄いカバーフィルムを用いた場合に、カバーフィルムの厚み以上に電極の突出部分を高くできるので有効である。
カバーフィルムは最終的には平面ディスプレイ部材から剥離除去されるが、上述のようにして形成した電極の突出部分はカバーフィルムを剥離除去後もほぼ同じ形状で残る。
本発明の一つの態様は、本発明の電極を対向する2辺に形成し、他の対向する2辺には導電層がむき出し状態の電極を形成することである。この態様は、第1の工程において、導電層よりも幅の狭い反射防止層を連続的にラミネートして作製したロール状の積層体を用いることによって、対向する2辺に導電層がむき出し状態の電極を形成する。次に、第2の工程および第3の工程によって、残りの2辺に本発明の電極を形成する。
本発明の他の態様は、本発明の電極を3辺に形成し、他の1辺に導電層がむき出し状態の電極を形成することである。この態様は、積層体の幅方向に平面ディスプレイ部材を2面取りする場合に好適である。すなわち、上記の態様と同様にして対向する2辺に導電層がむき出し状態の電極を形成した後、積層体を半分の幅にスリットする。これにより、1辺に導電層がむき出し状態の電極を有する積層体が得られるので、残りの3辺に、前記第2の工程および第3の工程によって、本発明の電極を形成する。あるいは、先に前記第2の工程および第3の工程によって、本発明の電極を形成した後に、積層体を半分の幅にスリットしてもよい。
またさらに他の態様は、本発明の電極を4辺全ての周辺部に形成することである。この態様は、導電層と概ね同幅の反射防止層をロール形状で連続的にラミネートした積層体を用いる場合に好適である。
(平面ディスプレイの製造方法)
本発明の平面ディスプレイは、平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認側に配置することによって得られる。ここで、前記の方法により本発明の平面ディスプレイ部材を得た後、該平面ディスプレイ部材を平面ディスプレイ本体の視認側に装着しても良いし、本発明の平面ディスプレイ部材を構成する積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後、前記の方法により本発明の電極を形成しても良い。
後者の場合、前記第1の工程により得られた積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後、前記第2の工程および第3の工程により、空隙の形成および電極の形成を行う方法と、前記第1の工程および第2の工程により得られた、空隙を有する積層体を平面ディスプレイ本体に装着した後、前記第3の工程により、電極の形成を行う方法とがある。
本発明の平面ディスプレイの製造方法の好ましい一態様は、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、前記積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および該電極と外部電極を接続する工程を有する方法である。
積層体を平面ディスプレイ本体の視認側に配置する方法としては、ロール形状の積層体を、略長方形のシート状に切り出しながら密着配置するロール・ツー・シート方式、あるいは、あらかじめ略長方形のシート状に成形した積層体を密着配置する枚葉形式のシート・ツー・シート方式を用いることができる。積層体の切り出しおよび成形は、金属、セラミック等のカット刃や、水圧、レーザー等の出力刃などを用いてシートカットする方法、打ち抜き等の公知の方法を用いることができる。特に、ロール・ツー・シート密着方式は、ロール形状の積層体を用いるため、工程が簡略化でき、積層体のセッティング、密着配置の際の積層体のテンション調整等が容易である点から、生産性に優れているため好ましい。
積層体の密着配置の方法としては、ロールで押しつけることによるラミネート、熱プレス、加圧加熱、減圧加熱等の公知の方法を適宜使用することができるが、汎用性、工程の簡略化から、ロールを用いたラミネートが好ましく用いられる。本発明の製造方法に用いられる積層体は、少なくとも対向する2つの辺における導電層と反射防止層の端部位置のずれの最大値を1mm以下とすることが好ましい。このような形状とすることにより、積層体端部の段差が抑えられ、積層体をディスプレイパネルとラミネートする際、均等なラミネートが可能となる。
積層体に空隙を形成する工程、および該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程については、先に本発明の平面ディスプレイ部材およびその製造方法で述べた構成および方法を用いることができる。
本発明の平面ディスプレイの製造方法の別の態様は、前記の態様において、積層体に空隙を形成する工程を、前記積層体を平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程よりも前に行う態様である。すなわち、少なくとも反射防止層、導電層および透明樹脂層を有し、導電層の第1の面に反射防止層が配置され、導電層の第1の面とは反対側の第2の面に透明樹脂層が配置された積層体の周辺部に積層体の第1の面側の最表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する工程、前記空隙が形成された積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する工程、該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程、および該電極と外部電極を接続する工程を有する方法である。積層体を平面ディスプレイ本体の視認側に配置する方法、積層体に空隙を形成する工程、および該空隙に導電体を充填することによって電極を形成する工程については、前記の構成および方法を用いることができる。
本発明の平面ディスプレイの製造方法の別の態様は、前述したカバーフィルム付き積層体を用いる。すなわち、平面ディスプレイ本体の視認側に、第1の面側の最表面の上にさらにカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体を配置する。該積層体に対して、前記と同様にして、カバーフィルムの表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙を形成する。つづいて、前記と同様にして電極の形成を行った後、前記カバーフィルムを剥離し、さらに該電極と外部電極を接続する。
さらに本発明の平面ディスプレイの製造方法の別の態様は、第1の面側の最表面の上にさらにカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体に対して、前記と同様にして、カバーフィルムの表面から前記導電層または前記透明樹脂層に達する空隙の形成を行う。次に、該空隙が形成されたカバーフィルム付き積層体を、平面ディスプレイ本体の視認側に配置する。つづいて、前記と同様に電極の形成を行った後、前記カバーフィルムを剥離し、さらに該電極と外部電極を接続する。
カバーフィルムの材質、厚み等については前述したとおりである。空隙の形成方法および電極の形成方法等についても、前述した方法が用いられる。
電極と外部電極とは、導電性テープ、導電性接着剤、導電性塗料、導電性の成型部品など公知の導電性部材を用いて電気的に接続することができる。平面ディスプレイ本体の外部電極は、アースと接続されており、平面ディスプレイ部材の電極と外部電極を接続し、アースを取ることによって、平面ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽することができる。
上述した平面ディスプレイの製造方法を用いることによって、電磁波遮蔽性能に優れた平面ディスプレイを生産性高く製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、各物性は、以下の方法で測定した。
(1)表面抵抗
三菱化学(株)製の表面抵抗測定器「ロレスタ」を使用し、4端針法にて測定した。
(2)反射率
(株)日立製作所製の分光光度計「U−3400」を使用し、可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて視感反射率(Y)を計算した。
(3)透過率
(株)日立製作所製の分光光度計「U−3400」を使用し、所望の波長の光線透過率を測定した。
(4)A/Bの算出
(株)日立製作所製の電子顕微鏡「SE−2400」を使用し、各電極について各5点の断面を撮影した。各電極の最表面の高さ位置における幅の平均値と電極の長さの積を各電極の最表面における断面積とした。各電極の最表面における断面積の和を求めて平面ディスプレイ部材の第1の面側の最表面における電極の断面積Aとした。また、各電極の最も深い部分の95%の深さの断面における幅の平均値と電極の長さの積を各電極の底部の断面積とした。各電極の底部の断面積の和を求めて平面ディスプレイ部材の電極の底部における電極の断面積Bとした。こうして得たAとBから両者の比A/Bを算出した。
なお、実施例10〜13および比較例6については、ディスプレイパネルに積層体を貼り合わせた後で電極を形成した後、ディスプレイパネルから積層体を剥離し、A/Bを測定した。
(5)アース性能(電極間抵抗値)
マルチ計測器(株)製の抵抗測定器「ポケットマルチメーター」を使用し、2端針法にて対向する2辺に設けた電極間の抵抗値を測定した。
(6)電磁波遮断性能
松下電器産業(株)製のプラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外し、実施例、比較例で得られた平面ディスプレイ部材を、第1の面を視認側、第2の面をディスプレイ側になるように取り付けた。なお、透明樹脂層として粘着材を用いた実施例7では、平面ディスプレイ部材の粘着材面をディスプレイの視認側に貼り付けた。平面ディスプレイ部材を「42PX−20」に取り付けた後、平面ディスプレイ部材の周辺部に設けた電極を「42PX−20」の筐体の外部電極と接続して平面ディスプレイを得た。リケン製3m法電波暗室にSchwarzbeck製アンテナを設置し、Rohde & Schwarz 製EMIテストレシーバおよびAgilent Technologies製スペクトラムアナライザを用いて、「42PX−20」から放射される周波数30〜88MHzの放射エミッションを測定した。FCC規格classBを満たすためには、40dB以下が許容値である。
(7)近赤外線遮蔽性能
前記(6)項で作成した平面ディスプレイについて、赤外線リモートコントローラーを使用するシャープ(株)製のハードディスクレコーダー「HG−02S」を平面ディスプレイの1m前面に設置し、平面ディスプレイと同時に動作して、誤動作の発生の有無で評価した。
(8)RGB色純度
前記(6)項で作成した平面ディスプレイについて、コニカミノルタホールディングス(株)製のカラーアナライザを用いて、RGB色度を測定し、xy座標にプロットした。NTSC方式のRGB色度座標と比較して、両者が重なる面積を評価した。NTSC方式のRGB色座標と重なる比率が大きいほど色純度が良好となる。
(9)ヘイズ値
平面ディスプレイ部材のヘイズ値の測定は、JIS K 7136(2000年)に従って行った。カバーフィルム付きのサンプルについては、カバーフィルムを剥離した後、測定した。
また、各実施例で用いた材料、装置、および処理方式は、次のとおりである。
A.導電層
銅メッシュフィルム(PETフィルム支持体と銅メッシュ層との積層フィルム:厚み150μm、表面抵抗0.03Ω/□、銅メッシュの厚み10μm、線幅12μm、線間隔300μm)を用いた。
B.反射防止層(反射防止フィルム)
東レ(株)製のARフィルム「リアルック」(PETフィルム支持体、厚み100μm、反射率0.5%)を用いた。
C.透明樹脂層
・熱風乾燥型粘着材
東亜合成(株)製のアクリル粘着塗料を用いた。
・UV硬化型粘着材
綜研化学(株)製のアクリル粘着塗料「アクリルシロップ」を用いた。
・フィルム状粘着材
(株)巴川製紙所製アクリル粘着材「TD43A」(粘着材厚み25μm、セパレートフィルムとして、粘着材の片面に重剥離処理PETフィルムを、反対側の面に軽剥離処理PETフィルムを積層したもの)を用いた。
D.導電性ペースト
藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」を用いた。
E.ガラス基板
セントラル硝子製ソーダガラス(570mm×980mm、厚み2.5mm)を用いた。
F.近赤外線遮蔽層(オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ)
近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を用いた。
G.色調粘着材
(株)巴川製紙所製の色調粘着塗料「TD43B」(アクリル粘着材、色素溶解型、熱風乾燥型)を用いた。
H.カバーフィルム
日東電工(株)製のE−MASK IP300(38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を用いた。
I.ラミネーター
・枚葉ラミネーター
大成ラミネーター(株)製の枚葉ラミネーターを用いた。
・ロールラミネーター
(株)エム・シー・ケイ製のロールラミネーターを用いた。
・オートカットラミネーター
(株)サンテック製のオートカットラミネーターを用いた。
J.スリッター
井上金属工業(株)製のフィルムスリッターを用いた。
K.塗布機
(株)康井精機製のフレキシブルコーターを用いた。
L.乾燥機
日本ガイシ(株)製のIR乾燥炉およびタバイ製熱風乾燥炉を用いた。
M.UV照射機
(株)ジャテック製のUV照射装置を用いた、
N.レーザーカッター
(株)コマックス製のレーザーカッター(CO2レーザーヘッド、最大出力200W)を用いた。
O.ディスペンサー
武蔵エンジニアリング(株)製のディスペンサーを用いた。
P.オートクレーブ処理
積層体もしくは平面ディスプレイ部材を作成した後、(株)協真エンジニアリング製のオートクレーブ装置「HP−120150AA」を用いて、積層体もしくは平面ディスプレイ部材のヘイズ値(JISK 7136;2000年版)が、2%程度になるように60℃、0.7MPaの条件で50〜70分間オートクレーブ処理した。ただし、実施例9、12、13、および14は、減圧雰囲気下でラミネートすることによって積層体もしくは平面ディスプレイ部材のヘイズ値が2%程度になったので、オートクレーブ処理を省略した。
また、以下の実施例において、平面ディスプレイ部材の中間製品のうち、反射防止層/導電層/透明樹脂層を積層して得られた積層体を積層体1、積層体1に空隙を設けた積層体を積層体2とした。
<実施例1>
まず、570×950mmのフィルム状粘着材の軽剥離処理PETフィルムを剥離した後、粘着面を、枚葉ラミネーターを用いて、570mm×950mmの反射防止フィルムのPETフィルム面と、端部の位置を合わせて貼り合わせて、粘着材付き反射防止フィルムを得た。次に、前記粘着材付き反射防止フィルムのフィルム状粘着材の重剥離処理PETフィルムを剥離し、粘着面と、570×980mmの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面とを枚葉ラミネーターで貼り合わせて、積層体1を得た。図1に実施例1の積層体1の模式平面図を示した。実施例1の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと粘着材付き反射防止フィルムの端部位置のずれは、長辺の2辺において各0.2mm、短辺の2辺において各15mmであり、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。積層体1の1枚あたりの製造時間は60秒であった。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に960mm長さのライン状に、出力20%、ヘッドスピード1500cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例1の積層体2の模式平面図を、図3に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して電極を形成し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図4に実施例1の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分における厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.55mm、電極の底部における幅の平均値は0.37mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.5であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極2辺間の抵抗値を測定したところ、0.9Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例2>
レーザー照射条件を、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minとする以外は実施例1と同様にしてディスプレイ部材を得た。図2に実施例2の積層体2の模式平面図を、図5に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)まで形成されており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
さらに、図6に実施例2の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムまで形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極2辺間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例3>
570×980mmの反射防止フィルムと、570×980mmのフィルム状粘着材とを用いる以外は実施例1と同様にして積層体1を得た。図7に実施例3の積層体1の模式平面図を示した。実施例3の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと粘着材付き反射防止フィルムの端部位置のずれの最大値は0.3mmであった。
次に、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルム側の表面から、積層体1の周辺部において、端部から10mm内側に、長辺2辺は956mm長さ、短辺2辺は546mm長さのライン状に、出力20%、ヘッドスピード1500cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図8に実施例3の積層体2の模式平面図を、図3に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、平面ディスプレイ部材を得た。図4に平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分における厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.55mm、電極の底部における幅の平均値は0.37mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.5であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、長辺2辺間で0.9Ω、短辺2辺間で1.4Ωであった。
<比較例1>
積層体1の空隙形成および電極充填を行わない以外は実施例1と同様に平面ディスプレイ部材を得た。このようにして得られた平面ディスプレイ部材の、抵抗値を測定したところ、長辺2辺間で導通が得られず、アースが取れなかった。
<比較例2>
レーザー照射条件を、出力10%、ヘッドスピード2000cm/minとする以外は実施例1と同様に平面ディスプレイ部材を得た。図9に比較例2の積層体2の空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙底部は、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで達しておらず、銅メッシュがフィルム状粘着材で被覆されていた。
また、図10に比較例2の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、銅メッシュフィルムの銅メッシュに達していなかった。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.51mm、電極の底部における幅の平均値は0.39mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.3であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、導通が得られず、アースが取れなかった。
<実施例4>
銅メッシュフィルムとして、4辺の周辺部にそれぞれ端部から20mm幅の銅ベタ部(メッシュ加工していない銅箔部分)を有する銅メッシュフィルムを用いる以外は実施例1と同様にして積層体1を作製した。次に、実施例1と同様にして積層体1の長辺2辺に空隙を形成して積層体2を得た。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムの銅ベタ表面まで形成されており、銅ベタ表面が剥き出しになっていた。続いて、実施例1と同様にして空隙に導電性ペーストを塗布して電極を形成し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.55mmで、電極の底部における幅の平均値は0.37mmで、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.5であった。
電極表面での電極2辺間の抵抗値は、0.4Ωであった。また、短辺2辺の銅ベタ部が剥き出しになった部分の2辺間の抵抗値は、0.2Ωであった。
<実施例5>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、東亜合成製アクリル粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、該反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅950mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、前記反射防止フィルムの粘着材面とを、ロールラミネーターで貼り合わせた。続いて、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅980mmにスリットして積層体1のロールを得た。
次に、積層体1のロールを570mm長さに切断して積層体1を得た。図1に実施例5の積層体1の模式平面図を示した。実施例5の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと反射防止フィルムの端部位置のずれは、長辺2辺において0mm、短辺2辺において各15mmで、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に960mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例5の積層体2の模式平面図を、図5に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図6に実施例5の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達して形成されていた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例6>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、東亜合成製アクリル粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、該反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅950mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムのPETフィルム面に、東亜合成製アクリル粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した。粘着材厚みは25μmであった。続いて、銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、前記反射防止フィルムの粘着材面とを、ロールラミネーターで貼り合わせた後、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅980mmにスリットして積層体1のロールを得た。
次に、積層体1のロールを570mm長さに切断しながら、粘着面を570×980mmのガラス基板と、端部の位置を合わせて、オートカットラミネーターで貼り合わせて、積層体1を得た。図1に実施例6の積層体1の模式平面図を示した。実施例6の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと反射防止フィルムの端部位置のずれは、長辺2辺において0mm、短辺2辺において各15mmで、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に960mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例6の積層体2の模式平面図を、図11に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムの基材PETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュ層が剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図12に実施例6の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムの基材PETフィルムに達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<比較例3>
レーザー照射条件を、出力10%、ヘッドスピード2000cm/minとする以外は実施例6と同様に積層体2および平面ディスプレイ部材を得た。図13に比較例3の積層体2の空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙底部は、銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面まで達しておらず、銅メッシュがフィルム状粘着材で被覆されていた。また、図14に比較例3の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、銅メッシュフィルムの銅メッシュに達していなかった。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.51mmで、電極の底部における幅の平均値は0.39mmで、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.3であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、導通が得られず、アースが取れなかった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。
<実施例7>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、近赤外線遮蔽塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して、近赤外線遮蔽層を形成した。近赤外線遮蔽層の厚みは12μmであった。次に、該近赤外線遮蔽層上に、色調粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅934mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、前記反射防止フィルムの粘着材面とを、ロールラミネーターで貼り合わせた。続いて、前記銅メッシュフィルムのPETフィルム面にUV硬化型粘着材をフレキシブルコーターで塗布し、UV照射装置で硬化した。粘着材厚みは1mmであった。次に、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅964mmにスリットして積層体1のロールを得た。
次に、積層体1のロールを554mm長さに切断して積層体1を得た。図1に実施例7の積層体1の模式平面図を示した。実施例7の積層体1の周辺部における銅メッシュフィルムと反射防止フィルム(第1の絶縁体)の端部位置のずれは、長辺2辺において0mm、短辺2辺において各15mmであり、短辺2辺の端部は銅メッシュフィルムの銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
続いて、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に944mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図2に実施例7の積層体2の模式平面図を、図15に空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図16に実施例7の平面ディスプレイ部材の電極を形成した部分の厚さ方向の模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。さらに、透過率を測定したところ、580〜610nmの範囲の最小値が20%、800〜1100nmの範囲の最大値が13%であった。
次に、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外し、本実施例の平面ディスプレイ部材を、第1の面を視認側、第2の面をディスプレイ側にして、ディスプレイの視認側に貼り付け、筐体に組み立てた。その際、本実施例の平面ディスプレイ部材の長辺2辺の電極および短辺2辺の銅メッシュフィルムの銅メッシュ剥き出し部分を、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の筐体の外部電極と接続して、本発明の平面ディスプレイを得た。図17に実施例7の平面ディスプレイの電極を形成した部分における模式断面図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイについて、電磁波遮蔽性能を測定したところ、周波数30〜88MHzでMAX35dBで、FCC規格classBをクリアしている。また、RGB表示における色純度を評価したところ、NTSCのRGB色度の90%であり、比較例4と比較して色純度が向上していた。さらに、近赤外線遮蔽性能を評価したところ、シャープ製ハードディスクレコーダー「HG−02S」の誤動作等の発生は無かった。
<比較例4>
平面ディスプレイ部材を配置せずに、前面フィルターの無い状態で、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」を組み立て、平面ディスプレイを得た。
このようにして得られた平面ディスプレイについて、電磁波遮蔽性能を測定したところ、周波数30〜88MHzでMAX50dBで、FCC規格classBの許容値を超えていた。また、RGB表示における色純度を評価したところ、NTSCのRGB色度の70%であった。さらに、近赤外線遮蔽性能を評価したところ、シャープ製ハードディスクレコーダー「HG−02S」に誤動作が発生した。
<実施例8>
反射防止フィルムとして表面(第1の面の最表面)にカバーフィルムを積層したカバーフィルム付き反射防止フィルムを用いる以外は、実施例7と同様にして積層体1のロールを作製した。積層体1のロールを実施例7と同様に切断して、シート状の積層体1を作製した。
次に、積層体1をレーザーカッターに固定して、積層体1のカバーフィルムの表面から、積層体1の長辺2辺において、端部から10mm内側に920mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザー照射を行い、空隙を形成して積層体2を得た。図18は、実施例8の積層体2の模式平面図、図19は空隙を形成した部分の厚さ方向の模式断面図である。空隙は、カバーフィルム表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達しており、銅メッシュが全方向で剥き出しになっていた。
続いて、積層体2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を充填し、本発明の平面ディスプレイ部材を得た。図20に実施例8の平面ディスプレイ部材の周辺部の厚さ方向の模式断面図を示した。実施例8の平面ディスプレイ部材の電極は、カバーフィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達して形成されていた。なお、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)の高さ位置における幅の平均値は0.55mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.8であった。また、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)から突出した部分の高さは40μmであった。
このようにして得られた平面ディスプレイ部材の電極表面での電極間の抵抗値を測定したところ、0.5Ωであった。また、銅メッシュフィルムの銅箔剥き出し部分の2辺間の抵抗値を測定したところ、0.4Ωであった。さらに、透過率を測定したところ、580〜610nmの範囲の最小値が20%、800〜1100nmの範囲の最大値が13%であった。
次に、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外し、本実施例の平面ディスプレイ部材を、第1の面を視認側、第2の面をディスプレイ側にして、ディスプレイの視認側に貼り付け、カバーフィルムを剥離除去した後、筐体に組み立てた。その際、本実施例の平面ディスプレイ部材の長辺2辺の電極および短辺2辺の銅メッシュフィルムの銅メッシュ剥き出し部分を、プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の筐体の外部電極と接続して、本発明の平面ディスプレイを得た。図21に実施例8の平面ディスプレイの電極を形成した部分における模式断面図を示した。電極は、平面ディスプレイ部材の第1の面の最表面(反射防止層)から突出した形状に形成されている。電極の突出部分は筐体側の外部電極に食い込み、これによって平面ディスプレイ部材の電極と外部電極の導通が安定的に確実に得られるようになる。電極の突出部分の高さは、ほぼカバーフィルムの厚みに相当する。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能を測定したところ、周波数30〜88MHzでMAX30dBで、FCC規格classBをクリアしている。また、RGB表示における色純度を評価したところ、NTSCのRGB色度の90%であり、比較例4と比較して色純度が向上していた。さらに、近赤外線遮蔽性能を評価したところ、シャープ製ハードディスクレコーダー「HG−02S」の誤動作等の発生は無かった。
<実施例9>
銅メッシュフィルムとカバーフィルム付き反射防止フィルムとをラミネートする際に、気圧10kPaの減圧雰囲気下でラミネートを行った以外は実施例8と同様に行った。このようにして得られた平面ディスプレイ部材の性能を評価したところ実施例8と同様な結果が得られた。また、減圧雰囲気下ラミネートの効果を見るために、常圧雰囲気下でラミネートを行った以外は上記と同様にしてサンプルを作製し、ヘイズ値を比較した。平面ディスプレイ部材のヘイズ値は、減圧雰囲気下ラミネートにおいては2.0%、常圧雰囲気下ラミネートにおいては18%であった。なお、常圧雰囲気下ラミネートのサンプルに前記の条件でオートクレーブ処理を施した後のヘイズ値は2.0%であった。この実施例から、減圧下ラミネートは、オートクレーブによる透明化処理と同等の透明性(ヘイズ値)が得られることがわかる。従って、減圧下ラミネートは、オートクレーブ処理を省略できるので生産性アップにつながる。
<実施例10>
まず、554×934mmのフィルム状粘着材の軽剥離処理面側のPETフィルムを剥離した後、粘着面を、枚葉ラミネーターを用いて、554mm×934mmの反射防止フィルムのPETフィルム面と、端部の位置を合わせて貼り合わせて、粘着材付き反射防止フィルムを得た。次に、554×964mmのフィルム状粘着材の軽剥離処理面側のPETフィルムを剥離した後、粘着面を、枚葉ラミネーターを用いて、554×964mmの銅メッシュフィルムのPETフィルム面と、端部の位置を合わせて貼り合わせて、粘着材付き銅メッシュフィルムを得た。続いて、前記粘着材付き反射防止フィルムのフィルム状粘着材の重剥離処理面側の処理PETフィルムを剥離した後、粘着面を、前記粘着材付き銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、枚葉ラミネーターで貼り合わせて、積層体を得た。この積層体において、粘着材付き銅メッシュフィルムの粘着材層は、重剥離処理PETフィルムで保護されている。図1に実施例10の積層体の模式平面図を示す。この積層体の銅メッシュフィルムと反射防止フィルムの周辺部における端部位置のずれは、長辺2辺において各0.2mm、短辺2辺において各15mmであり、短辺2辺の端部は銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。ここで、重剥離処理PETフィルムを剥離して積層体の光線透過率を測定したところ、波長580〜610nmの範囲の最小値が70%、波長800〜1100nmの範囲の最大値が85%であった。
次に、積層体の重剥離処理PETフィルムを剥離し、粘着材面をディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付けて、ディスプレイパネル1を得た。
続いて、ディスプレイパネルに貼り合わされた積層体の反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に930mm長さのライン状に、出力20%、ヘッドスピード1500cm/minでレーザーを照射して、積層体の空隙を形成し、ディスプレイパネル2を得た。図22に実施例10のディスプレイパネル2の模式平面図を、図23に空隙を形成した部分における模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面(第1の面側の最表面)から、銅メッシュ表面に達して形成されており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
次に、ディスプレイパネル2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して電極を形成し、ディスプレイパネル3を得た。図24に実施例10のディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図を示した。電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュ表面に達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.65mm、電極の底部における幅の平均値は0.43mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は、1.5であった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺の電極および短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図25に実施例10平面ディスプレイの中央付近における短辺方向の模式断面図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX35dBで、FCC規格classBをクリアしていた。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<実施例11>
レーザー照射条件を、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minとする以外は実施例10と同様にして平面ディスプレイを得た。図26に実施例11の平面ディスプレイの中央付近における短辺方向の模式断面図を示した。実施例11の平面ディスプレイの電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルム(透明樹脂層)に達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.70mm、電極の底部における幅の平均値は0.35mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBで、FCC規格classBをクリアしていた。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものである。
<実施例12>
まず、1000mm幅、長さ1000mの反射防止フィルムのPETフィルム面に、近赤外線遮蔽塗料を、フレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して、近赤外線遮蔽層を形成した。近赤外線遮蔽層の厚みは12μmであった。次に、近赤外線遮蔽層上に、色調粘着塗料をフレキシブルコーターで塗布し、熱風乾燥炉で乾燥した後、反射防止フィルムをフィルムスリッターで幅934mmにスリットした。粘着材厚みは25μmであった。次に、1000mm幅、長さ1000mの銅メッシュフィルムの銅メッシュ面と、反射防止フィルムの粘着面とを、気圧10kPaの減圧雰囲気下でロールラミネーターで貼り合わせた。続いて、銅メッシュフィルムのPETフィルム面にUV硬化型粘着材をフレキシブルコーターで塗布し、UV照射機で硬化した後、粘着材表面にセパレートフィルム(東レフィルム加工(株)製セラピールMT)を貼り合わせた。粘着材厚みは1mmであった。次に、貼り合わせたフィルムを、フィルムスリッターで幅964mmにスリットして、積層体ロールを得た。さらに、セパレートフィルムを剥離した状態で積層体の透過率を測定したところ、波長580〜610nmの範囲の最小値が20%、波長800〜1100nmの範囲の最大値が13%であった。
次に、前記積層体ロールのセパレートフィルムを剥離した後に、570mm長さに切断しながらディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付けて、ディスプレイパネル1を得た。
続いて、ディスプレイパネルに貼り合わされた積層体の反射防止フィルムの最表面から、積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に930mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザーを照射して空隙を形成し、ディスプレイパネル2を得た。図27に実施例12のディスプレイパネル2の空隙を形成した部分における模式断面図を示した。空隙は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達しており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
次に、ディスプレイパネル2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を形成し、ディスプレイパネル3を得た。図28に実施例12のディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図を示した。実施例12のディスプレイパネル3の長辺2辺に設けられた電極は、反射防止フィルムの最表面から、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達していた。なお、電極の最表面の高さ位置における幅の平均値は0.60mm、電極の底部における幅の平均値は0.30mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は2.0であった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺に設けられた電極および短辺2辺の銅メッシュ層剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図29に実施例12の平面ディスプレイの模式断面図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBで、FCC規格classBをクリアしている。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<比較例5>
空隙形成および電極充填を行わない以外は実施例10と同様に平面ディスプレイを得た。このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX48dBで、FCC規格classBの許容値を超えていた。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<実施例13>
反射防止フィルムとして最表面(第1の面の最表面に相当する)にカバーフィルムを積層したカバーフィルム付き反射防止フィルムを用いる以外は、実施例12と同様にして積層体ロールを作製した。
次に、積層体ロールのセパレートフィルムを剥離した後に、554mm長さに切断しながらディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付けて、ディスプレイパネル1を得た。
次に、ディスプレイパネルに貼り合わされた積層体のカバーフィルム表面から、積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に920mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザーを照射して空隙を形成し、ディスプレイパネル2を得た。図30に実施例13のディスプレイパネル2の空隙を形成した部分における模式断面図を示した。実施例13のディスプレイパネル2の空隙は、カバーフィルムから、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達しており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。
次に、ディスプレイパネル2の空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を形成した後、カバーフィルムを剥離除去して、ディスプレイパネル3を得た。図31に実施例13のディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図を示した。実施例13のディスプレイパネル3の長辺2辺に設けられた電極は、第1の面の最表面(反射防止層)から突出した形状に形成されていた。また電極の底部は銅メッシュフィルムのPETフィルムに達していた。なお、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)の高さ位置における幅の平均値は0.59mm、電極の底部における幅の平均値は0.33mm、電極の最表面における断面積Aと底部における断面積Bの比率(A/B)は1.8であった。また、電極の第1の面側の最表面(反射防止フィルムの表面)から突出した部分の高さは40μmであった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺に設けられた電極および短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図32に実施例13の平面ディスプレイの断面の模式図を示した。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBであり、FCC規格classBをクリアしている。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
<実施例14>
実施例13と同様にしてカバーフィルム付き積層体ロールを作製した後、この積層体ロールを554mmの長さに切断してシート状積層体を得た。このシート状積層体のカバーフィルム表面から、該積層体の長辺2辺において、端部から10mm内側に920mm長さのライン状に、出力30%、ヘッドスピード1300cm/minでレーザーを照射して空隙を形成した。空隙は、カバーフィルムから、銅メッシュフィルムのPETフィルムに達しており、銅メッシュ表面が剥き出しになっていた。次に、空隙が形成されたシート状積層体をディスプレイパネル(プラズマディスプレイテレビ「42PX−20」の前面フィルターを取り外したもの)に貼り付け、空隙部分に、ディスペンサーで導電性ペーストを塗布した後、IR乾燥炉で乾燥して、電極を形成した。続いて、カバーフィルムを剥離除去して、ディスプレイパネル3を得た。図31はディスプレイパネル3の電極を形成した部分における模式断面図である。ディスプレイパネル3の長辺2辺に設けられた電極の形状は、実施例13とほぼ同じであった。
続いて、ディスプレイパネル3の積層体の長辺2辺に設けられた電極および短辺2辺の銅メッシュ剥き出し部分を筐体の外部電極と接続し、本発明の平面ディスプレイを得た。図32は、平面ディスプレイの模式断面図である。
このようにして得られた平面ディスプレイの電磁波遮蔽性能については、周波数30〜88MHzでMAX30dBであり、FCC規格classBをクリアしている。また、視認性能については、2重像や外光の映り込みのないものであった。
本発明によれば、生産性に優れる平面ディスプレイ部材を提供でき、さらに、この平面ディスプレイ部材を視認側に配置することで、電磁波遮蔽性に優れた平面ディスプレイを提供できる。