JPWO2006067913A1 - フコーストランスポーターの機能が阻害された細胞を用いた抗体の作製方法 - Google Patents

フコーストランスポーターの機能が阻害された細胞を用いた抗体の作製方法 Download PDF

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Abstract

フコーストランスポーターの機能が阻害された細胞を用いた組換えタンパク質、特に抗体の作製方法に関し、相同染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現が人為的に抑制されている細胞を提供する。

Description

本発明は、フコーストランスポーターの機能が阻害された細胞を用いた組換えタンパク質、特に抗体の作製方法に関する。
抗体は、ADCC(抗体依存性細胞障害)活性やCDC(補体依存性細胞障害)活性により抗腫瘍効果を発揮しうる。抗体は糖鎖が結合した糖タンパク質であり、抗体の細胞障害活性の強さは抗体に結合する糖鎖の種類および量により変化しうることが知られている。特に、抗体と結合したフコースの量が細胞障害活性の強さに強く拘わっていることが報告されている(非特許文献1参照)。さらに、細胞障害活性が増強された抗体を得るために抗体産生の際に糖鎖へのフコースの結合を触媒する酵素を発現させないように操作し、フコースを有しない組換え抗体を作製する方法が報告されている(特許文献1参照)。
Shields et al.,J Biol Chem.,277(30),26733−26740,2002 国際公開公報 WO00/61739号公報
本発明は、容易かつ確実にフコースの結合が消失または低下した組換えタンパク質を製造する方法の提供を目的とする。特にフコースの結合が消失または低下し、細胞障害活性が増強された抗体を製造する方法の提供を目的とする。本発明は、さらにこのようなタンパク質を産生するための宿主細胞を提供することを目的とする。
抗体産生細胞中で抗体にフコースが結合する機構として、細胞内に取り込まれたフコースにGDPが結合し、その後GDP−フコースがゴルジ体中に取り込まれゴルジ体中でGDP−フコースのフコースがタンパク質に糖鎖として付加されているN−アセチルグルコサミンに転移することが知られている。具体的には、抗体分子のFc領域には、N−グリコシド結合糖鎖が結合する部位が2箇所あり、N−グリコシド結合糖鎖のN−アセチルグルコサミン部分にフコースが結合する(Pate L.Smith etal.J.Cell Biol.2002,158,801−815)。
本発明者らは、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子を破壊することにより、ゴルジ体へのフコースの取り込みが阻害され、結果として抗体にフコースが付加されるのを阻害することができると考え、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子を破壊した細胞を作製することにより、本発明を完成させるに至った。
本発明において、抗体へのフコースの付加を阻害するとは、製造される抗体全てがフコースが付加されていないことは必要ではなく、抗体組成物中のフコースが付加されているタンパク質の割合が減少していればよい。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現が人為的に抑制されている細胞。
[2] フコーストランスポーター遺伝子が破壊されていることを特徴とする[1]の細胞。
[3] 動物細胞である[1]または[2]の細胞。
[4] 動物がチャイニーズハムスター細胞である、[3]の細胞。
[5] 動物細胞がCHO細胞である[4]の細胞。
[6] 遺伝子の破壊がジーンターゲティングベクターを用いた相同組換えにより行われる、[2]から[5]のいずれかの細胞。
[7] 外来タンパク質をコードする遺伝子が導入されていることを特徴とする[1]から[6]のいずれかの細胞。
[8] 外来タンパク質をコードする遺伝子が抗体をコードする遺伝子である[7]の細胞。
[9] [1]から[8]のいずれかの細胞を培養することを特徴とするタンパク質の製造方法。
[10] タンパク質が抗体である[9]の製造方法。
[11] フコースが付加されていないタンパク質を製造することを特徴とする[10]の製造方法。
[12] 細胞を用いて組換えタンパク質を製造する際に、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現を人為的に抑制することを特徴とする、タンパク質へのフコース付加阻害方法。
[13] 遺伝子の発現の人為的抑制が、遺伝子を欠損することによる行われることを特徴とする[12]のタンパク質へのフコース付加阻害方法。
[14] タンパク質が抗体である[12]または[13]のタンパク質へのフコース付加阻害方法。
[15] 細胞がCHO細胞である[12]から[14]のいずれかのタンパク質へのフコース付加阻害方法。
本明細書は本願の優先権の基礎であるPCT国際特許出願PCT/JP2004/019261の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、3種類のターゲッティングベクターの構造を示す図である。
図2は、第一段階のノックアウト後、Bgl IIによる切断で、出現するバンドの構造を示す図である。
図3は、第一段階のノックアウトのサザンブロット解析の結果を示す写真である。
図4は、第二段階のノックアウトの相同組み換え効率を示す図である。
図5は、フコーストランスポーター遺伝子欠損株のサザンブロット解析の結果を示す写真である。
図6は、フコーストランスポーター遺伝子欠損株(wild/KO)のフコースの発現解析の結果を示す図である。
図7は、フコーストランスポーター遺伝子欠損株(KO/KO)のフコースの発現解析の結果を示す図である。
図8は各抗HM1.24抗体の、ヒトPBMCを用いARH−77を標的細胞とした場合のADCC活性を示す図である。
図9は、各抗GPC3抗体の、ヒトPBMCを用いHuH−7を標的細胞とした場合のADCC活性を示す図である。
図10は、FT−KO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体(a)およびCHO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体(b)から調製した2−AB化糖鎖の順相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図11は、FT−KO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体(a,b,c)およびCHO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体から調製したアガラクトシル2−AB化糖鎖の順相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図12は、図11で示したピークG(0)およびG(0)−Fucの推定構造を示す図である。
図13は、FT−KO細胞産生抗体(a)およびCHO細胞産生抗体(b)についてのDSC(示差走査熱量計)測定チャートを示す図である。
本発明においてフコーストランスポーターとはフコース輸送活性を有するポリペプチドのことをいい、例えば、フコーストランスポーターが細胞膜上に発現している場合には通常、フコースを細胞内に取り込み、フコーストランスポーターがゴルジ膜上に発現している場合には通常、フコースをゴルジ体内に取り込む。本発明においては好ましいフコーストランスポーターはチャイニーズハムスターフコーストランスポーターであり、より好ましくは配列番号2に記載されたアミノ酸配列を有するフコーストランスポーターである。配列番号1にはチャイニーズハムスターフコーストランスポーター遺伝子の塩基配列を示す。
ゴルジ体は主にゴルジ膜上に存在するフコーストランスポーターを介して、フコースをゴルジ体内に取り込んでいることから、該フコーストランスポーターの機能を阻害することにより、ゴルジ体内へのフコースの取り込みを阻害することができ、ゴルジ体内に取り込まれるフコースの量を減少させることが可能である。
細胞のフコーストランスポーターの機能を阻害するとは、フコーストランスポーターのフコース輸送活性を低下または消滅させることをいう。
細胞のフコーストランスポーターの機能の阻害はどのような方法で行われてもよいが、フコーストランスポーターの発現を阻害する方法が好ましい。
フコーストランスポーターの発現阻害は、正常な輸送能を有するフコーストランスポーターの数が減少する限り、特に制限はされないが、フコーストランスポーターを標的としたターゲティングベクターなどを用いてフコーストランスポーターをコードする遺伝子(フコーストランスポーター遺伝子)を欠失(ノックアウト)する方法が好ましい。
通常、細胞は染色体上の両方にフコーストランスポーター遺伝子を有しているが、本発明のフコーストランスポーターの機能が阻害された細胞は、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子が欠失している。又、本発明のフコーストランスポーターの機能が阻害された細胞は、染色体上の2つのフコーストランスポーター遺伝子が欠失していれば特に限定されないが、染色体上に存在するフコーストランスポーター遺伝子の全てが欠失していることが好ましい。例えば、染色体上に3つのフコーストランスポーター遺伝子が存在する場合には、3つのフコーストランスポーター遺伝子が欠失していることが好ましい。染色体上の全てのフコーストランスポーター遺伝子が欠失しているか否かは、例えば、実施例記載のサザンブロット解析や、あるいはFISH法などを用いて調べることが可能である。
本発明の製造方法により作製されるタンパク質はどのようなタンパク質でもよいが、通常、糖タンパク質であり、好ましくは抗体である。
本発明の方法により作製する抗体の種類は特に制限されず、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、ラクダ抗体、ヒト抗体等や、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体等を適宜用いることができる。遺伝子組換え型抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO 96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.et al.,Cancer Res.1993,53,851−856.)。また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(国際特許出願公開番号WO 93/12227,WO 92/03918,WO 94/02602,WO 94/25585,WO 96/34096,WO 96/33735参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を基に適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に衆知であり、WO 92/01047,WO 92/20791,WO 93/06213,WO 93/11236,WO 93/19172,WO 95/01438,WO 95/15388を参考にすることができる。
また、抗体は抗原に結合することができれば、抗体断片等の低分子化抗体や抗体の修飾物などであってもよい。例えば、抗体断片としては、Fab、F(ab’)、Fv又はH鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988)85,5879−5883)、Diabodyなどが挙げられる。このような抗体断片を得るには、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994)152,2968−2976;Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods Enzymol.(1989)178,476−496;Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods Enzymol.(1989)178,497−515;Lamoyi,E.,Methods Enzymol.(1986)121,652−663;Rousseaux,J.et al.,Methods Enzymol.(1986)121,663−669;Bird,R.E.and Walker,B.W.,Trends Biotechnol.(1991)9,132−137参照)。Diabodyは、可変領域と可変領域をリンカー等で結合したフラグメント(例えば、scFv等)(以下、Diabodyを構成するフラグメント)を2つ結合させて二量体化させたものであり、通常、2つのVLと2つのVHを含む(P.Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,6444−6448(1993)、EP404097号、WO93/11161号、Johnson et al.,Method in Enzymology,203,88−98,(1991)、Holliger et al.,Protein Engineering,9,299−305,(1996)、Perisic et al.,Structure,2,1217−1226,(1994)、John et al.,Protein Engineering,12(7),597−604,(1999)、Holliger et al,.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,90,6444−6448,(1993)、Atwell et al.,Mol.Immunol.33,1301−1312,(1996))。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。又、抗体に放射性同位元素、化学療法剤、細菌由来トキシン等の細胞傷害性物質などを結合することも可能であり、特に放射性標識抗体は有用である。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
<本発明の方法によるタンパク質の製造方法>
組み換えポリペプチドの製造方法は、当業者に知られている公知の方法で行うことが可能である。一般的にはポリペプチドをコードするDNAを、適当な発現ベクターに組み込み、これを適当な宿主細胞に導入して得た形質転換体を回収し、抽出物を得た後、イオン交換、逆相、ゲル濾過などのクロマトグラフィー。あるいは本発明のポリペプチドに対する抗体をカラムに固定したアフィニティークロマトグラフィーにかけることにより、または、さらにこれらのカラムを複数組み合わせることにより精製し、調製することが可能である。
また、タンパク質をグルタチオンS−トランスフェラーゼタンパク質との融合ポリペプチドとして、あるいはヒスチジンを複数付加させた組み換えポリペプチドとして宿主細胞(例えば、動物細胞や大腸菌など)内で発現させた場合には、発現させた組み換えポリペプチドはグルタチオンカラムあるいはニッケルカラムを用いて精製することができる。融合ポリペプチドの精製後、必要に応じて融合ポリペプチドのうち、目的のポリペプチド以外の領域を、トロンビンまたはファクターXaなどにより切断し、除去することも可能である。
本発明の製造方法において製造されるタンパク質としては、結合したフコースにより細胞傷害活性が影響を受ける抗体が好ましい。
抗体遺伝子を適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて抗体を産生させる方法は当業者によく知られている(例えば、Carl,A.K.Borrebaeck,James,W.Larrick,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990参照)。
<本発明のタンパク質の製造方法において用いる細胞および該細胞を用いてのタンパク質の製造>
さらに、本発明は外来のタンパク質を産生し得る宿主細胞であって、染色体に存在するフコーストランスポーター遺伝子の両方の発現が人為的に抑制されている細胞を包含する。
このような、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現が人為的に抑制されている細胞を宿主細胞として外来タンパク質を発現させることにより、フコースの結合していないタンパク質を得ることができる。ここで、外来のタンパク質とはその細胞自体に由来しないタンパク質をいう。宿主細胞には特に制限はなく、例えば、組換えタンパク質を発現させた際に該タンパク質に糖が付加される細胞等を用いることができる。より具体的には種々の動物細胞などを用いることができ、好ましくはCHO細胞である。本発明においては特にフコーストランスポーター遺伝子がノックアウトされたCHO細胞を好適に使用することができる。動物細胞としては、哺乳類細胞、例えば、CHO(J.Exp.Med.(1995)108,945)、COS、3T3、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero、両生類細胞、例えばアフリカツメガエル卵母細胞(Valle,et al.,Nature(1981)291,358−340)、あるいは昆虫細胞、例えば、Sf9、Sf21、Tn5が知られている。CHO細胞としては、例えば、DHFR遺伝子を欠損したCHO細胞であるdhfr−CHO(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77,4216−4220)やCHO K−1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1968)60,1275)などを例示することができる。動物細胞において、大量発現を目的とする場合には特にCHO細胞が好ましい。
上記の外来のタンパク質を産生し得る宿主細胞であって、フコーストランスポーターの機能が阻害されている細胞に産生させようとする抗体等の外来タンパク質をコードする遺伝子を組込んだ発現ベクターを組込めば、フコースの結合していないタンパク質を得ることができる。ベクターとしては、例えば、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(インビトロゲン社製)や、pEGF−BOS(Nucleic Acids.Res.1990,18(17),p5322)、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「Bac−to−BAC baculovairus expression system」(ギブコBRL社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウィルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「Pichia Expression Kit」(インビトロゲン社製)、pNV11、SP−Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)等が挙げられるが、宿主細胞をCHO細胞とする場合には哺乳動物由来のベクターを使用することが好ましい。
CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とする場合には、通常、細胞内で発現させるために必要なプロモーター、例えばSV40プロモーター(Mulliganら,Nature(1979)277,108)、MML V−LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushimaら,Nucleic Acids Res.(1990)18,5322)、CMVプロモーターなどを持っており、細胞への形質転換を選抜するための遺伝子(例えば、薬剤(ネオマイシン、G418など)により判別できるような薬剤耐性遺伝子)を有すればさらに好ましい。このような特性を有するベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK−RSV、pBK−CMV、pOPRSV、pOP13などが挙げられる。
さらに、遺伝子を安定的に発現させ、かつ、細胞内での遺伝子のコピー数の増幅を目的とする場合には、核酸合成経路を欠損したCHO細胞にそれを相補するDHFR遺伝子を有するベクター(例えば、pCHOIなど)を導入し、メトトレキセート(MTX)により増幅させる方法が挙げられ、また、遺伝子の一過性の発現を目的とする場合には、SV40 T抗原を発現する遺伝子を染色体上に持つCOS細胞を用いてSV40の複製起点を持つベクター(pcDなど)で形質転換する方法が挙げられる。複製開始点としては、また、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス(BPV)等の由来のものを用いることもできる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
宿主細胞へのベクターの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニックリボソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、エレクトロポレーション法、リポフェクションなどの方法で行うことが可能である。
細胞の培養は、公知の方法に従い行うことができる。例えば、動物細胞の培養液として、例えば、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができる。その際、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできるし、無血清培養してもよい。培養時のpHは、約6〜8であるのが好ましい。培養は、通常、約30〜40℃で約15〜200時間行い、必要に応じて培地の交換、通気、攪拌を加える。
染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現が人為的に抑制されている細胞として、染色体に存在するフコーストランスポーター遺伝子の両方が破壊された細胞を挙げることができる。
「遺伝子の破壊」とは、遺伝子の塩基配列に部分的な欠失、置換、挿入、付加等を行い、該遺伝子の発現を抑制することをいう。ここで「遺伝子の発現を抑制」には、遺伝子自体は発現するが、正常な機能を有するタンパク質をコードする遺伝子が発現されない場合も含まれる。
又、遺伝子の発現が完全に抑制されている場合だけでなく、部分的に抑制されている場合も本発明の「遺伝子の破壊」に含まれる。「遺伝子の欠損(ノックアウト)」および「遺伝子の不活性化」も「遺伝子の破壊」と同等の意味として用いられる。さらに、ジーンターゲティングを用いた相同組換えにより遺伝子が破壊された細胞を遺伝子がノックアウトされた細胞という。フコーストランスポーターをコードする遺伝子を破壊した細胞は、フコーストランスポーターの発現が人為的に抑制されている細胞の1つである。
フコーストランスポーターをコードする遺伝子を破壊した細胞は、通常、ゴルジ体内に存在するフコースの量がフコーストランスポーター遺伝子が破壊されていない細胞に比べ有意に減少する、または、細胞内におけるフコース輸送能が低下または欠損する、または、細胞内のゴルジ体へのフコース取込み活性が低下または欠損する。
特に、相同染色体の2対のフコーストランスポーター遺伝子の両方が欠損した細胞は、片方のみのフコーストランスポーターが欠損した細胞と比較して、上記の性質がより顕著に現れる。
ゴルジ体中のフコースの量は細胞よりゴルジ体を単離し糖を抽出し、抗原抗体反応、糖とレクチンの結合反応、液体クロマトグラフィー、電気泳動等により測定することができる。また、細胞内におけるフコース輸送能および細胞内のゴルジ体へのフコース取込み活性は例えば、蛍光物質やラジオアイソトープ等で標識したフコースを用いて測定することができる。
遺伝子の破壊は、例えば、相同組換え法により行うことが可能である。
相同組換え法は、染色体上の遺伝子と外来DNAとの間で相同的遺伝子組換えによって目的の遺伝子だけを任意に改変する方法をいい、タンパク質をコードする配列を分断する目的で、その遺伝子のエクソンに別のDNA配列を挿入する。ジーンターゲティングベクターを持つ細胞を同定しやすくするため、遺伝子を分断する配列には一般にバクテリア由来のネオマイシン耐性遺伝子のような選択マーカーを用いる。本明細書に記載のフコーストランスポーター遺伝子の配列情報を基にターゲティングベクターを設計・作製し、該ターゲティングベクターを用いて破壊しようとするフコーストランスポーター遺伝子を相同組換えすればよい。例えば、置換型ベクターは、導入する変異の5’および3’側に連結された相同領域、ポジティブセレクション用のマーカー、相同領域の外側でベクターを直鎖状化するための制限酵素部位、相同領域の外側に配置されたネガティブセレクション用のマーカー、変異検出用の制限酵素切断部位等を含むことができる。ターゲティングベクターは、山村研一ら編 トランスジェニック動物 共立出版株式会社1997年3月1日、相沢慎一 ジーンターゲティング ES細胞を用いた変異マウスの作製 バイオマニュアルシリーズ8 羊土社 1995、Hogan et al.,Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Hoarbor Laboratory Press(1944)、Joyner,A.L.,Gene Targeting,A Practical Approach Series,IRL Press(1993)、松村正實ら編 実験医学別冊 新遺伝子工学ハンドブック(改定第3版)羊土社 1999 等に記載の方法に従って作製することができる。ターゲティングベクターは挿入型および置換型のどちらを用いてもよい。また、Cre−lox系を用いたターゲティングにより組換えを起こさせることもできる。Cre−lox系を用いたターゲティングは、例えば特表平11−503015号公報に記載の方法に従って行うことができる。相同組換えを起こした相同組換え体の選別方法としては、ポジティブ選択、プロモーター選択、ネガティブ選択、ポリA選択等の公知の選択方法を用いればよい。相同組換え体の同定は、PCR法でもサザンブロッティング法のいずれの方法をも用いることができる。
さらに、本発明のフコーストランスポーター遺伝子が破壊された細胞は、染色体の2対のフコーストランスポーターの両方が欠損する限り、細胞にランダムに変異を導入しても得ることができる。ランダムに変異を導入する方法として、マーカーの入った遺伝子破壊ベクターを細胞のゲノムにランダムに導入してフコーストランスポーター遺伝子が破壊された細胞をスクリーニングする方法と、ENU(N−ethyl−N−nitrosourea)等の化学変異原でランダムな変異を導入してフコーストランスポーター遺伝子が破壊された細胞をスクリーニングする方法が挙げられる。フコーストランスポーターが産生されなくなった細胞のスクリーニングは、フコーストランスポーターの活性を指標に行ってもよいし、ウエスタンブロッティングやノーザンブロッティングによりフコーストランスポーター遺伝子の転写、発現を指標にして行うこともできる。
さらに本発明のフコーストランスポーター遺伝子が破壊された細胞は、フコーストランスポーター遺伝子をノックアウトした動物から得ることができる。フコーストランスポーター遺伝子をノックアウトした動物は、ES細胞のフコーストランスポーターを前記方法で破壊し、該ES細胞から例えば、WO02/33054号公報に記載の方法で作出することができる。この際用いる動物としては、限定されないがヤギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、マウス、ハムスター、ラット等が挙げられる。フコーストランスポーター遺伝子をノックアウトした動物から株化細胞を作製することにより、フコーストランスポーター遺伝子を有しない株化細胞を得ることができる。
本発明の染色体上の2つのフコーストランスポーター遺伝子の両方が破壊された宿主細胞で外来の組換えタンパク質を産生させた場合、細胞中のフコースがゴルジ体中にトランスポートされないためタンパク質へのフコースの付加が阻害される。フコーストランスポーター遺伝子が破壊された宿主細胞で産生した組換えタンパク質は、フコーストランスポーター遺伝子が破壊されていない宿主細胞で産生した組換えタンパク質に比較して結合しているフコース量が有意に少なく、好ましくは検出できない。外来タンパク質が抗体の場合、抗体1分子の2つのH鎖のFc領域に存在する2箇所の糖鎖結合部位に結合したN−グリコシド結合糖鎖にフコースが結合していないものが得られる。このようなフコースが結合していない抗体は細胞傷害活性が増強されている。なお、本発明の細胞を用いて、抗体へのフコースの付加が阻害された抗体を製造する場合、製造される抗体全てがフコースが付加されていないことは必要ではなく、抗体組成物中のフコースが付加されているタンパク質の割合が減少していればよい。
例えば、本発明のフコーストランスポーター遺伝子が破壊されている動物細胞を用いて作製した抗体において、総糖鎖の50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が、フコースが付加されていない。
さらに、本発明は、染色体上のフコーストランスポーター遺伝子の両方が欠損した動物(ヒトを除く)も包含する。このような動物を用いることによりin vivoで組換えポリペプチドを産生することができる。
これらの動物に目的とするタンパク質をコードするDNAを導入し、動物の体内でポリペプチドを産生させ、回収する。本発明における「宿主」とは、これらの動物などを包含する。動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系がある。哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシを用いることができる(Vicki Glaser,SPECTRUM Biotechnology Applications,1993)。
例えば、目的とするDNAを、ヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生されるポリペプチドをコードする遺伝子との融合遺伝子として調製する。次いで、この融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ移植する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から、目的のポリペプチドを得ることができる。トランスジェニックヤギから産生されるポリペプチドを含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.et al.,Bio/Technology(1994)12,699−702)。
得られたポリペプチドは、宿主細胞内または細胞外(培地など)から単離し、実質的に純粋で均一なポリペプチドとして精製することができる。ポリペプチドの分離、精製は、通常のポリペプチドの精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、透析、再結晶等を適宜選択、組み合わせればポリペプチドを分離、精製することができる。
クロマトグラフィーとしては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
なお、ポリペプチドを精製前又は精製後に適当なタンパク質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり部分的にペプチドを除去することもできる。タンパク質修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、リシルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グルコシダーゼなどが用いられる。
本発明の製造方法により製造される抗体のH鎖又はL鎖をコードする遺伝子は既知の配列を用いることも可能であり、又、当業者に公知の方法で取得することも可能である。例えば、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから抗体をコードする遺伝子をクローニングして取得することも可能であるし、抗体ライブラリから取得することも可能である。ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、所望の抗原や所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることによって作製できる。得られたハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成し、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結することによりH鎖又はL鎖をコードする遺伝子を得ることができる。免疫の際の感作抗原としては特に限定されないが、例えば、目的の全長タンパク質や、部分ペプチドなどを用いることができる。抗原の調製は、当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、バキュロウイルスを用いた方法(例えば、WO98/46777など)などに準じて行うことができる。ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler,G.,and Milstein,C.,Methods Enzymol.1981,73,3−46.)等に準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。
抗体ライブラリについては既に多くの抗体ライブラリが公知になっており、又、抗体ライブラリの作製方法も公知であるので、当業者は適宜抗体ライブラリを入手することが可能である。
上述のように発現、産生された抗体は、通常のタンパク質の精製で使用されている公知の方法により精製することができる。例えば、プロテインAカラムなどのアフィニティーカラム、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。
抗体の抗原結合活性(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)の測定には公知の手段を使用することができる。例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光免疫法などを用いることができる。
本発明の細胞を用いて産生させたタンパク質の糖鎖構造の解析は、2次元糖鎖マップ法(Anal.Biochem,,171,73,(1988)、生物化学実験法23−糖タンパク質糖鎖研究法 高橋禮子編 学会出版センター(1989)等に記載の方法により行うことができる。さらに、糖鎖をMALDI−TOF−MS等の質量分析により解析することもできる。
また、本発明の細胞を用いて産生させたフコースが付加されていないタンパク質の熱安定性等の安定性はフコースが付加されたタンパク質と同等である。
抗体の細胞障害活性
本発明の方法で製造される抗体は細胞障害活性が増加した抗体である。
本発明における細胞障害活性とは、例えば抗体依存性細胞介在性細胞障害(antibody−dependent cell−mediated cytotoxicity:ADCC)活性、補体依存性細胞障害(complement−dependent cytotoxicity:CDC)活性などを挙げることができる。本発明において、CDC活性とは補体系による細胞障害活性を意味し、ADCC活性とは標的細胞の細胞表面抗原に特異的抗体が付着した際、そのFc部分にFcγ受容体保有細胞(免疫細胞等)がFcγ受容体を介して結合し、標的細胞に障害を与える活性を意味する。
抗体がADCC活性を有するか否か、又はCDC活性を有するか否かは公知の方法により測定することができる(例えば、Current protocols in Immunology,Chapter7.Immunologic studies in humans,Editor,John E,Coligan et al.,John Wiley & Sons,Inc.,(1993)等)。
具体的には、まず、エフェクター細胞、補体溶液、標的細胞の調製を行う。
(1) エフェクター細胞の調製
CBA/Nマウスなどから脾臓を摘出し、RPMI1640培地(GIBCO社製)中で脾臓細胞を分離する。10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone社製)を含む同培地で洗浄後、細胞濃度を5×10/mlに調製し、エフェクター細胞を調製する。
(2)補体溶液の調製
Baby Rabbit Complement(CEDARLANE社製)を10% FBS含有培地(GIBCO社製)にて10倍希釈し、補体溶液を調製する。
(3)標的細胞の調製
膵臓癌細胞株(AsPC−1、Capan−2等)を0.2mCiの51Cr−sodium chromate(Amersham Pharmacia Biotech社製)とともに、10% FBS含有DMEM培地中で37℃にて1時間培養することにより放射性標識する。放射性標識後、細胞を10% FBS含有RPMI1640培地にて3回洗浄し、細胞濃度を2×10/mlに調製して、標的細胞を調製する。
次いで、ADCC活性、又はCDC活性の測定を行う。ADCC活性の測定の場合は、96ウェルU底プレート(Beckton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗体を50μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、エフェクター細胞100μlを加え、炭酸ガスインキュベータ内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または10μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンター(COBRAIIAUTO−GMMA、MODEL D5005、Packard Instrument Company社製)で放射活性を測定する。細胞障害活性(%)は(A−C)/(B−C)×100により求めることができる。Aは各試料における放射活性(cpm)、Bは1%NP−40(半井社製)を加えた試料における放射活性(cpm)、Cは標的細胞のみを含む試料の放射活性(cpm)を示す。
一方、CDC活性の測定の場合は、96ウェル平底プレート(Becton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗PepT抗体を50μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、補体溶液100μlを加え、炭酸ガスインキュベータ内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または3μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンターで放射活性を測定する。細胞障害活性はADCC活性の測定と同様にして求めることができる。
例えば、本発明のフコーストランスポーター遺伝子が破壊されている動物細胞を用いで作製した抗体と同種の動物細胞であって、フコーストランスポーター遺伝子が破壊されていない動物細胞を用いて作製した抗体のADCC活性を、抗体濃度−細胞障害活性(%)曲線から50%細胞障害活性を与える抗体濃度を求めて比較した場合、フコーストランスポーター遺伝子が破壊されている動物細胞を用いて作製した抗体の50%細胞障害活性を与える抗体濃度はフコーストランスポーター遺伝子が破壊されていない動物細胞を用いて作製した抗体の50%細胞障害活性を与える抗体濃度の1/2、好ましくは1/5、さらに好ましくは1/10である。すなわち、本発明のフコーストランスポーター遺伝子が破壊されている動物細胞を用いて作製した抗体のADCC活性は、フコーストランスポーター遺伝子が破壊されていない動物細胞を用いて作製した抗体に比較して、2倍以上、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上増強される。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 CHO細胞におけるフコーストランスポーター遺伝子の破壊
1.ターゲッティングベクターの構築
(1) KO1ベクターの作製
pcDNA3.1/Hygro(インビトロジェン社)よりHyg5−BHとHyg3−NTのプライマーでPCRすることによって、Hygromycin耐性遺伝子(Hyg)の開始コドンの5’側にBamH IサイトとTGCGCの配列を付加することで、フコーストランスポーター遺伝子の開始コドンの5’側と同じ配列にし、SV40 polyA付加シグナルまでの領域を含む3’側にはNot Iサイトを付加してHygを抜き出した。
フォワードプライマー
Hyg5−BH 5’−GGA TCC TGC GCA TGA AAA AGC CTG AAC TCA CC−3’(配列番号3)
リバースプライマー
Hyg3−NT 5’−GCG GCC GCC TAT TCC TTT GCC CTC GGA CG−3’(配列番号4)
フコーストランスポーターのターゲッティングベクターver.1(以下、KO1ベクターと称する)はpMC1DT−Aベクター(Yagi T,Proc.Natl.Acad.Sci.USA vol.87,p9918−9922,1990)に、フコーストランスポーターの5’側(配列番号1に示す塩基配列のNo.2,780のSma IからNo.4,232のBamH I)、3’側(No.4,284からNo.10,934のSac Iまで)、及びHygフラグメントを各々挿入することで構築した(図1)。ベクターの特徴としては、Hygにプロモーターが付加されていないことから、相同組み換えを起こしたときにフコーストランスポーターのプロモーターによって、Hygが発現することとなる。しかしながら、相同組み換えによって1コピーのみベクターが細胞に導入されても、ハイグロマイシンBに対する耐性を獲得するほどHygが発現するとは限らない。なお、KO1ベクターはNot Iで切断して細胞に導入した。KO1ベクターによって、フコーストランスポーターは開始コドンを含むエクソン1の41塩基対を欠損することになり、機能を失うものと考えられる。
(2)pBSK−pgk−1−Hygの作製
pKJ2ベクター(Popo H,Biochemical Genetics vol.28,p299−308,1990)よりマウスpgk−1遺伝子のプロモーターをEcoR I−Pst Iによって切り出し、pBluescript(ストラタジーン社)のEcoR I−Pst IサイトにクローニングしてpBSK−pgk−1を作製した。HygはpcDNA3.1/HygroよりHyg5−AVとHyg3−BHのプライマーでPCRすることによって、Hygの5’側にEcoT22 IサイトとKozak配列を付加し、SV40 polyA付加シグナルまでの領域を含む3’側にはBamH Iサイトを付加してHygを抜き出した。
フォワードプライマー
Hyg5−AV 5’−ATG CAT GCC ACC ATG AAA AAG CCT GAA CTC ACC−3’(配列番号5)
リバースプライマー
Hyg3−BH 5’−GGA TCC CAG GCT TTA CAC TTT ATG CTT C−3’(配列番号6)
このHyg(EcoT22 I−BamH I)フラグメントをpBSK−pgk−1のPst I−BamH Iサイトに挿入し、pBSK−pgk−1−Hygを作製した。
(3)KO2ベクターの作製
フコーストランスポーターのターゲッティングベクターver.2(以下、KO2ベクターと称する)はpMC1DT−Aベクターにフコーストランスポーターの5’側(配列番号1に示す塩基配列のNo.2,780のSma IからNo.4,232のBamH I)、3’側(No.4,284からNo.10,934のSac Iまで)、及びpgk−1−Hygフラグメントを各々挿入することで構築した(図1)。KO1ベクターと異なり、KO2ベクターはHygにpgk−1遺伝子のプロモーターが付加されていることから、相同組み換えによって1コピーのみベクターが細胞に導入されても、ハイグロマイシンBに対する耐性を獲得する。なお、KO2ベクターはNot Iで切断して細胞に導入した。KO2ベクターによって、フコーストランスポーターは開始コドンを含むエクソン1の46塩基対を欠損することになり、機能を失うものと考えられる。
(4)pBSK−pgk−1−Puroの作製
pPURベクター(BD Biosciences社)をPst IとBamH Iで切断し、切り出されたフラグメント(Puro)をpBSK−pgk−1のPst I−BamH Iサイトに挿入し、pBSK−pgk−1−Puroを作製した。
(5)KO3ベクターの作製
フコーストランスポーターのターゲッティングベクターver.3(以下、KO3ベクターと称する)はpMC1DT−Aベクターにフコーストランスポーターの5’側(配列番号1に示す塩基配列のNo.2,780のSma IからNo.4,232のBamH I)、3’側(No.4,284からNo.10,934のSac Iまで)、及びpgk−1−Puroフラグメントを各々挿入することで構築した(図1)。なお、pgk−1−Puroの3’末端には、以下に示すスクリーニング用のプライマーが結合する配列を予め付加しておいた。なお、KO3ベクターはNot Iで切断して細胞に導入した。KO3ベクターによって、フコーストランスポーターは開始コドンを含むエクソン1の46塩基対を欠損することになり、機能を失うものと考えられる。
リバースプライマー
RSGR−A 5’−GCT GTC TGG AGT ACT GTG CAT CTG C−3’(配列番号7)
以上の3種類のターゲッティングベクターを用いて、フコーストランスポーター遺伝子のノックアウトを試みた。
2.CHO細胞へのベクターの導入
CHO−S−SFMII HT−(インビトロジェン社、cat 12052−098)にHT Supplement(100X)(インビトロジェン社 cat.11067−030)とペニシリンストレプトマイシン(インビトロジェン社 cat.15140−122)をCHO−S−SFMII HT−の容量に対して、それぞれ1/100量を加えた。これを培養用の培地(以下、SFMII(+)と称する)としてCHO細胞のDXB11株を継代し、さらに遺伝子導入後の培養もこのSFMII(+)で行った。8X10個のCHO細胞を0.8mLのダルベッコリン酸緩衝液(以下、PBSと略す。インビトロジェン社 cat 14190−144)に懸濁した。細胞懸濁液に30μgのターゲッティングベクターを加え、Gene Pulser Cuvette(4mm)(バイオラッド社cat.1652088)に細胞懸濁液を移した。氷上で10分間放置した後に、GENE−PULSERII(バイオラッド社code No.340BR)で1.5kV,25μFDの条件で、エレクトロポレーション法によりベクターを細胞に導入した。ベクターを導入後、細胞を200mlのSFMII(+)培地に懸濁して20枚の96穴平底プレート(イワキ社cat.1860−096)に100μl/ウェルで細胞を播きこんだ。プレートをCOインキュベータ内で、24時間、37℃で培養した後、薬剤を添加した。
3.ノックアウトの第一段階
KO1ベクター、もしくはKO2ベクターをそれぞれCHO細胞に導入し、ベクター導入から24時間後にハイグロマイシンB(インビトロジェン社 cat.10687−010)による選抜を行った。ハイグロマイシンBは0.3mg/mlになるようにSFMII(+)に溶解し、100μl/ウェル添加した。
4.PCRによる相同組み換え体のスクリーニング
(1)PCR用のサンプルの調整
相同組み換え体はPCR法によってスクリーニングした。スクリーニングで用いるCHO細胞は96穴平底プレートで培養し、培養上清除去後に細胞溶解用の緩衝液を50μl/ウェル加えて55℃、2時間加温し、続いて95℃、15分加熱することで、プロティナーゼKを失活させてPCRの鋳型とした。細胞溶解用の緩衝液は、1ウェルあたり10 X LA緩衝液II(タカラ社LA Taqに添付)5μl、10% NP−40(ロッシュ社 cat.1 332 473)2.5μl、プロティナーゼK(20mg/ml、タカラ社cat.9033)4μl、及び蒸留水(ナカライテスク社 cat.36421−35)38.5μlで構成されている。
(2)PCRの条件
PCR反応混合物は上記のPCRサンプル1μl、10 X LA緩衝液II 5μl、MgCl(25mM)5μl、dNTP(2.5mM)5μl、プライマー(各10μM)2μl、LA Taq(5 IU/μl cat.RRO02B)0.5μl、及び蒸留水29.5μl(全50μl)とした。KO1ベクターを導入した細胞のスクリーニングには、TP−F4とTHygro−R1、KO2ベクターを導入した細胞のスクリーニングには、TP−F4とTHygro−F1をPCRプライマーに用いた。
KO1ベクターを導入した細胞のPCRは、95℃にて1分間の前加熱、95℃にて30秒間、60℃にて30秒間、及び60℃にて2分間の増幅サイクル40サイクル、並びに72℃にて7分の複加熱とした。KO2ベクターを導入した細胞のスクリーニングには95℃にて1分間の前加熱、95℃にて30秒間、及び70℃にて3分間の増幅サイクル40サイクル、並びに70℃にて7分の複加熱とした。
プライマーは以下の通りで、相同組み換えを起こした細胞のサンプルでは、KO1ベクターでは、約1.6kb、KO2ベクターでは約2.0kbのDNAが増幅される。プライマーはTp−F4がベクターの外側で、かつ5’側のフコーストランスポーターのゲノム領域に設定し、THygro−F1、及びTHygro−R1はベクター内のHygrの中に設定した。
フォワードプライマー(KO1,KO2)
TP−F4 5’−GGA ATG CAG CTT CCT CAA GGG ACT CGC−3’(配列番号8)
リバースプライマー(KO1)
THygro−R1 5’−TGC ATC AGG TCG GAG ACG CTG TCG AAC−3’(配列番号9)
リバースプライマー(KO2)
THygro−F1 5’−GCA CTC GTC CGA GGG CAA AGG AAT AGC−3’(配列番号10)
5.PCRスクリーニング結果
KO1ベクターを導入した細胞は918個を解析し、そのうち相同組み換え体と考えられる細胞は1個であった(相同組み換え効率は約0.1%)。また、KO2ベクターを導入した細胞は537個を解析し、そのうち相同組み換え体と考えられる細胞は17個であった(相同組み換え効率は約3.2%)。
6.サザンブロット解析
さらに、サザンブロット法によっても確認を行った。培養した細胞から定法に従ってゲノムDNAを10μg調整し、サザンブロットを行った。配列番号1に示す塩基配列のNo.2,113−No.2,500の領域から、以下の二種類のプライマーを用いてPCR法により387bpのプローブを調整し、これをサザンブロット法による確認に用いた。ゲノムDNAはBgl IIで切断した。
フォワードプライマー
Bgl−F:5’−TGT GCT GGG AAT TGA ACC CAG GAC −3’(配列番号11)
リバースプライマー
Bgl−R:5’−CTA CTT GTC TGT GCT TTC TTC C −3’(配列番号12)
Bgl IIによる切断によって、フコーストランスポーターの染色体からは約3.0kb、KO1ベクターで相同組み換えを起こした染色体からは約4.6kb、KO2ベクターで相同組み換えを起こした染色体からは約5.0kbのバンドがそれぞれ出現する。図2は第一段階のノックアウト後、Bgl IIによる切断で、出現するバンドの構造を示す図であり、図3は実際にサザンプロットを行ったときのデータを示したものである。KO1ベクター、及びKO2ベクターによって相同組み換えを起こした細胞のそれぞれ1、7種類を実験に用いた。KO1ベクターで唯一獲得された細胞は5C1と名付けたが、その後の解析により複数の細胞集団から構成されることが明らかになったので、限界希釈によってクローン化し、その後の実験に用いることにした。また、KO2ベクターで獲得された細胞の一つを6E2と名付けた。
7.ノックアウトの第二段階
KO1ベクター、及びKO2ベクターによって相同組み換えが成功した細胞に対し、3種類のベクターを用いて、フコーストランスポーター遺伝子が完全に欠損した細胞株の樹立を試みた。ベクターと細胞の組み合わせは、以下の通りである。方法1.KO2ベクターと5C1細胞(KO1)、方法2.KO2ベクターと6E2細胞(KO2)、方法3.KO3ベクターと6E2細胞(KO2)。ベクターをそれぞれの細胞に導入し、ベクター導入から24時間後にハイグロマイシンB、ピューロマイシン(ナカライテスク社、cat.29455−12)による選抜を開始した。ハイグロマイシンBは方法1では最終濃度が1mg/ml、方法2では最終濃度が7mg/mlになるようにした。さらに方法3では、ハイグロマイシンBの最終濃度が0.15mg/ml、ピューロマイシンの最終濃度が8μg/mlになるように添加した。
8.PCRによる相同組み換え体のスクリーニング
サンプルの調整は前述の通り。方法1に関するスクリーニングは、前述のKO1ベクター、及びKO2ベクターで相同組み換えを起こした細胞を検出するPCRを両方行った。方法2に関しては、下記のPCRプライマーを設計した。配列番号1に示す塩基配列のNo.3,924−3,950の領域にTPS−F1を、No.4,248−4,274にSHygro−R1を設定した。このPCRプライマーによって、KO2ベクターにより欠損するフコーストランスポーターの遺伝子領域の350bpが増幅される。従って、方法2におけるPCRスクリーニングにおいては、350bpが増幅されないものを、フコーストランスポーター遺伝子が完全に欠損した細胞とみなすことにした。PCRの条件は、95℃にて1分間の前加熱、95℃にて30秒間、70℃にて1分間の増幅サイクル35サイクル、並びに70℃にて7分の複加熱とした。
フォワードプライマー
TPS−F1:5’−CTC GAC TCG TCC CTA TTA GGC AAC AGC−3’(配列番号13)
リバースプライマー
SHygro−R1:5’−TCA GAG GCA GTG GAG CCT CCA GTC AGC−3’(配列番号14)
方法3に関しては、フォワードプライマーにTP−F4、リバースプライマーにRSGR−Aを用いた。PCRの条件は、95℃にて1分間の前加熱、95℃にて30秒間、60℃にて30秒間、72℃にて2分間の増幅サイクル35サイクル、並びに72℃にて7分の複加熱とした。KO3ベクターによって相同組み換えを起こした細胞のサンプルでは、約1.6kbのDNAが増幅される。このPCRでKO3ベクターによって相同組み換えを起こした細胞を検出するとともに、KO2ベクターでの相同組み換えが残っていることも確認した。
9.PCRスクリーニング結果
方法1では616個を解析し、そのうち相同組み換え体と考えられる細胞は18個であった(相同組み換え効率は2.9%)(図4)。方法2では524個を解析し、そのうち相同組み換え体と考えられる細胞は2個であった(相同組み換え効率は約0.4%)。さらに、方法3では382個を解析し、そのうち相同組み換え体と考えられる細胞は7個であった(相同組み換え効率は約1.8%)。
10.サザンブロット解析
前述の方法に準じて解析を行った。その結果、解析できた細胞のうち、フコーストランスポーターの遺伝子が完全に欠損している細胞を1つ見出した。第一段階のノックアウトでは、PCRとサザンブロットの解析結果が一致したが、この第二段階のノックアウトでは、一致しなかった。この原因としては、1.例えば、方法1でKO1、KO2のそれぞれ単独で相同組み換えを起こした細胞が混在している、2.フコーストランスポーター遺伝子が一対(2遺伝子)ではなく複数対(あるいは3遺伝子以上)存在する、3.第一段階のノックアウトが成功した細胞株を培養していると、継代中に残ったフコーストランスポーター遺伝子がコピー数を増やすことなどの可能性が考えられた。
11.フコースの発現解析
さらに、PCRで相同組み換え体と判断された26の細胞におけるフコースの発現を解析した。5μg/mLのLens culinaris Agglutinin,FITC Conjugate(ベクターラボラトリー社cat.FL−1041)、2.5%のFBS、0.02%のアジ化ナトリウムを含むPBS(以下、FACS溶解液と称する)100μlで1×10個の細胞を氷冷中で1時間染色した。その後、FACS溶解液で細胞を3回洗浄してFACSCalibur(ベクトンディッキンソン社)で測定を行った。その結果、サザンブロット解析でフコーストランスポーターの遺伝子が完全に欠損していると判断された細胞のみ、フコースの発現が低下していることが明らかになった。図5から7は得られたクローンのサザンブロット解析(図5)と、フコースの発現を示した図である。図6は、wild/KOの結果を示し、図7は、KO/KOの結果を示す。
以上の結果より以下のことが判明した。
フコーストランスポーターの遺伝子が完全に欠失している細胞は1株しかなく、スクリーニングした数が616個であったことを考えると、相同組み換えの頻度は約0.16%と低い結果になった。第二段階のノックアウトで、PCRとサザンブロットの解析結果が一致しなかった理由は、前述のようにいくつか考えられるが、方法3においては、2種類の薬剤で選抜しているため、得られた細胞株がKO2ベクター、KO3ベクターのそれぞれ単独で相同組み換えを起こした細胞が混在しているとは考えられない。また、その他のPCRで相同組み換えを起こしたと判断された細胞株もすべて、複数の細胞集団から構成されているとは考えにくい。前述のようにフコーストランスポーター遺伝子が3以上存在した場合には、細胞におけるターゲッティングは格段に難しくなり、KO1ベクターのようなHygが発現しにくいもの使用し、なおかつ数多くのスクリーニングを行わないと相同組み換え体が得られないものと考えられた。
実施例2 抗体発現ベクターの調製
ヒト化抗HM1.24抗体発現ベクター、AHM(I)/N5KG1(WO2005/014651)はSsp Iにて、また、ヒト化抗GPC3抗体のH鎖がバージョンKであって、L鎖のAsn33をArgに置換した改変抗体遺伝子(後記の参考実施例1〜参考実施例3)を発現するベクターであるpCXND3/hGC33/K/ArgはPvu Iにて切断し実験に用いた。
実施例3 抗体産生細胞の樹立
SFMII(+)培地にハイグロマイシンBの最終濃度が1mg/mlになるように調製し、実施例1で得られたフコーストランスポーター欠損株(FT−KO細胞、クローン名3F2)を継代した。8X10個の3F2を0.8mLのダルベッコリン酸緩衝液に懸濁した。細胞懸濁液に25μgの各抗体発現ベクターを加え、Gene Pulser Cuvetteに細胞懸濁液を移した。氷上で10分間放置した後に、GENE−PULSER IIで1.5kV,25μFDの条件で、エレクトロポレーション法によりベクターを細胞に導入した。ベクターを導入後、細胞をSFMII(+)培地40mLに懸濁して96穴平底プレート(イワキ社)に100μl/ウェルで細胞を播きこんだ。プレートをCOインキュベータ内で、24時間、37℃で培養した後、Geneticin(インビトロジェン社、cat.10131−027)を終濃度0.5mg/mLになるように添加した。薬剤に耐性になった細胞の抗体産生量を測定し、ヒト化抗HM1.24抗体産生細胞株、ヒト化抗GPC3抗体産生細胞株をそれぞれ樹立した。
実施例4 抗体の精製
抗体発現株より培養上清を回収し、P−1ポンプ(Pharmacia)を用いてHitraprProtein A(Pharmacia CAT# 17−5080−01)にチャージした。結合バッファ(20mM Sodium phosphate(pH7.0))にて洗浄後、溶出バッファ(0.1M Glycin−HCl(pH2.7))で溶出した。溶出液は直ちに中和バッファ(1M Tris−HCl(pH9.0))で中和した。DC protein assay(BIO−RAD CAT# 500−0111)により抗体の溶出画分を選択しプールした後、Centriprep−YM10(Millipore CAT# 4304)にて2mL程度まで濃縮した。次に、20mM酢酸バッファ,150mM Nacl,(pH6.0)にて平衡化したSuperdex20026/60(Pharmacia)を用いてゲルろ過により分離した。モノマー画分のピークを回収し、Centriprep−YM10にて濃縮後、MILLEX−GW 0.22μm Filter Unit(Millipore CAT# SLGV 013SL)を用いてFiltrationした後、4℃で保管した。精製された抗体の濃度は、280nmの吸光度を測定し、モル吸光計数から換算した。
実施例5 FT−KO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体のin vitro ADCC活性
1.ヒトPBMC溶液の調製
健常人よりヘパリン加採血した末梢血を、PBS(−)で2倍に希釈し、Ficoll−PaqueTM PLUS(Amersham社)に重層した。これを遠心(500×g、30分間、20℃)した後、単核球画分である中間層を分取した。3回洗浄後、10% FBS/RPMIに懸濁し、ヒトPBMC溶液とした。
2.標的細胞の調製
10%FBS/RPMI1640培地で培養したARH−77細胞(ATCC)を、ピペッティングでディッシュから剥離し、チューブ内で遠心後100μLの培地に懸濁させた。そこに5.55MBqのCr−51を加え、5%炭酸ガスインキュベータ中37℃、1時間培養し、この細胞を培地で2回洗浄し、10%FBS/RPMI1640培地を加え、96ウェルU字底プレート(Falcon)の各ウェルに1×10細胞/ウェルで分注し、標的細胞とした。
3.クロム遊離試験(ADCC活性)
標的細胞に各濃度に調製した抗体溶液50μLを添加し、室温で15分反応させた後に、ヒトPBMC溶液100μL(5×10細胞/ウェル)を加え、5%炭酸ガスインキュベータ中37℃、4時間培養し、培養後、プレートを遠心分離し、培養上清100μL中の放射活性をガンマカウンターで測定した。下式により特異的クロム遊離率を求めた。
特異的クロム遊離率(%)=(A−C)×100/(B−C)
Aは各ウェルにおける放射活性(cpm)の平均値、Bは標的細胞に2% NP−40水溶液(Nonidet P−40、Code No.252−23、ナカライテスク株式会社)を100μL、10%FBS/RPMI培地を50μL添加したウェルにおける放射活性(cpm)の平均値、Cは標的細胞に10%FBS/RPMI培地を150μL添加したウェルにおける放射活性(cpm)の平均値を示す。試験は三重に行い、ADCC活性(%)について平均値および標準偏差を算出した。
抗HM1.24抗体のヒトPBMCを用いたADCC活性を図8に示す。白抜きはWild TypeのCHO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体の活性を、黒塗りはFT−KO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体の活性をそれぞれ示す。FT−KO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体は、Wild TypeのCHO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体に比較して強いADCC活性を示したことより、FT−KO細胞で産生させた抗体のADCC活性が増強されることが明らかとなった。
実施例6 FT−KO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体のin vitro ADCC活性
1.ヒトPBMC溶液の調製
健常人よりヘパリン加採血した末梢血を、PBS(−)で2倍に希釈し、Ficoll−PaqueTM PLUS(Amersham社)に重層した。これを遠心(500×g、30分間、20℃)した後、単核球画分である中間層を分取した。3回洗浄後、10% FBS/RPMIに懸濁し、ヒトPBMC溶液とした。
2.標的細胞の調製
10%FBS/D−MEM培地で培養したHuH−7細胞(ヒューマンサイエンス研究資源バンク)を、Cell Dissociation Buffer(Invitrogen社)を用いてディッシュから剥離し、96ウェルU字底プレート(Falcon)の各ウェルに1×10細胞/ウェルで分注し、1日間培養した。培養後、5.55MBqのCr−51を加え、5%炭酸ガスインキュベータ中37℃、1時間培養し、この細胞を培地で1回洗浄し、50μLの10%FBS/D−MEM培地を加え標的細胞とした。
3.クロム遊離試験(ADCC活性)
ヒトPBMC溶液の調製、クロム遊離試験は実施例1に記載の方法に従って行った。ヒト化抗GPC3抗体のヒトPBMCを用いたADCC活性を図9に示す。白抜きはWild TypeのCHO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体の活性を、黒塗りはFT−KO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体の活性をそれぞれ示す。FT−KO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体は、Wild TypeのCHO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体に比較して強いADCC活性を示したことより、FT−KO細胞で産生させた抗体のADCC活性が増強されることが明らかとなった。
実施例7 FT−KO細胞産生ヒト化抗HM1.24抗体糖鎖の解析
1. 2−アミノベンズアミド標識糖鎖(2−AB化糖鎖)の調製
本発明のFT−KO細胞産生抗体、及び対照試料としてCHO細胞産生抗体に、N−Glycosidase F(Roche diagnostics)を作用させ、糖鎖をタンパク質から遊離させた(Weitzhandler M.et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences 83:12(1994),1670−1675)。エタノールを用いた除タンパク質後(Schenk B.et al.,The Journal of Clinical Investigation 108:11(2001),1687−1695)、濃縮乾固し、2−アミノピリジンによる蛍光標識を行った(Bigge J.C.et al.,Analytical Biochemistry 230:2(1995),229−238)。得られた2−AB化糖鎖を、セルロースカートリッジを用いた固相抽出により脱試薬した後遠心濃縮し、精製2−AB化糖鎖とした。
2. 精製2−AB化糖鎖の順相HPLCによる分析
前項の方法で、本発明のFT−KO細胞産生抗体、及び対照試料としてCHO細胞産生抗体について2−AB化糖鎖の調製を行った後、アミドカラム(東ソー製 TSKgel Amide−80)による順相HPLC分析を行い、クロマトグラムを比較した。CHO細胞産生抗体ではG(0)−Fucはわずかにしか含まれておらず、アガラクトシル糖鎖(G(0)+G(0)−Fuc)に占めるG(0)−Fucの割合は、1.5%程度であった。一方、FT−KO細胞産生抗体ではG(0)−Fucが90%以上含まれていた(図10および表1)。
Figure 2006067913
実施例8 FT−KO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体糖鎖の解析
1. 2−アミノベンズアミド標識糖鎖(2−AB化糖鎖)の調製
本発明のFT−KO細胞産生抗体、及び対照試料としてCHO細胞産生抗体に、N−Glycosidase F(Roche diagnostics)を作用させ、糖鎖をタンパク質から遊離させた(Weitzhandler M.et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences 83:12(1994),1670−1675)。エタノールを用いた除タンパク質後(Schenk B.et al.,The Journal of Clinical Investigation 108:11(2001),1687−1695)、濃縮乾固し、2−アミノピリジンによる蛍光標識を行った(Bigge J.C.et al.,Analytical Biochemistry 230:2(1995),229−238)。得られた2−AB化糖鎖を、セルロースカートリッジを用いた固相抽出により脱試薬した後遠心濃縮し、精製2−AB化糖鎖とした。次に、β−Galactosidase(生化学工業)を精製2−AB化糖鎖に作用させ、アガラクトシル2−AB化糖鎖とした。
2. アガラクトシル2−AB化糖鎖の順相HPLCによる分析
前項の方法で、本発明のFT−KO細胞産生抗体、及び対照試料としてCHO細胞産生抗体についてアガラクトシル2−AB化糖鎖の調製を行った後、アミドカラム(東ソー製 TSKgel Amide−80)による順相HPLC分析を行い、クロマトグラムを比較した。CHO細胞産生抗体ではG(0)が主成分として存在しており、フコースの付加されていないG(0)−Fucはピーク面積比として4%程度であった。一方,FT−KO細胞産生抗体ではG(0)−Fucが主成分であり、いずれの産生株においてもピーク面積比として90%以上存在していた(図11および表2)。図12には、ピークG(0)およびG(0)−Fucの推定構造を示す。
Figure 2006067913
実施例9 FT−KO細胞産生ヒト化抗GPC3抗体の熱安定性分析
1. DSC測定用試料溶液の調製
200mmol/Lの塩化ナトリウムを含む20mol/Lの酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH6.0)を透析外液とし、これに700μg相当量の抗体溶液を封入した透析膜を浸して一昼夜透析し,試料溶液とした。
2. DSCによる熱変性温度測定
試料溶液およびリファレンス溶液(透析外液)を十分に脱気した後、これらをそれぞれ熱量計セルに封入し20℃での熱平衡化を十分に行った。次にDSC走査を20℃〜100℃で約1K/分走査速度で行った。結果は、温度の関数としての変性ピークの頂点として表される(図13)。本測定より、CHO細胞産生抗体およびFT−KO細胞産生抗体における熱変性温度は同等であった。
参考実施例1 抗GPC3抗体の作製
1.ヒトグリピカン3(GPC3)のcDNAクローニング
ヒトGPC3をコードする全長cDNAは、大腸癌細胞株Caco2より常法により調製した1st strand cDNAを鋳型とし、Advantage2 kit(CLONTECH社)を用いたPCR反応により増幅した。すなわち、2μlのCaco2由来cDNA、1μlのセンスプライマー(GATATC−ATGGCCGGGACCGTGCGCACCGCGT:配列番号15)、1μlのアンチセンスプライマー(GCTAGC−TCAGTGCACCAGGAAGAAGAAGCAC:配列番号16)、5μlのAdvantage2 10xPCR buffer、8μlのdNTP mix(1.25mM)、1.0μlのAdvantage polymerase Mixを含む50μlの反応液を、94℃で1分、63℃で30秒、68℃で3分からなるサイクルを35回行った。PCR反応による増幅産物はpGEM−T Easy Vector System I(Promega社)を用いてTAベクターpGEM−T easyに挿入した。ABI3100 DNAシーケンサーを用い配列の確認を行った結果、ヒトGPC3の全長をコードするcDNAを単離した。配列番号17で表される配列はヒトGPC3遺伝子の塩基配列を、配列番号18で表される配列はヒトGPC3タンパク質のアミノ酸配列を示す。
2.可溶型GPC3の作製
抗GPC3抗体作製のための免疫タンパク質として、C末端側の疎水性領域(564−580アミノ酸)を欠損させた可溶型GPC3タンパク質を作製した。
完全長ヒトGPC3 cDNAを鋳型としてアンチセンスプライマー(ATA GAA TTC CACCAT GGC CGG GAC CGT GCG C:配列番号19)とEcoRI認識配列、Kozak配列を加えたセンスプライマー(ATA GGA TCC CTT CAG CGG GGA ATG AAC GTT C:配列番号20)を用いてPCRを行った。得られたPCR断片(1711bp)をpCXND2−Flagにクローニングした。pCXND2−Flagは、pCXN2(Niwaら、Gene 1991;108;193−199)のHindIII部位にpCHOI(Hirataら、FEBS letter 1994;356;244−248)のDHFR遺伝子発現部位を挿入し、また、マルチクローニングサイトの下流にFlagタグ配列を付加し、Flagタグ付加タンパクとして発現されるよう設計した。作製された発現プラスミドDNAをCHO細胞DXB11株へ導入し、500μg/mL Geneticinでの選抜により、可溶型GPC3高発現CHO株を得た。1700cmローラーボトルを用い可溶型GPC3高発現CHO株の大量培養を行い、培養上清を回収し精製を行った。培養上清をDEAE sepharose Fast Flow(Amersham社)にチャージし、洗浄後、500mM NaClを含むバッファにより溶出した。次に、Anti−Flag M2 agarose affinity gel(SIGMA社)を用いてアフィニティー精製を行った。溶出は200μg/mLのFLAGペプチドにより行った。Centriprep−10(Millipore社)による濃縮後、Superdex 200 HR10/30(Amersham社)によるゲルろ過を行いFLAGペプチドを除去した。最後にDEAE sepharose Fast Flowカラムを用いて濃縮し、同時にTween20を含まないPBS(500mMのNaClを含む)で溶出を行うことによりバッファ置換を行った。
3.可溶型GPC3 コアタンパク質の作製
GPC3はヘパラン硫酸による修飾を受け巨大分子となる。抗GPC3抗体のスクリーニングにおいてヘパラン硫酸に対する抗体を排除する為、ヘパラン硫酸付加部位に点変異を導入した可溶型GPC3コアタンパク質を作製し、スクリーニングに用いた。
上記可溶型GPC3(1−563)を鋳型とし、アッセンブリーPCR法によって495番目と509番目のSerをAlaに置換させたcDNAを作製した。この際、C末端にHisタグが付加されるようにプライマーを設計し、得られたcDNAをpCXND3ベクターにクローニングした。pCXND3は、pCXN2のHindIII部位にpCHOIのDHFR遺伝子発現部位を挿入して作製した。作製された発現プラスミドDNAをDXB11株へ導入し、500μg/mL Geneticinでの選抜により、可溶型GPC3コアタンパク質高発現CHO株を得た。
1700cmローラーボトルを用い大量培養を行い、培養上清を回収し精製を行った。培養上清をQ sepharose Fast Flow(Amersham社)にチャージし、洗浄後、500mMNaClを含むリン酸バッファにより溶出した。次に、Chelating sepharose Fast Flow(Amersham社)を用いてアフィニティー精製を行った。10〜150mMのイミダゾールでグラジエント溶出を行った。最後にQ sepharose Fast Flowを用いて濃縮し、500mM NaClを含むリン酸バッファにより溶出した。
還元条件下にてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果、70kDa、40kDa、30kDaの3つのバンドが得られた。ABI492 protein sequencer(Applied Biosystems社)を用いてアミノ酸シークエンスを行った結果、30kDaのバンドはGPC3の359番目以降、もしくは375番目以降のアミノ酸配列と一致し、GPC3はArg358とSer359の間、若しくはLys374とVal375の間で切断を受け、40kDaのN末端断片と30kDaのC末端側断片に分割していることが判明した。
4.全長ヒトGPC3発現CHO細胞の作製
フローサイトメトリを用いた結合活性評価用の細胞株を得るために、全長GPC3を発現するCHO細胞の樹立を行った。
10μgの全長ヒトGPC3遺伝子発現ベクターと60μLのSuperFect(QIAGEN社)を混合し、複合体を形成させた後に、CHO細胞DXB11株に添加することにより、遺伝子導入を行った。COインキュベータで24時間培養後、終濃度0.5mg/mLのGeneticinおよび10% FBSを含むαMEM(GIBCO BRL社)を用いて、選抜を開始した。得られたGeneticin耐性コロニーを集め、限界希釈法により細胞のクローニングを行った。それぞれの細胞クローンを可溶化し、抗GPC3抗体を用いたウエスタンブロットにより全長ヒトGPC3の発現を確認し、安定発現細胞株を取得した。
5.ELISAによる結合活性の評価
可溶型GPC3コアタンパク質を1μg/mLとなるようにコーティングバッファ(0.1mol/L NaHCO(pH9.6),0.02%(w/v)NaN)で希釈したものをイムノプレートに加え、4℃にて一晩放置しコーティングした。希釈バッファ(50mmol/L Tris−HCl(pH8.1),1mmol/L MgCl,150mmol/L NaCl,0.05%(v/v)Tween 20,0.02%(w/v)NaN,1%(w/v)BSA)にてブロッキング処理を行った後、抗GPC3抗体を加え、室温で1時間放置した。リンスバッファ(0.05%(v/v)Tween 20,PBS)にて洗浄後、アルカリホスファターゼ標識した抗マウスIgG抗体(ZYMED社)を加え、室温で1時間放置した。リンスバッファにて洗浄後、SIGMA104(SIGMA社)を1mg/mLとなるように基質バッファ(50mmol/L NaHCO(pH9.8),10mmol/L MgCl)に希釈したものを添加し、室温で1時間発色させた後、Benchmark Plus(BIO−RAD)を用いて吸光度(405nm,参照波長655nm)を測定した。
6.可溶型GPC3の免疫およびハイブリドーマの選抜
ヒトGPC3とマウスGPC3のホモロジーはアミノ酸レベルで94%の高い相同性を示すため、通常のマウスに免疫しても抗GPC3抗体を得難い可能性を考え、自己免疫疾患マウスであるMRL/MpJUmmCrj−lpr/lprマウス(以下、MRL/lprマウス、日本チャールズ・リバーより購入)を免疫動物として用いた。7週齢、もしくは8週齢より免疫を開始し、初回免疫には可溶型GPC3を100μg/headとなるように調製し、フロイント完全アジュバント(FCA、ベクトンディッキンソン社)を用いてエマルジョン化したものを皮下に投与した。2週間後に50μg/headとなるように調製したものをフロイント不完全アジュバント(FIA、ベクトンディッキンソン社)でエマルジョン化したものを皮下に投与した。以降1週間間隔で追加免疫を合計5回行った。その内2匹に対し、最終免疫として50μg/headとなるようにPBSに希釈し尾静脈内に投与した。最終免疫の4日後、脾臓細胞を摘出し、マウスミエローマ細胞P3−X63Ag8U1(P3U1、ATCCより購入)と2:1になるように混合し、PEG1500(ロシュ・ダイアグノスティック社)を徐々に加える事により細胞融合を行った。慎重にRPMI1640培地(GIBCO BRL社)を加えPEG1500を希釈し、遠心操作によりPEG1500を除去した後、10%FBS入りRPMI1640にて懸濁したものを100μL/ウエルとなるように96穴培養プレートに播種した。翌日、100μL/ウエルとなるように10%FBS、1 x HAT media supplement(SIGMA社)、0.5 x BM−Condimed H1 Hybridoma cloning supplement(ロシュ・ダイアグノスティック社)を含むRPMI1640(以降、HAT培地)を添加した。2、3、5日後に培養液の半分をHAT培地に置き換え、7日後の培養上清を用いてスクリーニングを行った。スクリーニングは可溶型GPC3コアタンパク質を固相化したイムノプレートを用いたELISAにより行った。陽性クローンについては限界希釈法によりモノクローン化した。その結果、GPC3に対して強い結合活性を有する抗体を11クローン(M3C11、M13B3、M1E7、M3B8、M11F1、L9G11、M19B11、M6B1、M18D4、M5B9、M10D2)取得した。
7.抗GPC3抗体可変領域のクローニング
抗GPC3抗体産生ハイブリドーマより抽出したTotal RNAを用いて、RT−PCR法によって増幅した。Total RNAは、RNeasy Plant Mini Kits(QIAGEN社)を用いて1×10細胞のハイブリドーマより抽出した。1μgのTotal RNAを使用して、SMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)、以下の合成オリゴヌクレオチド:
マウスIgG1定常領域配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドMHC−IgG1
GGG CCA GTG GAT AGACAG ATG(配列番号21)
マウスIgG2a定常領域配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドMHC−IgG2a
CAG GGG CCA GTG GAT AGA CCG ATG(配列番号22)
マウスIgG2b定常領域配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドMHC−IgG2b
CAG GGG CCA GTG GAT AGA CTG ATG(配列番号23)
またはマウスκ鎖定常領域塩基配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドkappa
GCT CAC TGG ATG GTG GGA AGA TG(配列番号24)
を用い、5’末端側遺伝子断片を増幅した。
逆転写反応は42℃で1時間30分間反応した。PCR溶液50μLは、5μLの10×Advantage 2 PCR Buffer、5μLの10×Universal Primer A Mix、0.2mM dNTPs(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)、1μLのAdvantage 2 Polymerase Mix(以上、CLONTECH社製)、2.5μLの逆転写反応産物、10pmoleの合成オリゴヌクレオチドMHC−IgG1、MHC−IgG2a、MHC−IgG2bまたはkappaを含有し、94℃の初期温度にて30秒間そして94℃にて5秒間、72℃にて3分間のサイクルを5回反復し、94℃にて5秒間、70℃にて10秒間、72℃にて3分間のサイクルを5回反復し、さらに94℃にて5秒間、68℃にて10秒間、72℃にて3分間のサイクルを25回反復した。最後に反応産物を72℃で7分間加熱した。各PCR産物はQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、アガロースゲルから精製した後、pGEM−T Easyベクター(Promega社製)へクローニングし、塩基配列を決定した。
M3C11、M13B3、M1E7、M3B8、M11F1、M19B11、M6B1、M18D4、M5B9、M10D2、L9G11のH鎖可変領域の塩基配列をそれぞれ配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35に、アミノ酸配列をそれぞれ配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46に、L鎖可変領域の塩基配列を配列番号47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57に、アミノ酸配列をそれぞれ配列番号58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68に示す。
8.抗GPC3抗体マウス−ヒトキメラ抗体の作製
抗GPC3抗体のH鎖およびL鎖可変領域配列をヒトIgG1およびκ鎖定常領域配列に連結した。各抗体のH鎖可変領域の5’末端側塩基配列に相補的でコザック配列を有する合成オリゴヌクレオチドおよびNheI部位を有する3’末端側塩基配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いてPCRを行い、得られたPCR産物をヒトIgG1定常領域がpBluescript KS+ベクター(東洋紡社)に挿入されているpB−CHベクターにクローニングした。NheI部位により、マウスH鎖可変領域とヒトH鎖(γ1鎖)定常領域が連結している。作製されたH鎖遺伝子断片を発現ベクターpCXND3にクローニングした。また、各抗体のL鎖可変領域の5’末端側塩基配列に相補的でコザック配列を有する合成オリゴヌクレオチドおよびBsiWI部位を有する3’末端側塩基配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いてPCRを行い、得られたPCR産物をヒトkappa鎖定常領域がpBluescript KS+ベクター(東洋紡社)に挿入されているpB−CLベクターにクローニングした。BsiWI部位により、ヒトL鎖可変領域と定常領域が連結している。作製されたL鎖遺伝子断片を発現ベクターpUCAGクローニングした。本ベクターpUCAGは、pCXN(Niwaら、Gene 1991;108:193−200)を制限酵素BamHIで消化して得られる2.6kbpの断片をpUC19ベクター(東洋紡社)の制限酵素BamHI部位に連結し、クローニングしたベクターである。
抗GPC3マウス−ヒトキメラ抗体発現ベクターを作製するために、L鎖遺伝子断片が挿入されたpUCAGベクターを制限酵素HindIII(宝酒造社)で消化して得られる遺伝子断片をH鎖遺伝子が挿入されたpCXND3の制限酵素HindIII切断部位に連結し、クローニングした。本プラスミドは動物細胞内でネオマイシン耐性遺伝子、DHFR遺伝子、抗GPC3マウス−ヒトキメラ抗体遺伝子を発現する。
CHO細胞(DG44株)を用いた安定発現細胞株の作製は次のようにして行った。Gene PulserII(Bio Rad社製)を用いたエレクトロポレーション法により遺伝子導入した。25μgの各抗GPC3マウス−ヒトキメラ抗体発現ベクターとPBSに懸濁したCHO細胞(1×10細胞/ml)の0.75mlを混合したものを氷上で10分間冷却し、キュベットに移した後に1.5kV、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、HTsupplement(Invitrogen社)を1倍濃度で含むCHO−S−SFMII培地(Invitrogen社)40mLに懸濁した。同様の培地で50倍希釈溶液を作製し、96ウェル培養用プレートに100μl/ウェルで分注した。COインキュベータ(5%CO)で24時間培養後、Geneticin(Invitrogen社)を0.5mg/mLになるように添加して2週間培養した。Geneticin耐性を示す形質転換細胞のコロニーが観察されたウェルの培養上清中のIgG量について以下に示す濃度定量法で測定した。高産生細胞株を順次拡大培養し、抗GPC3マウス−ヒトキメラ抗体安定発現細胞株を取得し、大量培養を行い、培養上清を得た。各抗GPC3マウス−ヒトキメラ抗体の精製は、Hi Trap ProteinG HP(Amersham社)を用いて行った。
9.GC−3の免疫およびハイブリドーマの選抜
得られた抗GPC3抗体のうち、M11F1、M3B8のみが強いCDC活性を示したことから、CDC活性にはエピトープ依存性があることが判明した。ADCC活性、CDC活性を併せもつ抗体の取得を目的とし、M11F1、M3B8のエピトープを含むGST融合タンパク質であるGC−3の免疫を行った。GC−3は上記方法により大量に精製し、Superdex75(Amersham社)を用いてゲルろ過を行い、バッファをPBSに置換したものを免疫蛋白として使用した。Balb/c(日本チャールズリバーより購入)3匹、MRL/lpr3匹に対し、上記方法に従いGC−3の免疫を行った。初回免疫にはGC−3を100μg/headとなるように調製し、FCAを用いてエマルジョン化したものを皮下に投与した。2週間後に50μg/headとなるように調製したものをFIAでエマルジョン化したものを皮下に投与した。5回免疫の後、全マウスに対し最終免疫(50μg/head)を尾静脈内に行い細胞融合を行った。スクリーニングは可溶型GPC3コアタンパク質を固相化したイムノプレートを用いたELISAにより行った。陽性クローンについては限界希釈法によりモノクローン化した。その結果、GPC3に対して強い結合活性を有する抗体を5クローン(GC199、GC202、GC33、GC179、GC194)取得した。
GC199、GC202、GC33、GC179、GC194について上記方法に従いH鎖、L鎖の可変領域をクローニングし、配列を決定した。GC194のL鎖については2種類の配列がクローニングされた。GC199、GC202、GC33、GC179、GC194のH鎖可変領域の塩基配列をそれぞれ配列番号69、70、71、72、73に、アミノ酸配列をそれぞれ配列番号74、75、76、77、78に示す。GC199、GC202、GC33、GC179、GC194(1)、GC194(2)のL鎖可変領域の塩基配列をそれぞれ配列番号79、80、81、82、83、84に、アミノ酸配列をそれぞれ配列番号85、86、87、88、89、90に示す。
参考実施例2 GC33のヒト化
公開されているKabat Database(ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/kabat/)、およびImMunoGeneTics Database(IMGT)より抗体の配列データを入手し、H鎖可変領域、L鎖可変領域に分けてホモロジー検索を行った。その結果、H鎖可変領域はDN13(Smithsonら、Mol Immunol.1999;36:113−124)と高い相同性を持つことが分かった。また、L鎖可変領域はAccession number AB064105のhomosapiens IGK mRNA for immunoglobulin kappa light chain VLJ region,partialcds,clone:K64と高い相同性を持つことが分かった。また、L鎖のシグナル配列についてはAB064105と相同性の高いAccession Number S40357のシグナル配列を利用した。これらの抗体のフレームワーク領域(以下、FR)に相補性抗原決定領域(以下、CDR)を移植したヒト化抗体を作製した。
具体的には、50 base程度の合成オリゴDNAを約20 base程度ハイブリダイズするように設計し、これらの合成オリゴDNAをPCR法によりアッセンブリさせて各可変領域をコードする遺伝子を作製した。5’端の合成オリゴDNAの末端に挿入したHindIII配列、および3’端の合成オリゴDNAの末端に挿入したBamHI配列で切断し、ヒトIgG1定常領域がクローニングされた発現ベクターHEFgγ1、ヒトκ鎖定常領域がクローニングされた発現ベクターHEFgκへクローニングした(Satoら、Mol Immunol.1994;371−381)。このようにして作製したヒト化GC33はH鎖、L鎖それぞれver.aと命名した。H鎖、L鎖ともにver.aのヒト化GC33(ver.a/ver.a)はマウスGC33可変領域の抗体(mouse/mouse)と比較して結合活性が低かった。H鎖とL鎖についてマウスGC33配列とver.a配列をキメラに組み合わせた抗体(mouse/ver.a、ver.a/mouse)を作製し結合活性を評価した結果、ver.a/mouseで結合活性の低下が認められ、アミノ酸置換による結合活性の低下はH鎖に起因する事が判明した。そこで、H鎖の改変体ver.c、ver.f、ver.h、ver.i、ver.j、ver.kを作製した。全てのヒト化GC33はマウスGC33可変領域を有するキメラ抗体と同等の結合活性を示した。ヒト化GC33H鎖可変領域ver.a、ver.c、ver.f、ver.h、ver.i、ver.j、ver.kの塩基配列を配列番号91、92、93、94、95、96、97に、アミノ酸配列を配列番号98、99、100、101、102、103、104に示す。ヒト化GC33L鎖可変領域ver.aの塩基配列を配列番号105に、アミノ酸配列を配列番号106に示す。
ヒト化GC33H鎖可変領域ver.i、ver.j、ver.kでは、6番目のグルタミン酸がグルタミンに置換されているが、これらの抗体は熱安定性が顕著に増加していた。
参考実施例3 ヒト化GC33L鎖の改変
タンパク質の脱アミド化については一次配列依存的な脱アミド化の反応速度定数が知られており、Asn−Glyが特に脱アミド化し易い配列として知られている(Rocinsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2001;98;944−949.)。配列番号105に示されるヒト化GC33L鎖ver.a可変領域のCDR1内にあるAsn33については、一次配列がAsn−Glyであることから、脱アミド化が容易に起きやすい配列である事が予想された。
Asn33の脱アミド化による結合活性に対する影響を評価する為に、Asn33をAspに置換した改変抗体を作製した。点変異の導入には、Quick Change Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を使用した。すなわち、125ngのセンスプライマー(CTT GTA CAC AGT GAC GGA AAC ACC TAT:配列番号107)、125ngのアンチセンスプライマー(ATA GGT GTT TCC GTC ACT GTG TAC AAG:配列番号108)、5μLの10x reaction buffer、1μLのdNTP mix、10ngのヒト化GC33L鎖ver.aがクローニングされたHEFgκ、1μμLのPfu Turbo DNA Polymeraseを含む50μLの反応液を、95℃で30秒、55℃で1分、68℃で9分からなるサイクルを12回行った。その後制限酵素DpnIを加え37℃で2時間消化したものを添付のXL1−Blueコンピテント細胞に導入し形質転換体を得た。正しく変異の導入されたクローンについて、可変領域を切り出し、再度HEFgκへクローニングし直した。ヒト化GC33H鎖ver.kがクローニングされたHEFgγ1と共にFugene6(Roche社)を用いてCOS7細胞へ導入し一過性に発現させた培養上清を回収した。抗ヒトIgG抗体を用いたサンドイッチELISAにより抗体濃度を定量し、可溶型GPC3コアタンパク質を固相化したELISAにより改変抗体の結合活性を評価した。Asn33をAspに置換した改変抗体(N33D)では結合活性が消失しており、Asn33で脱アミド化が起きた場合結合活性に与える影響は大きいと考えられた。
Asn33の脱アミド化を抑制する方法として、Gly34を他のアミノ酸に改変する方法が報告されている(WO03057881A1)。上記方法に従い、Quick Change Site−Directed Mutagenesis Kitを用いCys、Metを除く他の17アミノ酸に置換した改変抗体G34A、G34D、G34E、G34F、G34H、G34N、G34P、G34Q、G34I、G34K、G34L、G34V、G34W、G34Y、G34R、G34S、G34Tを作製し、COS7細胞一過性発現培養上清を用いて結合活性の評価を行った。その結果、Pro(G34P)、Val(G34V)以外へのアミノ酸置換は結合活性を維持している事が判明した。
上述の改変抗体の軽鎖CDR1のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号109(G34A)、配列番号110(G34D)、配列番号111(G34E)、配列番号112(G34F)、配列番号113(G34H)、配列番号114(G34N)、配列番号115(G34T)、配列番号116(G34Q)、配列番号117(G34I)、配列番号118(G34K)、配列番号119(G34L)、配列番号120(G34S)、配列番号121(G34W)、配列番号122(G34Y)、配列番号123(G34R)、配列番号124(G34V)、配列番号125(G34P)に記載する。また、上述の改変抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号126(G34A)、配列番号127(G34D)、配列番号128(G34E)、配列番号129(G34F)、配列番号130(G34H)、配列番号131(G34N)、配列番号132(G34T)、配列番号133(G34Q)、配列番号134(G34I)、配列番号135(G34K)、配列番号136(G34L)、配列番号137(G34S)、配列番号138(G34W)、配列番号139(G34Y)、配列番号140(G34R)、配列番号141(G34V)、配列番号142(G34P)に記載する。
本発明は、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現が人為的に抑制されている細胞を提供し、該細胞をタンパク質の製造に用いた場合、フコースを有しない組換えタンパク質を製造することができる。フコースを有しない組換えタンパク質は、フコースを有するタンパク質に比べ細胞障害活性が低減されており、また、安定性はフコースを有するタンパク質と同等である。本発明のタンパク質は、特に抗体医薬として用いる組換え抗体において有利である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。また、添付の請求の範囲に記載される技術思想および発明の範囲を逸脱しない範囲内で本発明の種々の変形および変更が可能であることは当業者には容易に理解されるであろう。本発明はこのような変形および変更をも包含することを意図している。

Claims (15)

  1. 染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現が人為的に抑制されている細胞。
  2. フコーストランスポーター遺伝子が破壊されていることを特徴とする請求項1記載の細胞。
  3. 動物細胞である請求項1または2記載の細胞。
  4. 動物がチャイニーズハムスター細胞である、請求項3記載の細胞。
  5. 動物細胞がCHO細胞である請求項4記載の細胞。
  6. 遺伝子の破壊がジーンターゲティングベクターを用いた相同組換えにより行われる、請求項2から5のいずれか1項に記載の細胞。
  7. 外来タンパク質をコードする遺伝子が導入されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の細胞。
  8. 外来タンパク質をコードする遺伝子が抗体をコードする遺伝子である請求項7記載の細胞。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞を培養することを特徴とするタンパク質の製造方法。
  10. タンパク質が抗体である請求項9記載の製造方法。
  11. フコースが付加されていないタンパク質を製造することを特徴とする請求項10記載の製造方法。
  12. 細胞を用いて組換えタンパク質を製造する際に、染色体上の両方のフコーストランスポーター遺伝子の発現を人為的に抑制することを特徴とする、タンパク質へのフコース付加阻害方法。
  13. 遺伝子の発現の人為的抑制が、遺伝子を欠損することによる行われることを特徴とする請求項12記載のタンパク質へのフコース付加阻害方法。
  14. タンパク質が抗体である請求項12または13に記載のタンパク質へのフコース付加阻害方法。
  15. 細胞がCHO細胞である請求項12から14のいずれか1項に記載のタンパク質へのフコース付加阻害方法。
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