JPWO2006043478A1 - 乳酸菌発酵豆乳およびその製造法 - Google Patents

乳酸菌発酵豆乳およびその製造法 Download PDF

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Abstract

従来の乳酸菌発酵豆乳では排除が困難であった青臭味、エグ味が低減されて風味良好であり、かつ食感も滑らかで口当たりの良い発酵豆乳およびその製造法を提供する。フィチン酸分解酵素活性を有する酵素を作用させてフィチン酸分解物を生成させた豆乳を原料として乳酸菌発酵することにより課題を解決できた。すなわち、大豆由来蛋白質あたりのフィチン酸含量が1.5重量%未満であることを特徴とする乳酸菌発酵豆乳であり、好ましくは大豆由来蛋白質あたりの遊離リン酸含量が0.5〜5重量%であり、より好ましくはフィチン酸分解物が含まれるものである。

Description

本発明は、乳酸菌発酵豆乳およびその製造法に関する。
近年、健康に対する関心の高まりから植物性蛋白食品が評価されているが、特に大豆を原料とする豆乳は、「畑の肉」と呼ばれる程良質の蛋白質を含み、しかもコレステロールを含まないから、高蛋白の健康食品として注目されている。しかし、その反面大豆を原料とする豆乳はヘキサナール、数種のサポニンなど少量成分による青臭味、エグ味などの不快な風味を有することが利用上の改善課題になっている。
そこで、豆乳の風味改善のために乳酸菌発酵することは、すでにいろいろな特許が提案されており、例えば、特許文献1〜6などが挙げられる。しかしながら、これらの公知の方法では、発酵させることにより、ある程度は豆乳特有の臭いを軽減、除去させることが出来るが、その除去効果は必ずしも十分ではなく、また乳酸菌発酵によって生じる凝固物のテクスチャーに滑らかさが欠けるという問題があったり、後口がスッキリしないという問題がある。また豆乳の青臭味の原因と言われるヘキサナールの生成を防止するため、その生成を促進する大豆中のリポキシゲナーゼを予め加熱により失活させた大豆や、あるいはリポキシゲナーゼを欠損した大豆が豆乳の製造によく使用されているが、かかる豆乳で発酵豆乳を製造しても発酵後や保存中に不快臭が増加してしまう問題がある。
かかる問題の解決策として、本出願人は乳酸菌発酵を行う豆乳として、予めにがりなどの凝固剤を作用させ、これを均質化して得た豆乳を使用する方法を出願した(特許文献7)。この方法の採用により従来抱えていた問題を解決し、極めて品質の良好な乳酸菌発酵豆乳を製品化するに到ったが、今後さらなる品質改良を行い、乳酸菌発酵豆乳の市場の発達に寄与するためには、別異のアプローチからの技術開発も必須である。
一方、豆乳にはフィチン酸(イノシトール6リン酸とも言われる。)が大豆由来蛋白質あたり約2重量%程度含まれているが、フィチン酸はカルシウムやマグネシウムなどの有用ミネラルとキレート結合して難溶性の化合物を生成するため、高フィチン酸食の摂取はミネラルの腸管内吸収を阻害すると言われている。そのため、豆乳や大豆蛋白質にフィターゼやホスファターゼなどのフィチン酸分解酵素を作用させ、低フィチン化する技術や、中性塩類のカチオンを添加してフィチン酸を沈殿させる技術等が用いられている(特許文献8〜10等)。しかし、これまで豆乳や大豆蛋白質を低フィチン化する技術はミネラル吸収等の栄養改善を主目的としている。
したがって、豆乳中のフィチン酸の酵素分解処理が乳酸菌発酵豆乳の風味や組織にいかなる影響を及ぼすかは未だ知られていない。
特開昭61−141840号公報 特開昭62−205735号公報 特開昭63−7743号公報 特開平2−167044号公報 特開平6−276979号公報 特開平8−66161号公報 特許第3497083号公報 特開昭59−166049号公報 特開平2000−245340号公報 特開昭63−148953号公報
本発明の目的は、青臭み、エグ味がなく風味良好な発酵豆乳およびその製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、フィチン酸分解酵素活性を有する酵素を作用させてフィチン酸分解物を生成させた豆乳を原料として乳酸菌発酵すると、意外にも豆乳特有の青臭味やエグ味のない良好な風味となり、かつ食感もなめらかな乳酸菌発酵豆乳が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
1.大豆由来蛋白質あたりのフィチン酸含量が1.5重量%未満であることを特徴とする乳酸菌発酵豆乳、
2.大豆由来蛋白質あたりの遊離リン酸含量が0.5〜5重量%である前記1記載の乳酸菌発酵豆乳、
3.フィチン酸分解物が含まれることを特徴とする前記1記載の乳酸菌発酵豆乳、
4.製品が固形状又は液状である前記1記載の乳酸菌発酵豆乳、
5.製品が生菌タイプ又は殺菌タイプである前記1記載の乳酸菌発酵豆乳、
6.フィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸分解物を生成させた豆乳に乳酸菌を作用させることを特徴とする乳酸菌発酵豆乳の製造法、
に関する。
豆乳の乳酸菌発酵に際し、豆乳中のフィチン酸を加水分解し、フィチン酸分解物を生成させることで、豆乳の発酵中や発酵後に青臭味やエグ味の原因となるヘキサナール等の生成が抑制され、これらの不快味を軽減することが可能となった。
さらにフィチン酸が分解されることにより得られる乳酸菌発酵豆乳に牛乳のヨーグルトにも似た乳味とコク味を付与することも可能となった。
またさらにフィチン酸が分解されることにより得られる固形状の発酵豆乳は、組織がなめらかで口溶けの良い食感のものが得られた。
本発明の乳酸菌発酵豆乳は、大豆由来蛋白質あたりのフィチン酸含量が1.5重量%未満であることを特徴とする。また、本発明の乳酸菌発酵豆乳の製造法は、フィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸分解物を生成させた豆乳に乳酸菌を作用させることを特徴とする。以下、本発明を具体的に説明する。
通常の製法で得られた豆乳から調製された発酵豆乳には、原料豆類の品種等により差はあるものの、フィチン酸が大豆由来蛋白質あたり約2重量%程度含まれる。一方、本発明の乳酸菌発酵豆乳(以下、単に発酵豆乳と称する。)は、フィチン酸含量がかかる範囲よりも低減されたものであり、すなわち1.5重量%未満、より好ましくは1.0重量%以下、さらに好ましくは0.7重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下である。かかる範囲に発酵豆乳中のフィチン酸含量が低減されることにより、青臭み、エグ味のない良好な風味と、なめらかな組織を有する発酵豆乳が得られる。
さらに、通常の製法で得られた豆乳から調製された発酵豆乳には、原料豆類の品種等により差はあるものの、遊離のリン酸は大豆由来蛋白質あたり0.2重量%に満たない量しか含まれない。一方、本発明の発酵豆乳としては、遊離のリン酸含量がかかる値以上に含まれることが好適であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上、さらに好ましくは2.0重量%以上、最も好ましくは2.5重量%以上である。かかる範囲に発酵豆乳中の遊離のリン酸が増えることにより、さらに良好な風味の発酵豆乳が得られる。なお、遊離のリン酸含量の上限は多くともフィチン酸に結合したリン酸が5残基程度遊離した場合の含量以下であり、詳しくは5重量%以下が好ましい。
本発明のフィチン酸含量が低減された発酵豆乳としては、(1)豆乳中のフィチン酸そのものが分画除去された発酵豆乳と、(2)豆乳中のフィチン酸がフィチン酸分解酵素の作用を受けた発酵豆乳などがある。
(1)のフィチン酸を分画除去する方法は、例えば豆乳を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤でpH10以上のアルカリ性下域に調整し、フィチン酸を沈殿除去する方法、豆乳に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の中性塩類を5%以上、好ましくは8%以上添加し、フィチン酸を沈殿除去する方法等が挙げられる。
(2)の発酵豆乳にはフィチン酸分解物(イノシトール、イノシトール1〜5リン酸)と遊離のリン酸が通常より多く含まれる。なお、この場合は酵素処理の後、さらに限外濾過や電気透析などによって脱リン酸処理されたものであっても本発明の目的とする発酵豆乳に相当する。ただし遊離のリン酸含量が上記範囲外となる場合は脱リン酸処理を行わない発酵豆乳に比べればむしろ風味は低下する傾向となる。
本発明においては(1)、(2)のいずれの手段においても発酵豆乳の食感をなめらかにする効果を有するので採用できる。特に青臭味やエグ味等を低減し、乳味とコク味等の良好な風味を付与することができる(2)の発酵豆乳がより好ましい。
(豆乳)
本発明の乳酸菌発酵豆乳の原料に用いる豆乳は、どのような方法により得られたものでもよいが、大豆または脱脂大豆等から常法により得られる豆乳を用いることができ、例えば、丸大豆や脱皮大豆等を水浸漬するか、またはせずに含水状態にて磨砕して「呉」となし、これを濾過等して不溶性画分を除去して得ることができる。そして豆乳は生豆乳、無調整豆乳、調製豆乳、粉末豆乳等から選択される1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。またオカラなどの不溶性繊維質を含んだ豆乳(呉、全粒豆乳、大豆スラリー、大豆乳などとも言われる。)を用いてもよく、この場合さらに不溶性繊維質を高圧処理やペクチナーゼ処理などにより微細化したものを用いることもできる。また必要により精製した大豆蛋白を添加しても良い。
原料となる豆類は、黄大豆が一般的であるが、黒大豆、青大豆、インゲン豆、そら豆、エンドウ豆なども使用できる。
豆乳は脱皮および脱胚軸した大豆や、酵素失活のための加熱処理した大豆等を用いるほうが、風味の良い豆乳が得られ好ましい。
丸大豆、脱皮大豆または脱皮・脱胚軸大豆を50〜100℃の温水または熱水に接触させて、温水又は熱水に溶出する可溶性成分を取り除いた後、磨砕し不溶性画分を除去した豆乳が好適である。
また、豆乳は予め特許第3497083号公報記載のようにアルカリ土類金属化合物を反応させたものでも良いし、種々の酵素、例えばプロテアーゼや特開2004−261107号公報記載のトランスグルタミナーゼを作用させたものでも良い。
(フィチン酸分解酵素)
本発明に用いる場合のフィチン酸分解活性を有する酵素としてはフィターゼやホスファターゼが代表的で、植物由来、微生物由来、さらには遺伝子組換えにより生産されたものなど各種の起源のものが使用できる。なお、本発明に使用するフィチン酸分解酵素は、プロテアーゼ活性がない、もしくは低いことが望ましい。プロテアーゼ活性が高いと、蛋白質が加水分解されることにより固形状の発酵豆乳等の製造において蛋白質のゲル形性力などの物性に影響を及ぼすためである。酵素の添加量、処理温度、pH、時間等は、用いる酵素に応じて適宜定めることができる。例えば、プロテアーゼによる蛋白質の加水分解がない、もしくは低い態様は、フィチン酸分解酵素の作用後の蛋白質のTCA可溶化率が20%以下、好ましくは15%以下と規定することができる。
フィチン酸分解活性を有する酵素は豆乳重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の酵素が添加されるのが適当である。
また処理時間、pH、温度等は使用する酵素、酵素の添加量により異なるが、処理温度としては通常20〜80℃、好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは35〜60℃が適当である。pHとしてはpH4.0〜8.0、好ましくはpH5.0〜7.0、最も好ましくはpH5.0〜6.5が適当である。作用時のpHが低すぎるとその後に乳酸菌を作用させる場合に乳酸菌の発酵が進みにくくなり、またpHが高すぎるとフィチン酸分解酵素が作用しにくくなる。処理時間としては10分〜3時間、好ましくは30〜1時間が好適である。
上記酵素を作用させた豆乳から製造された発酵豆乳には、フィチン酸含量が大豆由来蛋白質あたり1.5重量%未満にまでフィチン酸が分解されており、フィチン酸分解物が含まれると共に、分解により遊離したリン酸が大豆由来蛋白質あたり0.5〜5重量%含まれる。フィチン酸分解物はイノシトール又はイノシトール1〜5リン酸のいずれか1以上を含むものである。
フィチン酸分解酵素の作用を受けた豆乳を含む発酵豆乳を製造する場合の、酵素を作用させるタイミングは、少なくとも最終的に発酵豆乳を製品とするまでに作用させておればよい。例えば、
(1)豆類から豆乳を調製する段階(豆類の浸漬時、磨砕時等)、
(2)豆類から調製した後の豆乳の段階、
(3)豆乳に副原料を添加した段階、
(4)豆乳に乳酸菌を作用させている発酵中の段階、
(5)豆乳に乳酸菌を作用させた発酵後の段階、
等である。
フィチン酸分解酵素を作用させた後は、酵素を失活させるために加熱処理の工程が必要となるため、生菌タイプの発酵豆乳を製造する場合には(1)〜(3)のタイミングが好ましい。殺菌タイプの場合は(4)、(5)でも可能である。
また、フィチン酸分解酵素を作用させるには豆乳の粘度が高くなると酵素を十分に分散し、反応させるために強度の撹拌が必要となるため、液状タイプ以外の発酵豆乳の場合は、(1)〜(3)のタイミングが好適である。液状タイプの場合は(4)、(5)でも可能である。
(酵素失活)
フィチン酸分解活性を有する酵素にて処理した豆乳は加熱処理し、酵素を失活させる。酵素失活のための加熱処理は使用する酵素により異なるが、フィチン酸分解活性が失活する温度で加熱することが望ましい。かかる加熱処理の方法は特に限定されず、直接加熱、間接加熱のいずれでも良く、加熱装置としては蒸気注入式等の直接加熱装置、プレート式やレトルト式の間接加熱装置等を自由に使用できるが、特に直接高温瞬間加熱がより好ましい。直接高温瞬間殺菌は、蒸気のインジェクション部において豆乳と蒸気が混合し、蛋白質が高温、高圧による変性を受けることにより粘度の低下と微粒子化を引き起こすので、上記酵素処理と共に、よりなめらかな食感の発酵豆乳に寄与し、さらにフラッシュパンにおける減圧による脱臭効果が発酵豆乳の風味改善に寄与していると考えられる。直接高温瞬間加熱の温度は通常110〜150℃、加熱時間は通常1〜120秒とすることができるが、2〜10秒がより好ましい。
(発酵前副原料)
本発明の発酵豆乳には、乳酸菌発酵前に必要に応じた副原料を調合することができる。例えばヨーグルトなどの発酵乳に一般的に使用されている原料である。砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、パラチノース等の糖、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、還元水飴、ソルビトール等の糖アルコール、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖等のオリゴ糖、ソーマチン、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料、寒天、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン等の増粘剤やゼラチン、りんごやレモン等の果汁、ポリデキストロース、セルロース、イヌリン、水溶性大豆多糖類等の食物繊維、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等のミネラル、香料等が使用することができる。
(乳酸菌発酵)
得られた発酵前調製液を乳酸菌発酵するときに、例えば砂糖やオリゴ糖等の乳酸菌資化性糖類を必ずしも添加する必要はないが、添加することにより乳酸菌発酵を促進し風味の優れた発酵豆乳を得ることができる。発酵方法については、バルクスターターを作って添加することができ、凍結濃縮菌や凍結乾燥濃縮菌を直接発酵前調製液に添加することもできる。添加量は発酵温度、発酵時間に応じて適宜定めることができる。発酵温度は一般に20〜50℃で、発酵時間は3〜48時間、好ましくは25〜45℃で、発酵時間は4〜24時間が好適である。得られた発酵豆乳のpHは3.5〜5.0、好ましくは4.0〜4.8が好適である。
(乳酸菌)
乳酸菌発酵に使用する乳酸菌は、通常のヨーグルトに使用されるものであれば特に限定しない。例えばラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ブランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・サリバリウス・サリバリウス、ラクトバチルス・ガリナラム、ラクトバチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・ブレビス・ブレビス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・マリ、ラクトバチルス・デルブルッキィ等のラクトバチルス属、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス等のストレプトコッカス属、ラクトコッカス・ラクチス・ラクチス、ラクトコッカス・ラクチス・クレモリス等のラクトコッカス属、ロイコノストック・メセンテロイデス・クレモリス、ロイコノストック・ラクチス等のロイコノストック属、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム等のビフィドバクテリウム属等の公知の乳酸菌株を用いることができる。またこれらの乳酸菌は単独又は2種類以上の組み合わせでも任意に使用することができる。また以上の乳酸菌に加えてその他の有用菌(酢酸菌、酵母など)も適宜併用できる。
(発酵後処理)
乳酸菌による発酵後は、製品容器内で発酵を行った場合はそのまま冷却し、ハードタイプの固形状の製品とすることができる。一方製造タンク内で発酵を行った場合は発酵豆乳を攪拌後冷却して製品容器に充填し、ソフトタイプの固形状の製品にすることができる。
また発酵豆乳を撹拌後に均質化等の液状処理を行い、必要により加熱殺菌し、冷却することにより、生菌タイプあるいは殺菌タイプの液状の製品にすることができる。また必要に応じて、油脂、香料、色素、安定剤、酸味料、甘味料等を添加したり、フルーツプレパレーション等を添加したりしてフルーツタイプの製品を作ることもできる。
以下に実施例を記載するが、この発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。以下の実施例、比較例中の「部」および「%」とあるのは、いずれも重量部および重量%である。
(実施例1)
脱皮脱胚軸大豆1部に水10部を加え、30〜50℃で60分間以上浸漬して十分に吸水した脱皮脱胚軸大豆(水分含量40〜55%)1部に対し、熱水(85℃)3部を加えてグラインダー(増幸産業社製)で処理し、これに水酸化ナトリウムを加えてpH7.4〜8.0に調整した。これをホモゲナイザー(APV製)に供給し、15MPaで均質化処理した。均質化した磨砕液は遠心分離機によって3000Gで5分間処理して豆乳とオカラを得た。この豆乳は固形分9.0%、蛋白質4.5%、pHは7.5であった。
この豆乳を1N塩酸でpH6.0に調整した後、豆乳1kgに対してフィターゼ(商品名「スミチームPHY」、新日本化学社製)を5g加え、35℃にて30分間攪拌しながら反応させ、フィターゼ処理豆乳を得た。
直接高温瞬間加熱方式による加熱装置にて140℃で4秒間の加熱処理を行い酵素失活させたフィターゼ処理豆乳に、ラクトバチルス・ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ビフィドバクテリウム・ロンガムの各種市販乳酸菌(凍結乾燥品)の個別培養液をスターターとして各1%添加し、40℃で7時間発酵を行った。7℃まで攪拌冷却して、製品容器に充填し、冷蔵下で静置して固形状となし、ソフトタイプヨーグルト様の固形状の発酵豆乳を調製した。得られた発酵豆乳のpHは4.3で、乳味感、コクがあり、逆に青臭み、エグ味がなく、後口がスッキリとしてなめらかな口当たりの発酵豆乳あった。また冷蔵で14日間保存後においても発酵豆乳の組織は均一で蛋白質の凝集が少ないものであり、風味も変わらず良好であった。
(比較例1)
実施例1においてフィターゼを作用させない豆乳を用いる以外は実施例1と同様の工程で固形状の発酵豆乳を調製した。得られた発酵豆乳のpHは4.3で、乳味感、コクが実施例1に比べて劣り、青臭み、エグ味も残り、もったりとした重い食感であり、なめらかではなく、後口もスッキリとしない発酵豆乳であった。
(実施例2)
実施例1のフィターゼ処理豆乳を陰イオン交換樹脂カラム「デュオライトA−375」(住友化学工業社製)に通液し、遊離リン酸を吸着除去させた遊離リン酸低含量原料豆乳を用いて、実施例1と同様の工程で固形状の発酵豆乳を調製した。得られた発酵豆乳のpHは4.3で、青臭味、エグ味がなく、スッキリとしてなめらかな口当たりの食感を有していた。また冷蔵で14日間保存後においても発酵豆乳の組織は均一で蛋白質の凝集が少ないものであり、風味も変わらず良好であった。ただし乳味感、コクは実施例1の発酵豆乳に比べると劣り、スッキリしすぎて旨味がない発酵豆乳であった。
(実施例3)
実施例1と同様にして得た豆乳(フィターゼ未処理)に対して塩化カリウム10%を加え、生じたフィチン酸を含む沈殿を遠心分離機で除去した。上清を3倍に希釈し、東芝セラミックス社製のセラミックフィルター(孔径500Å)を用いて3倍まで濃縮し、フィチン酸分画除去豆乳を得た。
次に、実施例1と同様の工程で固形状の発酵豆乳を調製した。得られた発酵豆乳のpHは4.3で、スッキリとしてなめらかな口当たりの食感を有し、風味も製造直後は良好であった。ただし冷蔵で14日間保存した場合、風味は青臭味、エグ味が発生する傾向であった。
実施例1〜3および比較例1各試料の評価結果を表1に纏めて示した。各試料の風味は5名のパネラーを用いて4段階で評価した。遊離リン酸含量は試料をそのままモリブデン酸アンモニウムで発色させる方法を用いて測定した。発酵豆乳から回収した臭気成分をガスクロマトグラフィーにて分析し、検出された物質の全体量に占めるヘキサナールの検出量を含有量として測定した。フィチン酸含量、遊離リン酸含量は大豆由来蛋白質あたりの重量%で示した。
(表1)
Figure 2006043478
表1の通り、フィターゼ処理しフィチン酸分解物を生成させた豆乳で乳酸菌発酵を行った場合、乳味感、コクがあり、逆に青臭み、エグ味がなく、後口がスッキリとしてなめらかな口当たりの発酵豆乳が得られた(実施例1)。かかる官能評価は比較例1に比べてヘキサナールの含量が顕著に低くなっていることからも裏付けられる。
ただしフィターゼ処理を行ってもさらに脱リン処理を行った場合は、乳味、コク味が減少する結果となった(実施例2)。
またフィチン酸を酵素分解せず、中性塩の添加によってフィチン酸そのものを沈殿除去した場合にも、実施例1、2と同様の食感の改良効果がみられた。ただし風味については比較例1と同様の青臭味が感じられた。
本発明によれば、従来の豆乳を乳酸発酵したものでは排除できなかった青臭み、エグ味が低減され、乳味とコク味を有し、なめらかな口当たりの発酵豆乳が得られるので、通常の発酵乳と比較しても全く違和感なく食することが可能であり、近年広がりを見せる豆乳の利用価値をさらに高めることができる。

Claims (6)

  1. 大豆由来蛋白質あたりのフィチン酸含量が1.5重量%未満であることを特徴とする乳酸菌発酵豆乳。
  2. 大豆由来蛋白質あたりの遊離リン酸含量が0.5〜5重量%である請求項1記載の乳酸菌発酵豆乳。
  3. フィチン酸分解物が含まれることを特徴とする請求項1記載の乳酸菌発酵豆乳。
  4. 製品が固形状又は液状である請求項1記載の乳酸菌発酵豆乳。
  5. 製品が生菌タイプ又は殺菌タイプである請求項1記載の乳酸菌発酵豆乳。
  6. フィチン酸分解酵素を作用させてフィチン酸分解物を生成させた豆乳に乳酸菌を作用させることを特徴とする乳酸菌発酵豆乳の製造法。
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