JP3663365B2 - γ−アミノ酪酸高含有大豆加工食品 - Google Patents

γ−アミノ酪酸高含有大豆加工食品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な豆腐、豆乳ならびにおからに関するものであり、詳細には、γ−アミノ酪酸含量を高めた豆腐、豆乳ならびにおからに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
γ−アミノ酪酸は、化学式H2NCH2CH2CH2COOHで表されるアミノ酸の一種であり、動植物の生体内においてはグルタミン酸脱炭酸酵素の作用によりグルタミン酸から生成することが知られている。γ−アミノ酪酸は抑制性神経伝達物質のひとつとして1950年代に同定され、その後、その薬理的効果に対する関心が高まり、広く研究が展開された。その結果、モリ、『ジャーナル・オブ・バイオケミストリー』、第45巻、第12号、985頁(1958年)、高橋ら、『臨内小』、第14巻、第4号、527乃至532頁(1959年)、勝木ら、『総合医学』、第16巻、第3号、349乃至359頁(1959年)、柴田、『脳と神経』、第19巻、第3号、231頁(1967年)などに見られるとおり、γ−アミノ酪酸は、血圧上昇抑制作用、脳代謝促進作用、脳血管障害の諸症状の改善作用、頭部外傷に伴う諸症状の改善作用、筋萎縮性疾患の改善作用等の諸種の作用を示すことが明かとなっている。また、塚田、『日本医師会雑誌』、第42巻、第8号、571乃至579頁に記載されているとおり、γ−アミノ酪酸は安全性の点においても問題のないことが確認されている。
【0003】
以上のような作用故に、諸種の疾患、とりわけ、生活習慣病と深く関わりのある高血圧症に対するγ−アミノ酪酸の治療・予防効果への期待が高まり、γ−アミノ酪酸を日常的に摂取するための方策が広く検討された。その結果、例えば、特開平7−213252号公報に開示された、米又は小麦の胚芽や麸(ふすま)から得たγ−アミノ酪酸含量を高めた食品素材や、特開平9−238650号公報に開示された、グルタミン酸及び/又はグルタミン酸ナトリウムに酵母を作用させることを特徴とするγ−アミノ酪酸含量を高めた食品素材の製造方法などに見られるように、γ−アミノ酪酸含量を高めた食品素材ならびにその製造方法が種々提案されるに至っている。しかしながら、これらの提案された食品素材は、通常、食品の主原料として利用できるものではないことから、実際の食品に配合して利用する際にγ−アミノ酪酸の有効量を達成することは必ずしも容易ではなく、また、該食品素材を食品に配合した際の呈味についても十分に検討されていないことから、日常生活を送る上で、無理なく摂取することができ、かつ、γ−アミノ酪酸の作用を十分に引き出すものとはいい難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況に鑑み、本発明の課題は、日常生活を送る上で無理なく摂取することができ、かつ、γ−アミノ酪酸本来の作用を顕著に発揮する食品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、大豆が高蛋白食材であり、斯かる蛋白質がγ−アミノ酪酸生成の前駆体となりうることに着目し、大豆を利用してγ−アミノ酪酸含量を高めた食品を確立することを目指して研究に着手した。そして、通常の大豆加工食品の製造方法を中心に種々検討したところ、大豆の磨砕物を蛋白質分解酵素の存在下、20℃乃至60℃で2時間乃至12時間保持する工程を経て得られる大豆磨砕物を用いて豆腐を製造すると、従来の豆腐より明らかに高い、湿重量100g当たり10mg以上のγ−アミノ酪酸を含有する豆腐が極めて効率的に得られることを見出した。斯くして得られた豆腐は、従来の豆腐と同等あるいはそれ以上に良好な呈味・食感を示し、日常的に全く無理なく摂取することができるものであった。そして、斯かる豆腐は、明かな血圧上昇抑制作用を示すことも確認された。さらに加えて、上記の製造方法の中間産物として得られる豆乳と、副産物として得られるおからも、当該豆腐と同じく湿重量100g当たり10mg以上のγ−アミノ酪酸を含有するものであった。本発明は、本発明者等による以上の独自の研究成果に基づいて完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、大豆を主原料とする豆腐、豆乳ないしはおからにおいて、湿重量100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が10mg以上であることを特徴とする豆腐、豆乳ないしはおからと、その製造方法ならびに用途を提供することにより上記の課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、γ−アミノ酪酸含量を高めた新規な豆腐、豆乳ならびにおからに関するものである(以下、本発明でいう豆腐、豆乳ならびにおからを総称して「大豆加工食品」という場合がある)。本発明でいうγ−アミノ酪酸とは、化学式H2NCH2CH2CH2COOHで表される化合物ならびにその塩を意味する。
【0008】
本発明による大豆加工食品が含有するγ−アミノ酪酸は、上記のように定義される物質であるかぎり、それ自体の調製方法や、当該大豆加工食品に含有せしめる方法は問わない。したがって、後述する、本発明による大豆加工食品の製造方法を経て当該大豆加工食品に含有せしめられるものであっても、また、製造コストを問題にしないのであれば、例えば、公知の有機合成法等によって製造されるものであってもよい。
【0009】
本発明は大豆を主原料とする豆腐、豆乳ならびにおからを提供するものである。本発明でいう「大豆を主原料とする」とは、本発明の対象が、大豆を実質的に唯一の原料として利用し、必要に応じて、通常の食品製造において利用される添加物を適宜添加して製造されるものであることを意味し、胡麻豆腐などのように大豆以外の原料を主として用いる加工食品や、豆乳飲料などのように大豆から得られる以外の食品素材を多量に配合してなるものなどとは区別される。本発明でいう、大豆を主原料とする豆腐、豆乳ならびにおからをその一般的な製造方法に基づいて説明すると、先ず、大豆を洗浄し、適量の水に浸漬した後、さらに加水しつつ磨砕すると、通常「呉」と呼ばれる大豆磨砕物が得られる。この呉を調製後直ちに、通常は加熱することにより、大豆蛋白質を抽出した後、これを液体部と固体部とに分離すると、大豆蛋白質を含む豆乳(液体部)と水不溶性成分を含むおから(固体部)が得られる。次に、豆乳に適宜の凝固剤を添加して大豆蛋白質を凝固させると豆腐が得られる。なお、本発明でいう大豆蛋白質とは、大豆中に本来含まれる蛋白質とその部分分解物を総称するものである。
【0010】
上記のとおり本発明でいう大豆を主原料とする豆乳とは、蛋白質成分として実質的に大豆蛋白質のみを含む液状の加工食品であると定義される。ここでいう「蛋白質成分として実質的に大豆蛋白質のみを含む」とは、その製造過程で添加物として添加される酵素剤などに由来する少量の外来の蛋白質を当該豆乳が含有する場合があることを意味する。原料の大豆の品種や部位、製造方法、用途などにもよるけれども、本発明でいう豆乳は、通常、湿重量100g当たり、固形分を8g以上含有し、このうち、大豆蛋白質を3gを上回る量含有するところ、外来の蛋白質については、湿重量100g当たり、通常、0.3g以下、望ましくは、0.1g以下の範囲でのみ含有し得る。また、本発明でいう大豆を主原料とする豆腐とは、本発明でいう豆乳を凝固させて得られる、通常、85%以上の水分を含む、ゲル状の加工食品であり、本発明でいう大豆を主原料とするおからとは、大豆磨砕物中の水不溶性成分を含む、豆腐製造の副産物として得られる加工食品であるとそれぞれ定義される。
【0011】
本発明による大豆加工食品は、上記のように定義される個々の食品であって、その湿重量100g当たり少なくとも10mg以上、望ましくは15mg以上、さらに望ましくは20mg以上のγ−アミノ酪酸を含有するもの全般を包含し、原料の大豆の種類や、製造方法、形状、添加物の種類などは特定のものに限定されない。原料の大豆は、本発明による豆腐、豆乳ないしはおからが製造できるものであればよく、産地としては、例えば、北米産、南米産、中国産、日本産のものなど、品種としては、例えば、ホーカイ、ビーソン、コルソイ、フクユタカ、エンレイ、タマホマレなどが挙げられ、これらはいずれも有利に利用できる。北米産大豆である、通常「IOM」と呼ばれる、インディアナ州、オハイオ州、ミシガン州で生産された大豆は他の大豆に比べて品質(化学組成)が一定していることから本発明を実施する上で比較的有用である。また、原料として利用する部位も、通常の食用大豆の全体(いわゆる「丸大豆」)のほか、種皮を除去した脱皮大豆、種皮及び胚軸を除去した脱胚軸大豆、大豆種皮及び大豆胚軸から目的に応じて適宜選択でき、特定のものに限定されない。本発明でいう大豆とは、以上のような丸大豆ならびに丸大豆から分離された個々の組織を総称するものである。また、通常の一般的な豆腐は、その製造方法の違いにより、水分含量が互いに異なる、いわゆる、「もめん豆腐」(水分約87%)、「ソフト豆腐」(水分約89%)、「絹ごし豆腐」(水分約89%)、及び「充填豆腐」(水分約90%)に主として分類される。本発明による豆腐には、これらのいずれに分類されるものであってもγ−アミノ酪酸含量が上記の要件を満たす限り、また、上記のいずれの豆腐にも分類されないものであっても本発明で定義する大豆を主原料とする豆腐に該当し、γ−アミノ酪酸含量が上記の要件を満たす限り包含される。
【0012】
本発明で利用できる添加物としては、豆腐の製造時に添加される通常の凝固剤のほか、乳化剤、消泡剤、pH調節剤、調味料、着色料、着香料などが挙げられる。本発明で利用できる凝固剤としては、詳細には、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、にがり、グルコノデルタラクトンなどが挙げられ、消泡剤ないしは乳化剤としては、詳細には、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどがそれぞれ挙げられる。以上のような添加物の用量は、当該大豆加工食品におけるγ−アミノ酪酸の効果を妨げない限り特に制限はなく、例えば、通常の豆腐、豆乳ないしはおからにおける用量は本発明にも適用できる。
【0013】
本発明による大豆加工食品におけるγ−アミノ酪酸含量は、当該大豆加工食品を酸性条件下でホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、抽出上澄液をイオン交換カラムクロマトグラフィーで個々のアミノ酸に分離する慣用のアミノ酸分析法により求めることができる。この際、イオン交換カラムクロマトグラフィーによるアミノ酸分析法を応用した市販のアミノ酸分析計(日立製作所販売等)を利用することもできる。本発明による大豆加工食品におけるマグネシウム含量は、当該大豆加工食品を常法により加熱して灰化し、これを酸に溶解した試料を慣用の原子吸光法に供することにより求めることができる。本発明による大豆加工食品におけるグルコノデルタラクトン含量は、当該大豆加工食品をホモジナイズし、アルカリ性条件下で静置することによりグルコノデルタラクトンを完全にグルコン酸に変換した後、これにグルコン酸キナーゼをニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)の存在下で作用させ、生成する還元型NADPを定量することによりグルコン酸含量として求めることができる。この際、この原理を応用した市販の測定用試薬(ベーリンガー・マンハイム山之内株式会社販売等)を利用することもできる。
【0014】
以上に示したような本発明による大豆加工食品は、通常の豆腐、豆乳ないしはおからと同様に摂取することにより、血圧上昇抑制作用等のγ−アミノ酪酸本来の機能を顕著に発揮させることができる。また、γ−アミノ酪酸を高含量で含むことに加えて、当該大豆加工食品は通常の大豆加工食品と比較して同等ないしはそれ以上に良好な呈味・食感を示すことから、当該大豆加工食品は、γ−アミノ酪酸製剤などに比べて、日常生活を送る上で無理なくγ−アミノ酪酸の所要量を摂取することを可能とする。なお、γ−アミノ酪酸の経口摂取による血圧上昇抑制の有効量は、高血圧症の症状の程度や対象者の年齢・性別などにより異なる場合がある。後述する本発明による豆腐、豆乳ならびにおからの製造方法によれば、当該大豆加工食品におけるγ−アミノ酪酸含量は適宜増減が可能であるので、本発明による大豆加工食品は、対象者に応じた有効量のγ−アミノ酪酸を含有する形態で提供することができる。また、後述する本発明の製造方法によって得られる大豆加工食品は、蛋白質分解酵素の作用条件にもよるけれども、γ−アミノ酪酸含量が高められているのみならず、通常、蛋白質分解酵素の作用によって諸種のアミノ酸類が生成し、このアミノ酸類には旨味成分も含まれるため、結果として旨味成分の含量も高められており、したがって、その呈味の点においても、従来の大豆加工食品と比べて優れているという特徴がある。本発明による豆腐に関しては、凝固剤としてマグネシウム塩とグルコノデルタラクトンを併用して得られるものは、その呈味・食感が特に優れるという特徴がある。湿重量100g当たりの含量が、マグネシウム量として50mg以上、望ましくは、70mg乃至150mg、グルコン酸量として(通常の製造方法による場合、添加されたグルコノデルタラクトンは加熱工程でグルコン酸に変換されるため)50mg以上、望ましくは、70mg乃至250mgである当該豆腐は、こくのある呈味となめらかな食感の点でとりわけ優れているので、日常的に無理なくγ−アミノ酪酸を摂取する上でとりわけ有用である。本発明によるおからに関しては、γ−アミノ酪酸を高含量で含有することに加えて、整腸作用をはじめとする諸種の生体機能調整作用を示す、大豆由来の食物繊維を豊富に含有する特徴がある。したがって、当該おから及びその加工物は、所望の食品に生体機能調整作用を付与又は強化する食品素材としても有用である。
【0015】
上記のとおり、本発明による大豆加工食品はいずれも、水に浸漬した主原料としての大豆を、通常は加水しつつ磨砕してなる大豆磨砕物(呉)から得られる。本発明による製造方法は、この呉を、蛋白質分解酵素の存在下で20℃乃至60℃で2時間乃至12時間保持する工程を含むことを特徴とする。この工程中に呉にγ−アミノ酪酸が効率的に生成するので、この工程の産物を利用すれば当該大豆加工食品をより少ない費用と労力で製造することができる。
【0016】
蛋白質加水分解酵素の存在下で保持する工程に供するための呉は、通常の豆腐、豆乳ないしはおからの製造に用いられる方法にしたがって調製すればよい。通常、先ず、原料の大豆を次亜塩素酸などを用いて殺菌した後、水洗し、十分量の水に浸漬して大豆を吸水させる。吸水は通常室温下で、季節に応じて6時間乃至18時間から選ばれる適宜の時間静置するか、5℃程度の低温条件下で12時間乃至24時間静置することにより行う。次に、吸水させた大豆を、加水しつつ常法により磨砕して呉とする。加水量は、大豆の吸水と磨砕の際に加える水の量の合計として示すと、原料の大豆1重量部に対して、通常、2重量部乃至6重量部の範囲が好適であるけれども、用いる製造設備や目的とする製品の形状によっては7重量部乃至12重量部の範囲を採用することもできる。
【0017】
本発明よる豆腐、豆乳ないしはおからの製造方法においては、斯くして得られる呉を蛋白質分解酵素の存在下で保持する。本発明で利用する蛋白質分解酵素(一般に、プロテアーゼ、ペプチダーゼ又はプロテイナーゼとも呼ばれる。)は、蛋白質に作用してそのペプチド結合を加水分解するものであればよく、反応様式や起源、性状は問わない。蛋白質分解酵素は一般に、その反応様式により、蛋白質の末端ないしはその近傍のペプチド結合に作用するエキソ型プロテアーゼと、蛋白質の内部のペプチド結合に作用するエンド型プロテアーゼに分類され、これらのいずれか又は両方は本発明に有利に利用できる。本発明で利用する蛋白質分解酵素の起源に関しては、例えば、大豆は通常その内部に本来的にエンド型及びエキソ型のいずれか又は両方の蛋白質分解酵素を有しているので、上記の工程は呉を単に上記の条件下で保持することにより実施することができる。また、蛋白質分解酵素として外来の蛋白質分解酵素を用いることもできる。本発明で利用できる外来の蛋白質分解酵素としては、例えば、麹、枯草菌、黴、酵母などの微生物起源や、パパイアなどの植物起源の、単離されたエンド型ならびにエキソ型の該酵素が挙げられ、これらは、食品製造用酵素製剤として種々市販もされているので(ノボザイムズ・ジャパン株式会社販売等)、これらを適宜利用することも随意である。さらにまた、外来の蛋白質分解酵素としては植物組織や微生物破砕物などを利用することもできる。例えば、大麦・小麦・米などの穀類の胚芽や、穀類の幼植物体ないしはその一部分、さらには、麹、乳酸菌、酵母、黴などの微生物の破砕物などは蛋白質分解酵素を豊富に含むので、これらをそのまま、あるいは、抽出等により部分精製した上で本発明に利用することができる。なお、これらの植物組織や微生物破砕物は通常グルタミン酸脱炭酸酵素をも含むので、後述するグルタミン酸脱炭酸酵素による反応を強化することにもなる。以上のような外来の蛋白質分解酵素を利用する場合、上述の当該大豆加工食品としての要件を満たす範囲で添加するのが望ましい。
【0018】
蛋白質分解酵素の存在下で呉を保持する条件は、該酵素の存在下で行う工程において効率的にγ−アミノ酪酸を生成させるとともに、呈味・食感の良好な当該大豆加工食品を得るためには、通常、温度は20℃乃至60℃の範囲が、また、時間は2時間乃至12時間の範囲が好適である。外来の蛋白質分解酵素を添加することなく又は麹起源の該酵素を添加して行う場合には、温度は30℃乃至50℃の範囲が、時間は4時間乃至10時間の範囲がとりわけ好適である。pHは、利用する蛋白質分解酵素の性質と後述する大豆のグルタミン酸脱炭酸酵素の性質を加味して適宜選択することができ、通常、弱酸性域乃至弱アルカリ性域、望ましくは、pH4乃至pH9、より望ましくは、pH5乃至pH8の範囲とするときには、高含量でγ−アミノ酪酸を含み、呈味・食感の良好な当該大豆加工食品の製造につながる。
【0019】
蛋白質分解酵素の存在下で行う上記の工程により、グルタミン酸を含む遊離のアミノ酸類が呉に生成する。一方、呉には大豆が本来有するグルタミン酸脱炭酸酵素も含まれるので、上記の工程においては、遊離したグルタミン酸からのγ−アミノ酪酸の生成反応も同時に進行する。斯くして蛋白質分解酵素の存在下で行う上記の工程中にγ−アミノ酪酸が生成することとなる。なお、上記の工程における蛋白質分解酵素ならびにグルタミン酸脱炭酸酵素による反応は、大豆由来の他の成分、例えば、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンなどの多糖類や油脂などにより阻害をうけ、γ−アミノ酪酸の生成量に悪影響を及ぼす場合がある。このような問題はセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼなどの多糖分解酵素や乳化剤をさらに併用することにより回避し得る。市販の食品製造用酵素剤には、蛋白質分解酵素と多糖分解酵素とを配合した酵素剤もある(長瀬産業販売等)ので、原料や製品の用途に応じて該酵素剤を本発明の実施に利用することも随意である。また、グルタミンをグルタミン酸に変換する酵素であるグルタミナーゼを上記の工程においてさらに添加すれば、グルタミンもγ−アミノ酪酸の原料となるので、γ−アミノ酪酸含量のさらなる上昇を達成できる。ただし、蛋白質分解酵素以外の以上のような酵素や乳化剤の併用は、場合によっては、最終製品の呈味や食感に悪い影響を与える可能性もあるので、多糖分解酵素やグルタミナーゼなどの蛋白質分解酵素以外の酵素類ならびに乳化剤は当該大豆加工食品の種類や適用対象など目的に応じて適宜選択して利用するのが望ましい。
【0020】
上記の工程を経た呉を用いれば本発明による大豆加工食品は製造することができる。すなわち、上記の工程を経た呉を大豆蛋白質の抽出処理に供した後、常法により液体部と固体部とに分離すれば、それぞれ本発明による豆乳及びおからが得られる。そして、適宜の凝固剤を用いて当該豆乳を凝固させる工程を経れば、本発明による豆腐が得られる。
【0021】
大豆蛋白質の抽出処理は、この処理による産物を用いて所望の当該大豆加工食品が得られるものである限り、その方法及び条件に特に制限はない。通常は、蛋白質分解酵素の存在下で保持する工程を経た上記の呉を、弱酸性域乃至アルカリ性域のpHに調整し、必要に応じて加温することにより良好に抽出を行うことができる。pHを中性域乃至アルカリ性域、望ましくは、pH6乃至11、より望ましくは、pH7乃至10とするか、温度を高温域で、通常、80℃以上、望ましくは、90℃乃至100℃とするか、あるいは両条件を併用して抽出処理を行うときには、大豆蛋白質とともにイソフラボノイド等の大豆由来の有用物質をより効率的に抽出できるという特徴がある。また、高温域で抽出処理すれば、呉の殺菌や酵素の失活も達成されるので、品質の安定した製品の製造にもつながる。これに対し、pHを弱酸性域乃至中性域とし、常温で抽出処理を行うときには、大豆蛋白質の抽出率は若干劣るものの、人によっては不快味と感じられることのあるイソフラボノイドの抽出率を比較的低く抑えることができるとともに、着色をより抑えた製品の製造にもつながる場合もあるので、斯かる常温での抽出処理を目的に応じて実施することも随意である。なお、常温で抽出処理を行う場合には、後述する、液体部と固体部との分離工程を経た後、必要に応じて、分離された液体部と固体部のそれぞれを高温域で処理することも有利に実施できる。一方、γ−アミノ酪酸の抽出効率ならびに固体部への残存率は、いずれの条件で行う場合にも概ね一定である。したがって、抽出処理の条件は、以上のような条件から、製造する大豆加工食品の種類やその用途など目的に応じて適宜選択すればよい。
【0022】
以上のような抽出処理を経た呉を液体部と固体部に分離するには、例えば、スクリュープレス、スクリューデカンターなどを用いる常法によればよい。斯くして得られる液体部及び固体部は、必要に応じて、所望のpHに調整したり、固形分含量を調整したり、常法により製造された豆乳及びおからをそれぞれに配合したり、さらには、適宜の添加物を添加して製品とされる。斯くして本発明による豆乳とおからは製造される。
【0023】
上記のようにして得られる本発明による豆乳を凝固させれば本発明による豆腐は製造することができる。凝固の方法に関しては、所望の形状の豆腐が製造できるものである限り、用いる凝固剤の種類や凝固の条件等は問わない。
【0024】
上述のとおり、蛋白質分解酵素の存在下で保持する工程を経由した豆乳においては大豆蛋白質の少なくとも一部が分解されていることから、斯くかる豆乳を用いて常法にしたがって豆腐を製造する場合には凝固が不十分であったり、また、全く凝固しない場合がある。このような問題は、凝固剤としてマグネシウム塩を用いたり、常法により得た豆乳を上記の工程を経て得た豆乳と配合した上で適宜の凝固剤を用いて凝固させることなどにより回避できる。
【0025】
以前より、古典的な製法により、塩化マグネシウムを主体とする天然のにがりを用いて製造された豆腐は呈味に優れることはよく知られていた。しかしながら、その強力な凝固力故に、凝固剤としてマグネシウム塩を主として用いて均質な豆腐を大量製造することは極めて困難であり、近年の工業的な豆腐の製造においてはマグネシウム塩の多用は敬遠されてきた。その結果、工業的に製造された豆腐の呈味の悪さが指摘されることも多い。これに対し、本発明による豆乳から豆腐を製造する際には、呈味を改善するのに十分量のマグネシウム塩を用いたときにも穏やかに凝固が進行するので、呈味に優れた豆腐を工業的に製造することが可能となる。さらに加えて、マグネシウム塩とグルコノデルタラクトンを凝固剤として併用するときには、極めて呈味に優れる上、なめらかな食感の上質の豆腐となる。したがって、本発明による製造方法においては、上記で述べた好ましいマグネシウム含量ならびにグルコン酸含量となるように両凝固剤を用いることも随意である。
【0026】
本発明による豆腐を製造するには、上記のような本発明による豆乳と凝固剤とを用いて、一般的な豆腐の製造方法にしたがって操作すればよい。一般的な豆腐の製造方法の概略を述べると、充填豆腐は、豆乳に、通常はグルコノデルタラクトンを含む凝固剤を添加した後、これを所望の容量、通常は、1食分の容量の耐熱性の容器に充填し、密閉した後、90℃以上で30分乃至90分保持し、さらに冷却することにより凝固させて製造される。絹ごし豆腐は、豆乳に、通常は70℃乃至80℃に維持した条件下で適宜の凝固剤を添加し、これを箱形に流し込んで20分乃至1時間静置して凝固させ、1丁ごとに適宜の容器に封入して製造される。木綿豆腐及びソフト豆腐は、通常は70℃乃至80℃に維持した条件下で凝固剤を添加し、これを所望の容器に流し込んで静置して一旦凝固させ、この凝固物を箱形に移し、20分程度適度の圧力をかけて余分な水分を除き、水さらしをして、1丁ごとに適宜の容器に封入して製造される。以上のような製法のいずれによっても本発明の豆腐は製造できるけれども、豆乳中のγ−アミノ酪酸を十分に利用するためには、水さらしをしない充填豆腐や、比較的少量の水で水さらしをする絹ごし豆腐がより望ましく、これらのうち充填豆腐は特に望ましい。また、充填豆腐の場合、密封した後に加熱するので、比較的長期の保存に耐えるという利点もある。充填のための容器の形状には特に制限はなく、袋詰め式、箱詰め式など慣用のものはいずれも有利に利用できる。
【0027】
以上のようにして製造される本発明による大豆加工食品におけるγ−アミノ酪酸含量は、湿重量100g当たり、少なくとも10mg以上、好適な場合には15mg以上、さらに好適な場合には20mg以上である。このように高含量でγ−アミノ酪酸を含有する本発明による大豆加工食品は、通常の大豆加工食品と同様に摂取すると、γ−アミノ酪酸本来の機能である血圧上昇抑制作用をはじめとする生体機能調整作用を顕著に発揮する。また、和田攻、『代謝』、第18巻、第6号、599頁(1981年)に記載されているとおり、マグネシウムは心筋梗塞、脳卒中、心臓病などの循環器系の疾患を緩和・予防する効果があることから、マグネシウムを含む本発明による豆腐は循環器系疾患の緩和・予防にも奏効する。
【0028】
以上のようにして得られる本発明による大豆加工食品は、それ自体で食品、健康食品、病院食などとして有用であるほか、家畜、家禽、愛玩動物などの動物用の飼料や該飼料に配合する素材として、また、さらに別の加工食品を製造するための原料ないしは素材などとしても有用である。例えば、本発明による大豆加工食品に、必要に応じて適宜の添加物や他の食品素材を加えた上で、発酵食品の製造に通常利用される乳酸菌、麹、酵母、黴などの微生物を接種し、必要に応じて発酵条件を制御しつつ発酵させることにより、当該大豆加工食品に本来含まれるγ−アミノ酪酸を実質的に消費することなく所望の発酵食品を得ることもできるので、当該大豆加工食品はγ−アミノ酪酸含量を高めた、発酵豆腐、発酵豆乳、発酵おからをはじめとする諸種の発酵食品の製造原料として有用である。また、本発明による大豆加工食品より、常法により、凍り豆腐、焼き豆腐、湯葉、がんもどき、油揚げなどのさらに別の加工食品を製造したり、当該大豆加工食品をインスタント食品やレトルト食品の食材として利用することもできる。
【0029】
さらにまた、本発明による大豆加工食品に、糖質の配合、ホモジナイズ、濃縮、脱水、乾燥、粉末化のいずれかの加工処理を施し、さらに必要に応じて、凍結、加熱、希釈、成型、圧縮、蒸煮、発酵等の加工処理を施すことによりさらに別の加工物(以下、「当該加工物」という場合がある。)とし、これを利用することもできる。以上のような加工処理は、一般的な加工食品の製造において通常利用される方法にしたがって行うことができる。例えば、本発明による豆乳に関しては、これに糖質やそれ以外の成分(後述)を配合して呈味を調整した液体としたり、当該豆乳を濃縮し、必要に応じて糖質、賦形剤、基剤などを配合してペーストとしたり、さらに乾燥、粉末化の処理を施して粉末とすることなどが有利に実施できる。本発明によるおからに関しては、必要に応じて糖質などの他の成分を配合した上で、乾燥、粉末化の粉末化の処理を施して粉末としたり、さらに成型の処理を施してペレットなどの所望の形状とすることなどが有利に実施できる。本発明による豆腐に関しては、これを直接、脱水、乾燥などした後に粉末化の処理を施して粉末としたり、ホモジナイズして均質な液体の状態としたり、斯かる液体を上記の豆乳の処理に準じて所望の形態とすることなどが有利に実施できる。以上のような加工処理によって得られる当該加工物は、例えば、諸種の食品にγ−アミノ酪酸を強化するための添加物若しくは食品素材として利用できるほか、例えば、それ自体でγ−アミノ酪酸補給用の食品などとして利用することもできる。当該加工物におけるγ−アミノ酪酸含量は、必要に応じて配合される成分の量にもよるけれども、固形分100g当たり、通常、30mg以上、好適な場合には、50mg以上、さらに好適な場合には、100mg以上である。
【0030】
当該加工物に配合できる糖質としては、食品分野で一般的に利用される糖質、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ガラクトース、ラクトースなどの還元性糖質、マルチトール、ソルビトール、トレハロース(α,α−トレハロース)、ネオトレハロース、スクロースなどの非還元性糖質(糖アルコールを含む)、澱粉、澱粉部分分解物、プルラン、デキストラン、アラビアガム、カードラン、カラギナン、キサンタンガムなどの多糖類などが挙げられる。以上のような糖質から、個々の糖質の特性を勘案して、当該加工物の利用分野・利用形態に応じて選ばれる1種又は2種以上を適宜利用することができる。例えば、マルチトールやトレハロースなどの非還元性糖質は、それ自体安定性の高い糖質である上に、配合割合によっては、本発明による大豆加工食品中の成分の安定性を顕著に高める場合もあるので、安定剤として利用することも可能である。糖質の配合量は、糖質の種類や最終製品の形態などに応じて適宜選ばれる。例えば、当該加工物を、別の食品に添加又は配合する添加物や食品素材として利用する場合の好適な配合量は、配合する糖質の種類にもよるけれども、本発明による大豆加工食品に対する固形分重量比として、通常、0.01倍量乃至5倍量、望ましくは、0.05倍量乃至3倍量、より望ましくは、0.1倍量乃至2倍量の範囲である。また、当該加工物には、以上のような糖質以外の、例えば、酸味料、調味料、甘味料、着色料、着香料、強化剤、保存料、酸化防止剤、乳化剤、品質改良剤、基剤、賦形剤などの一般的な食品添加物を目的に応じて適宜配合することもできる。以上のような本発明による大豆加工食品の加工物を配合して利用することができる食品としては、例えば、パン、ドーナツ、ビスケット、クラッカー、クッキー、ケーキ、プリン、ゼリー、ヨーグルト、プロセスチーズ、乳飲料、乳酸菌飲料、キャンディー、タブレットなどが挙げられる。
【0031】
以下、実施例A及び比較例に基づいて本発明による大豆加工食品ならびにその製造方法を、実施例Bに基づいて本発明による大豆加工食品の加工物をより詳細に説明する。
【0032】
【実施例A−1】
〈豆腐及びおから〉
北米産大豆(IOM)1重量部を60ppmの次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、流水で洗浄し、水切りした後、1.5重量部の水に浸漬し、5℃で20時間保持して吸水させた。吸水後の大豆を、加水しつつグラインダーを用いて磨砕し、総重量5重量部の呉を得た。この呉を、pH5.5に調整した後、40℃で6時間保持した後、pH6.2に調整した上で、直火にかけて90℃以上で3分間保持し、その後、スクリューデカンターを用いて呉を搾り、豆乳とおからを得た。
【0033】
上記で得た豆乳1重量部に、塩化マグネシウム0.002重量部とグルコノデルタラクトン0.002重量部を添加した後、150ml容のポリプロピレン製の角形容器に充填して、ホットパックにより密封した。容器に密封された豆乳を90℃で50分間保持して内容物を凝固させ、その後冷却して充填豆腐を得た。
【0034】
本実施例で得た充填豆腐とおからのそれぞれ一部を採取し、0.02N塩酸中で常法によりホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、それぞれの抽出上澄液をアミノ酸分析計(日立製作所製、『日立835型高速アミノ分析計』及び『日立D−7000型インテグレーション』)により分析しγ−アミノ酪酸含量を求めた。その結果、湿重量100g当たりのγ−アミノ酪酸含量は、充填豆腐の場合約20mg、おからの場合約17mgであった。
【0035】
本実施例による充填豆腐ならびにおからは、γ−アミノ酪酸を多量に含み、呈味・食感に優れる上、γ−アミノ酪酸本来の作用を顕著に示すので、日常的に無理なく摂取することのできる、高血圧等の諸種の体調不良、疾患等の予防・軽減に奏効する食品、健康食品などとして有用である。
【0036】
【実施例A−2】
〈豆乳及びおから〉
北米産大豆(IOM)1重量部を60ppmの次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、流水で洗浄し、水切りした後、1.5重量部の水に浸漬し、5℃で20時間保持して吸水させた。吸水後の大豆を、加水しつつグラインダーを用いて磨砕し、総重量5重量部の呉を得た。この呉をpH5.5に調整した後、これに、蛋白質分解酵素剤(ノボザイムズ・ジャパン株式会社販売、商品名『フレーバーザイム1000L』、製剤1g当たり1000ロイシンアミノペプチダーゼ単位。なお、1ロイシンアミノペプチダーゼ単位は1分間に1μmolのL−ロイシン−P−ニトロアニリドを生成する酵素量を意味する。)0.017重量部を加え、40℃で8時間保持した。反応後の呉を、pH9に調整した上で、直火にかけて90℃以上で3分間保持し、その後、スクリューデカンターを用いて呉を搾り、豆乳とおからを得た。
【0037】
本実施例で得た豆乳とおからのそれぞれ一部を採取し、0.02N塩酸中で常法によりホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、それぞれの抽出上澄液を実施例A−1と同様にしてアミノ酸分析計により分析し、γ−アミノ酪酸含量を求めた。その結果、湿重量100g当たりのγ−アミノ酪酸含量は、豆乳の場合約26mg、おからの場合約22mgであった。
【0038】
本実施例による豆乳ならびにおからは、γ−アミノ酪酸を多量に含み、呈味・食感に優れる上、γ−アミノ酪酸本来の作用を顕著に示すので、日常的に無理なく摂取することのできる、高血圧等の諸種の体調不良、疾患等の予防・軽減に奏効する食品、健康食品などとして有用である。
【0039】
【実施例A−3】
〈豆腐〉
日本産大豆(エンレイ)1重量部を60ppmの次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、流水で洗浄し、水切りした後、1.5重量部の水に浸漬し、5℃で20時間保持して吸水させた。吸水後の大豆を、加水しつつグラインダーを用いて磨砕し、総重量3重量部の呉を得た。この呉をpH5.5に調整した後、これに、蛋白質分解酵素剤(ノボザイムズ・ジャパン株式会社販売、商品名『フレーバーザイム 1000L』、製剤1g当たり1000ロイシンアミノペプチダーゼ単位。なお、1ロイシンアミノペプチダーゼ単位は1分間に1μmolのL−ロイシン−P−ニトロアニリドを生成する酵素量を意味する。)0.018重量部を加え、40℃で6時間保持した。反応後の呉を、pH9.0に調整した上で、直火にかけて90℃以上で3分間保持し、その後、スクリューデカンターを用いて呉を搾り、液体部を分離した。この液体部をpH6.5に調整した後、その1重量部と、日本産大豆(エンレイ)より、常法により、呉を調製した直後に加熱処理し、液体部を分離して得た豆乳(固形分約10重量%)0.2重量部とを混合した。
【0040】
上記で混合して調整した豆乳1重量部に、塩化マグネシウム0.002重量部とグルコノデルタラクトン0.002重量部を添加した後、150ml容のポリ塩化ビニリデン製の袋形容器に充填して、ヒートシールして密封した。容器に密封された豆乳を90℃で50分間保持して内容物を凝固させ、その後冷却して充填豆腐を得た。
【0041】
本実施例で得た充填豆腐の一部を採取し、0.02N塩酸中で常法によりホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、その抽出上澄液を実施例A−1と同様にしてアミノ酸分析計により分析しγ−アミノ酪酸含量を求めた。その結果、湿重量100g当たりのγ−アミノ酪酸含量は約19mgであった。
【0042】
本実施例による充填豆腐は、γ−アミノ酪酸を多量に含み、呈味・食感に優れる上、γ−アミノ酪酸本来の作用を顕著に示すので、日常的に無理なく摂取することのできる、高血圧等の諸種の体調不良、疾患等の予防・軽減に奏効する食品、健康食品などとして有用である。
【0043】
【比較例1】
従来からの一般的な製法にしたがって、下記のとおり豆腐、豆乳及びおからを製造した。先ず、北米産大豆(IOM)1重量部を60ppmの次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、流水で洗浄し、水切りした後、1.5重量部の水に浸漬し、5℃で20時間保持して吸水させた。吸水後の大豆を、加水しつつグラインダーを用いて磨砕し、総重量5重量部の呉を得た。磨砕直後に呉を直火にかけて90℃以上で3分間保持し、その後、スクリューデカンターを用いて呉を搾り、豆乳とおからを得た。
【0044】
上記と同様にして調製した豆乳1重量部に、塩化マグネシウム0.002重量部とグルコノデルタラクトン0.002重量部を添加した後、150ml容のポリプロピレン製の角形容器に充填して、ホットパックにより密封した。容器に密封された豆乳を90℃で50分間保持して内容物を凝固させ、その後冷却して充填豆腐を得た。
【0045】
本比較例で得た充填豆腐、豆乳、おからのそれぞれ一部を採取し、0.02N塩酸中で常法によりホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、それぞれの抽出上澄液を実施例A−1と同様に分析しγ−アミノ酪酸含量を求めた。その結果、湿重量100g当たりのγ−アミノ酪酸含量は、充填豆腐の場合約4mg、豆乳の場合約4mg、おからの場合約3mgであった。本比較例は、本発明による大豆加工食品が、従来の豆腐、豆乳ならびにおからと比較して顕著に高含量のγ−アミノ酪酸を含有することを示している。
【0046】
【比較例2】
実施例A−2に記載の豆乳及びおからの製造方法ならびに、実施例A−3に記載の豆腐の製造方法における蛋白質分解酵素を、同酵素剤を予め121℃で20分間処理して得た失活酵素剤に置き換えて操作して、豆乳、おから及び豆腐を得た。
【0047】
本比較例で得た豆乳、おから及び豆腐のそれぞれ一部を採取し、0.02N塩酸中で常法によりホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、それぞれの抽出上澄液を実施例A−1と同様に分析しγ−アミノ酪酸含量を求めた。その結果、湿重量100g当たりのγ−アミノ酪酸含量は、豆乳の場合約4mg、おからの場合約3mg、豆腐の場合約3mgであった。また、本比較例による豆乳、おから、豆腐と、それぞれに対応する、実施例A−2による豆乳及びおからならびに、A−3による豆腐とを賞味し、その呈味を比較した。その結果、上記実施例による大豆加工食品は、それぞれ、対応する本比較例による大豆加工食品と比べて、特に濃厚な旨味という点で良好な呈味であった。このことは、本発明の製造方法による場合、得られる大豆加工食品は、γ−アミノ酪酸含量の点のみならず、呈味の点においても優れていることを示している。
【0048】
【実施例B−1】
〈豆乳の加工物〉
実施例A−2の方法で得た豆乳100重量部に対して、含水結晶トレハロース(商品名『トレハ』、林原商事株式会社販売)を5重量部添加し、十分に混合してトレハロースを溶解させた。この混合物を急速凍結(−50℃)させた後、これを凍結乾燥した。この凍結乾燥物を粉砕機にかけて、粉末の形態にある、豆乳の加工物を得た。
【0049】
上記の豆乳の加工物の一部を採取し、0.02N塩酸中で常法によりホモジナイズしてアミノ酸類を抽出し、得られた抽出上澄液を実施例A−1と同様に分析しγ−アミノ酪酸含量を求めた。また、第一法規出版発行、『第十三改正日本薬局方』(1996年)、34頁に記載の乾燥減量試験法にしたがって、上記の豆乳の加工物の水分含量を求めた。これらの分析結果より、固形分当たりのγ−アミノ酪酸含量を求めたところ、上記の豆乳加工物の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量は約175mgであった。
【0050】
本実施例による豆乳の加工物は、呈味に優れる上、γ−アミノ酪酸を、これを経口摂取した際にその作用を顕著に示す十分量含んでいるので、それ自体でγ−アミノ酪酸補給用剤などとして利用できるほか、豆乳の風味とγ−アミノ酪酸による作用を諸種の食品に付与するための食品素材としても有利に利用できる。
【0051】
【実施例B−2】
〈おからの加工物〉
実施例A−2の方法で得たおからを急速凍結(−50℃)させた後、これを凍結乾燥し、この凍結乾燥物を粉砕機にかけて、粉末の形態にある、おからの加工物を得た。
【0052】
上記のおからの加工物を、実施例B−1の方法にしたがって、γ−アミノ酪酸含量と水分含量について分析したところ、本品の固形分100g当たりγ−アミノ酪酸含量は約145mgであった。
【0053】
本実施例によるおからの加工物は、γ−アミノ酪酸ならびに大豆由来の食物繊維を豊富に含んでいる上、呈味も良好で、γ−アミノ酪酸による血圧上昇抑制作用や食物繊維による整腸作用を発揮する健康食品などとしてそれ自体で利用できる。また、本品は、おからの風味ならびにγ−アミノ酪酸及び食物繊維による作用を諸種の食品に付与するための食品素材としても有利に利用できる。
【0054】
【実施例B−3】
〈豆乳の加工物〉
実施例A−1に記載の豆腐の製造方法における中間産物として得た豆乳の100重量部に対して、含水結晶トレハロース(商品名『トレハ』、株式会社林原商事販売)7重量部と無水結晶マルチトール(商品名『粉末マビット』、株式会社林原商事販売)3重量を添加し、混合して、トレハロース及びマルチトールを十分に溶解させ、豆乳の加工物を得た。
【0055】
上記のおからの加工物を、実施例B−1の方法にしたがって、γ−アミノ酪酸含量と水分含量について分析したところ、本品の固形分100g当たりγ−アミノ酪酸含量は約100mgであった。
【0056】
本実施例による豆乳の加工物は、γ−アミノ酪酸を豊富に含み、かつ、呈味も良好で、それ自体でγ−アミノ酪酸補給用の飲料として利用することができる。また、本品を、野菜飲料、果実飲料、乳酸菌飲料などに配合してγ−アミノ酪酸を強化する素材として利用することもできる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明は、大豆破砕物を蛋白質分解酵素存在下で20℃乃至60℃で2時間乃至12時間保持する工程による産物を利用して得ることのできる、湿重量100g当たり10mg以上のγ−アミノ酪酸を含有する豆腐、豆乳ならびにおからが、呈味・食感に優れ、日常的に無理なく摂取することができる上、γ−アミノ酪酸本来の作用を顕著に発揮するという本発明者等による全く独自の知見に基づき完成されたものである。本発明による大豆加工食品は、高血圧症をはじめとする諸種の疾患の予防・軽減に奏効するので、それ自体で食品、健康食品、病院食、飼料などとして、また、そのままの状態で、あるいは、さらに加工処理を施して、諸種の食品にγ−アミノ酪酸を強化するための食品素材などとしても有利に利用できる。
【0058】
本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に貢献すること誠に多大な意義のある発明である。

Claims (2)

  1. 大豆を水に浸漬して吸水させ、吸水させた大豆を磨砕して、得られた大豆磨砕物を、20℃乃至60℃で2時間乃至12時間保持してγ−アミノ酪酸を産生させる工程を含むことを特徴とする豆腐、豆乳、若しくはおからの製造方法。
  2. 外来の蛋白質分解酵素を加える工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の腐、豆乳若しくはおからの製造方法。
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