しかしながら、カーボン系導電剤を含有した紫外線硬化型樹脂は、これを塗布したあと紫外線で硬化させようとしても、カーボンは非透明なので紫外線を吸収して、紫外線が層の奥まで到達しにくくなり、紫外線による樹脂の硬化が十分行えない可能性があり、そのため、導電剤としてカーボン系のものを用いることができないという問題点があった。
また、上記のように構成された樹脂層は、一般的には、樹脂成分を含んだ塗工液を、シャフト部材に塗装したのち、硬化させて形成されるが、このようにして形成された樹脂層は、表面粗度が十分でなく、そのため、トナーを外周面に担持して潜像保持体に供給する際の供給能力が不足する可能性があった。
本発明は、このような問題点を鑑みてなされてものであり、樹脂層の形成過程における乾燥ラインを不要なものとすることができ、しかも、樹脂層に導電性を付与するための導電剤としてカーボン系のものを用いることのできる現像ローラおよびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、所望のトナー供給能力を得るに十分な表面粗度を有する現像ローラおよびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
<1>は、長さ方向両端部を軸支されて取付けられるシャフト部材の半径方向外側に一層以上の樹脂層を設けてなり、外周面上に担持した非磁性現像剤を潜像保持体に供給する現像ローラにおいて、
前記シャフト部材を金属製パイプよりなるものとし、前記樹脂層の少なくとも一層を、導電剤および紫外線重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂で構成するとともに、前記導電剤は少なくともカーボン系のものを含み、前記紫外線重合開始剤は、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm以上であるものを含んでなる現像ローラである。
ここで「紫外線吸収波長帯域」とは、開始剤が開裂するに充分なエネルギーを得ることができる波長帯域をいい、単に微量の吸収があるだけの波長帯域は、吸収波長帯域には含まない。したがって、例えば、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm以上である場合とは、400nm以上の波長帯域でも、開裂が充分に開始できることを意味するものであり、この領域で紫外線を吸収しうることだけを意味するものではない。
<2>は、<1>の好適なものとして、前記紫外線重合開始剤は、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm未満のものも含んでなるものである。
<3>は、<1>もしくは<2>の好適なものとして、前記紫外線硬化型樹脂を、無溶剤の樹脂組成物よりなる塗工液を塗布し紫外線照射により硬化させて形成されたものとするものである。
<4>は、長さ方向両端部を軸支されて取付けられるシャフト部材の半径方向外側に一層以上の樹脂層を設けてなり、外周面上に担持した非磁性現像剤を潜像保持体に供給する現像ローラにおいて、
前記シャフト部材を金属製パイプよりなるものとし、前記樹脂層の少なくとも一層を、導電剤を含有する電子線硬化型樹脂で構成してなる現像ローラである。
本明細書において、電子線硬化型樹脂とは、架橋剤、重合開始剤、開裂補助剤を含有せず、これらの助剤を用いなくとも、電子線照射によるエネルギーによって自己架橋を進行させる特性を有する樹脂をいうものとする。だだし、実際の製造においてこれらを架橋剤等を配合して層を形成することは差し支えなく、電子線硬化型樹脂は、これらを架橋剤等との配合を拒むものではない。
<5>は、<4>の好適なものとして、前記電子線硬化型樹脂を、無溶剤の樹脂組成物よりなる塗工液を塗布し、電子線照射により硬化させて形成されたものとするものである。
<6>は、<1>〜<5>のいずれかの好適なものとして、前記樹脂層は2層以上で構成されるとともに、半径方向最外に位置する層を第二樹脂層とし、第二樹脂層の内側に隣接する層を第一樹脂層として、第一樹脂層の体積抵抗率が106Ω・cm以下であり、第二樹脂層の体積抵抗率が1010Ω・cm以上であることを特徴とするものである。
<7>は、<6>の好適なものとして、前記第二樹脂層を、導電性微粒子を含有しないよう構成してなるものである。
<8>は、<6>もしくは<7>の好適なものとして、前記第二樹脂層を構成する樹脂を、第一樹脂層を構成する樹脂に対する貧溶媒に溶解する樹脂としてなるものである。
<9>は、<6>〜<8>のいずれかの好適なものとして、前記第二樹脂層を、架橋化樹脂よりなるものとし、架橋前の樹脂に対する良溶媒で抽出した際の可溶部が30重量%以下である特性を具えるよう構成してなるものである。
<10>は、長さ方向両端部を軸支されて取付けられるシャフト部材の半径方向外側に一層以上の樹脂層を設けてなり、外周面上に担持した非磁性現像剤を潜像保持体に供給する現像ローラにおいて、
前記シャフト部材を金属製パイプよりなるものとし、前記樹脂層の少なくとも一層を、微粒子が分散された樹脂で構成してなる現像ローラである。
<11>は、<10>の好適なものとして、前記樹脂層は2層以上で構成されるとともに、半径方向最外に位置する層を第二樹脂層とし、第二樹脂層の内側に隣接する層を第一樹脂層として、前記微粒子は、第二樹脂層に含まれず、第一樹脂層にだけ分散されてなることを特徴とするものである。
<12>は、<11>の好適なものとして、前記第一樹脂層の体積抵抗率を106Ω・cm以下とし、前記第二樹脂層の体積抵抗率を、1010Ω・cm以上としてなるものである。
<13>は、<10>〜<12>のいずれかの好適なものとして、前記微粒子の平均粒径を、1〜50μmとするものである。
<14>は、<10>〜<13>のいずれかの好適なものとして、前記微粒子の含有量を、樹脂100重量部に対し0.1〜100重量部とするものである。
<15>は、<10>〜<14>のいずれかの好適なものとして、前記樹脂層の厚さの合計を、1〜50μmとしてなるものである。
<16>は、<10>〜<15>のいずれかの好適なものとして、前記微粒子の平均粒径aと樹脂層の合計厚さbとの比a/bを、1.0〜5.0としてなるものである。
<17>は、<10>〜<16>のいずれかの好適なものとして、前記微粒子を、ゴム又は合成樹脂よりなるものとするものである。
<18>は、<17>の好適なものとして、前記微粒子を、シリコーンゴム微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、アクリル/スチレン共重合体微粒子、フッ素樹脂微粒子、ウレタンエラストマー微粒子、ウレタンアクリレート微粒子、メラミン樹脂微粒子及びフェノール樹脂微粒子から選ばれた少なくとも1種よりなるものとするものである。
<19>は、<10>〜<18>のいずれかの好適なものとして、前記樹脂層の少なくとも一層を、紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂としてなるものである。
<20>は、<1>〜<19>のいずれかの好適なものとして、少なくとも、半径方向最外に位置する樹脂層を、フッ素および珪素のうち少なくとも一方を含有した樹脂で構成してなるものである。
<21>は、<1>〜<20>のいずれかの好適なものとして、前記樹脂層の総厚さを、1〜500μmとしてなるものである。
<22>は、<1>〜<21>のいずれかの好適なものとして、前記紫外線硬化型樹脂に含有されるカーボン系導電剤の含有量を、樹脂100重量部に対し1〜20重量部としてなるものである。
<23>は、<1>〜<22>のいずれかの好適なものとして、前記紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂にに含有させる導電剤を、2種類以上のもので構成してなるものである。
<24>は、<1>〜<23>のいずれかの好適なものとして、前記シャフト部材と最内側の樹脂層との間に、弾性層を配設してなるものである。
<25>は、<1>〜<24>のいずれかの好適なものとして、前記シャフト部材を、アルミニウム、ステンレス鋼及び鉄、ならびに、これらのいずれかを含む合金から選ばれた金属で構成してなるものである。
<26>は、<1>〜<25>のいずれかの現像ローラを具えてなる画像形成装置である。
<1>によれば、紫外線重合開始剤は、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm以上であるものを含むので、400nm以上の長波長紫外線は樹脂層の奥まで到達でき、カーボン系導電剤による層奥での紫外線量の減少を補ってそこでの紫外線硬化反応を進行させることができ、したがって、紫外線硬化型樹脂に含有させる導電剤として、種々の点で有利なカーボン系のものの適用を可能にすることができる。
<2>によれば、前記紫外線重合開始剤は、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm未満のものも含むので、最大波長を400nm未満とする短波長の紫外線の作用により、層の表面に近い部分についても、樹脂の硬化反応を効果的に進行させることができる。
<3>によれば、前記紫外線硬化型樹脂を、無溶剤の樹脂組成物よりなる塗工液を塗布し、紫外線照射により硬化させて形成されたものとしたので、紫外線照射の代わりに熱もしくは熱風で乾燥して硬化させて形成するのに対比して、乾燥のための大掛かりな設備とスペースとを節減することができ、しかも、乾燥プロセスの制御が難しいことに起因する成膜のばらつきを抑制し、樹脂層を高精度に形成することができる。
<4>の発明によれば、シャフト部材の外側に配置した樹脂層の少なくとも一層を、導電剤を含有する電子線硬化型樹脂で構成したので、樹脂層の形成過程における乾燥ラインを不要なものとすることができ、しかも、これを紫外線硬化型樹脂で構成した場合と異なり、潜像保持体を汚染するおそれなく樹脂層に導電性を付与することのできる導電剤としてカーボン系のものを用いることができる。
<5>によれば、前記電子線硬化型樹脂を、無溶剤の樹脂組成物よりなる塗工液を塗布し、電子線照射により硬化させて形成されたものとしたので、電子線照射の代わりに熱もしくは熱風で乾燥して硬化させて形成するのに対比して、乾燥のための大掛かりな設備とスペースとを節減することができ、しかも、乾燥プロセスの制御が難しいことに起因する成膜のばらつきを抑制し、樹脂層を高精度に形成することができる。
<6>によれば、前記樹脂層を2層以上よりなるものとし、半径方向最外に位置する第二樹脂層の体積抵抗率を1010Ω・cm以上とし、第二樹脂層の内側に隣接する第一樹脂層の体積抵抗率を106Ω・cm以下としたので、現像剤に対する帯電能が不十分なことに起因する、画像カブリや画像ムラ、ゴースト等の画像不良や、長期使用おいて、現像ローラに付着した現像剤に起因する画像不良を十分に抑制することができる。なお、このことは、発明者らが種々の実験の結果見出したものである。
<7>によれば、前記第二樹脂層を、導電性微粒子を含有しないよう構成したので、第二樹脂層の絶縁性を一層高め、長期にわたって、トナー帯電性能を良好に保ち、安定した画像を提供することができる。
<8>によれば、第二樹脂層を構成する樹脂を、第一樹脂層を構成する樹脂に対する貧溶媒に溶解する樹脂としたので、この貧溶媒を用いて調製した第二樹脂層用塗工液を第一樹脂層上に塗布すれば、第一樹脂層の形成に用いた溶媒が第二樹脂層用塗工液によって溶解されにくく、いわゆる風乾状態での乾燥、すなわち常温での乾燥でも、これらの樹脂層が相互に混ざりあうことはなく、良好な樹脂層を得ることができる。
<9>によれば、架橋化樹脂よりなるものとし、架橋前の樹脂に対する良溶媒で抽出した際の可溶部が30重量%以下である特性を具えるので、もし、可溶部が30重量%を超えた場合には、比較的低分子量のものや未硬化成分が多くなり、耐久寿命の不足,感光体の汚染,トナーの汚染や凝集,被覆層の摩耗,摩擦係数の増大などの原因となるという問題を防止することができる。
<10>によれば、前記樹脂層の少なくとも一層を、微粒子が分散された樹脂で構成したので、この微粒子によって生成された凹凸を外周面に形成することができ、このことにより、所望のトナー供給能力を得るに十分な表面粗度を有する現像ローラを提供することができる。
<11>によれば、前記樹脂層を2層以上よりなるものとし、前記微粒子を、半径方向最外に位置する第二樹脂層に含ませず、第二樹脂層の内側に隣接する第一樹脂層に分散させたので、第二樹脂層によって、第一樹脂層内の微粒子が直接現像ローラ表面に露出することがなくなり、その結果、微粒子の脱落を防止することができ、微粒子によって形成される表面粗度を長期に維持することができる。
<12>によれば、前記第一樹脂層の体積抵抗率を106Ω・cm以下とし、前記第二樹脂層の体積抵抗率を、1010Ω・cm以上としたので、現像剤に対する帯電能が不十分なことに起因する、画像カブリや画像ムラ、ゴースト等の画像不良や、長期使用おいて、現像ローラに付着した現像剤に起因する画像不良を十分に抑制することがでる。
<13>によれば、前記微粒子の平均粒径を、1〜50μmとしたので、最適なトナー搬送力を得ることができ、微粒子の平均粒径が、1μm未満の場合には、十分な表面粗度が得られず、その結果トナー搬送力が低下して、画像濃度の低下など印刷品位の低下を招くことになり、また、これが、50μmを超えた場合には、表面粗度が大きくなり過ぎて、トナー搬送力過多となり、適正なトナー帯電性を確保できなくなる。
<14>によれば、前記微粒子の含有量を、樹脂100重量部に対し0.1〜100重量部としたので、最適な表面粗度を得ることができ、微粒子の含有量が、樹脂100重量部に対し0.1重量部未満の場合には、微粒子が第一樹脂層の表面に存在する比率が小さくなりすぎて現像ローラに十分な表面粗度を付与することができず、逆に、これが、100重量部を超えた場合には、樹脂に対する微粒子の割合が大きくなりすぎて、樹脂の機能の発現が阻害され、良好な層をえることができにくくなる。
<15>によれば、樹脂層の合計厚さを、1〜50μmしたので、良好な画像形成に寄与させることができ、この厚さが1μm未満であると、耐久時の摩擦により十分に表面層の帯電性能が確保することができなくなる場合があり、一方、50μmを超えると、現像ローラ表面が硬くなり、トナーにダメージを与えて感光体等の画像形成体や成層ブレードへのトナーの固着が発生して画像不良となる場合がある。
<16>は、前記微粒子の平均粒径aと樹脂層の合計厚さbとの比a/bを、1.0〜5.0とするものであり、この比a/bが、1.0未満の場合には、樹脂中に微粒子が埋もれてしまい、現像ローラの表面粗度を大きくするのがむつかしくなり、これが、5.0を超えた場合には、微粒子を樹脂で固定化することがむつかしくなる。
<17>によれば、前記微粒子を、ゴム又は合成樹脂よりなるものとしたので、樹脂中へ微粒子を均一に分散させやすく、また、金属微粒子を含有する場合と異なり、電気抵抗を低下させることもない。
<18>によれば、前記微粒子を、シリコーンゴム微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、アクリル/スチレン共重合体微粒子、フッ素樹脂微粒子、ウレタンエラストマー微粒子、ウレタンアクリレート微粒子、メラミン樹脂微粒子及びフェノール樹脂微粒子から選ばれた少なくとも1種よりなるものとしたので、均一な微粒子分布を得やすく、また、所望のトナー帯電性能が得やすくなる。
<19>によれば、前記樹脂層の少なくとも一層を、紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂としたので、塗装された樹脂を紫外線もしくは電子線を照射して硬化させることができ、もしこれを熱硬化性樹脂で構成した場合には硬化のために必要となる大がかりが乾燥ラインを不要とすることができ、それに関するコストを大幅に低減することができる。
<20>によれば、少なくとも最外の樹脂層を、フッ素および珪素のうち少なくとも一方を含有した樹脂で構成したので、最外層の樹脂層の表面エネルギーを低減することができ、その結果、現像ローラの摩擦抵抗を低下させるとともに、トナーの離型性も向上し、長期間の使用における摩耗を低減し耐久性を向上させることができる。
<21>は、前記樹脂層の総厚さを、1〜500μmとしたので、長期にわたって安定した画像を形成することができ、厚さが1μm未満であると、長期使用時の摩擦により十分に表面層の帯電性能を確保することができなくなる場合があり、一方、これが500μmを超えると、現像ローラ表面が硬くなり、トナーにダメージを与えて感光体等の画像形成体や成層ブレードへのトナーの固着が発生して画像不良となる場合がある。
<22>は、紫外線硬化型樹脂に含有されるカーボン系導電剤の含有量を、樹脂100重量部に対し1〜20重量部としたので、最適な電気的特性を付与することができ、カーボン系導電剤の含有量が、1重量部未満の場合には、十分な導電性を確保することができず、一方、これが20重量部を越えた場合には、樹脂が固くなって脆くなり、また、著しく高導電化することにより使用中にリークが発生する虞があり、さらに、カーボン系導電剤は紫外線を吸収しやすいため、導電剤の量が多いほど紫外線が層の奥まで到達にくくなり、そのため紫外線硬化反応の進行が十分進まなくなってしまう。
<23>によれば、紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂に含有させる導電剤を2種類以上のもので構成したので、印加される電圧の変動や環境の変化に影響されることなく安定して導電性を発現させることができる。
<24>によれば、前記シャフト部材と半径方向最内側の樹脂層との間に、弾性層を配設したので、樹脂層が潜像保持体や成層ブレードに押し当てられる際の、樹脂層にかかる応力を緩和して、樹脂層の耐久性を向上させるとともに、トナーに対する応力も緩和することができ、このことにより、長期にわたって安定した画像の形成に資することができる。
また、非磁性のトナーを用いた現像方式には、ジャンピング方式のほか、現像ローラを潜像担持体に押し当てて現像する加圧現像方式もあり、この現像ローラを加圧現像方式に用いた場合には、さらに、潜像担持体からの応力を緩和することができ、樹脂層の耐久性、長期にわたる現像性能の維持に、一層大きく寄与させることができる。
<25>によれば、シャフト部材は、アルミニウム、ステンレス鋼及び鉄、ならびに、これらのいずれかを含む合金から選ばれた金属で形成されたものとしたので、十分な導電性を確保するともに、強度、耐久性、加工性等においても、有利なものとすることができる。
<26>によれば、<1>〜<25>のいずれかの現像ローラを具えるので、前述の通り、樹脂層の形成過程における乾燥ラインを不要なものとすることができ、しかも、樹脂層に導電性を付与するための導電剤としてカーボン系のものを用いることのできるという点において、有利な画像形成装置とすることができる。
本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。図3(a)は、本実施形態の現像ローラを示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)のb−b矢視に対応する側面図である。現像ローラ1は、シャフト部材2の外周上に半導電性の弾性層3を形成し、更にこの弾性層3上に半導電性の樹脂層4を形成してなるが、弾性層3は必須の構成ではない。シャフト部材2は、中空円筒状の金属製パイプ5と、金属製パイプ5の両端に取付けられたそれぞれの軸付きキャップ6とを具え、シャフト部材2の長さ方向両端部となる、軸付きキャップ6には、シャフト部材2の長さ方向両端部を構成する軸部6aが設けられ、図示しない、画像形成装置のローラ支持部に軸支される。
シャフト部材2は、金属製であり、良好な導電性を有する。シャフト部材2に用いられる金属材料としては、特に限定するものではないが、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウムやこれらを含む合金等を用いることができる。
パイプの肉厚は、強度的に十分であるかぎり、軽量化の点で薄い方が好ましく、例えば、0.3〜2mmとすることができる。また、金属製パイプ5と軸付きキャップ6とを組立てるには、例えば、図3(b)に示すように、金属製パイプ5に設けた凸部5aと、軸付きキャップ6に設けた凹部6bとを回り止めのため係合させたあと、金属製パイプ5と軸付きキャップ6とを接着剤、ピン止め等により固定すればよい。
樹脂層4は、トナーや画像形成装置の仕様に応じて、トナーに所要の帯電量を付与するとともに所要のトナー搬送量を得ることができ、また、潜像保持体へのトナー供給量が所要のものとなるよう、電気抵抗や表面性状等の特性が設定される。
また、樹脂層4は、一層、もしくは、材料や物性が相互に異なる複数の層で構成することができ、少なくとも一層は、カーボン系を含む導電剤を含有した、紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂より形成される。なお、図3は、樹脂層4が一層のものよりなる場合の現像ローラを示す。
樹脂層4を形成する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
さらに、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもできる。また、樹脂層4の力学的強度、耐環境特性を改善するため、架橋構造を有するものを導入することが好ましい。
上記の樹脂のうち、特に、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系の、紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂より形成された組成物が好適である。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系の(メタ)アクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
紫外線硬化型もしくは電子線硬化型樹脂の樹脂組成物には、必要に応じて粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応及びアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常10〜200重量部用いることが好ましい。
樹脂層4を構成する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂には、その導電性を制御する目的で導電剤が配合される。カーボン系導電剤は少量の添加で高い導電性を得ることができるため、本発明の現像ローラ1においては、導電剤として、カーボン系を含んだものを少なくとも用いる。カーボン系導電剤としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラックを用いるのが好ましいが、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボンブラック、酸化カーボンブラック等のインク用カーボンブラック,熱分解カーボンブラック、グラファイト等も用いることができる。
カーボン系導電剤の配合量は、これを電子線硬化型樹脂に含有させて用いる場合には、樹脂100重量部に対し100重量部以下、例えば、1〜100重量部、特に1〜80重量部、とりわけ10〜50重量部であることが好適であるが、これを紫外線硬化型樹脂に含有させて用いる場合には、樹脂100重量部に対し20重量部以下、例えば、1〜20重量部、特に1〜10重量部、とりわけ2〜5重量部であることが好適であり、これは、カーボン系導電剤は紫外線を吸収しやすいため、これが20重量部を越えた場合には、導電剤の量が多いほど紫外線が層の奥まで到達にくくなり、そのため紫外線硬化反応の進行が十分進まなくなってしまう虞があるからである。
導電剤として、2種類以上のものを混合して用いてもよく、この場合、印加される電圧の変動や環境の変化に対しても安定して導電性を発現することができる。混合例としては、カーボン系導電剤に、カーボン系以外の電子導電剤やイオン導電剤を混合したものをあげることができる。
導電剤としてカーボン系の外にイオン導電剤を含む場合、樹脂層4におけるイオン導電剤の配合量は樹脂100重量部に対し20重量部以下、特に0.01〜20重量部、とりわけ1〜10重量部であることが好ましい。
イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム,ラウリルトリメチルアンモニウム等のドデシルトリメチルアンモニウム,ヘキサデシルトリメチルアンモニウム,ステアリルトリメチルアンミニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム,ベンジルトリメチルアンモニウム,変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等のアンモニウムの過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,アルキル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩などの有機イオン導電剤;リチウム,ナトリウム,カルシウム,マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,トリフルオロメチル硫酸塩,スルホン酸塩などの無機イオン導電剤を例示することができる。
カーボン系以外の電子導電剤をカーボン系のものと混合して用いる場合、電子導電剤の配合量は、樹脂100重量部に対し100重量部以下、例えば、1〜100重量部、特に1〜80重量部、とりわけ10〜50重量部であることが好適である。
カーボン系以外の電子導電剤としては、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粒子;、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属の酸化物;導電性酸化チタンウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカーのような透明なウイスカー;などを例示することができる。
本発明の現像ローラ1において、樹脂層4を紫外線硬化型樹脂を用いて構成する場合には、その形成過程において樹脂の硬化反応の開始を促進させるための、紫外線重合開始剤を含有するが、一方、樹脂層4に導電性を付与するための導電剤として、カーボン系のものを含有するので、このカーボン系導電剤により紫外線が層中まで届かなくなる可能性があり、この結果、紫外線重合開始剤がその機能を充分発揮できなくなり、硬化反応が進行しなくなる一因となる。
この点を改善するため、本発明の現像ローラ1においては、層の奥まで入り込むことのできる長波長の紫外線を吸収させるべく、紫外線重合開始剤として、紫外線吸収波長帯域の最大波長を400nm以上とするものを使用することが特徴であり、このような紫外線重合開始剤としては、α−アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントンノアミン等を用いることができ、これらのより具体的な例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド又は2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンを挙げることができる。
また、紫外線重合開始剤として、紫外線吸収波長帯域の最大波長を400nm以上とする長波長ものに加えて、紫外線吸収波長帯域の最大波長を400nm未満とする短波長のものも含ませるが好ましく、このことにより、カーボン系導電剤を用いた場合に、層奥だけでなく、層の表面近傍についても良好に硬化反応を進行させることができる。
このような短波長の吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ1,2ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル]2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
紫外線重合開始剤を配合する場合、その配合量は、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.1〜10重量部が好ましい。
本発明においては、上記成分以外に、必要に応じて、上記の重合開始剤による重合反応を促進するためにトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを紫外線硬化型樹脂に添加してもよい。これらの化合物を添加する場合、その添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
また、少なくとも最外側に位置する樹脂層4に関しては、これを構成する樹脂に、フッ素および珪素の一方もしくは両方を含有させるのが好ましく、このことにより、最外層の樹脂層の表面エネルギーを低減することができ、その結果、現像ローラの摩擦抵抗を低下させるとともに、トナーの離型性も向上し、長期間の使用における摩耗を低減し耐久性を向上させることができる。
フッ素を含む紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物を含有することが好ましく、この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物のみからなってもよく、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物としては、フルオロオレフィン類を構成材料とするオリゴマー等の化合物、あるいは、フルオロ(メタ)アクリレート類が好適である。
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数5〜16のフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(CF3CH2OCOCH=CH2、フッ素含有率34重量%)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(CF3CF2CH2OCOCH=CH2、フッ素含有率44重量%)、F(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2(フッ素含有率51重量%)、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート[CF3CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率37重量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート[CF3CF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率47重量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[F(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率54重量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率49重量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[F(CF2)6CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59重量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率55重量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[F(CF2)8CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率62重量%]、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59重量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[F(CF2)10CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率65重量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57重量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率52重量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率61重量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57重量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率64重量]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率60重量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート[H(CF2)2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率41重量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート[H(CF2)4CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率53重量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート[H(CF2)6CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59重量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[H(CF2)8CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率63重量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CF3)2CHOCOCH=CH2,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率48重量%]、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート[CF3CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率34重量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率44重量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[F(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率47重量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[F(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57重量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率53重量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[F(CF2)8CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61重量%]、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57重量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[F(CF2)10CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率63重量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率55重量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59重量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率56重量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率62重量%]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59重量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート[H(CF2)2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート[H(CF2)4CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[H(CF2)6CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57重量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[H(CF2)8CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61重量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CF3)2CHOCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率48重量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率46重量%]などが例示される。
上記の重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物は、モノマー、オリゴマーあるいはモノマーとオリゴマーの混合物であることが好ましい。オリゴマーとしては2〜20量体が好ましい。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマー、あるいはモノマーとオリゴマーの混合物が好適である。
この(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等のモノマー又はオリゴマー、また、シリコーン系の(メタ)アクリルのモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
また、珪素を含む紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物を含有することが好ましく、この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物のみからなってもよく、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物としては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好適である。反応性シリコーンオイル類としては、末端に(メタ)アクリル基を導入したものが好ましい。
本発明に好適な珪素含有化合物の具体例を以下に示す。
これらの珪素含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物を用いてもよい。
また、これらの重合可能な炭素間二重結合を有する珪素含有化合物及び他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物は、モノマー、オリゴマー或いはモノマーとオリゴマーの混合物として好ましく用いられる。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマー、あるいはモノマーとオリゴマーの混合物が好適である。オリゴマーとしては、2〜20量体が好ましい。
この(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等、また、フッ素系の(メタ)アクリルのモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
なお、樹脂層4を構成する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂には、その他必要に応じて種々の添加剤を適量添加することができる。
さらに、樹脂層4には微粒子を分散させることが好ましく、このことにより、樹脂層4の表面に微小な凹凸を形成して、外周面に担持したトナーの潜像保持体への搬送力を確実ものにすることができる。
上記微粒子としては、ゴム又は合成樹脂の微粒子やカーボン微粒子が好適であり、具体的にはシリコーンゴム、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合体、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、ウレタンアクリレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂の1種又は2種以上が好適である。
微粒子の添加量は、樹脂100重量部に対し0.1〜100重量部特に5〜80重量部が好適である。
この微粒子の平均粒径aは1〜50μm、特に3〜20μmが好適である。また、微粒子を分散させた樹脂よりなる層の厚さbは、1〜50μmであることが好ましく、微粒子の平均粒径a(μm)とこの厚さb(μm)との比a/bは1.0〜5.0とするのが好ましく、a/b比をこの範囲とすることにより、樹脂層4の表面に適正な微小凹凸を形成することができる。
紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなる樹脂層4を層形成する方法としては、上記樹脂成分及び導電剤、その他の添加剤を含有する組成物よりなる塗工液を表面に塗布し、紫外線硬化型樹脂の場合は紫外線を、電子線硬化型樹脂の場合は電子線を照射する方法が好適に採用される。この塗工液は溶剤を含まないものであることが好ましく、もしくは、常温でも揮発性の高い溶剤を溶媒として用いることとしてもよい。
この塗工液を塗布する方法として、樹脂液中に樹脂層のない現像ローラをディップ液に浸漬するディップ法やスプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
紫外線硬化型樹脂を用いる場合、紫外線を照射する為の光源としては、通常に使用される水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の何れもが使用し得る。紫外線照射の条件は、紫外線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択すれば良いが、照度100〜700mW/cm2 、積算光量200〜3000mJ/cm2 程度が適当である。
樹脂層4の厚さは、特に制限されるものではないが、通常1〜500μm、特に3〜200μm、とりわけ5〜100μm程度とすることが好ましい。厚さが1μm未満であると、長期使用時の摩擦により十分に表面層の帯電性能を確保することができなくなる場合があり、一方500μmを超えると、現像ローラ表面が硬くなり、トナーにダメージを与えて感光体等の画像形成体や成層ブレードへのトナーの固着が発生して画像不良となる場合がある。
シャフト部材2と樹脂層4(樹脂層4が複数の層よりなる場合には最内側の樹脂層)との間に、半導電性の弾性層3を設けるのが好ましく、この場合、弾性層2としては、エラストマー単体又はそれを発泡させたフォーム体に導電剤を添加して導電性を付与した弾性体が用いられる。ここで使用し得るエラストマーには、特に制限はなく、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が例示され、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては、これらのうち、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましく用いられる。また、これらと他のゴム材料との混合物もまた好ましく用いられる。特に、本発明においては、ウレタン結合を有する樹脂が好ましく用いられる。
また、これらエラストマーを、水や発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させたりして形成されたフォーム体としても用いることができる。
弾性層3の形成にあたっては、シャフト部材2と弾性層3との一体化を行うための成形工程において、反応射出成形法(RIM成形法)を用いてもよい。即ち、弾性層3の原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型内に混合射出して、重合反応させて、シャフト部材2と弾性層3とを一体化する。これにより原料の注入から脱型までの所要時間60秒程度で成形工程を行うことができるので、生産コストを大幅に削減することが可能となる。
この半導電性弾性層3に配合される導電剤としては、樹脂層に配合される導電剤と同じものを用いることができる。なお、樹脂層に配合される導電剤としては、カーボン系のものを必須としたが、弾性層に配合される導電剤としては、カーボン系のものを含まなくともよく、例えば、イオン導電剤やカーボン形以外の電子導電剤だけでもよく、また、これらを混合したものであってもよい。
この半導電性の弾性層3は、特に制限されるものではないが、上記導電剤の配合により、その体積抵抗率を103〜1010Ωcm、特に104〜108Ωcmとすることが好ましい。体積抵抗率が103Ωcm未満であると電荷が潜像保持体にリークしたり、電圧により現像ローラ自身が破壊したりする場合があり、一方、体積抵抗率が1010Ωcmを超えると、十分な現像バイアスを稼ぐことができず、地かぶりが発生しやすくなる。
この弾性層3には、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために架橋剤、加硫剤を添加することができる。この場合、有機過酸化物架橋及び硫黄架橋のいずれの場合でも加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を用いることができる。更にまた、上記以外にもゴムの配合剤として一般に用いられているしゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等を添加することができる。
弾性層3の硬度は、特に制限されるものではないが、アスカーC硬度で80度以下、特に30〜70度とすることが好ましい。この場合、硬度が80度を超えると、現像ローラやトナーに加わる応力を緩和するという、弾性層本来の機能を発現しえなくなり、例えば、現像ローラと潜像保持体との接触面積が小さくなり、良好な現像が行えなくなるおそれがある。更に、トナーに損傷を与え感光体や成層ブレードへのトナー固着などが発生して画像不良となりやすい。逆に、あまり低硬度にすると感光体や成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッターなどの画像不良が発生する虞がある。
この弾性層3は、感光体や成層ブレードなどに当接して使用されるため、硬度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪をなるべく小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とすることが好ましい。
弾性層3の表面粗さは、特に制限されるものではないが、JIS10点平均粗さで15μmRz以下、特に1〜10μmRzとすることが好ましい。表面粗さが15μmRzを超えると一成分現像剤(トナー)のトナー層の層厚や帯電の均一性が損なわれる場合があるが、15μmRz以下とすることにより、トナーの付着性を向上させることができると共に、長期使用時でのローラの摩耗による画像劣化をより確実に防止し得る。
適切な粗さを得るために、弾性層3の表面を研磨しても良いが、研磨工程を設ける事は非常に生産性を悪化させ、コストの上昇を招く。そこで、弾性体成型時のモールドの表面粗さを最適化して、そのまま用いる事が好ましい。
本発明の現像ローラ1は、体積抵抗率を103〜1010Ωcm特に104〜108Ωcmとすることが好ましい。この場合体積抵抗率が103Ωcm未満であると、階調性コントロールが著しく困難となり、また感光体等の画像形成体に欠陥があった場合バイアスリークが生じることもある。一方、体積抵抗率が1010Ωcmを超えると、例えばトナーを感光体等の潜像保持体に現像する場合、現像バイアスがトナー担持体である現像ローラ自体の高抵抗のために電圧降下をおこし、現像に十分な現像バイアスが確保できなくなって、十分な画像濃度が得られなくなってしまう。なお、この抵抗値の測定は、例えば平板又は円筒状の対極に現像ローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフト部材2と対極との間に100Vの電圧を印加して、その時の電流値から求めることができる。
このように、現像ローラの抵抗値を適正かつ均一に制御することはトナーが移動するための電界強度を適正かつ均一に保つ点で重要であるが、更に、この抵抗値に加えて現像ローラ表面の電荷保持能力を制御し、また均一に保つこと、更に表面残留電位が一定速度で減衰することがトナー帯電量の適正化及び均一化には重要である。この場合、表面電荷保持能力は、通常一対の電極を現像ローラ表面に配置し、両極間に一定電圧を印加することにより表面抵抗を測定して検討されるが、この場合には電流は表面のみを流れるわけではなく現像ローラ内部をも流れてしまうため、正確な現像ローラ表面の評価を行うことはできない。
また、四端子法による精度の向上も提案されているが、特に積層型の現像ローラの場合、表面層はかなり薄層であり、この方法においても表面のみの特性付けをすることは困難である。従って、これら従来の測定法によって得られる特性値は、表面電荷保持能力を正確に表すことはできない。
この問題に対する第一の好ましい対処方法として、22℃、50%RHの測定環境において、現像ローラ表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合の、電荷付与後0.1秒後から0.2秒後までの表面電位減衰速度の絶対値により表面電荷保持能力を評価し、その表面電位減衰速度の絶対値を0.1[V/sec]以上とするのがよい。
この場合、この表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]未満であると、連続運転時に表面電荷が漸次蓄積して、現像ローラ上のトナー帯電量が所定値を超過してしまい、例えば現像プロセスによる画像形成時に実効現像バイアスが感光体白地部電位を超えてしまうことにより、白地印刷部への高電圧かぶりが発生してしまう。また、場合によってはトナー荷電により発生した電界が極大値を超えることによって感光体等の潜像保持体との間に放電が生じ、画像不良が発生することもある。なお、コロナ放電により帯電させる極性は、正負どちらでもよく、本発明ではコロナ帯電による表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上であればよい。より好ましくは、この表面電位減衰速度値は0.15〜10[V/sec]である。
以下に、現像ローラ表面の電位の減衰について簡単に説明する。通常、電荷減衰曲線は、時間t[sec]対表面電位の対数logVをプロットすると、直線関係が導かれ、この直線の傾きから緩和時間(時定数)を設定することが可能である。しかしながら、実際の現像ローラにおける減衰曲線は、図7に示したように、直線関係は得られない。これは、減衰時定数が残留表面電位の電圧依存性を示すことによるものと考えられる。ここで、例えば現像ローラの回転周速は、多くの場合およそ0.4sec/1回転程度であり、この極短時間での電荷減衰速度が重要な特性であると考えられ、また成層ブレード通過後からトナー塗布用ローラによるかきとりまでの時間はおよそ0.2sec程度であり、従って表面が帯電されてから0.2秒後までの表面電位減衰速度が特に重要な特性となるものである。
上記に説明した対応策では、所定の電荷を現像ローラ表面に付与する手段として非接触のコロナ帯電を用いており、この帯電方式においては初期帯電電位V=0を同定することは困難である。よって、実際の測定では、0.1秒から0.2秒後までにおける表面電位の減衰速度[V/sec]を測定し、この減衰速度を制御する。なお、減衰速度の算出法としては、0.1秒後の表面電位の値を初期値とし、0.2秒後までの表面電位の値を最小自乗法で直線近似させて、その傾きから表面電位減衰速度を求める方法を採用することができる。
現像ローラへの電荷の付与及び表面電位の測定は、例えば図4に示した装置により行うことができる。即ち、現像ローラ1のシャフト部材2両端部をチャック11に把持させて、現像ローラ1を支持し、小型のコロトロン放電器(コロナ放電器)12と表面電位計13とを、図5に例示するように、所定間隔離間して並設した計測ユニット14を上記現像ローラ1の表面と1mmの間隙をもって対向配置し、上記現像ローラ1を静止させた状態のまま、上記計測ユニット14を現像ローラ1の長さ方向一端から他端まで一定速度で移動させることにより、表面電荷を与えつつその表面電位を測定する方法が好適に採用される。
表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上の現像ローラを実現するには、上述のように形成した樹脂層の表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上であることが好ましい。また、この表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]未満であっても、樹脂層の厚さを例えば3〜10μmと薄くすることにより、表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上の現像ローラを実現することができる。
また、前記問題に対する第二の好ましい対処方法として、好ましくは、22℃、50%RHの測定環境において、現像ローラ表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合の0.35秒後の表面電位の最大値により表面電荷保持能力を評価し、その最大値を90V以下、より好ましくは50V以下とする。この場合、上記最大値が90Vを超えると、トナーが画像形成体へと供給されて、現像ローラ表面からトナーが除去された際に、その部分の電荷が逃げることなくそこに留まってしまうため、次に同じ部分で帯電させられるトナーの帯電量は低いものとなってしまう。また、残留電荷によって発生した電位により実効現像バイアスにばらつきが生じ、トナー現像量が不均一になることから画像ムラを引き起こす可能性が高くなる。さらに、現像ローラが、潜像保持体へトナーを供給することなく連続的に回転し続けた場合にトナー電荷が漸増し、場合によってはトナー荷電により発生した電界が極大値を超えることによって感光体等の潜像保持体との間に放電が生じ、画像不良が発生することもある。
ここで、表面電位の測定をコロナ放電の発生による帯電時から0.35秒後としたのは次の理由による。即ち、コロナ放電による帯電直後の表面電位を計測することは困難で、またごく初期の表面電位は不安定であるためこの部分での特性値を制御することは好ましくない。現像などの画像形成における実際のプロセスを考えた場合、例えば現像ローラがローラ形状の場合、回転速度は通常0.35sec/1回転となり、表面における残留電荷の制御はこの時間で行えばよい。
現像ローラの最大表面電位の測定は、例えば、図4に示した装置により、先に説明したとおりに行うことで実施することができる。
本発明では、また樹脂層を形成する紫外線硬化型樹脂組成物又は電子線硬化型樹脂組成物を、銅板、SUS等の金属板の片面に硬化後の厚さが30μmの厚さとなるように塗布して紫外線又は電子線を照射することにより硬化させて形成した樹脂層について、上記と同様にして測定した最大表面電位が150V以下、特に90V以下であることが好ましい。このように樹脂層の最大表面電位が150V以下となるようにするには、例えば、紫外線硬化型樹脂、または、電子線硬化型樹脂組成物に適当な導電剤の適当量を配合すれば良い。
最大表面電位が90V以下の現像ローラを実現するには、上述のように形成した樹脂層の最大表面電位が150V以下であることが好ましい。また、この最大表面電位が150Vを超えても樹脂層の厚さを例えば3〜10μmと薄くすることにより、最大表面電位が90V以下の現像ローラを実現することができる。
上記のようにして現像ローラの抵抗値を適正かつ均一に制御することに加えて、以下のような問題にも対処することが重要である。すなわち、近年、プリンタ等の高速化、要求される画像微細性の向上、あるいはカラー画像化等により、画像形成性に対する要求が厳しくなり、従来の現像ローラでは対応できない種々の問題が顕在化し、特に、高速化に起因するトナーダメージの増加は、現像ローラを長期使用した際のトナー帯電不良によるかぶり等の画像不良に繋がる重大な問題として捉えられており、また、現像ローラの耐久性についても、トナーダメージに起因してフィルミングや溶融固着したトナー塊が現像ローラあるいは現像ローラへの接触部品を研削し、摩耗させることによりトナー漏れを誘発させるなどの問題を生じる場合があり、このような問題に対処することが求められている。
現像ローラの摩耗によるトナー漏れの対策としては、トナーのフィルミングや溶融固着を防ぐことが抜本的解決案であるが、近年、省エネルギー嗜好から、トナーのガラス転移点を下方にシフトさせる設計傾向となっており、本課題の解決は益々困難となってきている。このような状況において、現像ローラ側からの対策として、トナー塊の発生要因を極力排除するような設計思想が重要と考えられる。
本出願人は、かかる事情に鑑みて、特開2002−40801号公報に開示されるように、トナーダメージに起因したトナー塊によって発生する現像ローラの研削を抑制し、トナー漏れ等の不良発生を防止し、長期保存時や長期使用時等、従来画像不良が発生しやすいといわれる使用環境において、安定して良好な画像を得ることのできる現像ローラ、及び該現像ローラを用いた画像形成装置を提案している。
一般に、現像ローラの摩耗は、現像ローラとトナーカートリッジのシーラントとが圧接している部位にトナー塊が進入し、これが現像ローラの動作中、常に研削を促すことにより発生する。これは、現像ローラの静止中、圧接部で変形が起こっており、動作直後、シーラント間に残留変形に起因した微小間隙が発生するため、そこからトナーが進入し、圧接・摩擦によりトナー塊が発生する。
現像ローラが、ある基準値以上の塑性変形挙動を示す場合、上記微小間隙の発生確率が高まり、トナー塊の圧接部進入を促進する。
そこで、弾性層と該弾性層の外側に直接あるいは他の層を介して形成された1層又は複数層からなる被覆層を有する現像ローラにおいて、該現像ローラの表面物性を、ユニバーサル硬度を測定する際の定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動測定で得られる特定クリープ値が特定範囲の値となるように調整することにより、現像ローラ−シーラント間へのトナー塊進入を抑制し、現像ローラの摩耗及びそれに伴うトナー漏れを防止し、長期保存時や長期使用時等、従来画像不良が発生しやすいといわれる使用環境において、安定して良好な画像を得ることができる。
すなわち、ユニバーサル硬度測定は、四角錐あるいは三角錐形状の圧子を、所定の試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、その押し込み深さから圧子が被測定物と接触している表面積を求め、求められた表面積と試験荷重からユニバーサル硬度を求めるものであるが、この際、定荷重測定条件で圧子を被測定物に押し込んだ後に、一定荷重環境を保持し、しかる後に圧子の荷重を徐々に減少させることにより、被測定物が塑性変形したことで生じた計測初期と計測終了時の圧子の位置差違を求めることができる。この差違を、例えば、定荷重100mN/mm2、定荷重保持時間(クリープ時間)60秒の場合、「100mN/mm2定荷重測定条件での60秒クリープ値」と呼称する。このクリープ値は、現像ローラが上記変形回復挙動測定によって塑性変形したことによって生じたものであり、例えば、Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vなどの市販の硬度測定装置を用いたユニバーサル硬度測定等で求められる当該値によって、トナー塊の現像ローラ−シーラント間への進入、ひいては現像ローラの摩耗発生の度合いを規格化しうる。
特開2002−40801号公報に開示された現像ローラ及び画像形成装置は、かかる知見に基づいて創案されたものであり、表面にトナーを担持して該トナーの薄膜を形成し、この状態で潜像保持体に接触又は近接して、該潜像保持体表面にトナーを供給することにより可視画像を形成する現像ローラにおいて、現像ローラの表面のユニバーサル硬度を測定するに際し、100mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下であることを特徴とする現像ローラ、及び、この現像ローラと現像ローラから供給されたトナーによる可視画像をその表面に形成する潜像保持体とを少なくとも有する画像形成装置である。
そこで、好ましくは、現像ローラ1を、現像ローラ外周面のユニバーサル硬度を測定する際に求められる100mN/mm2定荷重測定条件での60秒クリープ値を最適化することにより、現像ローラの塑性変形を抑制して、トナー塊の現像ローラ−シーラント間への進入を抑制し、トナー漏れの防止を実現するよう構成するのがよい。
上記ユニバーサル硬度は、圧子を、荷重をかけながら測定対象物に押し込むことにより求められる物性値であり、
(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の表面積)
として求められ、単位はN/mm2で表される。このユニバーサル硬度の測定は、例えば、Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vなどの市販の硬度測定装置を用いて行うことができる。この測定装置では、四角錘あるいは三角錘形状の圧子を、試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、所定の押し込み深さに達した時点でその押し込み深さから圧子が接触している表面積を求め、上記式よりユニバーサル硬度を求めるものである。
このようなユニバーサル硬度の測定を行う際に、所定の荷重まで徐々に圧子の押し込み荷重を増加させて圧子を被測定物に押し込んだ後、一定荷重環境を保持し、しかる後に圧子の荷重を減少させることにより、被測定物表面の変形における残差(クリープ値)を求めることができる。即ち、仮に被測定物が完全弾性体であれば、荷重を増加させて圧子を被測定物表面に押し込んだ後、圧子の荷重を減少させて取り除くと、被測定物表面は元の状態に回復するので、圧子は元の位置、即ち押し込み深さ0の位置まで戻ることになる。逆に被測定物が完全塑性体であれば、同様に圧子を押し込んだ後に荷重を取り除いても、被測定物表面は圧子を押し込んだ状態のままとなり、圧子は元の位置に戻ることはない。このことを利用して測定開始時と終了時の位置の差違から被測定物の塑性変形量を任意の測定条件下という規格化した状況下で求めることができる。
そこで、現像ローラ1においては、上記ユニバーサル硬度測定における100mN/mm2定荷重測定条件でのこの現像ローラ外周面の変形回復挙動測定で得られる60秒クリープ値を10.0μm以下に調整するのが好ましく、例えば、これを0.1〜10.0μm、好ましくは8.5μm以下となるように現像ローラの表面を調整するのがよい。
なお、このクリープ値を測定する際の条件としては、最大荷重、最大荷重時クリープ時間以外特に限定されるものではなく、圧子の形状や測定装置等に応じて適宜設定することができる。最大荷重を変えた場合でも上記クリープ値の規定値を適宜修正すれば同様に評価基準として適用可能である。現在一般に用いられているトナーバインダー種(スチレン−アクリル共重合樹脂ないしポリエステル樹脂)を対象とした場合、前述の条件で規格化することが可能であり、例えば、上記Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vを用いて測定する場合には、下記の条件を例示することができる。すなわち、下記条件で圧子を現像ローラに押し込んでいき、所定の荷重を60秒程度保持した後に荷重を除去し、コンピュータにより上記クリープ値を算出することができる。
測定条件例は、
圧子:対面角度136度の四角錘型ダイヤモンド
圧子初期荷重:0.02mN/mm2
最大荷重:100mN/mm2
荷重印加速度:100/60mN/mm2/sec
最大荷重時クリープ時間:60sec
である。
さらに、以上の課題に加えて、一層の高品質画像が得られ、長期的に使用しても、白画像のカブリやハーフトーン画像のザラツキあるいは黒画像の濃淡ムラ等の画像不良が発生することのない現像ローラを提供することも重要な課題となっている。
このため、現像ローラ1は、ローラ外周面に対する、100mN/mm2/60秒の測定条件下で、押込み深さが5μmの状態、すなわち、ローラ外表面を5μmだけ内側に変形させた状態におけるユニバーサル硬度を3N/mm2以下とするのが好ましい。
上記ユニバーサル硬度は、圧子を、荷重をかけながら測定対象物に押し込むことにより求められる物性値であり、
(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の表面積)
として求められ、単位はN/mm2で表される。このユニバーサル硬度の測定は、例えば、Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vなどの市販の硬度測定装置を用いて行うことができる。この測定装置では、四角錘あるいは三角錘形状の圧子を、試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、所定の押し込み深さに達した時点でその押し込み深さから圧子が接触している表面積を求め、上記式よりユニバーサル硬度を求めるものである。つまり、定荷重測定条件で圧子を被測定物に押し込んだ際に、押し込まれた深さに対するそのときの応力をユニバーサル硬度として定義するものである。
そこで、現像ローラ1は、上記ユニバーサル硬度測定における100mN/mm2/60秒の測定条件でのユニバーサル硬度が3N/mm2以下となるように現像ローラの表面を調整するのが好ましく、より好ましくは、これが0.1〜3N/mm2、特に好ましくは0.1〜1.5N/mm2となるようにするのがよい。
本発明の現像ローラ1は、その表面近傍、好ましくは表面から5μm以内の領域における上述で定義した測定条件(即ち、上記ユニバーサル硬度測定における一定荷重印加速度100/60(mN/mm2/sec))でのユニバーサル硬度が、上記の通り、3N/mm2以下であるとするのが好ましい。ここでユニバーサル硬度が3N/mm2を超えるものでは、トナーの劣化が大きく、長期にわたる安定した高品質画像を得ることが困難となる。
つまり、上記条件で求められるユニバーサル硬度は、現像ローラ1の外周面から好ましくは5μm以内の領域における硬度を直接的に評価する指標であり、現像ローラの物性を判断する上で極めて有効である。
従来用いられているAsker C硬度、JIS A 硬度、Micro Hardness などは、比較的大きな変形における応力を測定するためのものであるのに対して、ここで定義したユニバーサル硬度は、表面を高々5μmだけ変形させたときの応力を表すものである。非磁性現像プロセスで用いられるトナーの平均粒径はおよそ4〜10μm程度であり、トナーは、現像ローラ表面とわずかなギャップを空けて配設された成層ブレードによって現像ローラ表面に押し付けられるが、その際、現像ローラ表面にはトナーの平均粒径相当の変形が発生し、この変形における現像ローラ表面の応力が大きければ、トナーに与えるストレスが大きくなって、長時間使用後の現像ローラにおいては、残存トナーの劣化が起こり、正常なトナー帯電性能を担持できないという不具合が生じ、その結果、画像かぶりや印字濃度の低下など、画像品位が損なれてしまう。本発明は、前記微小変形での応力を低下させるべく、現像ローラの表面が5μmだけ変形した時における応力を前述の値以下とすることで、トナーの劣化を抑制することができる。
次に、本発明の実施形態の変形例について説明する。図8は、変形例の現像ローラを示す断面図であり、現像ローラ1Aは、シャフト部材2の外周上に半導電性の弾性層3を形成し、更にこの弾性層3上に半導電性の樹脂層38を形成してなるが、弾性層3は必須の構成ではない。シャフト部材2は、中空円筒状の金属製パイプ5と、金属製パイプ5の両端に取付けられたそれぞれの軸付きキャップ6とを具え、シャフト部材2の長さ方向両端部となる、軸付きキャップ6には、シャフト部材2の長さ方向両端部を構成する軸部6aが設けられ、図示しない、画像形成装置のローラ支持部に軸支される。
シャフト部材2は、金属製であり、良好な導電性を有する。シャフト部材2に用いられる金属材料としては、特に限定するものではないが、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウムやこれらを含む合金等を用いることができ、先に説明した実施形態に示したものと同様に構成すればよい。
変形例の現像ローラ1Aでは、樹脂層38が、半径方向内外に隣接する2層で構成され、半径方向内側に位置する第一樹脂層38Bの体積抵抗率を106Ω・cm以下とし、半径方向外側に位置する第二樹脂層38Aの体積抵抗率を、1010Ω・cm以上とする構成を有する。
これらの樹脂層38A、38Bの少なくとも一層は、その製造工程において、これらの層を構成する樹脂よりなる塗工液を塗装したあと硬化させるに際し、この樹脂を熱硬化型樹脂とした場合に必要となる大掛かりな乾燥ラインを不要なものとするため、紫外線もしくは電子線を照射して硬化することのできる紫外線硬化型樹脂、もしくは、電子線硬化型樹脂に導電剤を含有させたもので構成される。
この変形例に関し、樹脂層38が第一樹脂層38Bと第二樹脂層38Aとよりなること以外の構成は、先に述べた実施形態について説明した通りであり、その詳細の説明は省略する。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図9は、この実施形態の現像ローラを示す断面図であり、現像ローラ1Bは、シャフト部材2の外周上に半導電性の弾性層3を形成し、更にこの弾性層3上に半導電性の樹脂層39を形成してなるが、弾性層3は必須の構成ではない。シャフト部材2は、中空円筒状の金属製パイプ5と、金属製パイプ5の両端に取付けられたそれぞれの軸付きキャップ6とを具え、シャフト部材2の長さ方向両端部となる、軸付きキャップ6には、シャフト部材2の長さ方向両端部を構成する軸部6aが設けられ、図示しない、画像形成装置のローラ支持部に軸支される。
シャフト部材2は、金属製であり、良好な導電性を有する。シャフト部材2に用いられる金属材料としては、特に限定するものではないが、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウムやこれらを含む合金等を用いることができ、先に説明した実施形態に示したものと同様に構成すればよい。
樹脂層39は、一層、もしくは、材料や物性が相互に異なる複数の層で構成することができるが、この実施形態では、これを二層で構成しており、図9は、樹脂層39が半径方向内側に位置する第一樹脂層39Bと、半径方向外側に位置する第二樹脂層39Aとの二層よりなる場合の現像ローラを示す。
これらの樹脂層39A、39Bの少なくとも一層は、その製造工程において、これらの層を構成する樹脂よりなる塗工液を塗装したあと硬化させるに際し、この樹脂を熱硬化型樹脂とした場合に必要となる大掛かりな乾燥ラインを不要なものとするため、紫外線もしくは電子線を照射して硬化することのできる紫外線硬化型樹脂、もしくは、電子線硬化型樹脂に導電剤を含有させたもので構成するのが好ましい。
また、図9に示す実施形態の現像ローラ1Bは、樹脂層39に微粒子を分散させることを特徴とし、このことにより、樹脂層39の表面に微小な凹凸を形成して、外周面に担持したトナーの潜像保持体への搬送力の確保可能にするものであり、好ましくは、樹脂層39を二層39A、39Bで構成し、半径方向内側の第一樹脂層39Bだけに微粒子を分散させるとともに、半径方向外側の第二樹脂層39Aには微粒子を分散させない構成とし、このことにより、第一樹脂層39Bの微粒子は、現像ローラに所望の表面粗度を付与することができ、さらに、第二樹脂層39Aの作用によって、第一樹脂層39B内の微粒子が直接現像ローラ表面に露出して、微粒子が脱落するのを防止することができ、所望の表面粗度を長期に維持することができる。
上記微粒子としては、ゴム又は合成樹脂の微粒子やカーボン微粒子が好適であり、具体的にはシリコーンゴム、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合体、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、ウレタンアクリレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂の1種又は2種以上が好適である。
微粒子の添加量は、樹脂100重量部に対し0.1〜100重量部特に5〜80重量部が好適である。
この微粒子の平均粒径は1〜50μm、特に3〜20μmが好適である。また、樹脂層4の合計厚さbは、1〜50μmであることが好ましく、さらに、微粒子の平均粒径a(μm)とこの合計厚さb(μm)との比a/bは1.0〜5.0とするのが好ましく、a/b比をこの範囲とすることにより、樹脂層39の表面に最適な微小凹凸を形成することができる。
また、樹脂層39を、微粒子を分散させた樹脂よりなる第一樹脂層39Bと、第二樹脂層39Aとで構成した場合の第二樹脂層39Aの厚さは、1〜10μmとするのが好ましく、このことにより、第一樹脂層39Bの微粒子によって形成された表面粗度を忠実に、現像ローラ表面に反映させるとともに、第一樹脂層39Bの微粒子が直接現像ローラ表面に露出するのを防止することができる。
この樹脂層39には、その導電性を制御する目的で導電剤を配合することができ、樹脂層39を、微粒子を分散させた樹脂よりなる第一樹脂層39Bと第二樹脂層39Aとで構成した場合、第一樹脂層39Bの体積抵抗率を106Ω・cm以下とし、第二樹脂層39Aの体積抵抗率を、1010Ω・cm以上とするのが好ましい。
樹脂層39A、39Bの樹脂に配合される導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が用いられる。
紫外線硬化型樹脂、もしくは、電子線硬化型樹脂の構成を含む、上記以外の、この実施形態の構成は、先に述べた実施形態について説明した通りであり、他の実施形態についてのこれらの項目の詳細の説明は省略する。
本発明の現像ローラ1、1A、1Bは、トナーを用いる画像形成装置に組み込むことができ、具体的には図1に示すように、トナーを供給するためのトナー供給用ローラ94と静電潜像を保持した感光ドラム(潜像保持体)95との間に、感光ドラム95に対して微小なギャップ92を空けて、現像ローラ91を配設し、これら現像ローラ91、感光ドラム95及びトナー供給用ローラ94をそれぞれ図中矢印方向に回転させ、感光ドラム95と現像ローラ91との間に、所定の電圧を印加することにより、トナー96をトナー供給用ローラ94により現像ローラ91の表面に供給し、成層ブレード97によって均一な薄層に整え、薄層に形成されたトナー96を、ギャップ92を越えて感光ドラム95に飛翔させ潜像を視化することができる。なお、図1の詳細については、背景技術において説明しているのでその説明を省略する。