JPWO2005102909A1 - アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

本発明のアクチュエータは、基台1と、基台1に対して変位可能な可動部7と、可動部7の基台1に対する変位が可能なように可動部7を支持する弾性支持部13a〜13cと、基台1に対して可動部7を変位させる複数の駆動部6a〜6cとを備え、複数の駆動部6a〜6cのそれぞれは、可動部7へ駆動力を伝達する時に可動部に接触する駆動力伝達部10a〜10cを備える。

Description

本発明は、傾動と垂直変位とが可能なアクチュエータに関する。本発明のアクチュエータは、例えば、可動部に光反射面を備えたマイクロミラーデバイスとして用いられる。
MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて多様なマイクロアクチュエータが作製され、光学、高周波回路、バイオテクノロジーなど様々な分野へのマイクロアクチュエータの応用が期待されている。例えば、補償光学(Adaptive Optics)分野では、光の波面を制御するためのマイクロミラーアレイが開発されている。また、例えば、光ビームを反射して光電気素子や光ファイバに入射させる機械的光スイッチとして用いるためのマイクロミラーアレイが開発されている。
これらのマイクロミラーアレイは複数のアクチュータを備える。アクチュータのそれぞれが備えるミラーは、入射する光を任意の方向に反射させるために、2軸の傾動を行えることが望ましい。
図11を参照して、特許文献1に開示されている従来のアクチュエータを説明する。図11は、ミラーを備え、ミラー駆動装置として機能するアクチュエータ200を示す。
球状ミラー101の一部に光反射面102が設けられている。フレーム103が備える4本のアーム104(1本は図示せず)が、球状ミラー101を保持している。アーム104のそれぞれの、球状ミラー101との接触部には球面の窪み(図示せず)が形成されている。アーム104が球状ミラー101と嵌合して球状ミラー101を保持することにより、球状ミラー101は、x軸まわりおよびy軸まわりにそれぞれ独立に回動可能となっており、また、球状ミラー101の回動時に球状ミラー101がアーム104から外れないようになっている。フレーム103には、4つの圧電素子105が2×2の配列で固定されている。円柱形状のロッド106の根元部が圧電素子105に固定されており、その先端部は球状ミラー101表面に所定の角度で軽く接触している。またロッド106の先端部は、球状ミラー101との接触面積が大きくなる様に斜めに切断されている。
圧電素子105を駆動すると、ロッド106の先端部が球状ミラー101表面に所定の角度で押し付けられる。球状ミラー101はアーム104に保持されており、Z軸方向への並進移動はできず、X軸およびY軸周りの回動のみ可能である。このため、ロッド106が球状ミラー101を押す力は、球状ミラー101を回動させる様に作用する。駆動する圧電素子105を選択することにより、x軸、y軸いずれの軸周りにも球状ミラー101を回動させることが可能であり、光反射面102を任意の方向に傾動させることが可能である。
また、フレーム103の外形が直方体になっているため、同様の構成のミラーを上下左右に効率よく配置することが可能である。
しかしながら、従来のアクチュエータ200では、長期間の使用においてロッド106および球状ミラー101が摩耗するという課題を有していた。また、球状ミラー101表面を高精度な球面に加工する必要があるという課題を有していた。
ロッド106が球状ミラー101を回動させる際、球状ミラー101表面に対して垂直に近い角度でロッド106が接触すると、球状ミラー101を回動させる方向への力が小さくなり球状ミラー101を回動させることができない。このため、球状ミラー101表面に対して垂直な方向とのなす角が大きくなるようにロッド106を接触させる必要がある。しかしながら、この場合は、ロッド106が球状ミラー101を回動させずに表面を滑って擦ってしまう現象が発生しやすくなり、ロッド106および球状ミラー101表面が摩耗してしまう。また、あるロッド106が球状ミラー101を回動させているとき、他のロッド106は球状ミラー101表面を擦っているため、長時間の使用でロッド106および球状ミラー101が摩耗してしまい、初期の特性を維持できず、アクチュエータ200の信頼性が低くなってしまう。
また、球状ミラー101表面が高精度な球面を成していない場合、回動によって球状ミラー101とロッド106との間の接触状態が変わり、球状ミラー101とロッド106との間の摩擦力が小さくなり滑って駆動できない等の問題が発生するため、球状ミラー101を高精度な球面に加工する必要があり高コストになる。さらにMEMS技術を用いた超小型のマイクロミラーにおいては、ミラーの外形を球状に加工すること自体が極めて困難である。
また、アクチュエータ200では、球状ミラー101を傾動させるのみであるが、光の波面をより滑らかに制御するためには、球状ミラー101をフレーム103に対して傾動させると共に垂直変位をさせることが望ましい。
このような傾動と垂直変位とが可能なアクチュエータの例は、非特許文献1に開示されている。図12は、非特許文献1に開示されるマイクロアクチュエータ300を模式的に示す斜視図である。
可動電極305は、その外周部を3本の弾性梁301a、301bおよび301cにより支持されている。また、可動電極305は3つの固定電極302a、302bおよび302cと対向している。可動電極305と、固定電極302a、302bおよび302cとにより3つの駆動部が構成されている。ミラー303は、接合部304において可動電極305と剛結合されている。すなわちミラー303は、3つの駆動部と剛結合されている。
固定電極302a、302bおよび302cは、それぞれ独立に駆動電圧を印加可能に設けられ、可動電極305との間で電位差が与えられる。これにより、可動電極305を吸引する方向に静電力が発生する。固定電極302a〜302cの駆動電圧を同一に設定すれば、可動電極305はほぼ傾動せずに下方向に垂直変位する。また、これらの駆動電圧を互いに異ならせれば、可動電極305は所望の方向に傾動しながら下方向に垂直変位する。このように、可動電極305は、2軸の傾動と共に下方向への垂直変位が可能である。
ミラー303は、可動電極305と剛結合されているので、可動電極305の変位がそのままミラー303の変位を決定する。
特開平7−113967号公報 U.Srinivasan,et al.,"Fluidic Self−Assembly of MicromirrorsOnto Microactuators Using Capillary Forces",IEEE Journal on Selected Topics in Quantum Electronics,Vol.8,No.1,pp.4−11(January, 2002)
しかしながら、上記のようなマイクロアクチュエータ300では、駆動部間にクロストークが発生してしまうという課題があった。例えば、ある固定電極に所定の電圧を印加し、その固定電極に対向する側の可動電極305の一端が垂直方向に変位した場合には、他の固定電極に対向する側の可動電極305の端部も垂直方向に変位してしまう。
可動電極305の姿勢制御の観点から、このような駆動部間のクロストークの度合いは小さい方が良い。クロストークの度合いが変位の目標分解能に対して十分小さければ、固定電極302a〜302cのそれぞれに対向する可動電極305の各端部の変位を、対応する固定電極への印加電圧によりそれぞれ独立して制御できるので、制御装置を簡素な構成にすることができる。また、クロストークに起因する変位を補正する制御を行う場合でも、クロストークの度合いが小さいほど制御の高精度化と簡素化が容易となる。特に静電駆動の場合は駆動力が吸引方向にしか発生しないために、クロストークに起因する変位を元に戻す方向への補正制御が難しい。また、マイクロアクチュエータの特性のばらつきが大きい場合はクロストークに起因する変位の補正のためのデータ量が膨大になってしまう。特に、マイクロアクチュエータを多数備える装置(マイクロミラーアレイ等)においてクロストークが大きいと、クロストークに起因する変位の補正のためのデータ量が膨大になってしまう。このことは、著しいコストの増大およびマイクロアクチュエータの駆動速度の低下の原因となる。このような点から、駆動部間のクロストークは小さい方が望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部間のクロストークが小さく、且つ、低コストで信頼性の高いアクチュエータ、およびそのアクチュエータを備えた装置を提供することにある。
本発明のアクチュエータは、基台と、前記基台に対して変位可能な可動部と、前記可動部の前記基台に対する変位が可能なように前記可動部を支持する弾性支持部と、前記基台に対して前記可動部を変位させる複数の駆動部とを備え、前記複数の駆動部のそれぞれは、前記可動部へ駆動力を伝達する時に前記可動部に接触する駆動力伝達部を備えることを特徴とする。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達しない時には前記可動部から離れている、請求項1に記載のアクチュエータ。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記可動部にスライド可能に接触する。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記可動部に接触する突出部を備える。
ある実施形態において、前記突出部は、前記突出部と接触する前記可動部の接触領域に近いほど断面積が小さくなる形状を有する。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、前記突出部および前記中間部材のうちの少なくとも一方は、スティッキング防止膜を備える。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、前記可動部は、前記可動部のうちの前記中間部材とは反対の側に設けられた光反射面をさらに備える。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、前記可動部は、前記突出部が前記中間部材を前記基台へ向かう方向に押圧することにより変位する。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記中間部材とは反対の側に設けられた光反射面をさらに備え、前記突出部は、前記光反射面と前記中間部材との間に位置している。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記中間部材と隙間を隔てて前記中間部材の一部を挟み込むポスト部と、前記光反射面と前記中間部材との間に位置し、前記ポスト部によって支持されたブリッジ部とをさらに備え、前記突出部は、前記ブリッジ部に設けられている。
本発明の装置は、基台と、前記基台に対して変位可能な複数の可動部と、前記複数の可動部の前記基台に対する変位が可能なように前記複数の可動部のうちの対応する1つをそれぞれ支持する複数の弾性支持部と、前記基台に対して前記複数の可動部のそれぞれを変位させる複数の駆動部とを備え、前記複数の駆動部のそれぞれは、前記複数の可動部のうちの対応する1つへ駆動力を伝達する時に前記対応する1つの可動部に接触する駆動力伝達部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、駆動部は、可動部へ駆動力を伝達する時に可動部に接触する駆動力伝達部を備える。すなわち、駆動力伝達部のそれぞれと可動部とは剛結合していない。このため、ある駆動力伝達部により可動部を変位させた場合に他の駆動力伝達部が変位することを抑制することができ、駆動部間のクロストークを非常に小さくすることができる。
また、本発明によれば、高精度な球状ミラーを必要としない安価な構成で、且つ、構成要素の摩耗のない信頼性の高いアクチュエータを提供することができる。
[図1]本発明の実施形態によるアクチュエータを模式的に示す分解斜視図である。
[図2]本発明の実施形態によるアクチュエータアレイを模式的に示す分解斜視図である。
[図3]本発明の実施形態による固定電極およびヨークを模式的に示す分解斜視図である。
[図4]本発明の実施形態による中間部材、弾性支持部および駆動力伝達部を模式的に示す分解斜視図である。
[図5]本発明の実施形態による中間部材と突出部とを模式的に示す断面図である。
[図6A]本発明の実施形態によるアクチュエータの上面図である。
[図6B]図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータの断面図である。
[図7A]本発明の実施形態によるアクチュエータの上面図である。
[図7B]図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータの断面図である。
[図8A]図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータの断面図である。
[図8B]図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータの断面図である。
[図9A]図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータの断面図である。
[図9B]図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータの断面図である。
[図10A]中間部材とヨークとが剛結合しているアクチュエータの断面図である。
[図10B]中間部材とヨークとが剛結合しているアクチュエータの断面図である。
[図11]従来のアクチュエータを示す斜視図である。
[図12]従来のアクチュエータを示す斜視図である。
符号の説明
1 基台
2 ミラー
4a、4b、4c 固定電極
5a、5b、5c ヨーク
6a、6b、6c 駆動部
7 可動部
10a、10b、10c 駆動力伝達部
11 中間部材
12a、12b、12c 被接触部
13a、13b、13c 弾性支持部
14 ミラーポスト
31a、31b、31c ブリッジ部
32a、32b、32c、33a、33b、33c ポスト部
34a、34b、34c 突出部
40 スティッキング防止膜
以下、図面を参照して本発明によるアクチュエータおよびそのアクチュエータを備えた装置の実施形態を説明する。
まず、図1を参照する。図1は、本実施形態のアクチュエータ100を模式的に示す分解斜視図である。アクチュエータ100は、半導体製造プロセスを用いたマイクロマシニング技術やMEMS技術を用いて作製されている。
アクチュエータ100は、基台1と、基台1に対して変位可能な可動部7と、可動部7の基台1に対する変位が可能なように可動部7を支持する弾性支持部13a、13bおよび13cと、基台1に対して可動部7を変位させる複数の駆動部6a、6bおよび6cとを備える。
基台1は、シリコン部材1aと、シリコン部材1a上に形成された窒化シリコン系の絶縁層1bとを備える。シリコン部材1aには駆動回路(図示せず)が形成されている。絶縁 層1b上には駆動部6a〜6cが設けられている。絶縁層1bにはビア(図示せず)が形成されており、このビアを介して駆動回路と駆動部6a〜6cとが電気的に接続されている。駆動部6a、6bおよび6cは、可動部7へ駆動力を伝達する駆動力伝達部10a、10bおよび10cを備える。駆動力伝達部10a、10bおよび10cは、可動部7へ駆動力を伝達する時に可動部7に接触する突出部34a、34bおよび34cを備える。本発明において、「接触」とは、構成要素同士が触れてはいるが結合していない状態を指す。
可動部7は、可動部7のうちの基台1と対向する側に設けられた中間部材11と、可動部7のうちの中間部材11とは反対の側に設けられたミラー部2とを備える。駆動力伝達部10a〜10cが可動部7へ駆動力を伝達する時に、中間部材11は突出部34a〜34cと接触する。ミラー部2は、光(例えば光ビーム)を反射する光反射面2aを備える。可動部7へ駆動力が伝達されていない状態では、光反射面2aはXY平面と平行であり、光反射面2aの法線方向はZ軸方向となる。光反射面2aの平面形状およびサイズは、アクチュエータ100の用途や求められる性能等によって様々に設計される。本実施形態では、光反射面2aの形状は6角形であり、6角形の1辺は約60μmである。
駆動部6a〜6cは、ミラー部2と基台1との間に位置しており、突出部34a〜34cは、ミラー部2と中間部材11との間に位置している。駆動部6a〜6cは、駆動回路から供給される電気信号に基づいて駆動力を発生し、これらの駆動力に応じて突出部34a〜34cが中間部材11を基台1へ向かう方向に押圧することにより、可動部7は基台1に対する垂直方向の変位(Z軸方向に沿った平行移動)、および基台1に対する2軸の傾動(X軸、Y軸周りの傾動)を行う。このように可動部7が変位することにより、光反射面2aは、入射光を所望の方向に反射する。
次に、駆動部6a〜6cおよび可動部7をより詳細に説明する。
駆動部6a〜6cは、固定電極4a、4bおよび4cと、ヨーク5a、5bおよび5cとを備える。固定電極4a〜4cは、多結晶シリコン等の導電膜をパターニングして形成され、駆動回路(図示せず)に接続されて所望の電位に設定可能である。
固定電極4a〜4cと同様に、ヨーク5a〜5cも、多結晶シリコン等の導電膜で形成される。ヨーク5a〜5cは、固定電極4a〜4cと所定の間隙を隔てて対向して配置される略菱形の板状部材であり、3つ合わせて全体が6角形になる対称形に配置されている。固定電極4aとヨーク5aとが対向しており、固定電極4bとヨーク5bとが対向しており、固定電極4cとヨーク5cとが対向している。ヨーク5a〜5cは可動電極として機能する。ヨーク5a〜5cは、ヨーク5a〜5cの面に垂直な方向であるZ方向に沿って、それぞれ独立に平行移動可能である。ヨーク5a〜5cも固定電極4a〜4cと同様に駆動回路に接続されるが、常に接地電位に設定される。固定電極4a〜4cに所定の電位を与えることによりヨーク5a〜5cと固定電極4a〜4cとの間に静電引力が発生し、ヨーク5a〜5cが固定電極4a〜4c側に吸引される。固定電極4a〜4cのそれぞれは個別に電圧を設定可能なので、ヨーク5a〜5cを−Z方向に個別に変位させることができる。
駆動力伝達部10a〜10cは、ヨーク5a〜5cのうちのミラー部2と対向する面(+Z側の面)の中央部に設けられている。駆動力伝達部10a〜10cはアーチ形状をしている。駆動力伝達部10a〜10cは、ヨーク5a〜5cがZ方向に沿って変位する時にヨーク5a〜5cと一体に移動する。
中間部材11は板状部材であり、ミラーポスト14を介して中間部材11の中心部とミラー部2の中心部とが剛結合されている。アーチ形状の駆動力伝達部10a〜10cのそれぞれは中間部材11の一部を挟み込んでいる。突出部34a〜34cは中間部材11の上面と対向するように駆動力伝達部10a〜10cに設けられている。突出部34a、34bおよび34cは、それぞれ中間部材11の略平面状の面である被接触部12a、12bおよび12cと接触することができる。被接触部12a〜12cは、光反射面2aと略平行で、かつミラー部2に対向している。
駆動力伝達部10a〜10cが−Z方向に移動すると、突出部34a〜34cは被接触部12a、12bおよび12cと接触して、中間部材11を−Z方向に押し下げる。突出部34a〜34cをミラー部2と中間部材11との間に位置させ、ヨーク5a〜5cを固定電極4a〜4cへ向かう方向に駆動することにより、ミラー部2を−Z方向に変位させることができる。
また、駆動力伝達部10a〜10cをミラー部2に直接接触させずに、中間部材11に接触させる構成を採用することにより、ミラー部2とそれ以外の構成要素とを別個に製作し、その後、中間部材11とミラー部2とを接合するという製作工程を取ることができる。このため、光反射面2aを有するミラー部2を、駆動部6a〜6cの製作プロセスとは別のプロセスで高精度に加工することが可能となる。
駆動力伝達部10a〜10cが−Z方向に変位するとき、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとは触れてはいるが結合していない状態にあり、互いにスライド可能な接触(slidable contact)状態にある。突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの位置関係(相対角度等)が大きく変化すると、突出部34a〜34cは被接触部12a〜12c上をスライドすることが可能であるが、通常の動作範囲では、突出部34a〜34cは被接触部12a〜12cに略垂直に接触し、スライドしない。可動部7が傾動する場合でも、駆動力伝達部10a〜10cの変位方向(Z方向)と被接触部12a〜12cの法線方向とのなす角は、0°を中心に所定の角度(例えば数度)内で変動するだけであり極端に大きくなることはない。このため、突出部34a〜34cが被接触部12a〜12cに大きく斜めに接触して被接触部12a〜12c上をスライドし、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの接触位置が変わることは無く、常に同じ位置関係を保つので、精度の良い制御が可能である。また突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの擦れによる、突出部34a〜34cおよび被接触部12a〜12cの摩耗も発生せず、信頼性の高いアクチュエータを提供できる。
また、駆動力伝達部10a〜10cのそれぞれの変位量は独立に設定可能なので、中間部材11上の3箇所(被接触部12a〜12c)におけるZ方向の位置を独立に設定することにより中間部材11の姿勢を定めることができる。従って、可動部7を、−Z方向へ平行移動させたり、X軸、Y軸周りの傾動をさせたりすることが自由に可能である。
弾性支持部13a〜13cは、中間部材11の中心近傍に結合される弾性梁を有する支持バネである。中間部材11が−Z方向に移動すると、弾性支持部13a〜13cは弾性変形し、中間部材11を移動方向と逆方向(+Z方向)へ付勢する弾性復元力を発生する。この弾性復元力により被接触部12a〜12cが突出部34a〜34cに押し付けられることで、被接触部12a〜12cと突出部34a〜34cとを確実に接触させることができる。被接触部12a〜12cと突出部34a〜34cとが接触した状態では、駆動力伝達部10a〜10cの−Z方向への移動量と被接触部12a〜12cの移動量とが同じであることが保証され、駆動部6a〜6cの変位を確実に可動部7の変位に反映させることが可能な高精度なアクチュエータを提供できる。
なお、中間部材11と弾性支持部13a〜13cとは、同じプロセスで同時に形成可能であり、中間部材11のみを高精度に加工したり球面に加工したりする等の特別な工程は不要なので、信頼性の高いアクチュエータを低コストで提供することが可能である。
次に、複数のアクチュエータ100を備えた装置であるアクチュエータアレイを説明する。
図2は、本実施形態のアクチュエータアレイ101を模式的に示す分解斜視図である。アクチュエータアレイ101は、複数のアクチュエータ100を備える。アクチュエータアレイ101は、複数のミラー部2を2次元状に配列し、複数のミラー部2を個別に変位させることが可能なマイクロミラーアレイである。アクチュエータアレイ101は、半導体製造プロセスを用いたマイクロマシニング技術やMEMS技術を用いて作製されている。
アクチュエータアレイ101では、アクチュエータ100のそれぞれの駆動部6a〜6cを1つの駆動部ユニットとして、複数の駆動部ユニットが基台1上に2次元状に配置されている。各駆動部ユニットに関連付けて弾性支持部13a〜13cおよび可動部7が設けられている。可動部7のそれぞれは、対応する弾性支持部13a〜13cによって、基台1に対する変位が可能なように支持されている。各駆動部ユニットは、複数の可動部7のうちの対応する1つを基台1に対して変位させる。駆動力伝達部10a〜10cのそれぞれは、複数の可動部7のうちの対応する1つに駆動力を伝達するときに、その対応する可動部7に接触して駆動力を伝達する。
アクチュエータアレイ101が備えるアクチュエータ100の個数は任意である。例えば補償光学分野における光の波面の制御用途では、アクチュエータアレイ101は、1000個以上のアクチュエータ100を備える。
一組の駆動部6a〜6cを併せた1つの駆動部ユニットの水平方向の大きさは、ミラー部2の大きさと殆ど同じかそれ以下である。このため、駆動部ユニットの大きさに影響されることなく、隣合うミラー部2同士を数μm程度の僅かの隙間で密に配置可能であり、多数のミラー部2を無駄なく配列可能である。
次に、アクチュエータ100(図1)の固定電極4a〜4cおよびヨーク5a〜5cをより詳細に説明する。図3は、固定電極4a〜4cおよびヨーク5a〜5cを模式的に示す分解斜視図である。
ヨーク5a〜5cは、ヨーク支持梁22a〜22c、23a〜23c、24a〜24c、25a〜25cにより、固定電極4a〜4cと所定の空隙を隔てて支持されている。ヨーク支持梁22a〜25cのそれぞれは、ヨーク支持柱20a〜20fおよび21のうちの対応する1つに結合された細長の弾性梁である。ヨーク支持梁22a〜25cおよびヨーク支持柱20a〜21は、ヨーク5a〜5cと同じ導電性材料から形成されており、ヨーク5a〜5cと同時に形成される。ヨーク支持柱20a〜20fは六角形の領域の最外周に、ヨーク支持柱21は六角形の領域の中心に配置されており、全て同一形状である。また、ヨーク支持柱20a〜21は、略菱形形状であるヨーク5a〜5cのそれぞれの角部近傍に配置されており、ヨーク5a〜5cのそれぞれを対応する4本ずつで支持している。
固定電極4a〜4cに電圧を印加して、固定電極4a〜4cとヨーク5a〜5cとの間に静電引力が発生すると、ヨーク5a〜5cは固定電極4a〜4cへ向かう方向(−Z方向)に引かれて移動する。このとき、ヨーク支持梁22a〜25cが弾性変形し、ヨーク5a〜5cを固定電極4a〜4cの移動方向と反対方向(+Z方向)に付勢する弾性復元力を発生する。この弾性復元力と静電引力とが釣り合う位置にヨーク5a〜5cは変位する。
支持柱台26a〜26fおよび27は、それぞれヨーク支持柱20a〜21の下部に設けられ、ヨーク支持柱20a〜21を支持する小電極である。支持柱台26a〜27は、固定電極4a〜4cと同様に多結晶シリコンの導電膜をパターニングして形成され、駆動回路(図示せず)に接続されて接地電位に保たれる。ヨーク支持柱20a〜21、ヨーク支持梁22a〜25cおよびヨーク5a〜5cは、導電性材料から形成されており、支持柱台26a〜27と電気的に接続されていることにより、接地電位に保たれる。
次に、図4を参照しつつ、中間部材11、弾性支持部13a〜13cおよび駆動力伝達部10a〜10cをより詳細に説明する。図4は、中間部材11、弾性支持部13a〜13cおよび駆動力伝達部10a〜10cを模式的に示す分解斜視図である。
中間部材11を支持する弾性支持部13a、13bおよび13cの端部は、中間部材支持柱30a、30bおよび30cに結合されている。中間部材支持柱30a、30bおよび30cは、それぞれヨーク支持柱20b、20d、20f(図3)上に積層して形成される。中間部材支持柱30a〜30cは、弾性支持部13a〜13cを介して中間部材11を支持している。
駆動力伝達部10は、ブリッジ部31a〜31cと、ポスト部32a〜32cおよび33a〜33cを備える。突出部34a〜34cは、中間部材11に対向するようにブリッジ部31a〜31cに設けられている。以下では、ブリッジ部31aとポスト部32aおよび33aとについて説明する。(ブリッジ部31bとポスト部32bおよび33bとを組み合わせた構成と、ブリッジ部31cとポスト部32cおよび33cとを組み合わせた構成とは、ブリッジ部31aとポスト部32aおよび33aとを組み合わせた構成と同じであるので、説明を省略する)。
ポスト部32aおよび33aは、ヨーク5a(図3)上に設けられている。ブリッジ部31aは光反射面2aと中間部材11との間に位置し、ポスト部32aおよび33aによって支持されている。ポスト部32aの上端部とポスト部33aの上端部とがブリッジ部31aにより連結されており、これらを併せてアーチ状の形状が形成されている。ポスト部32aおよび33aは、僅かな間隙を隔てて中間部材11の一部(被接触部12a近傍)を挟み込む様に配置されており、中間部材11のXY平面内方向の移動を規制し、Z方向のみに移動可能としている。また、ブリッジ部31aは、その一部が中間部材11の一部(被接触部12a近傍)と対向する様に配置されている。
突出部34aは、ブリッジ部31上のうちの被接触部12aと対向する面に設けられている。突出部34aは、突出部34aと接触する被接触部12aの接触領域に近いほど断面積が徐々に小さくなるテーパー形状を有している。駆動部6aの駆動に伴って突出部34aが−Z方向に押し下げられると、突出部34aは被接触部12aと接触し、さらに駆動が行われると被接触部12aを−Z方向に押し下げる。突出部34aとブリッジ部31aとの結合部は断面積が大きく高剛性なので突出部34aは破損しにくく、被接触部12aと接触する突出部34aの先端部は断面積が小さいので被接触部12との点接触を実現可能である。
突出部34a〜34cにより中間部材11を3点の点接触で押圧することにより2つの効果が得られる。第1に、中間部材11を傾動させて、中間部材11と突出部34との相対角度が変わった場合でも、中間部材11と突出部34との接触位置の変動が無く、駆動力が加わる中間部材11の位置は変動しない。これにより、ヨーク5の変位をより正確に可動部7に伝達することができ、可動部7のより高精度な制御が可能である。第2に、中間部材11と突出部34a〜34cとが剛結合していないため、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の相対角度が変わることによる中間部材11と突出部34a〜34cとの間の弾性変形が全く発生しない。中間部材11と突出部34a〜34cとが剛結合している場合には、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の相対角度を変える時に、これらの剛結合している部位を弾性変形させるための駆動力が余分に必要であり、より大きな静電駆動力が必要となってしまう。また別の問題として、例えば被接触部12aのみを駆動したい場合であっても、中間部材11と突出部34aとの間の相対角度が変わることにより発生する弾性変形の反力により、他の突出部34bや34cが変位するという、駆動部6a、6bおよび6c間のクロストークが発生する。中間部材11を3点の点接触により駆動することにより、このようなクロストークを抑制することができ、より高精度な制御が可能となる。
次に、中間部材11と突出部34aをより詳細に説明する。突出部34bおよび34cの説明は突出部34aの説明と同様であるのでここでは省略する。図5は、中間部材11と突出部34aとを模式的に示す断面図である。
突出部34aは、ブリッジ部31aのうちの被接触部12aに対向する面に設けられている。突出部34aの断面形状は、被接触部12aに近いほど断面積の小さいテーパー形状である。駆動力伝達部10a(図1)が可動部7に駆動力を伝達しない状態(固定電極4a(図1)に電圧が印加されていない状態)では、駆動力伝達部10aは可動部7と接触せずに離れている。すなわち、駆動力伝達部10aが可動部7に駆動力を伝達しない状態では、突出部34aと被接触部12aとは接触せずに小さな間隙(例えば数マイクロメートル)を隔てた位置関係にある。駆動部6aを駆動すると、突出部34aが−Z方向に変位して被接触部12aと接触し、さらに被接触部12aを−Z方向に押し下げる。
突出部34a〜34cおよび中間部材11のうちの少なくとも一方(本実施形態では両方)は、スティッキング防止膜40を備える。スティッキング防止膜40は、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとが接触して吸着した状態を保持したままになる、スティッキングと呼ばれる現象を防止する保護膜である。スティッキング防止膜40は、例えば単分子保護膜(Self−Assembled monolayer Coating)である。駆動部6a〜6cおよび中間部材11(図1)全体を単分子保護膜の材料の溶液に浸すことにより、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとを含む全表面にスティッキング防止膜40を形成可能である。スティッキング防止膜40の厚さは任意であり、例えば数nmである(図5では厚さを誇張表示している)。これにより突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとが吸着して固定されることを防止する。突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとが吸着すると、中間部材11の傾動時に回動抵抗が発生し、中間部材11の傾動させるためにより大きな静電引力が必要となり、また駆動部6a〜6c間のクロストークが発生するが、スティッキング防止膜40により中間部材11の傾動時の回動抵抗発生を防止し、低電圧で高精度な制御を実現することができる。
次に、アクチュエータ100の動作をより詳細に説明する。
図6Aは、アクチュエータ100の上面図であり、図6Bは、図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、アクチュエータ100の中心を通り中間部材11に沿った断面を示している。図6Bは、無通電状態のアクチュエータ100を示している。
図6Bを参照して、固定電極4aおよび4bに通電されていない状態では、固定電極4aおよび4bとヨーク5aおよび5bとの間には静電引力が発生していないので、ヨーク5aおよび5bは、初期位置(Z方向に最も高い位置)にあり、ヨーク5aおよび5bの上面はヨーク支持柱20a〜21の上面と同じ高さに位置している。ヨーク5aおよび5bが初期位置にあるとき、突出部34aおよび34bの下端部は、中間部材11と僅かの間隙を隔てて対向する高さに位置している。
図7Aは、アクチュエータ100の上面図であり、図7Bは、図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、アクチュエータ100の中心を通り弾性支持部13aおよび13cに沿った断面を示している。図7Bは、無通電状態のアクチュエータ100を示している。
図7Bを参照して、固定電極4a〜4cのいずれにも通電されていない無通電状態では、中間部材11は突出部34a〜34cのいずれとも接触しておらず、中間部材11を支持する弾性支持部13a〜13cは変形していない。このとき、中間部材11および弾性支持部13a〜13cの上面は、中間部材支持柱30a〜30c(図4)の上面とZ方向に同じ高さに位置している。この無通電状態における中間部材11のZ方向の位置は、中間部材11がZ方向に取り得る最高位置である。
次に、アクチュエータ100の最大変位状態を説明する。図8Aは、図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、図8Bは、図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータ100の断面図である。
図8Aおよび図8Bは、3つの固定電極4a〜4c全てに同じ電圧を印加し、ヨーク5a〜5cが−Z方向に最も大きく移動した最大変位状態を示しており、ヨーク5a〜5cはZ方向に取り得る最低位置にある。3つの固定電極4a〜4c全てに同一の電圧を印加するので、突出部34a〜34c(図1)は全て−Z方向に同一距離だけ変位し、中間部材11に接触して中間部材11を−Z方向に平行移動させる。これにより中間部材11に結合されたミラー部2も同時に平行移動する。この最も−Z方向に変位した状態において固定電極4a〜4cに印加している電圧を最大電圧とする。固定電極4a〜4cに印加する電圧を0から最大電圧まで変化させることにより、突出部34a〜34cのZ方向の位置を、最低位置(図8A)から最高位置(図6B)の間で自由に設定でき、これにより可動部7のZ方向の位置も所望の位置に変位させることが可能である。
次に、アクチュエータ100の傾動状態を説明する。図9Aは、図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、図9Bは、図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータ100の断面図である。
図9Aおよび図9Bは、3つの固定電極4a〜4cのうち、固定電極4aおよび4c(図示せず)には小電圧を印加し、固定電極4bに最大電圧を印加したときの、アクチュエータ100の傾動状態を示している。突出部34aおよび34c(図1)は−Z方向に移動して中間部材11に接触し、被接触部12aおよび12c(図1)を僅かに−Z方向に押圧して被接触部12aおよび12c近傍の中間部材11のZ方向の位置を決定している。一方、突出部34bは−Z方向に大きく移動し、被接触部12bを−Z方向に大きく押し下げている。これにより、中間部材12上の3箇所(被接触部12a〜12c)のZ方向の高さが可動部7を傾動させるように設定される。この時、中間部材11は弾性支持部13により+Z方向に付勢されるので、中間部材11と突出部34a〜34cとが乖離することはなく、常に中間部材11の姿勢を突出部34a〜34cのZ方向位置により制御することが可能である。また、固定電極4a〜4cの電圧を個別に変更することにより、突出部34a〜34cの位置を独立に設定可能であり、最高位置から最低位置までのストロークの中で、中間部材11を任意に傾動および平行移動させることができる。
中間部材11は、ポスト部32a〜33cにより水平方向(XY平面に平行な方向)への変位が防止されているので、中間部材11と突出部34a〜34cとが水平方向に沿って相対変位することはない。このため、中間部材11と突出部34a〜34cとの間で摩耗が発生しない信頼性の高いアクチュエータを提供することができる。
突出部34a〜34cはZ方向に平行移動するのみで傾動することはないが、中間部材11は傾動する。このため、中間部材11が傾動したときは、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の相対角度が変動する。しかし、中間部材11と突出部34a〜34cとは剛結合ではなく点接触しているため、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の弾性変形が全く発生しない。
図10Aおよび図10Bを参照して、中間部材11とヨーク5a〜5cとが剛結合している場合のアクチュエータの傾動状態を説明する。図10Aおよび図10Bは、中間部材11とヨーク5a〜5cとが剛結合しているアクチュエータ110の断面図である。中間部材11と、ヨーク5a、5bおよび5cとは剛結合部11a、11bおよび11c(11cは図示せず)で剛結合している。図10Aは無通電状態のアクチュエータ110を示している。図10Bは、中間部材11を傾動させるために固定電極4bに最大電圧を印加したときの、アクチュエータ110の傾動状態を示している。
図10Bを参照して、固定電極4bに最大電圧を印加して中間部材11を傾動させる場合、中間部材11とヨーク5bとの間の相対角度が変わるので、剛結合部11bを弾性変形させることになる。このため、アクチュエータ100と比較して、アクチュエータ110では、剛結合部11bを弾性変形させるための駆動力が余分に必要となり、より大きな静電駆動力が必要となってしまう。また、さらに、固定電極4bに最大電圧を印加して中間部材11を傾動させた場合、中間部材11と剛結合しているヨーク5aおよび5cが中間部材11と共に傾動してしまうという、駆動部6a、6bおよび6c間のクロストークが発生してしまう。図10Bを参照して、ヨーク5aが傾動していないときとヨーク5aが傾動しているときとでは、固定電極4aに同じ大きさの電圧を印加した場合でも、ヨーク5aと固定電極4aとの間に発生する静電引力の大きさが異なってしまう。このような、あるヨークの移動が他のヨークの移動量に影響するクロストークが発生すると、クロストークに起因する不必要な変位を補正するための補正制御を行わなくてはならなくなり、アクチュエータの姿勢を制御するためのデータ量が膨大になってしまう。特に、アクチュエータを多数備える装置(マイクロミラーアレイ等)においては、クロストークに起因する変位の補正のためのデータ量が膨大になってしまう。このことは、著しいコストの増大およびアクチュエータの駆動速度の低下の原因となってしまう。
図9Aに示されるように、本実施形態のアクチュエータ100では、中間部材11と突出部34a〜34cとは剛結合ではなく点接触している。このため、図10Bを参照して説明したような弾性変形が起こらず、弾性変形に起因する反力を無くすことができるので、駆動に必要な静電駆動力を小さく抑えることができる。また、中間部材11が傾動してもヨーク5a〜5cは傾動しないので、ヨーク5a〜5cの不必要な変位を抑制すると共にヨーク5a〜5cと固定電極4a〜4cとを互いに平行な関係に保つことができ、上述のようなクロストークを抑制することができる。このため、より少ないデータ量でより高精度な制御が可能となる。
また、突出部34a〜34cが−Z方向に変位するときには突出部34a〜34cは中間部材11に略垂直に接触し、中間部材11が傾動する場合においても、駆動力伝達部10a〜10cの変位方向(Z方向)と被接触部12a〜12cの法線方向とのなす角は、0°を中心に所定の角度(例えば数度)内で変動するだけあり極端に大きくなることはない。このため、突出部34a〜34cが被接触部12a〜12cに大きく斜めに接触して被接触部12a〜12c上をスライドし、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの接触位置が変わることは無く、常に同じ位置関係を保つので、精度の良い制御が可能である。また突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの擦れによる、突出部34a〜34cおよび被接触部12a〜12cの摩耗も発生せず、信頼性の高いアクチュエータを提供できる。
なお、本実施形態において、突出部34a〜34cはテーパー形状を有しているが、テーパー形状を有している必要はない。突出部34a〜34cの先端部の形状を平面ではなく、わずかな曲率半径Rを有する曲面にして中間部材11と点接触させても良い。
また、本実施形態において、駆動部6a〜6cは、ヨークを固定電極側に吸引する静電引力のみを発生する静電型の駆動部であったが、圧電型の駆動部等、ヨークを上下双方向に変位可能な駆動部を用い、中間部材11を上面および下面の両面から点接触で押圧しても良い。
本発明のアクチュエータおよびそのアクチュエータを備えた装置は、収差補正、光走査、分光等を行う光デバイス及び光ディスク装置の分野で好適に用いられる。また、チューナブルキャパシタ等の高周波回路や、可変流路等の流体制御デバイス、バイオテクノロジー等の分野でも好適に用いられる。本発明のアクチュエータおよびそのアクチュエータを備えた装置は、光ビームを反射して所定の位置にある光電気素子や光ファイバに入射させる機械的光スイッチや、収差補正用のマイクロミラーアレイの分野で特に好適に用いられる。
本発明は、傾動と垂直変位とが可能なアクチュエータに関する。本発明のアクチュエータは、例えば、可動部に光反射面を備えたマイクロミラーデバイスとして用いられる。
MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて多様なマイクロアクチュエータが作製され、光学、高周波回路、バイオテクノロジーなど様々な分野へのマイクロアクチュエータの応用が期待されている。例えば、補償光学(Adaptive Optics)分野では、光の波面を制御するためのマイクロミラーアレイが開発されている。また、例えば、光ビームを反射して光電気素子や光ファイバに入射させる機械的光スイッチとして用いるためのマイクロミラーアレイが開発されている。
これらのマイクロミラーアレイは複数のアクチュータを備える。アクチュータのそれぞれが備えるミラーは、入射する光を任意の方向に反射させるために、2軸の傾動を行えることが望ましい。
図11を参照して、特許文献1に開示されている従来のアクチュエータを説明する。図11は、ミラーを備え、ミラー駆動装置として機能するアクチュエータ200を示す。
球状ミラー101の一部に光反射面102が設けられている。フレーム103が備える4本のアーム104(1本は図示せず)が、球状ミラー101を保持している。アーム104のそれぞれの、球状ミラー101との接触部には球面の窪み(図示せず)が形成されている。アーム104が球状ミラー101と嵌合して球状ミラー101を保持することにより、球状ミラー101は、x軸まわりおよびy軸まわりにそれぞれ独立に回動可能となっており、また、球状ミラー101の回動時に球状ミラー101がアーム104から外れないようになっている。フレーム103には、4つの圧電素子105が2×2の配列で固定されている。円柱形状のロッド106の根元部が圧電素子105に固定されており、その先端部は球状ミラー101表面に所定の角度で軽く接触している。またロッド106の先端部は、球状ミラー101との接触面積が大きくなる様に斜めに切断されている。
圧電素子105を駆動すると、ロッド106の先端部が球状ミラー101表面に所定の角度で押し付けられる。球状ミラー101はアーム104に保持されており、Z軸方向への並進移動はできず、X軸およびY軸周りの回動のみ可能である。このため、ロッド106が球状ミラー101を押す力は、球状ミラー101を回動させる様に作用する。駆動する圧電素子105を選択することにより、x軸、y軸いずれの軸周りにも球状ミラー101を回動させることが可能であり、光反射面102を任意の方向に傾動させることが可能である。
また、フレーム103の外形が直方体になっているため、同様の構成のミラーを上下左右に効率よく配置することが可能である。
しかしながら、従来のアクチュエータ200では、長期間の使用においてロッド106および球状ミラー101が摩耗するという課題を有していた。また、球状ミラー101表面を高精度な球面に加工する必要があるという課題を有していた。
ロッド106が球状ミラー101を回動させる際、球状ミラー101表面に対して垂直に近い角度でロッド106が接触すると、球状ミラー101を回動させる方向への力が小さくなり球状ミラー101を回動させることができない。このため、球状ミラー101表面に対して垂直な方向とのなす角が大きくなるようにロッド106を接触させる必要がある。しかしながら、この場合は、ロッド106が球状ミラー101を回動させずに表面を滑って擦ってしまう現象が発生しやすくなり、ロッド106および球状ミラー101表面が摩耗してしまう。また、あるロッド106が球状ミラー101を回動させているとき、他のロッド106は球状ミラー101表面を擦っているため、長時間の使用でロッド106および球状ミラー101が摩耗してしまい、初期の特性を維持できず、アクチュエータ200の信頼性が低くなってしまう。
また、球状ミラー101表面が高精度な球面を成していない場合、回動によって球状ミラー101とロッド106との間の接触状態が変わり、球状ミラー101とロッド106との間の摩擦力が小さくなり滑って駆動できない等の問題が発生するため、球状ミラー101を高精度な球面に加工する必要があり高コストになる。さらにMEMS技術を用いた超小型のマイクロミラーにおいては、ミラーの外形を球状に加工すること自体が極めて困難である。
また、アクチュエータ200では、球状ミラー101を傾動させるのみであるが、光の波面をより滑らかに制御するためには、球状ミラー101をフレーム103に対して傾動させると共に垂直変位をさせることが望ましい。
このような傾動と垂直変位とが可能なアクチュエータの例は、非特許文献1に開示されている。図12は、非特許文献1に開示されるマイクロアクチュエータ300を模式的に示す斜視図である。
可動電極305は、その外周部を3本の弾性梁301a、301bおよび301cにより支持されている。また、可動電極305は3つの固定電極302a、302bおよび302cと対向している。可動電極305と、固定電極302a、302bおよび302cとにより3つの駆動部が構成されている。ミラー303は、接合部304において可動電極305と剛結合されている。すなわちミラー303は、3つの駆動部と剛結合されている。
固定電極302a、302bおよび302cは、それぞれ独立に駆動電圧を印加可能に設けられ、可動電極305との間で電位差が与えられる。これにより、可動電極305を吸引する方向に静電力が発生する。固定電極302a〜302cの駆動電圧を同一に設定すれば、可動電極305はほぼ傾動せずに下方向に垂直変位する。また、これらの駆動電圧を互いに異ならせれば、可動電極305は所望の方向に傾動しながら下方向に垂直変位する。このように、可動電極305は、2軸の傾動と共に下方向への垂直変位が可能である。
ミラー303は、可動電極305と剛結合されているので、可動電極305の変位がそのままミラー303の変位を決定する。
特開平7−113967号公報 U.Srinivasan, et al., "Fluidic Self−Assembly of MicromirrorsOnto Microactuators Using Capillary Forces", IEEE Journal on Selected Topics in Quantum Electronics, Vol. 8, No.1, pp.4−11 (January, 2002)
しかしながら、上記のようなマイクロアクチュエータ300では、駆動部間にクロストークが発生してしまうという課題があった。例えば、ある固定電極に所定の電圧を印加し、その固定電極に対向する側の可動電極305の一端が垂直方向に変位した場合には、他の固定電極に対向する側の可動電極305の端部も垂直方向に変位してしまう。
可動電極305の姿勢制御の観点から、このような駆動部間のクロストークの度合いは小さい方が良い。クロストークの度合いが変位の目標分解能に対して十分小さければ、固定電極302a〜302cのそれぞれに対向する可動電極305の各端部の変位を、対応する固定電極への印加電圧によりそれぞれ独立して制御できるので、制御装置を簡素な構成にすることができる。また、クロストークに起因する変位を補正する制御を行う場合でも、クロストークの度合いが小さいほど制御の高精度化と簡素化が容易となる。特に静電駆動の場合は駆動力が吸引方向にしか発生しないために、クロストークに起因する変位を元に戻す方向への補正制御が難しい。また、マイクロアクチュエータの特性のばらつきが大きい場合はクロストークに起因する変位の補正のためのデータ量が膨大になってしまう。特に、マイクロアクチュエータを多数備える装置(マイクロミラーアレイ等)においてクロストークが大きいと、クロストークに起因する変位の補正のためのデータ量が膨大になってしまう。このことは、著しいコストの増大およびマイクロアクチュエータの駆動速度の低下の原因となる。このような点から、駆動部間のクロストークは小さい方が望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部間のクロストークが小さく、且つ、低コストで信頼性の高いアクチュエータ、およびそのアクチュエータを備えた装置を提供することにある。
本発明のアクチュエータは、基台と、前記基台に対して変位可能な可動部と、前記可動部の前記基台に対する変位が可能なように前記可動部を支持する弾性支持部と、前記基台に対して前記可動部を変位させる複数の駆動部とを備え、前記複数の駆動部のそれぞれは、前記可動部へ駆動力を伝達する時に前記可動部に接触する駆動力伝達部を備えることを特徴とする。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達しない時には前記可動部から離れている、請求項1に記載のアクチュエータ。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記可動部にスライド可能に接触する。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記可動部に接触する突出部を備える。
ある実施形態において、前記突出部は、前記突出部と接触する前記可動部の接触領域に近いほど断面積が小さくなる形状を有する。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、前記突出部および前記中間部材のうちの少なくとも一方は、スティッキング防止膜を備える。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、前記可動部は、前記可動部のうちの前記中間部材とは反対の側に設けられた光反射面をさらに備える。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、前記可動部は、前記突出部が前記中間部材を前記基台へ向かう方向に押圧することにより変位する。
ある実施形態において、前記可動部は、前記可動部のうちの前記中間部材とは反対の側に設けられた光反射面をさらに備え、前記突出部は、前記光反射面と前記中間部材との間に位置している。
ある実施形態において、前記駆動力伝達部は、前記中間部材と隙間を隔てて前記中間部材の一部を挟み込むポスト部と、前記光反射面と前記中間部材との間に位置し、前記ポスト部によって支持されたブリッジ部とをさらに備え、前記突出部は、前記ブリッジ部に設けられている。
本発明の装置は、基台と、前記基台に対して変位可能な複数の可動部と、前記複数の可動部の前記基台に対する変位が可能なように前記複数の可動部のうちの対応する1つをそれぞれ支持する複数の弾性支持部と、前記基台に対して前記複数の可動部のそれぞれを変位させる複数の駆動部とを備え、前記複数の駆動部のそれぞれは、前記複数の可動部のうちの対応する1つへ駆動力を伝達する時に前記対応する1つの可動部に接触する駆動力伝達部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、駆動部は、可動部へ駆動力を伝達する時に可動部に接触する駆動力伝達部を備える。すなわち、駆動力伝達部のそれぞれと可動部とは剛結合していない。このため、ある駆動力伝達部により可動部を変位させた場合に他の駆動力伝達部が変位することを抑制することができ、駆動部間のクロストークを非常に小さくすることができる。
また、本発明によれば、高精度な球状ミラーを必要としない安価な構成で、且つ、構成要素の摩耗のない信頼性の高いアクチュエータを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明によるアクチュエータおよびそのアクチュエータを備えた装置の実施形態を説明する。
まず、図1を参照する。図1は、本実施形態のアクチュエータ100を模式的に示す分解斜視図である。アクチュエータ100は、半導体製造プロセスを用いたマイクロマシニング技術やMEMS技術を用いて作製されている。
アクチュエータ100は、基台1と、基台1に対して変位可能な可動部7と、可動部7の基台1に対する変位が可能なように可動部7を支持する弾性支持部13a、13bおよび13cと、基台1に対して可動部7を変位させる複数の駆動部6a、6bおよび6cとを備える。
基台1は、シリコン部材1aと、シリコン部材1a上に形成された窒化シリコン系の絶縁層1bとを備える。シリコン部材1aには駆動回路(図示せず)が形成されている。絶縁層1b上には駆動部6a〜6cが設けられている。絶縁層1bにはビア(図示せず)が形成されており、このビアを介して駆動回路と駆動部6a〜6cとが電気的に接続されている。駆動部6a、6bおよび6cは、可動部7へ駆動力を伝達する駆動力伝達部10a、10bおよび10cを備える。駆動力伝達部10a、10bおよび10cは、可動部7へ駆動力を伝達する時に可動部7に接触する突出部34a、34bおよび34cを備える。本発明において、「接触」とは、構成要素同士が触れてはいるが結合していない状態を指す。
可動部7は、可動部7のうちの基台1と対向する側に設けられた中間部材11と、可動部7のうちの中間部材11とは反対の側に設けられたミラー部2とを備える。駆動力伝達部10a〜10cが可動部7へ駆動力を伝達する時に、中間部材11は突出部34a〜34cと接触する。ミラー部2は、光(例えば光ビーム)を反射する光反射面2aを備える。可動部7へ駆動力が伝達されていない状態では、光反射面2aはXY平面と平行であり、光反射面2aの法線方向はZ軸方向となる。光反射面2aの平面形状およびサイズは、アクチュエータ100の用途や求められる性能等によって様々に設計される。本実施形態では、光反射面2aの形状は6角形であり、6角形の1辺は約60μmである。
駆動部6a〜6cは、ミラー部2と基台1との間に位置しており、突出部34a〜34cは、ミラー部2と中間部材11との間に位置している。駆動部6a〜6cは、駆動回路から供給される電気信号に基づいて駆動力を発生し、これらの駆動力に応じて突出部34a〜34cが中間部材11を基台1へ向かう方向に押圧することにより、可動部7は基台1に対する垂直方向の変位(Z軸方向に沿った平行移動)、および基台1に対する2軸の傾動(X軸、Y軸周りの傾動)を行う。このように可動部7が変位することにより、光反射面2aは、入射光を所望の方向に反射する。
次に、駆動部6a〜6cおよび可動部7をより詳細に説明する。
駆動部6a〜6cは、固定電極4a、4bおよび4cと、ヨーク5a、5bおよび5cとを備える。固定電極4a〜4cは、多結晶シリコン等の導電膜をパターニングして形成され、駆動回路(図示せず)に接続されて所望の電位に設定可能である。
固定電極4a〜4cと同様に、ヨーク5a〜5cも、多結晶シリコン等の導電膜で形成される。ヨーク5a〜5cは、固定電極4a〜4cと所定の間隙を隔てて対向して配置される略菱形の板状部材であり、3つ合わせて全体が6角形になる対称形に配置されている。固定電極4aとヨーク5aとが対向しており、固定電極4bとヨーク5bとが対向しており、固定電極4cとヨーク5cとが対向している。ヨーク5a〜5cは可動電極として機能する。ヨーク5a〜5cは、ヨーク5a〜5cの面に垂直な方向であるZ方向に沿って、それぞれ独立に平行移動可能である。ヨーク5a〜5cも固定電極4a〜4cと同様に駆動回路に接続されるが、常に接地電位に設定される。固定電極4a〜4cに所定の電位を与えることによりヨーク5a〜5cと固定電極4a〜4cとの間に静電引力が発生し、ヨーク5a〜5cが固定電極4a〜4c側に吸引される。固定電極4a〜4cのそれぞれは個別に電圧を設定可能なので、ヨーク5a〜5cを−Z方向に個別に変位させることができる。
駆動力伝達部10a〜10cは、ヨーク5a〜5cのうちのミラー部2と対向する面(+Z側の面)の中央部に設けられている。駆動力伝達部10a〜10cはアーチ形状をしている。駆動力伝達部10a〜10cは、ヨーク5a〜5cがZ方向に沿って変位する時にヨーク5a〜5cと一体に移動する。
中間部材11は板状部材であり、ミラーポスト14を介して中間部材11の中心部とミラー部2の中心部とが剛結合されている。アーチ形状の駆動力伝達部10a〜10cのそれぞれは中間部材11の一部を挟み込んでいる。突出部34a〜34cは中間部材11の上面と対向するように駆動力伝達部10a〜10cに設けられている。突出部34a、34bおよび34cは、それぞれ中間部材11の略平面状の面である被接触部12a、12bおよび12cと接触することができる。被接触部12a〜12cは、光反射面2aと略平行で、かつミラー部2に対向している。
駆動力伝達部10a〜10cが−Z方向に移動すると、突出部34a〜34cは被接触部12a、12bおよび12cと接触して、中間部材11を−Z方向に押し下げる。突出部34a〜34cをミラー部2と中間部材11との間に位置させ、ヨーク5a〜5cを固定電極4a〜4cへ向かう方向に駆動することにより、ミラー部2を−Z方向に変位させることができる。
また、駆動力伝達部10a〜10cをミラー部2に直接接触させずに、中間部材11に接触させる構成を採用することにより、ミラー部2とそれ以外の構成要素とを別個に製作し、その後、中間部材11とミラー部2とを接合するという製作工程を取ることができる。このため、光反射面2aを有するミラー部2を、駆動部6a〜6cの製作プロセスとは別のプロセスで高精度に加工することが可能となる。
駆動力伝達部10a〜10cが−Z方向に変位するとき、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとは触れてはいるが結合していない状態にあり、互いにスライド可能な接触(slidable contact)状態にある。突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの位置関係(相対角度等)が大きく変化すると、突出部34a〜34cは被接触部12a〜12c上をスライドすることが可能であるが、通常の動作範囲では、突出部34a〜34cは被接触部12a〜12cに略垂直に接触し、スライドしない。可動部7が傾動する場合でも、駆動力伝達部10a〜10cの変位方向(Z方向)と被接触部12a〜12cの法線方向とのなす角は、0°を中心に所定の角度(例えば数度)内で変動するだけであり極端に大きくなることはない。このため、突出部34a〜34cが被接触部12a〜12cに大きく斜めに接触して被接触部12a〜12c上をスライドし、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの接触位置が変わることは無く、常に同じ位置関係を保つので、精度の良い制御が可能である。また突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの擦れによる、突出部34a〜34cおよび被接触部12a〜12cの摩耗も発生せず、信頼性の高いアクチュエータを提供できる。
また、駆動力伝達部10a〜10cのそれぞれの変位量は独立に設定可能なので、中間部材11上の3箇所(被接触部12a〜12c)におけるZ方向の位置を独立に設定することにより中間部材11の姿勢を定めることができる。従って、可動部7を、−Z方向へ平行移動させたり、X軸、Y軸周りの傾動をさせたりすることが自由に可能である。
弾性支持部13a〜13cは、中間部材11の中心近傍に結合される弾性梁を有する支持バネである。中間部材11が−Z方向に移動すると、弾性支持部13a〜13cは弾性変形し、中間部材11を移動方向と逆方向(+Z方向)へ付勢する弾性復元力を発生する。この弾性復元力により被接触部12a〜12cが突出部34a〜34cに押し付けられることで、被接触部12a〜12cと突出部34a〜34cとを確実に接触させることができる。被接触部12a〜12cと突出部34a〜34cとが接触した状態では、駆動力伝達部10a〜10cの−Z方向への移動量と被接触部12a〜12cの移動量とが同じであることが保証され、駆動部6a〜6cの変位を確実に可動部7の変位に反映させることが可能な高精度なアクチュエータを提供できる。
なお、中間部材11と弾性支持部13a〜13cとは、同じプロセスで同時に形成可能であり、中間部材11のみを高精度に加工したり球面に加工したりする等の特別な工程は不要なので、信頼性の高いアクチュエータを低コストで提供することが可能である。
次に、複数のアクチュエータ100を備えた装置であるアクチュエータアレイを説明する。
図2は、本実施形態のアクチュエータアレイ101を模式的に示す分解斜視図である。アクチュエータアレイ101は、複数のアクチュエータ100を備える。アクチュエータアレイ101は、複数のミラー部2を2次元状に配列し、複数のミラー部2を個別に変位させることが可能なマイクロミラーアレイである。アクチュエータアレイ101は、半導体製造プロセスを用いたマイクロマシニング技術やMEMS技術を用いて作製されている。
アクチュエータアレイ101では、アクチュエータ100のそれぞれの駆動部6a〜6cを1つの駆動部ユニットとして、複数の駆動部ユニットが基台1上に2次元状に配置されている。各駆動部ユニットに関連付けて弾性支持部13a〜13cおよび可動部7が設けられている。可動部7のそれぞれは、対応する弾性支持部13a〜13cによって、基台1に対する変位が可能なように支持されている。各駆動部ユニットは、複数の可動部7のうちの対応する1つを基台1に対して変位させる。駆動力伝達部10a〜10cのそれぞれは、複数の可動部7のうちの対応する1つに駆動力を伝達するときに、その対応する可動部7に接触して駆動力を伝達する。
アクチュエータアレイ101が備えるアクチュエータ100の個数は任意である。例えば補償光学分野における光の波面の制御用途では、アクチュエータアレイ101は、1000個以上のアクチュエータ100を備える。
一組の駆動部6a〜6cを併せた1つの駆動部ユニットの水平方向の大きさは、ミラー部2の大きさと殆ど同じかそれ以下である。このため、駆動部ユニットの大きさに影響されることなく、隣合うミラー部2同士を数μm程度の僅かの隙間で密に配置可能であり、多数のミラー部2を無駄なく配列可能である。
次に、アクチュエータ100(図1)の固定電極4a〜4cおよびヨーク5a〜5cをより詳細に説明する。図3は、固定電極4a〜4cおよびヨーク5a〜5cを模式的に示す分解斜視図である。
ヨーク5a〜5cは、ヨーク支持梁22a〜22c、23a〜23c、24a〜24c、25a〜25cにより、固定電極4a〜4cと所定の空隙を隔てて支持されている。ヨーク支持梁22a〜25cのそれぞれは、ヨーク支持柱20a〜20fおよび21のうちの対応する1つに結合された細長の弾性梁である。ヨーク支持梁22a〜25cおよびヨーク支持柱20a〜21は、ヨーク5a〜5cと同じ導電性材料から形成されており、ヨーク5a〜5cと同時に形成される。ヨーク支持柱20a〜20fは六角形の領域の最外周に、ヨーク支持柱21は六角形の領域の中心に配置されており、全て同一形状である。また、ヨーク支持柱20a〜21は、略菱形形状であるヨーク5a〜5cのそれぞれの角部近傍に配置されており、ヨーク5a〜5cのそれぞれを対応する4本ずつで支持している。
固定電極4a〜4cに電圧を印加して、固定電極4a〜4cとヨーク5a〜5cとの間に静電引力が発生すると、ヨーク5a〜5cは固定電極4a〜4cへ向かう方向(−Z方向)に引かれて移動する。このとき、ヨーク支持梁22a〜25cが弾性変形し、ヨーク5a〜5cを固定電極4a〜4cの移動方向と反対方向(+Z方向)に付勢する弾性復元力を発生する。この弾性復元力と静電引力とが釣り合う位置にヨーク5a〜5cは変位する。
支持柱台26a〜26fおよび27は、それぞれヨーク支持柱20a〜21の下部に設けられ、ヨーク支持柱20a〜21を支持する小電極である。支持柱台26a〜27は、固定電極4a〜4cと同様に多結晶シリコンの導電膜をパターニングして形成され、駆動回路(図示せず)に接続されて接地電位に保たれる。ヨーク支持柱20a〜21、ヨーク支持梁22a〜25cおよびヨーク5a〜5cは、導電性材料から形成されており、支持柱台26a〜27と電気的に接続されていることにより、接地電位に保たれる。
次に、図4を参照しつつ、中間部材11、弾性支持部13a〜13cおよび駆動力伝達部10a〜10cをより詳細に説明する。図4は、中間部材11、弾性支持部13a〜13cおよび駆動力伝達部10a〜10cを模式的に示す分解斜視図である。
中間部材11を支持する弾性支持部13a、13bおよび13cの端部は、中間部材支持柱30a、30bおよび30cに結合されている。中間部材支持柱30a、30bおよび30cは、それぞれヨーク支持柱20b、20d、20f(図3)上に積層して形成される。中間部材支持柱30a〜30cは、弾性支持部13a〜13cを介して中間部材11を支持している。
駆動力伝達部10は、ブリッジ部31a〜31cと、ポスト部32a〜32cおよび33a〜33cを備える。突出部34a〜34cは、中間部材11に対向するようにブリッジ部31a〜31cに設けられている。以下では、ブリッジ部31aとポスト部32aおよび33aとについて説明する。(ブリッジ部31bとポスト部32bおよび33bとを組み合わせた構成と、ブリッジ部31cとポスト部32cおよび33cとを組み合わせた構成とは、ブリッジ部31aとポスト部32aおよび33aとを組み合わせた構成と同じであるので、説明を省略する)。
ポスト部32aおよび33aは、ヨーク5a(図3)上に設けられている。ブリッジ部31aは光反射面2aと中間部材11との間に位置し、ポスト部32aおよび33aによって支持されている。ポスト部32aの上端部とポスト部33aの上端部とがブリッジ部31aにより連結されており、これらを併せてアーチ状の形状が形成されている。ポスト部32aおよび33aは、僅かな間隙を隔てて中間部材11の一部(被接触部12a近傍)を挟み込む様に配置されており、中間部材11のXY平面内方向の移動を規制し、Z方向のみに移動可能としている。また、ブリッジ部31aは、その一部が中間部材11の一部(被接触部12a近傍)と対向する様に配置されている。
突出部34aは、ブリッジ部31上のうちの被接触部12aと対向する面に設けられている。突出部34aは、突出部34aと接触する被接触部12aの接触領域に近いほど断面積が徐々に小さくなるテーパー形状を有している。駆動部6aの駆動に伴って突出部34aが−Z方向に押し下げられると、突出部34aは被接触部12aと接触し、さらに駆動が行われると被接触部12aを−Z方向に押し下げる。突出部34aとブリッジ部31aとの結合部は断面積が大きく高剛性なので突出部34aは破損しにくく、被接触部12aと接触する突出部34aの先端部は断面積が小さいので被接触部12との点接触を実現可能である。
突出部34a〜34cにより中間部材11を3点の点接触で押圧することにより2つの効果が得られる。第1に、中間部材11を傾動させて、中間部材11と突出部34との相対角度が変わった場合でも、中間部材11と突出部34との接触位置の変動が無く、駆動力が加わる中間部材11の位置は変動しない。これにより、ヨーク5の変位をより正確に可動部7に伝達することができ、可動部7のより高精度な制御が可能である。第2に、中間部材11と突出部34a〜34cとが剛結合していないため、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の相対角度が変わることによる中間部材11と突出部34a〜34cとの間の弾性変形が全く発生しない。中間部材11と突出部34a〜34cとが剛結合している場合には、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の相対角度を変える時に、これらの剛結合している部位を弾性変形させるための駆動力が余分に必要であり、より大きな静電駆動力が必要となってしまう。また別の問題として、例えば被接触部12aのみを駆動したい場合であっても、中間部材11と突出部34aとの間の相対角度が変わることにより発生する弾性変形の反力により、他の突出部34bや34cが変位するという、駆動部6a、6bおよび6c間のクロストークが発生する。中間部材11を3点の点接触により駆動することにより、このようなクロストークを抑制することができ、より高精度な制御が可能となる。
次に、中間部材11と突出部34aをより詳細に説明する。突出部34bおよび34cの説明は突出部34aの説明と同様であるのでここでは省略する。図5は、中間部材11と突出部34aとを模式的に示す断面図である。
突出部34aは、ブリッジ部31aのうちの被接触部12aに対向する面に設けられている。突出部34aの断面形状は、被接触部12aに近いほど断面積の小さいテーパー形状である。駆動力伝達部10a(図1)が可動部7に駆動力を伝達しない状態(固定電極4a(図1)に電圧が印加されていない状態)では、駆動力伝達部10aは可動部7と接触せずに離れている。すなわち、駆動力伝達部10aが可動部7に駆動力を伝達しない状態では、突出部34aと被接触部12aとは接触せずに小さな間隙(例えば数マイクロメートル)を隔てた位置関係にある。駆動部6aを駆動すると、突出部34aが−Z方向に変位して被接触部12aと接触し、さらに被接触部12aを−Z方向に押し下げる。
突出部34a〜34cおよび中間部材11のうちの少なくとも一方(本実施形態では両方)は、スティッキング防止膜40を備える。スティッキング防止膜40は、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとが接触して吸着した状態を保持したままになる、スティッキングと呼ばれる現象を防止する保護膜である。スティッキング防止膜40は、例えば単分子保護膜(Self−Assembled monolayer Coating)である。駆動部6a〜6cおよび中間部材11(図1)全体を単分子保護膜の材料の溶液に浸すことにより、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとを含む全表面にスティッキング防止膜40を形成可能である。スティッキング防止膜40の厚さは任意であり、例えば数nmである(図5では厚さを誇張表示している)。これにより突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとが吸着して固定されることを防止する。突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとが吸着すると、中間部材11の傾動時に回動抵抗が発生し、中間部材11の傾動させるためにより大きな静電引力が必要となり、また駆動部6a〜6c間のクロストークが発生するが、スティッキング防止膜40により中間部材11の傾動時の回動抵抗発生を防止し、低電圧で高精度な制御を実現することができる。
次に、アクチュエータ100の動作をより詳細に説明する。
図6Aは、アクチュエータ100の上面図であり、図6Bは、図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、アクチュエータ100の中心を通り中間部材11に沿った断面を示している。図6Bは、無通電状態のアクチュエータ100を示している。
図6Bを参照して、固定電極4aおよび4bに通電されていない状態では、固定電極4aおよび4bとヨーク5aおよび5bとの間には静電引力が発生していないので、ヨーク5aおよび5bは、初期位置(Z方向に最も高い位置)にあり、ヨーク5aおよび5bの上面はヨーク支持柱20a〜21の上面と同じ高さに位置している。ヨーク5aおよび5bが初期位置にあるとき、突出部34aおよび34bの下端部は、中間部材11と僅かの間隙を隔てて対向する高さに位置している。
図7Aは、アクチュエータ100の上面図であり、図7Bは、図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、アクチュエータ100の中心を通り弾性支持部13aおよび13cに沿った断面を示している。図7Bは、無通電状態のアクチュエータ100を示している。
図7Bを参照して、固定電極4a〜4cのいずれにも通電されていない無通電状態では、中間部材11は突出部34a〜34cのいずれとも接触しておらず、中間部材11を支持する弾性支持部13a〜13cは変形していない。このとき、中間部材11および弾性支持部13a〜13cの上面は、中間部材支持柱30a〜30c(図4)の上面とZ方向に同じ高さに位置している。この無通電状態における中間部材11のZ方向の位置は、中間部材11がZ方向に取り得る最高位置である。
次に、アクチュエータ100の最大変位状態を説明する。図8Aは、図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、図8Bは、図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータ100の断面図である。
図8Aおよび図8Bは、3つの固定電極4a〜4c全てに同じ電圧を印加し、ヨーク5a〜5cが−Z方向に最も大きく移動した最大変位状態を示しており、ヨーク5a〜5cはZ方向に取り得る最低位置にある。3つの固定電極4a〜4c全てに同一の電圧を印加するので、突出部34a〜34c(図1)は全て−Z方向に同一距離だけ変位し、中間部材11に接触して中間部材11を−Z方向に平行移動させる。これにより中間部材11に結合されたミラー部2も同時に平行移動する。この最も−Z方向に変位した状態において固定電極4a〜4cに印加している電圧を最大電圧とする。固定電極4a〜4cに印加する電圧を0から最大電圧まで変化させることにより、突出部34a〜34cのZ方向の位置を、最低位置(図8A)から最高位置(図6B)の間で自由に設定でき、これにより可動部7のZ方向の位置も所望の位置に変位させることが可能である。
次に、アクチュエータ100の傾動状態を説明する。図9Aは、図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータ100の断面図であり、図9Bは、図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータ100の断面図である。
図9Aおよび図9Bは、3つの固定電極4a〜4cのうち、固定電極4aおよび4c(図示せず)には小電圧を印加し、固定電極4bに最大電圧を印加したときの、アクチュエータ100の傾動状態を示している。突出部34aおよび34c(図1)は−Z方向に移動して中間部材11に接触し、被接触部12aおよび12c(図1)を僅かに−Z方向に押圧して被接触部12aおよび12c近傍の中間部材11のZ方向の位置を決定している。一方、突出部34bは−Z方向に大きく移動し、被接触部12bを−Z方向に大きく押し下げている。これにより、中間部材12上の3箇所(被接触部12a〜12c)のZ方向の高さが可動部7を傾動させるように設定される。この時、中間部材11は弾性支持部13により+Z方向に付勢されるので、中間部材11と突出部34a〜34cとが乖離することはなく、常に中間部材11の姿勢を突出部34a〜34cのZ方向位置により制御することが可能である。また、固定電極4a〜4cの電圧を個別に変更することにより、突出部34a〜34cの位置を独立に設定可能であり、最高位置から最低位置までのストロークの中で、中間部材11を任意に傾動および平行移動させることができる。
中間部材11は、ポスト部32a〜33cにより水平方向(XY平面に平行な方向)への変位が防止されているので、中間部材11と突出部34a〜34cとが水平方向に沿って相対変位することはない。このため、中間部材11と突出部34a〜34cとの間で摩耗が発生しない信頼性の高いアクチュエータを提供することができる。
突出部34a〜34cはZ方向に平行移動するのみで傾動することはないが、中間部材11は傾動する。このため、中間部材11が傾動したときは、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の相対角度が変動する。しかし、中間部材11と突出部34a〜34cとは剛結合ではなく点接触しているため、中間部材11と突出部34a〜34cとの間の弾性変形が全く発生しない。
図10Aおよび図10Bを参照して、中間部材11とヨーク5a〜5cとが剛結合している場合のアクチュエータの傾動状態を説明する。図10Aおよび図10Bは、中間部材11とヨーク5a〜5cとが剛結合しているアクチュエータ110の断面図である。中間部材11と、ヨーク5a、5bおよび5cとは剛結合部11a、11bおよび11c(11cは図示せず)で剛結合している。図10Aは無通電状態のアクチュエータ110を示している。図10Bは、中間部材11を傾動させるために固定電極4bに最大電圧を印加したときの、アクチュエータ110の傾動状態を示している。
図10Bを参照して、固定電極4bに最大電圧を印加して中間部材11を傾動させる場合、中間部材11とヨーク5bとの間の相対角度が変わるので、剛結合部11bを弾性変形させることになる。このため、アクチュエータ100と比較して、アクチュエータ110では、剛結合部11bを弾性変形させるための駆動力が余分に必要となり、より大きな静電駆動力が必要となってしまう。また、さらに、固定電極4bに最大電圧を印加して中間部材11を傾動させた場合、中間部材11と剛結合しているヨーク5aおよび5cが中間部材11と共に傾動してしまうという、駆動部6a、6bおよび6c間のクロストークが発生してしまう。図10Bを参照して、ヨーク5aが傾動していないときとヨーク5aが傾動しているときとでは、固定電極4aに同じ大きさの電圧を印加した場合でも、ヨーク5aと固定電極4aとの間に発生する静電引力の大きさが異なってしまう。このような、あるヨークの移動が他のヨークの移動量に影響するクロストークが発生すると、クロストークに起因する不必要な変位を補正するための補正制御を行わなくてはならなくなり、アクチュエータの姿勢を制御するためのデータ量が膨大になってしまう。特に、アクチュエータを多数備える装置(マイクロミラーアレイ等)においては、クロストークに起因する変位の補正のためのデータ量が膨大になってしまう。このことは、著しいコストの増大およびアクチュエータの駆動速度の低下の原因となってしまう。
図9Aに示されるように、本実施形態のアクチュエータ100では、中間部材11と突出部34a〜34cとは剛結合ではなく点接触している。このため、図10Bを参照して説明したような弾性変形が起こらず、弾性変形に起因する反力を無くすことができるので、駆動に必要な静電駆動力を小さく抑えることができる。また、中間部材11が傾動してもヨーク5a〜5cは傾動しないので、ヨーク5a〜5cの不必要な変位を抑制すると共にヨーク5a〜5cと固定電極4a〜4cとを互いに平行な関係に保つことができ、上述のようなクロストークを抑制することができる。このため、より少ないデータ量でより高精度な制御が可能となる。
また、突出部34a〜34cが−Z方向に変位するときには突出部34a〜34cは中間部材11に略垂直に接触し、中間部材11が傾動する場合においても、駆動力伝達部10a〜10cの変位方向(Z方向)と被接触部12a〜12cの法線方向とのなす角は、0°を中心に所定の角度(例えば数度)内で変動するだけあり極端に大きくなることはない。このため、突出部34a〜34cが被接触部12a〜12cに大きく斜めに接触して被接触部12a〜12c上をスライドし、突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの接触位置が変わることは無く、常に同じ位置関係を保つので、精度の良い制御が可能である。また突出部34a〜34cと被接触部12a〜12cとの擦れによる、突出部34a〜34cおよび被接触部12a〜12cの摩耗も発生せず、信頼性の高いアクチュエータを提供できる。
なお、本実施形態において、突出部34a〜34cはテーパー形状を有しているが、テーパー形状を有している必要はない。突出部34a〜34cの先端部の形状を平面ではなく、わずかな曲率半径Rを有する曲面にして中間部材11と点接触させても良い。
また、本実施形態において、駆動部6a〜6cは、ヨークを固定電極側に吸引する静電引力のみを発生する静電型の駆動部であったが、圧電型の駆動部等、ヨークを上下双方向に変位可能な駆動部を用い、中間部材11を上面および下面の両面から点接触で押圧しても良い。
本発明のアクチュエータおよびそのアクチュエータを備えた装置は、収差補正、光走査、分光等を行う光デバイス及び光ディスク装置の分野で好適に用いられる。また、チューナブルキャパシタ等の高周波回路や、可変流路等の流体制御デバイス、バイオテクノロジー等の分野でも好適に用いられる。本発明のアクチュエータおよびそのアクチュエータを備えた装置は、光ビームを反射して所定の位置にある光電気素子や光ファイバに入射させる機械的光スイッチや、収差補正用のマイクロミラーアレイの分野で特に好適に用いられる。
本発明の実施形態によるアクチュエータを模式的に示す分解斜視図である。 本発明の実施形態によるアクチュエータアレイを模式的に示す分解斜視図である。 本発明の実施形態による固定電極およびヨークを模式的に示す分解斜視図である。 本発明の実施形態による中間部材、弾性支持部および駆動力伝達部を模式的に示す分解斜視図である。 本発明の実施形態による中間部材と突出部とを模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態によるアクチュエータの上面図である。 図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータの断面図である。 本発明の実施形態によるアクチュエータの上面図である。 図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータの断面図である。 図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータの断面図である。 図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータの断面図である。 図6Aに示す6B−6B線に沿ったアクチュエータの断面図である。 図7Aに示す7B−7B線に沿ったアクチュエータの断面図である。 中間部材とヨークとが剛結合しているアクチュエータの断面図である。 中間部材とヨークとが剛結合しているアクチュエータの断面図である。 従来のアクチュエータを示す斜視図である。 従来のアクチュエータを示す斜視図である。
符号の説明
1 基台
2 ミラー
4a、4b、4c 固定電極
5a、5b、5c ヨーク
6a、6b、6c 駆動部
7 可動部
10a、10b、10c 駆動力伝達部
11 中間部材
12a、12b、12c 被接触部
13a、13b、13c 弾性支持部
14 ミラーポスト
31a、31b、31c ブリッジ部
32a、32b、32c、33a、33b、33c ポスト部
34a、34b、34c 突出部
40 スティッキング防止膜

Claims (11)

  1. 基台と、
    前記基台に対して変位可能な可動部と、
    前記可動部の前記基台に対する変位が可能なように前記可動部を支持する弾性支持部と、
    前記基台に対して前記可動部を変位させる複数の駆動部と
    を備え、
    前記複数の駆動部のそれぞれは、前記可動部へ駆動力を伝達する時に前記可動部に接触する駆動力伝達部を備える、アクチュエータ。
  2. 前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達しない時には前記可動部から離れている、請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記可動部にスライド可能に接触する、請求項1に記載のアクチュエータ。
  4. 前記駆動力伝達部は、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記可動部に接触する突出部を備える、請求項1に記載のアクチュエータ。
  5. 前記突出部は、前記突出部と接触する前記可動部の接触領域に近いほど断面積が小さくなる形状を有する、請求項4に記載のアクチュエータ。
  6. 前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、
    前記突出部および前記中間部材のうちの少なくとも一方は、スティッキング防止膜を備える、請求項4に記載のアクチュエータ。
  7. 前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、
    前記可動部は、前記可動部のうちの前記中間部材とは反対の側に設けられた光反射面をさらに備える、請求項4に記載のアクチュエータ。
  8. 前記可動部は、前記可動部のうちの前記基台と対向する側に設けられ、前記可動部へ前記駆動力を伝達する時に前記突出部と接触する中間部材を備え、
    前記可動部は、前記突出部が前記中間部材を前記基台へ向かう方向に押圧することにより変位する、請求項4に記載のアクチュエータ。
  9. 前記可動部は、前記可動部のうちの前記中間部材とは反対の側に設けられた光反射面をさらに備え、
    前記突出部は、前記光反射面と前記中間部材との間に位置している、請求項8に記載のアクチュエータ。
  10. 前記駆動力伝達部は、
    前記中間部材と隙間を隔てて前記中間部材の一部を挟み込むポスト部と、
    前記光反射面と前記中間部材との間に位置し、前記ポスト部によって支持されたブリッジ部と
    をさらに備え、
    前記突出部は、前記ブリッジ部に設けられている、請求項9に記載のアクチュエータ。
  11. 基台と、
    前記基台に対して変位可能な複数の可動部と、
    前記複数の可動部の前記基台に対する変位が可能なように前記複数の可動部のうちの対応する1つをそれぞれ支持する複数の弾性支持部と、
    前記基台に対して前記複数の可動部のそれぞれを変位させる複数の駆動部と
    を備え、
    前記複数の駆動部のそれぞれは、前記複数の可動部のうちの対応する1つへ駆動力を伝達する時に前記対応する1つの可動部に接触する駆動力伝達部を備える、装置。
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