JP2008003309A - 微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ並びに変調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速化の障害、駆動電圧の増大、構造の複雑化、ヒンジ残留歪みの発生による各種問題の低減が可能となる微小電気機械素子を得、任意方向への変位を可能にしつつ、高速応答と低電圧駆動を実現し、設計を容易にし、動作信頼性を向上させる。
【解決手段】可動部51の変位動作に応じた変調機能を有する微小電気機械素子100であって、下側面51bの中心位置で支柱53によって傾斜自在に支持された平板状の可動部51と、この可動部51に対向してそれぞれ配置され可動部51に物理的作用力を加える複数の駆動部63とを備え、駆動部63によって少なくとも2つ以上の回転軸回りで可動部51が複数方向に傾斜変位可能となるように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電気力で変位する微小可動部を備えた微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ並びに変調装置に関する。
近年、MEMS技術(MEMS;Micro-Electro Mechanical Systems)の急速な進歩により、μmオーダーの微小構造体を電気的に変位・移動させる微小電気機械式素子の開発が盛んに行われている。この微小電気機械式素子には、例えばマイクロミラーを傾けて光の偏向を図るデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)や、光路を切り換える微小薄膜可動素子としての光スイッチなどがある。DMDは、光学的な情報処理の分野において、投射ディスプレイ、ビデオ・モニター、グラフィック・モニター、テレビ及び電子写真プリントなど用途が広い。また、光スイッチは、光通信、光インタコネクション(並列コンピュータにおける相互結合網など光による信号接続技術)、光情報処理(光演算による情報処理)などへの応用が期待されている。
微小電気機械式素子は、一般的に弾性変位可能に支持され一方向又は双方向に変位する可動部を備え、この可動部が主にスイッチング動作を担う。例えば、図20(a)に示す微小電気機械式素子1は、一対の電極3,5のうち一方の電極に所定の電圧を印加し、一対のヒンジ7、7によって支持されたミラー9を有する可動部11を、これら電極3,5との間の電位差及び静電容量に応じた静電引力により回転させる構成としている。また、微小電気機械式素子は、図20(b)に示すように、二対のヒンジ7a、7a、ヒンジ7b、7bを捩れ中心とする2軸3次元変調素子13であってもよい。この場合、3次元変調素子13は、第1電極3a,5aに加え、第2電極3b,5bが設けられることになる。そして、第1電極3a,5aへの電圧印加によって可動部11がX方向に駆動され、第2電極3b,5bへの電圧印加によって可動部11がY方向に駆動されて、可動部11の3次元変位が可能となる。
この種の回転系の微小電気機械素子1,13では、可動部11の遷移時間(可動部11が一方に傾いている状態からもう一方に傾くまでの時間)、又は応答速度(可動部11が一方に傾いている状態からもう一方に傾くときの速度)が、可動部11を支持するヒンジ7、7a、7bの弾性力と、印加される電圧の大きさとのバランスで設計されている。遷移時間は印加する電圧が大きければ短くなり、応答速度は印加する電圧(電位差)が大きければ速くなる。
また、微小電気機械素子には、特許文献1に開示される光偏向装置がある。図21に示すように、この光偏向装置15は、入射光ビームを偏向する可動部(半球体)17と、半球体17を回転自在に支持する半球溝19aを有する支持体19と、半球体17を回転させるために半球体17の球面及び球面と対向する支持体19側に設けられた駆動手段である下部電極21a〜21e、帯電領域23a、帯電領域23bとからなる。凸型半球状構造体を有する型基板を支持体17に押し付け、この構造体の立体反転形状を支持体19に転写して、支持体19に半球溝19aを形成している。なお、図中、25は反射層、27は誘電性液体を表す。図21(b)は半球溝19aの内面を示す平面図である。この光偏向装置15によれば、反射層25を備えた半球の可動部17を誘電性液体27とともに封止するので、可動部17と下部電極21a〜21eの間に働く静電気力によって任意の方向に反射層25を傾けることができる。
また、特許文献2に開示される誘導電荷ミラー31は、図22に示すように、絶縁基板の上面に少なくとも一部が絶縁物で囲まれた空間33を設け、空間内に傾斜自在に平面状の可動部(ミラー導体)35を配置している。ミラー導体35を挟む上下には透明電極37と、第1、第2の固定電極39A,39Bとを設けている。そして透明電極37に第1の電位を常時与える手段41と、ミラー導体35の傾斜角度を切替えるために、第1、第2の固定電極39A,39Bにそれぞれ第2の電位と第3の電位を交互に与える手段43,45A,45B,47A,47Bとを設けている。この誘導電荷ミラー31によれば、空間33内に傾斜自在に可動部35を封止することで、ヒンジレスの可動部35を静電気力で駆動できる。
特開2001−147384号公報 特開2002−139681号公報
しかしながら、図20に示したこれまでの回転系の微小電気機械素子は、可動部を支持するヒンジの弾性戻り力が、可動部を初期位置に戻す復元力となる。よって、可動部が一方に傾いている状態から、もう一方に傾くまでを考えたとき、その遷移角度を−θ〜+θとすると、−θ〜0度の範囲ではヒンジの弾性力は応答速度を速める効果となるが、0〜+θ度の範囲では応答速度を遅らせる効果となる。DMDのような回転系素子をより微細化しようとしたとき、ヒンジの厚みはすでに限界に近く、ヒンジ幅を細くできるものの、ヒンジ長さが短くなるため、弾性力が上がる。その結果、応答速度が更に遅くなり、駆動電圧も増加する課題があった。また、多数回駆動させる微小電気機械素子の場合、ヒンジのメモリー効果により、どちらか一方の変位方向に癖(ヒンジ残留歪み)がついてしまい、誤動作を生じさせたり、短寿命となる課題があった。更に、ヒンジ等の弾性支持部を設けた微小電気機械素子では、構造が複雑となり、特に、図20(b)に示す微小電気機械素子は、可動部が2軸回りのX,Y方向で駆動可能となるものの、二対のヒンジを設けなければならず、構造が極めて複雑となり、素子設計に多大な労力を要した。
一方、特許文献1に開示される技術では、可動部と下部電極の間に働く静電気力によって任意の方向に反射部を傾けることができるが、反射部を備えた半球の可動部が誘電性液体とともに封止されるため、素子の微細化には不利となった。また、誘電性液体の粘性によって可動部の駆動速度を低減させてしまうことが危惧される。
また、特許文献2に開示される技術は、ヒンジレスの可動部を静電気力で駆動させることから、ヒンジ弾性力による応答速度の低速化は生じないが、可動部が1軸回りにしか変位せず、入射光を任意の方向に反射させることができない。また、可動部を支える突起は有するが、横ズレを起こす可能性があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、高速化の障害、駆動電圧の増大、構造の複雑化、ヒンジ残留歪みによる各種問題の低減が可能となる微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ並びに変調装置を提供し、もって、任意方向への可動部変位を可能にしつつ、高速応答と低電圧駆動を実現し、設計を容易にし、動作信頼性を向上させることを目的とする。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 可動部の変位動作に応じた変調機能を有する微小電気機械素子であって、
下側面の中心位置で支柱によって傾斜自在に支持された平板状の可動部と、
該可動部に対向してそれぞれ配置され前記可動部に物理的作用力を加える複数の駆動部と、を備え、
前記駆動部が、前記可動部を少なくとも2つ以上の回転軸回りで複数方向に傾斜変位させることを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部が下側面の中心位置で支柱によって傾斜自在に支持されることで、従来、影響を及ぼしていたヒンジ等の弾性力が可動部の変位に作用しなくなり、かつ可動部が直交2軸回りに自由に傾斜可能となる。これにより、従来、ヒンジを備えることにより発生していた高速化の障害、駆動電圧の増大、構造の複雑化、ヒンジ残留歪みによる各種問題が低減される。
(2) (1)項記載の微小電気機械素子であって、
前記駆動部が、前記可動部にそれぞれ対向して少なくとも相互に異なる3箇所に配置されたことを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、駆動部が、少なくとも異なる3箇所に配置されることで、可動部が2軸以上の軸回りで傾斜変位可能となる。
(3) (1)項又は(2)項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部が、該可動部とは別体に立設された支柱を支点として支持されることを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部が、支柱の先端部に支持されて、この支柱を支点として傾斜変位するようになる。つまり、可動部の中心が一点支持されることで、その全周縁の任意部位が傾斜可能となる。また、接触支持であり、ヒンジのような接続構造による支持でないので、応答速度低下の要因となる弾性力の発生することがない。
(4) (3)項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部が、前記支柱の先端部に当接する位置に窪みを有することを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、支柱の先端部が当接する位置の可動部に窪みがあることにより、窪みに支柱の先端が進入することで、可動部は、下面(窪み形成面)と平行な面方向への移動が規制され、可動部の支柱先端部に対しての位置ずれを防止できる。また、支柱が可動部と別体となるので、可動部の質量が小さくなり、高速応答に有利となる。
(5) (1)項又は(2)項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部の下面側に前記支柱が一体に形成されて、該支柱の下端部を支点として前記可動部が支持されることを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部が、可動部の下面側に垂設された支柱により支持されて傾斜変位するようになる。また、可動部に窪みを形成する必要が無くなるので、可動部の強度低下を抑止できる。
(6) (1)項〜(4)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部と前記駆動部を密閉空間に封止する封止部材を備えたことを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部と駆動部が密閉されることで、可動部を真空圧下で駆動し、空気抵抗を低減させたり、希ガスなどの特定雰囲気で駆動することで、動作信頼性を向上させたりすることができる。
(7) (1)項〜(6)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部が各変位方向における最終変位位置で当接する停止部材を備えたことを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部が最終変位位置で停止部材に当接して停止することで、可動部の停止位置を規定し易くなり、設定精度も向上できる。また、停止部材に可動部との癒着を防止する材料を用いれば、可動部の変位動作を円滑にでき、可動部の応答性を向上させることができる。
(8) (1)項〜(7)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部の前記支柱とは反対側の表面に光反射層が形成され、前記可動部の傾斜変位によって前記微小電気機械素子に入射した光を変調することを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、可動部の表面に光反射層を形成することで、光のオンオフや変調を行う光変調素子とすることができる。
(9) (1)項〜(8)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部が導電性を有し、
前記駆動部が、前記可動部の縁部に対応して配置され駆動電圧の印加される電極を備え、
前記電極と前記可動部との間の電位差に応じた静電気力により、前記可動部を傾斜駆動することを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、物理的作用力が静電気力であることにより、低い駆動電圧(数V〜数十V)で、動作速度が数十〔nsec〕程度まで得られ、素子の耐久性が向上することに加え、高速変調も可能になる。
(10) (9)項記載の微小電気機械素子であって、
前記駆動部の前記電極が、前記可動部の表裏両側に対向して配設されたことを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、駆動部を可動部の表裏両面に配設することで、可動部を偶力で駆動することが可能となり、応答性を一層向上でき、省電力化も図られる。
(11) (1)項〜(10)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
前記可動部を変位させる物理的作用力は、矩形波、sin波、cos波、鋸波、三角波のいずれかを含むことを特徴とする微小電気機械素子。
この微小電気機械素子によれば、これらの波形のいずれかにより可動部が変位駆動される。
(12) (1)項〜(9)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子を1次元又は2次元配列したことを特徴とする微小電気機械素子アレイ。
この微小電気機械素子アレイによれば、同時に複数の素子による動作が可能となり、例えば画像信号を変調する場合に変調処理の高速化が図られる。
(13) (12)項記載の微小電気機械素子アレイであって、
前記微小電気機械素子のそれぞれがメモリ回路を含む駆動回路を有し、
前記可動部と、該可動部に対向する少なくとも3箇所の駆動部とのいずれか一方には前記駆動回路からの素子変位信号が入力され、いずれか他方には共通信号が入力されることを特徴とする微小電気機械素子アレイ。
この微小電気機械素子アレイによれば、微小電気機械素子を複数配列する場合に、可動部と駆動部とのいずれか一方に素子変位信号を入力し、他方を共通信号を入力することにより、アレイ状にしたときの配線が簡略化される。
(14) (1)項〜(13)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子に対し、前記可動部をそれぞれ駆動して変調動作を行う制御部が備えられたことを特徴とする変調装置。
この変調装置によれば、制御部が可動部を駆動することで、可動部を任意に制御することができる。
(15) (14)項記載の変調装置であって、
(1)項〜(13)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子を用いて、入射側光ファイバより入射させた光情報を任意の出射側光ファイバに送ることで、スイッチングを行うことを特徴とする変調装置。
この変調装置によれば、上記の微小電気機械素子からなる光クロスコネクトスイッチ又は光クロスコネクトスイッチアレイを構築できる。
本発明に係る微小電気機械素子によれば、下側面の中心位置で支柱によって傾斜自在に支持された平板状の可動部と、この可動部に対向してそれぞれ配置され可動部に物理的作用力を加える複数の駆動部とを備え、駆動部が、可動部を少なくとも2つ以上の回転軸回りで複数方向に傾斜変位させるので、従来、ヒンジを備えることにより発生していた高速化の障害、駆動電圧の増大、構造の複雑化、ヒンジ残留歪みによる各種問題を低減することが可能となる。この結果、任意方向への可動部変位を可能にしつつ、高速応答と低電圧駆動を実現し、設計を容易にし、動作信頼性を向上させることができる。
本発明に係る微小電気機械素子アレイによれば、(1)項〜(9)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子を1次元又は2次元配列したので、同時に複数の素子による動作が可能となり、例えば画像信号を変調する場合に、変調処理を高速化することができる。
本発明に係る変調装置によれば、(1)項〜(13)項のいずれか1項記載の微小電気機械素子に対し、可動部をそれぞれ駆動して変調動作を行う制御部が備えられたので、制御部が可動部を駆動することによる可動部の任意方向の変位を可能にできる。
以下、本発明に係る微小電気機械素子及び微小電気機械素子アレイ並びに変調装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る微小電気機械素子の断面図、図2は図1のA−A断面視を(a)、B−B断面視を(b)、C−C断面視を(c)に表した断面図である。
本実施の形態において微小電気機械素子100は光変調機能を有する素子として説明するが、本発明に係る微小電気機械素子はこれに限定されるものではない。
微小電気機械素子100は、円形平板状に形成された導電性の可動部(ミラー部)51を有する。可動部51は、表面(上側面51a)に光反射層が形成され、入射した光を傾斜変位動作に応じてオンオフや変調させる。これにより、微小電気機械素子100は、光変調素子としての機能を有する。微小電気機械素子100は、可動部51を支えるヒンジが無く、可動部51の下側面51bの中心位置が支柱53によって傾斜自在に支持されている。
可動部51は、別体で立設された支柱53を支点として支持される。支柱53は、可動部51の収容空間55の底面に立設され、その先端で可動部51の下側面51b中央を支持する。可動部51は、この支柱53により中心(重心)が一点支持されることで、その全周縁の任意部位が傾斜可能となる。つまり、可動部51は、2つ以上の回転軸回りで複数方向に傾斜変位可能となっている。可動部51と支柱53とは点接触支持であり、ヒンジのような接続構造による支持ではないので、応答速度低下の要因となる弾性力の発生することがない。
可動部51は、支柱53の先端部に当接する位置に窪み57を有する。可動部51は、下側面51bに窪み57があることにより、この窪み57に支柱53の先端が進入し、下側面51bと平行な面方向への移動が規制される。これにより、可動部51の支柱先端部に対しての位置ずれが防止されている。また、本実施の形態では、支柱53が可動部51と別体とされることで、可動部51の質量が小さくなり、高速応答に有利となっている。
可動部51を挟む収容空間55の底面部59,天井部61には複数の駆動部63が設けられ、駆動部63は可動部51に対向してそれぞれ配置され可動部51に物理的作用力を加える。なお、天井部61は、収容空間55を包囲して底面部59に立設される筒状の側壁65に支持される。駆動部63は、可動部51の縁部に対応して配置され駆動電圧の印加される上部電極69、下部電極71を備える。図2に示すように、上部電極69は、側壁65に沿って円周方向等間隔に配設された8つの電極U〜Uからなる。下部電極71は、側壁65に沿って円周方向等間隔に配設された8つの電極D〜Dからなる。電極U〜Uと電極D〜Dとは、同一の方位角ψで配置されている(図4参照)。
図3は電圧印加電極の位置によって変化する可動部の傾斜状況を(a),(b),(c)に表した動作説明図である。なお、図3においては素子構成を簡略的に描き上部電極69を省略している。
可動部51は、導電性を有する。可動部51と、電極D〜Dの何れかのものとの間に電圧Vを印加すると、可動部51と電極D〜Dとの間の電位差に応じた静電吸引力により、可動部51が傾斜駆動される。可動部51は、中心が支柱53によって支えられている多電極構造により、任意方向に回転が可能となる。したがって、可動部51の上側面51aにマイクロミラー部が形成されることにより、例えば図3(a)〜(c)に示すように、異なる電極に電圧印加することによって、可動部51に入射する光の反射方向がスイッチング可能となる。電圧Vは、可動部51に一定電圧φVが印加され、それぞれ所定傾斜方向の電極D〜Dに、一定電圧φV(x=1〜8)が印加される。このように、駆動部63による物理的作用力が静電吸引力であることにより、低い駆動電圧(数V〜数十V)で、動作速度が数十〔nsec〕程度まで得られ、素子の耐久性が向上することに加え、高速変調も可能になる。
図4は電極配設位置を(a)、可動部の傾斜角度を(b)に表した可動部の作用説明図である。
微小電気機械素子100は、可動部51が下側面51bの中心位置で支柱53によって傾斜自在に支持されることで、従来、影響を及ぼしていたヒンジ等の弾性力が可動部51の変位に作用しなくなり、かつ可動部51が直交2軸回りに自由に傾斜可能となる。これにより、可動部51は、例えば電極D〜Dのそれぞれの方位角ψで、傾斜角θで傾斜変位可能となる。従来、ヒンジを備えることにより発生していた高速化の障害、駆動電圧の増大、構造の複雑化、ヒンジ残留歪みによる各種問題が低減される。なお、本実施の形態では、上部電極69と下部電極71とが8つずつ配設されているので、傾斜方向の方位角ψは、45度刻みで設定できる。
図5は上部電極と下部電極との結線例を表した配線図である。
上記のように、駆動部63の上部電極69と下部電極71とは、可動部51を挟む表裏両側に対向して配設されている。このように、可動部51の表裏両面に上部電極69及び下部電極71を配設することで、例えば電極Dと電極Uとを接続し、可動部51を点対称とした偶力で駆動することが可能となる。これにより、微小電気機械素子100の応答性を一層向上でき、省電力化も可能となっている。
図6は可動部絶縁のための絶縁膜形成位置の例を(a),(b)に表した要部拡大断面図である。
本実施の形態の構成において、可動部51は、上部電極69、下部電極71との間に生じさせた静電気力によって傾斜変位し、最終変位位置で傾斜端が接触する。この場合、可動部51と各電極との間のショートを防止するため絶縁膜73を形成する必要がある。絶縁膜73は、図6(a)に示すように、可動部51の上側面51aと下側面51bとに形成してもよく、図6(b)に示すように、各電極の接触面を覆って形成してもよい。なお、可動部51に絶縁膜73を形成する場合には、図示したように絶縁膜73上にミラー部75を積層形成してもよく、アルミ基体の外表面の一部に絶縁膜73を形成してもよい。また、可動部51、ミラー部75の材質としては、Al等の導電性材料が好適となる。
図7は各電極へ印加される異なる電圧波形と可動部の挙動を(a),(b)に表した説明図である。
ここで、可動部51を変位させる物理的作用力、すなわち、静電気力は、各電極に印加される電圧によって発生させることができる。この電圧は、矩形波、sin波、cos波、鋸波、三角波のいずれかを含むパルス波形とすることができる。これらの波形のいずれかにより可動部51は変位駆動される。例えば図7(a)に示す所定の電圧φVを矩形状に一定電圧で印加する波形とすれば、可動部51の回転動作が短い遷移時間で行われる。これに対して図7(b)に示すように、印加電圧φVを可動部51の回転動作の初期から最終変位先に到達するまでの間で徐々に増加する波形として可動部51の慣性力を付けすぎないように制御すれば、可動部51の最終変位先に到達した後の振動を抑制することができる。
次に、上記した微小電気機械素子100の基本構成に対しての種々の変形例について説明する。
図8は電極配設位置の変形例1を(a),(b)に表した断面図である。
上記した微小電気機械素子100の構造では、可動部51を挟んで上部電極69と下部電極71とを配設したが、本発明に係る微小電気機械素子は、図8に示すように、上部電極69のみ、或いは下部電極71のみを設けた構成とすることができる。このような上部側、或いは下部側のみの電極配置とすれば、素子構造を簡素化することができ、素子の一層の微細化にも有利となる。特に、下部電極71のみとすれば、可動部51の上側面51aに絶縁膜73を形成する必要がなくなり、絶縁膜73上にミラー部75を形成する製造工程が省略でき、可動部51の上側面51aを直接ミラー部75とした簡素な構造が可能となる。
図9は電極数が実施形態より少ない変形例2の断面図、図10は電極数が実施形態より多い変形例3の断面図である。
上記した実施の形態による微小電気機械素子100の構成では、上部電極69及び下部電極71が、8つの電極U〜U及び電極D〜Dからなるが、本発明に係る微小電気機械素子は、図9に示すように、上部電極69及び下部電極71が、少なくとも3つの電極U〜U及び電極D〜Dからなるものであればよい。この場合、各電極U〜U、D〜Dは、円周方向に120度の間隔で配設される。このように、各電極U〜U、D〜Dが、少なくとも異なる3箇所に配置されることで、可動部51が2軸以上の軸回りで傾斜変位可能となる。
また、本発明に係る微小電気機械素子は、図10に示すように、上部電極69及び下部電極71が、電極U〜U12及び電極D〜D12からなるものであってもよい。この場合、各電極U〜U12、D〜D12は、円周方向に30度の間隔で配設される。このように、各電極U〜U12、D〜D12が、異なる12箇所に配置されることで、可動部51が多数の軸回りで傾斜変位可能となり、キメ細かな反射方位の制御が可能となる。なお、電極の配置は、円環形状でなく、多角形状であってもよい。すなわち、三角形、正方形、五角形、六角形、八角形等であってもよい。
図11は支柱を可動部に設けた変形例4の断面図である。
上記の実施の形態による微小電気機械素子100は、支柱53が可動部51と別体で形成される構成例を説明したが、本発明に係る微小電気機械素子は、可動部51に支柱53が一体形成されるものであってもよい。支柱53は、可動部51の下側面51bに垂設され、その下端が底面部59に形成された窪み57に挿入される。この場合、可動部51は、支柱53の下端部を支点として支持される。このように、可動部51に支柱53が垂設される構成では、可動部51に窪み57を形成する必要が無くなるので、可動部51の強度低下を抑止できる。
図12は停止部材を設けた変形例5の断面図である。
また、微小電気機械素子100は、可動部51が各変位方向における最終変位位置で当接する停止部材73を備えていることが好ましい。停止部材73は、可動部51の振動、上部電極69や下部電極71への癒着を防止するのに好都合となる。可動部51が最終変位位置で停止部材73に当接して停止することで、可動部51の停止位置を規定し易くなり、設定精度も向上できる。また、停止部材73の材料としては、フッ素ラジカル雰囲気中において表面処理したもの、またはフッ素系溶液を表面に付着させたものを用いることができる。これらの材料によれば、可動部51の変位動作を円滑にでき、可動部51の応答性を一層向上させることができる。なお、停止部材73は、可動部51側に設けられてもよい。
図13は封止部材を設けた変形例6の断面図である。
微小電気機械素子100は、可動部51と駆動部63とを収容空間(密閉空間)55に封止するガラスや透明樹脂等の封止部材75を備えることが好ましい。このような封止構造により、可動部51と駆動部63とが密閉されることで、可動部51を真空圧下で駆動し、空気抵抗を低減させたり、希ガスなどの特定雰囲気で駆動することで、異物の侵入や大気暴露による経時的劣化を抑止し、動作信頼性を向上させることができる。なお、封止部材75は、少なくとも変調する光に対して透光性を有する材料で形成すればよい。
次に、微小電気機械素子100の応用例を説明する。
図14は複数の微小電気機械素子のそれぞれがメモリ回路を含む駆動回路を有した構成を示す説明図である。
微小電気機械素子100は、複数のものを1次元又は2次元配列して微小電気機械素子アレイ200を構成することができる。微小電気機械素子アレイ200では、同時に複数の微小電気機械素子100による動作が可能となり、例えば画像信号を変調する場合に変調処理の高速化が図られる。微小電気機械素子アレイ200は、微小電気機械素子100のそれぞれがメモリ回路77を含む駆動回路79を有することが好ましい。可動部51と、この可動部51に対向する駆動部63とのいずれか一方には、駆動回路79からの素子変位信号が入力され、いずれか他方には共通信号が入力される。このように、微小電気機械素子100を複数配列する場合に、可動部51と駆動部63とのいずれか一方に素子変位信号を入力し、他方を共通信号を入力することにより、アレイ状にしたときの配線を簡略化することができる(図示例では可動部51を共通電極として構成している)。
微小電気機械素子アレイ200は、可動部51をそれぞれ駆動して変調動作を行う制御部81を備えることで、変調装置300を構成することができる。制御部81は、駆動電圧制御回路83を駆動することで、可動部51を任意に制御することができる。変調装置300は、微小電気機械素子100のそれぞれがメモリ回路77を備えることで、予め素子の次の変位動作を表す変位信号の書き込みが可能となる。つまり、メモリ回路77には予め素子変位信号が書き込まれて、微小電気機械素子アレイ200のスイッチングのとき、各々の微小電気機械素子100のメモリ回路77に記憶された素子変位信号に基づいて、微小電気機械素子100への印加電圧を制御する変調駆動が行われる。
このように、変調装置300によれば、微小電気機械素子100に対し、可動部51をそれぞれ駆動して変調動作を行う制御部81が備えられたので、制御部81がメモリ回路77を用いて微小電気機械素子100を駆動することにより、複数の素子100のそれぞれを任意の駆動パターンで容易に動作させることができ、可動部51の任意方向への変位を可能にして、より高速なアクティブ駆動が可能となる。
図15は微小電気機械素子を光スイッチとして用いたクロスコネクトスイッチの構成図である。
微小電気機械素子100は、入射側光ファイバより入射させた光情報を任意の出射側光ファイバに送ることで、スイッチングを行う光クロスコネクトスイッチ400、又は光クロスコネクトスイッチアレイを構成することができる。光クロスコネクトスイッチ400は、例えば微小電気機械素子(光スイッチ)100を1次元状又は2次元状に配列した光スイッチアレイ85a,85bを用いて構成することができる。図示の例では、一対の光スイッチアレイ85a,85bが設けられる。この光クロスコネクトスイッチ400では、入力ファイバーボート87の光ファイバ87aからの出射光がマイクロレンズ89を通り一方の光スイッチアレイ85aの所定の光スイッチ100に入射される。入射光は、光スイッチ100のスイッチング動作によって、反射光となって入射側光スイッチアレイ85bの所望の光スイッチ100に入射する。入射した光は光スイッチ100のスイッチングによってマイクロレンズ89を通り所定の出力ファイバーボード91の光ファイバー91aへ入射する。
この光クロスコネクトスイッチ400においても、上記の複数の光スイッチ100からなる微小電気機械素子アレイ200が用いられることで、可動部(マイクロミラー部)51のスイッチング動作を高速化することができる。そして、この光クロスコネクトスイッチ400では、個々の光スイッチ100における印加電圧を変えることで、作動誤差の補正を容易に行うことができることから、個々の光スイッチ100のばらつきに起因する作動誤差の補正が簡単に行え、高精度なスイッチングを行うことができる。
また、光クロスコネクトスイッチ400では、微小電気機械素子100の可動部51が、少なくとも2軸以上の軸回りで傾斜変位可能となるので、例えば入力ファイバーボート87の光ファイバ87aが1次元配列され、出力ファイバーボード91の光ファイバ91aが2次元配列される場合であっても、可動部51を3次元駆動することによって、光ファイバ87aからの出射光を紙面垂直方向所望の光ファイバ91aへも切り換えることが可能となる。
次に、上記した微小電気機械素子100の製造方法について説明する。
図16は微小電気機械素子のより具体的な素子構造の断面図、図17は実施形態に係る製造方法の手順を(a)〜(h)に表した製造工程説明図である。
図16に示すように、微小電気機械素子100は、基板93上に、第1絶縁層95が形成される。第1絶縁層95上には駆動回路97が形成される。本実施の形態による製造方法では、図16,図17(a)に示すように、Siなどの基板93上に第1絶縁層95を介してCMOSよりなる駆動回路97が形成される。駆動回路97の上部に、SiOをPECVDより成膜して第2絶縁層99を形成し、駆動回路97の出力を素子の各電極と接続するためのコンタクトホールを、フォトリソグラフィとフッ素系のRIEエッチングによりパターニング形成する。
その後、下地膜TiN薄膜をスパッタにより成膜し(図示せず)、続けてタングステンWをスパッタにより成膜する。これにより、タングステンWがコンタクトホール部に埋め込まれる。更にその表面をCMPで平坦化し、コンタクトホール部がタングステンWで埋め込まれた平坦な第2絶縁層99が形成される。
その上部に第1導電膜101であるAl(好ましくは高融点金属を含有したAl合金)をスパッタで成膜し、フォトリソグラフィと塩素系のRIEエッチングにより所望の電極形状にパターニングして下部電極71を形成する。なお、この時、下部電極71は各々コンタクトホールを介して駆動回路97の出力に接続されて、それぞれ電位が供給される。
次いで、図17(b)に示すように、第5絶縁層103を成膜し、その上に犠牲層としてポジ型レジスト膜105を塗布し、ハードベークする。グレースケールマスクによるフォトリソグラフィにより、レジストで支柱(ピボット)を形成させる。
図17(c)に示すように、塩素系のRIEエッチングにより第5絶縁層105を支柱53の形状に形成する。すなわち、レジスト構造体を第5絶縁層103に転写する。このとき、下部電極71がエッチングされて取り去られないよう、膜厚を厚くしておくか、RIEエッチングでエッチングされない金属を選択しておく。
図17(d)に示すように、犠牲層としてポジ型レジスト膜107を塗布し、ハードベークする。ハードベークは、DeepUVを照射しながら200℃を超える温度で行う。これにより後工程の高温プロセスにおいても、その形状を維持し、又レジスト剥離溶剤に不溶となる。レジストの塗布成膜により下地膜の段差によらずレジスト表面は平坦となる。このレジスト層107は犠牲層として機能し、後述の工程で除去される。したがって、ハードベーク後のレジストの膜厚は将来の下部電極71と可動部51との空隙を決定する。その後、CMPにより表面を平坦化し、フォトリソエッチにより犠牲層を所望の大きさに切り出す。
図17(e)に示すように、Al(又はAl合金)からなる第2導電膜109をスパッタにより成膜し、下部の犠牲層107と同じ形状になるように、フォトリソエッチングと塩素系のRIEエッチングを行う。
図17(f)に示すように、別のSOI(Silicon on insulator)基板111上に絶縁膜(第3、第4絶縁膜113,115)を形成させ、フォトリソエッチングを繰り返すことで所望の形状にする。また、この際、第3、第4絶縁膜113,115の間にはフォトリソエッチングにより上部電極69となる第3導電膜117が形成される。
図17(g)に示すように、図17(e)で得た構造と、図17(f)で得た基板111とを反転して貼り合わせ、SOI基板のSi基板111と絶縁膜(第3、第4絶縁膜113,115)を剥離する。
図17(h)に示すように、最後に、酸素系かつ又はフッ素系のプラズマエッチング(アッシング)により、犠牲層であるレジスト層107を除去して空隙119を形成し、所望構造の微小電気機械素子100が形成される。
なお、上記の材料及び製造方法は一例であり、本発明の主旨に沿えば、如何なる材料及製造方法が適用されても良い。
次に、上記の微小電気機械素子100の特性を検証するために、ヒンジ構造の微小電気機械素子に対してシミュレーションを行った例を示す。
図18は一般的なヒンジ支持構造の素子モデルを表す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のQ−Q断面図、図19は遷移時間の解析結果を示す図であって、可動部の大きさを(a)6μm、(b)8μm、(c)10μmとし、それぞれ印加する電圧を5V、10V、20V、30V、40Vと変化させた場合の、可動部の傾斜が−10度から+10度に変化するまでの遷移時間を弾性支持部の弾性力に対して示したグラフである。
<解析条件>
シミュレーションは、下記の変動値及び固定値を用いて解析を行った。可動部51は正方形状を仮定し、弾性支持部となるヒンジ121が可動部51の下に隠れるように、可動部51の長さによって決まるように設定した。可動部材、支持部材の材料はアルミを用いた。
a)変動値
可動部長さ:L1
可動部幅:L2(=L1
支持部長さ:l1(=(L1-2.2μm)/2)
支持部幅:l2(=0.6μm)
支持部厚さ:h(=0.05μm)
可動部質量:M
電極間距離:d
電極間電位差:V
b)固定値
可動部厚さ:H=0.5μm
可動部密度:ρ=2.7g/cm3
支持部材ヤング率:E=68.85GPa
支持部材ポアソン比:ν=0.36
接触角度:θ=10 deg
粘性係数:a(1気圧環境下で設定)
図19に示した解析結果は、可動部51の大きさを(a)6μm、(b)8μm、(c)10μmとし、それぞれ印加する電圧を5V、10V、20V、30V、40Vと変化させたときの、可動部51の傾斜が−10度から+10度に変化するまでの遷移時間と、ヒンジ121の弾性力との関係を表したものである。ただし、素子の環境雰囲気は1気圧としている。任意の可動部の大きさ(慣性モーメント)を有し、任意の印加電圧を設定したときの遷移時間とヒンジ弾性力との関係の曲線においては、ヒンジ121の弾性力を弱め、印加電圧を大きくした方が遷移時間を速くできることが分かる。よって、ヒンジ121の弾性力は微小電気機械素子100の高速応答の妨げとなることが分かる。
本実施の形態による微小電気機械素子100によれば、下側面51bの中心位置で支柱53によって傾斜自在に支持された平板状の可動部51と、この可動部51に対向してそれぞれ配置され可動部51に物理的作用力を加える複数の駆動部63とを備え、駆動部63が、可動部51を少なくとも2つ以上の回転軸回りで複数方向に傾斜変位させるので、従来、ヒンジを備えることにより発生していた高速化の障害、駆動電圧の増大、構造の複雑化、ヒンジ残留歪みによる問題の低減が可能となる。この結果、任意方向への可動部変位を可能にしつつ、高速応答と低電圧駆動を実現し、設計を容易にし、動作信頼性を向上させることができる。
なお、上記の実施の形態では、可動部51に作用させる物理的作用力が静電気力である場合を例に説明したが、本発明に係る微小電気機械素子は、可動部51に作用させる物理的作用力が静電気力以外の物理的作用力であってもよい。その他の物理的作用力としては、例えば電磁石などによる電磁力、ピエゾ素子などによる電歪、機械的手段などの任意の手段が挙げられる。
本発明に係る微小電気機械素子の断面図である。 図1のA−A断面視を(a)、B−B断面視を(b)、C−C断面視を(c)に表した断面図である。 電圧印加電極の位置によって変化する可動部の傾斜状況を(a),(b),(c)に表した動作説明図である。 電極配設位置を(a)、可動部の傾斜角度を(b)に表した可動部の作用説明図である。 上部電極と下部電極との結線例を表した配線図である。 可動部絶縁のための絶縁膜形成位置の例を(a),(b)に表した要部拡大断面図である。 電極へ印加される異なる電圧波形と可動部の挙動を(a),(b)に表した説明図である。 電極配設位置の変形例1を(a),(b)に表した断面図である。 電極数が実施形態より少ない変形例2の断面図である。 電極数が実施形態より多い変形例3の断面図である。 支柱を可動部に設けた変形例4の断面図である。 停止部材を設けた変形例5の断面図である。 封止部材を設けた変形例6の断面図である。 複数の微小電気機械素子のそれぞれがメモリ回路を含む駆動回路を有した構成を示す説明図である。 微小電気機械素子を光スイッチとして用いたクロスコネクトスイッチの構成図である。 実施形態の製造方法で得られる微小電気機械素子のより具体的な素子構造の断面図である。 実施形態に係る製造方法の手順を(a)〜(h)に表した製造工程説明図である。 一般的なヒンジ支持構造の素子モデルを表す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のQ−Q断面図である。 遷移時間の解析結果を示す図であって、可動部の大きさを(a)6μm、(b)8μm、(c)10μmとし、それぞれ印加する電圧を5V、10V、20V、30V、40Vと変化させた場合の、可動部の傾斜が−10度から+10度に変化するまでの遷移時間を弾性支持部の弾性力に対して示したグラフである。 従来の微小電気機械素子における一般的なヒンジ支持構造を(a)、2軸ヒンジ支持構造を(b)に表した斜視図である。 半球の可動部が誘電性液体とともに封止される従来素子の説明図である。 ヒンジレスの可動部を静電気力で駆動させる従来素子の断面図である。
符号の説明
51 可動部
51b 下側面
53 支柱
55 収容空間(密閉空間)
57 窪み
63 駆動部
69 上部電極
71 下部電極
73 停止部材
75 封止部材
77 メモリ回路
81 制御部
87 入射側光ファイバ
91 出射側光ファイバ
97 駆動回路
100 微小電気機械素子
200 微小電気機械素子アレイ
300 変調装置

Claims (15)

  1. 可動部の変位動作に応じた変調機能を有する微小電気機械素子であって、
    下側面の中心位置で支柱によって傾斜自在に支持された平板状の可動部と、
    該可動部に対向してそれぞれ配置され前記可動部に物理的作用力を加える複数の駆動部と、を備え、
    前記駆動部が、前記可動部を少なくとも2つ以上の回転軸回りで複数方向に傾斜変位させることを特徴とする微小電気機械素子。
  2. 請求項1記載の微小電気機械素子であって、
    前記駆動部が、前記可動部にそれぞれ対向して少なくとも相互に異なる3箇所に配置されたことを特徴とする微小電気機械素子。
  3. 請求項1又は請求項2記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部が、該可動部とは別体に立設された支柱を支点として支持されることを特徴とする微小電気機械素子。
  4. 請求項3記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部が、前記支柱の先端部に当接する位置に窪みを有することを特徴とする微小電気機械素子。
  5. 請求項1又は請求項2記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部の下面側に前記支柱が一体に形成されて、該支柱の下端部を支点として前記可動部が支持されることを特徴とする微小電気機械素子。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部と前記駆動部を密閉空間に封止する封止部材を備えたことを特徴とする微小電気機械素子。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部が各変位方向における最終変位位置で当接する停止部材を備えたことを特徴とする微小電気機械素子。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部の前記支柱とは反対側の表面に光反射層が形成され、前記可動部の傾斜変位によって前記微小電気機械素子に入射した光を変調することを特徴とする微小電気機械素子。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部が導電性を有し、
    前記駆動部が、前記可動部の縁部に対応して配置され駆動電圧の印加される電極を備え、
    前記電極と前記可動部との間の電位差に応じた静電気力により、前記可動部を傾斜駆動することを特徴とする微小電気機械素子。
  10. 請求項9記載の微小電気機械素子であって、
    前記駆動部の前記電極が、前記可動部の表裏両側に対向して配設されたことを特徴とする微小電気機械素子。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項記載の微小電気機械素子であって、
    前記可動部を変位させる物理的作用力は、矩形波、sin波、cos波、鋸波、三角波のいずれかを含むことを特徴とする微小電気機械素子。
  12. 請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の微小電気機械素子を1次元又は2次元配列したことを特徴とする微小電気機械素子アレイ。
  13. 請求項12記載の微小電気機械素子アレイであって、
    前記微小電気機械素子のそれぞれがメモリ回路を含む駆動回路を有し、
    前記可動部と、該可動部に対向する少なくとも3箇所の駆動部とのいずれか一方には前記駆動回路からの素子変位信号が入力され、いずれか他方には共通信号が入力されることを特徴とする微小電気機械素子アレイ。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項記載の微小電気機械素子に対し、前記可動部をそれぞれ駆動して変調動作を行う制御部が備えられたことを特徴とする変調装置。
  15. 請求項14記載の変調装置であって、
    請求項1〜請求項13のいずれか1項記載の微小電気機械素子を用いて、入射側光ファイバより入射させた光情報を任意の出射側光ファイバに送ることで、スイッチングを行うことを特徴とする変調装置。
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