JPWO2004022471A1 - エレベータ装置 - Google Patents

Abstract

この発明によるエレベータ装置は、昇降路（１）上部に設置された支持台（３０）に、駆動装置（１０）と遊び車（１４）が、駆動シーブ（１２）と遊び車（１４）の回転軸が鉛直方向になるように配置されている。主索（２０）は、並列な２通りの経路を有し、それぞれ独立している第１のロープ（２１）と第２のロープ（２２）とが備えられ、一端は、共に釣り合いおもり（７）に結合され、釣り合いおもり用そらせ車（１８）により方向転換されており、中間部は、駆動装置（１０）に巻き掛けられ、遊び車（１４）を経由して再び駆動装置（１０）に巻き掛けられており、他端は、それぞれ第１のかご用そらせ車（１６）、第２のかご用そらせ車（１７）により方向転換されて、かご（５）の対向する側面でそれぞれかご（５）に結合されている。

Description

この発明は、駆動装置が昇降路内の上部に配置されているエレベータ装置に関するものである。

近年、建物の外観や高さによる制限などに伴うエレベータの設置スペースの制約から、機械室を必要としないエレベータ、例えば、駆動装置及び制御盤を昇降路内に設置して機械室を設けないエレベータが普及してきている。そのため、昇降路内の狭いスペースを有効利用して、駆動装置、制御盤などのエレベータ機器を適切に配置する必要があり、例えば、国際出願の国際公開番号ＷＯ ０２／１６２４７ Ａ１号公報には、昇降路内の上部へ駆動装置が配置されている１：１ローピング式のエレベータが示されている。しかし、従来のエレベータ装置では、駆動シーブへの主索の巻き付け角度が少なく、駆動シーブと主索との摩擦力を確保する手段として、表皮を高摩擦材で構成する高価な合成繊維を用いた特殊ロープを使用したり、また、駆動シーブにも主索との摩擦を上げる切り込みをつけた特殊なアンダーカット溝を採用したりしていた。このために、主索がアンダーカット溝に食い込み、傷ついて寿命を損なうという課題があった。
更に、従来のかごはかご上部に設置された上梁により１箇所で支持されていたため、その吊部相当分の昇降路の上下寸法を確保しなければならないことが課題となっていた。
この発明は、上記のような問題点を解決する事を課題としてなされたものであり、汎用ロープを使用して、安価にして安定した主索の寿命を確保することを目的とする。また、かごの吊り下げ方を工夫して、昇降路の上下寸法を最小に構成することを目的とする。

この発明のエレベータ装置は、昇降路上部に設置された支持台に取り付けられ、エレベータ主索が巻き掛けられた駆動シーブと駆動シーブを回転駆動する電動機を有し、少なくとも駆動シーブの回転軸が鉛直方向になるように配置されている駆動装置と、主索により昇降路内に吊り下げられ駆動装置により昇降されるかご及び釣り合いおもりとを備えているエレベータ装置において、駆動装置から所定の距離をおいて回転軸が鉛直方向になるように設置された遊び車と、一端が釣り合いおもりに結合され、中間部が駆動シーブに巻き掛けられた後、遊び車に巻き掛けられ更に駆動シーブに巻き掛けられて、他端がかごに結合された主索が備えられている。また、支持台に配置され、駆動シーブからかごに至る主索を水平方向から鉛直方向へ方向転換させるかご用そらせ車と、同様に支持台に配置され、駆動シーブから釣り合いおもりに至る主索を水平方向から鉛直方向へ方向転換させる釣り合いおもり用そらせ車とが備えられている。そして、この駆動装置は径方向の寸法に比して回転軸方向の厚さが小さく形成されており、駆動シーブは、主索が巻き掛けられるＵ溝を有し、このＵ溝の底部半円形部の直径を主索の直径に近似する直径に形成されている。また、駆動装置は、昇降路の後部隅に近接して配置されている。
また、主索は、並列な２通りの経路を有し、それぞれ独立している第１のロープと第２のロープとが備えられている。そして、かご用そらせ車は、第１のロープ、第２のロープに対応して、それぞれ第１のかご用そらせ車、第２のかご用そらせ車が備えられており、互いに離れて且つ昇降路の鉛直投影面上で少なくとも一部がかごと重なるように配置されている。尚、釣り合いおもり用そらせ車についても、昇降路の鉛直投影面上で少なくとも一部が釣り合いおもりと重なるように配置されている。ここで、第１のロープ、第２のロープは共に、一端は駆動シーブから釣り合いおもり用そらせ車で方向転換され、釣り合いおもりに結合されている。他端については、第１のロープ、第２のロープが、駆動シーブからそれぞれ第１のかご用そらせ車、第２のかご用そらせ車で方向転換され、第１のロープと第２のロープの端部が、かごの対向する側面底部でそれぞれかごに結合されている。また、好ましくは、かごの重心を挟んで対向する位置でそれぞれかごに結合されている。
また、この発明のエレベータ装置は、遊び車が、駆動シーブからかご用そらせ車に至る主索と、駆動シーブから釣り合いおもり用そらせ車に至る主索との間に挟まれるように配置されている。
また、この発明のエレベータ装置は、かごを制御するための制御盤と調速機とを備え、制御盤、調速機、遊び車は、駆動装置、またはかご用そらせ車及び釣り合いおもり用そらせ車のいずれかの最大高さ寸法の範囲内に収まるように配置されている。
また、この発明のエレベータ装置は、かごを案内する主ガイドレールと釣り合いおもりを案内する副ガイドレールとを備え、支持台は主ガイドレール及び副ガイドレール、または昇降路壁の少なくともいずれかにより支持されている。また、この好適な例としては、支持台は、支持台を支持する主ガイドレール及び副ガイドレール、または昇降路壁との間に防振材を介在させて設置されている。
以上のような発明によれば、駆動装置から所定の位置に遊び車を配置することで、主索の駆動シーブへの巻き付け角を増やせ、主索と駆動シーブ間に充分な摩擦力の確保が容易となる為、高摩擦の特殊な主索を用いなくても汎用の主索が使えるようになり、安価にして安定した主索の寿命の確保が可能となる。その上、主索の保守・点検が容易となる。

第１図は、本発明の実施の形態１によるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。
第２図は、本発明の実施の形態１によるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を水平方向から見た部分立面図である。
第３図は、この発明で用いる主索が巻き掛けられる駆動シーブの溝の従来の形状と本発明の形状を示す断面図である。
第４図は、本発明の実施の形態２によるエレベータ装置の配置例を示す平面図である。
第５図は、本発明の実施の形態３によるエレベータ装置の配置例を示す平面図である。
第６図は、本発明の実施の形態３によるエレベータ装置の配置例を示す平面図である。

本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
実施の形態１．
第１図、第２図は、本発明の実施の形態１による機械室レスタイプのエレベータ装置の配置例を示す図であり、第１図はエレベータ装置を上方から見下ろした平面図、第２図はエレベータ装置を水平方向から見た部分立面図で、それぞれエレベータ装置要部を示す概念図である。
図において、昇降路１内には、昇降路１の壁面に取り付けられたレールブラケット４により支持された一対の主（かご用）ガイドレール２、及び他の一対の副（釣り合いおもり用）ガイドレール３が配置されている。かご５は、主ガイドレール２に案内されて昇降路１内を昇降され、釣り合いおもり７は副ガイドレール３に案内されて昇降路１内を昇降される。
かご５には第１図の平面図に示す如く昇降路前部に出入口ドア５ａがあり、主ガイドレール２はかご出入口面と直交するかごの両側面の側に配置され、副ガイドレール３は、かご出入口に対向する背面の側に配置されている。また、かご５には、主ガイドレール２に係合する複数のガイドシュー８が設けられており、釣り合いおもり７には、副ガイドレール３に係合する複数のガイドシュー９が設けられている。主ガイドレール２、及び副ガイドレール３のそれぞれの上端部には、支持台３０を取り付けるための支持台ブラケット３１が備えられており、支持台３０は、この支持台ブラケット３１に防振材３２を介して取り付けられている。支持台３０は、直に支持台ブラケット３１に取り付けても良いが、駆動装置１０が発する振動を主ガイドレール２、及び副ガイドレール３からレールブラケット４を介して昇降路壁部より建物に伝わるのを防止するため、支持台ブラケット３１との間に防振材３２を介在させて用いるのが好ましい。
エレベータ主索２０が巻き掛けられ回転軸が鉛直方向になるように構成された駆動シーブ１２と、駆動シーブ１２を回転駆動する電動機１１とを備えた駆動装置１０は、その外形を径方向の寸法に比して回転軸方向の厚さを小さく形成した薄形タイプである。遊び車１４は、駆動シーブ１２と同じく回転軸が鉛直方向になるように配置されている。駆動装置１０、遊び車１４は支持台３０に搭載され、駆動装置１０は、かご５のコーナー部の上方に配置され、遊び車１４は駆動装置１０から所定の距離をおいて配置されている。つまり、駆動装置１０は昇降路１の隅に寄せて配置され、遊び車１４は昇降路１の他の隅に寄せて配置されている。更に付け加えると、第１図では、駆動装置１０が、ローピング上好ましい位置（主索をシーブ類に巻き掛けていく過程において、主索が交差し干渉が生じる恐れのない位置）である昇降路の後部隅に近接して配置されている。
尚、この実施の形態では、遊び車１４は、駆動装置１０と同じ支持台３０に搭載されている例を示したが、遊び車１４は、支持台３０とは別に設けられた支持台に搭載されていても良い。
次に、主索２０は、独立した第１のロープ２１と第２のロープ２２とから成る並列な２通りの経路を有しており、第１のロープ２１、第２のロープ２２はそれぞれ複数本から成る単位ロープの組により構成されている。
この第１のロープ２１、第２のロープ２２を有した主索２０の中間部は、駆動シーブ１２に巻き掛けられた後、遊び車１４に巻き掛けられ、更に駆動シーブ１２に再び巻き掛けられている。主索２０の一端は、駆動シーブ１２から釣り合いおもり用そらせ車１８によって、主索２０が水平方向から鉛直方向に方向転換され、釣り合いおもり７に至っている。すなわち、駆動シーブ１２から遊び車１４に巻き掛けられ、更に駆動シーブ１２に巻き掛けられ、釣り合いおもり用そらせ車１８を経て釣り合いおもり７に至る間は、第１のロープ２１と第２のロープ２２とは平行で主索２０を形成している。
そして、第１のロープ２１、第２のロープ２２は共に、一端はロープシャックル２６及びコイルばねを用いた緩衝材２７を介して釣り合いおもり７の上梁２９に接続されている。
また、主索２０の他端、すなわち駆動シーブ１２からかご５に至る他端は、第１のロープ２１と第２のロープ２２とが互いに離れ、それぞれ第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７によって、第１のロープ２１、第２のロープ２２が水平方向から鉛直方向に方向転換され、かご５の所定部分に結合されている。この他端では、第１のロープ２１、第２のロープ２２が、それぞれロープシャックル２４及びコイルばねを用いた緩衝材２５を介して、かご５の底部でかご５の重心を挟んで対向する位置に設けられている２箇所のかごブラケット６に接続されている。
これにより、従来例のように、かご５の上部に吊部を設ける必要がなく、かご５の吊部相当のスペース分だけ昇降路１の上下寸法を縮小することができる。その上、従来のかご５上部での１点支持に対し、この発明ではかご５の底部での２点支持となるため、かご５上部の構造部材の強度を低減できることとなり、かご５の軽量化及び製作コストも低減できる。
尚、この実施の形態では、好適な一例として、かご５は、かご５底部で支持されているが、かご５の上面より下方の２個所で支持されていれば、昇降路１の上下寸法の縮小が実現できるため、支持部はかご５の対向する側面であるなら、支持位置はどこでも良い。
次に、上述のように本実施の形態においては、かご用そらせ車として、第１のロープ２１、第２のロープ２２に対応して、それぞれ第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７が備えられており、互いに離れて且つ昇降路１の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご５と重なるように配置されている。また、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７は、それぞれロープシャックル２４の上方に位置している。すなわち、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７は、その大部分が鉛直投影面上でかご５と重なるように配置され、したがって、かご５と昇降路壁との距離を大きく取る必要がないように、（昇降路１の平面を拡大する必要がないように）配置されている。
釣り合いおもり用そらせ車１８は、昇降路１の鉛直投影面上で少なくとも一部が釣り合いおもり７と重なるように配置されている。尚、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、釣り合いおもり用そらせ車１８は支持台３０に設置されている。
ここで、遊び車１４は、駆動シーブ１２から第１のかご用そらせ車１６に至る主索２０（第１のロープ２１）と、駆動シーブ１２から釣り合いおもり用そらせ車１８に至る主索２０との間に挟まれるように配置されている。
つまり、駆動シーブ１２、遊び車１４、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、釣り合いおもり用そらせ車１８に対して、それらが構成されている順番に主索２０を巻き掛けていく過程で、主索２０が交差し、干渉が生じる恐れが無いように配置することができる。また、かご５をかご５の対向する側面で吊る際には、かご５の重心を挟んで対向する位置で吊ることが望ましく、そうした場合にかご５の２箇所の吊部は、第１図のように昇降路１を鉛直方向から見て昇降路１のほぼ中央の側壁面付近（主ガイドレール２の近傍）となる。そのため、上記のように遊び車１４を配置することによって、駆動装置１０、遊び車１４、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、釣り合いおもり用そらせ車１８といった支持台３０に設置されている昇降路頂部設置機器が、昇降路１を鉛直方向から見て、第１のかご用そらせ車１６と第２のかご用そらせ車１７を結んだ線を基準にして、昇降路１の片側に収納することができ、昇降路１上部の省スペース化、及び支持台３０のコンパクト化、保守スペースの確保が実現できる。
また、上述の説明による配置が好適な遊び車１４の配置場所の例であるが、エレベータ装置のレイアウトの都合によっては、遊び車１４は、駆動シーブ１２から第２のかご用そらせ車１７に至る主索２０（第２のロープ２２）と、駆動シーブ１２から釣り合いおもり用そらせ車１８に至る主索２０との間（具体的には、駆動シーブ１２から第１のかご用そらせ車１６に至る主索２０（第１のロープ２１）と、駆動シーブ１２から第２のかご用そらせ車１７に至る主索２０（第２のロープ２２）との間）に挟まれるように配置されていても良い。
また、このエレベータ装置には、かご５の昇降を制御するための制御盤３３と調速機３４が支持台３０に取り付けられており、これらの制御盤３３、調速機３４、及び遊び車１４は、駆動装置１０、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、釣り合いおもり用そらせ車１８のいずれかの最大高さ寸法の範囲内に収まるように配置されている。なお、第２図では、駆動装置１０の上下幅内に収まるように配置されている。
第３図は、主索２０が巻き掛けられる駆動シーブの溝の従来の形状と本発明の形状を示す断面図である。
第３図において、従来形状の駆動シーブ１３は、主索２３が接触する部分に特殊なアンダーカット溝と呼ばれる溝が設けられており、その溝に主索２３が食い込むことで摩擦力を大きくできるが、主索２３の磨耗が大きくなり寿命が短くなるという欠点がある。そこで、本形状の駆動シーブ１２は、主索２０が巻き掛けられるＵ溝を有し、このＵ溝の底部半円形部の直径を主索２０の直径に近似する直径に形成している。そのため、駆動シーブ１２と主索２０との接触面積が大きくとれるので面圧を下げることができ、主索２０の寿命の面でも有利である。
以上の説明より、この実施の形態において、主索２０を駆動シーブ１２に巻き掛けた後、遊び車１４に巻き掛け、更に駆動シーブ１２に再び巻き掛けることにより、駆動シーブ１２への主索２０の接触量を示す巻き付け角度が増え、所定のトラクションを得る事が容易となる。
これにより、従来の主索２３として、合成繊維を用いた高摩擦の特殊な主索を用いて、更に特殊なアンダーカット溝を設けた駆動シーブ１３の組み合わせによりトラクションを上げる方式から、鋼製の汎用主索２０と、その主索２０が巻き掛けられるＵ溝を有し、このＵ溝の底部半円形部の直径が主索２０の直径に近似する直径で形成された駆動シーブ１２の組み合わせによって、必要とするトラクションを得る事ができ、主索２０の高寿命化と、更には製作・保守時のコスト削減にもなる。
また、この実施の形態では、駆動装置１０は、かご５のコーナー部の上方に配置され、遊び車１４の直径は、一般的に駆動シーブ１２の直径と同径か、若しくはその９割程度に形成されており、駆動装置１０から所定の距離をおいて配置されている。つまり、駆動シーブ１２は、他のシーブ（遊び車１４、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、釣り合いおもり用そらせ車１８）に対し、極力離す目的で昇降路１の隅に寄せて配置されているため、駆動シーブ１２とシーブの軸方向が異なる他のシーブとの間に生じる主索２０の捻れを緩和するための充分な距離を確保する事ができると共に、駆動シーブ１２に対して充分な巻き付け角度を確保する事ができる。
また、この実施の形態では、制御盤３３、調速機３４、及び遊び車１４、それに加え、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、及び釣り合いおもり用そらせ車１８が、駆動装置１０の最大高さ寸法の範囲内に収まるように配置されているが、支持台３０についても同様に上記範囲内に配置することで、更に昇降路１上部の上下寸法を抑えることができる。また、最大高さを示すのは駆動装置１０に限らず、例えば、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、及び釣り合いおもり用そらせ車１８のいずれかであっても良い。
また、この発明は、上述のように汎用主索を用いてトラクションの確保を容易に得られるが、汎用主索に代わり、高張力タイプの細い直径の主索を採用して更にトラクション能力を向上しても良い。ここで、法規上、シーブ径と主索の直径の関係は、シーブ径／主索径≧４０とされているため、高張力タイプの従来より細い直径の主索を用いることで、駆動シーブ１２、遊び車１４、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７、釣り合いおもり用そらせ車１８といったシーブ類の小径化が可能となり、更には駆動装置１０を小径化することもでき、昇降路１上部の省スペース性がより向上する。
実施の形態２．
第４図は、本発明の実施の形態２による機械室レスタイプのエレベータ装置の配置例を示す平面図である。
実施の形態１では、昇降路１内のかご５の後方に釣り合いおもり７が配置されているが、第４図のように、昇降路１内のかご５の側方に釣り合いおもり７が配置されている。すなわち、釣り合いおもり７をかご５の出入口ドア５ａ側からみて、かご５の一方の側面を昇降させるので、副ガイドレール３も昇降路の入口側からみて昇降路側面（この場合、左側面）に配置されている。このような配置の変更に対応して、支持台３０の形状も変更されている。しかし、その他の構成およびその動作は、実地の形態１と基本的に同様であるから、同一または相当部分に同一に符号を付してその説明を省略する。なお、この実施の形態２でも、遊び車１４は、駆動シーブ１２から第１のかご用そらせ車１６に至る主索２０（第１のロープ２１）と、駆動シーブ１２から釣り合いおもり用そらせ車１８に至る主索２０との間に挟まれるように配置されている。
本実施の形態においても、主索２０を駆動シーブ１２に巻き掛けた後、遊び車１４に巻き掛け、更に駆動シーブ１２に再び巻き掛けることにより、駆動シーブ１２への主索２０の接触量を示す巻き付け角度が増え、所定のトラクションを得る事が容易となる。
これにより、従来の主索２３として、合成繊維を用いた高摩擦の特殊な主索を用いて、更に特殊なアンダーカット溝を設けた駆動シーブ１３の組み合わせによりトラクションを上げる方式から、鋼製の汎用主索２０と、主索２０が巻き掛けられるＵ溝を有し、このＵ溝の底部半円形部の直径が主索２０の直径に近似する直径で形成された駆動シーブ１２の組み合わせにより同等のトラクションを得る事ができ、主索２０の高寿命化と、更には製作・保守時のコスト削減にもなる。
また、従来例のように、かご５の上部に吊部を設ける必要がなく、かご５の吊部相当のスペース分だけ昇降路１の上下寸法を縮小することができる。その上、従来のかご５上部での１点支持に対し、この発明ではかご５の底部での２点支持となるため、かご５上部の構造部材の強度を低減できることとなり、かご５の軽量化及び製作コストも低減できる。
その他、実施の形態１で得られたのと同様の効果を奏する。
実施の形態３．
第５図、第６図は、本発明の実施の形態３による機械室レスタイプのエレベータ装置の配置例を示す平面図である。
実施の形態１では、主索２０が第１のロープ２１、第２のロープ２２にて構成されており、駆動シーブ１２から第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７によって方向転換され、かご５が２箇所のかごブラケット６によって、かご５の底部で吊り下げられている。しかし、この発明はこれに限るものではない。第５図において、１経路のみの主索２０が、駆動シーブ１２に巻き掛けられた後、遊び車１４に巻き掛けられ、更に駆動シーブ１２に巻き掛けられており、一端は釣り合いおもり用そらせ車１８によって、主索２０が水平方向から鉛直方向に方向転換され、釣り合いおもり１８に至っている。また、駆動シーブ１２からかご５に至る他端は、かご用そらせ車１５によって、主索２０が水平方向から鉛直方向に方向転換され、ロープシャックル２４及び緩衝材２５（ここでは図示せず）を介してかご５の上梁２８に接続されている。
このように、かご５をかごの上梁２８の１箇所で支持するローピング方式においてもこの発明が適用できる。そのため、充分な巻き付け角度を確保することができ、必要なトラクションの確保が容易となるため、（国際出願の国際公開番号ＷＯ ０２／１６２４７ Ａ１号公報のように、）駆動シーブ１３にアンダーカット溝を設けて高摩擦の特殊な主索２３を用いることなしに、汎用主索２０の使用が可能となり、主索の高寿命化、製作・保守時のコスト削減が図れる。
また、第５図は昇降路１内のかご５の後方に釣り合いおもり７が配置されているが、第６図のように、昇降路１内のかご５の側方に釣り合いおもり７が配置されているエレベータ装置にも、この発明は適用できる。
以上の実施の形態１から３では、好適な一例として、駆動装置１０、遊び車１４、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７（かご用そらせ車１５）、釣り合いおもり用そらせ車１８が配置されている支持台３０は、主ガイドレール２、及び副ガイドレール３に備えられた支持台ブラケット３１に防振材３２を介して取り付けられている。ここで、通常、昇降路壁は強度部材として形成されており、これらの実施の形態の変形例として、駆動装置１０、遊び車１４、第１のかご用そらせ車１６、第２のかご用そらせ車１７（かご用そらせ車１５）、釣り合いおもり用そらせ車１８が配置されている支持台３０は、昇降路壁部により支持されていても良い（図示省略する）。また、支持台３０と昇降路壁部の間にゴム製の防振材３２を介する事で、駆動装置１０が発する振動を昇降路壁部を通して建物に伝わるのを防止することができる。

この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果がある。
本発明によれば、駆動装置から所定の位置に遊び車を配置することで、主索の駆動シーブへの巻き付け角を増やせ、主索と駆動シーブ間に充分な摩擦力の確保が容易となる為、高摩擦の特殊な主索を用いなくても汎用の主索が使えるようになり、安価にして安定した主索の寿命の確保が可能となる。また、主索の保守・点検が容易となる。更に高張力の細い主索を用いることで、駆動シーブ、遊び車、そらせ車の小径化が可能となる。
また、かごを側面底部で吊ることで、従来のかごの上部を吊る方式に比べ、かご上部の構造部材の強度を低減できることとなり、また製作コストの低減、軽量化にもなる為、昇降路上部の鉛直方向の寸法を抑えることもでき、機械室レスエレベータのメリットである省スペース性を更に向上できる。その為、本発明は、建物の外観や高さによる制限などを有する厳しい立地条件でのエレベータを提供するのに適している。

Claims (12)

1. 昇降路内の上部に設置された支持台に取り付けられエレベータ主索が巻き掛けられた駆動シーブと上記駆動シーブを回転駆動する電動機とを有し、少なくとも上記駆動シーブの回転軸が鉛直方向になるように配置された駆動装置と、上記主索により上記昇降路内に吊り下げられ上記駆動装置により昇降されるかご及び釣り合いおもりと、を備えているエレベータ装置において、
   上記駆動装置から所定の距離をおいて回転軸が鉛直方向になるように配置された遊び車と、
   一端が上記釣り合いおもりに結合され中間部が上記駆動シーブに巻き掛けられた後、上記遊び車に巻き掛けられ更に上記駆動シーブに再び巻き掛けられて他端が上記かごに結合された主索と、
   上記支持台に配置され上記駆動シーブから上記かごに至る上記主索を水平方向から鉛直方向へ方向転換させるかご用そらせ車と、
   上記支持台に配置され上記駆動シーブから上記釣り合いおもりに至る上記主索を水平方向から鉛直方向へ方向転換させる釣り合いおもり用そらせ車と、
   を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
2. 上記主索は、並列な２通りの経路を有し、それぞれ独立している第１のロープと第２のロープとを備え、上記かご用そらせ車として、互いに離れて配置された第１のかご用そらせ車と第２のかご用そらせ車とを備え、上記駆動シーブから上記かごに至る上記主索のうち、上記第１のロープが上記第１のかご用そらせ車を経由して上記かごの所定部分に至り、上記第２のロープが上記第２のかご用そらせ車を経由して上記かごの他の所定部分に至ることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置。
3. 上記第１のロープと第２のロープの端部が、上記かごの対向する側面でそれぞれ上記かごに結合されたことを特徴とする請求項２に記載のエレベータ装置。
4. 上記第１のロープと第２のロープの端部が、上記かごの重心を挟んで対向する位置でそれぞれ上記かごに結合されたことを特徴とする請求項２に記載のエレベータ装置。
5. 上記駆動装置を、径方向の寸法に比して回転軸方向の厚さを小さく形成したことを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置。
6. 上記駆動シーブは、上記主索が巻き掛けられるＵ溝を有し、このＵ溝の底部半円形部の直径を上記主索の直径に近似する直径に形成したことを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置。
7. 上記遊び車が、上記駆動シーブから上記かご用そらせ車に至る主索と、上記駆動シーブから上記釣り合いおもり用そらせ車に至る主索との間に挟まれるように配置されたことを特徴とする請求項１又は２に記載のエレベータ装置。
8. 上記かご用そらせ車及び上記釣り合いおもり用そらせ車は、上記昇降路の鉛直投影面上で、それぞれ上記かご及び上記釣り合いおもりと少なくとも一部が互いに重なるように配置されたことを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置。
9. 上記駆動装置が、上記昇降路の後部隅に近接して配置されたことを特徴とする請求項１記載のエレベータ装置。
10. 上記エレベータ装置は、上記かごの昇降を制御するための制御盤と調速機とを備え、上記制御盤、上記調速機、及び上記遊び車は、上記駆動装置、又は上記かご用そらせ車及び上記釣り合いおもり用そらせ車のいずれかの最大高さ寸法の範囲内に収まるように配置されたことを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置。
11. 上記エレベータ装置は、上記かごを案内する主ガイドレールと上記釣り合いおもりを案内する副ガイドレールとを備え、上記支持台が、上記主ガイドレール及び上記副ガイドレール、又は昇降路壁の少なくともいずれかにより支持されたことを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置。
12. 上記支持台は、上記支持台を支持する上記主ガイドレール及び上記副ガイドレール、又は上記昇降路壁との間に防振材を介在させたことを特徴とする請求項１１に記載のエレベータ装置。

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