JPS643916B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は可使時間が長く、常温接着で耐煮沸接
着力にも優れている２液型の水分散型接着剤に関
する。 従来より、水分散型接着剤としては酢酸ビニル
系エマルジヨンまたはクロロプレン系やスチレン
ブタジエン系のラテツクスなどがあり、耐水性を
向上させる方法として尿素樹脂やフエノール樹脂
などの水溶性熱硬化性樹脂を混入したり、ポリビ
ニルアルコール水溶液を含む水系エマルジヨンに
イソシアナートを分散させたりしているが、いず
れも２液型であり経時増粘が著しく作業性が悪い
のみか硬化後の耐水接着力も充分でなかつた。ま
た、エポキシ基と反応しうる活性水素を含む重合
体と各種ラテツクスおよびエポキシ基を分子中に
２個以上含む化合物の混合物からなる接着剤も開
示されているが、２液型の欠点の他に耐水接着
力、殊に耐煮沸接着力の点で劣つていた。 本発明は、前記欠点を改良した可使時間が長く
て常温接着で耐煮沸接着力にも優れている２液型
の水分散型接着剤に関する。 本発明は、カルボニル基又はアルド基を有する
ビニルモノマーを共重合し、少なくとも２個のヒ
ドラジン残基を有するヒドラジン誘導体を含有す
る常温架橋型アクリル系エマルジヨンとポリビニ
ルアルコール水溶液との混合物に、エポキシ基を
分子中に２個以上含む化合物を添加する２液型の
水分散型接着剤である。 本発明のカルボニル基又はアルド基を有するビ
ニルモノマーを共重合し、少なくとも２個のヒド
ラジン残基を有するヒドラジン誘導体を含有する
常温架橋型アクリル系エマルジヨンとは、例えば
特開昭57−3850号に開示されている如く、(A)成
分：少なくとも２個のヒドラジン残基を有するヒ
ドラジン誘導体、Ｂ成分：(B)メタケリル酸メチ
ル、アクリル酸第３ブチル、ビニル芳香族化合
物、ハロゲン化ビニル、エチレン、アクリロニト
リル、メタクリルニトリルより選ばれた単量体10
〜75重量％と、(b)２〜８個の炭素原子を有するア
ルコールのアクリル酸またはメタクリル酸のエス
テル、アクリル酸メチル、ビニルエステル、1.3
−ジエンより選ばれた単量体90〜25重量％と、(c)
少なくとも分子中に個のアルド基またはケト基と
１個の重合可能な二重結合を有するカルボニル基
含有単量体０〜20重量％と、(d)３〜５個の炭素原
子を有するモノまたは１およびジカルボン酸また
は１および窒素原子において１〜４個の炭素原子
を有するアルキル基または１およびアルキロール
基により置換されたこれらの酸のアミド0.5〜10
重量％とを乳化重合して得られる共重合物〔〕
100重量部を核とし、これに、更に上記(a)乃至(d)
の単量体を、次の割合で混合した単量体５〜250
重量部を加え乳化重合して前記核の外側に共重合
体の殻を形成させた複層構造のカルボニル基含有
共重合物〔〕粒子の水性分散液、(a)の単量体10
〜75重量％、(b)の単量体90〜25重量％、(c)の単量
体0.1〜20重量％、(d)の単量体0.5〜10重量％、上
記(B)成分の複層構造のカルボニル基含有共重合物
のカルボニル基１モルに対し、(A)成分が0.02〜１
モルの割合で配合されているカルボニル基含有共
重合体粒子の水性分散液組成物であり、具体的に
は油化バーデイツシユ（株）製の商品名「アクロ
ナール」のことを言う。また、ポリビニルアルコ
ールとは、ポリ酢酸ビニルのようなポリビニルエ
ステルの加水分解によつて製造することができる
公知のポリビニルアルコール、及びアクリル酸、
メタクリル酸やアクリルアミド、メタクリルアミ
ド等で変性したもの、更に部分的にアセト酢酸エ
ステル化したものをも含み、ケン化度80〜99モル
％、平均重合度300〜2500のもので、このうちで
も高重合度物が耐水性の点で適しており、水溶液
の濃度は任意であるが３〜30重量％が適当であ
る。次にエポキシ基を分子中に２個以上含む化合
物としては、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリ
セリントリグリシジルエーテル、プロピレジジグ
リシジルエーテル、ポリプロピレンジグリンジル
エーテル等の多価アルコール類のポリグリシジル
エーテルやカルボキシル基を分子中に２個以上含
む化合物のポリグリシジルエステルなどがあり、
これらのうちでも完全または部分的に水溶性のも
のが好ましいが、水に対する溶解性が低くても本
接着剤中で均一に分散できるものであるなら使用
でき、例えば、ビスフエノールＡのジリシジルエ
ーテル、脂環式エポキシ樹脂、含窒素エポキシ樹
脂、ポリブタジエン型エポキシ樹脂、ウレタン変
性エポキシ樹脂、含金属エポキシ樹脂等があげら
れる。また接着性改良や過度の吸い込み防止のた
め無機、有機の充填材の添加、及びエポキシ化合
物の硬化促進剤となるアミン類、金属化合物等を
添加してもよい。次に、配合比率であるが、固型
分重量換算値で、前記常温架橋型アクリル系エマ
ルジヨン100部に対して、固形のポリビニルアル
コール５〜200部、好ましくは10〜100部が良い。
エポキシ化合物についてはアクリル系エマルジヨ
ンとポリビニルアルコールの合計100部に対して
0.1〜150部、好ましくは１〜50部である。 本発明の水分散型接着剤は、常温架橋型アクリ
ル系エマルジヨン粒子が多段階重合による複層構
造を形成しており、粒子表面に多く偏在するカル
ボニル基またはアルド基とジヒドラジン化合物と
が脱水架橋反応し、そして、やはり粒子表面上に
存在するアミド基と、エポキシ基の重付加反応に
よる架橋がともに高度に進行するために強靭な接
着層を形成し、煮沸試験にも耐え得る接着力を発
揮するものと考えられる。また、水溶性のポリビ
ニルアルコールが保水作用をして粘着保持時間を
延長して、乾燥接着による接着不良を防止しなが
ら上記の脱水架橋反応及び重付加反応の均一化を
図り、木材等の被着体へのぬれや密着性及び初期
接着力の向上などの作用効果をなしている。更
に、ポリビニルアルコール及びエポキシ化合物
は、アクリル系エマルジヨンの最低造膜温度の低
温化の作用効果もあり、接着作業幅の拡大にも寄
与している。 以上の如く、本発明の水分散型接着剤は２液型
ではあるが、可使時間が長くて作業性が良く、初
期接着力及び耐熱水接着力にも優れており、主に
木材用接着剤として有用である。 次に本発明を実施例により説明するが、部とあ
るは重量部を示す。 実施例 １ 固形分48％の常温架橋型アクリル・スチレン共
重合体エマルジヨン（アクロナールYJ−2715D、
油化バデイシユKK製）100部に、固形分15％の
重合度2300の部分ケン化ポリビニルアルコール水
溶液100部と炭酸カルシウム100部を添加混合し、
粘度27000cps／25℃、不揮発分53.6％の主剤エマ
ルジヨンを得た。 主剤100部に、エポキシ化合物としてグリセリ
ンジグリシジルエーテル５部を加え実施例１の接
着剤とした。 実施例 ２ 固形分47.4％の常温架橋型アクリル系重合体エ
マルジヨン（アクロナールYJ−2730D）100部
に、固形分20％の重合度1700の部分ケン化ポリビ
ニルアルコール水溶液100部を添加混合し、粘度
16000cps／25℃、不揮発分33％の主剤エマルジヨ
ンを得た。 主剤100部に、エポキシ化合物としてエチレン
グリコールジグリシジルエーテル３部を加え実施
例２の接着剤とした。 比較例 １ 実施例１にて、エポキシ化合物を加えない主剤
エマルジヨンのみを比較例１の接着剤とした。 比較例 ２ 実施例２にて、ポリビニルアルコール水溶液を
加えないアクロナールYJ−2730D100部にエポキ
シ化合物を３部加え比較例２の接着剤とした。 比較例 ３ 市販のカルボキシル基導入スチレンブタジエン
ラテツクス100部に、エポキシ化合物（グリセリ
ンジグリシジルエーテル）５部を加え比較例３の
接着剤とした。 各種着剤の20〜25℃における可使時間（hr）は
第１表の如し。 次に厚さ10mm、巾25mmのカバ柾目材からなる被
着体に、上記各接着剤を塗布量200ｇ／m²塗布し、
５分毎に塗布面にポリエチレンフイルムを当て粘
着保持時間（分）を測定した。また、塗布後５分
後に他方の被着体を貼り合わせ、圧締温度25℃、
圧力10Kg／cm²、養生時間１時間後の初期接着力、
及び養生時間５日間後の常態接着力、更にJAS集
成材規格に準じた60℃の温水中に３時間浸漬後の
ぬれた状態での耐温水接着力、及び煮沸繰り返し
処理後の耐煮沸接着力を、それぞれJISK−6852
に準じて圧縮せん断接着力（Kg・ｆ／cm²）を測定
した結果を第１表に示す。 【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ カルボニル基又はアルド基を有するビニルモ
   ノマーを共重合し、少なくとも２個のヒドラジン
   残基を有するヒドラジン誘導体を含有する常温架
   橋型アクリル系エマルジヨン固形分100重量部に
   対してポリビニルアルコール水溶液固形分５〜
   200重量部を配合した混合物固形分100重量部に、
   エポキシ基を分子中に２個以上含む化合物固形分
   0.1〜150重量部を添加してなることを特徴とする
   水分散型接着剤。