JPS642702Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は髪のすき落とし量が変更できるすき
刈り具を備えた電気バリカンに係り、このすき刈
り具の形状および支持構造に改良を加えたもので
ある。

この種のすき刈り具として、その前縁に設けた
浅深２種類のすき溝をバリカン刃に対して前後に
進退移動させることにより、各すき溝での毛導入
量を異ならせて髪のすき落とし量を変更するよう
にしたものが知られている。これでは、すき刈り
具がその操作部材とともにバリカン本体内に組み
込まれる関係上、構造が複雑になつて生産コスト
の低減化が図り難い。また、すき刈り具の前後移
動だけで毛導入量を変更するため、毛導入量を小
さく設定するときにすき刈り具がバリカン刃の先
端から前方へ突出してしまい、この突出端が頭皮
に当たつて痛い。しかも、突出時にはバリカン刃
に対する最適位置で髪の進入を妨げることができ
ず、すき刈り後の髪長さが不揃いになりがちであ
る、といつた不具合が認められた。

この考案は、かかる従来の不利不便を解消する
ために提案されたものであり、すき刈り具および
その姿勢変更手段を簡単な構造で安価に製造でき
るようにすること、すき刈り具を前後に反転する
だけで毛導入量が変更できて髪のバリカン刃への
進入を常に最適位置で阻止できるようにすること
を目的とする。

以下、その詳細を図面に基づき説明すると、第
１図および第２図において、１は長箱状のバリカ
ン本体、２はバリカン本体１の前端に斜め上向き
に配置したバリカン刃ユニツト２である。バリカ
ン本体１は上下ケース１ａ，１ｂを蓋合わせ状に
結合したもので、これの内部には先端側から順に
バリカン刃ユニツト２を駆動する振動子３、モー
タ４、電池５などが配置されている。

バリカン刃ユニツト２はユニツト台６上に装着
される固定刃７と、該固定刃７に摺接する可動刃
８と、振動子３の動きを可動刃８に伝える可動刃
サポート９などからなり、ユニツト台６の下端は
下ケース１ｂに設けた支軸１０に取外し自在に係
合支持されて支軸１０まわりに揺動可能である。
符号７ａ，８ａは固定刃７および可動刃８のそれ
ぞれ切刃を示す。

刃ユニツト２の上部にすき刈り具１１が装着さ
れている。このすき刈り具１１は上ケース１ａの
先端部の左右両側に基端が揺動軸１３まわりに前
後揺動する左右の支持腕１２，１３間に支持さ
れ、髪が切刃７ａ，８ａへ入り込むのを阻止する
髪受１４と、髪の進入を許すすき溝１５とが交互
に連続するようにステンレス鋼材の如き金属線材
やこれら金属線材の表面をABS樹脂やフツソ樹
脂でコーテイングしたような合成線材を折り曲げ
て形成されている。

髪受１４の左右幅Ａはすき溝１５を形成する線
材の左右幅Ｂより大きく設定する。そして、左右
側端に位置する髪受１４またはすき溝１５の前後
方向中央から線材を横外側方に折り曲げて反転軸
部１６，１６を形成し、該軸部１６，１６を支持
腕１２，１２にそれぞれ回動可能に支持する。第
４図のように支持腕１２の先端内面にはすき刈り
具１１の姿勢を前後の各反転位置で保持するため
の係止リブ１７が設けてある。なお、髪受１４は
すき刈り具１１の使用姿勢において、その前端が
固定刃７の刃先７ａより僅かに突出する。

以上のように幅の異なる髪受１４とすき溝１５
を左右で交互に連続形成してあるので、すき刈り
具１１を反転軸部１６を中心にして前後に反転さ
せると、第５図に示す如くそれまで髪受１４とし
て機能していた部分が前向きに開口し、逆にすき
溝１５として機能していたものが後向きに開口
し、その結果新たに先のすき溝１５より広幅のす
き溝１８と、先の髪受１４より幅狭の髪受１９が
得られる。つまり、すき刈り具１１を前後に反転
するだけでその毛導入量を大小に変えることがで
きるに至つたものである。

すき刈り具１１を使用時と不使用時の各姿勢切
り換え位置で保持するために、各支持腕１２の内
面に係合突起２０を設けるとともに、上ケース１
ａの左右外側面の前後２箇所に該係合突起２０が
選択的に係合する係止穴２１を形成してある。

いま、丸刈りや刈りあげなどの如く電気バリカ
ンを通常の状態で使用するときは、第２図の想像
線で示すように支持腕１２を後方へ倒してすき刈
り具１１を待機姿勢にしておく。そして、すき刈
りを行なう場合は、第４図の想像線のように一旦
支持腕１２を引き起こしてすき刈り具１１の前後
いづれのすき溝１５，１８を使用するかを選択し
たのち、その左右側端を支持腕１２の係止リブ１
７に嵌め込み、支持腕を前方に倒して使用姿勢に
する。使用途中において髪のすき落とし量を変更
したいときは、再度支持腕１２を後方へ引き起こ
してすき刈り具１１を前後いづれかに反転し、係
止リブ１７で固定したのち支持腕１２を前方へ倒
して使用姿勢にする。なお、すき刈り具１１の反
転時には全体が幅方向内側へ撓むことで係止リブ
１７を乗り越える。また、すき刈り具１１の前後
方向中央に反転軸部１６を設けると、すき刈り具
１１を反転操作しても、その前後の各髪受１４，
１９が固定刃７の切刃７ａより僅かに突出する状
態になるので、常に最適位置で髪を受け止めて髪
の切刃７ａ，８ａ内への進入を確実に規制でき
る。

なお、支持腕１２に、揺動構造は特に必要とす
るものではなく、すき刈り具１１の両端をバリカ
ン本体に対し抜き差し自在又は着脱自在にし、す
き刈り具１１を脱した状態下で反転させたのち、
装着し直すものであつてもよい。

以上説明したように、この考案ではすき刈り具
１１の前後両縁に毛導入量が異なるすき溝１５，
１８を有し、すき刈り具１１の反転操作によつて
異なる幅のすき溝１５，１８を選択できるように
した。したがつて、従来のすき刈り具に比べて全
体として構造を簡素化できて生産コストを低減で
きる。しかも、すき刈り具１１を前後に進退移動
させて髪のすき落とし量を変更するものと異な
り、これの前縁の髪受１４，１９が切刃７ａより
前方に大きく突出しないので、これが頭皮に当た
つて不快感を与えることもない。

また、すき刈り具１１をバリカン本体１に揺動
枢支した支持腕１２に支持する形態にしたとき
は、使用時と不使用時の姿勢切り換えが簡単に行
なえる。更に、すき刈り具１１の前後方向中央部
付近を該支持腕１２に支持して前後向きを反転可
能とした場合には、毛導入量を変更してもすき刈
り具１１の髪受１４，１９が両切刃７ａ，８ａに
対して常に最適位置に設定できることになり、髪
の両切刃７ａ，８ａへの進入を確実に防ぎ、すき
刈り後の髪の長さを一定に整えるに効果的なもの
となる。特に、この考案のすき刈り具１１は一本
の線材を折曲することによつて、一方のすき溝１
５を形成することで、同時に必然的に他方のすき
溝１８も形成することができるため、すき刈り具
１１を簡単かつ安価にしかも軽量に製作すること
ができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案に係る電気バリカ
ンの第１実施例を示しており、第１図は斜視図、
第２図はすき刈り時の要部の側面図、第３図は平
面図、第４図は第３図におけるＣ−Ｃ線矢視図、
第５図はすき刈り具を反転した状態での平面図で
ある。 １……バリカン本体、２……バリカン刃ユニツ
ト、７……固定刃、７ａ……固定刃の切刃、８…
…可動刃、８ａ……折曲の切刃、１１……すき刈
り具、１２……支持腕、１３……揺動軸、１４…
…髪受、１５……すき溝、１６……反転軸部、１
８……すき溝、１９……髪受、２２……すき溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) バリカン本体１の先端に固定刃７と可動刃８
   の両切刃７ａ，８ａが突出する電気バリカンに
   おいて、一本の線材を折曲することにより前後
   両縁に毛導入量が異なるすき溝１５，１８を有
   するすき刈り具１１を形成し、バリカン本体１
   にすき刈り具１１の前後方向中央付近を前後向
   きが反転装着可能なように支持するようにした
   ことを特徴とする電気バリカン。 (2) バリカン本体１に前後揺動可能に枢支した支
   持腕１２に、すき刈り具１１が支持されている
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の電気バリ
   カン。