JPS641128B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、蒸し饅頭、雁月、中華マン、蒲鉾製
品のような蒸熱加工食品の製造における連続蒸熱
処理方法に関する。

（従来の技術） 蒸熱加工食品はボイラーにより発生する蒸気に
よつて熱加工され、その品質は、従来、ボイラー
の個性的性能としての温度と湿度によつて左右さ
れると考えられていた。

蒸気と温度と湿度は、ボイラーの構造によるも
のの外に、ボイラーと蒸熱加工室との距離、配管
のパイプの太さ、およびその分岐の条件によつて
決定されるので、蒸熱加工の条件を任意に変更で
きず、したがつて、加工食品の品質を管理するこ
とも、従来全く不可能とされていた。

また、蒸熱加工室の形状の種類、例えば、セイ
ロ蒸し、ボツクス型蒸し器、水平トンネル型の連
続蒸熱装置等によつても、各々の装置ごとに加工
食品のでき上り品質が異なり、一つの蒸熱装置で
あらゆる種類の製品を蒸熱加工して、いずれもそ
の個性の品質を満足させるということは全く不可
能であつた。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、上記のような従来の蒸熱方法の欠点
を解決し、ボイラーの条件如何にかかわらず、あ
らゆる製品のでき上りが常に希望条件に添つて加
工できる蒸熱方法を提供することを目的とする。

（課題を解決すくための手段） 本発明は、食品の連続蒸熱処理方法において、
食品を縦方向に運行させること、蒸気の供給を下
方と上方の両方および必要に応じて中間側方から
行うこと、さらに、蒸気の噴出量を調節できるよ
うにして、食品の特性に応じて蒸気の噴出量を調
節して蒸熱すること、以上の条件を備えることに
より、前記の目的を達成することができるように
したものである。

すなわち、本発明は、箱体内に収納されて、上
昇と下降の両方またはいずれか一方の運行中に食
品を蒸熱処理する方法において、箱体内の下方と
上方および必要に応じ中間位置に蒸気の噴出口を
設けると共に、蒸気の噴出量を調節できるように
して、食品の特性に応じて蒸気の噴出量を調節し
て蒸熱処理することを特徴とする食品の連続蒸熱
処理方法である。

本発明においては、蒸熱しようとする食品を、
箱体内を上昇と下降の両方またはいずれか一方の
縦方向に運行させることによつて、処理空間を有
効に利用することができる。そして、蒸気の供給
方法は、箱体内の下方と上方の両方および必要に
応じて中間側方から、蒸気の噴出量を調節できる
ように設けた蒸気の噴出口より供給する。

従来、蒸熱処理における蒸気の供給方式は、ト
ンネル式の運行蒸熱方法においても、立体式の蒸
熱方法においても、旧来のセイロ蒸しの方法と同
様に、蒸気は下方からだけ供給されていた。これ
らは、従来技術として特許第785174号「自動式蒸
熱機」等に示されているが、この従来の方法の欠
点の一つは、本発明のような上下両方向からの蒸
気供給システムに比べ、蒸熱加工のために蒸気を
非常に多く消費してしまうことである。

その理由は、下から吹き上げられた蒸気が製品
やトレイに触れて冷却し、露滴をつくり潜熱を失
い、熱交換力のない単なる冷空域となつて中間お
よび上方に滞留するが、この冷空域は、上方に動
く運搬装置によつて、常に上方域に滞留したまま
となつていて、下方に下がらず、したがつて、熱
対流は起こらない。

すなわち、熱処理をするには全く都合の悪い環
境となつてしまうのであり、このままでは幾ら時
間をかけても蒸熱加工は成功しないので、従来は
多量の蒸気を箱体内に送り込み、箱体内の上方に
ダクトを設けて開放し、強制的に上方の冷空域を
ダクトから押し出す方法がとられていた。しか
し、大量に蒸気を供給した場合は、天井面や側壁
の結露がはなはだしくて、箱体内は雨が降つてい
るようになつてしまつて、製品の品質を著しく損
なつてしまい、和菓子のようなデリケートな製品
の製造は非常に困難であつた。

本発明の方法では、まず、箱体内の上方に蒸気
を送り込んで高温域を造ると、下方に送り込んだ
蒸気は、上方に吸い上げられて理想的な熱対流が
起こり、結果的に少ない蒸気量で効果的な熱処理
ができるばかりでなく、上下の蒸気バルブおよび
補助としての中間の蒸気バルブの加減によつて、
製品の品質に応じた蒸熱処理ができるようになつ
た。

その実験例として、上、中、下の蒸気噴出口の
バルブの操作は、薄い皮の蒸し饅頭では上方口50
％、中間口30％、下方口20％の開放が適性である
のに対し、厚い皮の蒸し饅頭では上方口80％、中
間口10％、下方口10％であつた。また、流し種蒸
しパンの場合は上方口30％、中間口35％、下方口
35％と、それぞれ適性な蒸熱条件は著しく異なる
ことが分かつた。

また、蒸気の使用量については、従来の下方の
みの供給方法に比べ、約二分の一で完了すること
が分かつた。

本発明において、蒸気の噴出口は、箱体内の下
方と上方に設けることが必要不可欠であるが、中
間位置においては必要に応じて設ければよい。例
えば、実施例１において使用する第１図に示す上
下運行型の蒸熱装置においては、箱体内の上下の
中間部に蒸気の噴出口を設けているが、実施例２
において使用する第３図に示す上昇運行のみの蒸
熱装置においては、該中間部の蒸気の噴出口を省
略している。その理由は、小型の箱体においては
上下の噴出口の距離が近いとき、中間部の噴出口
が不要となる場合があることが確認されたためで
ある。

（実施例） 次に、本発明を実施例に基いて説明する。

実施例 １ 第１図および第２図に示す上下運行型の蒸熱装
置を用いて行う。該蒸熱装置は、蒸し室１の下部
にトレイ２を搬入する入口３と搬出する出口４を
有し、蒸し室１の内部には、搬入したトレイ２を
間欠的に上昇させる上昇機構５を有する上昇室６
と、トレイ２を間欠的に下降させる下降機構（図
示していない）を有する下降室７、および上昇室
６において上昇したトレイ２を下降室７に移載す
るための移載装置８を配設している。そして、上
昇室６の下方に蒸気の下部噴出口９、中間位置の
側壁に蒸気の中部噴出口１１、下降室７の下方に
蒸気の下部噴出口１０をそれぞれ設け、さらに、
蒸し室１の上方に上部噴出口１２を設けている。

蒸し室１の入口３には、入口コンベア１３，１
３′を直列に配置し、同調して間欠的に運行され
るよに設けている。上昇機構５はスプロケツト１
４，１５によつてチエーン１６が上下に張られ、
左右に対向して設けている。チエーン１６には、
フツク１７が等間隔に付設され、左右のチエーン
１６に付設されたフツク１７は、チエーン１６の
運行で各々高さを同じくして同調して矢印ｂまた
はｄの方向に動くものである。

上昇室６において上昇したトレイ２を下降室７
に移載するための移載装置８ついて説明すると、
蒸し室１の側壁を貫通して設けられたロツド１８
が蒸し室１に付設された軸受１９に支持されてい
る。ロツド１８の片端にはラツク２０が刻設さ
れ、ピニオンギヤ２１と噛み合つている。ロツド
１８は爪２２を有し、図示していない駆動装置に
よりピニオンギヤ２１が回転してラツク２０が前
進し、ロツド１８が前方に移動する時、爪２２が
トレイ２を押して上昇室６から下降室７へ移載す
る。下降室７内の下降機構は図示していないが、
上昇機構５と同じ構成からなり、運行の方向だけ
が反対でトレイ２が間欠的に下降するように運行
する。

下降室７の下部には出口コンベア２３，２３′
を直列に設け、間欠的に運行することにより、下
降機構で下降してくるトレイ２を受けとり、出口
４かか搬出する。

下部噴出口９，１０、中部噴出口１１および上
部噴出口１２は、その蒸気の放出条件をバルブ２
４，２５，２６，２７を調節することによつて変
更することができる。バルブの選択的な開放加減
の操作は、人手によることの他、電磁バルブ、制
御装置と記憶装置により製品指定のバルブ条件を
設定することができる。

食品２８はトレイ２に移載され、矢印ａ，ｂ，
ｃ，ｄ，ｅの順に運行し、矢印ｂおよびｄの過程
で蒸熱される。トレイ２が蒸し室の入口３と出口
４を通過しない時には、それぞれ入口３のシヤツ
ター２９、出口４のシヤツター３０により閉鎖さ
れる。

実施例 ２ 第３図に示す上昇運行のみの蒸熱装置を用いて
行う。該蒸熱装置は、箱体３１の下部に食品の搬
入コンベア３２，３２′、上部に搬出コンベア３
３を有しており、トレイ２′に載置された食品２
８′は、矢印ｆ，ｇ，ｈの順に運行し、矢印ｇの
過程で蒸熱される。

箱体３１の下方には蒸気の噴出口３４を設け、
その上方には遮蔽板３５があつて、蒸気はトレイ
２′に直接当たることなく分散されて室内に進入
するようになつている。そして、箱体３１の上方
には蒸気噴出口３６，３７を設けている。

第１図および第２図に示した上下運行型におい
ては、上部噴出口は一つであつたのに対し、第３
図の実施例２のような上昇運行のみの蒸熱装置に
おいては、上部に搬出口３８があつて、噴出口の
近くで開閉するため、二つの上記噴出口を設ける
のが良好であることが実験の結果確認されてい
る。

（発明の効果） 本発明は、食品を縦方向に運行させることによ
る処理空間の有効な利用と同時に、蒸気の供給を
下方と上方の両方から行い、また、必要に応じて
中間側方からの供給を行うことにより蒸気の部分
的な冷却を防止し、蒸熱の欠点である性質の不安
定さを解決して熱対流を促進し、エネルギー効果
を向上させて優良な製品を安定して加工できるよ
うにしたばかりでなく、それぞれの噴出口のバル
ブを選択的に加減することにより、加工しようと
する製品に合つた蒸熱条件を自由に作り出し、多
品種の製造対応ができる方式である。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１において使用する蒸熱装置の
一部断面の側面図、第２図は同蒸熱装置の一部断
面の正面図、第３図は実施例２において使用する
蒸熱装置の一部断面の側面図である。 １……蒸し室、２，２′……トレイ、３……入
口、４……出口、５……上昇機構、６……上昇
室、７……下降室、８……移載装置、９……下部
噴出口、１０……下部噴出口、１１……中部噴出
口、１２……上部噴出口、１３，１３′……入口
コンベヤ、１４，１５……スプロケツト、１６…
…チエーン、１７……フツク、１８……ロツド、
１９……軸受、２０……ラツク、２１……ピニオ
ンギヤ、２２……爪、２３，２３′……出口コン
ベア、２４，２５，２６，２７……バルブ、２
８，２８′……食品、２９，３０……シヤツター、
３１……箱体、３２，３２′……搬入コンベア、
３３……搬出コンベア、３４……下方蒸気噴出
口、３５……遮蔽板、３６，３７……上方蒸気噴
出口、３８……搬出口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 箱体内に収納されて、上昇と下降の両方また
   はいずれか一方の運行中に食品を蒸熱処理する方
   法において、箱体内の下方と上方および必要に応
   じ中間位置に蒸気の噴出口を設けると共に、蒸気
   の噴出量を調節できるようにして、食品の特性に
   応じて蒸気の噴出量を調節して蒸熱処理すること
   を特徴とする食品の連続蒸熱処理方法。