JPS639400Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は一台で出刃包丁のような厚刃の刃物と
菜切包丁のような薄刃の刃物との刃砥ぎを行うこ
とができる家庭用の刃物砥ぎ具に関するものであ
る。

（従来の技術） 家庭用の刃物砥ぎ具は従来から多くの種類のも
のが考案されており、モーターにより回転す砥石
盤に刃物を接触させて刃砥ぎを行わせる電動式の
ものや、スプリングによつて弾性的に支持された
２枚の砥石の間に刃物を挿入して前後方向に動か
すことにより刃砥ぎを行わせるもの等が広く用い
られている。ところが電動式の刃物砥ぎ具は高価
なものとなる欠点があり、また、２枚の砥石間に
刃物を挿入して刃砥ぎを行わせるものは砥石の同
一部分のみが使用されるので砥石が損耗し易いう
え、２枚の砥石間の角度が一定であるため刃先角
度が異なる厚刃の刃物と薄刃の刃物とを同一の刃
物砥ぎ具により正しく刃砥ぎすることができない
欠点があつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような従来の問題点を解決し、構
造簡単にして安価に製作することができ、砥石の
部分的な損耗を生ずることがないうえに厚刃の刃
物と薄刃の刃物とを一台で正しく刃砥ぎすること
ができる刃物砥ぎ具を目的として完成されたもの
である。

（問題点を解決するための手段） 本考案は互いに反対方向に傾斜したカム面を前
後に備えた案内部材をベースの左右両側に垂直に
突設するとともに、これらの案内部材間には上端
面の前後２個所に凹部を凹設した軸受体を前後方
向にスライド自在に設け、これらの案内部材と軸
受体の上端面とによつて構成される前後の軸受部
には、円板状のセラミツク砥石を水平軸に複数枚
遊嵌した２個の刃砥体を互いのセラミツク砥石の
先端どうしを介入させて配設したことを特徴とす
るものである。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すると、１は合成樹脂材から成りハンドル２とゴ
ム製の脚３とを備えたベース、４は該ベース１の
左右両側に垂直に突設された案内部材である。案
内部材４の前部と後部には互いに反対方向に傾斜
した八字状のカム面５，６が形成されており、ま
たこれらのカム面５，６に対向させてＶ字状の腕
部７が形成されている。これらの案内部材４，４
間にはＵ字状の断面を有する軸受体８が設けられ
ている。軸受体８の上端面９の前後２箇所には軸
受用の凹部１０，１０が凹設されており、これら
の凹部１０，１０間の間隔は上記カム面５，６間
の間隔に対応させるものとする。軸受体８はその
後部側方にベース１の外面に至る腕１１を備えて
おり、各腕１１の先端には指掛片１２がベース１
の外面に密着するように形成されているので、指
掛片１２を指先で前後に押圧することにより軸受
体８は案内部材４の間を前後方向にスライドする
ことができるものである。第２図または第４図に
示されるように、これらの案内部材４，４のカム
面５，６と軸受体８の上端面９とによつて構成さ
れる前後の軸受部には、それぞれ刃砥体１３が配
設されている。各刃砥体１３は円板状のセラミツ
ク砥石１４を金属製の水平軸１５に複数枚遊嵌さ
せたものであり、各セラミツク砥石１４は例えば
アルミナ磁器系セラミツクスからなるもので、そ
の周縁部は表裏いずれも面取りされることなく直
角状のエツジ１４ａ，１４ｂに形成されていると
ともに、その中心部分には円板部分の厚みに等し
いスペーサ部１６が突設されている。各セラミツ
ク砥石１４の中心孔は水平軸１５の外径よりも十
分に大径に形成されているので、各セラミツク砥
石１４は第３図に示されるように水平軸１５に対
して傾動自在に支持されることとなる。また、前
記した案内部材４のカム面５，６の間隔はこれら
の２個の刃砥体１３のセラミツク砥石１４の先端
どうしがわずかに介入されて重複部を形成するよ
うに定められているが、カム面５，６は互いに反
対方向に傾斜しているので、第４図に示すように
水平軸１５が軸受体８の上端面９によりカム面
５，６の最上部へ押上げられているときには各刃
砥体１３の水平軸１５，１５間の距離が小さくな
つてセラミツク砥石１４どうしの介入が深くな
り、逆に第２図に示すように水平軸１５が軸受体
８の凹部１０，１０内に嵌入されたときには介入
が浅くなるようにされている。なお、１７はベー
ス１の上面及びハンドル２の上面に施蓋されるカ
バーであり、カバー１７にはセラミツク砥石１
４，１４の重複部の上方に位置する両刃砥ぎ用の
深い切欠１８と、後方の刃砥体１３の側面に位置
する片刃砥ぎ用の浅い切込１９とが設けられてい
る。

（作用） このように構成されたものは、菜切包丁のよう
な薄刃の刃物を砥ぐ際にはベース１の側面の指掛
片１２を後方へ押して軸受体８を後方へ移動させ
れば、その上端面９によつて支持されていた２個
の刃砥体１３の水平軸１５は軸受体８の上端面９
の前後２個所に凹設された凹部１０，１０内に陥
入して第２図に示されるように各刃砥体１３の円
板状のセラミツク砥石１４は先端どうしの介入が
浅い位置に支持されることとなる。そこで切欠１
８に刃物３０を略垂直に入れてその刃先を２個の
刃砥体１３のセラミツク砥石１４の重複部に接触
させたうえで水平軸１５と平行に往復動させれ
ば、各セラミツク砥石１４は刃物３０との摩擦に
より水平軸１５に対して両方向に傾動しつつその
エツジ１４ａ，１４ｂによつて刃物３０の両面か
ら刃砥ぎが行われる。この刃砥ぎの間に、各セラ
ミツク砥石１４は水平軸１５のまわりを自由に回
転できるので刃物３０との接触部分が適当に移動
することとなり、部分的な損耗を生ずることがな
く、また両側のセラミツク砥石１４の外周面は比
較的小さい角度をなして交叉しているので、刃先
角度の小さい薄刃の刃物を正しく刃砥ぎすること
ができる。一方、出刃包丁のような厚刃の刃物を
砥ぐ際には軸受体８を前方へ移動させれば各刃砥
体１３の水平軸１５は軸受体８の凹部１０から上
方に押上げられて上端面９によつて支持されるこ
ととなり、これと同時に案内部材４の互いに反対
方向に傾斜したカム面５，６によつて第４図のよ
うに軸間距離を狭められ、円板状のセラミツク砥
石１４の先端が比較的深く介入した位置に支持さ
れることとなる。この状態では両側のセラミツク
砥石１４の外周面は比較的大きい角度をなして交
叉しているので刃先角度の大きい厚刃の刃物の刃
砥ぎを正しく行うことができる。なお、第２図の
状態と第４図の状態のいずれにおいても、切込１
９の片面に刃物の片面を密着させつつ往復動させ
ることにより鋏のような片刃の刃物を後方の刃砥
体１３によつて刃砥ぎすることができ、刃物は硬
質のセラミツク砥石１４のエツジ１４ａ，１４ｂ
によつて鋭利に砥がれることとなる。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、出
刃包丁のような厚刃の刃物も菜切り包丁のような
薄刃の刃物も正確に刃砥ぎすることができるうえ
に刃物の押し引きいずれの際にも刃砥ぎが行われ
るから能率的であり、しかも、硬質のセラミツク
砥石を用いたうえその刃物との接触面が順次移動
して部分的な損耗を生ずることがないから半永久
的に刃砥ぎ性能を維持することができる等種々の
利点があり、全体の構造も簡単で安価に製造する
ことができる利点と相まち従来の家庭用の刃物砥
ぎ具の問題点を解決したものとして実用的価値極
めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図はその要部の一部切欠正面図、第３図
は第２図の一部切欠平面図、第４図は厚刃の砥ぎ
を行うための状態を示す要部の一部切欠正面図で
ある。 １：ベース、４：案内部材、５，６：カム面、
８：軸受体、９：上端面、１０：凹部、１３：刃
砥体、１４：セラミツク砥石、１５：水平軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに反対方向に傾斜したカム面５，６を前後
   に備えた案内部材４，４をベース１の左右両側に
   垂直に突設するとともに、これらの案内部材４，
   ４間には上端面９の前後２個所に凹部１０，１０
   を凹設した軸受体８を前後方向にスライド自在に
   設け、これらの案内部材４，４と軸受体８の上端
   面９とによつて構成される前後の軸受部には、円
   板状のセラミツク砥石１４を水平軸１５に複数枚
   遊嵌した２個の刃砥体１３，１３を互いのセラミ
   ツク砥石１４の先端どうしを介入させて配設した
   ことを特徴とする刃物砥ぎ具。