JPS6359910B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車両前部の構造、特に窓枠部の構造に
関するもので、車両のボデー構造の強度を低下さ
せることなくフロントピラー部を細くして前方視
認性を向上せしめ、また簡素かつ外観良好な構造
とすることを目的とするものである。

従来、車両のフロントピラーは鋼板を接合した
中空断面構造で、強度および剛性を維持するため
にこれを細くするに限度があつた。またフロント
ピラーを含むボデーの窓開口部と窓ガラスとの間
にはモールやウエザストリツプを装着していた。

そこで本発明は、窓ガラスの左右枠を中実の骨
柱で構成するとともに上下枠を左右枠よりも薄い
フレームで構成し、これ等枠体の内側面に形成し
た溝に窓ガラスの外周を弾性部材を介在せしめて
強固に嵌合するとともに各枠体の端部を相互に溶
接固着して一体構造体となし、該構造体の枠体を
ボデーの窓開口部に溶接固着した車両の前部構造
を提供するものである。

しかして本発明によれば、上記左右枠がフロン
トピラーとなり、該左右枠は中実骨柱で、かつ上
下枠と一体結合されるとともに、これ等の枠体が
ボデーの窓開口部に溶接されているので全体とし
て強固な構造となる。またフロントピラーは中実
骨柱であつて強度、剛性を維持して細くすること
ができ、車両の前方視界を良好にする。また窓ガ
ラスまわりに一連に形成した枠体によりモールと
同様の効果を付与して外観を良好にし、またガラ
スとボデーの面一化をはかることもできる。

以下、本発明を図示の実施例により説明する。
第１図において、１はフロントガラスで、ガラス
１まわりには左右枠２，３、上下枠４，５よりな
る枠体が形成してある。

第２図および第３図に示すように、左右枠２，
３は断面が全体としてほぼ四角形の中実の金属骨
柱体で、上下端は直角方向に屈曲し、湾曲したコ
ーナ部を形成している。そして屈曲端は縦枠部よ
りも薄肉としてある。また上下のコーナ部からは
ブラケツト６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄが一体的に突
出形成してある。更に枠２，３にはそれぞれ溝２
０が形成してある。左右枠２，３は鍛造、機械加
工など適宜の方法で製造される。

上枠４および下枠５はそれぞれ左右枠２，３の
上下屈曲端と同一の断面形状を有し、内側面には
溝４０が形成してある。上記各枠体２，３，４，
５はいずれも鋼材よりなり、上面部にはシヨツト
ピーニング等のスケール落しを行なつて後、美観
付与のためのメツキが施されている。

上記枠体２，３，４，５はフロントガラス１ま
わりに組付けられる。即ち、第４図ないし第６図
に示すようにガラス１の周縁を枠体の溝２０，４
０と同一断面形状となし、この周縁を溝２０，４
０に嵌合するとともに、合成樹脂、例えば熱可塑
性弾性樹脂等よりなる薄い弾性部材７を介在せし
めて溝底部に圧接し、左右枠２，３と上下枠４，
５の衝合端をビーム溶接により結合する。これに
よりフロントガラス１と左右上下の枠体２，３，
４，５よりなる一体構造体が構成される。この構
造体において、フロントガラス１の厚さと枠体
２，３，４，５の幅とは同一であつて面一となつ
ている。

上記一体構造体のボデーへの取付けは、左右枠
２，３の上下コーナ部に突設したブラケツト６
ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄにより第３図に示すように
ボデーの上下のフレーム部８，９に溶接固着され
る。また、第５図に示すように上枠４はルーフパ
ネル１０の窓開口縁に形成した段部に部分的にビ
ーム溶接して一体化固定される。更に下枠５は第
６図に示すようにカウルパネル１１に形成した段
部に部分的にビーム溶接して一体化固定される。
上記各段部の高さと、上下枠４，５およびガラス
１の厚さは同一としてあり、従つてスムーズな面
一構造となつている。第４図に示すように左右枠
２，３の側面には金属板、樹脂板等よりなる断面
Ｚ字形の水はけ部材１２が接合され、ドアガラス
１３の前端縁との対向部にはゴム部材１４が接着
され、ドアガラス１３と水はけ部材１２との間に
水密性を与えている。

なお、左右枠２，３の中実骨柱部材は鉄系に限
らず車種の必要強度によりアルミニウム系材料で
もよく、また鉄系芯材に樹脂外皮を形成したもの
でもよい。

第７図は他の実施例を示すもので、左右枠２，
３（図では左枠２のみを示す）の上部コーナ部は
三又構造としてあり、ブラケツト部６ａは本体部
と連続面を形成している。ブラケツト部６ａ内に
はボデーのサイドメンバ８の先端と合致する形状
の中空部が形成してあり、その中にサイドメンバ
８の先端が嵌入せしめてある。

一方、骨柱状の枠２の側面には水はけ部材１２
が溶接してあり、該部材１２は上記ブラケツト部
６ａより更に後方へ延びており、延長部１２０は
上記サイドメンバ８の頂面に溶接してある。

ルーフパネル１０はその先端で上枠４を支持し
ており、上枠４、ブラケツト部６ａと接する面
で、これ等と部分的にビーム溶接してある。

またルーフパネル１０はその側縁において下方
へなだらかに傾斜し、その前端がブラケツト部６
ａの端面に溶接せしめてあり、側端縁が水はけ部
材の延長部１２０に溶接せしめてある。ルーフパ
ネル１０は、上枠４およびブラケツト部６ａへ連
なるなだらかな傾斜面を形成しており、またブラ
ケツト部６ａおよび骨柱本体部２の表面は上記傾
斜面の延長面をなすなだらかな傾斜面に形成され
ており、全体がスマートな面一構成となつてい
る。

以上説明したように本発明では左右枠２，３を
中実の骨柱とするとともにこれ等を上下枠４，５
と結合して一体構造とし、かつこれ等の枠をボデ
ーの窓開口部と溶接一体化したので車両のフロン
トガラスまわりの構造を強化することができ、従
つてまた左右枠２，３を細身として車両の前方視
認性を向上せしめることができる。またフロント
ガラスまわりの一連の枠体によりモールと同様の
美感を付与することができる。更に枠体およびガ
ラス厚さを同一にするとともに、これ等の厚さと
枠体取付け部のボデー開口の段部高さを同一とす
ることにより車両前部の面一構造を実現すること
ができる。またフロントガラスまわりのモールや
ウエザストリツプを省略することができコスト的
にも有利である。

なお、細身の中実左右枠骨柱はこれを暖めた状
態で上下枠あるいはボデーに溶接すれば適度の引
張り応力が骨柱に作用して車両前部の構造の剛性
増加に貢献する。

本発明は乗用車、トラツク等に広く適用される
ものであるが、ドアガラスに窓枠を有しないハー
ドトツプ型自動車に適用すれば特に車両前部の外
観を簡素ですつきりしたものとすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の骨柱構造の窓枠を有する自動
車の斜視図、第２図ないし第６図は第１の実施例
を示すもので、第２図は窓枠の正面図、第３図は
窓枠のボデーへの溶接部を示す図、第４図は第１
図の−線断面図、第５図は第１図の−線
断面図、第６図は１図の−線断面図、第７図
は第２の実施例の要部斜視図である。 １……フロントガラス、２，３……左右枠、
４，５……上下枠、２０，４０……枠の溝、７…
…弾性部材、１０……ルーフパネル、１３……ド
アガラス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 左右枠を中実の金属骨柱で構成し、上下枠を
   薄肉の金属フレームで構成してこれ等の枠の内側
   面に溝を形成し、溝に窓ガラスの外周を弾性部材
   を介して嵌合するとともに左右枠および上下枠の
   端部を溶接結合して一体構造となし、上記左右枠
   および上下枠を車両ボデー前部の窓開口縁および
   車両構造部に溶接固着してなる車両前部の骨柱構
   造。