JPS6354020B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は成形性の改良されたポリエステル樹脂
組成物に関するものである。更に詳しくは本発明
は成形時のテレフタル酸等の芳香族二塩基性酸発
生を抑制し、金型腐蝕などのトラブルを低減せし
めたテレフタル酸などの芳香族二塩基性酸を主た
る酸成分とする熱可塑性ポリエステル組成物に関
するものである。 アルキレングリコールとテレフタル酸またはイ
ソフタル酸よりなる高分子量ポリエステルまたは
共重合ポリエステルは、機械的性質、電気的性
質、成形性などが優れているため、エンジニアリ
ングプラスチツクとして広汎な用途に使用されて
いる。特に１，４−ブタンジオールとテレフタル
酸あるいはその誘導体から製造されるポリブチレ
ンテレフタレート樹脂は、上記ポリエステル樹脂
の中では結晶性も高く、成形性が良く、ガラス繊
維などの無機充填剤との親和性が良く、それら充
填剤の添加により機械的性質、熱変形温度等が改
良され、また容易に難燃化され、その際の物性低
下がほとんど無いことなどから射出成形用の樹脂
として広汎に使用されている。 しかしながら、これらの樹脂が大量にかつ長時
間使用されるようになつて、これらの樹脂の成形
時にテレフタル酸等の芳香族二塩基性酸を主成分
とするガスが発生し、金型に付着するため、成形
表面の平滑性を失わせたり、金型の腐蝕を起すと
いう様なトラブルが発生するようになつた。した
がつて屡々金型を清掃したりすることが要求さ
れ、生産性あるいは経済性の面で大きな問題とな
つている。 したがつて、この問題の解決は生産性の向上、
経済性の改良、ひいては省資源にもつながり、非
常に重要である。 本発明者らはこれらの点に鑑み鋭意検討した結
果、本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明者等はポリエステル樹脂に少
量のヒダントイン又はヒダントインの５位の炭素
にアルキル基あるいはアリール基の置換基をもつ
ヒダントイン化合物を添加することにより、成形
時発生する芳香族二塩基性酸、例えばテレフタル
酸の量を極めて効率良く抑制できることを見出し
た。 ヒダントイン化合物としてはヒダントイン基を
有する化合物であれば良く、一分子中に一個また
はそれ以上有していても良く、高分子状のもので
あつても良い。また置換基を有するヒダントイン
化合物としてはヒダントインの５位の炭素にアル
キル基あるいはアリール基の置換基を有するもの
があげられる。例をあげればヒダントイン或はα
−アミノ酸から誘導されるヒダントイン化合物で
あり、特にフエニルグリシンあるいはｐ−ヒドロ
キシフエニルグリシンから誘導される、５−フエ
ニルヒダントイン及び５−Ｐ−ヒドロキシフエニ
ルヒダントインは有用である。 これらヒダントイン化合物の使用量としてはテ
レフタル酸の発生を抑制するに充分な量以上加え
れば良い。但し、化合物によつては余り多量に加
えるとそれ自体、成形時の発生ガス中に含まれる
ことがあるため、低分子量のヒダントイン化合物
を使用する際には注意を要する。 添加量としては樹脂100部（部は重量部、以下
同じ）に対して0.01〜10部の範囲で充分活性が認
められ、一般には0.01〜５部の範囲で用いられ、
好ましくは0.01〜２部で選択的に使用される。 ベースのポリエステル樹脂としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリ
アルキレンテレフタレート、またはそれらのブレ
ンド物あげられる。 更にこれらのポリエステル樹脂については、そ
の20％まで他のグリコールまたはジカルボン酸で
変性したものも使用できる。 ポリエステルの変性に用いられるグリコール成
分としては、ネオペンチルグリコール、１，４−
ジメチロールシクロヘキサン、２−メチルペンタ
ンジオール、２−メチル−プロパン（１，３）ジ
オール、ヘキサメチレングリコール、ビスフエノ
ールＡなどの脂肪族あるいは脂環式あるいは芳香
族のグリコールがあげられる。また変性に用いら
れるジカルボン酸としてはイソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸；ア
ジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸などの脂
肪族ジカルボン酸などがある。 本発明のポリエステル樹脂としてはその固有粘
度がｏ−クロロフエノール中23℃、８％濃度で少
なくとも0.5以上有するものが適当である。 また本発明のポリエステル樹脂組成物には、所
望によりガラス繊維、ウイスカー、炭素繊維、ガ
ラスビーズ、ガラスフレークなどの強化剤；炭酸
カルシウム、タルク、マイカ、クレイなどの無機
充填剤；難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、滑剤、
帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、発泡剤などを添加することも可能である。 以下本発明の実施例及び比較例を示すが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例 １ ポリブチレンテレフタレート70部及びガラス繊
維30部からなる組成物100部に対して５−Ｐ−ヒ
ドロキシフエニルヒダントイン0.1部を添加し、
40mmのシングルスクリユー押出機により混練押出
した。押出されたものをペレツトにして熱風乾燥
機で乾燥した後、成形時のテレフタル酸の発生量
を測定した。テレフタル酸発生量は４Kgのペレツ
トを30分間で実際に成形機を用い成形機のシリン
ダー温度を260℃に設定した成形条件下にフロー
フローし、その発生ガスを捕集し、ジメチルスル
ホキシドで吸収し、液中に含まれているテレフタ
ル酸を紫外線吸収スペクトルにより定量した。そ
の結果ジメチルスルホキシド中に吸収されたテレ
フタル酸の量は0.05mg／Kgペレツトであつた。 比較例 １ ５−Ｐ−ヒドロキシフエニルヒダントインを含
まない以外は実施例１のものと同じ組成のペレツ
トをつくり、これについて同様にテレフタル酸の
発生量を定量したところ0.69mg／Kgペレツトであ
つた。 実施例 ２及び３ 実施例１に於て５−Ｐ−ヒドロキシフエニルヒ
ダントインの添加量を夫々0.05部及び0.15部にし
た以外は同様にしてペレツトをつくり、同様にテ
レフタル酸の発生量を定量したところ次の通りで
あつた。 添加量(部)テレフタル酸の量（mg／Kgペレツト） 0.05 0.10 0.15 0.16 実施例 ４、５、６ 実施例１に於いて５−Ｐ−ヒドロキシフエニル
ヒダントインの代わりに５−フエニルヒダントイ
ン、５，５−ジメチルヒダントイン及びヒダント
インを用いた他は、同様にしてペレツトをつくり
テレフタル酸の発生量を定量した。結果は次の通
りであつた。 【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 芳香族二塩基性酸を主たる酸成分とする熱可
   塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、ヒダン
   トイン又はヒダントインの５位の炭素にアルキル
   基あるいはアリール基の置換基をもつヒダントイ
   ン化合物0.01〜10重量部を添加混合してなる熱可
   塑性ポリエステル組成物。 ２ 芳香族二塩基性酸がテレフタル酸である特許
   請求の範囲第１項記載の組成物。 ３ 熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリエチレン
   テレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレー
   ト、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂又は
   それらのブレンド物である特許請求の範囲第２項
   記載の組成物。 ４ ヒダントイン化合物が５−パラヒドロキシフ
   エニルヒダントインである特許請求の範囲第１項
   乃至第３項のいずれか１項に記載の組成物。