JPS6349154Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、引起し刈取部を、対車体上下揺動操
作可能で、かつ、前記引起し刈取部に対する伝動
機構を内装しているフレームの遊端部に取付けた
刈取収穫機に関する。

上記刈取収穫機は、引起し刈取部を車体に対し
て上下揺動可能にしたことにより、畦越え等をす
る際には刈取部を大きく上昇させて引起し刈取部
の畦等への接当を避け得るようにしてあるととも
に、湿田での作業時に車体が泥中に沈み込むよう
なことがあつても、引起し刈取部を田面上の適正
刈取高さに維持できるようにしたものである。し
かしながら、この湿田での作業時には、前記刈取
部の対田面姿勢が、適正姿勢よりも後倒れ姿勢と
なつて、引起し性能の低下や茎稈株元切断性能の
低下を招く不都合があつた。さらに詳述すると、
一般に、車体が泥中に沈み込むことのない乾田で
の作業時において、引起し刈取部を適正刈取高さ
に下降させた際に、引起刈取部の対田面姿勢が適
正姿勢となるように構成される結果、引起し刈取
部は上昇されるほど後倒れになる傾向にあり、し
かも、湿田での作業時においては、例えば車体に
クローラ走行装置を装備した場合、クローラ走行
装置の前端部が泥土を押下げながら回動する点や
進行に伴い泥土がクローラ走行装置前端部を上方
へ押圧する点等に起因して、車体が後倒れになる
傾向にあり、もつて、全体として、引起し刈取部
の対田面姿勢が、適正姿勢よりも大きく後倒れに
なる不都合があつた。

尚、上記不都合は、車体の前後部夫々に車輪を
備えた場合にも生じるものである。

上記不都合を解消すべく、従来では、引起し刈
取部を、、対車体上下動操作可能なフレームに前
後揺動自在に枢支するとともに、引起し刈取部と
フレームとの間に、引起し刈取部を揺動操作する
油圧シリンダ等の駆動機構を架設する手段が提案
されているが、この手段の場合、高価な駆動機構
を要する不都合や、適時駆動機構を作動させて引
起し刈取部を揺動操作しなければならない煩しさ
があり、実用し難いものであつた。

そこで、従来は、特別な操作を要しない構造
で、湿田作業時においても、引起し刈取部の対田
面姿勢を適正姿勢に維持させられるようにする手
段を図つたものとして、 実公昭53−48760号公報 実開昭56−64245号公報 に開示された刈取収穫機が知られていた。

上記に記載された従来のものは、引起し刈取
部を上下一対の平行リンクを介して車体に連結
し、前記引起し刈取部を平行に昇降させることに
よつて、結果として、引起し刈取部を上昇させる
に従つて、前方側に揺動させるべく構成してあ
り、そして、その上部リンクを腰折れ可能に構成
するとともに、車体に、前記腰折れリンクに接当
するストツパーを設けて、前記引起し刈取部を、
設定高さよりも上方範囲において上昇させるに従
つて後方側に揺動させるべく構成してある。

ところが、このように、ストツパーに対するリ
ンクの接当によつて設定高さ以上での引起し刈取
部の姿勢変更を行わせるものでは、接当時に大な
る衝撃力が作用することから、その衝撃力に耐れ
るだけの大きなストツパーを設けなければなら
ず、また、長期使用に伴つていずれか一方の部材
が摩耗損傷して部品の交換が余儀なくされるとい
う不都合があり、さらに、引起し刈取部に対する
伝動構造は、自在継手や伸縮自在な伝動軸を用い
た複雑な伝動機構を介して別途に行わなければな
らないという不都合もあつた。

一方、上記に記載された従来の刈取収穫機
は、引起し刈取部を、車体に対して上下揺動自在
に枢支したフレームの遊端部に上下揺動自在に枢
支し、フレームと引起し刈取部との枢支部の近傍
部位と、フレームを上下揺動するための油圧シリ
ンダの近傍部位との間にリンクを枢設することに
より、油圧シリンダを伸長させて引起し刈取部を
上昇させるに伴つて引起し刈取部をフレームに対
し前傾させるようにして、引起し刈取部の対田面
姿勢をほぼ一定にするものである。

しかしながら、上記に記載の従来の刈取収穫
機は、フレームと引起し刈取部との枢支部の近傍
部位と、油圧シリンダの近傍部位との間の距離を
前記リンクで一定に保つとともに、引起し刈取部
をフレームに対し上下揺動自在に枢支して、引起
し刈取部の対田面姿勢をほぼ一定にするものであ
るから、油圧シリンダを最大限伸長させた状態に
至るまで前記対田面姿勢はほぼ一定のまま保持さ
れることになり、その構造のままでは畦越え等を
する際に引起し刈取部を大きく上昇させることが
難しいという欠点があつた。

本考案は、上記実状を鑑みてなされたものであ
つて、簡単な構造でありながら、フレームの上昇
に伴う引起し刈取部の対地姿勢を、そのフレーム
の対車体所定高さ以下ではほぼ一定にするととも
に、その所定高さ以上では衝撃を伴うことなく大
きく上昇するように変更することのできる刈取収
穫機の提供を目的とする。

本考案にかかる刈取収穫機は、上記目的を達成
するために、引起し刈取部を、この引起し刈取部
に対する伝動機構を内装した対車体上下揺動操作
可能なフレームの遊端部に取付けた刈取収穫機で
あつて、前記引起し刈取部を、前記フレームに横
軸芯周りで前後および上下揺動自在に枢支すると
ともに、その引起し刈取部の上部側を１本のリン
クを介して車体に枢支連結し、かつ、前記車体に
対するリンクの枢支連結点の位置およびリンクの
長さを、前記フレームを対車体設定高さよりも下
方範囲内において上昇させるほど前記引起し刈取
部を前記フレームに対し前方がわおよび下方がわ
に揺動させるよう、且つ、前記フレームを前記対
車体設定高さよりも上方範囲内において上昇させ
るほど前記引起し刈取部を前記フレームに対し後
方がわおよび上方がわに揺動させるように設定し
てあることを特徴構成とするものである。

すなわち、リンクを、引起し刈取部とフレーム
との枢支部の近傍部位に設けるのではなく、引起
し刈取部の上部側に設けることによつて、フレー
ムの対車設定高さ以下での上下揺動においては、
フレームの上昇に伴つてリンクが引起し刈取部の
上部を前方へ押し出す姿勢に変更できて、引起し
刈取部をフレームに対し横軸芯周りで前方および
下方へ回転させるので、引起し刈取部の対地姿勢
をほぼ一定にでき、また、フレームの対車体設定
高さ以上での上下揺動においては、フレームの上
昇に伴つてリンクが引起し刈取部の上部を後方へ
引く姿勢に変更できて、引起し刈取部をフレーム
に対し横軸芯周りで後方および上方へ回転させる
ので、フレームの上昇と相俟つて、引起し刈取部
は大きく上昇する姿勢に変更される。

もつて、本考案にかかる刈取収穫機は、引起し
刈取部をフレームに枢支するとともに１本のリン
クを設けた簡単な構造によつて、湿田での刈取作
業時における引起し刈取部の姿勢をフレームの昇
降にかかわらず適正に維持できるようにして、畦
越え等をする場合には、フレームを対車体設定高
さ以上に上昇させることにより引起し刈取部を上
昇姿勢に変更できるとともに、引起し刈取部を下
から上まで衝撃力を伴うことなく一連の連続する
状態のもとでスムーズに姿勢変更が行われるもの
となり、従来のように、別途ストツパーを設ける
ことなく、また、長期にわたつて良好に使用する
ことができる等の効果を奏するに至つた。

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、クローラ走行装置１、脱
穀装置２、運転席３、及び、諸装置駆動用エンジ
ン４等を備えた車体を設け、茎稈係止爪５ａを横
向き突出姿勢で後方上方へ移動させる茎稈引起し
装置５、引起し茎稈の株元の切断するバリカン型
刈刃６、及び、刈取茎稈を後方に掻込み合流させ
る補助搬送装置７等を備えた引起し刈取部８を設
け、更に、刈取茎稈を株元挾持、穂先係止状態で
後方上方へ搬送し、且つ、搬送終端部で横倒れ姿
勢に変更して脱穀フイードチエーン９に供給する
後方搬送装置１０を設け、もつて、機体進行に伴
い、圃場に植えられた茎稈を引起し刈取処理し、
刈取茎稈を順次扱処理する作業を自動的に連続し
て行なうコンバインを構成してある。

前記引起し刈取部８を支持する伝動ケース兼用
の筒状フレーム１１の後端部を、前記車体に設け
た取付台１２に横軸心Ｘ周りに上下揺動自在に枢
支し、引起し刈取部８を、フレーム１１の遊端部
に取付け、フレーム１１と車体との間に、フレー
ム１１を揺動操作する油圧シリンダ１３を設ける
一方、前記後方搬送装置１０の終端部を、前記横
軸心Ｘと同軸心周りで上下揺動自在に枢支し、フ
レーム１１と後方搬送装置１０との間に、後方搬
送装置１０を揺動操作する油圧シリンダ１４を設
け、もつて、引起し刈取部８及び後方搬送装置１
０を、刈高調節のためや、路上走行時及び枕地走
行時において地面との接当を回避させるため等の
目的で、一体的に対車体上下揺動操作できるよう
に構成し、しかも、扱深さ調節のために、後方搬
送装置１０を上下揺動操作できるように構成して
ある。

第１図及び第２図に示すように、前記引起し刈
取部８の下方後端部を、前記フレーム１１に、横
軸心Ｙ周りで前後揺動自在に枢支するとともに、
前記フレーム１１を対車体設定高さよりも下方範
囲内において上昇させるほど前記引起し刈取部８
を前方がわに揺動させるよう、且つ、前記フレー
ム１１を前記対車体設定高さよりも上方範囲内に
おいて上昇させるほど前記引起し刈取部８を後方
揺動させるよう、前記引起し刈取部８の対フレー
ム前後揺動姿勢を規制するリンク１５と、前記引
起し刈取部８と車体における運転席支持枠１６と
の間に設け、もつて、第３図に示すように、湿田
作業時において引起し刈取部８を上昇させても、
引起し刈取部８の対田面姿勢を適正姿勢に維持で
きるように構成し、しかも、第４図に示すよう
に、引起し刈取部８を非刈取作業用高さに大きく
上昇させると、引起し刈取部８を後倒れ姿勢にさ
せて、その先端部が畦等に接当し難い状態をもた
らすことができるように構成してある。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンバイン前部の側面図、第２図は引
起し刈取部の姿勢変更状態を示す概略線図、第３
図は湿田での走行状態を示す側面図、第４図は引
起し刈取部の上昇状態を示す側面図である。 ８……引起し刈取部、１１……フレーム、１５
……リンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 引起し刈取部８を、この引起し刈取部８に対す
   る伝動機構を内装した対車体上下揺動操作可能な
   フレーム１１の遊端部に取付けた刈取収穫機であ
   つて、前記引起し刈取部８を、前記フレーム１１
   に横軸芯周りで前後および上下揺動自在に枢支す
   るとともに、その引起し刈取部８の上部側を１本
   のリンク１５を介して車体に枢支連結し、かつ、
   前記車体に対するリンク１５の枢支連結点の位置
   およびリンク１５の長さを、前記フレーム１１を
   対車体設定高さよりも下方範囲内において上昇さ
   せるほど前記引起し刈取部８を前記フレーム１１
   に対し前方がわおよび下方がわに揺動させるよ
   う、且つ、前記フレーム１１を前記対車体設定高
   さよりも上方範囲内において上昇させるほど前記
   引起し刈取部８を前記フレーム１１に対し後方が
   わおよび上方がわに揺動させるように設定してあ
   ることを特徴とする刈取収穫機。