JPS6346172Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は工作機械、特に旋盤のような加工ト
ルクの大きいものに用いるチヤツクに関するもの
である。

従来のこの種のチヤツクは旋盤などの主軸に固
定したチヤツク本体の前面に３個または４個の爪
を進退自在に取付け、手動操作または油圧操作な
どの駆動手段により各爪を同時または別個に進退
させて被加工物を把握するようにしたものであ
る。

このようなチヤツクにおいて、各爪は被加工物
の外周に圧着して把握するものであるが、被加工
物の一部が加工ずみとなつている場合、この加工
ずみの面を基準にして把握する必要がある。

この加工ずみの面が例えばフランジの面で、こ
の面をチヤツク本体の回転軸芯と直交するように
把握する場合、従来ではチヤツク本体の前面に、
被加工物のフランジを受ける複数の位置決め片を
固定し、この位置決め片にフランジを圧着させな
がら各爪により被加工物の外周を把握する方法が
とられている。

しかし、爪の締付けのさいに位置決め片とフラ
ンジの間に隙間を生じて、被加工物が正しく把持
できない場合があり、このような場合は被加工物
を木ハンマなどで叩いてフランジを位置決め片に
密着させる必要がある。従つてきわめて手数がか
かり、かつ加工ずみの面に疵をつけるおそれもあ
る。

このため、チヤツク本体の前面に配置した複数
の爪の内端に前後方向及び内外方向に若干の範囲
で移動し得る被加工物把握部材をそれぞれ設け、
この各把握部材の外側面を摺動自在に支持する支
持面を各爪の前部に設け、これらの各把握部材の
外側面と、その支持面は、前端が内側寄りとなる
ように傾斜させたものが公知である。

しかし、上記の公知のものは爪に対して把握部
材を移動させるために、爪の把握部材支持面に設
けた半径方向のボルトを把握部材の半径方向の孔
に遊びを有する状態にはめたもので、把握部材は
板バネにより前方に押されている。

上記の従来例の場合、爪の支持面に固定したボ
ルトが把握部材に遊嵌しているだけのものである
ため、爪の傾斜した支持面の指定された個所に把
握部材が位置できず、従つて各把握部材がチヤツ
クの回転中心から一定の距離に存在することがで
きない。このため、センタ支持をするコンペセー
テイングチヤツク以外の大多数のチヤツクに要求
される求心作用に対しては同心精度が得られない
という欠点がある。

この考案は上記したような従来のチヤツクの欠
点を解決して、加工トルクが大きく、しかも同心
精度の高いチヤツクを提供することを目的とする
ものである。

上記の目的を達成するために、この考案はチヤ
ツク本体の前面に設けた複数の爪の前面に直角に
取付けた各１本のボルトの外側に若干の遊隙を存
してカラーをはめるとともに、このカラーを把握
部材の孔に若干の遊隙を存して貫通せしめ、ボル
トの頭部とカラーの外端の間には座金をはめ、こ
の座金と把握部材外面との間のカラーの外側には
ウレタンゴムなどの軟質弾性の座板をはめてボル
トとカラーと把握部材間の間隙の前部を封鎖し、
同上間隙の後部は把握部材の後部と爪の前部間に
おけるカラー外側にはめたウレタンゴムなどの軟
質弾性の座板にて閉鎖したものである。

以下にこの考案のチヤツクの詳細を添付図面に
示す一実施例に基づいて説明する。

図において、１はチヤツク本体で図示省略して
ある旋盤の主軸に固定したものである。２は本体
１に放射状に設けた複数（図示例では３本）のガ
イド溝に進退自在に嵌合した複数の進退部材で、
この各部材２の前面にそれぞれ爪３がボルト止め
などの手段で固定されている。

４は各爪３の前部内寄りに配置した被加工物把
握部材であり、この部材４は爪３にねじ込んだボ
ルト５により若干の範囲で前後方向と内外方向に
移動できるように取付けてある。

すなわち、ボルト５の外側に若干の遊隙を存し
てカラー６をはめ、このカラー６が部材４の孔を
若干の遊隙を存して貫通している。

ボルト５の頭部７は部材４の前面の凹所８には
まつており、凹所８内に突出したカラー６の外側
には座金９、ウレタンゴムのような軟質弾性の座
板１０が順次はまり、カラー６の外端と頭部７に
おいては座金１１がはまつている。

また、部材４の後面と爪３の間にはウレタンゴ
ムのような軟質弾性の座板１２がはまり、その中
央の孔にカラー６が嵌合している。

各爪３の前部前寄りは前方に突出させ、この突
出部の前記把握部材４に対する部分を支持面１５
とし、この支持面１５とこれに対する把握部材４
の外側面１６を、前端が内寄りとなるように傾斜
させる。

１８はボルト止めなどの手段で本体１の前面に
固定した複数の位置決め片で、各爪３の間に位置
し、この各片１８の前面１９から本体１の前面２
０までの距離は各片１８とも正確に一致するよう
に仕上げられている。

第１図の２１は円筒状の被加工物で、その前端
には加工ずみのフランジ２２が設けてある。

いま、第１図のように各爪３の把握部材４によ
つて被加工物２１を軽くつかむとともにフランジ
２２を各位置決め片１８の前面１９に当てがう。

ついで、図示省略してある駆動手段により各爪
３を内方へ向けて移動させると、各把握部材４が
被加工物２１の外側に圧着する。

この状態でさらに各爪３を被加工物２１の方向
に動かすと、支持面１５と外側面１６の間に滑り
が生じ、各把握部材４が座板１２を圧縮しつつ後
退する。

このため、把握部材４で把握されている被加工
物２１が本体１の方へ移動し、フランジ２２が各
位置決め片１８の前面１９に密着して正確に位置
決めされる。

この考案は上記のように各爪の前部内寄りに前
後方向および内外方向に若干の範囲で移動し得る
被加工物把握部材をそれぞれ設け、この各把握部
材の外側面を摺動自在に支持する支持面を各爪の
前部に設け、これらの各外側面と支持面は、前端
が内側寄りとなるように傾斜させて、各爪により
被切削物を把握する場合、各爪に設けた把握部材
が被切削物に圧着し、かつ、この各把握部材の傾
斜した外側面が各爪の傾斜した支持面に沿つて摺
動してチヤツク本体の方へ移動するので、フラン
ジが確実に位置決め片に密着し、正確な位置決め
ができるものにおいて、特に各爪の前面に直角に
取付けた各１本のボルトの外側に若干の遊隙を存
してカラーをはめるとともに、このカラーを把握
部材の孔に若干の遊隙を存して貫通せしめ、ボル
トの頭部とカラーの外端の間には座金をはめ、こ
の座金と把握部材外面との間のカラーの外側には
ウレタンゴムなどの軟質弾性の座板をはめてボル
トとカラーと把握部材間の間隙の前部を封鎖し、
同上間隙の後部は把握部材の後部と爪の前部間に
おけるカラー外側にはめたウレタンゴムなどの軟
質弾性の座板にて閉鎖したものであるから、爪と
把握部材とカラーの寸法管理が容易にできる。

このため把握部材は爪の傾斜状支持面の指定さ
れた位置に存在できる。

また把握時に爪の方向に後退する把握部材の移
動距離もウレタンゴムなどからなる座板の正確な
成型により正しく規定できるので被加工物をつか
む、つかまないにかかわらず常に各把握部材は回
転中止から同一距離にあり、簡単に同心精度を得
ることができる。

爪の形状は簡単であるから、標準付属の生爪に
簡単な加工を施すだけで使用できる。

一般に切削加工用のチヤツクは切り屑などのか
み込みによる作動不良を考慮しなければならない
が、この考案のチヤツクの場合、ウレタンゴムな
どからなる座板や座金が、カラーとその内部のボ
ルトおよび把握部材のカラー挿入孔の間の隙間や
把握部材の後面と爪の間を密閉しているので切り
屑などの侵入による作動不良のおそれはないなど
の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のチヤツクの一実施例を示す
一部縦断側面図、第２図は同上の正面図である。 １……チヤツク本体、３……爪、４……被加工
物把握部材、１５……支持面、１６……外側面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チヤツク本体の前面に複数の爪を放射状に配置
   し、この各爪を進退させる駆動手段を設けて、各
   爪の内端により被加工物を把握するように構成
   し、各爪の前部内寄りに前後方向および内外方向
   に若干の範囲で移動し得る被加工物把握部材をそ
   れぞれ設け、この各把握部材の外側面を摺動自在
   に支持する支持面を各爪の前部に設け、これらの
   各外側面と支持面は、前端が内側寄りとなるよう
   に傾斜させたチヤツクにおいて、各爪の前面に直
   角に取付けた各１本のボルトの外側に若干の遊隙
   を存してカラーをはめるとともに、このカラーを
   把握部材の孔に若干の遊隙を存して貫通せしめ、
   ボルトの頭部とカラーの外端の間には座金をは
   め、この座金と把握部材外面との間のカラーの外
   側にはウレタンゴムなどの軟質弾性の座板をはめ
   てボルトとカラーと把握部材間の間隙の前部を封
   鎖し、同上間隙の後部は把握部材の後部と爪の前
   部間におけるカラー外側にはめたウレタンゴムな
   どの軟質弾性の座板にて閉鎖した工作機械用チヤ
   ツク。