JPH0214890Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的） （産業上の利用分野） 本考案はリーマを自動的にチヤツク、アンチヤ
ツクすることのできるリーマチヤツク装置に係
り、とりわけリーマ加工とフエーシング加工を同
時に行い得るようにした加工装置内に設けられた
リーマチヤツク装置に関する。

（従来の技術） シリンダヘツドのバルブシートおよびバルブガ
イドなどを加工するために、スピンドルの前端部
に、リーマ加工用のリーマと、フエーシング加工
用のフエーシング工具とを同一回転軸を有して装
着し、それぞれリーマ送りおよびフエーシング工
具送りを与えつつリーマ加工とフエーシング加工
を同時に行い得るようにした加工装置が知られて
いる。

このような加工装置において、リーマを交換す
るためには、従来スパナなどの工具を用いてリー
マを把持しているコレツトをゆるめ、リーマを抜
き出した後、新しいリーマを挿入し再び工具を用
いて締付け固定するという作業が行われている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の工具を用いた
リーマ交換作業は、作業時間がかかるとともに、
作業者の締付けすぎなどによりリーマ把持機構を
破損させることがあつた。

本考案はこのような点を考慮してなされたもの
であり、リーマ交換作業時間を短縮するとともに
常に均一なリーマ締付力を得るとのできるリーマ
チヤツク装置を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案によるリーマチヤツク装置は、スピンド
ル内に進退移動可能に保持されるとともに半径内
方向に突出する内方突出部を備えたほぼ中空円筒
状のフエーシング工具送り軸と、フエーシング工
具送り軸内に進退移動可能に挿入され、前方部が
中空円筒状に形成されているリーマ送り軸と、リ
ーマ送り軸の中空円筒部内に摺動可能に挿入さ
れ、フエーシング工具送り軸の内方突出部より後
方位置に、内方突出部と係合可能な位置まで半径
外方向に突出する外方突出部が設けられているス
ライド軸と、外方突出部より後方のリーマ送り軸
とスライド軸との間に装着され、スライド軸を前
方に向けて付勢するばね部材と、リーマ送り軸の
中空円筒部内で前記スライド軸より前方位置に配
設され、後端部にテーパ面の形成されたコレツト
と、リーマ送り軸の中空円筒部内に、前端部をコ
レツトのテーパ面に当接可能に後端部をスライド
軸に当接可能に配設され、ばね部材の付勢力を可
撓性把持部材に伝達してリーマ把持作用を生じさ
せる締付用スリーブとから構成されている。

（作用） 本考案のリーマチヤツク装置は、フエーシング
工具送り軸とリーマ送り軸との相対移動を利用し
て、リーマ把持部材にクランプ、アンクランプ動
作を生じさせるようにしたものである。まずフエ
ーシング工具送り軸が後退移動させられると、フ
エーシング送り軸に設けられた内方突出部がスラ
イド軸に設けられている外方突出部に当接係合
し、スライド軸がリーマ送り軸内で後退移動させ
られる。これにより、リーマ送り軸とスライド軸
との間に装着されたばね部材が圧縮変形され、そ
の付勢力を解除される。ばね部材の付勢力が解除
されると、締付用スリーブによる可撓性把持部材
の締付作用が解除され、可撓性把持部材によるリ
ーマ把持作用が開放された状態となる。この状態
でリーマをスピンドルの前方側から簡単に引抜く
ことができる。また、新しいリーマをチヤツクす
る場合には、可撓性把持部材を前記した状態（ア
ンクランプ状態）に保持した後、スピンドルの前
方側からリーマを挿入し、続いてフエーシング工
具送り軸を前進移動させて内方突出部と外方突出
部との当接係合を解除すると、ばね部材の付勢力
により可撓性把持部材が縮径変位させられリーマ
のチヤツク動作が行われる。

（実施例） 以下図面を参照して本考案の一実施例について
説明する。

図において符号１１はスピンドルヘツドの本体
ケーシングであり、この本体ケーシング１１に対
し、スピンドル１２が軸受１３により回転可能に
支持されている。スピンドル１２の後方部にはプ
ーリー（あるいは歯車）１４が嵌着され、このプ
ーリー１４を介して外部回転駆動源（図示せず）
からの回転力がスピンドル１２に伝達されるよう
になつている。スピンドル１２の前方端部（加工
側端部）にはほぼ円錐形をしたフエーシング工具
ホルダ１５が固着され、このフエーシング工具ホ
ルダ１５の前方側斜面には複数（例えば２本）の
テーパ溝１５ａが回転中心から放射状に形成され
ている。このテーパ溝１５ａにはスライダ１６が
摺動可能に装着され、このスライダ１６の前端部
にフエーシング加工を行うためのフエーシング工
具１７が固着されている。

スピンドル１２内には、ほぼ中空円筒状をした
フエーシング工具送り軸２１が進退移動可能に挿
入保持され、さらにスピンドル１２の内壁面に長
手方向に形成されたキー溝１２ａに、フエーシン
グ工具送り軸２１の外周部に固設されたスライド
キー２２を係合させることにより、フエーシング
工具送り軸２１とスピンドル１２とが一体回転し
得るようにされている。

フエーシング工具送り軸２１の前端部はコネク
タ１８を介してスライダ１６と連結され、フエー
シング工具送り軸２１の進退移動により、スライ
ダ１６がフエーシング工具ホルダ１５のＴ溝１５
ａに沿つて往復移動し得るようになされている。
フエーシング工具送り軸２１の後端部には、フエ
ーシング工具送り軸２１を進退移動させる送り機
構（図示せず）が連結されている。さらに、フエ
ーシング工具送り軸２１には、半径内方向に突出
する内方突出部２３が設けられている。この内方
突出部２３は対称位置に複数個（例えば２個）設
けられており、図示するようにフエーシング工具
送り軸２１とは別部材であつてもよいし、または
フエーシング工具送り軸２１と一体形成されてい
てもよい。

フエーシング工具送り軸２１内にはリーマ送り
軸２４が進退移動可能に挿入されている。このリ
ーマ送り軸２４は、前方側の中空円筒状をした中
空円筒部２４ａと、この中空円筒部２４ａを後方
側に設けられた送り機構（図示せず）に連結する
ロツド部２４ｂとから構成されている。このリー
マ送り軸２４の送り機構は、前述したフエーシン
グ工具送り軸２１の送り機構とは別個独立した送
り動作を与えられ得るよう構成されている。

リーマ送り軸２４の中空円筒部２４ａ内には、
スライド軸２５が摺動可能に挿入されている。ス
ライド軸２５には、リーマ送り軸２４の中空円筒
部２４ａに設けられた貫通穴２４ｃを挿通して半
径外方向に突出する外方突出部２６が設けられて
いる。この外方突出部２６はスライド軸２５に一
体形成されてもよいし、図示するように別部材で
形成してもよい。外方突出部２６は、フエーシン
グ工具送り軸２１とともに後退移動する内方突出
部２３が当接し得るように、内方突出部２３より
後方位置でかつ内方突出部２３の内径より大きい
外径を有するよう配設されている。本実施例にお
いては、外方突出部２６は、内方突出部２３に対
応する位置に複数個（例えば２個）設けられてお
り、その中空円筒部２４ａより突出した部分は、
フエーシング工具送り軸２１の内壁面に長手方向
に形成されたガイド溝２１内に摺動可能に挿入さ
れている。また、外方突出部２６の軸線方向長さ
は、貫通穴２４ｃとの間に所定長さ以上の軸線方
向隙間ｔを生じ得るように定められている。

外方突出部２６が固設されている位置より後方
側のスライド軸２５には、拡径部２５ａが形成さ
れ、この拡径部２５ａとロツド部２４ｂの先端部
との間であつて、リーマ送り軸２４とスライド軸
２５との半径方向隙間空間内には複数枚の皿ばね
２７が装着されている。

リーマ送り軸２４の中空円筒部２４ａの前端部
は、リーマ１９の挿通し得る貫通穴を有する端栓
２８により閉鎖され、この端栓２８の後方側の中
空円筒部２４ａ内に、それぞれリーマ１９の挿通
し得る貫通穴をする補助スリーブ２９、コレツト
３１およびコレツト締付用のスリーブ３２が順次
後方に向つて配設されている。このコレツト３１
は長手方向に多数本のスリツトを有する可撓性材
料により形成され、締付用スリーブ３２と補助ス
リーブ２９とで押圧されることにより縮径変位
し、リーマ１９を把持し得るとともに、この押圧
力を解除すると拡径変位し、リーマ１９の把持作
用を解除し得るようになつている。締付用スリー
ブ３２とスライド軸２５に固設された外方突出部
２６との間には、皿ばね２７の付勢力を締付用ス
リーブ３２に伝達するスリーブ３３が介装されて
いる。

次にこのような構成からなる本実施例の作用に
ついて説明する。

図面は、ワークｗに対しフエーシング工具１７
およびリーマ１９を用いてフエーシング加工およ
びリーマ加工を行つている状態を示している。リ
ーマ１９を交換する場合には、図示略省した送り
機構により、フエーシング工具送り軸２１を後退
させると内方突出部２３が外方突出部２６に当接
し、スライド軸２５を皿ばね２７の付勢力に抗し
て後退移動させる。この場合、外方突出部２６と
貫通穴２４ｃとの間には隙間ｔが設けられている
ので、外方突出部２６がリーマ送り軸２４に当接
することはない。これにより、スリーブ３３を介
して締付用スリーブ３２に伝達されていた皿ばね
２７の付勢力が解除され、コレツト３１がその弾
性力により拡径変位する。このコレツト３１の拡
径変位によりリーマ１９がアンクランプ状態とな
り、スピンドル１２の前方側から、たとえば作業
者が手でリーマ１９を引張ることにより簡単容易
にリーマ１９を引抜くことができる。

次に新しいリーマを装着する場合には、上述し
たコレツト３１のアンクランプ状態を保持したま
まリーマをスピンドル１２の前方側から端栓２８
の貫通穴を挿通して挿入し、続いてフエーシング
工具送り軸２１のみを再前端位置まで前進させ
る。これにより内方突出部２３による外方突出部
２６の後退移動作用が解除され、スライド軸２５
は皿ばね２７の付勢力により前進移動させられ
る。スライド軸２５の前進移動により、締付用ス
リーブ３２がスリーブ３３を介して押圧され、皿
ばね２７の付勢力がコレツト３１に作用し、コレ
ツト３１が縮径変位してリーマをクランプする。

このように本実施例によれば、フエーシング工
具送り軸２１をリーマ送り軸２４に対し相対移動
させるだけでリーマ１９のチヤツクおよびアンチ
ヤツク作業を行うことができ、リーマ１９の交換
作業時間を大幅に短縮することができる。また、
交換用工具を必要としないので作業者の締付けす
ぎなどによるリーマ把持機構の破損を防止するこ
とができるとともに、常に均一なリーマ締付力を
得ることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、リーマ加
工とフエーシング加工とを同時に行い得る加工装
置において、リーマを短時間にかつ容易に交換す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案によるリーマチヤツク装置の一実
施例を示す側断面図である。 １２……スピンドル、１７……フエーシング工
具、１９……リーマ、２１……フエーシング工具
送り軸、２３……内方突出部、２４……リーマ送
り軸、２４ａ……中空円筒部、２５……スライド
軸、２６……外方突出部、２７……皿ばね、３１
……コレツト、３２……締付用スリーブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スピンドル内に進退移動可能に保持されるとと
   もに半径内方向に突出する内方突出部を備えたほ
   ぼ中空円筒状のフエーシング工具送り軸と、 フエーシング工具送り軸内に進退移動可能に挿
   入され、前方部が中空円筒状に形成されているリ
   ーマ送り軸と、 リーマ送り軸の中空円筒部内に摺動可能に挿入
   され、前記フエーシング工具送り軸の内方突出部
   より後方位置に、前記内方突出部と係合可能な位
   置まで半径外方向に突出する外方突出部が設けら
   れているスライド軸と、 前記外方突出部より後方のリーマ送り軸とスラ
   イド軸との間に装着され、前記スライド軸を前方
   に向けて付勢するばね部材と、 リーマ送り軸の中空円筒部内で前記スライド軸
   より前方位置に配設され、後端部にテーパ面の形
   成されたコレツトと、 リーマ送り軸の中空円筒部内に、前端部を前記
   コレツトのテーパ面に当接可能に、後端部を前記
   スライド軸に当接可能に配設され、前記ばね部材
   の付勢力を可撓性把持部材に伝達してリーマ把持
   作用を生じさせる締付用スリーブと、 からなるリーマチヤツク装置。