JPS6332956Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は送風機に関し、特に渦巻室ケーシン
グを備えたプロペラフアンの吹出し流れ形態の改
善に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のプロペラフアンによる送風機では無駄に
捨てさられていた流体の速度エネルギ分に着目
し、吹出側付近のわずかな形状変更だけでこの速
度エネルギーの相当量を静圧に変換することによ
り特性を向上させたものが基本発明（特開昭58−
077200号公報）である。具体的には吹出側に円板
と円板リング等により遠心デイフユーザ風路を形
成したもので、騒音特性（一般に単位風量・風圧
あたりの騒音レベルである比騒音レベルKsで表
わされ、同一騒音の場合には静圧特性の向上と騒
音特性の向上は等価である。）にして５〜10dB
（Ａ）も低減させることができる。さらに上記に
述べた基本発明（特開昭58−077200号公報）をよ
り広い用途に利用できるようにするため、遠心デ
イフユーザ風路全周から吹き出す流体を一方向だ
けにまとめるための渦巻室ケーシングを備えた先
行技術を第１図に示す。第１図ａは縦断面図であ
り、第１図ｂは第１図ａの−線断面図であ
る。図において、１は昇圧、送風作用を行なうプ
ロペラフアン、２はプロペラフアン１を駆動する
モータ、３はプロペラフアン１の回転軸に直交す
る吹出口、４は、ダクトケーシング４ａと、ダク
トケーシング４ａの吹出側端面から設けた風路部
材４ｂによつて形成されるダクト、６はプロペラ
フアン１の回転軸に直交する断面の外形が渦巻形
であり、上記風路部材４ｂとにより遠心デイフユ
ーザ風路５の形成も兼ね、流れを吹出口３の一方
向にまとめるための渦巻室ケーシングである。図
中、矢印は流体の流れ方向を示す。従来は遠心フ
アンに渦巻室ケーシングを備えた送風機が用いら
れており、この先行技術は、遠心フアンに備えら
れている渦巻室ケーシングと同様のものを備えて
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

以上のように構成された送風機では、遠心デイ
フユーザ風路５から吹出される流体の流れ方向は
遠心フアンによる流体の流れと比べて相当半径方
向に向き、周方向成分が少ない流れとなつてお
り、第１図ａ，ｂに示す遠心フアンの場合と同様
な渦巻室ケーシング６を設けただけでは渦巻き形
の巻き始めを起点とした風量分布の周方向への偏
りが大きくなる。従つてプロペラフアン１におけ
る基本発明（特開昭58−077200号公報）によつて
改善した騒音特性を再び悪化させることになる。
また、騒音特性を悪化させないようにするため遠
心デイフユーザ風路５から吹出される流体の流れ
状態に合わせて渦巻室ケーシング６を設計する
と、遠心フアンの場合と比較して相当大きな渦巻
室ケーシング６にすることが必要になり、実用上
問題があつた。

この考案は、上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、渦巻室ケーシングをそれほ
ど大きくしなくても、騒音特性を改善することの
できる送風機を得ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案に係る送風機は、空気を導入するダク
ト、駆動モータにより回転駆動され、ダクトの中
心軸と同軸状に回転軸を配置されたプロペラフア
ン、上記回転軸に直交する方向にダクトと連通す
る吹出口を有し、上記回転軸に直交する断面の外
形が渦巻形である渦巻室ケーシング及びこの渦巻
室ケーシング内にプロペラフアンと所定間隔で対
向し、プロペラフアンの外径より大きな外径を有
し、渦巻室ケーシングとの間に風路を形成する円
板状風路部材を備えたものである。

〔作用〕

この考案における円板状風路部材は、渦巻室ケ
ーシングの側壁との間に自由風路を構成する。こ
の自由風路により流体の流れにおける渦巻き形の
巻き始め付近から巻き終わり付近へ向かう流れが
必然的に生じる。このため、流体の風量分布の周
方向への偏りが大幅に改善され、騒音特性の悪化
も解消される。

〔実施例〕

この考案の一実施例を第２図に示す。第２図ａ
は縦断面図であり、第２図ｂは第２図ａの−
線断面図である。図において、９はプロペラフア
ン１の外径より大きな外径をもつ円板状風路部材
で、例えば支持金具７によつて渦巻室ケーシング
６に固定され、渦巻室ケーシング６との間に自由
風路８を形成している。同時にプロペラフアン１
側には遠心デイフユーザ風路５を構成している。
図中、矢印は流体の流れ方向を示している。

自由風路８を設けることにより、先行技術にお
ける吐出風量割合が少なく静圧も高かつた部分
（渦巻き形の巻き始め付近）から、吐出風量割合
が多く静圧も低かつた部分（渦巻き形の巻き終わ
り付近）へ向かう流れが必然的に生じる。このた
め、風量分布の周方向への偏りが大幅に改善さ
れ、騒音特性の悪化もほとんど解消される。ま
た、渦巻室ケーシング６の外形寸法は軸方向には
多少大きくなるが、半径方向には遠心フアンの場
合よりも小さくなる。さらに渦巻室ケーシング６
での静圧回復効果も期待できるため、遠心デイフ
ユーザ風路５の外径も小さくできる。従つてプロ
ペラフアン１を用いて騒音低下のために単純に渦
巻室ケーシングを大きくした場合と比較すると、
無駄なスペースを大幅に削減することができる。
また、自由風路８が、流体のある一種類だけの流
れ状態に合わせて無理に構成した風路ではなく、
流体力学的に生じる周方向の風量・静圧分布に基
き、よりバランスさせる方向に自然に生じる流れ
を利用しているため、プロペラフアン１の全作動
域に対する効果が期待できる。

なお、上記実施例と同寸法の渦巻室ケーシング
６で円板状風路部材９を省略し、形態的には先行
技術と同様に構成した場合、基本発明（特開昭58
−077200号公報）の遠心デイフユーザ風路５の間
隔を大きくとり過ぎたことに相当する。このた
め、騒音特性の悪化量がさらに増大し、また渦巻
室ケーシング６の圧力回復性能の改善量もそれほ
ど大きくならない。

このような構成の送風機に対し、上記実施例で
は３〜5dB(A)程度騒音特性が向上する。

なお、上記実施例では、円板状風路部材９を渦
巻室ケーシング６に支持金具７によつて取付けた
場合を示したが、例えば風路部材４ｂなど、他の
部分に取付けても、上記と同様の効果を奏する。

〔考案の効果〕

この考案は以上述べたように、空気を導入する
ダクト、駆動モータにより回転駆動され、ダクト
の中心軸に対し同軸状に配置されたプロペラフア
ン、プロペラフアンの回転軸に直交する方向にダ
クトと連通する吹出口を有し、プロペラフアンの
回転軸に直交する断面の外形が渦巻形である渦巻
室ケーシング及びこの渦巻室ケーシング内にプロ
ペラフアンと同軸状でかつプロペラフアンから所
定間隔で対向し、プロペラフアンの外径より大き
な外径を有し、渦巻室ケーシングとの間に風路を
形成する円板状風路部材を備えることにより、プ
ロペラフアンによる流体の流れ状態に適した渦巻
室を構成し、全作動域に対して良好な騒音特性が
確保でき、さらにコンパクトな送風機が得られる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは先行技術による送風機を示す縦断面
図、第１図ｂは第１図ａの−線断面図、第２
図ａはこの考案の一実施例による送風機を示す縦
断面図、第２図ｂは第２図ａの−線断面図で
ある。 １……プロペラフアン、２……駆動モータ、３
……吹出口、４……ダクト、６……渦巻室ケーシ
ング、９……円板状風路部材。なお、図中、同一
符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 空気を導入するダクト、駆動モータにより回転
   駆動され、上記ダクトの中心軸に対し同軸状に回
   転軸を配置されたプロペラフアン、この回転軸に
   直交する方向に上記ダクトと連通する吹出口を有
   し、上記回転軸に直交する断面の外形が渦巻形で
   ある渦巻室ケーシング及びこの渦巻室ケーシング
   内に上記プロペラフアンと所定間隔で対向し、 上記プロペラフアンの外径より大きな外径を有
   し、上記渦巻室ケーシングとの間に風路を形成す
   る円板状風路部材を備えた送風機。