JPS6326444Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧シヨベルの油圧回路に係り、特に
ポンプ２台を架装し、ブームシリンダ、アームシ
リンダの作動速度を早めるために、これらには２
ポンプの吐出油を合流せしめて供給するようにし
た２ポンプ式油圧シヨベルの油圧回路に関する。

従来、２ポンプ式油圧シヨベルの油圧回路は
種々提案されており、その一例を第１図に述べ
る。第１図において、１，２はポンプ、そのポン
プ１に連結された切換弁ａはその内部に設けた切
換弁３，４，５，６がパラレル回路で連結されて
おり、前記ポンプ２に連結された制御弁ｂはその
内部に設けた切換弁７，８，９，１０がパラレル
回路で連結されている。前記切換弁４，１０はア
クチユエータ１１（アームシリンダ１１、以降ア
クチユエータを個々の名称で呼ぶ）に切換弁３は
旋回モータ１２に、切換弁５，７は走行モータ１
３，１４に、切換弁８はバケツトシリンダ１５
に、切換弁６，９はブームシリンダ１６に連結さ
れている。また、切換弁４，１０と６，９とはそ
れぞれ１本の操作レバーにより操作され、アーム
シリンダ１１およびブームシリンダ１６にポンプ
１，２の油が供給され増速するようになつてい
る。

かかる油圧回路を有する油圧シヨベルにおける
問題点としてアーム操作とブームまたはバケツト
の複合操作性が挙げられる。一般にアーム振下げ
（シリンダの伸る方向）時には負荷圧力が極めて
低いためアームの振下げ操作とブームまたはバケ
ツトの複合操作時ポンプ１，２の吐出油の大部分
は負荷の軽いアームシリンダ１１へ流れるので、
ブームまたはバケツトシリンダ１５は作動しない
かあるいは極めて速度が低下する欠点があり、例
えばアームとブームとで床面の水平ならしする作
業の場合、アーム作動が先行するため目的とする
作業ができない等の欠点がある。

前述した複合操作時の欠点を解決するため第２
図の油圧回路を有する方法が採られている。第２
図において、ポンプ１に接続された制御弁ａの切
換弁３〜６は第１図と同様にパラレル回路で連結
されており、ポンプ２に連結された制御弁ｂは切
換弁７〜９がパラレル回路に、切換弁１０のみを
タンデム回路で連結し、前記切換弁７〜９を切換
弁１０に対して優先回路にしたものである。アー
ムとブームの複合操作時、前述の如く負荷の軽い
アームシリンダ１１は切換弁４によりポンプ１の
吐出油の大部分が供給され、ブームシリンダ１６
は切換弁１０に優先して切換弁９によりポンプ２
の吐出油が供給される。また、アームとバケツト
の操作時、アームシリンダ１１は切換弁４により
ポンプ１の吐出油が供給され、バケツトシリンダ
１５は切換弁８によりポンプ２の吐出油が切換弁
１０に優先して供給される。これによつてアーム
シリンダ１１、バケツトシリンダ１５およびブー
ムシリンダ１６の複合操作上の問題はこの回路に
て解決している。

しかしながら、旋回を含む同種の複合操作にお
いては次に示すような問題をもつている。

旋回とアームの操作時、旋回しながらアームの
振下げの複合操作すると、前述した理由と同様に
ポンプ１の吐出油はその大部分がアームシリンダ
１１に流入するので旋回が作動しないかまたは速
度が極端に低下する。一方、アームシリンダ１１
にはポンプ２の吐出油の全量も入るので速度がア
ツプするため複合操作が極めてしにくい問題があ
る。また、旋回の切換弁３を切換え、バケツトを
側溝側面に押付けてアームにて掘削する作業があ
る。この場合アームの掘削に要する圧力は比較的
低く、当初押付けていた旋回の押付け圧力はアー
ムの掘削圧力まで低下するため充分な押付力を確
保できない。このためバケツトの歯先が逃げ垂直
な作業ができない等の問題がある。

本考案は前述した問題に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、アームシリンダを含む
他のアクチユエータとの複合操作および旋回を含
む他のアクチユエータとの複合操作において、ポ
ンプ１および２の吐出油を各アクチユエータの負
荷の大小による影響を受けることなく効率よく分
配し、複合操作性を改善し、操作性をより確実で
楽なものとした２ポンプ式油圧シヨベルの油圧回
路を提供するにある。

以下本考案の一実施例を示す第３図について説
明する。なお、第１図および第２図に示した部材
と第３図の部材とが同一の場合には同一名称、符
号を用いて説明を省略する。第３図において、前
記ポンプ１に接続された制御弁ａは切換弁４のみ
が切換弁３に対してタンデム回路となつており、
切換弁３，５，６と切換弁４，５，６がパラレル
回路となつている。前記ポンプ２に接続された制
御弁ｂは切換弁１０を一方の切換位置１０ａによ
り切換弁１０とその上流に位置する切換弁７，
８，９とがパラレル回路をなし、切換弁１０を他
方の切換位置１０ｂにより切換弁１０と切換弁
７，８，９とがタンデム回路にすると共にその切
換弁１０内に設けた絞り１７を介してパラレル回
路になつている。前記切換弁７は走行モータ１４
に、切換弁８はバケツトシリンダ１５に接続され
ポンプ２の吐出油を制御する。切換弁６および１
０は切換弁９および４を連動して操作されブーム
シリンダ１６およびアームシリンダ１１にポンプ
１および２の吐出油を制御し増速をなすようにな
つている。

次いで本考案の作用について説明する。まず考
案の着目点の１つは、 従来の回路における旋回モータ１２とアームシ
リンダ１１の複合操作時、旋回とアームシリンダ
１１との負荷バランスにより旋回モータ１２の駆
動圧力が保持できなくなつたり、アームシリンダ
１１のみ増速し旋回モータ１２が作動しない等の
連動性の不具合を解決するために、ポンプ１に接
続されている制御弁ａの旋回用の切換弁３をアー
ム用の切換弁４に対して優先するタンデム回路に
している点である。したがつて旋回とアームの複
合操作において、旋回モータ１２は切換弁３の操
作によりポンプ１の吐出油を優先して使用でき、
しかもアームシリンダ１１の負荷には影響されず
に独立して操作することができる。他方アームシ
リンダ１１はポンプ２に接続されている制御弁ｂ
の切換弁１０によりこれらも独立して操作するこ
とができる。したがつて旋回しながらアームの作
動性を確実に操作することができる。

他の着目点の１つは、アームの機能、機構上、
振下げ（アームシリンダ１１の伸び）と振上げ
（アームシリンダ１１の縮み）とで必要圧力が大
きく異なつている点である。前者は自重降下方向
に作動するのでほとんど圧力を要しないのに対
し、後者は自重とシリンダのロツド側の受圧面積
の少ない側に圧油を受けて作動するのでかなり圧
力を必要とする。以上の方向性に着目し、制御弁
ｂのアーム用の切換弁１０において、アームシリ
ンダ１１を伸ばす方向には切換位置１０ｂが縮む
方向には切換位置１０ａがおかれるに接続されて
いる。したがつて、切換位置１０ａにすると、切
換弁１０は切換弁７〜９とパラレル回路をなして
いるが、アームシリンダ１１は縮み側に位置する
ためアームのみにポンプ２の吐出油を取られ、他
のアクチユエータが作動しないという問題は発生
しない。他方、切換位置１０ｂにすると、切換弁
１０は切換弁７〜９に対してタンデム回路を基本
に一部切換弁１０内の絞り１７を介してパラレル
回路をなしている。この切換位置１０ｂはアーム
シリンダ１１を伸ばす側に位置するため前述の通
り必要駆動圧力は低いが、上流の切換弁７〜９が
優先するタンデム回路になつている一方で切換弁
１０内に設けられた絞り１７を介するパラレル通
路によりポンプ２の吐出油は優先する切換弁７〜
９の各アクチユエータの駆動圧力を確保されるた
めアームのみにポンプ２の吐出油を取られ切換弁
７〜９の各アクチユエータが作動しないという問
題は発生しない。したがつて、第１図の従来回路
で生じたアームとブームまたはアームとバケツト
の複合操作時にポンプ２の吐出油がアームシリン
ダ１１へ取られブームまたはバケツトが作動不可
になつたり、極端にスピードがダウンするような
複合操作上の問題を解決することができる。

第４図は本考案の他の実施例を示すもので、前
記第３図に示した切換弁１０内の絞り１７を、リ
リーフ弁１８におきかえたものであり、このリリ
ーフ弁１８により流量の変化によらずつねに一定
の圧力確保を得ることができる利点がある。

以上述べたように本考案によれば、一方のポン
プの吐出油をアームシリンダ、旋回モータに制御
する切換弁をタンデム回路になし、他方のポンプ
の吐出油をアームシリンダと他のアクチユエータ
を制御する切換弁をその切換位置にてタンデム回
路またはパラレル回路に回路構成することによ
り、複合操作における旋回とアーム、旋回とブー
ム、アームとバケツトおよびアームとブーム更に
は旋回とアーム、バケツトおよび旋回とアーム、
ブーム等の流量を負荷圧力に影響されず供給する
ので複合操作性を大巾に改善することができ、ま
た単独操作における旋回、走行、バケツトはそれ
ぞれのポンプにて、アームおよびブームは複数ポ
ンプの合流油にて駆動することができるので、単
独操作性が適切に得られ、かつ作業能率が向上で
きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の２ポンプ式油圧シ
ヨベルの油圧回路図、第３図は本考案の一実施例
を示す２ポンプ式油圧シヨベルの油圧回路図、第
４図は本考案の他の実施例を示す油圧回路図であ
る。 １，２……ポンプ、ａ，ｂ……制御弁、３，
４，５，６，７，８，９，１０……切換弁、１１
……アームシリンダ、１２……旋回モータ、１
３，１４……走行モータ、１５……バケツトシリ
ンダ、１６……ブームシリンダ、１７……絞り、
１８……リリーフ弁、９ａ，９ｂ……切換位置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一方のポンプ１からの圧油が制御弁ａの切換
   弁４と上流に位置する切換弁３によりアクチユ
   エータ１１と１２に給排制御され、他方のポン
   プ２からの圧油が制御弁ｂの切換弁１０と上流
   に位置する切換弁（例えば切換弁８）によりア
   クチユエータ１１と例えばアクチユエータ１５
   に給排制御され、前記切換弁４と１０が同一の
   操作レバーにより同時に連動されて同一のアク
   チユエータ１１へ各別のポンプ１および２から
   の圧油を制御するものにおいて、前記制御弁ａ
   の切換弁３と切換弁４がタンデム回路で連結さ
   れ、前記制御弁ｂの切換弁１０を一方の切換位
   置に切換えた際切換弁１０とその上流に位置す
   る切換弁とがパラレル回路で連結され、前記切
   換弁１０を他方の切換位置に切換えた際切換弁
   １０とその上流に位置する切換弁とがタンデム
   回路で連結され、かつ切換弁１０内に設けた絞
   り１７を介してパラレル回路で連結されるよう
   に配設したことを特徴とする２ポンプ式油圧シ
   ヨベルの油圧回路。 ２ 前記切換弁１０内の絞りを、リリーフ弁にし
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の２ポンプ油圧シヨベルの油圧回路。