JPS6325879Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

この考案は、ブラシ装置の位置決め取付けを改
良した、磁石直流電動機に関する。 従来の磁石直流電動機は、第１図に要部を断面
図で示すものがあつた。１は継鉄で、内円周に永
久磁石からなる界磁極２を接着剤などにより固着
している。３は継鉄１にはめ合い部１ａではめ合
わされた前ブラケツト、４は継鉄１にはめ合い部
１ｂではめ合わされた後ブラケツトで、貫通ボル
ト（図示は略す）により継鉄１を介し前ブラケツ
ト３に結合されている。５はこの後ブラケツトに
取付けられたブラシ装置で、次のように構成され
ている。６は金属材からなり円板状をなす支持板
で、取付けねじ７により後ブラケツト４に固定さ
れている。８はブラシの保持枠で、絶縁板９を介
し支持板６に固着されている。１０は保持枠８に
挿入されたブラシで、保持枠８に装着されたブラ
シばね１１により押圧されている。なお、図では
絶縁側の保持枠８を示しているが、図示を略した
接地側の保持枠は直接支持板６に固着してある。 １２は電機子で、電機子鉄心１３に電機子コイ
ル１４が装着され、回転軸１５に整流子１６が固
着さている。回転軸１５は一端部が軸受１７を介
し後ブラケツト４に支持され、他端部が軸受
（（図示は略す）を介し前ブラケツト３に支持され
ている。 上記従来の磁石直流電動機において、直流電源
（例えば蓄電池）回路が閉路されると、ブラシ１
０を介し電機子コイル１４が通電され、界磁極２
の磁束とにより電機子１２が回転し負荷を駆動す
る。 この種の６極磁石直流電動機の出力特性の実験
結果を、次表に示す。この測定は、ブラシ装置５
を界磁極に対して所定位置にし、後ブラケツト４
に取付けねじ７で固定して後、継鉄１と後ブラケ
ツト４とを定回転角度宛相対的にずらせ、それぞ
れの出力特性を表にしたものである。

【表】 この出特性表によれば、ブラシ装置５をはめ合
い部１ｂで1.3度ずらせることで、数＋Ｗの出力
変動の生じることが分かつた。したがつて、ブラ
シ装置５は界磁部に対し円周方向の正確な位置決
めが必要である。 上記従来の磁石電動機では、継鉄１に対し前ブ
ラケツト３及び後ブラケツト４は、はめ合い部１
ａ及び１ｂにおいて、それぞれ円周方向に対し１
箇所宛相互相に硬質ゴムからなる位置決めピン
（図示せず）をはめ込み位置決めをしてある。し
かし、後ブラケツト４は、位置ピンの弾力性によ
る位置ずれと、ボルト用穴と通しボルトとのすき
間とにより、周方向に対する正確な位置決め結合
が困難であつた。このため、界磁部に対するブラ
シ装置５の円周方向位置は機械によりばらつきが
あつた。したがつて、ブラシ装置５の位置決め
が、十分な精度が得られず、各機の特性が一定せ
ず、出力に差異を生ずる欠点があつた。 この考案は、上記従来のものの欠点をなくする
ためになされたもので、ブラシ装置の支持板に軸
方向に継鉄側に突出する位置決め片を設け、界磁
部側の係合部に上記位置決め片の先端を係合さ
せ、円周方向の位置決めをし、ブラシ装置が正確
に位置決めされ、出力特性が安定した磁石直流電
動機を提供することを目的としている。 第２図はこの考案の一実施例による磁石直流電
動機のブラシ装置の正面図で、第３図は電動機の
ブラシ装置側の要部の断面図であり、２，４，７
〜１７は上記従来のものと同一のものである。図
は６極磁石電動機でブラシが４箇所配置の場合を
示す。２１は継鉄で、内円周に界磁極２を固着し
ており、後ブラケツト４とのはめ合い部２１ｂに
は、円周方向に対し１か所に切欠き溝からなる係
合部２１ｃが設けられている。２２は後ブラケツ
ト４に取付けられたブラシ装置で、次のように構
成されている。２３は薄鋼板材からプレス加工さ
れてなり円板状をなす支持板で、鎖線で示すよう
に半径方向の突出部２４ａが打抜き形成され、軸
方向に折曲げられ先端部がさらに半径方向に曲げ
られて位置決め片２４が成形されている。この位
置決め片の先端が係合部２１ｃに係合され、支持
板２３は界磁部に対し円周方向の正確な所定位置
の位置決めがされ、取付けねじ７により後ブラケ
ツト４に固定される。支持板２３には正極側の保
持枠８及び２５が、絶縁板９を介し対地絶縁され
てかしめ部８ｂ及び２５ｂでかしめ付け固着され
ている。また、支持板２３には負極側の保持枠８
及び２５が、直接にバ−リング（はとめ）加工に
よりかしめ部８ｃ及び２５ｃでかしめ付け固着さ
れている。保持枠８及び２５にはそれぞれ折げ起
こし形成されたばね掛け８ａ及び２５ａにブラシ
ばね１１が装着され、各ブラシ１０を押圧してい
る。２３ａは支持板２３にあけられた取付けねじ
７用のねじ穴、２３ｂは支持板２３に設けられた
切欠き部で、前ブラケツト３（第１図に示す）、
継鉄２１及び後ブラケツト４を締付け結合する通
しボルト２６を通す。 こうして、ブラシ装置２２は支持板２３の位置
決め片２４が継鉄２１の係合部２１ｃに係合する
ことにより、界磁部に対し円周方向の所定の位置
決めが正確にされて組立てられる。 第４図はこの考案の他の実施例を示す磁石電動
機の要部の断面図である。ブラシ装置２７の支持
板２８には半径方向に打抜き加工された突出部が
軸方向に折曲げられて位置決め片２９が成形さ
れ、先端が隣接する双方の界磁極２間を係合部２
ａとして係合し、円周方向に対する位置決めがさ
れている。この状態の界磁部を第５図に正面断面
図で示し、ブラシ装置２７の概略を第６図に斜視
図で示す。 上記他の実施例のものは、支持板２８のみ従来
のものと変更することで、継鉄１などは変更を要
せず、ブラシ装置２７の位置決めが容易にでき
る。 第７図は継鉄の下部に半径方向に貫通する係合
部を設け、排水孔を兼用した場合の他の異なる実
施例を示す。継鉄３０の下部には、後ブラケツト
３１とのはめ合い部３０ｂ位置に、半径方向に貫
通する切欠き溝からなる係合部３０ｃが設けら
れ、後ブラケツト３１のはめ合い部に貫通して設
けられた切欠き溝３１ａとで排水孔を兼用してい
る。ブラシ装置３２の支持板３３には、半径方向
に打抜き形成された突出部が軸方向に折曲げら
れ、さらに先端部が半径方向に外方に曲げられて
位置決め片３４が成形され、先端が係合部３０ｃ
に係合し、円周方向の位置決めがされている。こ
の支持板３３を第８図に斜視図で示す。この位置
決め片３４により係合部３０ｃの貫通した切欠き
溝孔の上方を覆い、外部下方からの水しぶきや異
物の浸入を阻止するようにしている。 なお、上記実施例では位置決め片は支持板にプ
レス加工により一体的に形成されているが、別個
に位置決め片として製作し、支持板に点溶接など
により固着してもよい。 また、上記実施例では、６極機で４箇所ブラシ
配置の場合を説明したが、極数及びブラシ配置数
の異なる場合にも適用できるものである。 以上のように、この考案によれば、ブラシ装置
の支持板に軸方向の位置決め片を設け、界磁部側
の係合部に上記位置決め片の先端を係合させ、円
周方向の位置決めをしたので、ブラシ装置が界磁
部に対し円周方向の正確な位置決めがされ、出力
特性が安定し、信頼度が高められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁石直流電動機の要部を示す上
半部の縦断面図、第２図はこの考案の一実施例に
よる磁石直流電動機のブラシ装置の正面図、第３
図は第２図のブラシ装置を取付けた磁石直流電動
機の一部を示す縦断面図、第４図はこの考案の第
２の実施例による磁石直流電動機の上半部の要部
縦断面図、第５図は第４図の−線における断
面図、第６図は第４図のブラシ装置の概略を示す
斜視図、第７図はこの考案の第３の実施例による
磁石直流電動機の下半部の要部縦断面図、第８図
は第７図のブラシ装置の概略を示す斜視図であ
る。 図において、１……継鉄、１ｂ……はめ合い
部、２……界磁極、２ａ……係合部、４……後ブ
ラケツト、８……保持枠、９……絶縁板、１０…
…ブラシ、１１……ブラシばね、１２……電機
子、２１……継鉄、２１ｂ……はめ合い部、２１
ｃ……係合部、２２……ブラシ装置、２３……支
持板、２４……位置決め片、２５……保持枠、２
７，３２……ブラシ装置、２８，３３……支持
板、２９，３４……位置決め片、３０……継鉄、
３０ｂ……はめ合い部、３０ｃ……係合部、３１
……後ブラケツト、３１ａ……切欠き溝。なお、
図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内円周部に永久磁石からなる複数の界磁極２
   を固着した継鉄１，２１，３０、 この継鉄に結合された後ブラケツト４，３
   １、及びこの後ブラケツトに取付けられた支持
   板２３，２８，３３と、この支持板に取付けら
   れブラシ１０を装着した複数の保持枠８，２５
   とからなるブラシ装置２２，２７，３２、 を備えた磁石直流電動機において、 上記支持板の一部を切り起こし折曲げられ上
   記継鉄側に突出して形成された位置決め片２
   ４，２９，３４と、 上記継鉄２１，３０の一端側の上記後ブラケ
   ツトとのはめ合い部２１ｂ，３０ｂに形成さ
   れ、上記位置決め片２４，３４の先端部を円周
   方向に対し係止し位置決めする係合部２１ｃ，
   ３０ｃ、 又は隣接する双方の上記界磁極２の対向する
   両側面により形成され、上記位置決め片２９の
   先端部を円周方向に対し係止し位置決めする係
   合部２ａ、 とを有し、上記ブラシ装置の上記界磁極に対す
   る円周方向の位置決めをしたことを特徴とする
   磁石直流電動機。 (2) 係合部３０ｃは継鉄３０と後ブラケツト３１
   とのはめ合い部３０ｂの下部位置に半径方向に
   貫通する切欠き溝３１ａ穴からなり、排水孔を
   兼用しており、この切欠き溝穴の上方を位置決
   め片３４で覆つたことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の磁石直流電動機。