JPS6320854Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は過給式内燃機関のEGR装置の改良
に係り、特に、過給時にEGRコントロールバル
ブの負圧室が正圧になることを防止して、負圧室
のダイヤフラムのビードが反転するのを阻止し、
併せて、負圧室からの負圧の放出を図り得る過給
式内燃機関のEGR装置に関する。

EGR装置（排ガス再循環装置）は排ガス中の
NOxを低減する一手段で、不活性である排ガス
の一部を吸気系統へ再循環させ、吸入混合気に混
入させることにより、NOxの生成を少なくする
装置である。この装置で排ガスの循環を制御する
EGRコントロールバルブは、吸気系統内で発生
する負圧を利用して、その制御を行つている。即
ち、吸気系統に連通するEGRコントロールバル
ブ内の負圧室を区画している可撓性のダイヤフラ
ムを負圧により吸引して、排ガスの循環を遮断す
るバルブを開放する力と、ダイヤフラムを発条に
より押圧してバルブを閉塞する力とのバランスに
よつて制御しているのである。ところが、過給式
内燃機関においては、過給時に吸気系統に正圧が
生じ、その正圧がEGRコントロールバルブの負
圧室に流入し、従来の負圧と発条との力のバラン
スを一方的に崩し、負圧室を区画しているダイヤ
フラムのビードをバルブ閉塞側へ反転させ（第２
図Ａ，Ｂ）、以後のバルブの開閉に支障を来す欠
点があつた。

そこでこの考案の目的は、上記欠点を除去し、
過給時におけるEGRコントロールバルブのダイ
ヤフラムのビードの反転を簡単な構造で阻止し
て、EGRコントロールバルブの制御機能の低下
を未然に防止すると共に、従来のEGRシステム
に使用される装置を改善することなくそのまま使
用することができ、併せて、急激な圧力変動を伴
うことなく負圧室からの負圧の放出を図り得る過
給式内燃機関のEGR装置を実現することにある。

この目的を達成するためにこの考案は、過給式
内燃機関に用いられるEGRコントロールバルブ
を有するEGR装置において、吸気系統に負圧取
入口を設け、該負圧取入口と前記EGRコントロ
ールバルブの負圧室とを連通する負圧通路の途中
に吸気系統からの正圧が前記負圧室に流入するの
を防止する逆止め弁を設けると共に、過給機上流
側に連通するバイパス通路を前記負圧室と逆止め
弁間の負圧通路に分岐して設け、このバイパス通
路の途中に絞り部を設けたことを特徴とする。

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細且
つ具体的に説明する。

２は過給機であるターボチヤージヤで、該ター
ボチヤージヤ２はエンジンの充填効率を高め、出
力アツプを図るため、吸入空気量を強制的に増加
させるもので、排気エネルギを利用するものであ
る。４は上記ターボチヤージヤ２の下流側にサー
ジタンク６を経て設けられた気化器で、該気化器
４内に設けられたスロツトルバルブ８取付位置の
直上流側には、負圧取入口１０が開口されてい
る。１２は吸気通路であり、該吸気通路１２は、
吸気系統を構成するもので、エアクリーナ１４、
上記ターボチヤージヤ２、サージタンク６、気化
器４、及び燃焼室１６を連通している。また、上
記気化器４と燃焼室１６間の吸気通路１２には、
排ガスを該気化器４と燃焼室１６間の吸気通路１
２内に還流する還流吐出口１８が設けられてい
る。

２０はEGR装置を構成するEGRコントロール
バルブで、該EGRコントロールバルブ２０は負
圧室２２、大気室２４、弁室２６、滞留室２８か
ら構成されている。ところで、上記負圧室２２と
大気室２４は可撓性のダイヤフラム３０により区
画されているが、このダイヤフラム３０は負圧室
２２側への変位を容易にするため、ダイヤフラム
３０には負圧室２２側へ突出したビード３０ａが
形成されている。また、上記弁室２６には上記ダ
イヤフラム３０の変位に連動して進退動するバル
ブ３２が設けられている。このバルブ３２は弁室
２６と滞留室２８を連通する連通口３４を進退動
により開閉する機能を有する。３６は上記負圧室
３３に設けられた発条で、該発条３６はダイヤフ
ラム３０を押圧付勢し、上記連通口３４をバルブ
３２によつて封止する方向に作用する。

３８は上記負圧取入口１０と負圧室２２を連通
する負圧通路、４０は負圧通路３８の途中に設け
られた逆止め弁である。この逆止め弁４０は、上
記スロツトルバルブ８直上流側の吸気通路１２内
が負圧のとき、該スロツトルバルブ８直上流側の
吸気通路１２と負圧室２２との連通を図り、ま
た、上記スロツトルバルブ８直上流側の吸気通路
１２内が正圧のとき、スロツトルバルブ８直上流
側の吸気通路１２と負圧室２２との連通を阻止す
る機能を有する。このため、負圧室２２が正圧に
なるのを防ぐことができる。４２は負圧室２２と
逆止め弁４０間の負圧通路３８の途中から分岐し
たバイパス通路である。このバイパス通路４２は
上記ターボチヤージヤ２の上流側に位置するエア
クリーナ１４に連通しているが、これに限定され
ることなく、直接大気と連通させてもよい。４４
は上記バイパス通路の途中に設けた絞り部で、こ
の絞り部４４は上記エアクリーナ１４とバイパス
通路４２を介して連通する上記負圧室２２の負圧
が急激に変動するのを防止する機能を果す。４６
は上記燃焼室１６、ターボチヤージヤ２及び触媒
装置４８を連通する排気通路である。５０は燃焼
室１６とターボチヤージヤ２間の排気通路４６か
ら分岐して上記滞留室２８に連通する循環通路、
５２は上記弁室２６と還流吐出口１８とを連通す
る還流通路で、上記循還通路５０と還流通路５２
とは上記気化器４と燃焼室１６間の吸気通路１２
内に還流される排気ガスの通路である。

この考案は上述の如く構成されているので、以
下の如く作用する。

自然給気時でスロツトルバルブ８直上流側の吸
気通路１２が負圧のとき、逆止め弁４０は負圧室
２２とスロツトルバルブ８直上流側の吸気通路１
２との連通を図るため、負圧室２２は負圧とな
り、ダイヤフラム３０を負圧室２２側へ吸引し、
ダイヤフラム３０を押圧付勢する発条３６に逆つ
て、ダイヤフラム３０を負圧室２２側へ変位させ
る。この変位に連動してバルブ３２が後退して連
通口３４を開口し、排ガスを気化器４と燃焼室１
６間の吸気通路１２内に還流させる。

一方、過給時には、スロツトルバルブ８直上流
側の吸気通路１２内が正圧となるが、逆止め弁４
０がその機能を発揮して、正圧が負圧室２２内に
流入するのを阻止するから、負圧室２２は正圧な
ることがない。このとき、発条３６の押圧付勢の
みでは、ダイヤフラム３０のビード３０ａを大気
室２４側に反転させるだけの押圧力が生じないの
で、ダイヤフラム３０のビード３０ａの反転を阻
止できるのである。また、このとき、負圧室２２
に滞留する負圧はバイパス通路４２を経てエアク
リーナ１４に流れ出る。その際、負圧はバイパス
通路４２の絞り部４４を通るので、この絞り部４
４によつて、負圧の急激な移動が阻止され、負圧
室２２内の負圧の急激な変動が防止される。この
為、負圧室２２のダイヤフラム３０に無理な圧力
が作用することがない。

以上の詳細な説明から明らかなように、この考
案の構成によれば、自然給気時には、EGRコン
トロールバルブの負圧室と吸気系統との連通を図
り、吸気系統内に生じる負圧の利用を可能にし
て、EGRコントロールバルブの制御機能を遺憾
なく発揮させることは勿論のこと、過給時には、
吸気系統内に生じた正圧がEGRコントロールバ
ルブの負圧室に流入するのを逆止め弁によつて防
ぎ、負圧室が正圧になることを防止し得る。これ
によつて、負圧室のダイヤフラムのビードが正圧
によつて反転するのを確実に阻止することがで
き、従つて、ダイヤフラムのビードが反転するこ
とによつて生じるEGRコントロールバルブの制
御機能の低下を未然に回避することができる。し
かも、逆止め弁を単に取付けるのみでよいから、
構造的に簡単であり且つ、従来のEGRシステム
に使用される装置をそのまま使用でき、例えば
EGRコントロールバルブに特別な改善装置を施
す必要も全くない。更に、負圧室に滞留する負圧
はバイパス通路を経て外部へ放出できるので、負
圧室の負圧が必要以上に高くなるのを防止できる
ことと相俟つて、負圧の放出に際し、バイパス通
路に絞り部を設けたので、負圧室の負圧が急激に
変動することを回避し得て、EGRコントロール
バルブの制御機能に悪影響を及ぼす惧れもない
等、極めて実用的有益な効果を奏するものであ
る。

尚、この考案の装置はそのままEFI方式にも使
用可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示すもので、全体
概略系統図である。第２図Ａ，Ｂは従来のダイヤ
フラムの反転を示す説明図である。 図中、２はターボチヤージヤ、４は気化器、６
はサージタンク、８はスロツトルバルブ、１０は
負圧取入口、１２は吸気通路、１４はエアクリー
ナ、１６は燃焼室、１８は還流吐出口、２０は
EGRコントロールバルブ、２２は負圧室、２４
は大気室、２６は弁室、２８は滞留室、３０はダ
イヤフラム、３０ａはビード、３２はバルブ、３
４は連通口、３６は発条、３８は負圧通路、４０
は逆止め弁、４２はバイパス通路、４４は絞り
部、４６は排気通路、４８は触媒装置、５０は循
環通路、５２は還流通路である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 過給式内燃機関に用いられるEGRコントロー
   ルバルブを有するEGR装置において、吸気系統
   に負圧取入口を設け、該負圧取入口と前記EGR
   コントロールバルブの負圧室とを連通する負圧通
   路の途中に吸気系統からの正圧が前記負圧室に流
   入するのを防止する逆止め弁を設けると共に、過
   給機上流側に連通するバイパス通路を前記負圧室
   と逆止め弁間の負圧通路に分岐して設け、このバ
   イパス通路の途中に絞り部を設けたことを特徴と
   する過給式内燃機関のEGR装置。