JPS6316977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電磁流量計に係り、特に面間距離が
短く、相手フランジ間にはさみ込むことにより容
易に管路に取付けられる電磁流量計に関するもの
である。

電磁流量計は精度が高く、被測定液体に電気伝
導度があれば液体の種類に拘らず流量測定がで
き、しかも液体が流れる測定管に突起物がないた
め圧力損失を生じないなど大変便利な流量計であ
るが、形状が大きく、重量も大で、管路への取付
が大変である等の欠点がある。

この欠点を解消する目的で、円筒形の強磁性体
のリング内に１対の励磁コイルがリングの長手軸
線に直角な軸線に沿つて対向して支持され、リン
グ内に同心的にプラスチツク製の円筒体を配設し
て測定管とし、この測定管の一端には小径のフラ
ンジ、他端には前記リングに嵌合する径のフラン
ジがそれぞれ設けられ、さらに測定管のフランジ
間の中央に前記１対の励磁コイルの軸線およびリ
ングの長手軸線にそれぞれ直交する方向をとつて
１対の電極が設けられ、リングと測定管との間の
空間にエポキシ樹脂のような充填材を充填して環
状圧力容器を形成してなるフランジレスの電磁流
量計が提案されている。

しかしながら、上記の電磁流量計の両端面はエ
ポキシ樹脂からなる環状圧力容器の端面およびプ
ラスチツク製の測定管フランジで形成されていて
磁気的なシールドがなされていないため、次のよ
うな欠点がある。

〔１〕 この電磁流量計が挿入される管路端のフ
ランジの材質が制限される。即ち、非磁性絶縁
物例えば樹脂材や非磁性で電気抵抗の比較的高
い材料例えばオーステナイト系ステンレス材は
使用できるが磁性体製のフランジは使用できな
い。

〔２〕 励磁コイルのヨークの外径にくらべて面
間距離（電磁流量計の流体流通方向の長さ）を
充分大きくする必要がある。つまり、測定に影
響する磁束が端面に現われなくなるまでの長さ
を必要とするからである。

〔３〕 電磁流量計を管路に挿入する際に、管路
端のフランジ間を締結するボルトの材質が制限
される。オーステナイト系ステンレス材やプラ
スチツク材のボルトは使用できるが、磁性体の
ボルトは使用できない。

〔４〕 外周の強磁性体のリングをやめて、その
代りに磁気帰路として１対の励磁コイルのヨー
クを連絡する強磁性体のストリツプを設けた構
造のものでは、このストリツプの周囲全体に磁
束が漏洩するので、この電磁流量計を強磁性
体、例えば鋼製タンク、鋼管管路などの近傍に
設置した場合、指示変化が発生する。また、外
部からの磁気の影響も受け易いので、発電機や
電動機の近くに設置できないなどの設置場所の
制限を受ける。

本考案は、上述のような欠点を除去し、さらに
磁束密度の分布を改善して偏流による誤差の発生
を小さくし、しかも面間距離が短く、比較的軽量
で、さらに相手フランジ間を締結する締付ボルト
を電磁流量計の本体ケーシングの孔に通す必要が
なく、相手フランジ間にはさみ込み、本体ケーシ
ングの外側を通つて締付ボルトを相手フランジ間
にわたし締め付けるだけで取付られる電磁流量計
を提供することを目的とする。しかしてこの目的
は下記の如き構造をとることにより達成された。
即ち、測定管が内嵌される内径を有する円筒体の
軸線方向中央でこの軸線と直交する直径軸線と同
心に励磁コイルが装着される貫通孔を有する１対
のボスが円筒体の外面に突設されるとともに前記
円筒体の軸線および１対のボスの軸線にそれぞれ
直交する直径軸線と同心に円筒体内径より小なる
径の貫通孔を有する１対の電極収納用ボスが円筒
体外面に突設されてこの電極収納用ボスの貫通孔
と前記ボスの貫通孔との交合位置にエツジ部が形
成された構造の強磁性体製の本体ケーシングを用
意し、さらにこの本体ケーシングの寸法を相手フ
ランジ間を締結する複数の締付ボルトの内側に円
筒体の外面がおさまるように形成するか、あるい
は本体ケーシングの円筒体の外面にその軸線と平
行に相手フランジ間を締結する複数の締付ボルト
が通る溝を形成するかのいずれか一方に本体ケー
シングを形成する。そして、本体ケーシングの円
筒体に非磁性材料製の測定管を内嵌固定し、１対
のボスにコイルが巻回されたヨークの先端が測定
管の外面近傍に達するように形成された励磁コイ
ルをそれぞれ挿入固定し、ヨークの先端のキヤツ
プでボスの開口端を閉塞し、１対の電極収納用ボ
スの貫通孔内でそれぞれこの孔と同心の位置をと
つて１対の電極を測定管に取着して頭部を接液さ
せ、この電極収納用ボスの開口を強磁性体製の蓋
体で閉塞して電磁流量計を構成した構造である。

以下、本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。第１図ａ，ｂに本考案一実施例の電磁流量計
を示す。第１図において、１は本体ケーシング
で、所要口径の測定管が内嵌される内径を有する
円筒体に、その軸線方向中央でこの軸線と直交す
る直径軸線と同心に励磁コイルが装着される径の
貫通孔を有する１対のボス２が突設されるととも
に、前記円筒体の軸線および１対のボス２の軸線
にそれぞれ直交する直径軸線と同心に前記円筒体
の内径より小なる径の貫通孔を有する１対の電極
収納用ボス３が円筒体外面に突設された形状をな
しており、全体を強磁性体で作られている。そし
て、本体ケーシング１の円筒体の外面が２点鎖線
で示す相手フランジ１０１，１０２間を締結する
複数（この例では４本）の締付ボルト１０３の内
側におさまるように本体ケーシング１が形成され
ている。４は測定管で非磁性材料で作られ、本体
ケーシング１の円筒体に内嵌固定されている。測
定管４内面にはライニング５が施されている。６
は励磁コイルで、キヤツプ６ｃを有するヨーク６
ｂにコイル６ａが巻回されており、１対のボス２
にそれぞれ挿入固定され、キヤツプ６ｃでボス２
の開口端を閉塞するとともにヨーク６ｂの先端が
測定管４の外面近傍に達するように形成されてい
る。また、ヨーク６ｂの外径は測定管４の接液部
内径とほぼ等しいかやや小さく形成されている。
７は電極で、１対の電極収納用ボス３の貫通孔内
でそれぞれこの孔と同心の位置をとつて測定管４
に絶縁して取着されその先端はライニング５の内
面に露呈して接液するようになされている。そし
て、電極収納用ボス３の開口端は強磁性体製の蓋
体８で閉塞されている。図示してないが電極７か
らのリード線はこの蓋体８をハーメチツクシール
などにより貫通して外部に導出される。この実施
例の電磁流量計では、電極収納用ボス３の貫通孔
の内径をケーシング１の円筒体の内径より小さく
したことにより、ボス２の貫通孔と電極収納用ボ
ス３の貫通孔との交合位置に強磁性体のエツジ部
９が形成され、このエツジ部９が１対の電極４を
結ぶ軸線方向におけるヨーク６ｂの両側端部に近
接して存在する構造になる。

次に、上記のように構成された本考案一実施例
の電磁流量計の作用につき説明する。一般的に従
来の電磁流量計では測定管の内部はほぼ均一磁界
になつている。JIS Z8764「電磁流量計による流
量測定方法」に記載されている電磁流量計も均一
磁界形である。そして、上記のJISの解説による
と、電磁流量計の「重み関数」は第３図に示すよ
うになつており、測定管内部で発生した起電力は
電極７に対して、第３図に示されている数値のよ
うな寄与（影響を及ぼす率）をする旨述べられて
いる。電磁流量計の測定管の１対の電極を含む断
面の各点における発生起電力E_Xは、 E_X＝Ｋ・Ｗ・Ｂ・Ｖ ここに Ｋ：比例定数 Ｗ：重み関数 Ｂ：磁束密度 Ｖ：被測定流体の流速 で決まる。したがつて、均一磁界形の電磁流量計
は、被測定流体に偏流があれば、第３図の「重み
関数」に従つて誤差が発生する。即ち、図中0.65
の部分あるいは2.0の部分に偏流があつたとすれ
ば、電極への影響は0.65：2.0＝１：３となり、
３倍異なつてくる。この差異を無くすには、Ｗ・
Ｂ＝一定にすればよい。即ち、第３図の「重み関
数」の数値の逆数の磁束密度Ｂを分布させればよ
いことになる。

Ｗ・Ｂ＝Ｗ・１／Ｗ＝１（一定） 本考案では、磁束密度Ｂの分布が「重み関数」
Ｗの逆数の分布に近くなるような構造をとつた。
その一つは、励磁コイル６のヨーク６ｂの外径を
測定管４の接液部内径に対し、ほぼ等しいか、や
や小さく選んだことである。もう一つの点は、第
１図ａに示した強磁性体のエツジ部９を１対の電
極を結ぶ軸線方向におけるヨーク６ｂの両側端部
に近接しておいたことである。これによりエツジ
部９によつてヨーク６ｂの両側端部から出た磁束
がエツジ部９の方へ引き寄せられ、そのため電極
７近傍を通るコイル軸線方向の磁束が減少し、第
４図に示すように、測定管の１対の電極を含む断
面において、１対の電極７を結ぶ軸線Ｘ上の測定
管内壁近傍の位置Ｈの部分の磁束密度を弱めるこ
とができる。一方、１対の電極７を結ぶ軸線に直
交する直径軸線Ｚ上の測定管内壁近傍の位置Ｖの
部分はヨーク６ｂの中心部に近いので磁束密度が
大きい。この結果、実施例のものでは、Ｖ部分の
磁束密度とＨ部分の磁束密度との比をほぼ３：１
にすることができた。そして、この場合の全断面
における磁束密度分布もほぼ「重み関数」の逆算
に近付けることができた。

本考案一実施例の電磁流量計では次のような効
果が得られる。

〔１〕 上述の如く磁束密度分布の改善を行なつ
たことにより、偏流による誤差の発生を小さく
できた。

〔２〕 前記〔１〕項の改善を行なうために励磁
コイルのヨークの外径を測定管接液部内径とほ
ぼ等しいか、やや小さく選んだこと、さらに電
磁流量計の外部雰囲気に対面する面全体が本体
ケーシング、ヨークのキヤツプ、蓋体により強
磁性体でカバーされて磁気帰還路を形成し、ケ
ーシングがコアを兼ねた構造にしたことによ
り、磁束の漏洩がないこと、の二つの点から電
磁流量計の端面距離を短かくでき、その分重量
も軽くなつて取扱いが容易になつた。

〔３〕 磁束の漏洩が防止された構造にしたこと
により、相手フランジの材質、締付ボルトの材
質の制限が解消された。さらに強磁性体の構造
物、配管等の近傍に設置しても指示の変化を起
すことがなく、また、外部磁界の影響を受けな
いので、発電機、電動機等の近くに設置するこ
とも可能である。

〔４〕 本体ケーシングにおいて、励磁コイル挿
入口はヨークのキヤツプにより、また電極収納
用ボスの開口端は蓋体によりそれぞれ閉塞され
た構造にしたので、気密構造にすることも容易
である。

〔５〕 本体ケーシングにフランジを突設してい
ない所謂フランジレス構造をとり、さらに本体
ケーシングをはさんで保持する相手フランジ間
を締結する締付ボルトの内側に本体ケーシング
の円筒体がおさまるように本体ケーシングを形
成したので、電磁流量計を管路に取付ける際
に、締付ボルトを本体ケーシングのフランジの
孔に通す作業がなく、相手フランジ間にはさみ
込み、本体ケーシングの外側を通つて締付ボル
トを相手フランジ間にわたし締付けるだけでよ
く、取付が容易化される。

なお、第２図ａ，ｂに示すように、本体ケーシ
ング１の円筒体の外面に相手フランジ間を締結す
る締付ボルトを挿通させる締付ボルト挿通用溝１
１を円筒体の軸線と平行して形成するようにして
もよい。また、ヨークの測定管に対向する先端の
形状は、第５図ａ乃至ｅに示す各種の形状にする
ことができる。以上詳述したように本考案におい
ては、エツジ部を設けたことにより磁束密度の分
布が改善されて偏流による誤差をほとんど無くす
ことができ、さらに相手フランジ間を締結する締
付ボルトが本体ケーシングの外側にあるので内部
磁界に与える影響をほとんど無くすことができる
とともに取付も容易になり、また強磁性体のケー
シングがコアを兼ねて磁束の外部への漏洩が無
く、ヨークの外径を測定管の内径とほぼ等しいか
やや小さく選んだことと相いまつて端面間距離を
短かくできて軽量化を実現できる等の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本考案一実施例の電磁流量計を
示すもので、第１図ａは横断面図、第１図ｂは１
部を切欠して示す側面図、第２図ａ，ｂは本考案
の他の実施例の電磁流量計を示すもので、第２図
ａは横断面図、第２図ｂは１部を切欠して示す側
面図、第３図は電磁流量計の測定管の電極を含む
断面における重み関数の分布を示す図、第４図は
本考案による電磁流量計の測定管の電極を含む断
面における磁束密度を説明するための図、第５図
ａ〜ｅはそれぞれ本考案による電磁流量計の励磁
コイルのヨークの先端形状の種々の態様を示す要
部断面図である。 １……本体ケーシング、２……励磁コイル装着
用ボス、３……電極収納用ボス、４……測定管、
５……ライニング、６……励磁コイル、６ａ……
コイル、６ｂ……ヨーク、６ｃ……キヤツプ、７
……電極、８……蓋体、９……エツジ部、１１…
…締付ボルト挿通用溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 測定管が内嵌される内径を有する円筒体の軸
   線方向中央部でこの軸線と直交する直径軸線と
   同心に貫通孔を有する１対のボスが円筒体に突
   設されるとともに前記円筒体の軸線および１対
   のボスの軸線にそれぞれ直交する直径軸線と同
   心に前記円筒体内径より小なる径の貫通孔を有
   する１対の電極収納用ボスが円筒体に突設され
   てこの電極収納用ボスの貫通孔と前記ボスの貫
   通孔との交合位置にエツジ部が形成された強磁
   性体製の本体ケーシングと、この本体ケーシン
   グの円筒体に内嵌された非磁性材料製の測定管
   と、前記１対のボスの貫通孔にそれぞれ挿入固
   定され前記測定管の接液部内径にほぼ等しいか
   またはやや小なる直径に形成され且つコイルが
   巻回されたヨークが測定管の外面近傍まで延在
   する１対の励磁コイルと、前記１対の電極収納
   用ボスの貫通孔内でそれぞれ前記測定管に絶縁
   して取着され頭部を管内に露呈して接液する１
   対の電極とを具備し、相手フランジ間を締結す
   る締付ボルトが本体ケーシングの外側にあるこ
   とを特徴とする電磁流量計。 (2) 本体ケーシングをはさんで保持する１対の相
   手フランジ間を締結する締付ボルトを挿通させ
   る締付ボルト挿通用溝が円筒体の軸線と平行し
   て本体ケーシングの円筒体外面に形成されたこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の電磁流量計。