JPS6242610Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は液圧ブレーキ装置に用いられるタンデ
ム型マスタシリンダに関し、特にシリンダ本体に
単一のリザーバを備えるタンデム型マスタシリン
ダに関するものである。

従来、この種のタンデム型マスタシリンダとし
ては、実公昭53−35662号公報に示されるように
シリンダ本体のシリンダ孔内にプライマリピスト
ン及びセカンダリピストンを摺動自在に嵌合し、
プライマリピストンにて第１液圧室及び第１液室
を画成するとともにセカンダリピストンにて第２
液圧室及び第２液室を画成し、前記シリンダ本体
の上部に前記各液圧室および前記液室に通じる単
一のリザーバを備え、プライマリピストンにて画
成される第１液圧室及び第１液室はリザーバ底部
に設けたリリーフポート及びサプライポートによ
りリザーバと夫々連通し、リザーバから離隔して
いるセカンダリピストンにて画成される第２液圧
室及び第２液室は連通液路と該連通液路に通じる
リリーフポート及びサプライポートによりリザー
バと夫々連通している。そしてシリンダ本体の下
側にはストツパボルトが螺着され、その先端をセ
カンダリピストンに当接してリターンスプリング
で後方へ押されるピストンの後退限を規制をした
ものが知られている。

しかしながら、リザーバが単一であることか
ら、リザーバとリザーバから離隔している第２液
圧室及び第２液室と連通するには、前記連通液路
をシリンダ本体上部にシリンダ軸方向に形成し、
かつこの連通液路の上壁より第２液圧室及び第２
液室用のリリーフポート及びサプライポートをシ
リンダ本体上部に穿設し、該連通液路の上壁に穿
設されたそれぞれのポート成形用の穿設孔にボー
ルシールを嵌合して密閉する必要があり、またシ
リンダ本体下部に特別にストツパボルトを螺着す
るねじ孔を穿設する必要があり、これらの孔加工
に手数を要していた。

したがつて本考案の目的は、連通液路の上壁に
穿設された前記第２液室に通じるサプライポート
成形用の穿設孔をセカンダリピストンの後退限を
規制するストツパボルトで密閉し、シリンダ本体
の孔加工の工程の減少を図り、簡単な構造で、製
作コストを軽減するタンデム型マスタシリンダを
提供するにある。

前記目的にしたがい本考案は、単一のリザーバ
を備え、これとセカンダリピストンにて画成され
る第２液圧室及び第２液室とを連通する連通液路
を有する前記タンデム型マスタシリンダにおい
て、ストツパボルトの軸部を連通液路の上壁に穿
設されたサプライポート成形用の穿設孔よりセカ
ンダリピストンにて画成される第２液室に通じる
サプライポートに遊挿し、その先端を前記第２液
室に突出させてセカンダリピストンに当接せしめ
て該セカンダリピストンの後退限を規制するとと
もに、ストツパボルトの基部を前記サプライポー
ト成形用の穿設孔に螺合して該穿設孔を密閉した
ことを特徴とする。

以下、図面に基づいて本考案の一実施例を説明
する。

シリンダ本体１は、その内部にシリンダ孔２が
設けられ、その開口部１ａ側にプライマリピスト
ン３が、このプライマリピストン３の前方（図に
おいて左方）にセカンダリピストン４がそれぞれ
摺動可能に挿入されている。そしてプライマリピ
ストン３にはその前部にピストンカツプ５が、そ
の後部にピストンカツプ６が組付けられ、またセ
カンダリピストン４にはその前部にピストンカツ
プ７が、その後部にピストンカツプ８が組付けら
れている。プライマリピストン３のピストンカツ
プ５，６間には第１液室９が、セカンダリピスト
ン４のピストンカツプ７，８間には第２液室１０
が、そしてプライマリピストン３の前方のピスト
ンカツプ５とセカンダリピストン４の後方のピス
トンカツプ８間には第１液圧室１１が、セカンダ
リピストン４の前方のピストンカツプ７とシリン
ダ孔２の前端壁間には第２液圧室１２がそれぞれ
画成されている。プライマリピストン３の前部に
は支持ピン１３がシリンダ軸方向に螺着され、該
支持ピン１３の軸部にリテーナ１４が摺動自在に
設けられ、支持ピン１３の頭部によつてリテーナ
１４は係合して抜け止めされ、セカンダリピスト
ン４の後部に当接するリテーナ１４の受部１４ａ
とプライマリピストン３の前部に当接するスプリ
ング受座１５との間にリターンスプリング１６が
縮設されている。そして、作動が行われていない
状態にあるとき、プライマリピストン３はリテー
ナ１４がセカンダリピストン４の後部に当接して
いる位置にあり、これより後退方向へ押されるこ
とはない。またセカンダリピストン４はシリンダ
孔２の前端壁とセカンダリピストン４間に縮設さ
れているリターンスプリング１７によつて後方に
押され、シリンダ本体１に螺入されたストツパボ
ルト１８に当接して後退限を規制されている。こ
の状態において、プライマリピストン３にて画成
された第１液室９はサプライポート１９を通り、
また第１液圧室１１はリリーフポート２０を通り
リザーバ２１内の隔室２１ａに連通している。一
方セカンダリピストン４にて画成された第２液室
１０はサプライポート２２を通り、また第２液圧
室１２はリリーフポート２３を通り、さらに連通
液路２４を介してリザーバ２１内の隔室２１ｂに
連通している。また第１，第２液圧室１１，１２
には吐出口が設けられている。

リザーバ２１とリザーバ２１から離隔している
前記第２液室１０及び第２液圧室１２とを連通す
る前記連通液路２４はシリンダ本体１の上部の肉
厚部２５に、前部よりリザーバ２１の隔室２１ｂ
に向けてシリンダ軸方向に穿設して形成される。
また、連通液路２４の上壁より連通液路２４を通
つてシリンダ本体１の上部に第２液室１０及び第
２液圧室１２に開口するサプライポート２２及び
リリーフポート２３を穿設する。そして、連通液
路２４の先端開口部２４ａ及び連通液路２４の上
壁に穿設されたリリーフポート２３の成形用の穿
設孔２３ａはボールシール２６，２７をそれぞれ
圧入して密閉される。

連通液路２４の上壁に穿設された前記サプライ
ポート２２の成形用の穿設孔２２ａは大径に形成
され、該穿設孔２２ａより前記ストツパボルト１
８の軸部１８ａをサプライポート２２に遊挿して
その先端１８ｂを第２液室１０に突出させ、セカ
ンダリピストン４のツバ部４ａの内側に当接せし
めてセカンダリピストン４の後退限を規制してい
る。そして、ストツパボルト１８の基部１８ｃは
前記穿設孔２２ａに螺合して該穿設孔２２ａを密
閉している。

次にこの実施例の作用について説明する。作動
をするためにプッシユロツド（図示せず）が前方
（図において左方）に動かされると、プライマリ
ピストン３が前進してピストンカツプ５がリリー
フポート２０を閉じ、これにより第１液圧室１１
の作動液は閉じ込められて液圧が発生する。この
液圧は吐出口から一方の系の作動装置に供給され
る。またこれと同時にこの液圧はセカンダリピス
トン４を押圧し、これによりセカンダリピストン
４はリターンスプリング１７に抗して前進し、ピ
ストンカツプ７がリリーフポート２３を閉じる。
そして、前記と同様に第２液圧室１２の作動液は
閉じ込められて液圧が発生し、その液圧は吐出口
を通つて他方の系の作動装置に供給される。この
作動状態においては、リターンスプリング１６が
収縮してプライマリピストン３が左方へ移動し、
またリターンスプリング１７が収縮してセカンダ
リピストン４が左方へ移動した位置にあり、した
がつてセカンダリビストン４のツバ部４ａとスト
ツパボルト１８の先端１８ｂとの当接は解除され
ている。

そして、プツシユロツドを後退させ作動を解除
すると、プライマリピストン３及びセカンダリピ
ストン４はそれぞれのリータンスプリング１６，
１７の働きにより後方に押されて図に示す位置に
復帰する。このとき、セカンダリピストン４はツ
バ部４ａがストツパボルト１８の先端１８ｂに当
接してこれ以上後退することはない。またプライ
マリピストン３はリターンスプリング１６の働き
により後方に押されるが、リターンスプリング１
６の伸張は支持ピン１３とこれに摺動自在に係合
したリテーナ１４とによつて規制されているの
で、シリンダ開口部１ａ近傍にプライマリピスト
ン３の後退限を規制するストツパ部材を設ける必
要がなく、ストツパボルト１８でセカンダリピス
トン４の後退限を規制することにより、同時にプ
ライマリピストン３の後退限が規制される。

なお、図示の実施例はストツパボルト１８の軸
部１８ａをサプライポート２２の中央部に遊挿し
ているが、これをサプライポート２２のプライマ
リピストン３側の内壁に当接するようにしてもよ
い。このようにすると、セカンダリピストン４が
軸部１８ａに当接した際に、軸部１８ａの実質長
が短くなつて変形しにくくなり、軸部１８ａがセ
カンダリピストン４の後退によつて曲つたり、更
には基部１８ｃの螺合部を変形させてシール性を
ダウンさせることを有効に防止できる。

本考案は以上のようにストツパボルトの軸部を
連通液路の上壁に形成されたサプライポート成形
用の穿設孔よりセカンダリピストンにて画成され
る第２液室に通じるサプライポートに遊挿し、そ
の先端を第２液室に突出させてセカンダリピスト
ンに当接せしめてセカンダリピストンの後退限を
規制するとともに、ストツパボルトの基部を前記
サプライポート穿設用の穿設孔に螺合して該穿設
孔を密閉したから、セカンダリピストンの後退限
規制機構と、セカンダリピストンにて画成される
第２液室に通じるサプライポート成形用の穿設孔
を密閉する機構とが、ストツパボルトの螺着によ
り同時に備えることができ、シリンダ本体への孔
加工の工程および密閉する工程の削減が図られ、
簡単な構造で、製作コストを軽減することができ
る等の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すタンデム型マスタ
シリンダの断面正面図である。 １……シリンダ本体、２……シリンダ孔、３…
…プライマリピストン、４……セカンダリピスト
ン、１８……ストツパボルト、２１……リザー
バ、１９，２２……サプライポート、２０，２３
……リリーフポート、２４……連通液路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ本体のシリンダ孔にプライマリピスト
   ン及びセカンダリピストンを摺動自在に嵌合し、
   プライマリピストンにて第１液圧室及び第１液室
   を画成するとともにセカンダリピストンにて第２
   液圧室及び第２液室を画成し、前記シリンダ本体
   の上部に前記各液圧室及び各液室に通じる単一の
   リザーバを備え、このリザーバとリザーバから離
   隔した前記第２液圧室及び前記第２液室とを結ぶ
   連通液路をシリンダ本体上部にシリンダ軸方向に
   形成し、この連通液路の上壁より前記第２液圧室
   及び前記第２液室に通じるリリーフポート及びサ
   プライポートを穿設し、連通液路の上壁に穿設さ
   れたリリーフポート及びサプライポート成形用の
   穿設孔を密閉するタンデム型マスタシリンダにお
   いて、ストツパボルトの軸部を前記サプライポー
   ト成形用の穿設孔より前記第２液室に通じるサプ
   ライポートに遊挿し、その先端を前記第２液室に
   突出させてセカンダリピストンに当接せしめて該
   セカンダリピストンの後退限を規制するととも
   に、前記ストツパボルトの基部を前記サプライポ
   ート成形用の穿設孔に螺合して該穿設孔を密閉し
   たことを特徴とするタンデム型マスタシリンダ。