JPS6235393B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は集成化粧単板に関するものである。

複数枚の木質素材単板を接着剤を介して積層・
圧締接着し集成フリツチを得、この集成フリツチ
をその積層面と交差する所定方向よりスライスし
て得られる集成化粧単板は、台板などへのプレス
接着のさい、ポリエステルなどの樹脂を含浸して
樹脂強化処理を施すのが通例である。

ところが、前記集成化粧単板の素材には、アガ
チス材などの低比重材を利用するのが一般的であ
り、そのため、このような集成化粧単板に樹脂含
浸を施した場合、単板内への樹脂の含浸量が多く
なつて、天然木に特有の風合いがなくプラスチツ
クとしてのイメージが強くなつて、著しく自然感
を損なうという欠点を有する。

ことに集成化粧単板では、その製断工程の前段
における脱色などの前処理において、集成用の素
材単板中の成分が除去されてしまうため、もとも
と天然の化粧単板に比べてその風合いが損われて
いるのが通例であり、前記樹脂含浸処理によるプ
ラスチツクイメージの増大は、自然感の低下を一
層増大させてしまうことになる。

したがつて、この発明の目的は、天然材に特有
な風合いを備えた集成化粧単板を提供することで
ある。

この発明の一実施例を第１図および第２図に示
す。すなわち、この集成化粧単板１は、複数枚の
木質素材単板を接着剤を介して積層・圧締接着し
得られる集成フリツチを、その積層面と交差する
所定方向よりスライスして、前記木質素材単板の
切断面が木目状に複合した複合単板を得、この複
合単板に対し雲母鱗片状粉末（パールグレイス…
日本光研工業社製）を混入した樹脂液を含浸させ
て構成したものである。

この集成化粧単板１の製造工程は次のとおりで
ある。

(1) アガチス材をロータリスライスして得た素材
単板２を脱色処理したあと、春材色染色浴３で
染色処理して春材色染色単板４を得る（第２図
Ａ，Ｂ，Ｃ）。

(2) 前記春材色染色単板４の複数枚を、夏材色に
着色した着色接着剤を介して積層し、凹凸型５
で圧締接着して凹凸集成フリツチ６を得る（同
図Ｄ）。

(3) 凹凸集成フリツチ６を、その積層面と交差す
る所定スライス角でスライスして、前記春材色
染色単板４の切断面と前記着色接着剤の層の切
断面とが板目状に複合した複合単板７を得る
（同図Ｅ，Ｆ）。

(4) 木質単板含浸処理用のポリエステル樹脂液を
主剤とし、これにパールグレイス（粒度10ミク
ロン以下）を0.1〜1.0％配合して得た樹脂液を
前記複合単板７に減圧注入して樹脂含浸処理を
施し集成化粧単板１とする（同図Ｇ）。

(5) 以上が集成化粧単板の製造工程であるが、こ
の集成化粧単板１を表装材とする化粧合板の製
造は、台板９上にビニルウレタン系接着剤を塗
布し、この接着剤を介して熱圧プレス１０で前
記台板９上に前記集成化粧単板１を接着・成型
し、最後に前記集成化粧単板１の表面を塗布仕
上げして化粧合板１１とする（同図Ｈ，Ｉ）。

このように構成したため、前記パールグレイス
を配合した樹脂液は主に木質部（春材色染色単板
４で構成される）からなる春材部１ａに注入さ
れ、着色接着剤からなる夏材部１ｂへはほとんど
注入されず、したがつてパールグレイスも春材部
１ａに含浸することになり、春部材１ａでは単板
表層からの入射光が前記パールグレイスのためそ
の内層でよく反射し、春材部１ａに深みのある光
沢を付与することができる。

なお、集成化粧単板１の夏材部１ｂを表現する
のに、このほか、集成フリツチ化のさいに春材色
染色単板の間にレジンペーパを介装して、このレ
ジンペーパの切断面を夏材部として表現する方法
もあるが、この場合にも、前棋樹脂含浸処理にお
いて、この夏材部への樹脂の注入が抑制され、同
様の効果を得ることができる。

また、夏材部をインク層の転写や濃色捺染処理
によつて表現する場合には、前記樹脂の夏材部へ
の含浸は避けられないが、この場合でも、その色
調が濃色であるため前記パールグレイスの反射効
果は春材部に比して低下し、春材部と夏材部の間
の光沢差をある程度生じさせることができる。

前記実施例では、化粧合板の製造工程まで示し
たが、この工程における集成化粧単板１のプレス
処理によつて、集成化粧単板１内に含浸する前記
パールグレイスが水平方向すなわち集成化粧単板
１の面と平行に配向し、入射光に対する反射効果
が一層大きくなり、さらに深みのある光沢を付与
することができ、自然感をさらに高めることがで
きる。

前記パールグレイスの配合比は、前記実施例の
ように設定することが望ましく、例えばこれを
1.0％以上とすると、樹脂含浸処理において、本
質部からなる春材部１ａへのパールグレイスの含
浸量が多くなつて、単板表面に付着したパールグ
レイスとともに、単板全体を白つぽくしてしま
い、かえつて風合いを損う。

また、前記パールグレイスの粒度についても、
前記実施例のように設定することが望ましく、粒
度が大きい場合には単板内への粒子浸透が阻害さ
れて、パールグレイスは単板表面に付着するだけ
となり、深みのある光沢は得られない。

以上のように、この発明の集成化粧単板は、雲
母鱗片状粉末混入樹脂を含浸させたものであるた
め、材面に深みのある光沢を付与することがで
き、天然材に特有な風合いを帯びた集成化粧単板
とすることができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す要部断面
図、第２図ＡないしＩはその製造工程説明図であ
る。 １……集成化粧単板、１ａ……春材部、１ｂ…
…夏材部、２……素材単板、３……春材色染色
浴、４……春材色染色単板、５……凹凸型、６…
…凹凸集成フリツチ、７……複合単板、９……台
板、１１……化粧合板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 雲母鱗片状粉末混入樹脂を含浸させたことを
   特徴とする集成化粧単板。 ２ 前記雲母鱗片状粉末は、その粒度を10ミクロ
   ン以下としたものであり、前記雲母鱗片状粉末混
   入樹脂は、前記雲母鱗片状粉末の配合割合を0.1
   ないし1.0％としたものである特許請求の範囲第
   １項記載の集成化粧単板。