JPS623077Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、薩摩揚、天ぷら、コロツケ等の揚
物を自動的に油揚げする油揚機に関するものであ
る。

（従来技術） 従来の一般的な油揚機は、鍋体の底部に装設さ
れたコンベヤにより、揚物の素材を直線的に移送
しながら油揚げするようになつている（例えば、
実公昭49−28219号）。この油揚機によると、素材
の油揚げに必要な時間を得るには、油揚げ距離
（移送距離）を相当長くとらなければならず、設
置スペースに問題を生じる欠点があつた。また、
コンベアの駆動機構が食用油中に浸漬されるの
で、同駆動機構が素材の揚げかす、揚げくず等に
より故障し易かつた。

（考案の目的） そこで、この考案は上記した従来穴点に鑑みて
案出したもので、その目的とすることは、揚物の
素材を油揚げするに必要な移送距離を狭い設置ス
ペースにおいて確保することができ、かつ素材の
揚げかす、揚げくず等による駆動機構の故障を解
消することができる油揚機を提供することであ
る。

（考案の構成） 上記した目的を達成するためのこの考案は、食
用油を貯溜しかつ加熱装置により加熱される鍋体
の底部に、複数枚の回転板をそれぞれ水平回転可
能に配設し、相互に隣接する回転板は相反方向へ
回転させるとともに、同回転板の一部を近接状に
重合せしめたことを要旨とする油揚機で、食用油
中に投入した揚物の素材を複数枚の回転板により
蛇行状に移送させながら油揚げするところに特長
がある。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面にしたがつて
説明する。油揚機の平面を示した第１図、および
同油揚機を油揚げ工程にしたがう展開断面で略示
した第２図において、フレーム１０上には略四角
形状をした鍋体１１が水平状に支持されている。
鍋体１０の左前部にはその底部に向かつて下傾す
る傾斜面に形成された投入口１２が設けられ、ま
た同鍋体１０の右前部にはその底部より外方へ向
かつて上傾する傾斜面に形成された取出口１３が
設けられている。鍋体１１には食用油Ｆが貯溜さ
れる。

フレーム１０には鍋体１１の下方に位置するガ
スバーナ、オイルバーナ等の加熱装置１４，１４
が配設されている。一方の加熱装置１４は投入口
１２の右方部位を加熱し、他方の加熱装置１４は
取出口１３の左方部位をそれぞれ加熱するように
なつている。

鍋体１１の底部には投入口１２の右側に隣接す
る第１の回転板１５および同回転板１５の左後方
に隣接する第２の回転板１６がそれぞれ水平回転
可能に装設されている。各回転板１５，１６は鍋
体１１の底面上に形成された円筒状の内壁１７に
遊挿されかつフレーム１０に回動可能に軸支され
た回転軸１８の上端に逆Ｌ字状の懸吊片１９〜１
９を介して懸吊状に取付けられていて、フレーム
１０に設置されたモータ２０（駆動装置）の駆動
によりチエーン機構２１を介して回転される回転
軸１８と同一回転される（第３図参照）。第１の
回転板１５は左廻り方向（第１図において反時計
廻り方向）へ回転されるとともに、第２の回転板
１６は第１の回転板１５に対し逆廻り方向（第１
において時計廻り方向）へ回転される。第２の回
転板１６の一部は第１の回転板１５の下方に近接
状に重合されている。各回転板１５，１６には多
数の小孔２２〜２２が貫設されている。

投入口１２の後方には第１の移送コンベヤ２３
が隣接さている。この移送コンベヤ２３は鍋体１
１の投入口１２後側に右方へ突設された左側支持
片２４と、鍋体１１の底面中央上に固設したブラ
ケツト２５に左前方へＺ字状に突出された支持片
２６との間に回転可能に架設されたローラ２７，
２７に対し、鎖材を網組みしてなる網ベルト２８
を張設したものであり、その網ベルト２８は適宜
の駆動装置（図示しない）によりローラ２７，２
７を介して右廻り方向（第２図および第３図にお
いては反時計廻り方向）へ回転される。この網ベ
ルト２８の下面は食用油Ｆの油面Faにそれより
若干高い位置にて対面されるとともに、同ベルト
２８には自重により垂れ下がる垂れ網２８ａ〜２
８ａが略等間隔で配設されている。この移送コン
ベヤ２３は、食用油Ｆ中に浮遊あるいは油面Fa
に浮上した揚物の素材Ｓを第１の回転板１５側か
ら第２の回転板１６側へ移送する。なお、投入口
１２の前右端からブラケツト２５の支持片２６の
右側面には、第１の回転板１５の略右半周上を円
弧状にとり囲む第１のガイド板２９が架設されて
いるとともに、鍋体１１の左側板には第２の回転
板１６の略左半周上を円弧状にとり囲む第２のガ
イド板３０が設けられている。

第２の回転板１６の後右部上部には前記の第１
の移送コンベヤ２３とほぼ同一の構造をもつ第２
の移送コンベヤ３１が設けられている。この移送
コンベヤ３１は鍋体１１の後側板の左部と、前記
ブラケツト２５の支持片２６の基部２６ａとの間
に回転可能に架設されたローラ３２，３２に対
し、垂れ網３３ａ〜３３ａを有する網ベルト３３
を張設したものであり、その網ベルト３３が適宜
の駆動装置（図示しない）によりローラ３２，３
２を介して左廻り方向（第２図において反時計廻
り方向）へ回転されることによつて、食用油Ｆ中
に浮遊あるいは油面Faに浮上した揚物の素材Ｓ
を第２の回転板１６側から右方へ直線的に移送す
る。

第２の移送コンベヤ３１の右方には中間コンベ
ヤ３４が隣接されている。中間コンベヤ３４は、
鍋体１１の後側板の中央部と前記のブラケツト２
５との間に回転可能に架設されたローラ３５〜３
６、および鍋体１１の後側板の右端部と同鍋体１
１の右側板の後部に左方へ突設された後側支持片
３７の上部との間に回転可能に架設されたローラ
３８に対し鎖材を網組みしてなる網ベルト３９を
張設したものであり、左部の傾斜移送部と右部の
水平移送部とから成る。この網ベルト３９は適宜
の駆動装置（図示しない）によりローラ３５〜３
６、３８を介して右廻に方向（第２図において時
計廻に方向）へ回転される。このコンベヤ３４
は、第２の移送コンベヤ３１による移送されてき
た素材Ｓを受けて食用油Ｆ中から右上方へ引揚げ
て、さらに右方へ水平移送する。なおこのコンベ
ヤ３１の網ベルト３９にはプレート３９ａ〜３９
ａが略等間隔で配設されている。

鍋体１１の右側板後端部には、鍋体１１の後側
板と後側支持片３７との間において中間コンベヤ
３４の右端に素材Ｓの通り得る所定の間隔をもつ
て隣接する誘導板４０が取付けられている。誘導
板４０は縦方向から、中間コンベヤ３４の下方で
しかも素材Ｓの反進行方向（第１図において左
方）に向かつて湾曲形成されかつその下端が食用
油Ｆの油面Faに達している。この誘導板４０に
よつて、中間コンベヤ３４からの素材Ｓが反転案
内され、再び食用油Ｆ中へ落下投入される。

中間コンベヤ３４の水平部の下方には、適数個
（本例では３個）の羽根車４１〜４１が適当間隔
で配設されている。各羽根車４１〜４１は鍋体１
１の後側板と後側支持片３７との間に回転可能に
架設され駆動装置（図示しない）によつて右廻り
方向（第２図においては反時計廻り方向）へ回転
される。この羽根車４１〜４１の回転により、誘
導板４０にわ食用油Ｆ中へ反転投入された素材Ｓ
が左方（第２図においては右方）へ移送される。

鍋体１１の右部には第１の回転板１５の右後方
に隣接する押え移送装置４２が装設されている。
この押え移送装置４２は、鍋体１１の底部にて水
平回転する円形の受皿板４３の左半部上方に配置
された第１の押付枠４４および第２の押付枠４５
を主体として成る。なお、受皿板４３は、前記の
回転板１５あるいは１６と同様に、多数の小孔４
６〜４６が貫設されており、また鍋体１１の底面
上に形成された円筒状の内壁４７に遊挿されかつ
フレーム１０に回転可能に軸支された回転軸４８
の上端に逆Ｌ字状の懸吊片４９〜４９を介して懸
吊状に取付けられていて、フレーム１０に設置さ
れたモータ５０（駆動装置）の駆動によりチエー
ン機構５１を介して回転される回転軸４８を左廻
り方向（第１図において反時計廻り方向）へ同一
回転される（第４図参照）。次に、押え移送装置
４２について、第４図を参照して詳述することに
する。受皿板４３の回転軸４８は中空軸となつて
おり、同回転軸４８に中空軸からなる第１の作動
軸５２が遊挿されかつその作動軸５２に第２の作
動軸５３が遊挿されている。各作動軸５２，５３
は回転軸４８と同一軸心をなすように、フレーム
１０に回転可能にかつ上下動（軸方向移動）可能
に支持されている。第１の作動軸５２の上端には
略半円形状をした第１の押付枠４４が逆Ｌ字状の
取付板５４を介して懸吊状に取付けられている。
この押付枠４４は円弧状をした複数本の骨材を主
体に水平状に枠組みされており、受皿板４３と平
行をなしている。第２の作動軸５３の上端には略
半円形状をした第２の押付枠４５が逆Ｌ字状の取
付板５５を介して懸吊状に取付けられている。こ
の第２の押付枠４５は第１の押付枠４４と同様に
円弧状をした複数本の骨材を主体に水平状に枠組
みされており、第１の押付枠４４に対し相対的に
回動および上下動を成し得るようになつている。
第１の作動軸５２の下端は受皿板４３の回転軸４
８より下方へ伸び、また、第２の作動軸５３の下
端は第１の作動軸５２より下方へ延びている。こ
れら、各作動軸５２，５３の下端部にはそれぞれ
次に詳述する作動機構５６，５６が装設されてい
る（第５図参照）。各作動機構５６，５６は、作
動軸５３，５２に突出された突出棒５７と、中央
がフレーム１０にピン５８で回動可能に取付けら
れかつその上端の二股部５９が突出棒５７に係合
された揺動アーム６０と、左端が揺動アーム６０
の下端にピン６１で回動可能に取付けられた連結
アーム６２と、外端部に連結アーム６２の右端が
ピン６３で回動可能に取付けられかつ中心軸６４
が駆動装置（図示しない）により回転される作動
円板６５とからなり、同円板６５の回転によつて
作動軸５３，５２に往復回転運動を与える。さら
に、作動軸５３，５２に突出棒５７より上方位置
において相反方向に突設された係合ピン６６，６
６と、中央部がフレーム１０にピン６７で回転可
能に取付けられかつその左端の二股部６９に設け
た長孔７０，７０に係合ピン６６，６６が係合さ
れた支持アーム６８と、上端が支持アーム６８の
右端にピン７１で回動可能に取付けられた連結ア
ーム７２と、外端部に連結アーム７２の下端がピ
ン７３で回動可能に取付けられかつ中心軸７４が
駆動装置（図示しない）により回転される作動円
板７５とからなり、同円板７５の回転によつて作
動軸５３，５２に往復上下運動を与える。すなわ
ち、作動軸５３，５２は往復回転運動と往復上下
運動との複合運動を行ない、押付枠４５，４４が
が左廻り方向（第１図において反時計廻り方向）
へ回転されるときには、同押付枠４５，４４のあ
る一点が上死点と下死点との間の中間点から下死
点を通つて右中間点に略Ｕ字状に移動し、押付枠
４５，４４が右廻り方向（第１図において時計廻
り方向）へ回転されるときには、同押付板４５，
４４のある一点が右中間点から上死点を通つて左
中間点に略逆Ｕ字状に移動する。なお、左右の中
間点は油面Faとほぼ等しい位置に存在してい
る。しかして、第１の押付枠４４と第２の押付枠
４５とは相反する運動関係（半周期の位相関係）
をなすように各々の作動機構５６，５６が設定さ
れている。これら押付枠４４，４５の相互運動に
より、前記羽根車４１にて移送されてきた素材Ｓ
が左廻り方向（第１図において反時計廻り方向）
へ円弧状にかつ波状に押し沈めらながら移送され
る。なお、ブラケツト２５の右端から鍋体１１の
後側板には受皿板４３の略左半周上を円弧状にと
り囲む第３のガイド板７６が架設されている。

押え移送装置４２の両押付枠４４，４５の前部
右方には、適数個（本例では３個）の羽根車７７
〜７７が適当間隔で配設されている。各羽根車７
７〜７７は鍋体１１の前側板と、取出口１３後側
に左方へ突設された前側支持片７８との間に回転
可能に架設され、駆動装置（図示しない）によつ
て左廻り方向（第２図において反時計廻り方向）
へ回転される。この羽根車７７〜７７の回転によ
り、前記押え移送装置４２にて移送されてきた素
材Ｓが右方へ移送される。

鍋体１１の取出口１３には搬出コンベヤ７９が
傾斜状に設けられている。この搬出コンベヤ７９
は、取出口１３の前側板と後側板との間に回転可
能に架設されたローラ８０，８０に対し、鎖材を
網組みしてなる網ベルト８１を張設したものであ
り、その網ベルト８１は適宜の駆動装置（図示し
ない）によりローラ８０，８０を介して右廻り方
向（第２図において時計廻り方向）へ回転され
る。この搬出コンベヤ７９は、羽根車７７，７７
にて移送されてきた素材Ｓを受けて食用油Ｆ中か
ら右上方へ斜状に引揚げて搬出し、さらに右方に
設けられた収納容器（図示しない）へ排出する。
なお、この網ベルト８１には前記の中間コンベヤ
３４の網ベルト３９と同様にプレート８１ａ〜８
１ａが略等間隔で配設されている。

次に、上記した油揚機により揚物を油揚げする
場合について述べる。まず、鍋体１１内に食用油
Ｆを貯溜し、加熱装置１４，１４を点火して、食
用油Ｆを適温（油揚げ温度）に昇温させるととも
に、各駆動装置を始動させる。そこで、予め成形
機により所定形状に成形された素材Ｓを第１の回
転板１５上の食用油Ｆ中へ投入する。投入された
素材Ｓは、当初その自重で食用油Ｆ中に沈み、第
１の回転板１５によつて順次移送される。この移
送がほぼ半周程度過ぎると、素材Ｓはそれの遠心
力および食用油Ｆの流れの影響を受けて、第２の
回転板１６上に滑り移動する。この時、左側支持
片２４により、素材Ｓの投入口１２への戻り移送
は防止される。また、これまでの油揚げにより食
用油Ｆ中に浮遊あるいは食用油Faに浮上した素
材Ｓは、第１の移送コンベヤ２３にて第２の回転
板１６側へ移送される。第２の回転板１６により
移送される素材Ｓはその途中までの間に適度に油
揚げされて食用油Ｆ中に浮遊あるいは油面Faの
浮上し、その後は、その第２の回転板１６による
食用油Faの流れによつて円弧状に移行する。こ
の素材Ｓは第２の移送コンベヤ３１にて右方へ直
線状に移送されたのち、中間コンベヤ３４によつ
て食用油Fa中から引揚げられ、さらに右方へ水
平移送される。この素材Ｓは同コンベヤ３３の終
端にて誘導板４０に当たつて反転案内され、食用
油Ｆ中へ落下投入される。この素材Ｓは羽根車４
１〜４１にて左方へ移送され、この後、押え移送
装置４２の両押付枠４４，４５の相互運動によ
り、波状に押し沈められながら円弧状に移送され
ていく。これにより移送された素材Ｓは羽根車７
７〜７７により右方へ移送されるまでに油揚げが
完了され、その後、搬出コンベヤ７９により食用
油Ｆ中から引揚げられて収納容器へ搬出される。

なお、上記実施例より他の技術的手段として次
のものが考えられる。

(a) 回転板１５，１６を２枚以上並設すること。

(b) 第２の回転板１６の一部を第１の回転板１５
の上方に近接状に重合すること。

(c) 回転板１５．１６の小孔２２〜２２を排除す
ること。

（考案の効果） すなわち、この考案は、上記した構成を要旨と
するものであるから、食用油中に投入した揚物の
素材を複数枚の回転板により蛇行状に移送するこ
とによつて油揚げすることができ、素材の油揚げ
するに必要な移送距離を狭い設置スペースにおい
て可及的に長く設定することによつて確保するこ
とができ、これによつて油揚機の小型化を図るこ
とが可能である。また、回転板を水平回転させる
駆動機構は、食用油中に浸漬しないように装備す
ることが可能で、素材の揚げかすや揚げくず等に
よる同機構の故障を解消することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は油揚機の平面略示図、第２図は油揚機の油揚
工程にしたがう展開断面の略示図、第３図は第１
図の回転板および第２の回転板の断面説明図、第
４図は押え移送装置の断面図、第５図は押え移送
装置の作動機構を示す略示斜視図である。 １１……鍋体、１４……加熱装置、１５，１６
……回転板、Ｆ……食用油、Ｓ……素材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 食用油を貯溜しかつ加熱装置により加熱される
   鍋体の底部に、複数枚の回転板をそれぞれ水平回
   転可能に配設し、相互に隣接する回転板は相反方
   向へ回転させるとともに、同回転板の一部を近接
   状に重合せしめたことを特徴とする油揚機。