JPS6229606Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はカムシヤフトに関するものである。

近年、内燃機関においては、省エネルギーの観
点から軽量化が要請される一方では、高速化と高
出力化が要請されている。それに伴ない、カムシ
ヤフトにおいても、軽量で且つ強度、耐摩耗性に
優れ、更に生産性にも優れたカムシヤフトが要求
されているのが現状である。

従来のカムシヤフトは比較的低負荷のものでは
鍛造カムシヤフトも使用されていたが、内燃機関
の性能向上により、一般に耐摩耗性の優れた焼入
れまたはチルド化された鋳鉄カムシヤフトが使用
されている。

ところが、鋳鉄カムシヤフトは一般的に重量が
重く、且つ強度的にも特別優れたものではなく、
さらには大型のカムシヤフトを鋳造する場合、曲
りや鋳造欠陥が生じ易く、その上チルド層、焼入
れの管理に特別の技術を要する等、製造上技術的
に困難な場合が多い。

これに対して、強度と軽量化を向上させるため
に、カムロブを焼結合金とし、ステムを鋼管で形
成した、即ち、各部材を異種材料で形成したカム
シヤフトが知られている。

しかし、このカムシヤフトにおいては、いずれ
も各部材を直接ステムに組付けるため種々の問題
がある。まず各部材をステムに対して軸方向及び
回転方向に位置決めするための溝やピンをステム
に設けねばならないため複雑な工程を要するばか
りか、ステム強度も低下する。次にステムに組付
けた状態のままろう付や焼結を行つてステムと各
部材の結合が達成されるため一ケ所でも結合不良
があるとカムシヤフト全体が使用不能となる。さ
らに焼結合金は通常の溶接で鋼製ステムと結合し
ようとしても溶接性が悪い。又ろう付する場合に
鋼製のジヤーナル、ギアと焼結合金製カムロブと
鋼製ステムを結合するに適当なろう剤がなく、ろ
う付による結合にも不安がある。一方カムロブの
み未焼結のままでジヤーナル、ギアと共にステム
に組付け、この組付体を焼結炉中で焼結して結合
させた場合、結合強度は得られるものの生産効率
が悪いだけでなく焼結加熱によるステムの曲がり
や歪の発生がある。

本考案は、上記の課題を解消するために、焼結
合金製カムロブを外周側に固着したカラーを備
え、ジヤーナル、カラー及びギアの軸方向端面を
それぞれ当接させ、ジヤーナル、カラー及びギア
をステム外周側に固着させることにより、ステム
部の強度を向上させ且つ生産性の高いカムシヤフ
トを提供することを目的とするものである。

以下本考案を具体化した実施例を図面に基づい
て説明する。第１図は、本考案のカムシヤフトの
一実施例を示したものであり、鋼パイプ製のステ
ム１外周側にはジヤーナル４，４…、ギア５、外
周側にカムロブ３を固着したカラー２，２…がそ
れぞれの軸方向端面を当接した状態で結合されて
いる。このジヤーナル４、ギア５、及びカラー２
をステム１外周側に組付ける場合には、第１図の
左右いずれか一方、例えば図中左端から、ジヤー
ナル４、カラー２、ギア５、カラー２…の順でス
テム１に組付ける。この組付け固定手段としては
圧入、焼きばめのいずれでもよい。また、ステム
１の一端にはキヤツプ８を、他端にはベルト車９
を装着するためのブツシユ７を結合する。

第２図は本考案のカムシヤフトの他の実施例を
示したものである。図中、第１図の各構成要素と
同一構成要素には同一符号を付するものとする。
この実施例においては、各カムロブ３毎にカラー
２を一体に設けている。これにより、カムロブ３
とカラー２との回転位置決めを不要とすることが
できる。また、カムロブ３をカラー２の端部に配
設したので軸方向の位置決めも不要となる。

第３図は、カラー２とカムロブ３とを特殊溶接
により結合した状態を示したものである。

以上実施例に示す如く本考案にあつては焼結合
金製カムロブをステムに固着するのでなく、予め
カラーに固着して、カラーをステムに固着するた
め種々の結合方法が可能となる。

まずカムロブ３を圧紛体または１次焼結体の状
態でカラー２と組付け、焼結することでカムロブ
３を収縮させ、かつ拡散を進行させてカラー２と
固着する。この方法ではカラー２とカムロブ３の
みを焼結炉中に通すため生産能率が高いばかりか
結合強度も充分なものが得られる。これはカムロ
ブ３とカラー２をろう付する場合も焼結合金のろ
う付に適した条件のろう付を行うことができ生産
能率と結合度が得られる。

一方、本考案はカラー２を備えたので、第３図
に示す如くカムシヤフトの如き複雑な形状物では
不可能であつた高エネルギービーム１０（電子ビ
ームやレーザー）を照射してカラー２とカムロブ
３とを特殊溶接することもできる。

第４図は本考案カムシヤフトの更に別の実施側
を示したものである。図中、第２図と同様に第１
図の構成要素と同一構成要素には同一の符号を付
するものとする。この実施例においては、ジヤー
ナル４及び歯車５に位置決め用突起４０を、また
この位置決め用突起４０と嵌合する孔２０をカラ
ー２に設ける。この位置決め用突起４０をカラー
２の孔２０と嵌合させてジヤーナル４、カラー
２、歯車５を組付け、しかる後にステム１をジヤ
ーナル４、カラー２、歯車５に対し圧入してカム
シヤフトを構成する。このステム１を圧入しても
カムシヤフトは充分な強度を有するが、焼ばめし
て固着してもよい。更に圧入または、焼ばめした
後、カラー２、ジヤーナル４、ギア５をステム１
と溶接またはろう付してもよい。また、カムロブ
３を固着した状態でカラー２のみを焼入れするこ
とが可能であり、カムシヤフト全体を焼入れしよ
うとした場合に心配される焼割れの発生の危険が
ない。

以上述べたように本考案は、カムロブとカラー
の結合手段に制約がないためこの結合強度を強く
し得るばかりでなく、カラーとステムとは接触面
積が広いため、極めて強固に結合され、しかも両
者は二重構造を形成するのでカムシヤフトとして
のねじり曲げに対する剛性が増大する。また、カ
ムロブは各カラー単位で位置決めを必要とするだ
けであるため、ステムやカラーに位置決め用溝ま
たは穴を穿つ必要がないので、ステム、カラーの
機械的強度を増大させることができる。

また、ジヤーナル、カラー、ギアなどの部材が
軸方向端部を当接して組立てられるために、軸方
向の位置決めが不要であり、しかもカムロブは各
カラー単位で位置決めを必要とするだけであるた
め回転位置決めし易く特別な割出し装置を必要と
しないので生産性を向上させることができる。ま
た、カムロブをカラーの外周側に結合させるもの
であるから、両者を予め組立てておくことがで
き、しかも両者の結合手段も種々選択でき、特に
カムロブを圧紛体のままカラーと組付け焼結させ
て結合することもでき、しかも、カラーが独立し
ているので、カムロブを結合したカラーのみを熱
処理することができる等種々の利点を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案カムシヤフトの一実施例を示す
縦断側面図であり、第２図は本考案カムシヤフト
の別の実施例を示す縦断側面図の一部であり、第
３図はカラーとカムロブとを結合した状態図であ
り、第４図は本考案カムシヤフトの更に別の実施
例を示す分解側面図である。 図中、１……ステム、２……カラー、３……カ
ムロブ、４……ジヤーナル、５……ギア、２０…
…孔、４０……位置決め用突起である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 焼結合金製カムロブをステムに組付けてなるカ
   ムシヤフトにおいて、カムロブ３を外周側に固着
   したカラー２を備え、ジヤーナル４、カラー２及
   びギア５の軸方向端面をそれぞれ当接させ、ステ
   ム１はカラー２、ジヤーナル４、ギア５によつて
   完全に内包され、ステム１の全外周面がこれらと
   固着されていることを特徴とするカムシヤフト。