JPS6218250B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 本発明は線状体の撚合せ機、特に通信用電線や
光フアイバー心線等の張力に弱い線状体を撚り合
わせるケージ型撚合せ機の改良に関するものであ
る。

ロ 従来技術 通信用電線や光フアイバー心線はこれを複数本
撚り合わせてユニツトとし、さらにユニツトを複
数本集合してケーブルとするのが通常である。こ
の線状体の撚り合わせには数種の撚合せ機が用い
られるが、その中でケージ型の撚合せ機が多く使
用される。これらの撚合せ機において撚り合わせ
た線状体の捩りによる内部歪を防止し、且つ切断
した時端末でばらけるのを防ぐために各線状体に
撚り返しをつけて撚り合わせるのが普通であり、
特に光フアイバー心線の場合には内部歪が性能を
害するので撚り返しが必要である。又特に張力に
弱い線状体、特に光フアイバー心線等を撚り合わ
せる場合には線状体の張力を常に低い値で一定に
保つ必要があり、そのためクレードル毎に線状体
を巻いたボビンからの線状体の繰り出し速度をク
レードル内部にもうけた可変速電動機で各個に制
御することが行われており、この技術は公知であ
る。

従来のケージ型撚合せ機を説明すると、第１図
に示すように、主軸１が装置のスタンドにもうけ
られた軸受２及び３によつて回転自在に支持さ
れ、主軸１には２つのデイスク４，５が固定され
ており、主軸１は主原動機６２によつて回転駆動
されるようになつている。デイスク４，５の間に
複数個のクレードル６がデイスク４，５にもうけ
た軸受８，９によつて回転自在に支持され、各ク
レードル６内には線状体を巻いたボビン７が回転
するように支持されている。クレードル６は、第
２図に示すように、撚り合わせる線状体の本数に
従つて主軸１に同心に複数個配置され、デイスク
５にもうけられた歯車２１，２２，２３の歯車群
によつて主軸１が回転するとき主軸１の廻りに公
転するが自転せず、常に一定の平面を維持して撚
り返し作用を行うようになつている。

各クレードル内には、第１図、第１ａ図に示す
ように、ガイドローラー１０，１１がもうけら
れ、ガイドローラー１０はクレードルに固定した
軸を中心として回転し、ガイドローラー１１の軸
はガイドレール１３にガイドされて図面の矢印７
０の方向にスライドするようになつており、ガイ
ドレール１３には場合により張力付加装置が組み
込まれて繰り出し線状体２０の張力を弱い一定張
力に保つようになつている。線状体２０はボビン
７からガイドローラー１０、ガイドローラー１１
を通つてクレードル６から繰り出されるが、ガイ
ドローラー１１の位置は位置検出器（図示せず）
によつて検出され、その検出信号はクレードル６
内にもうけられたコントローラー１６にフイード
バツクされてボビン駆動用電動機１２からベルト
によつて駆動されるボビン７の回転をコントロー
ルし、ガイドローラー１１の位置が常に一定の位
置にあるように繰り出し線速がコントロールされ
る。従つて線状体２０は張力が殆ど零或いは一定
の弱い張力の状態でボビン７、従つてクレードル
６から繰り出されることになる。コントローラー
１６、ボビン駆動用可変速電動機１２にはクレー
ドル軸端及び主軸端にもうけられたスリツプリン
グ１４及び１５を通じて外部電源から給電される
ようになつている。

線状体２０はガイドローラー１１をへてクレー
ドル６のデイスク４側の軸孔、デイスク４に取り
付けられたガイドローラー１７を通り、撚り合わ
せ目板１８によつて整列されて撚合せダイ１９の
孔の中で撚り合わせられて撚線７２となる。

このケージタイプ撚合せ機によれば線状体２０
はガイドローラー１１の位置からの検出信号によ
つて制御された駆動用可変速電動機１２により駆
動されるボビン７から殆ど張力零で繰り出され、
線状体２０の撚り合わせ時の張力は移動側ガイド
ローラー１１のガイドレール１３にもうけられた
張力付加装置により付加される張力のみとなり、
低張力で一定張力の撚り合わせ作業を行うことが
できる。尚第１図に示すように、主軸１の中心に
孔をもうけ、該孔に中心線７３を通してその外側
に線状体２０を撚り合わせることもできる。また
主軸１の回転を急速に停止するためブレーキ７４
がもうけられている。

以上が張力に弱い線状体を撚り返し付きで撚り
合わせる従来のケージ型撚合せ機の普通の構造で
ある。

ハ 発明が解決しようとする問題点 上記のような従来のケージ型撚合せ機では電気
機器であるコントローラー１６、ボビン駆動用電
動機１６等が各クレードル６内に各別個に組み込
まれており、しかして各クレードル６は撚り合わ
せ作業中には大きな直径で公転する。従つて各ク
レードル６内のコントローラー等の電気機器には
常に大きな遠心力が負荷され、また大きな機械振
動が加わることが避けられない。従つて特にコン
トローラー内のリレーやスイツチ等の機械的動作
を行う部品の誤動作の危険が大きく、また故障も
発生し易い欠点がある。またコントローラー等の
電気機器を各クレードルに分散配置しているため
全体の構造が複雑で保守性が悪い。さらに個々の
クレードル内に電気機器をもうけるのでクレード
ルが大型化し、従つて機械全体が大型となつてク
レードルの公転の直径が大となつて益々遠心力の
影響が大きくなる欠点を有する。

本発明は従来のケージ型撚合せ機のこのような
欠点を解消することを目的とするものである。

ニ 問題点を解決するための手段 この発明はケージ型撚合せ機において、 イ 主軸と同軸で回転自在に線状体のボビンを収
容するクレードルの数と同数（撚り合わせる線
状体素線の最大本数）のリング状で内側に内歯
歯車、外側にベルトホイール或いは歯車をもう
けた内歯歯車リングＡ群とそれに対応する同数
の内歯歯車リングＢ群をもうける ロ 前記Ａ群とＢ群の対応する内歯歯車リング
を、内歯歯車の内方において両端に各内歯歯車
と噛み合う歯車を有する軸によつて独立に連結
する ハ 内歯歯車リングＡ群の各内歯歯車リングの外
側のタイミングベルト車或いは歯車とそれに対
応する各クレードル内の線状体を巻いたボビン
を駆動する軸をタイミングベルト或いは歯車の
組合せによつて連結する ニ 内歯歯車リングＢ群の各々は装置の外部にも
うけたそれに対応する各々の可変速電動機によ
つて駆動する ホ 各クレードルの線状体の繰り出し速度をクレ
ードル内にもうけた張力検出器からの信号によ
り各可変速電動機を制御することによつて制御
する 構造として、線状体繰り出し速度を撚り合わせ
速度に一致せしめて低張力の一定張力の線状体の
撚り合わせを行うようにして、前記従来装置の欠
点を解消したものである。

以下本発明を具体的に実施例の図面を用いて説
明する。

ホ 実施例 実施例 １ 第３図は４本の線状体を撚り合わせるための本
発明の撚合せ機の実施例を示す要部断面正面図で
ある。本発明においても一般に撚合せ機のスタン
ド、主軸、クレードル及びその配置、クレードル
内のガイドローラーや線状体の張力検出器、クレ
ードルからの線状体の繰り出し径路、撚り合わせ
ダイの部分は従来の撚合せ機と同じであり、図面
の部分番号は第１図と同じである。但しクレード
ル内にはコントローラー、ボビン駆動用電動機等
の電気機器はもうけられていない。

第３図の撚合せ機について、先ず線状体（クレ
ードル）の撚り返し機構について説明する。

クレードル６を回転自在にデイスク５に支持す
る中空の回転軸２８にチエーンスプロケツト２４
が固定され、チエーン２７を介してチエーンスホ
イール２５に連結されている。チエーンホイール
２５はリング状の撚り返し用内歯歯車リング（以
下Ｙ内歯歯車リングという）２９の外周に一体と
なつてもうけられている。Ｙ内歯歯車リング２９
は内周に内歯歯車を有し、主軸１に対し軸受２６
により回転自在に取り付られている。Ｙ内歯歯車
リング２９の内歯歯車にはその内周に噛み合う歯
車３０が係合し、歯車３０の回転軸３１は主軸１
内の孔３６に軸受３２，３３によつて回転自在に
支持され、軸３１の他端には歯車３５が固定され
ている。歯車３５は主軸１に軸受３４によつて回
転自在に支持された他の撚り返し用内歯歯車リン
グ（以下同じくＹ内歯歯車リングという）３７の
内歯歯車と噛み合つている。即ちＹ内歯歯車リン
グ２９とＹ内歯歯車リング３７は主軸１内の孔３
６を通る軸３１を介して連結されている。

この構造によれば、Ｙ内歯歯車リング３７の内
歯歯車の歯数をT₃₇、歯車３５をT₃₅歯車３０の
歯数をT₃₀、Ｙ内歯歯車リング２９の内歯歯車の
歯数をT₂₉として、歯数を Ｔ_３５／Ｔ_３７×Ｔ_２９／Ｔ_３０＝１ の関係に設定すると、主軸１が回転してもＹ内歯
歯車リング３７とＹ内歯歯車リング２９は空間に
対して同一回転をする。例えばＹ内歯歯車リング
３７を撚合せ機のスタンドに固定しておくと主軸
を回転して撚り合わせ作業を行つてもＹ内歯歯車
リング２９は空間に固定され回転しない。それ故
Ｙ内歯歯車リング２９の外側にもうけられたチエ
ーンホイール２５とチエーンスプロケツト２４の
歯数を同じにしておけばクレードル６は主軸１が
回転しても主軸１の周囲を公転するだけで自転せ
ず、従つて完全な撚り返し作用が行われる。クレ
ードル６の回転軸２８にはチエーンスプロケツト
２４の他にチエーンスプロケツト６６が固定され
ている。撚合せ機では複数のクレードル６′，
６″等があるが、別のクレードル６′，６″等の回
転軸２８′，２８″等にもうけられたチエーンスプ
ロケツト６６′，６６″等と前記チエーンスプロケ
ツト６６とをチエーンで連結してあるので、別の
クレードル６′，６″等は全べてクレードル６と同
じ運動即ち自転のない公転のみの運動をする。従
つて全クレードル即ち全べての線状体素線の撚り
返し作用が行われる。この場合にＹ内歯歯車リン
グ３７を撚合せ機のスタンドに固定せず、主軸１
の回転に比例して適当な回転を与えると繰り出さ
れる線状体に任意の角度の撚り返しを与えること
ができる。

次ぎにボビンから線状体を繰り出す作動につい
て説明する。

クレードル６の場合を説明するのが他のクレー
ドル６′，６″等についても同様である。第４図に
示すようにクレードル６のデイスク５を貫通する
軸２８の内部に軸受４０，４０′によつて支持さ
れる軸３９がもうけられ、軸３９の一端にベルト
車４１がとりつけられている。ベルト車４１はベ
ルト４２、ベルト車４３、軸４４、ベベルギアー
４５及びそれに噛み合うベベルギアー４６を介し
てボビン７を回転する軸４７に連結されている。
従つて軸３９を回転駆動するとボビン７から線状
体が繰り出される。一方軸３９の他端にはタイミ
ングベルト車４８が固定され、そのタイミングベ
ルト車４８はタイミングベルト５０によつて、軸
受５１により主軸１に回転自在に取りつけられた
内歯歯車リングＡ群の一つであるリング状の内歯
歯車リング４９の外側に一体にもうけられたタイ
ミングベルト車５２と連結されている。内歯歯車
リング４９はリング状をしており、その内側には
内歯歯車がもうけられている。この内歯歯車の内
径部に内歯歯車と係合する歯車５３があり、該歯
車５３の回転軸５４は主軸１の内部の孔３７内に
軸受５５，５５′によつて支持され、回転軸５４
の他端には歯車５６が取りつけられている。歯車
５６は主軸１に軸受５８によつて回転自在に支持
された内歯歯車リングＢ群の一つであるリング状
の内歯歯車リング５７の内歯歯車と係合してい
る。内歯歯車リング５７の外側には一体にタイミ
ングベルト車５９がもうけられ、タイミングベル
ト６０を介して可変速電動機６１と連結されてい
る。

以上の構造にすると、内歯歯車リング５７の歯
数をT₅₇、歯車５６の歯数をT₅₆、歯車５３の歯
数をT₅₃、内歯歯車リング４９の歯数をT₄₉、タ
イミングベルト車５２とタイミングベルト車４８
の歯数をそれぞれT₅₂，T₄₈とし、又内歯歯車リ
ング５７の回転数をN₁、タイミングベルト車４
８のクレードル６に対する回転数をN₂、主軸１
の回転数をN₃とすると （N₁−N₃）ｉ＝（N₂−N₃） 但し ｉ＝Ｔ_５７／Ｔ_５６×Ｔ_５３／Ｔ_４９×Ｔ_５２
／Ｔ_４８ の関係が成立する。従つてｉ＝１となるように歯
数を設定しておくと、主軸１の回転数即ちクレー
ドルの公転回転数と関係無くＮ＝Ｎとなる。すな
わちクレードル６内のボビン７を駆動するタイミ
ングベルト車４８のクレードルに対する回転数は
可変速電動機６１によつて駆動される内歯歯車リ
ング５７の回転数と一致する。従つて可変速電動
機６１の回転数とボビン７の回転数は比例するの
で、可変速電動機６１を制御することによつてボ
ビン７からの線状体の繰り出し速度を制御するこ
とができる。

複数本の線状体を撚り合わせる複数個のクレー
ドルを有する撚合せ機において、各クレードル内
のボビンを駆動する機構は前記と同様である。す
なわち各クレードルに対応して内歯歯車リングＡ
群、内歯歯車リングＢ群のそれぞれを対応させて
もうけるのである。

この場合に内歯歯車リングＡ群と内歯歯車リン
グＢ群を連結する複数の軸５４等が重複しないよ
うな配列とする必要がある。

例えば４個のクレードルを有する撚合せ機にお
いては、第５図（第３図の装置のＣ−Ｃ断面図）
に示すように、主軸１内で撚り返し用の軸３１を
通す軸孔３６があり、その他の部分の軸角を４等
分する位置に４個のクレードルのボビン繰り出し
駆動用の軸及び軸孔が配列されている。この断面
の位置では主軸１の外側に内歯歯車リングＡ群中
の第４クレードルに対応する内歯歯車リング４９
（タイミングベルト車５２がもうけられてい
る）が回転自在にもうけられ、且つ図示のように
主軸１の一部が切り欠かれており切り欠きの内部
には内歯歯車リング４９の内歯歯車と噛み合う
歯車５３がもうけられている。歯車５３の軸
５４は主軸１の内部の孔を貫通して他端には歯
車５６（図示せず）がもうけられ内歯歯車リン
グＢ群の対応する内歯歯車リング５７の内歯歯
車と噛み合つている。この機構により可変速電動
機６１によつて駆動される内歯歯車リングＢ群
の内歯歯車リング５７の回転は内歯歯車リング
Ａ群の内歯歯車リング４９に伝達され、内歯歯
車リング４９の回転はタイミングベルト車５２
から第４クレードルのボビン回転駆動軸に伝達
される。斯くして第４クレードルのボビンに巻か
れた線状体の繰り出し速度は外部にある可変速電
動機６１のみによつて他のクレードルとは別に
独立に制御することができる。前述の通り、第４
図に示すように、第１〜３クレードルの各クレー
ドルに対応する内歯歯車リングＢ群と内歯歯車リ
ングＡ群はその内歯歯車の内側で主軸１内の別の
位置を通る軸５４，５４′，５４″によつて第４ク
レードルの場合と同じように連結されているので
相互に干渉することがなく第１〜４各クレードル
のボビンからの線状体の繰り出し速度を独立に各
可変速電動機６１，６１′，６１″，６１によつ
てそれぞれ制御できる。

すなわちこの構造によれば、各クレードルの線
状体繰り出しボビンを駆動するのに、対応する内
歯歯車リングＡ群の外側のタイミングベルト車５
２等からタイミングベルト５０等を用いて行い、
且つ内歯歯車リングＡ群は対応する内歯歯車リン
グＢ群とそれぞれの内歯歯車より内側で軸５４等
の両端の歯車５３，５６等により連結されてお
り、内歯歯車リングＢ群の各内歯歯車リング５７
等は主軸１の外側からタイミングベルト６０等で
各可変速電動機６１等により駆動するようになつ
ているので、撚り合わせのため主軸１が回転して
クレードルが公転してもタイミングベルト５０等
が干渉することがなく各クレードルの線状体の繰
り出し速度を撚合せ機本体の外部にもうけた各可
変速電動機によつて対応する内歯歯車リングＢ群
を駆動することによつて行うことができる。

本撚合せ機においても第３図から分かるように
主原動機６２によつて主軸１を回転すれば従来の
撚合せ機と同様に撚り合わせ作業をすることがで
きる。その際の線状体の張力調整に付き第１クレ
ードルを例にとつて説明すると、クレードル内の
ボビン７に巻かれた線状体２０はガイドローラー
１０，１１，１７を通つて繰り出されて撚り合わ
せられる。従来装置同様に移動側のガイドローラ
ー１１の位置が位置検出器（図示せず）によつて
検出され、その検出信号はスリツプリング１４及
び１５から外部に取り出されて集中コントローラ
ー６３にフイードバツクされ、集中コントローラ
ー６３はそのクレードルに対応する可変速電動機
６１の回転（即ち対応する内歯歯車リングＢ群、
内歯歯車リングＡ群、ボビンの回転）を制御して
ガイドローラー１１の位置が常に一定であるよう
にボビンからの線状体の繰り出し速度を制御す
る。他のクレードルについても同様である。従つ
て本撚合せ機によつて低張力で一定の張力を保持
しながら素線の撚り合わせができる。

実施例 ２ 第６図は他の実施例を示す図面である。この場
合にも主軸１に取り付けられたデイスク５、デイ
スクに回転自在に取りつけられたクレードル７、
クレードル内のボビン７を駆動する構造は前記実
施例１と同じであり、図面の部品番号は同じ部品
を示すものである。

この実施例においては、主軸１の一部の外側に
中空軸６４が同軸にもうけられ、中空軸６４は一
端で撚合せ機のスタンドに固定されている。すな
わち中空軸６４は主軸１が回転しても空間に固定
（静止）している。中空軸６４の他端にはチエー
ンスプロケツト６５がもうけられ、クレードル７
の回転軸２８に固定されたチエーンスプロケツト
２４とチエーン２７によつて連結されている。両
チエーンスプロケツトの歯数は同じにしてあり且
つ中空軸６４は空間に固定されているので主軸が
回転してクレードルは公転してもも自転せず、即
ち線状体素線は撚り合わせに際して捩れることは
なく、従つて完全な撚り返し付き撚り合わせが行
われる。そして全べてのクレードルの自転を同じ
にすることは実施例１の場合と同様である。中空
軸６４の外周には実施例１のように各クレードル
に対応して、線状体を巻いたボビンを駆動するた
めの軸３９にもうけられたタイミングベルト車４
８とタイミングベルト５０によつて連結されたタ
イミングベルト車５２を外側に有するリング状の
内歯歯車リング４９（内歯歯車リングＡ群の一つ
である）とそれに対応する内歯歯車リング５７
（内歯歯車リングＢ群の一つである）が回転自在
にもうけられている。内歯歯車リング４９と内歯
歯車リング５７は内歯歯車リングの内歯歯車の内
径部において両端に歯車５３，５６を有する軸５
４によつて連結されている。各クレードルに対し
ても同様の駆動機構であり、すなわちそれぞれに
対応する複数の内歯歯車リングＡ群とそれぞれに
対応して相互に連結された複数の内歯歯車リング
Ｂ群がもうけられており各クレードル内のボビン
が駆動される。内歯歯車リングＡ群と内歯歯車リ
ングＢ群を連結する軸５４は実施例１の場合のよ
うに中空軸内に円周を等分する位置に配置され相
互に干渉することがない。

この構造によつても内歯歯車リングＢ群の各内
歯歯車リングを撚合せ機の外部にもうけた複数の
対応する可変速電動機６１等で駆動すると各クレ
ードルのボビンが独立に回転する。従つて各クレ
ードルのボビンからの線状体の繰り出し速度を各
可変速電動機の回転を制御することによつて制御
することができる。

以上の説明においては４個のクレードルの場合
を例に説明したが、それ以上或いは以下の数のク
レードルの場合にも適用できることは勿論であ
る。又実施例１では撚り返しのためのＹ内歯歯車
リング３７、実施例２では中空軸６４を撚合せ機
のスタンド（従つて空間）に固定した完全撚り返
しの撚り合わせ作業の場合を説明したが、いずれ
の実施例においてもＹ内歯歯車リング３７或いは
中空軸６４を主軸１と同じ回転とすれば撚り返し
無しのケージ型撚合せ機となり、又Ｙ内歯歯車リ
ング３７或いは中空軸６４を主軸１に比例して適
当な回転数で回転させると適当な撚り返し角度を
有する撚り合わせ作業とすることができる。この
場合には主軸１を駆動する主原動機或いは主軸か
ら適当な減速機を介してＹ内歯歯車リング３７或
いは中空軸６４を駆動すればよい。また内歯歯車
リングＡ群、Ｂ群の外周にはタイミングベルト車
をもうけてタイミングベルトによつてボビン駆動
軸や可変速電動機と連結する場合を説明したが、
ベルト駆動の代わりに歯車列等を用いて連結駆動
するようにしても同様の駆動が得られることは勿
論である。

すなわち本発明の撚合せ機は各クレードルに対
応して主軸に対して回転自在に相互に内歯歯車の
内方で歯車により連結された内歯歯車リングＡ群
と内歯歯車リングＢ群をもうけ、内歯歯車リング
Ａ群の外周のタイミングベルト車あるいは歯車に
より各クレードル内のボビンを駆動し、内歯歯車
リングＢ群の外周のタイミングベルト車あるいは
歯車をそれぞれ別の可変速電動機によつて駆動す
ることにより撚り合わせ素線の繰り出し速度を独
立に制御することを可能とし、従つて各クレード
ル内の張力検出装置の信号により集中制御装置を
通じて各撚り合わせ素線の張力を一定に保持しな
がら撚り合わせ作業ができるようにしたものであ
る。

ヘ 発明の効果 上記に詳しく説明したように、本発明はケージ
型撚合せ機において、撚合せ機の外部にもうけた
複数の可変速電動機によりそれぞれに対応する線
状体素線の繰り出しボビンを独立に回転、制御で
きるようにしたものであり、各クレードル内にも
うけた検出装置からの信号により各可変速電動機
を制御することによつて線状体素線の張力を制御
することができる。すなわちクレードル内には検
出装置以外の電気装置を必要としない。

この特徴により従来の装置に比し (1) クレードル内にコントローラー、可変速電動
機がないので、クレードルが小型軽量化し且つ
クレードルの公転半径を小さくできるので、ク
レードルの公転にともなう遠心力の影響が緩和
される。併せて撚合せ機全体が小型となり設備
コストが安く、しかも高速回転することができ
る。

(2) 複雑な電気のコントローラー、可変速電動機
等を撚合せ機の外部にもうけるので、クレード
ルの公転による機械振動、遠心力の影響を受け
ず、従つて誤動作や故障発生の危険が少ない。
又クレードルの構造が簡単になり、且つこれら
の機器が分散配置されている従来装置に比し保
守性が良くなる。

(3) コントローラーが分散配置でなく、集中制御
装置を用いて素線の繰り出し速度を制御するの
で制御装置のコストが安い。

等の利点を有するものであり、非常に有効なもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の撚合せ機の一部断面正面図、第
１ａ図はそきクレードル部の平面図、第２図は従
来の撚合せ機のＡ−Ａ断面図でクレードルの公転
の状態を示すものである。第３図は本発明の実施
例１の要部断面正面図であり、第４図はそのＢ−
Ｂ断面図、第５図はそのＣ−Ｃ断面図である。第
６図は本発明の他の実施例２を示す要部断面正面
図である。 １：主軸、２，３：主軸軸受、４，５：デイス
ク、６：クレードル、７：ボビン、８，９：クレ
ードル軸受、１０：固定ガイドローラー、１１：
移動ガイドローラー、１２，６１：可変速電動
機、１３：ガイドレール、１４，１５：スリツプ
リング、１６：コントローラー、１７：ガイドロ
ーラー、１８：目板、１９：撚り合わせダイ、２
０：線条体、２１，２２，２３：撚り返し用歯
車、２４，２５，４１，４３，６６：チエーンス
プロケツト、ホイール、ベルト車、２６，３２，
３３，３４，４０，５１，５８：軸受、２７，４
２：チエーン、２８：クレードル軸、２９，３
７：撚り返し用Ｙ内歯歯車リング、３０，３５，
５３，５６：歯車、３１，３９，４４，５４：
軸、３６，３８：孔、４５，４６：ベベルギア
ー、４７：ボビン軸、４８，５２：タイミングベ
ルト車、４９，４９，…：内歯歯車リングＡ群、
５０：タイミングベルト、５７，５７，…：内歯
歯車リングＢ群、６０：ベルト、６２：主原動
機、６４：中空軸、６６：チエーンホイール、７
２：撚線、７３：撚線の中心線、７４：ブレー
キ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 主軸に固定した２枚のデイスク間に線状体素
   線を巻いたボビンを取りつけた複数個のクレード
   ルを回転自在にもうけ、該クレードルを主軸を中
   心に公転しつつ線状体を引き出して撚り合わせダ
   イによつて線状体を複数本撚り合わせるケージ型
   撚合せ機において、 イ 線状体を巻いたボビンを収容するクレードル
   の数と同数のリング状で内側に内歯歯車、外側
   にタイミングベルト車あるいは歯車をもうけた
   内歯歯車リングＡ群とそれに対応する同数の内
   歯歯車リングＢ群を主軸の中心軸に対し回転自
   在にもうける ロ 内歯歯車リングＡ群と対応する内歯歯車リン
   グＢ群のそれぞれを内歯歯車の内方において両
   端に内歯歯車と噛み合う歯車を有する軸によつ
   て連結する ハ 内歯歯車リングＡ群の各内歯歯車リングの外
   側のタイミングベルト車あるいは歯車とそれに
   対応するクレードル内の線状体素線を巻いたボ
   ビンを駆動する軸とをタイミングベルトあるい
   は歯車の組合せによつて連結する ニ 内歯歯車リングＢ群の各々を撚合せ機の外部
   にもうけた対応する各可変速電動機によつて駆
   動する ホ 各クレードルの線状体の繰り出し速度をクレ
   ドル内にもうけた張力検出器からの信号により
   各可変速電動機の回転を制御することによつて
   制御する ことによつて一定の張力で線状体を撚り合わせる
   ことを特徴とする線状体撚合せ機。 ２ 内歯歯車リングＡ群、内歯歯車リングＢ群の
   他に同じ構造を有し相互に内歯歯車の内方で歯車
   により連結された２個の撚り返し用（Ｙ）内歯歯
   車リングをもうけ、１個の内歯歯車リングは一つ
   のクレードルを回転（自転）せしめる軸と連結
   し、他の１個は空間に固定するか或いは主軸の回
   転に比例して回転するように主原動機或いは主軸
   と連結し、且つ他の各クレードルは前記撚り返し
   用内歯歯車リングに連結して回転するクレードル
   と同じ回転をするように相互に連結するようにし
   て、完全な撚り返し或いは所定の撚り返し角度で
   線状体を撚り合わせることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の線状体撚合せ機。 ３ 主軸の外周に同軸に固定或いは回転可能に中
   空軸をもうけ、該中空軸に内歯歯車リングＡ群、
   内歯歯車リングＢ群を配置し、且つ中空軸の先端
   にスプロケツトホイール或いは歯車をもうけてク
   レードルの回転（自転）軸と連結したことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の線状体撚合せ
   機。