JPS6213957Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は管またはパイプの内面をシールするた
めの管端シール用具に関する。

例えば、熱交換器用の伝熱管には、外面の耐熱
性を向上するため電着塗装が施こされるが、その
場合、外面にのみ電着塗装を行なつて内面に塗料
が入らないようにすると共に管の両端の溶接を行
なう部分に塗料が付着しないように所謂マスキン
グが行なわれる。しかるに従来のこの種のマスキ
ングはゴム栓とテープによるものであり、即ち円
錐台の形状をしたゴム栓のテーパー部を管端に挿
入出来るところまで嵌め込み、ゴム栓と管端の接
触部にテープを２回程巻いて、そこから塗料が管
内に入らないようにするものであり、電着塗装の
終了後はテープを剥してゴム栓を抜き取つた後
に、塗料の付着およびテープの粘着剤を除去する
ため溶接部分をワイヤーブラシで磨かなければな
らなかつた。そのため、従来のマスキングでは、
ゴム栓の取付けに手間がかかり、テープは一回の
電着ごとに使い捨てのためコスト高となり、且つ
ゴム栓の圧入とテープの巻き付け不良があれば塗
料の付着およびゴム栓の抜けが生じる等、種々の
欠点があつた。

本考案は、管端のマスキングにおける上記従来
技術の欠点を克服するものであつて、それ故本考
案の目的は管端のマスキングを簡単に且つ確実に
行なうことができる管端シール用具を提供するこ
とである。

本考案による管端シール用具の特徴は、テープ
を用いることなく栓を取付けるため、一端が閉じ
た耐熱性の樹脂からなる栓と、その栓の外周面に
装着されて栓を締付ける概してループ状の線材の
ばねから成ることであつて、以下、図面を参照の
もとに説明する。

第１図は従来の管端のマスキングの構造を示す
ものであつて、従来の管端のシールは管１にテー
パー状のゴム栓２をはめ込んだ上、テープ３を巻
き付けるものであつたため、前述のような欠点が
あつた。

第２図は本考案による管端シール用具の一実施
例が管１にはめ込まれた状態を示すものであつ
て、図示のように、このシール用具１０は耐熱性
の樹脂からなる栓１１と、その外周面に装着され
るばね２０からなり、栓１１は一端１２が閉じら
れ且つ他端１３が開いている。そして最も好まし
い形態では、両端の外周に環状のフランジ１４お
よび１５が在る。従つて、栓１１は一端が閉じた
概してリール状の形状を有する。両端のフランジ
間の外周面は閉端側の部分１６が比較的小径で、
開端側の部分１７がそれより大径になつており、
且つその間の境界部１８は好ましくはテーパー面
になつている。このシール用具は一例では180〜
210℃の焼付温度で20〜30分の焼付時間を要する
電着塗装に用い得るように、栓１１は耐熱性の樹
脂で作られ、好ましくは弾力および耐熱性の点で
すぐれた性質を有するシリコンが用いられる。

また、ばね２０は一本の弾性線材からなり、第
４図に示すように、その中間区域２１がループ状
に、即ち一巻きの円形状に曲げられ且つ両端の区
域２２，２３が互いに離れて突出した形状になつ
ている。これらの両端のばね区域は図示のように
互いにほぼ平行に突出しているのが好ましく、そ
れによつて取扱いが容易になる。さらに両端のば
ね区域２２，２３の各先端は第２図に見られるよ
うに同じ方向に折曲げられているのが好ましい。

このシール用具１０は管端から取外された状態
では、ばね２０は第３図に実線で示すように、栓
１１の外周面の小径の部分１６の位置に装着さ
れ、従つてばね２０は栓の外周部を締付けていな
い。この状態でシール用具１０を管１の端部には
め込み、はめ込んだ後にばねの両端の区域２２，
２３を互に近づけるように指で押し、その中間区
域２１を第４図に想像線で示すように若干拡大
し、第２図に示すように栓１１の外周の境界部１
８を通過させて大径部１７に着座させれば、ばね
２０が栓の外周部を締付け、管端をシールする。
第３図に見られるように境界部１８がテーパー面
であれば、閉端側の小径部１６から大径部１７へ
の移動が容易になる。また、シール用具１０を取
外す際は、ばね２０の両端の区域２２，２３を互
いに近づけて、ループ状の区域２１を拡大し、ば
ね２０を小径部１６に移動すれば簡単に取外せ
る。

なお、上記の実施例のように、栓１１の両端に
フランジ１４，１５が在れば、ばね２０の抜けが
防止され且つ栓１１の長さ寸法を最小にできる点
で好ましいが、必ずしもそのようにしなければな
らないものではなく、場合によつては第５図に示
すように、閉端の外周に環状のフランジ１４′を
設けると共に、開端側の部分１７の外周にばね２
０を受入れ得る環状の溝１９を設けてもよい。さ
らには第６図に示すように、両端にフランジを設
けないで、小径部１６および大径部１７の各外周
面にそれぞればね２０を受入れ得る環状の溝１
９′，１９を設けてもよい。このような環状の溝
が在れば、ばね２０を安定した状態で着座させる
ことができる。また、小径部においてもばね２０
が抜け落ちない程度の締付力があれば、フランジ
および溝を省略することもできるが、この場合、
栓の小径部と大径部に或る程度の長さを要する。

従つて、本考案によれば、栓をそれに備えられ
たばねにより容易に管の端部に取付けることがで
き、取外しも容易である。そしてテープを用いな
いため栓を取外した後に研磨する必要もない。そ
れ故、マスキングに要する作業時間を著しく短縮
でき、大幅なコストダウンを実現できる。さらに
栓はばねによる一定の力で管端に締付けられるの
で、従来のようなゴム栓の圧入やテープの圧着の
不良による不都合もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の管端のシール構造を示すもので
あつて、イは側面図であり、ロはその端面図、第
２図は本考案の一例によるシール用具が管端に取
付けられた状態を示す側面図、第３図は第２図の
シール用具の栓の縦断面図、第４図は同シール用
具のばねの正面図、第５図および第６図はそれぞ
れ他の実施例の栓の縦断面図である。 図中、１……管、１０……シール用具、１１…
…栓、１４，１５……フランジ、１６……小径
部、１７……大径部、１８……傾斜部、１９，１
９′……環状の溝、２０……ばね、２１……ばね
の中間区域、２２，２３……ばねの両端区域。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シールすべき管端にはめ込まれる耐熱性の樹
   脂からなる栓と、前記栓の外周面に装着される
   ばねからなり、前記栓は一端が閉じられ且つそ
   の外周面は開端側が閉端側より大径であり、前
   記ばねは中間区域が一巻きの円形状に曲げられ
   且つ両端の区域が互に離れて突出している一本
   の線材から成る管端シール用具。 (2) 前記栓の開端側と閉端側の境界部の外周面は
   テーパー面になつている実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の管端シール用具。 (3) 前記栓の両端の外周に環状のフランジが在る
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の管端シー
   ル用具。 (4) 前記栓の閉端の外周に環状のフランジが在り
   且つ開端側の外周には前記ばねを受入れ得る環
   状の溝が設けられている実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の管端シール用具。 (5) 前記栓の閉端側および開端側の各外周面には
   それぞれ前記ばねを受入れ得る環状の溝が設け
   られている実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の管端シール用具。 (6) 前記栓はシリコンから成つている実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の管端シール用具。 (7) 前記ばねの両端の区域は互にほぼ平行に突出
   している実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   管端シール用具。