JPS6213793Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は、ガラス繊維強化プラスチツク（以下
FRPという）の強化材として好適なガラススト
ランドマツトに関する。 現在FRPの強化材として広範に使用されてい
るガラスストランドマツトとしては、ガラスチヨ
ツプドストランドマツト（以下チヨツプドマツト
という）とガラスコンテイニユアスストランドマ
ツト（以下コンテイニユアスマツトという）があ
る。チヨツプドマツトは、ハンドレイアツプ成形
時の積層用樹脂（不飽和ポリエステル樹脂、エポ
キシ樹脂等）のウエツトアウト特性が優れていな
ければならず、型なじみなどの点から、樹脂に易
溶性の表面処理を施したチヨツプドストランドを
樹脂に易溶性の結合剤でマツト状に接合したもの
が多く使用されている。このチヨツプドマツトで
強化されたFRP製品は、表面仕上りが良く高強
度であるという特徴を有するが、プレス成形法レ
ジンインジエクシヨン成形法等の機械成形法に強
化材として用いると、樹脂のウエツトアウトが速
いため、ストランドがすばやくフイラメント化し
樹脂の流れ抵抗が高くなり、しかも結合剤が樹脂
に溶解するためにストランド流れやマツト切断が
生じ実用的でないという問題を有している。この
問題を解決するために、樹脂に溶けにくい表面処
理を施したチヨツプドストランドを不溶性の結合
剤により、マツト化したものが検討されたことも
あつたが、ウエツトスルー特性が良く、かつスト
ランド流れやマツト切断が生じない嵩高なマツト
を製造することは極めて困難で未だ実用化されて
いない。 一方プレス成形法、レジンインジエクシヨン成
形法等機械成形法に用いられるコンテイニユアス
マツトは、樹脂に溶けにくい表面処理を施したコ
ンテイニユアスストランドをカール状に絡らませ
不溶性の結合剤で極めて嵩高なマツトにしたもの
である。このコンテイニユアスマツトは、ウエツ
トスルーも良く、ストランド流れや切断も生じに
くいが高強度のFRP製品が得られにくく、表面
の凹凸が多いので表面仕上りが悪いという問題を
有している。 本考案者等は上記した従来のガラスストランド
マツトが有する問題点を解決するために、鋭意検
討した結果両表面層がチヨツプドマツト、中層が
コンテイニユアスマツトから形成される三層構造
を有するガラスストランドマツトで、チヨツプド
ストランド層が樹脂に可溶な表面処理を施された
ものであり、コンテイニユアスストランド層が樹
脂に難溶でしかもスチレン不溶分が30％以上90％
以下の表面処理を施されたものが機械成形時にお
いて、樹脂のウエツトスルーが良く、ストランド
流れや切断も生ぜず、しかも成形品の外観が良好
であることを見出し本考案に到つた。 以下に図面で本考案を説明する。 第１図に示したガラスストランドマツトは、両
表面が切断長さ50ｍ／ｍのガラスチヨツプドスト
ランドを易溶性結合剤でマツト状に接合した150
グラム／１平方メートル質量のチヨツプドマツト
層１、中層部は樹脂に難溶でスチレン不溶分が40
％の表面処理を施した連続ストランド結合剤でマ
ツト状に接合した300グラム／１平方メートル質
量のコンテイニユアスマツト層２から形成される
総質量600グラム／１平方メートルの三層構造を
有するものである。このガラスストランドマツト
を用い不飽和ポリエステル樹脂を含浸し、プレス
成形して得られたFRP板特性を三層構造マツト
の中層部がスチレン不溶分が30％未満の表面処理
を施したもの(イ)、スチレン不溶分が90％以上の表
面処理を施したもの(ロ)および従来の600グラム／
１平方メートル質量のコンテイニユアスマツトに
不飽和ポリエステル樹脂を含浸し、プレス成形し
て得られたFRP板特性(ハ)と比較して第一表に示
した。三層構造マツトの中層部がスチレン不溶分
30％未満の表面処理を施したものは、マツトの切
断やストランド流れが生じ、スチレン不溶分90％
以上の表面処理を施したものは、FRP板に白化
現象が見られる。またコンテイニユアスマツト使
用のFRP板は曲げ強度が小さく成形品の表面仕
上り面は凹凸が多く外観も悪いものであるが、本
考案によるガラスストランドマツトはいづれの特
性も優れたものであつた。

【表】

【表】 〈成形条件〉 600ｇ／m²の各種ガラスストランド
マツト３プライを60℃の平板用プレス型の中に入
れ１％の硬化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂液
をマツトに塗布しプレス圧５Kg／cm²、型締め時間
20分の条件でプレス成形した。 本考案のガラスストランドマツトにおいて中間
層を構成するコンテイニユアスマツトの表面処理
剤の不溶分を30〜90％の範囲に限定した理由は、
90％以上のスチレン不溶分を有する表面処理剤を
適用した場合には、液状樹脂を塗布又は注入した
時点から成形され硬化するまでの、液状樹脂によ
る含浸が遅く、初期のストランド形態を保持した
まま成形品中にとりこまれるために両表面層のチ
ヨツプドマツトの質量の低い場合には成形品表面
に凹凸が発生し、成形外観を悪くする。表面処理
剤の不溶分が30％以下の場合には、コンテイニユ
アスストランドの表面処理が液状樹脂に容易に溶
解されてフイラメント化するために、塗布又は注
入された液状樹脂の流れを阻害し、ガラス流れも
同時に発生して成形品の強度に均一性を欠くとい
う問題が生じる。 本考案のコンテイニユアスストランドの表面処
理を不溶化させる方法としては、表面処理剤の組
成を不飽和ポリエステルとベンゾイルパーオキサ
イドやｔ−ブチルパーベンゾエートなどの有機過
酸酸化物の混合物又は、エポキシ樹脂とジエチレ
ントリアミンやメタキシレンジアミンなどとの硬
化剤の混合物又は反応性酢酸ビニルとアクリルシ
ランの混合物を適用することによつて得られる
が、ここでの例示に限定されるものではない。 本考案でいうスチレンに対する不溶分とは、ス
チレンに重合禁止剤（ハイドロキノン等）を0.1
％添加し、この中に表面処理されたガラスストラ
ンド製品を入れ12時間還流抽出した後のガラスス
トランド製品の表面に残留している表面処理剤分
を意味し抽出前のガラスストランド製品の処理剤
付着量に対する抽出後の上記残留分の割合をもつ
て表示している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のガラスストランドマツトの１
例を示した断面模式図である。 符号の簡単な説明、１……ガラスチヨツプドス
トランドマツト層、２……ガラスコンテイニユア
スストランドマツト層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 両表面層がガラスチヨツプドストランドマツ
   ト、中層がガラスコンテイニユアスストランド
   マツトから形成される三層構造を有するガラス
   ストランドマツトにおいてガラスチヨツプドス
   トランドが積層用樹脂に可溶な表面処理を施さ
   れたものであり、ガラスコンテイニユアススト
   ランドが30％以上90％以下のスチレン不溶分を
   有する表面処理を施されたものであることを特
   徴とするガラスストランドマツト。 ２ コンテイニユアスストランドが、架橋化され
   た接着剤成分を主成分とする表面処理を施され
   た特許請求の範囲第１項記載のガラスストラン
   ドマツト。 ３ 架橋化された接着剤成分が、不飽和ポリエス
   テル樹脂硬化物である特許請求の範囲第２項記
   載のガラスストランドマツト。 ４ 架橋化された接着剤成分が、エポキシ樹脂硬
   化物である特許請求の範囲第２項記載のガラス
   ストランドマツト。 ５ 架橋化された接着剤成分が、ポリ酢酸ビニル
   系樹脂を、シラン系カツプリング剤で架橋反応
   せしめた反応物である特許請求の範囲第２項記
   載のガラスストランドマツト。