JPS6212389B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、アイドリング時の噴射率を低くして
機関の騒音を低下させるようにした分配型燃料噴
射ポンプに関する。

デイーゼルエンジン等の燃料噴射式内燃機関で
は、噴射率一定のまま機関の運転状態に応じて燃
料噴射量を制御しているため、アイドリング時の
燃焼音が高い欠点があつた。

これは、機関が必要とする出力を得るためには
高い噴射率が必要であり、この噴射率を得るカム
を使用すると、着火遅れ期間中に噴射される燃料
が多くなり、着火に同期して燃焼が急激に行われ
るためである。

この状態は出力を必要とするときには問題にな
らないが、アイドリング時のように、車両が停車
して静かな運転を要求されるときには大きな問題
となつている。

以上の問題点対策のため、従来は、例えば特開
昭54−126828号のように、コントロールスリーブ
にアイドリング時に噴射量制御用ポートと一致す
る位置に噴射率制御用切欠きを形成し、アイドリ
ング時のみ噴射率を低下させるように構成した燃
料噴射ポンプが提供されている。しかし、この構
成は極めて小さい切欠きコントロールスリーブに
形成しなくてはならず、しかもコントロールスリ
ーブとこれに連結するテンシヨンレバー間には機
構上若干のガタが必要であり、実際にアイドリン
グ時だけに噴射率を低下させる作用を持たせるこ
とは極めて困難であつた。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであつ
て、アイドリング時の噴射率を低くすることによ
つて燃焼室内の最高圧力を低下させて燃焼音を低
減できるようにした分配型燃料噴射ポンプを提供
するものである。

以上の目的のため、本発明は、ポンピング室を
ポンプハウジングのチヤンバに開放させるべく圧
送兼分配用のプランジヤの周面にに開設された第
２のポートと、燃料の噴射終りを規制すべく第２
のポートに対応してプランジヤに軸方向移動自在
に嵌挿された第２のコントロールスリーブと、第
２のコントロールスリーブに係合されたテンシヨ
ンレバーを枢支するコレクタレバーとを持ち、プ
ランジヤ軸方向駆動用カムを不等速カムとした分
配型燃料噴射ポンプに、プランジヤ周面に前記第
２のポートに対し軸方向に離して開設された第１
のポートと、燃料噴射始めを規制すべく第１のポ
ートに対応してプランジヤに軸方向移動自在に嵌
挿された第１のコントロールスリーブとを配し、
第１のコントロールスリーブを前記コレクタレバ
ーにより支持するように構成した。以上のように
構成したため、負荷に応じてコレクタレバー位置
を制御することで、噴射量の変化なしに噴射始め
時期を変更することが可能となる。

これにより、プランジヤの燃料圧送速度を負荷
に応じて変えることが可能となり、アイドリング
時の低噴射率と、高負荷時の高噴射率とを得るこ
とができ、アイドリング時の騒音低下と、高負荷
時の出力確保が可能となる。

以下に本発明を図示された一実施例について説
明する。

図において、ポンプハウジング１のチヤンバ２
内には図示しない燃料タンクから燃料ポンプ及び
調圧弁機構を介して燃料が送り込まれる。ポンプ
ハウジング１に固定したプランジヤバレル３には
圧送兼分配用のプランジヤ４を回転並びに摺動自
在に挿着してポンピング室５を形成する。

ここに、前記プランジヤ４は、図示しない駆動
機構によつて機関の回転速度に同期して往復並び
に回転駆動され、プランジヤ４が図中左行する吸
入行程時にはチヤンバ２内の燃料が吸入通路６及
びプランジヤ４に設けた吸入溝７を経てポンピン
グ室５に吸入される。又、プランジヤ４が図中右
行する圧縮行程時には、ポンピング室５の燃料が
圧縮されつつ分配溝８から圧送通路９に送り出さ
れ、デリバリバルブ１０を介して図示しない各気
筒の噴射ノズルへと送り出される。

前記のようにポンピング室５と分配溝８とを連
通させる通孔１１に連通された第１のポート１２
と第２のポート１３とを軸方向に離してプランジ
ヤ４の周面に開口させることにより、これらの両
ボート１２，１３及び通孔１１を介してポンピン
グ室５をチヤンバ２に開放させる。

又、上記両ポート１２，１３に対応させて第１
及び第２のコントロールスリーブ１４，１５をプ
ランジヤ４に回転並びに軸方向移動自在に嵌挿す
る。ここに、第１のポート１２が第１のコントロ
ールスリーブ１４で閉じられると燃料の噴射が開
始され、第２のポート１３が第２のコントロール
スリーブ１５から外れて開かれると、燃料の噴射
が終了する。即ち、第１のコントロールスリーブ
１４は燃料の噴射始め時期を制御し、第２のコン
トロールスリーブ１５は噴射終り時期を制御する
ものである。

そして、第１のコントロールスリーブ１４に係
合させたコレクタレバー１６をスプリング１７で
ストツパ１８に当接保持させる。１９はコレクタ
レバー１６の支点、２０はストツパ１８のロツク
ナツトである。

又、前記コレクタレバー１６には支点１９から
外れた位置に支軸２１を設け、この支軸２１にテ
ンシヨンレバー２２とスタートレバー２３とを枢
着する。テンシヨンレバー２２の一端は、アイド
ルスプリング２４及びガバナスプリング２５を介
してコントロールレバー２６の一端に結合され、
又、スタートレバー２３はガバナスリーブ２７を
介してフライウエイト２８に当接係止されると共
に、第２のコントロールスリーブ１５に係合され
ている。２９はガバナシヤフト、３０はテンシヨ
ンレバー２２とスタートレバー２３との間に介装
したスタートスプリングである。尚、スタートス
プリング３０は機関の停止時及びクランキング状
態でのみ作用してスタートレバー２３をテンシヨ
ンレバー２２に対して増量方向へと突出付勢させ
るが、機関の運転中は、ガバナスリーブ２７を経
てスタートレバー２３に作用するフライウエイト
の遠心力による推力で殺されてスタートレバー２
３がテンシヨンレバー２２と一体に挙動するよう
になつている。

一方、前記コントロールレバー２６の支点３１
を挾んだガバナスプリング２５係合部との対称位
置にはピン３２を突設しこのピン３２に摺動自在
に係合する長孔３３を一端に形成したロツド３４
の他端を前記コレクタレバー１６の先端に係合し
ている。ここに、前記ピン３２と長孔３３とは、
コントロールレバー２６が低負荷〜高負荷の通常
運転領域にある時はピン３２が長孔３３内を自由
に摺動してコレクタレバー１６をストツパ１８に
当接保持させるが、コントロールレバー２６がア
イドリング位置に戻されると、ピン３２がロツド
３４を図中左側に係合移動させてスプリング１７
に抗してコレクタレバー１６を図中反時計へと揺
動させるようにしている。即ち、コレクタレバー
１６は、アイドリング時にはストツパ１８から浮
上保持され、アイドリング以外の運転時にはスト
ツパ１８に当線保持させて燃料の最大噴射量を規
制するようになつている。

斯る構成においては、通常の運転中は第１図に
示したようにコレクタレバー１６がストツパ１８
に当線保持されている。

又、この状態では、ガバナスリーブ２７を介し
てフライウエイト２８からスタートレバー２９に
伝わる推力がスタートスプリング３０の張力より
も大きく、かつ、アイドルスプリング２４の張力
よりも大きくなつているため、スタートレバー２
３はテンシヨンレバー２２と共にガバナスプリン
グ２５の張力とフライウエイト２８により推力と
を調和させる位置に揺動して第２のコントロール
スリーブ１５を位置調整する。

即ち、コントロールレバー２６によつて調整さ
れたガバナスプリング２５の張力と、機関の回転
速度に応答するフライウエイト２８の遠心力（推
力）との調和が行われるようにテンシヨンレバー
２２がスタートレバー２３と共に揺動して第２の
コントロールスリーブ１５を移動させ、燃料噴射
終りの時期を制御して燃料の噴射量を制御するの
である。

又、機関のアイドリング時にはアイドルスプリ
ング２４の張力とフライウエイト２８の推力とが
バランスして燃料の噴射量が制御される。ここ
に、アイドリング時にはコントロールレバー２６
のピン３２がロツド３４を介してコレクタレバー
１６をストツパ１８から浮上させるために、該レ
バー１６が支点１９を中心として反時計廻りの方
向に揺動する。すると、これに同期して第１のコ
ントロールスリーブ１４が図中右側に移動するの
で、第１のボート１２の閉じ時期、即ち、燃料の
噴射始めが遅れる。又、前記のようにしてコレク
タレバー１６が揺動すると、テンシヨンレバー２
２及びスタートレバー２３の支軸２１も図中右側
に移動するが、ガバナスリーブ２５は同位置に保
持されるのでテンシヨンレバー２２及びスタート
レバー２３が反時計廻りの方向（増量方向）へと
回動して第２のコントロールスリーブ１５を図中
右側へと移動させるため、噴射終りも遅れる。

このように、噴射始め及び噴射終りを遅らせる
と、燃料の噴射量を変えることがなく噴射率を低
くできる訳である。つまり、従来は第２図に破線
で示すように、プランジヤ４の圧縮行程初期に噴
射を行わせていたのであるが、前記のように噴射
始め及び終りを遅らせると、第２図に実線で示す
ようにプランジヤ速度Ｖの遅い圧縮行程終期に燃
料を噴射させることができる。従つて、この速度
の低下に見合つて噴射期間を長くすれば、第３図
に実線（配線は従来）で示したように、噴射量を
変えることなく噴射率のみを低くできる訳であ
る。

尚、機関の始動時は、スタートスプリング３０
の張圧作用によつてテンシヨンレバー２２に対し
てスタートレバー２３が増量側へと移動するた
め、所期の始動増量が行われる。

実施例では、コントロールレバーとコレクタレ
バーとを遊びを以て係合させてアイドリング時に
コレクタレバーを作動させるようにしたものであ
るが、アイドリング時にコレクタレバーのストツ
パを突出作動させるようにしても良い。

以上説明したように本発明によれば、負荷に応
じて噴射率を制御すると共に、これに同期して噴
射量を確保するようにしたものであるから、負荷
に応じた噴射率を得ることができ、アイドリング
時の燃焼騒音の低減と高負荷時の出力の確保が可
能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る分配型燃料噴射ポンプの
一実施例を示す要部の断面図、第２図は同上プラ
ンジヤのリフト特性図、第３図は同上噴射率特性
図である。 １……ポンプハウジング、２……チヤンバ、４
……プランジヤ、５……ポンピング室、１１……
通孔、１２……第１のポート、１３……第２のポ
ート、１４……第１のコントロールスリーブ、１
５……第２のコントロールスリーブ、１６……コ
レクタレバー、１９……支点、２１……支軸、２
２……テンシヨンレバー、２３……スタートレバ
ー、２４……アイドルスプリング、２５……ガバ
ナスプリング、２６……コントロールレバー、２
７……ガバナスリーブ、２８……フライウエイ
ト、３０……スタートスプリング、３１……支
点、３２……ピン、３３……長孔、３４……ロツ
ド。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポンピング室をポンプハウジングのチヤンバ
   に開放させるべく圧送兼分配用のプランジヤの周
   面に開設された第２のポートと、燃料の噴射終り
   を規制すべく第２のポートに対応してプランジヤ
   に軸方向移動自在に嵌挿された第２のコントロー
   ルスリーブと、第２のコントロールスリーブに係
   合されたテンシヨンレバーを枢支するコレクタレ
   バーとを持ち、プランジヤ軸方向駆動用カムを不
   等速カムとした分配型燃料噴射ポンプにおいて、
   プランジヤ周面に前記第２のポートに対し軸方向
   に離して開設された第１のポートと、燃料噴射始
   めを規制すべく第１のポートに対応してプランジ
   ヤに軸方向移動自在に嵌挿された第１のコントロ
   ールスリーブとを持ち、第１のコントロールスリ
   ーブを前記コレクタレバーにより支持し、機関負
   荷に応じてコレクタレバーを作動させて第１のコ
   ントロールスリーブにより噴射始め時期を制御す
   ると共に、コレクタレバーの作動に同期してテン
   シヨンレバーを介して第２のコントロールスリー
   ブを移動させて噴射率を制御すると共に噴射量を
   確保するようにしたことを特徴とする分配型燃料
   噴射ポンプ。