JPS6211301Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は内燃機関のブローバイガス還流装置の
改良に関するものである。

［従来の技術］ 従来、内燃機関のブローバイガス還流装置とし
て、エンジン本体下部のクランクケースと連通す
るシリンダヘツドカバーに開口させたブローバイ
ガス出口を、例えばエアクリーナのような内燃機
関の吸気側と連通させたものが、実開昭55−
67306号公報，実開昭55−130010号公報などで知
られている。また、これらのブローバイガス還流
装置では、オイルの吹出しを防止してブローバイ
ガスのみを吸気側に還流させるために、ブローバ
イガス出口と吸気側とを連通させる管路に、ラビ
リンスによるオイル切り機構、オイルの粘度によ
りこれを壁面に付着させるオイル切り機構、絞り
や膨脹室を用いたオイル切り機構あるいは実公昭
51−39076号公報にみられるようなオイルセパレ
ータなどが設けられている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、これらはいずれもオイル切り作用が不
十分であり、オイルが吸気側に吹出されるという
問題がある。

本考案は、前述した問題を解決して、オイルの
吹出しを防止し、確実にブローバイガスのみを吸
気側に還流させることにより、エアクリーナの汚
損を防止すると共に、清浄な燃焼およびオイルの
消費量を低減させることができ、さらに作動が安
全に行なえる内燃機関のブローバイガス還流装置
の提供を目的としている。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するために、本考案による内燃
機関のブローバイガス還流装置は、エンジン本体
下部のクランクケースと連通するシリンダヘツド
カバーに第１ブローバイガス出口を、エンジン本
体のシリンダヘツドカバー以外の部分に第２ブロ
ーバイガス出口をそれぞれ開口させ、第１，第２
ブローバイガス出口をエンジン本体上方に設けた
弁機構の第１，第２ガス入口とそれぞれ連通さ
せ、前記弁機構のガス出口を吸気側のエアクリー
ナと連通させると共に、前記弁機構に第１，第２
ガス入口の一方を開き他方を閉じるバルブスプー
ルを設け、第１ガス入口が、常時はバルブスプー
ルが自重またはばね圧により下降して開き、オイ
ル吹出し時にはその動圧によりバルブスプールが
自重またはばね圧に抗し上昇して閉じるようにし
たものである。

［作用］ 本考案は、上記の手段を有するから、弁機構の
ガス出口に吸入負圧が作用しているエンジン運転
状態において、上記弁機構の第１ブローバイガス
出口よりオイルが吹出さない通常時には、バルブ
スプールが自重またはばね圧で下降して第１ガス
入口を開くと共に、第２ガス入口を閉じるから、
クランクケース内のブローバイガスは、前記の第
１ブローバイガス出口、第１ガス入口、ガス出口
を経て吸気側に混合気と共に吸入され、さらに燃
焼室へと供給されて燃焼されるが、第１ブローバ
イガス出口からのオイルの吹出し時には、その動
圧によりバルブスプールがその自重またはばね圧
に抗し上昇して第１ガス入口を閉じると共に、そ
れまで閉じていた第２ガス入口を開くから、クラ
ンクケース内のブローバイガスは、前記の第２ブ
ローバイガス出口、第２ガス入口，ガス出口を経
て吸気側に混合気と共に吸入され上記のように供
給燃焼される。

従つて、第１ブローバイガス出口からのオイル
吹出し時には、オイルは、弁機構により吸気側に
吸入されるのが確実に防止されるから、オイルの
混入がほとんどないブローバイガスの清浄な燃焼
が期待されると共に、オイルの消費量を低減させ
ることができ、しかも、吸気側のエアクリーナを
オイルで汚すことが少なくなり、また弁機構の第
１ガス入口が閉じると同時にエンジン本体のシリ
ンダヘツド以外の部分に開口している第２ブロー
バイガス出口からブローバイガスを吸気側に吸入
するから、エンジン本体が閉塞されることがな
く、従つて、クランクケース内の圧力が急に高く
ならないので潤滑油が洩れたりオイルシールが飛
出すようなことがない。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例につき図面を参照して
説明する。

第１図において、符号１はエンジン本体であり
このエンジン本体１のシリンダ２内にピストン３
が往復動自在に嵌挿され、ピストン３の往復動で
コネクテイングロツド４を介してクランクケース
５内のクランク軸６を回転するようになつてお
り、クランクケース５の底部にオイルパン５ａが
固定され、このオイルパン５ａ内に潤滑用のオイ
ルが溜められている。

前記エンジン本体１の上部には、動弁機構７が
設けられていると共に、動弁機構７に被せられた
シリンダヘツドカバー８の内部がエンジン本体１
のシリンダ２外周側に形成された上側のブローバ
イガス通路９および下側のオイル戻し通路１０を
介してクランクケース５内に連通され、シリンダ
２とピストン３との間からクランクケース５内に
漏入する未燃のブローバイガスが、ブローバイガ
ス通路９を経てシリンダヘツドカバー８内に導入
されると共に、このカバー８内からブローバイガ
スから分離されたオイルなどのオイルがオイル戻
し通路１０を経てオイルパン５ａに戻るようにな
つている。

本実施例では、前記シリンダヘツドカバー８の
最高部に第１ブローバイガス出口１１が、前記ブ
ローバイガス通路９の外側壁の適所に第２ブロー
バイガス出口１２がそれぞれ開口され、第１，第
２ブローバイガス出口１１，１２は後述する弁機
構１３の入口側と管路１４，１５で連通され、弁
機構１３の出口側は管路１６で内燃機関の吸気系
のエアクリーナ１７に連通されている。

前記弁機構１３はエンジン本体１上方に配設さ
れ、第２図ないし第４図に示すように、バルブ本
体１８に上下方向に摺動自在にバルブスプール１
９が嵌挿され、バルブ本体１８の下端部に設けた
第１ガス入口２０と第１ブローバイガス出口１１
が管路１４を介して連通され、バルブ本体１８の
一側部に設けた第２ガス入口２１と第２ブローバ
イガス出口１２が管路１５を介して連通され、さ
らに、バルブ本体１８の上端部に設けたガス出口
２２が管路１６を介してエアクリーナ１７と連通
されている。

そして常時は、第２図に示すように自重によつ
てバルブスプール１９が下降し、図示しない支持
部材、例えば後述する第１ガス通路２３ａに挿通
固定されスプール１９の中間大径部１９ｃの下面
に当接するピンに支持されて第１ガス入口２０が
開かれ、このガス入口２０がバルブ本体１８内に
形成された第１ガス通路２３ａ，２３ｂを介して
前記ガス出口２２と連通されていると共に、第２
ガス入口２１はバルブスプール１９の上端部１９
ａでバルブ本体１８内に形成された第２ガス通路
２４が閉じられて遮断状態にある。また、シリン
ダヘツドカバー８内から第１ブローバイガス出口
１１，管路１４を経て弁機構１３の第１ガス入口
２０にオイルが吹出すと、第３図に示すようにそ
の動圧によりバルブスプール１９が押上げられ
て、これらの下端大径部１９ｂで第１ガス入口２
０が閉じると共に、バルブスプール１９の上端部
１９ａが第２ガス通路２４を開き、第２ガス入口
２１は第２ガス通路２４を介してガス出口２２と
連通され、さらにオイルの吹出が停止すると、バ
ルブスプール１９が下降して再び第２図の状態に
戻るように構成されている。なお、第１図中、２
５は気化器、２６は吸入管である。

次に本実施例の作動について説明する。エンジ
ン運転状態では吸入負圧が作用しているので、オ
イルの吹出しがない常時には、前述したように、
弁機構１３の第１ガス入口２０がガス出口２２と
連通しているので、クランクケース５に漏入した
ブローバイガスが、ブローバイガス通路９，シリ
ンダヘツドカバー８、第１ブローバイガス出口１
１，管路１４，弁機構１３内，管路１６の経路で
エアクリーナ１７に吸入され、その後に吸入系の
気化器２５の混合気と共に吸入管２６を経てシリ
ンダ２に供給されて燃焼される。

シリンダヘツドカバー８からオイルが吹出す
と、前述したように弁機構１３が作動しその第１
ガス入口２０が閉じるのでオイルが第１ガス入口
２０よりエアクリーナ１７側には導かれない。こ
れと同時に、第２ガス入口２１がガス出口２２と
連通状態になるので、ブローバイガスは、ブロー
バイガス通路９，第２ブローバイガス出口１２，
管路１５，弁機構１３内，管路１６の経路でエア
クリーナ１７に導かれ、エンジン本体１内は閉塞
されず、ひいてはクランクケース内の圧力が急に
高くならないので、潤滑油が洩れたりオイルシー
ルが飛出すなどの不具合が発生することもない。

なお、本考案において、バルブスプールにばね
圧を加えて常時は第１ガス入口を開くようにして
もよく、また、第２ブローバイガス出口はエンジ
ン本体のシリンダヘツドカバー以外の部分の２個
所以上に開口させてもよい。さらに本考案は、第
１図に示すシリンダの軸線が垂直面と傾斜した
OHC機関に限られることなく、他の機関にも適
用できる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案のブローバイガス
還流装置は、エンジン本体下部のクランクケース
と連通するシリンダヘツドカバーに第１ブローバ
イガス出口を、エンジン本体のシリンダヘツドカ
バー以外の部分に第２ブローバイガス出口をそれ
ぞれ開口させ、第１，第２ブローバイガス出口を
エンジン本体上方に設けた弁機構の第１，第２ガ
ス入口とそれぞれ連通させ、前記弁機構のガス出
口を吸気側のエアクリーナと連通させると共に、
前記弁機構に第１，第２ガス入口の一方を開き他
方を閉じるバルブスプールを設け、第１ガス入口
が、常時はバルブスプールが自重またはばね圧に
より下降して開き、オイル吹出し時にはその動圧
によりバルブスプールが自重またはばね圧に抗し
上昇して閉じるようにしたので、吹出したオイル
が弁機構およびこれより吸気側に導かれるのを確
実に防止でき、従つて、オイルの混入がほとんど
ないブローバイガスをシリンダで燃焼処理すれば
よく、清浄な燃焼ができ、かつオイルの消費量を
低減させることができると共に、吸気側のエアク
リーナをオイルで汚すことも少なくすることがで
る。また本考案は、弁機構の第１ガス入口を閉じ
ると同時にシリンダヘツドカバー以外の部分に開
口した第２ブローバイガス出口からブローバイガ
スを吸気側に導くようにしたので、エンジン本体
内部が閉塞されないことにより、クランクケース
内の圧力が急に高くならないので潤滑油が洩れた
りオイルシールが飛出すようなことがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるブローバイガス還流装置
の一実施例を示す構成図、第２図および第３図は
同弁機構部分を示す常時およびオイル吹出し時の
縦断面図、第４図は第２図の−線に沿う断面
図である。 １……エンジン本体、２……シリンダ、３……
ピストン、４……コネクテイングロツド、５……
クランクケース、５ａ……オイルパン、６……ク
ランク軸、７……動弁機構、８……シリンダヘツ
ドカバー、９……ブローバイガス通路、１０……
オイル戻し通路、１１，１２……第１，第２ブロ
ーバイガス出口、１３……弁機構、１４，１５，
１６……管路、１７……エアクリーナ、１８……
バルブ本体、１９……バルブスプール、１９ａ…
…上端部、１９ｂ……下端大径部、１９ｃ……中
間大径部、２０，２１……第１，第２ガス入口、
２３ａ，２３ｂ……第１ガス通路、２４……第２
ガス通路、２５……気化器、２６……吸入管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン本体下部のクランクケースと連通する
   シリンダヘツドカバーに第１ブローバイガス出口
   を、エンジン本体のシリンダヘツドカバー以外の
   部分に第２ブローバイガス出口をそれぞれ開口さ
   せ、第１，第２ブローバイガス出口をエンジン本
   体上方に設けた弁機構の第１，第２ガス入口とそ
   れぞれ連通させ、前記弁機構のガス出口を吸気側
   のエアクリーナと連通させると共に、前記弁機構
   に第１，第２ガス入口の一方を開き他方を閉じる
   バルブスプールを設け、第１ガス入口が、常時は
   バルブスプールが自重またはばね圧により下降し
   て開き、オイル吹出し時にはその動圧によりバル
   ブスプールが自重またはばね圧に抗し上昇して閉
   じるようにしたことを特徴とする内燃機関のブロ
   ーバイガス還流装置。