JPS6142544Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は給水しながら脱水かごを高速回転さ
せて脱水すすぎを行う遠心脱水装置に関する。

従来、洗たく機のすすぎ方式は、洗たく槽で給
水しながら洗たく物を撹拌する溢すすぎと、洗た
く槽内に所定量の給水を行つた後、撹拌し排水す
る工程を数回繰返す溜めすすぎが通例である。

しかしながらこれらの方式は、水の使用量が多
く、撹拌時が長く、かつ布地を傷め易いほか、す
すぎに時間がかかるなどの欠点があつた。

そこで、これらの欠点を軽減する目的で、洗た
く物を入れた脱水かごを高速回転させながら新水
を供給し、新水を遠心力により洗たく物の中を通
過させることによりすすぐ、脱水すすぎ方式の遠
心脱水装置が提案されている。

第１図はこの種方式の従来における遠心脱水装
置を示すものである。同図において、１は外箱、
２は外箱１内の底部に防振ばね３を介して設置し
た駆動モータ、４は上記外箱１内に配置され、底
部下面中央を脱水軸５により上記駆動モータ２に
結合した脱水かごであり、この脱水かご４の周壁
に多数の脱水孔６が穿設されているとともに、脱
水かご４内には下端が底部中央に固着され全周壁
に多数の散水孔８を均一に穿設した散水筒７が同
心に配設されている。また、９は上記外箱１内を
駆動モータ２等の機構部を収納する機械室と、脱
水かご４等の収納する機械室とに仕切る仕切板で
あり、この仕切板９の脱水軸５の貫通部分はシー
ル機構１０により水密に閉塞されている。１１は
上記外箱１内の上部において散水筒７の上部から
水を供給できるよう配置した給水管であり、また
１２は外箱１の上部開口を閉鎖する蓋である。

上記のように構成された遠心脱水装置におい
て、洗たく物の脱水すすぎは次に述べるようにし
て行われる。即ち給水管１１から散水筒７内に給
水すると、該水は脱水かご４が高速回転すること
によりその遠心力で散水筒７からその散水孔８を
通して脱水かご４内の洗剤液を含んだ洗たく物に
向つて放出され、洗たく物に含まれる汚水、洗剤
分を脱水孔６から脱水かご４外へ排出する。

このような脱水すすぎ方式は、水の使用量が少
なくて済み、すすぎと脱水が同時に行え、かつ洗
たく物を撹拌しないので布地の傷みも少ない効果
があるが、その反面、脱水かご４と一体に散水筒
７を高速回転されているため、給水管１１から供
給される水は散水筒７の上部にある散水孔８から
放出される量が、散水筒７の下部にある散水孔８
から放出される量よりも多く、上下方向に均一量
の散水ができずムラがあり、しかも洗たく物のな
い上方においても散水筒から水が放出され、すす
ぎに役立ないまま排水されてしまう。したがつ
て、すすぎ率も脱水かごの上部に位置する洗たく
物と下部に位置する洗たく物との間に差が生じ均
一なすすぎができなくなるほか、少量の洗たく物
をすすぐ場合には給水の一部がすすぎに全く役立
たないまま脱水かご４外に排出され無駄になると
云う欠点があつた。

この考案は上記の欠点を除去するためになされ
たもので、多量の洗たく物をすすぐ場合において
も、少量の洗たく物をすすぐ場合においても簡単
な操作で容易に供給された水を無駄なくすすぎに
有効に利用できるようにし、かつ低振動な遠心脱
水装置を提供することを目的とする。

以下、この考案の実施例を図面について説明す
る。

第２図はこの考案にかかる遠心脱水装置の具体
例を示すもので、第１図と同様に外箱１、この外
箱１内の底部に防浸ばね３を介して設置した駆動
モータ２およびこの駆動モータ２に脱水軸５によ
り底部下面中央を結合した脱水かご４を備え、そ
して脱水かご４の周壁には従来と同様に多数の脱
水孔６が穿設されているとともに、脱水かご４の
中心には、本考案の目的を達成する散水筒１３が
その下端を脱水かご４の底部中央に固定した状態
で同心に配設されている。上記散水筒１３はその
上端開口に向うにしたがい縮径される截頭円錐筒
状に成形され、その全周壁には微小孔である多数
の散水孔１４が穿設されている。また、１５は洗
たく物Ｗをしつかりと下方に押えつけ、かつ散水
筒１３の上部側散水孔１４から放水される水を洗
たく物Ｗのすすぎに有効利用するための散水筒カ
バーであつて、この散水筒カバー１５は散水筒１
３の開口端縁に係合される係合部１６と、この係
合部１６に連結され散水筒１３の外周囲をカバー
する伸縮自在な蛇腹部１７と、この蛇腹部１７の
下端に連結した洗たく物押え板１８とからなり、
これら係合部１６、蛇腹部１７および押え板１７
は合成樹脂材等により一体成形されるものであ
る。

また、仕切板９、シール機構１０、給水管１１
および蓋１２は第１図と同一構成のものである。

上記のように構成された遠心脱水装置におい
て、その脱水すすぎ動作は次のようにして行われ
る。

即ち、洗剤液を含んだ洗たく物Ｗを脱水かご４
に入れた後、散水筒カバー１５をその係合部１６
を散水筒１３の上端開口縁に係合し、蛇腹部１７
を伸縮させて押え板１８を洗たく物Ｗに接触する
まで、充分に下方に押え込み、そして給水管１１
から散水筒１３の上部に給水しながら脱水かご４
を駆動モータ２により高速回転させる。すると、
洗たく物Ｗは押え板１８でしつかりと押えつけら
れており、洗たく物Ｗは脱水かご４の中で移動す
ることなくまた残留アンバランス量が少なく回転
するので、異常振動を発生することなく低振動で
脱水かご４が高速回転し、かつ散水筒１３も高速
回転するので、散水筒１３に供給された水は散水
筒周壁が下方に向つて外側に拡がるよう傾斜して
いるため下方に力を受けて下方に移動しながら散
水孔１４から霧状となつて外方に放出され、洗た
く物Ｗに含浸されることで洗剤液を稀薄化する。
そして稀薄化された洗剤液は遠心力により洗たく
物から脱水され脱水孔６から脱水かご４外へ排出
される。

このとき、洗たく物Ｗと接していない散水筒１
３の上部は散水筒カバー１５により覆われている
ため、供給された水は散水筒１３内を下方に移動
し、洗たく物Ｗと接する散水筒１３の下部の散水
孔１４からのみ放出され、供給された全ての洗た
く物Ｗのすすぎに有効に作用することになる。

この脱水すすぎ工程が連続あるいは断続的に行
われることで洗たく物のすすぎがなされる。さら
に散水筒１３は下方に向つてその径がしがいに拡
大される形状になつているため、供給された水は
下方へ移動し易くなり、散水筒外部にも充分に給
水が行われ、下部に位置する洗たく物にも充分に
水が散霧されることになり、上部の洗たく物だけ
が選択的にすすがれるということがなく全体を均
一にすすぐことができる。

以上のようにこの考案によれば、脱水かご内の
中心軸線上に配設される散水筒に、洗たく物の量
に応じて、散水筒の上部の外周囲を蛇腹部でカバ
ーし、蛇腹部の下端に連結した洗たく物押え板で
洗たく物を押え込む散水筒カバーを装着する構成
にしたので、洗たく物押え板を下方に押し込むと
いう簡単な操作で、容易に洗たく物と接触しない
散水筒部分をカバーし、ここから水が無駄に散霧
されることなく、供給された全ての水が洗たく物
に有効に作用し、すすぎ効率が向上でき、かつ低
振動ですすぎが行えるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来における遠心脱水装置の概略断面
図、第２図はこの考案にかかる遠心脱水装置の一
例を概略断面図である。 １……外箱、２……駆動モータ、４……脱水か
ご、６……脱水孔、１１……給水管、１３……散
水筒、１４……散水孔、１５……散水筒カバー、
１６……係合部、１７……蛇腹部、１８……洗た
く物押え板。なお、図中同一符号は同一または相
当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外箱内に支持され、駆動モータにより回転され
   る脱水かごと、この脱水かご内の中心軸線上に配
   設され全周壁に多数の散水孔を穿設した散水筒
   と、上記散水筒の上部開口端縁の係合部に連結さ
   れ上記散水筒の外周囲をカバーする伸縮自在な蛇
   腹部と、この蛇腹部の下端に連結した水平の洗た
   く物押え板とから成る散水筒カバーを上記散水筒
   の上部に着脱可能に取付けたことを特徴とする遠
   心脱水装置。