JPS6138778Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は溶接装置に設ける走行装置の構成に関
し、特に比較的狭隘な溶接場所に適用され、自送
若しくは牽引具で移動されて連続的に溶接を行な
う溶接装置に設ける走行装置において、これに遊
支する滑車を、進行方向に傾斜しかつ傾斜方向を
変換できる様に構成した支軸に遊支すると共に該
滑車を永久磁石又は電磁石製のマグネツトローラ
で構成して、溶接母材若しくは母材に取付けた案
内部材に該マグネツトローラを吸着させながら走
行するように構成したものである。

例えば第１図で示すような造船溶接構造物１で
は底板２の上面に縦面板３，３がほぼ垂直状に多
数平行して配置され、該縦面板３に直交して横面
板４が配置される。そして縦面板３と底板２とは
水平すみ肉溶接部５を形成し、該すみ肉溶接部５
は、自動溶接装置を適用するために横面板４のコ
ーナ部を削除して形成された、スカラツプ穴６を
介して連通される。そして該水平すみ肉溶接部５
に適用される自動溶接装置は、これらのスカラツ
プ穴６を容易に通過するように構成される必要が
あると同時に溶接線に正確に倣つて走行する必要
がある。またこのような溶接部は長く形成され、
しかも狭隘部に適用されることが多いので従来一
般に利用されるような走行案内レールの設置は困
難である。そこで小型に形成した溶接装置を該す
み肉溶接部に懸け渡したワイヤロープやチエーン
等に連結して走行させる手段、或は溶接装置若し
くはその台車に設ける案内滑車が走行に伴なつて
溶接装置を縦面板３および底板２に沿わせるよう
に案内する手段等が提案されているが、前者では
特別な牽引装置を設ける必要があつて大掛りな設
備を必面とし、後者は走行中に母材から離れた
り、僅かの障害物によつて滑車が浮き上つて振動
し良好な溶接が得られない場合がある。

本考案はこれらに着目してなされたもので、こ
れらの溶接装置に直接若しくは台車装置を介して
設ける走行装置進行方向に対して前傾姿勢を与え
る様に傾斜させて走行案内滑車をブラケツトに遊
支し、且つ該ブラケツトは支軸を介して180度回
転自在である様に構成し、且つ該案内滑車をマグ
ネツトローラで構成して母材に吸着させながら遊
転若しくは積極的に回転させ、溶接装置を確実に
開先に沿わせるように構成したものである。

以下図面に基づいて本考案を詳細に説明するが
図は本考案の具体的な実施の一例を示すもので、
実用新案登録請求の範囲に記載した実施態様と同
様本考案はこれらに限定されず前記および後述す
る記載の趣旨に徴して他の溶接装置にそのまま利
用したり、或は他の溶接部にも適用できる。また
これらの構成も図示例に限定されず適当に形状を
変更したり或は設計を変更しても同様に実施する
ことができる。第２図および第３図は第１図に例
示した溶接構造物１の水平すみ肉溶接に好適な溶
接装置７を例示した見取図および側面図で、本考
案走行装置では複数の滑車で構成された走行用車
輪１１，１２が溶接装置本体８の進行方向前部お
よび後部にそれぞれ細段部８′，８′を形成して設
けられる。そして溶接装置の後端部にトーチ９お
よびこれを覆うようなシールドノズル１０が設け
られ、前方端部に牽引チエーン１４の取付部１
４′が形成される。また前記細段部８′，８′の前
後端部下側には支持滑車１３，１３′が遊設さ
れ、該滑車１３，１３′は底板２の頂面に当接し
て溶接装置を支える。またこれらの滑車１３，１
３′は溶接装置の重心よりも縦面板３側に位置し
て設けることが推奨される。

また走行用車輪１１，１２はそれぞれの細段
８，８′にそれぞれほぼ同じようにして取付けら
れ、底板２に当接する底板例車輪と、縦面板３に
当接する側板側車輪とは同様に形成され、かつそ
の取付位置は、底板側車輪がそれぞれ側板側車輪
より溶接装置７の後側および前方側にずらせてあ
る。第４図は第８図の切断線−に沿う矢印方
向断面図、第５図は第４図の切断線−に沿う
矢印方向断面図で、本考案走行用車輪１２を示す
のである。なお走行用車輪１１は前記したように
車輪１２とほぼ同様に形成されるので以下の説明
は一方の走行用車輪１２について述べる。第４図
および第５図において本考案走行用滑車１５，１
５′および１６，１６′はいずれもマグネツトロー
ラで形成し、その支軸２０，２０′を樹脂材若し
くは真鍮・砲金等の非磁性材で形成し滑車１５お
よび１６をそれぞれ遊支する。そしてこれらの支
軸２０，２０′はスイングブラケツト１９に植設
し、かつその植設はいずれか一方に傾斜せしめ
る。なおこれらの傾斜度は５度が好適であつた。
またスイングブラケツト１９はそのほぼ中央部が
枢軸１７に枢支されて回転自在に構成される。１
８はブツシユである。なお該図面では滑車１５，
１５′が側板側滑車であり、１６，１６′が底板側
を示す。またこれらの傾斜方向ならびに傾斜度は
自由に選定でき、これらは溶接装置を溶接進行方
向に移動するときに溶接装置が底板方向、縦面板
方向にスラスト作用を受けるように設定し、第３
図の場合は溶接装置が図面左方向に進行するとき
に底板および縦面板３に沿う状態を示す。そして
マグネツトローラ１５，１５′は回転自在なスイ
ングブラケツト１９にそれぞれ傾斜させた支軸２
０，２０′に遊支され、該スイングブラケツト１
９を溶接装置の走行変更位置で180度回転するこ
とによつて傾斜方向を変換させる。よつて逆進行
方向に向つても溶接装置を溶接部に沿わせること
ができる。またこれらの走行車輪１１，１２は２
組の滑車で構成されるので走行振動が枢軸１７を
介して直接溶接装置に伝達されず溶接装置７を円
滑に走行させることができる。従つてトーチ９を
確実に開先に指向して走行することができる。以
上は走行用車輪が永久磁石で形成されたものにつ
いて述べたが、本考案では電磁石製のマグネツト
ローラで形成したり、或は該マグネツトローラを
積極的に駆動するように構成しても同様に実施す
ることができる。第６図は、滑車１５に電磁コイ
ル２１を内蔵して構成したものを例示し、該電磁
コイル２１は前記したような非磁性体の支軸２０
に、巻付芯筒２２を介して不回転に支持される。
２３は滑車１５の蓋板、２４は支軸２０に形成し
た給電コード穴を示す。そして給電コード２５は
スイングブラケツト１９の穴若しくは溝を介して
溶接装置本体８に連通し、適当な制御装置を介し
て給電される。またその給電電流によつて磁力を
調節することができる。なおこれらの実施例では
走行案内用の滑車１５が遊支され、溶接装置７の
他の牽引手段によつて走行するものを示したが、
自走装置を設けた溶接装置若しくは台車であつて
も本考案走行装置が利用できる。

第７図、第８図および第９図はその一例を示
し、送り装置２６は溶接装置本体８の底面側に設
けられる。そして該送り装置２６はコ字型枠２７
の両側壁にわたつて支軸２９を遊支し、該支軸２
９にローラ２８および歯車３０を固定する。また
該コ字枠２７の頂面底にモータ３２を固設し、該
モータ３２の出力軸にピニオン３１を固設して歯
車３０と係合する。そして該送りローラ２８もマ
グネツトローラで構成することが推奨される。ま
た該送りローラ２８は他の滑車１６，１６′群よ
り僅かに底板側を突出して設けたり、或はその周
面に薄い弾性材を配設して走行を確実にする。

また本考案はマグネツトローラを積極的に駆動
するように構成してもよく、これらの駆動型マグ
ネツトローラは前例のように溶接装置本体８の一
部に設けられたり、或は台車に設けられるが、ロ
ーラ自体が比較的大形になるので、溶接装置７を
推進および牽引するような移動車、或は台車の一
部にこれらを設けることが推奨される。第１０図
はその一例で移動枠３３に本考案走行用車輪３
４，３４′を設けたものを示し、側板用の車輪３
４および底板用車輪３４′は少なくとも２個が進
行方向に配列される。そしてこれらの車輪３４，
３４′はフランジ形で形成しフランジの間にコイ
ル３５，３５′をそれぞれ不回転に保持させて構
成する。また底板用車輪３４′の側面に歯車３６
を固設し該歯車枠３６と移動枠３３に取付けた駆
動用モータ３２の出力軸に固設した歯車３７とを
係合して構成する。そして該移動枠３３には直流
電源が内蔵若しくは接続されて走行用車輪３４，
３４′に給電して磁場が形成され、車輪３４′が回
転する。

また本考案に利用する走行用車輪は、その磁力
が調整できるように構成されることが好ましく特
にコイルを設けて構成する車輪では給電電流の調
節によつて吸着力が調節できる。また永久磁石を
用いた移動用車輪にあつては磁力の異なるものを
取替えて利用する。

以上述べたように、本考案は比較的狭隘部に適
用される溶接装置の走行用車輪をマグネツトロー
ラで構成しかつその支軸を進行方向に傾斜させた
から、母材に沿つて確実に走行させることがで
き、溶接を安定した状態で行なうことができる。
しかも上記支軸は、スイングブラケツト等を180
度回転させることによつて傾斜方向を変換できる
様に構成しているので、逆進行方向に走行させる
ときでも溶接線に確実に沿わせることができる。
加えてこれらの機構は機械的に簡素な構成とする
ことができるので移行装置を小型軽量にすること
ができ狭隘部に適用するうえで有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は溶接構造物の一例を示す見取図、第２
図は第１図例に適用され本考案を利用した溶接装
置の見取図、第３図は第２図に例示した溶接装置
の側面図、第４図は第３図の切断線−の矢印
方向断面図、第５図は第４図の切断線−に沿
う矢印方向断面図、第６図は本考案の他の実施例
を示した一部破断側面図、第７図は本考案の他の
構成例を示す側面図、第８図は第７図の底面側一
部拡大図、第９図は第７図の要部を左側から示し
た拡大図、第１０図は本考案の他の実施例を示し
た正面図である。 １……溶接構造物、２……底板、３……縦面
板、４……横面板、５……すみ肉溶接部、６……
スカラツプ穴、７……溶接装置、８……本体、９
……トーチ、１０……シールドノズル、１１，１
２……走行用車輪、１３……支持滑車、１４……
牽引索、１５，１６……マグネツト滑車、１７…
…枢軸、１９……スイングブラケツト、２０……
支軸、２１……台車、２２……コイル、２６……
送り装置、２７……コ字枠、２８……ローラ、３
８……枠、３４……フランドローラ、３５……コ
イル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 狭隘部位の長手方向に形成される開先に沿つ
   て走行し、該開先を連続的に溶接する溶接装置
   の走行装置であつて、進行方向に対して前傾姿
   勢を与える様に傾斜させた走行案内ローラをブ
   ラケツトに遊支すると共に、該ブラケツトは支
   軸を介して少なくとも180度回転自在である様
   に枢支して走行案内ローラの傾斜方向を変更で
   きるように構成し、且つ該案内ローラをマグネ
   ツトローラで構成して、母材の一方若しくは双
   方に吸着させながら転動するように構成したこ
   とを特徴とする溶接装置の走行装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、溶
   接装置はすみ肉溶接用のものである走行装置。 (3) 実用新案登録請求の範囲第１項又は２項にお
   いて、溶接装置は牽引されて走行するように構
   成した走行装置。 (4) 実用新案登録請求の範囲第１、２又は３項に
   おいて、走行装置に設ける案内ローラは、溶接
   装置の前後に設けて構成したものである走行装
   置。 (5) 実用新案登録請求の範囲第１〜４項のいずれ
   かにおいて、走行装置に設ける案内ローラは立
   板及び横板に当接するように構成したものであ
   る走行装置。