JPS6136723Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はカムシヤフト、殊にカムや潤滑油ポン
プを駆動するための歯車を一体的に有する歯車付
カムシヤフトに係るものである。

一般に上記の如きカムシヤフトは、要求される
強度に応じて、或いは生産性・価格等の理由から
鋳造によつて形成されるものと鍜造によつて形成
されるものとがある。

鋳造製カムシヤフトにおいて、カム面は粗材の
鋳鉄を焼き入れるか又は粗材を鋳造後に冷硬させ
る等の硬化処理によつて容易に所望の硬度を得る
ことができるが、一体に形成された鋳造歯車では
ポンプを駆動するために十分な強度が得られな
い。

一方、鍜造製カムシヤフトにあつては、鋳造製
カムシヤフトとは全く逆に、歯車としての強度は
充分得られるが、カム面に要求される硬度が得に
くいと言う問題点を有していた。

また、内燃機関用カムシヤフトは比較的長尺な
ため、鋳造にて形成する場合に鋳型の曲りに起因
するシヤフトの曲りを生じ易いが、上記曲がりの
修正は鍜造製のものは可能であるが、鋳造製のも
のでは粗材がもろいため不可能であるという問題
がある。

そこで、前者の問題に対しては、本来鋼材ある
いは銅合金系材料製の歯車とすることが望まれる
にもかかわらず、カムシヤフトのようにカムや軸
受部を備えるものではスプラインやキーなどによ
つて歯車を軸に固定することはできないので、や
むなくカムシヤフトと一体の鋳造製歯車とし、該
歯車に要求される強度をその寸法を大とするなど
材質以外の他の手段をもつて補う如き設計をして
いるのが現状である。

一方、後者の問題に対しては、鋳型の精度管理
を成す以外に適当な問題解決の策が見い出されて
いない。

尚、前記と同様に鋳造製カム軸に鍜造製歯車を
設けるため、中心部に管状体をもつ鍜造製のセン
タギヤの上記管状体を上記カム軸に鋳込んで一体
化したものが実公昭18−806号公報にみられる
が、これはセンタギヤをカム軸の鋳型中に軸心方
向位置及び位相を合わせてセツトすることが難し
いばかりでなく、カム軸は長いまま故前記曲がり
の問題は依然として存在し、鋳型の精度管理を成
す以外の問題解決策は見い出されないという欠点
がある。

また、複雑な形状のカムシヤフトを安価に製作
するため、カム部分、ジヤーナル部分および軸部
分を夫々別個の部材で形成し、軸部分に対しカム
部分、ジヤーナル部分を所定の角度、位置に嵌装
し、軸部分に溶接するものが実開昭48−9803号公
報に従来例として述べられているが、このカムシ
ヤフトには歯車が見られないばかりでなく、カム
部分、ジヤーナル部分は軸部分の端部から次々に
嵌装して角度、位置を整えながら溶接する必要が
あり、組み立てが難しく且つ手間がかかる欠点が
あり、更に軸部分は前記実公昭と同様長いままだ
から前記曲がりの問題は依然として存在し、軸部
が鋳造製の場合はこれまた鋳型の精度管理を成す
以外の解決策はないという欠点がある。

本考案は上記の点に鑑み案出されたもので、そ
の要旨とするところはカム及び歯車部を一体に備
える歯車付カムシヤフトを、前記歯車部を形成す
べき位置にて前記シヤフトを２分せしめる如き２
つの鋳造製カムシヤフトと、該両シヤフトの相対
する端部間にその左右端部を密着せしめて溶接し
た鍜造製歯車部とから構成したことにある。

以下図示せる本考案の一実施例について説明す
ると、１０及び２０は夫々別体に鋳造成形された
カムシヤフトで、各々カム１１，２１あるいは図
示せぬ軸受等を夫々一体に備えている。上記カム
シヤフト１０，２０は本来一本化したカムシヤフ
トならば、後記歯車部がセツトされるべきカムシ
ヤフト上の位置の両側で２分した如き形状、寸法
からなり（勿論後記歯車部の分は正確に除かれて
いる）、そして上記両シヤフト１０，２０の相対
する端部１２，２２には、夫々軸心Ｌに対して平
滑な垂直な面となるように機械加工が施こされて
いる。

３０は、上記シヤフト１０，２０とは別途に用
意した歯車部であつて、これは前述の強度の要求
に答えるために、例えば鋼材を鍜造加工して機械
切削して形成されている。そして該歯車部の両端
部３１，３２にも前記同様、前記軸心Ｌに対して
機械加工を施して垂直な端面が形成されている。

以上のようなカムシヤフト１０，２０及び歯車
部３０は例えば治具を用いて、上記両カムシヤフ
ト１０，２０の前記端面１２，２２間に歯車部３
０を介在させ、前記利用カムシヤフトのカム１１
と２１の位相を調整した上、各端部２１，３１及
び２２，３２を各々その軸心Ｌを一致させて溶着
させ、該端部１２，３１及び２２，３２の周囲を
溶接Ｗし、これによつてシヤフト１０，２０並び
に歯車部３０を一体結合して歯車付カムシヤフト
を形成する。尚、この際前記各端部１２，３１，
２２，３２に図中点線にて示す如き逃げＳを設け
ておくことにより、この軸心Ｌをより一層一致さ
せやすく、また端面の密着もし易くなる。

本考案歯車付カムシヤフトはカム及び歯車部を
一体に備える歯車付カムシヤフトを、前記歯車部
を形成すべき位置にて前記シヤフトを２分せしめ
る如き２つの鋳造製カムシヤフトと、該両シヤフ
トの相対する端部間にその左右端部を密着せしめ
て溶接した鍜造製歯車部とから構成したので、歯
車付カムシヤフトを２つの鋳造製カムシヤフトと
該両シヤフトの相対する端部間に溶接した鍜造製
歯車部とから構成することにより、カム面に要求
される硬度とともに歯車部に要求される強度がそ
の材質及び処理法の選択によつて任意に選択で
き、例えば潤滑油ポンプ用歯車として充分な強度
が得られる。また、前記歯車部を形成すべき位置
にて前記シヤフトを２分せしめる如き２つの鋳造
製カムシヤフトを用いることにより、各々のシヤ
フト１０，２０自体は夫々短かく、従つて前述の
如き鋳型の曲りに基づくカムシヤフトの曲りを生
ずることなく高精度が得られるばかりでなく、生
産性をより向上させ更に安価に製造することがで
きる。また両カムシヤフトの相対する端部間にそ
の左右端部を密着せしめて溶接した鍜造製歯車部
３０は、別途に用意されたものを上記シヤフト１
０，２０に連接する訳であるから、前記の如き材
質並びに処理法の選択の自由度とこれによる強度
の確保のほか、加工が容易となるので、高精度で
しかも安価にこれを製作できるようになる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案を実施したカムシヤフトの一例を示
す一部縦断面正面図である。 １０，２０；カムシヤフト、１１，２１；カ
ム、１２，２２；カムシヤフトの端部、３０；歯
車部、３１，３２；歯車部の端部、Ｗ；溶接。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カム及び歯車部を一体に備える歯車付カムシヤ
   フトを、前記歯車部を形成すべき位置にて前記シ
   ヤフトを２分せしめる如き２つの鋳造製カムシヤ
   フトと、該両シヤフトの相対する端部間にその左
   右端部を密着せしめて溶接した鍜造製歯車部とか
   ら構成した歯車付カムシヤフト。