JPS6135373Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、正多角形状のスローアウエイチツ
プに関する。

従来、例えばスローアウエイ式エンドミルにお
いては、多角形状のスローアウエイチツプを用
い、その直線部によつて外周刃を形成したものが
多い。この場合、摩耗した直線部を他の直線部に
換えるという切刃交換の容易性から、特に正多角
形状のものを用いるのが一般的である。しかもス
ローアウエイ式エンドミルはその構造上および切
削形態上、剛性が低いため、それ用のスローアウ
エイチツプには、切削抵抗の軽減を図り得るもの
であることが要望される。このような要望に応え
るスローアウエイチツプとしては、第１図あるい
は第２図にそれぞれ示すものがある。

第１図に示すスローアウエイチツプは、従来の
一体型千鳥ニツク付エンドミル、例えば二枚刃エ
ンドミルの外周刃の同一円周上の切刃部分をその
ままスローアウエイ化しようとするものである。
そこで、このスローアウエイチツプ１において
は、一方の対向する二つの直線部１１ａ，１１ａ
の各端部にそれぞれ非削部１２ａ，１２ａが形成
され、他方の対向する二つの直線部１１ｂ，１１
ｂの中央部に非削部１２ｂが形成されている。そ
して、このスローアウエイチツプ１はエンドミル
本体の外周部の同一円周上に２箇宛、それも一方
のスローアウエイチツプ１については直線部１１
ａが、他方のスローアウエイチツプ１については
直線部１１ｂがそれぞれ外周刃を形成するように
配置される。

しかして、このようなスローアウエイチツプ１
が装着されたスローアウエイ式エンドミルにおい
ては、非削部１２ａ，１２ｂによつて切屑を分断
して切削抵抗の軽減を図るとともに、一方のスロ
ーアウエイチツプ１の非削部１２ａ，１２ｂによ
る削り残しを他方のスローアウエイチツプ１によ
つて削ることができる。

ところが、このものにあつては、切刃交換を行
う際に、２個一対のスローアウエイチツプ１，１
について互いに異なる形状の直線部１１ａ，１１
ｂを用いる必要があり、このため作業者が余分な
注意を払わなければならず、作業性の低下を来た
す。しかも、同一円周上に装着する２個のスロー
アウエイチツプ１，１について互いに同形状の直
線部１１ａ，１１ａ，１１ｂ，１１ｂを用いると
いう誤装着を行つた場合には、ワークの非削部１
２ａ，１２ｂに対応する箇所に削り残しが生じて
しまう。

一方、第２図に示すスローアウエイチツプ２
は、前述したスローアウエイチツプと同様な考え
方に基づき、一体型ラフイングエンドミルをスロ
ーアウエイ化しようとするものである。すなわ
ち、このスローアウエイチツプ２は、各直線部２
１ａ〜２１ｄがそれぞれ波状に形成され、しかも
その波の山部（谷部）の位相が各直線部２１ａ〜
２１ｄについて互いにずらされてなるものであ
り、エンドミル本体の外周部の同一円周上に４個
宛、それも目印２２ａ〜２２ｄに従つて互いに位
相の異なる直線部が外周刃を形成するように配置
される。

このようなスローアウエイチツプ２が装着され
たスローアウエイ式エンドミルにおいては、切屑
の分断をより一層向上させることができる反面、
仕上面の悪化が否めない。しかも、誤装着という
問題については前述した従来例と同様であり、そ
の場合には、直線部の形状がそのままワークに現
われることとなり、さらに仕上面が悪化する。

この考案は、上記事情を考慮してなされたもの
で、切屑を細かく分断することができるのは勿論
のこと、作業者が余分な注意を払うことなく誤装
着を確実に防止することができ、しかも良好な仕
上面が得られる正多角形状のスローアウエイ式切
削工具を提供することを目的とする。

この考案の特徴は、エンドミルを例にとれば、
互いに異なる形状の直線部をエンドミル本体の同
一円周上に位置させるという従来の考え方とは逆
に、互いに大きさの等しい正多角形状をなすスロ
ーアウエイチツプの各直線部の中央部に、直線部
の長さの1/4〜1/3の長さを有する非削部を１個宛
形成し、各スローアウエイチツプをそれらの回転
軌跡において直線部が連続するように軸線方向へ
互いにずらして配置した点にある。

以下、この考案の一実施例について第３図ない
し第５図を参照して説明する。なお、第４図Ａは
実施例のエンドミルの平面図、第４図Ｂはその側
面図、第３図Ａはエンドミルに装着されているス
ローアウエイチツプの平面図、第３図Ｂはその側
面図である。第３図Ａ，Ｂに示すスローアウエイ
チツプ３は、正方形状のネガテイチツプとされ、
その両端面は同様に構成されたすくい面３１，３
１とされている。このすくい面３１の周縁部に
は、直線部３２とノーズ部３３とが形成されてい
る。また、すくい面３１，３１間のチツプ側面３
４の中央部には、一方のすくい面３１から他方の
すくい面３１にまで延在する切欠き溝３５が形成
されている。この切欠き溝３５が形成されること
により、各直線部３２の中央部の同一箇所には、
互いに幅の等しい非削部３６が１個宛形成されて
いる。この非削部３６は、直線部３２よつて生成
される切屑を分断するとともに、その切屑の幅を
狭くするためのものである。このような点から、
非削部３６の幅は、後述する設計上の許容範囲内
においてできる限り広くするのが望ましく、実験
結果から直線部３２の長さの1/4〜1/3とされてい
る。

そして、このように構成されたスローアウエイ
チツプ３は、第４図Ａ，Ｂに示すように、エンド
ミル本体３７の外周部に、周方向へ等間隔をもつ
て互いに離間して着脱自在に４個装着されてい
る。これら４個のスローアウエイチツプ３は、第
５図に示すように、エンドミル本体３７の軸線を
含む平面上におけるそれぞれの直線部３２の回転
軌跡が連続する外周刃３８を形成するように、エ
ンドミル本体３７の軸線方向に互いにずらして配
置されている。すなわち、先端側の２個のスロー
アウエイチツプ３，３は、それら間のずらし量が
非削部３６の幅より大きく、直線部３２のノーズ
部３３と非削部３６との間の部分の長さより小さ
くなるようにずらして配置されている。これによ
つて、一方のスローアウエイチツプ３の非削部３
６による削り残しが他方のスローアウエイチツプ
３によつて削られるようになつている。このこと
は、後端側の２個のスローアウエイチツプ３，３
間においても同様である。なおこの場合、非削部
３６の幅を直線部３２のノーズ部３３と非削部３
６との間の部分の長さより短く設定しなければな
らないのは勿論である。また、中央部の２個のス
ローアウエイチツプ３，３はそれぞれの直線部３
２，３２の一部が回転軌跡において重なるように
配置されている。

しかして、上記のように構成したスローアウエ
イ式エンドミルにおいては、直線部３２に非削部
３６が形成されているから、切屑を細かく分断す
ることができることは勿論、その非削部３６の
分、直線部３２とワークとの接触長さが短くな
り、これら両者が相俟つて切削抵抗の軽減を図る
ことができる。しかも、各直線部３２の中央部の
同一箇所に互いに幅の等しい非削部３６を形成す
る一方、スローアウエイチツプ３自体をエンドミ
ル本体３７の軸線方向にずらすことにより、非削
部３６どうしをずらすようにしているから、摩耗
した直線部と新たな直線部との切刃交換前後にお
ける非削部の位置が同一であり、従つて切刃交換
の際の誤装着を何ら注意を払うことなく確実に防
止することができる。しかも、非削部３６を上下
いずれのすくい面３１のいずれの各直線部３２に
対しても同一箇所である中央部に形成しているか
ら、上下いずれのすくい面３１を用いる場合にも
誤装着を確実に防止することができる。また、直
線部３２を単なる直線状としているから、良好な
仕上面が得られる。

なお、上記実施例においては、この考案に係る
スローアウエイ式切削工具をスローアウエイ式エ
ンドミルに適用した場合について述べたが、これ
に限られることなく、側フライスに適用し、その
側刃あるいはカツタ幅が広い場合には外周刃を形
成するようにしてもよく、また平フライスに適用
してもよい。

また、上記実施例においては、スローアウエイ
チツプ３を正方形状に形成しているが、これに限
られることなく、正三角形状、正六角形状等の他
の正多角形状としてもよい。

さらに上記実施例においては、４個のうち２個
のスローアウエイチツプを一対とし、一方のスロ
ーアウエイチツプ３の非削部３６による削り残し
を他方のスローアウエイチツプ３によつて削るよ
うにしているが、これらに限られることなく、全
部のスローアウエイチツプが互いの非削部による
削り残しを削るようにしてもよい。また、同一円
周上に２個宛配置し、４個を一対としてもよい。
さらに、スローアウエイチツプの装着数として
は、２個以上であれば何個でもよい。

以上説明したように、この考案のスローアウエ
イ式切削工具によれば、互いに大きさが等しい正
多角形状をなすスローアウエイチツプの各直線部
の中央部に、直線部の長さの1/4〜1/3の長さの非
削部を１個宛形成し、このスローアウエイチツプ
を回転軌跡において直線部が連続するように軸線
方向へ互いにずらして配置しているから、次のよ
うな効果が得られる。

(1) 同一すくい面における切刃交換を行う場合は
勿論のこと、すくい面を変えて切刃交換を行う
場合にも、作業者が余分な注意を払うことなく
スローアウエイチツプの誤装着を確実に防止す
ることができる。

(2) 切屑を分断して切削抵抗の軽減を図ることが
できる。

(3) 直線部とワークとの接触長さを、非削部の分
短くすることができ、切屑を分断し得ることと
相俟つて切削抵抗をより一層軽減することがで
きる。

(4) 良好な仕上面が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ従来のスローア
ウエイチツプを示し、Ａはその平面図、Ｂはその
側面図、第３図ないし第５図は本考案の一実施例
を示す図であつて、第３図Ａはスローアウエイチ
ツプを示す平面図、第３図Ｂはその側面図、第４
図Ａはスローアウエイ式エンドミルを示す軸線方
向先端視図、第４図Ｂはその一部省略側面図、第
５図は第４図に示すスローアウエイ式エンドミル
の直線部の回転軌跡を示す拡大図である。 ３……スローアウエイチツプ、３１……すくい
面、３２……直線部、３３……ノーズ部、３４…
…側面、３６……非削部、３７……エンドミル本
体、３８……外周刃。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸線を中心として回転せしめられる工具本体の
   先端部外周に、直線部とノーズ部とからなる切刃
   を有し、かつ互いに大きさが等しい正多角形状の
   複数のスローアウエイチツプがその直線部を上記
   軸線に沿つた方向へ向けて、周方向へ互いに離間
   して着脱自在に装着されてなり、上記スローアウ
   エイチツプの各直線部の中央部には、そこをすく
   い面の内方に向けて凹ませて互いに幅のほぼ等し
   い非削部が１個宛形成されてなるスローアウエイ
   式切削工具において、上記スローアウエイチツプ
   の非削部の長さは、上記直線部の長さの1/4〜1/3
   とされ、各スローアウエイチツプは、それらの回
   転軌跡において上記直線部が連続するように軸線
   方向へ互いにずらして配置されてなることをを特
   徴とするスローアウエイ式切削工具。